JP5876774B2 - 分子複合体及びワイヤーハーネス材料 - Google Patents

分子複合体及びワイヤーハーネス材料 Download PDF

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Description

本発明は、分子複合体及び該分子複合体を用いたワイヤーハーネス材料に関するものである。
種々の材料構築において、重合反応は重要であり、その中でもラジカル重合反応は反応速度が速く、原料の種類も豊富であるため、広く用いられている方法である。
すなわち、フリーラジカルを発生する化合物をアクリレート誘導体の二重結合を持つモノマーやオリゴマーに加えて重合反応を開始、進行させる方法であり、多くの場合、反応速度が速く長期間加熱の必要もない。
これはフリーラジカルの高い反応活性に起因するものであるが、その反面、寿命が非常に短く、酸素などで容易に失活してしまい、フリーラジカルを発生させた瞬間、又は極近傍域以外での重合反応は起こらない。
故に発生させるフリーラジカル量に少しでも部分的なムラがあると、重合物の分子量にもムラを生じ、信頼性の高い材料を得ることができなくなってしまうという欠点もある。
前記欠点に対し、発生したラジカルを捕捉し長寿命化することで、発生フリーラジカル量が少ない箇所やフリーラジカル発生の無い箇所へ拡散する時間を与え、硬化反応を均一化する機構が考えられている。
そのような機構が利用されているものには、ある種の連鎖移動剤があり、フリーラジカルを捕捉して長寿命化させるような構造を有しているものもある(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1、2等参照)。
特開2003−321506号公報 特開2000−355605号公報 特開2006−176587号公報
「マクロモレキュラー ケミストリー アンド フィジックス(Macromolecular Chemistry and Physics)」2009年、第210巻、p.311〜319 「ジャーナル オブ ポリマー サイエンス:パートA:ポリマー ケミストリー(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry)」2003年、第41巻、p.645〜654
前記特許文献1及び非特許文献1に記載の方法は、メルカプト基、ジスルフィド基を持つ化合物を用いる方法であるが、特有の臭気が問題となる。
前記特許文献2、非特許文献2は末端不飽和メタクリル酸エステルマクロモノマーを用いる方法であるが、構造的にフリーラジカル保持能が低く、フリーラジカルを利用した硬化反応に対しての効率が充分ではない。
前記特許文献3に記載の方法は、メタクリル酸n量体を用いる方法であるが、メタクリラート化ポリマーに特異的であり、及び相対的に高価である。
本発明は、フリーラジカルを利用した重合反応において、従来の添加剤には無い高いフリーラジカル捕捉能、フリーラジカルの長寿命化能を有し、低コストで容易に硬化反応の均一化を達成できる化合物を提供することを課題とする。
本発明の分子複合体は、分子内に金属と配位し得る窒素原子を1つ以上持つ有機化合物と、含金属化合物から成り、フリーラジカルを捕捉して長寿命化できることを要旨とするものである。
本発明のワイヤーハーネス材料は、前記の分子複合体を用いて作成されたものであることを要旨とするものである。
本発明の分子複合体は、分子内に含まれる窒素原子又は窒素原子近傍のその他の原子の電子対を介し含金属化合物の金属と金属錯体複合体を形成する。この金属錯体複合体をフリーラジカル捕捉能を持つ分子複合体として用いることができる。
本発明の分子複合体は、フリーラジカルを捕捉して、長期にわたり安定化することができる。したがって、従来、短寿命で僅かな拡散も不可能であったフリーラジカルの拡散を可能とする。そのため例えば本発明の分子複合体をフリーラジカル重合性材料に添加した場合、従来に比べて均一性の高い硬化物を得ることが可能である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。分子内に金属と配位し得る窒素原子を1つ以上持つ有機化合物(以下、分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物ということもある)と、含金属化合物から成る分子複合体は、フリーラジカルを捕捉して長寿命化させることが可能であるから、分子複合体をフリーラジカル重合性材料に添加することにより、硬化反応の均一化を達成できる。
前記分子複合体に含まれる、分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物は、下記式1で表わされる構造を含んでいることが好ましい。
Figure 0005876774
なお式1中、R1はあっても無くても良く、ある場合は水素原子を示し、無い場合は隣の原子と二重結合を形成している。式中R2は酸素原子又は硫黄原子を示す。式中R3はあっても無くても良く、ある場合は炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を示し、無い場合は式中炭素原子と窒素原子が二重結合を形成している。
前記分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物の窒素原子の部分の構造の具体例としては、各種(ポリ)(チオ)ウレタン構造、各種(ポリ)(チオ)尿素構造、各種(ポリ)(チオ)アミド構造、含(チオ)イソシアネート構造等が挙げられる。分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物は、分子内に上記構造を有する有機化合物であればよい。
前記構造の他、非共有電子対を有する窒素原子を含んだ構造であれば、分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物として用いる事ができる。
前記分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物の性状は、必ずしも液状である必要は無いが、混合のし易さから、液状であることが好ましく、分子量10万以下の液状化合物である事が好ましい。
前記分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物と複合されて分子複合体を構成する前記含金属化合物の金属としては、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルの中から選択される1種類、あるいは複数種類の金属が好ましく用いられる。
前記含金属化合物は、1種類又は複数種類の前記金属が、金属塩又は錯体の形で構成分子中に含有されていれば、特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
前記金属塩としては、前記金属種のカルボン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、(過)(亜)塩素酸塩等の金属塩の形態が挙げられる。
前記金属錯体としては、前記金属種と配位結合形成し得る有機配位子と1:1〜1:4(金属:配位子)で配位し安定化されたものであれば特に制限されることなく、従来から公知のものを用いることができる。
前記含金属化合物の具体例として、ビス(2,4-ペンタンジオナト)スズ、ジブチルスズビス(トリフルオロメタンスルホナート)、ジブチルスズジアセタート、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズマレアート、フタロシアニンスズ(IV)ジクロリド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスズ、フタロシアニンスズ(II)、トリブチル(2-ピリジル)スズ、トリブチル(2-チエニル)スズ、酢酸トリブチルスズ、トリブチル(トリメチルシリルエチニル)スズ、トリメチル(2-ピリジル)スズ、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(1,3-プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8-キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10-フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅
、テトラ-4-tert-ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、ナフテン酸銅、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3-ジチオール-2-チオン-4,5-ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファート、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)コバルト(II)、(1R,2R)-N,N'-ビス[3-オキソ-2-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ブチリデン]-1,2-ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、(1S,2S)-N,N'-ビス[3-オキソ-2-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ブチリデン]-1,2-ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ-2,4-ペンタンジオナト)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III)クロリド、N,N'-ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20-テトラキス(4-メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(III)、ナフテン酸コバルト、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ニッケル(II)、ビス(2,4-ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6-ピリジンジイル)ビス(3-メチル-1-イミダゾリル-2-イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記含金属化合物の形態としては、必ずしも有機物への溶解性が高い必要は無いが、混合のし易さや保存時の沈殿を防ぐことから、有機酸塩又は金属錯体状であることが好ましい。
前記の含金属化合物は、前記分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物と複合化することで分子複合体を構成することができる。
前記の含金属化合物と前記分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物を複合化する方法は、両成分を常温、又は加温条件で混合すれば良く、特に限定されないが、前記各成分を、減圧下又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で、適当な温度にて、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に攪拌又は混練し、溶解させるか、均一に分散させる方法を用いることが好ましい。
前記分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物(A)と前記含金属化合物(B)の配合比としては、質量比で、(A):(B)=100:0.001〜100:10の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは、100:0.005〜100:5の範囲内である。
含金属化合物の配合量が多過ぎると、含金属化合物が不溶物となり、構成された分子複合体に沈殿を生じ、フリーラジカル重合性材料の反応物(重合物)中に残存すると重合物の物性を損なう虞がある。また光硬化材料に添加された時に光の透過を阻害するため、硬化反応を阻害してしまう結果となる虞がある。
一方含金属化合物の配合量が少な過ぎると、複合体として作用しきれずに機能が低下してしまう虞がある。
本発明の分子複合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。前記添加剤としては、例えば、安定化剤、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、耐電防止剤、難燃剤、増感剤、分散剤、溶剤、抗菌抗カビ剤等が挙げられる。
前記安定化剤としては、老化防止剤、酸化防止剤、脱水剤等が挙げられる。例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物(老化防止剤)、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリフェニルフォスフェート等(酸化防止剤)、無水マレイン酸、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二水物、生石灰、カルボジイミド誘導体、ステアリルクロライド等の酸クロライド(脱水剤)が挙げられる。また少量のメタキノン等の重合禁止剤等も安定化剤として使用することができる。
但し、前記安定化剤は、ほとんどのものがフリーラジカルを介した反応に負の影響を与えるので、極微量の添加が好ましい。
前記可塑剤としては、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジエチルヘキシル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジペンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、フェノール、ラウリル酸、ステアリン酸、ドコサン酸、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等が挙げられる。
前記軟化剤としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料が挙げられる。
前記帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
前記難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
前記増感剤としては、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、市販品としてユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
前記分散剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル等の界面活性剤が挙げられる。
前記溶剤としては、分子複合体を溶解させ、粘度を下げるもの、相溶性を高めるものであれば良く、具体的にはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの極性溶剤、ジクロロエタン、トリクロロベンゼンなどの塩素系溶剤が挙げられる。
前記の各添加剤は適宜、組み合わせて用いることができ、混合方法としては特に限定されないが、前記各成分を、減圧下又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に攪拌又は混練し、溶解させるか均一に分散させる方法が好ましい。
フリーラジカル捕捉して長寿命化させる目的で、前記分子複合体に充填もしくは混合され得る物質は特に限定されないが、用途を考慮した上でも、それ自体の安定性が高いものであることが好ましい。
また前記分子複合体に充填もしくは混合され得る物質の量も特に限定されないが、充填もしくは混合されることで、取り扱いに支障をきたさない量であることが好ましい。
本発明の分子複合体が捕捉して長寿命化させるフリーラジカルは熱や光などいずれの方法で発生させられたものでも良く、光で発生させる際に用いる照射光は、紫外線以外に可視光であってもよい。光照射装置は、従来公知の各種照射装置を用いることができる。また照射条件も、適宜設定することができる。
本発明の分子複合体は、フリーラジカル重合性材料を含む系に添加して、該重合性材料の硬化性を改良するのに用いることができる。前記フリーラジカル重合性材料としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物や活性ビニル基を持った化合物が用いられており、各種開始剤(ラジカル発生剤)により発生したラジカルや電子線照射によるラジカルを用いて重合反応させる、電子線(紫外線含む)硬化材料、熱硬化材料、超音波硬化材料等が挙げられる。前記分子複合体の配合量は、フリーラジカル重合性材料の種類や硬化性等に応じて、適宜の添加量を選択すればよい。フリーラジカル重合性材料は、公知の上記各種材料を用いることができる。
本発明のワイヤーハーネス材料は、前記の分子複合体を用いて作成されたものである。ワイヤーハーネス材料は具体的には、前記分子複合体をフリーラジカル重合性材料に添加した硬化性組成物から構成することができる。ワイヤーハーネス材料の具体的な形態としては、ワイヤーハーネスを構成する各種の材料が挙げられる。ワイヤーハーネスは、例えば、被覆電線等の単線或いは複数の電線を集め、端末の導体にコネクタ端子等が接続されて構成される。また、ワイヤーハーネスは、電線の周囲が保護材等により被覆して構成することができる。このようなワイヤーハーネスに用いられる具体的なワイヤーハーネス材料としては、例えば、電線皮膜、コネクタ、成型体、接着剤等が挙げられる。
上記のワイヤーハーネス材料は、例えば、上記分子複合体を含む硬化性組成物を用いて、各種の形態に応じて適宜の成型方法で所定の形状に成形した後に、該成形物に紫外線等の照射光を照射して、組成物を硬化せしめることで、製造することができる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔フリーラジカル発生剤〕
本発明の分子複合体を応用するフリーラジカルは、一般的な紫外線硬化材料に紫外線を照射することによって発生させた。その組成及び調整法は以下の通りである。ジプロピレングリコールジアクリレート(東京化成社製)10mLに1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(東京化成社製)0.1gを加え、常温にて攪拌して溶解させた。この溶液をフリーラジカル発生剤とした。
表1に実施例の分子複合体の調製例を示し、表2に比較例の調製例を示す。表1、表2に示す各成分を、それぞれの表に示す組成(質量部)で、攪拌機を用いて混合し溶解又は分散させ、表に示される分子複合体又は比較例調製物を得た。表中の略称は以下の通りで、特にメーカー表示していないものは東京化成社製の試薬グレードのものを用いた。
〔分子内に窒素原子を1つ以上持つ有機化合物(表中に有機物と記載)〕
・HPCE:4-ヒドロキシ-1-ピペリジンカルボン酸エチル(ウレタン結合含有化合物)
・UP−1:合成品(合成例1を後述)(ウレタン結合含有化合物)
・UP−2:合成品(合成例2を後述)(ウレタン結合含有化合物)
・DMPU:N,N'-ジメチルプロピレン尿素(尿素結合含有化合物)
・NBPA:N-ブチルプロピオンアミド(アミド結合含有化合物)
・N3600:住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3600」(イソシアネート含有化合物)
・DETU:1,3-ジエチル-2-チオ尿素(含チオ尿素結合含有化合物)
・LP:流動パラフィン:和光純薬工業社製
・MMDE:メチルマロン酸ジエチル
〔含金属化合物〕
・BPDZ:ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)
・CDEDTC:ジエチルジチオカルバミン酸銅(II)
・DBTDL:ジラウリン酸ジブチルスズ
・BPDC:ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)
・BTCN:ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)
〔合成例1〕UP−1の合成
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプロピレングリコール80g(200mmol)、ヘキサメチレンジイソシアネート40g(238mmol)とジブチルスズジラウレート0.05gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量を計算し、反応前と比較して約15%まで減少して変化が無くなった時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。これをUP−1とする。UP−1は数分子量約3000、末端がイソシアネート基の含ウレタン結合化合物である。
〔合成例2〕UP―2の合成
攪拌機を備えた反応容器に、UP−1を100g(33mmol)と2−ヒドロキシエチルアクリレート8.2g(70.6mmol)、ジブチルスズジラウレート0.05g、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]0.02gを仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げた。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続けた。FT−IRの吸収面積から残留イソシアネート基の含有量見積り、その吸収が消失した時を反応終了とし、無色透明粘調性液体を得た。これをUP−2とする。UP−2は数分子量約3200、末端がアクリレート基の含ウレタン結合化合物である。
〔フリーラジカル捕捉性、長寿命化能〕
フリーラジカルは電子スピン共鳴装置(ESR)での検出が可能であるため、以下記載の方法で各分子複合体に保持されたフリーラジカルの検出を行い、その捕捉性と寿命を確認した。
(1)フリーラジカル発生剤と各分子複合体を比重が大きい順に内径5mm高さ50mmのガラス管に各液面の高さが10mmになるようマイクロピペットを使って緩やかに入れ、2層の状態とする。
(2)2層液体に対して側面からUVランプ(SEN特殊光源社製100mW/cm)で10秒間紫外線照射を行う。
(3)素早く分子複合体層を分離し、その20μL(マイクロリットル)に対して紫外線照射2分後と紫外線照射20分後にESRを測定した。ESRの測定は、測定装置にJEOL社製、商品名「JES−FA200」を用い、測定条件はPOWER 2.0mW、SWEEP TIME 30secで行った。
(4)ESRの測定結果において、有機性のフリーラジカル存在を示すg値2.03〜1.98の範囲にピークが存在する場合は○とし、存在が確認できなかった場合は×として、それぞれ表1、表2に記載した。
〔評価結果〕
実施例に示した各分子複合体について、実施例12、13に関しては、UV照射後20分後にフリーラジカルピークを検出できなかったものの、UV照射後2分後は、すべてフリーラジカルピークを検出することができた。
これは、実施例の分子複合体が、フリーラジカル発生剤から発生したフリーラジカルを捕捉して、2分間以上活性を保持し続けていることを示しており、通常1秒にも満たないフリーラジカルを長寿命化させていることを示している。よって、実施例の分子複合体が、フリーラジカル重合性材料に加えられて、重合反応させた場合、フリーラジカルの拡散を可能にして、均一硬化させる能力を有することを示している。
一方、含金属化合物を含まない比較例1〜4、又は窒素原子を持っていない有機物と含金属化合物を混合しただけの比較例5〜6は、UV照射2分後においてもフリーラジカルを確認できなかった。比較例はいずれも、有機物と含金属化合物が複合体を形成できていないため、フリーラジカルを捕捉できないことを示している。
Figure 0005876774
Figure 0005876774
以上説明したように、フリーラジカル重合性材料を含む系に、前記分子複合体が存在する状態で重合反応を行うと、該分子複合体が系内に発生したフリーラジカルを捕捉し、安定化するため、従来不可能であった拡散に要する期間分長寿命化され、フリーラジカルの発生が少ない箇所やフリーラジカルが発生していない箇所にもフリーラジカルが拡散移動することができるため、結果的に均一な硬化物を得ることができる。
例えば、フリーラジカル重合性材料として紫外線硬化材料を用いる場合、従来、紫外線が届き難い深部や、微小な遮蔽物の周辺などはフリーラジカルの発生がなく、十分に照射された箇所の様に均一に硬化させることが困難であった。これに対し、紫外線硬化材料に上記の分子複合体を添加することにより、このような紫外線が届き難い深部や微小な遮蔽物の周辺にもフリーラジカルが拡散移動できるようになったため、均一に硬化させることが可能となった。
本発明の分子複合体をフリーラジカル重合性材料に添加して使用する場合、照射光が届きにくい部分でも照射部と同様な均一なフリーラジカル重合物を確実に得ることができるので、従来は使用できなかった厚みがある形状や照射光の影となる部分を含む形状であっても、確実に硬化可能である。そのため硬化物の形状が限定されることなく、幅広い硬化物の形状に対応することができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (5)

  1. 分子内に金属と配位し得る窒素原子を1つ以上持つ有機化合物と、含金属化合物から成り、前記、窒素原子を1つ以上持つ有機化合物の窒素原子の部分が、ウレタン構造、チオウレタン構造、尿素構造、アミド構造、チオアミド構造、イソシアネート構造、チオイソシアネート構造のいずれかの構造を有し、前記含金属化合物を形成する金属が、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルから選択される少なくとも1種であり、前記含金属化合物が、これらの金属の有機酸塩又は金属錯体であり、前記金属錯体は、有機配位子が配位したものであり、フリーラジカルを捕捉して長寿命化できることを特徴とする分子複合体。
  2. 前記、窒素原子を1つ以上持つ有機化合物の窒素原子の部分が、ウレタン構造、チオウレタン構造、尿素構造、アミド構造、チオアミド構造、イソシアネート構造、チオイソシアネート構造のいずれかの構造を有し、前記窒素原子がその非共有電子対を介して金属と配位する事で、捕捉したフリーラジカルを非局在化することが可能な複数の共鳴構造に変化することを特徴とする請求項1に記載の分子複合体。
  3. 前記窒素原子を1つ以上持つ有機化合物と前記含金属化合物の配合比が、質量比で100:0.001〜100:10の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の分子複合体。
  4. フリーラジカルが発生する反応系に添加されて、フリーラジカル捕捉又はフリーラジカルの長寿命化のために用いられることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の分子複合体。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の分子複合体を用いて作成されたものであることを特徴とするワイヤーハーネス材料。
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