JP5872273B2 - 閾値テーブルの作成方法、クロストーク解析の悲観性削減方法、クロストーク解析方法、及びクロストーク解析プログラム - Google Patents

閾値テーブルの作成方法、クロストーク解析の悲観性削減方法、クロストーク解析方法、及びクロストーク解析プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP5872273B2
JP5872273B2 JP2011269730A JP2011269730A JP5872273B2 JP 5872273 B2 JP5872273 B2 JP 5872273B2 JP 2011269730 A JP2011269730 A JP 2011269730A JP 2011269730 A JP2011269730 A JP 2011269730A JP 5872273 B2 JP5872273 B2 JP 5872273B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aggressor
wiring
crosstalk
noise
victim
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011269730A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013120585A (ja
Inventor
晃一 中城
晃一 中城
玄一 田中
玄一 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Renesas Electronics Corp
Original Assignee
Renesas Electronics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Renesas Electronics Corp filed Critical Renesas Electronics Corp
Priority to JP2011269730A priority Critical patent/JP5872273B2/ja
Publication of JP2013120585A publication Critical patent/JP2013120585A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5872273B2 publication Critical patent/JP5872273B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Design And Manufacture Of Integrated Circuits (AREA)

Description

本発明は、半導体集積回路のクロストーク解析、特に、それによる適否判定の悲観性を削減するために用いる閾値テーブルの作成方法を始めとして、クロストーク解析方法、及びクロストーク解析プログラムなどに関する。
半導体集積回路のクロストーク解析による適否判定の悲観性を削減する方法、即ちクロストークノイズのエラー判定に対する悲観性を削減する方法として、クロストーク解析の対象となるビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数(アグレッサ本数)を考慮した方法がある。
すなわち、静的解析ツールを用いた場合の従来のクロストーク検証は半導体集積回路の設計工程、製造工程で発生する「プロセスばらつき」及び、クロストークの大きさを決定する大きな要因である、ビクティム配線とアグレッサ配線との間の「タイミングばらつき」のワーストケースを想定した静的解析(コーナー解析と呼ぶ)によって演算されたクロストークノイズに対してエラー判定を行なっている。半導体集積回路の設計においては、ばらつきは平均値(μ)と標準偏差(σ)で管理を行い(通常はμ±3σの範囲を管理範囲とする)、管理範囲内の正常動作を保障する。現状のクロストーク解析ではコーナー解析におけるワーストケースと管理範囲の上限値(通常μ+3σの値)が乖離しており、アグレッサ本数が増えるほど、乖離幅は大きくなる。要するに、コーナー解析におけるワースト条件の方がノイズ値が大きくなる。
そのようなクロストーク解析の結果は悲観性が大きくなり、アグレッサ本数が増加するほどその悲観性も増すことになる。したがって、アグレッサ本数に応じてクロストークの悲観性を削減することが必要になり、例えば、アグレッサ本数毎に悲観性削減を考慮した判定閾値をアグレッサ本数毎に規定した閾値テーブルなどを利用する。
また、複数のアグレッサが存在する場合、各々のアグレッサから受けるノイズの大きさの分布によっても悲観性を削減可能な量も異なるため、実効アグレッサ本数に応じたクロストーク悲観性削減の方法を提案している。実効アグレッサ本数は、各々のアグレッサ配線のノイズ値が全体ノイズ値に占める割合を算出し、各々の前記割合の二乗和の逆数に基づいて取得する。各々のアグレッサから受けるノイズの大きさの分布差が大きいほどクロストーク悲観性削減率が大きくなる。
特許文献1には、閾値テーブルを用いてアグレッサ本数に応じてクロストークの悲観性を削減し、さらに、アグレッサ本数の代わりに実効アグレッサ本数を用いて閾値テーブルを参照することによって悲観性を削減することが記載される。
特開2010−39969号公報
ところで、実効的なクロストークノイズ値を求めるときに用いる閾値テーブルを作成するためにはモンテカルロシミュレーションを行う必要がある。モンテカルロシミュレーションでは与えられた変数をランダムに選んで回路モデルをシミュレーションする演算を繰り返し行って、その変数の範囲でランダム事象の発生を確率分布によって定義するためのシミュレーション手法である。したがって、このモンテカルロシミュレーションでは不確定事象の発生を本来の分布形状である正規分布に収束させるためにシミュレーション演算を多数回に亘って繰り返さなければならない。しかしながら、有限のコンピュータ処理時間の中で多くのパラメータを用いてシミュレーションを多数回繰り返すことは困難である。例えば、閾値テーブルを求めるためにモンテカルロシミュレーションを用いる場合、モンテカルロシミュレーションでは配線幅、配線高さ等の複数のパラメータを各々のばらつきの分布形状(正規分布、ランダム分布等)に応じて与えてシミュレーションを実施する。閾値テーブルを求めるためのモンテカルロシミュレーションではパラメータの例として、プロセスばらつき、ビクティム配線の配線バリエーション、及びアグレッサ配線毎の配線バリエーション、のそれぞれに関する多数のパラメータを考慮しなければならない。特に、ビクティム配線に対するアグレッサ配線毎の配線バリエーションに関するパラメータについてはアグレッサ本数が増えるごとに増大する。例えば、アグレッサ配線毎の配線バリエーションに関する8種類のパラメータとして、「アグレッサ配線の配線長」、「アグレッサ配線・ビクティム配線の並走配線長」、「アグレッサ配線の始点側オフセット配線長」、「アグレッサ配線の終点側オフセット配線長」、「ビクティム・アグレッサ間タイミング」、「アグレッサの接続位置」、「アグレッサドライバ強度」、「アグレッサ負荷」を考慮する場合、アグレッサ本数が1本増えるごとに8つのパラメータが追加されることになる。したがって、アグレッサ配線毎の配線バリエーションの関するパラメータのほかに例えば、プロセスばらつきに関するパラメータとして5種類、ビクティム配線の配線バリエーションに関するパラメータとして3種類のパラメータを用いる場合、アグレッサ本数が1本のときは全部でパラメータの数は16個であるが、アグレッサ本数が2本になると24個、アグレッサ本数が3本になると32個、というように増大する。実際の半導体集積回路ではアグレッサ本数が15本程度になる場合も存在し、それに対応するには、5+3+8×15=128個のパラメータを考慮してモンテカルロシミュレーションを行わなければならない。
このように、モンテカルロシミュレーションではパラメータが増えるにつれて収束性が悪くなるため、多数本のアグレッサ本数に対する閾値テーブルを生成するためのモンテカルロシミュレーションは非常に時間を要し、半導体集積回路の開発に許容される時間との関係で、場合によっては必要なモンテカルロシミュレーションを実行することができないこともある。
本発明の目的は、半導体集積回路のクロストーク解析に用いる閾値テーブルを作成するためのモンテカルロシミュレーションの実行時間を短縮することにある。
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、アグレッサ配線のバリエーションは実効アグレッサ本数で表現可能であることを利用して、モンテカルロシミュレーション実行時には、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いる。
演算パラメータの数が減ることにより、モンテカルロシミュレーションの収束性が向上し、モンテカルロ実行時間の削減が可能となり、アグレッサ本数に依存する閾値テーブルの作成が容易になる。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、半導体集積回路のクロストーク解析における悲観性削減用の閾値テーブルを作成するためのモンテカルロシミュレーションの実行時間を短縮することができる。
図1はクロストーク解析に用いるコンピュータの概略的な構成を例示するブロック図である。 図2は図1のコンピュータを用いたクロストーク解析処理の処理手順を概略的に例示するフローチャートである。 図3は閾値テーブルにおけるクロストークエラーにするノイズ値とアグレッサ本数との関係を例示する説明図である。 図4はビクティム配線に対するアグレッサ配線の本数が1本の場合の配線パターンを例示する説明図である。 図5はビクティム配線に対するアグレッサ配線の本数が3本の場合の配線パターンを例示する説明図である。 図6はクロストークノイズのノイズ値とその発生確率についての確率分布における静的解析によるノイズ値の悲観性削減に関する説明図である。 図7はプロセスばらつきに関するパラメータの意義を例示する説明図である。 図8はビクティム配線とアグレッサ配線の配線バリエーションに関するパラメータとアグレッサ配線毎の配線バリエーションに関するパラメータとの意義を例示する説明図である。 図9は閾値テーブルの生成処理手順を例示するフローチャートである。 図10はモンテカルロシミュレーションに際してアグレッサ配線の配線バリエーションを簡素化した例を示す説明図である。
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
〔1〕<モンテカルロシミュレーションにおける複数ビクティム配線の演算パラメータを削減>
本発明の代表的な実施の形態に係る閾値テーブルの作成方法は、半導体集積回路におけるクロストーク解析の対象となるビクティム配線が受けるものとして静的解析により演算されたクロストークノイズに対する適否の判定閾値を、そのビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数毎に規定するための閾値テーブル(TBL)を作成する方法である。この方法は、コンピュータ(1)によるモンテカルロシミュレーションにより前記アグレッサ配線の本数毎の判定閾値を算出する処理(S113)を含む。前記モンテカルロシミュレーションには、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線(AGRS_4)に共通化された演算パラメータを用いる(S112)。
これにより、演算パラメータの数が減るから、モンテカルロシミュレーションの収束性が向上し、モンテカルロ実行時間の削減が可能となる。したがって、アグレッサ本数に依存する閾値テーブルの作成が容易になる。複数本のアグレッサ配線の形状を等しくするという簡略化を行うことによって生ずる誤差に対しては、閾値テーブルを参照するときのアグレッサ本数として、実際に算出された各々の前記アグレッサ配線のノイズ値が全体ノイズ値に占める割合の二乗和の逆数に基づいて計算した実効アグレッサ本数を用いることによって、その影響を緩和することが可能である。
〔2〕<プロセス条件パラメータ、ビクティム配線パラメータ、及びアグレッサ配線パラメータ>
項1において、前記アグレッサ配線の演算パラメータは、プロセス条件に応ずるプロセス条件パラメータ、ビクティム配線に応ずるビクティム配線パラメータ、及び1本のアグレッサ配線に応ずるアグレッサ配線パラメータである。
これにより、プロセス条件パラメータ、ビクティム配線パラメータ、及びアグレッサ配線パラメータのそれぞれを考慮したモンテカルロシミュレーションによって閾値テーブルを作成することができる。
〔3〕<プロセス条件パラメータ>
項2において、前記プロセス条件パラメータは、配線幅、配線高さ、上方向絶縁膜厚、下方向絶縁膜厚、及び絶縁膜の比誘電率である。
これにより、現実に即した過不足の無いプロセス条件パラメータを用いてモンテカルロシミュレーションを行う事ができる。
〔4〕<ビクティム配線パラメータ>
項2又は3において、前記ビクティム配線パラメータは、ビクティム配線長、及びビクティムのドライバ強度、ビクティムの接続負荷である。
これにより、現実に即した過不足の無いビクティム配線パラメータを用いてモンテカルロシミュレーションを行う事ができる。
〔5〕<アグレッサ配線パラメータ>
項2乃至4の何れかにおいて、前記アグレッサ配線パラメータは、アグレッサ配線長、アグレッサ・ビクティム並走配線長、前方オフセット長、後方オフセット長、アグレッサ・ビクティム間タイミング、アグレッサ接続位置、アグレッサのドライバ強度、及びアグレッサの接続負荷である。
これにより、現実に即した過不足の無いアグレッサ配線パラメータを用いてモンテカルロシミュレーションを行う事ができる。
〔6〕<クロストークノイズに対する適否判定の悲観性削減方法>
本発明の別の実施の形態に係るクロストーク解析の悲観性削減方法は半導体集積回路のクロストークノイズに対する適否判定の悲観性を削減する方法である。この方法は、半導体集積回路におけるクロストーク解析の対象となるビクティム配線が受けるものとして静的解析により演算されたクロストークノイズに対する悲観性の判定閾値を、そのビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数毎に規定する、閾値テーブル(TBL)を用意する処理(S107)を含む。さらに、前記アグレッサ配線の本数と各々の前記アグレッサ配線が前記ビクティム配線に与えるノイズの大きさとに基づいて前記アグレッサ本数を補正して実効アグレッサ本数を演算する処理(S105)と、演算された実効アグレッサ本数に対応する判定閾値を閾値テーブルを用いて取得する処理(S108)と、を含む。前記閾値テーブルを用意する処理は、コンピュータによるモンテカルロシミュレーションにより前記アグレッサ配線の本数毎の判定閾値を算出する処理(S113)を含む。前記モンテカルロシミュレーションには、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いる(S112)。
これにより、モンテカルロシミュレーションにおける演算パラメータの数が減るから、当該シミュレーションの収束性が向上し、モンテカルロ実行時間の削減が可能となり、アグレッサ本数に依存する閾値テーブルの作成が容易になる。したがって、コンピュータ処理時間の制約からクロストーク解析における悲観性削減を行う事ができないという事態の発生を未然に防止することができる。
〔7〕<実効アグレッサ本数の算出>
項6において、前記実効アグレッサ本数を算出する処理は、算出した各々の前記アグレッサ配線のノイズ値が全体ノイズ値に占める割合を算出し、各々の前記割合の二乗和の逆数に基づいて前記実効アグレッサ本数を計算する処理である。
この実効アグレッサ本数の計算処理を採用することにより、複数本のアグレッサ配線の形状を等しくするという簡略化を行うことによって生ずる誤差に対してその影響を緩和することができる。
〔8〕<プロセス条件パラメータ、ビクティム配線パラメータ、及びアグレッサ配線パラメータ>
項6又は7において、前記アグレッサ配線の演算パラメータは、プロセス条件に応ずるプロセス条件パラメータ、ビクティム配線に応ずるビクティム配線パラメータ、及び1本のアグレッサ配線に応ずるアグレッサ配線パラメータである。
これにより、プロセス条件パラメータ、ビクティム配線パラメータ、及びアグレッサ配線パラメータのそれぞれを考慮したモンテカルロシミュレーションによって閾値テーブルを作成することができる。
〔9〕<クロストーク解析方法>
本発明の更に別の実施の形態に係るクロストーク解析方法は、以下の複数の処理をそれぞれコンピュータ(1)を用いて行うクロストーク解析方法を前提とする。前提となる複数の処理は、半導体集積回路のレイアウトデータから、クロストーク解析の対象となるノイズを受ける側の配線であるビクティム配線を選択する処理(S103)と、前記レイアウトデータから、選択した前記ビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数を算出する処理(S104)とを含む。さらに、静的解析により演算されたクロストークノイズに対する悲観性の判定閾値をアグレッサ配線の本数毎に規定する閾値テーブル(TBL)を準備する処理(S107)と、前記レイアウトデータを用いた静的解析により、前記ビクティム配線が受けるクロストークノイズを算出する処理(S106)とを含む。さらに、算出された前記アグレッサ配線の本数と各々の前記アグレッサ配線が前記ビクティム配線に与えるノイズの大きさとに基づいて前記アグレッサ本数を補正して実効アグレッサ本数を演算する処理(S105)と、演算された実効アグレッサ本数に対応する判定閾値を閾値テーブルを用いて取得する処理(S108)とを含む。さらに、選択した前記判定閾値と算出した前記クロストークノイズの値とを比較し、前記判定閾値よりも前記クロストークノイズの値が大きい場合にはエラーと判定し、前記クロストークノイズの値が前記判定閾値よりも小さい場合にはノーエラーとするクロストークエラー判定を行う処理(S109)とを含む。このクロストーク解析方法において、前記閾値テーブルを準備する処理は、コンピュータによるモンテカルロシミュレーションにより前記アグレッサ配線の本数毎の判定閾値を算出する処理(S113)を含む。前記モンテカルロシミュレーションには、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いる(S112)。
これにより、モンテカルロシミュレーションにおいて演算パラメータの数が減るから、当該シミュレーションの収束性が向上し、モンテカルロ実行時間の削減が可能となり、アグレッサ本数に依存する閾値テーブルの作成が容易になる。したがって、半導体集積回路の開発処理時間の制約からクロストーク解析を満足に行う事ができないという事態の発生を未然に防止することができる。
〔10〕<実効アグレッサ本数の算出>
項9において、前記実効アグレッサ本数を算出する処理は、算出した各々の前記アグレッサ配線のノイズ値が全体ノイズ値に占める割合を算出し、各々の前記割合の二乗和の逆数に基づいて前記実効アグレッサ本数を計算する処理である。
この実効アグレッサ本数の計算処理を採用することにより、複数本のアグレッサ配線の形状を等しくするという簡略化を行うことによって生ずる誤差に対してその影響を緩和することができる。
〔11〕<プロセス条件パラメータ、ビクティム配線パラメータ、アグレッサ配線パラメータ>
項9又は10において、前記アグレッサ配線の演算パラメータは、プロセス条件に応ずるプロセス条件パラメータ、ビクティム配線に応ずるビクティム配線パラメータ、及び1本のアグレッサ配線に応ずるアグレッサ配線パラメータである。
これにより、プロセス条件パラメータ、ビクティム配線パラメータ、及びアグレッサ配線パラメータのそれぞれを考慮したモンテカルロシミュレーションによって閾値テーブルを作成することができる。
〔12〕<クロストーク解析プログラム>
本発明の更に別の実施の形態に係るクロストーク解析プログラム(PGM)は、以下の複数の処理のそれぞれを制御する、コンピュータ(1)によって実行可能なプログラムである。複数の処理は、半導体集積回路のレイアウトデータから、クロストーク解析の対象となるノイズを受ける側の配線であるビクティム配線を選択する処理(S103)と、前記レイアウトデータから、選択した前記ビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数を算出する処理(S104)とを含む。さらに、静的解析により演算されたクロストークノイズに対する悲観性の判定閾値をアグレッサ配線の本数毎に規定する閾値テーブル(TBL)を準備する処理(S197)と、前記レイアウトデータを用いた静的解析により、前記ビクティム配線が受けるクロストークノイズを算出する処理(S106)とを含む。さらに、前記アグレッサ配線の本数と各々の前記アグレッサ配線が前記ビクティム配線に与えるノイズの大きさとに基づいて前記アグレッサ本数を補正して実効アグレッサ本数を演算する処理(S105)と、演算された実効アグレッサ本数に対応する判定閾値を閾値テーブルを用いて取得する処理(S108)とを含む。さらに、選択した前記判定閾値と算出した前記クロストークノイズの値とを比較し、前記判定閾値よりも前記クロストークノイズの値が大きい場合にはエラーと判定し、前記クロストークノイズの値が前記判定閾値よりも小さい場合にはノーエラーとするクロストークエラー判定を行う処理(S109)を含む。このプログラムにおいて、前記閾値テーブルを準備する処理は、コンピュータによるモンテカルロシミュレーションにより前記アグレッサ配線の本数毎の判定閾値を算出する処理(S113)を含む。前記モンテカルロシミュレーションには、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いる(S112)。
このクロストーク解析プログラムを用いることにより、モンテカルロシミュレーションにおける演算パラメータの数を減らして、当該シミュレーションの収束性を向上させ、モンテカルロ実行時間を削減させる処理を容易に実現することが可能になる。ひいては、アグレッサ本数に依存する閾値テーブルの作成容易化を図ることができ、半導体集積回路の開発処理時間の制約からクロストーク解析を満足に行う事ができないという事態の発生を容易に防止することができる。
〔13〕<実効アグレッサ本数の算出>
項12において、前記実効アグレッサ本数を算出する処理は、算出した各々の前記アグレッサ配線のノイズ値が全体ノイズ値に占める割合を算出し、各々の前記割合の二乗和の逆数に基づいて前記実効アグレッサ本数を計算する処理である。
この補正係数の計算処理が適用されたクロストーク解析プログラムを用いることにより、複数本のアグレッサ配線の形状を等しくするという簡略化を行うことによって生ずる誤差に対してその影響を容易に緩和することができる。
〔14〕<プロセス条件パラメータ、ビクティム配線パラメータ、アグレッサ配線パラメータ>
項12又は13において、前記アグレッサ配線の演算パラメータは、プロセス条件に応ずるプロセス条件パラメータ、ビクティム配線に応ずるビクティム配線パラメータ、及び1本のアグレッサ配線に応ずるアグレッサ配線パラメータである。
このクロストーク解析プログラムを用いることにより、プロセス条件パラメータ、ビクティム配線パラメータ、及びアグレッサ配線パラメータのそれぞれを考慮したモンテカルロシミュレーションによって容易に閾値テーブルを作成することができる。
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
《コンピュータ》
図1にはクロストーク解析に用いるコンピュータの概略的な構成が例示される。同図に示されるコンピュータ1は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどに代表されるデータ処理システムを構成し、特に、発生確率を考慮したクロストーク解析に用いる。
同図に示されるコンピュータ1は、プログラム処理部2、入力部3、出力部4、補助記憶部5及び通信インタフェース部6を備えて構成される。
入力部3は、データや指示を入力するためのキーボード又はポインティングデバイスなどによって構成され、これによって入力したデータ及び指示はプログラム処理部2に供給される。
出力部4は、ディスプレイ及びプリンタなどの機器によって構成され、入力部2から入力したデータやプログラム処理部2が演算した結果などを表示したり、ハードコピーしたりする。補助記憶装置5はハードディスク装置などの大容量記憶装置によって構成され、クロストーク解析対象とされる半導体集積回路のレイアウトやセル配置などに関するレイアウト情報、レイアウトルール、クロストーク解析プログラムPGM、及び閾値テーブルTBLなどの各種データテーブルなどの保持に適用される。
通信インタフェース部6はプログラム処理部2で処理するデータ及びプログラムを必要に応じてネットワークからダウンロードし、また、プログラム処理部2による処理結果を必要に応じてネットワークにアップロードするための通信制御を行う。
プログラム処理部2は、特に制限されないが、演算制御を行う中央処理装置(CPU)、CPUの処理負担を軽減するための各種アクセラレータ、及びキャッシュメモリなどを備えたプロセッサコアを中心に、CPUのワーク領域などに用いられるRAM、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ、並びに各種入出力インタフェース回路などを備えて構成される。RAMには、補助記憶部5が保有するクロストーク解析プログラムが転送され、プログラム処理部2はクロストーク解析プログラムの実行順序にしたがってRAMから当該プログラム中の命令コードをフェッチして実行する。また、RAMにはクロストーク解析に必要なデータテーブルが作成される。作成されたデータテーブルやクロストーク解析の結果は必要に応じて補助記憶部5で保持される。
プログラム処理部2によるクロストーク解析は、半導体集積回路における配線層間及び同一配線層内での配線パターンのクロストークの大きさとクロストークの発生確率に基づいて、対策すべきクロストークエラーを検証するための処理である。
《クロストーク解析処理》
図2にはコンピュータ1を用いたクロストーク解析処理の処理手順が概略的に例示される。
プログラム処理部2は、補助記憶部5からレイアウトデータを読み込み(S101)、各配線の対接地容量と配線間カップリング容量とを配線形状、およびプロセス情報から計算する(S102)。
プログラム処理部2は、レイアウトデータから半導体集積回路装置に含まれる各ネットの情報を抽出し、該ネットからクロストーク解析対象となるノイズを受ける側のネットであるビクティム配線を選択して抽出する(S103)。
抽出した各ビクティム配線に対してノイズを与える側のネットであるアグレッサの本数をレイアウトデータの配線形状から求める(S104)。ここではプログラム処理部2は、求めたアグレッサ本数から実効アグレッサ本数を計算する(S105)。実効アグレッサ本数の詳細については後述する。
その後、ステップS102の処理で算出した接地容量、カップリング容量、およびレイアウトデータに含まれる回路情報などに基づき、静的解析(例えばコーナー解析)によって、クロストークノイズ値を計算する(S106)。尚。クロストークノイズ値の演算はステップS3の次に先に行ってもよい。
次に、プログラム処理部2は、上記静的解析によって得られたノイズ値に対してその悲観性を削減するためのアグレッサ本数別の閾値テーブルTBLを用意してそのテーブルデータを読み込む(S107)。閾値テーブルTBLの詳細については後述する。プログラム処理部2は、読み込んだ閾値テーブルTBLから、実効アグレッサ本数に応じた閾値を選択し(S108)、選択した閾値とステップS106で演算したクロストーク値とを比較し、クロストーク値の方が小さければ異常なし(ノーエラー)、クロストーク値の方が大きければ異常(エラー)と判定する(S109)。
アグレッサ本数別の閾値テーブルTBLから選択した閾値を用いてクロストークノイズに対するエラー判定を行うから、静的解析ツールが摘出した過大なエラー数に対してその悲観性を大幅に削減することが可能になる。
《閾値テーブルTBL》
前記アグレッサ本数別の閾値テーブルTBLは、図3に概略が示されるようにアグレッサ本数とクロストークエラーであると判定するノイズ値(例えば電圧値)の閾値との関係を表したテーブルであり、コンピュータ1を用いたモンテカルロシミュレーションによって生成され、例えば補助記憶部5などに保持されており、必要に応じてRAMに読み込まれる。
図3に例示されるように、閾値テーブルTBLは、アグレッサ本数が1本の場合にエラーしきい値がαmV、アグレッサ本数が2本の場合にエラーしきい値がβmVであり、アグレッサ本数が3本の場合にエラーしきい値がγmVなどであることを示している(α>β>γとする)。アグレッサ本数が多くなるに従ってエラーしきい値が高く設定される。
ここで、閾値テーブルTBLにおける閾値の意義を説明する。
図2のステップS106で計算するクロストーク値は静的解析ツールにより静的解析によって求めたノイズ値である。したがって、その静的解析によって演算されたノイズ値が、実動作で発生する確率はアグレッサ配線の本数に応じて変化される。すなわち、静的解析によって演算されたノイズ値が出現する確率はアグレッサ本数に応じて異なることになる。例えば静的解析で得られた最大ノイズ値が相互に等しい図4の配線パターンと図5の配線パターンでは、最大ノイズ値の発生確率が相違する。即ち、図4の場合はAGRSで示されるようにビクティム配線VCTMに対するアグレッサ配線の本数(アグレッサ本数)は1本なので他のアグレッサ配線との相対的なノイズ発生タイミングを考慮しなくてもよい。一方、図5の場合はAGRS_1〜AGRS_3で示されるように、ビクティム配線VCTMに対するアグレッサ本数が3本なので相互に他のアグレッサ配線との相対的なノイズ発生タイミングを考慮しなければならず、必ずしも3本のアグレッサ配線が同時にノイズを発生させる場合だけでなく、当然タイミング的なずれを持つ場合が想定される。
一般的に、アグレッサが複数存在する場合、実際のノイズ波形が最大のノイズ波形になる確率は、t/(n-1) となり、アグレッサの本数が増えれば増えるほど最大ノイズ波形になる確率が低くなる。ここで、tは動作可能なタイミング範囲の中から他アグレッサの動作範囲と重なる確率、nはアグレッサ本数である。
クロストークノイズのノイズ値とその発生確率についての確率分布に着目したとき、統計的な見地に基づけば、図6に例示されるように、平均ノイズ値Vmnに対して3σの範囲でノイズ値を管理することが必要になるが、管理範囲の上限ノイズ値Vefと静的解析によって取得されたノイズ値Vsaとの差はアグレッサ本数が多くなるほど大きくなる。要するに、静的解析によって取得された最大ノイズ値Vsaの悲観性は上記管理範囲の上限値のノイズ値(実効的ノイズ値)Vefまで削減される必要がある。これが、静的解析によって取得された最大ノイズ値の悲観性に対する削減の一つの観点である。この実効的ノイズ値をクロストークノイズについてエラーと判定すべき閾値として採用する場合、その判定閾値はモンテカルロシミュレーションによって求めることができる。
《モンテカルロシミュレーション》
モンテカルロシミュレーションを用いて閾値テーブルTBLを作成する場合には、モンテカルロシミュレーションでは与えられた変数をランダムに選んで回路モデルをシミュレーションする演算を繰り返し行って、その変数の範囲でランダム事象の発生を確率分布によって定義するためのシミュレーション手法である。したがって、このモンテカルロシミュレーションでは不確定事象の発生を本来の分布形状である正規分布に収束させるためにシミュレーション演算を多数回に亘って繰り返さなければならない。例えば、そのようなモンテカルロシミュレーションにおいて、プロセスばらつき、ビクティム配線の配線バリエーション、及びアグレッサ配線毎の配線バリエーション、のそれぞれに関する多数のパラメータを考慮する場合には、アグレッサ本数が増えるごとに、ビクティム配線に対するアグレッサ配線毎の配線バリエーションに関するパラメータが増大する。
図7にはプロセスばらつきに関するパラメータとして、「配線高さ」、「配線幅」、「上方層間膜厚」、「下方層間膜厚」、及び「層間膜の比誘磁率」の夫々の意義が例示される。「配線間隔」は採用されプロセスの基本的な条件によって一義的に決まる配線ピッチと配線幅から決定される。図8にはビクティム配線の配線バリエーションに関するパラメータとして、「ビクティムの配線長」、「ビクティムドライバ強度」、及び「ビクティム負荷」の夫々の意義が例示される。さらに図8にはアグレッサ配線毎の配線バリエーションに関するパラメータとして、「アグレッサ配線の配線長」、「アグレッサ配線・ビクティム配線の並走配線長」、「アグレッサ配線の始点側オフセット配線長」、「アグレッサ配線の終点側オフセット配線長」、「ビクティム・アグレッサ間タイミング」、「アグレッサの接続位置」、「アグレッサドライバ強度」、「アグレッサ負荷」の夫々の意義が例示される。これに従えば、アグレッサ本数が1本増えるごとに8つのパラメータが追加されることになる。例えば実際の半導体集積回路においてアグレッサ本数は15本程度が普通である。
このように、モンテカルロシミュレーションではパラメータが増えるにつれて収束性が悪くなるため、多数本のアグレッサ本数に対応して、閾値テーブルTBLを生成するためのモンテカルロシミュレーションを行うには、多大なコンピュータ処理時間を要する。したがって、半導体集積回路の開発に許容される有限な時間との関係で、必要なモンテカルロシミュレーションの実行を保証することが必要になる。
そこで、アグレッサのバリエーションは実効アグレッサ本数で表現可能であることに着眼し、モンテカルロシミュレーション実行時には、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いるものとした。
図9には閾値テーブルTBLの生成処理手順が例示される。モンテカルロシミュレーションの前に、コンピュータ1を用いて上述のプロセス条件の5種類のパラメータを作成し(S110)、さらにビクティム配線の配線パターンの上記3種類のパラメータを作成する(S111)。アグレッサ配線の配線パターンについてはアグレッサ配線が複数本ある場合には夫々の形状や本数に拘わらず、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを作成する。例えば、実配線パターンに従ったときアグレッサ配線とビクティム配線が図5に例示される関係にあるとき、これを図10の関係とみなし、ビクティムVCTMに対して同じアグレッサAGRS_4が3本配置されている場合を想定する。例えば、3本のアグレッサAGRS_1、AGRS_2、AGRS_3がビクティムに与える静的ノイズ量が等しくなるように3個の同じアグレッサAGRS_4を想定すればよい。図10の場合にはアグレッサAGRS_4の8種類のパラメータを生成する。図5のパターンの関係をそのまま採用する場合には、ステップS112Sに例示されるようにアグレッサ毎に8個のパラメータを生成しなければならない。
したがって、モンテカルロシミュレーションでは、アグレッサ本数が何本あっても5+3+8=16種類のパラメータを用いて、クロストークンノイズの発生を確率分布によって定義するためのシミュレーションを行えばよい(S113)。これに対してステップS112Sで生成したアグレッサ毎のパラメータを用いる場合には、アグレッサの本数をn本とすると、”5+3+8×n”種類のパラメータを用いなければならず、アグレッサ本数が増大するにしたがってシミュレーションのためのコンピュータ処理時間が増大する(S113S)。
コンピュータ1は、ステップS112の処理で簡素化したアグレッサのパラメータを用いたモンテカルロシミュレーションによる確率分布から、アグレッサ本数毎のエラー閾値が求められ、それによって、前記アグレッサ本数に依存する閾値テーブルを作成する(S114)。
《実効アグレッサ本数の考慮》
アグレッサ本数が同じで、且つ、最大ノイズ値が同じあっても、ノイズ発生確率が異なる場合がある。例えば図5においてアグレッサAGRS_1,AGRS_2,AGRS_3のノイズ値を、それぞれ95mV、15mV、10mVとした場合、ビクティム配線VCTMが受ける合計ノイズ値は、120mVとなる。また、図10に例示されるように1本のビクティム配線VCTMに対して、それぞれ同じ3本のアグレッサ配線AGRS_4,AGRS_4,AGRS_4がビクティムVCTMと平行に且つ等間隔で配置されている場合、アグレッサAGRS_4,AGRS_4,AGRS_4のノイズ値をそれぞれ等しく40mV、40mV、40mVとすると、ビクティムVCTMが受ける合計ノイズ値は、同じく120mVとなる。
ここで、エラーしきい値を、たとえば、90mVと仮定すると、図5の場合には複数のアグレッサAGRESA_1〜AGRS_3のノイズ発生タイミングが直列的であってもその最大値はエラー閾値90mVを超える95mVになるが、図10の場合には40mVで済む。2本のアグレッサ配線で並列的にクロストークノイズが発生する場合、図4では一切エラー閾値を超えないが、図5ではアグレッサAGRS_1でクロストークが発生する場合には全てでエラー閾値を超えることになる。図4の場合には4本のアグレッサで並列にクロストークが発生した場合に限ってエラー閾値を超える。
このように、静的な最大ノイズ値とアグレッサ本数が同じであっても、相対的なノイズ発生タイミングの相違を考慮すると、複数のアグレッサのそれぞれが発生するクロストークノイズの大きさの相違、即ち、ビクティムに対するアグレッサの配置及び形状の相違によっても、静的解析によるノイズに対してその悲観性を削減することが必要になる。これが悲観性削減の第2の観点である。この第2の観点による悲観性削減方法として、実際のアグレッサ本数に対して実効アグレッサ本数(Neff)を考える。
簡易的な方法として、例えば、二乗平均和の逆数を求める。すなわち、
Neff=n・α・(1/√((a/t)+(b/t)+(c/t)…)))
となる。ここで、nはアグレッサ本数、αは補正係数、a,b,cは各々のアグレッサのノイズ値、tは合計ノイズ量、である。補正係数は例えば1/√(n)である。
上記式より実効アグレッサ本数は、夫々のアグレッサ配線のノイズ量の偏り(即ち形状の偏り)が大きいほど少なくなる。即ち、夫々のアグレッサ配線のノイズ量の偏り(即ち形状の偏り)が大きいほど、悲観性削減率は小さくなる。
この実効アグレッサ本数については、静的解析によるノイズ値に対して、その悲観性を削減するために閾値テーブルTBLを参照するためのアグレッサ本数として実効アグレッサ本数を使用することは特許文献1でも採用されていることである。本実施の形態においては、モンテカルロシミュレーションにおけるパラメータの簡素化(アグレッサ配線のバリエーションの簡素化)によってそもそも悲観性を削減する方向でシミュレーション結果を得て閾値テーブルTBLを作成し、その上で、さらに、アグレッサ配線のバリエーションを実効アグレッサ本数で表現して、この実効アグレッサ本数を用いて閾値テーブルTBLを参照する。したがって、前述の如く閾値テーブルTBLを作成するためのモンテカルロシミュレーションでは、複数のアグレッサ配線の形状を等しいと仮定することによって、アグレッサ配線の演算パラメータを削減したが、それによる誤差は、閾値テーブルTBLを参照するときに用いるアグレッサ本数を、上記実効アグレッサ本数とすることによって緩和することが可能になる。実効アグレッサ本数が小数点数になったときは、図3に例示されるように閾値テーブルTBLは整数値のアグレッサ本数に対応してエラー閾値を定義しているので、補完演算を行って実効アグレッサ本数に対応するエラー閾値を用いればよい。
上述の説明では実効アグレッサ本数を演算したが、別の演算手法を採用することも可能である。即ち、上式の実効アグレッサ本数に代えて、下記式の係数Ceff、
Ceff=α・(1/√((a/t)+(b/t)+(c/t)…)))
を演算し、アグレッサ本数を用いて閾値テーブルから参照したエラー閾値に係数Ceffを乗算して得られた値を実効的なエラー閾値として用いるようにしてもよい。
或いは、静的解析によって演算されたクロストーク値に係数Ceffを乗算して得られた値をクロストーク値とし、これを、アグレッサ本数を用いて閾値テーブルから参照したエラー閾値と比較してエラー判定を行うようにしてもよい。
《クロストーク解析プログラムPGM》
クロストーク解析プログラムOPGMは図2及び図9などに基づいて説明した処理を制御するために、コンピュータ1で実行可能な所定のプログラム言語によって記述される。クロストーク解析プログラムOPGMは通信インタフェース部6を介してダウンロードされ、或いは入力3のディスクドライブから読み込まれて、補助記憶部5に格納されることになる。クロストーク解析に必要な上述の各種処理を制御するためのクロストーク解析プログラムPGMを用いることによって、上記作用効果を容易に得ることができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、モンテカルロシミュレーションに用いる配線バリエーションとしてのパラメータの種類は実施の形態の説明に限定されず、適宜変更可能である。
また、ステップS107では、悲観性を削減するためのアグレッサ本数別の閾値テーブルTBLを用意してそのテーブルデータを読み込む処理を行ったが、予め閾値テーブルTBLを用意する処理を実行して、補助記憶部に事前に格納しておいても良い。
1 コンピュータ
2 プログラム処理部
3 入力部
4 出力部
5 補助記憶部
6 通信インタフェース部
AGRS、AGHRS_1〜AGRS_4 アグレッサ配線
VCTM ビクティム配線
PGM クロストーク解析プログラム
TBL 閾値テーブル

Claims (14)

  1. 半導体集積回路におけるクロストーク解析の対象となるビクティム配線が受けるものとして静的解析により演算されたクロストークノイズに対する適否の判定閾値を、そのビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数毎に規定するための閾値テーブルを作成する方法であって、
    コンピュータによるモンテカルロシミュレーションにより前記アグレッサ配線の本数毎の判定閾値を算出する処理を含み、
    前記モンテカルロシミュレーションには、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いる、クロストーク解析のための閾値テーブルの作成方法。
  2. 請求項1において、前記アグレッサ配線の演算パラメータは、プロセス条件に応ずるプロセス条件パラメータ、ビクティム配線に応ずるビクティム配線パラメータ、及び1本のアグレッサ配線に応ずるアグレッサ配線パラメータである、クロストーク解析のための閾値テーブルの作成方法。
  3. 請求項2において、前記プロセス条件パラメータは、配線幅、配線高さ、上方向絶縁膜厚、下方向絶縁膜厚、及び絶縁膜の比誘電率である、クロストーク解析のための閾値テーブルの作成方法。
  4. 請求項2において、前記ビクティム配線パラメータは、ビクティム配線長、及びビクティムのドライバ強度、ビクティムの接続負荷である、クロストーク解析のための閾値テーブルの作成方法。
  5. 請求項2において、前記アグレッサ配線パラメータは、アグレッサ配線長、アグレッサ・ビクティム並走配線長、前方オフセット長、後方オフセット長、アグレッサ・ビクティム間タイミング、アグレッサ接続位置、アグレッサのドライバ強度、及びアグレッサの接続負荷である、クロストーク解析のための閾値テーブルの作成方法。
  6. プログラム処理部でプログラムを実行するコンピュータが半導体集積回路のクロストークノイズに対する適否判定の悲観性を削減するために夫々行う処理として、
    半導体集積回路におけるクロストーク解析の対象となるビクティム配線が受けるものとして静的解析により演算されたクロストークノイズに対する悲観性の判定閾値を、そのビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数毎に規定する、閾値テーブルを用意する処理と、
    前記アグレッサ配線の本数と各々の前記アグレッサ配線が前記ビクティム配線に与えるノイズの大きさとに基づいて前記アグレッサ本数を補正して実効アグレッサ本数を演算する処理と、
    演算された実効アグレッサ本数に対応する判定閾値を、前記閾値テーブルを用いて取得する処理と、を含むクロストーク解析の悲観性削減方法であって
    前記閾値テーブルを用意する処理は、コンピュータによるモンテカルロシミュレーションにより前記アグレッサ配線の本数毎の判定閾値を算出する処理を含み、
    前記モンテカルロシミュレーションには、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いる、クロストーク解析の悲観性削減方法。
  7. 請求項6において、前記実効アグレッサ本数を算出する処理は、算出した各々の前記アグレッサ配線のノイズ値が全体ノイズ値に占める割合を算出し、各々の前記割合の二乗和の逆数に基づいて前記実効アグレッサ本数を計算する処理である、クロストーク解析の悲観性削減方法。
  8. 請求項6において、前記アグレッサ配線の演算パラメータは、プロセス条件に応ずるプロセス条件パラメータ、ビクティム配線に応ずるビクティム配線パラメータ、及び1本のアグレッサ配線に応ずるアグレッサ配線パラメータである、クロストーク解析の悲観性削減方法。
  9. プログラム処理部でプログラムを実行するコンピュータがクロストーク解析のために夫々行う処理として、
    半導体集積回路のレイアウトデータから、クロストーク解析の対象となるノイズを受ける側の配線であるビクティム配線を選択する処理と、
    前記レイアウトデータから、選択した前記ビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数を算出する処理と、
    静的解析により演算されたクロストークノイズに対する悲観性の判定閾値をアグレッサ配線の本数毎に規定する閾値テーブルを準備する処理と、
    前記レイアウトデータを用いた静的解析により、前記ビクティム配線が受けるクロストークノイズを算出する処理と、
    算出された前記アグレッサ配線の本数と各々の前記アグレッサ配線が前記ビクティム配線に与えるノイズの大きさとに基づいて前記アグレッサ本数を補正して実効アグレッサ本数を演算する処理と、
    演算された実効アグレッサ本数に対応する判定閾値を、前記閾値テーブルを用いて取得する処理と、
    取得した前記判定閾値と算出した前記クロストークノイズの値とを比較し、前記判定閾値よりも前記クロストークノイズの値が大きい場合にはエラーと判定し、前記クロストークノイズの値が前記判定閾値よりも小さい場合にはノーエラーとするクロストークエラー判定を行う処理と、を含むクロストーク解析方法において、
    前記閾値テーブルを準備する処理は、コンピュータによるモンテカルロシミュレーションにより前記アグレッサ配線の本数毎の判定閾値を算出する処理を含み、
    前記モンテカルロシミュレーションには、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いる、クロストーク解析方法。
  10. 請求項9において、前記実効アグレッサ本数を算出する処理は、算出した各々の前記アグレッサ配線のノイズ値が全体ノイズ値に占める割合を算出し、各々の前記割合の二乗和の逆数に基づいて前記実効アグレッサ本数を計算する処理である、クロストーク解析方法。
  11. 請求項9において、前記アグレッサ配線の演算パラメータは、プロセス条件に応ずるプロセス条件パラメータ、ビクティム配線に応ずるビクティム配線パラメータ、及び1本のアグレッサ配線に応ずるアグレッサ配線パラメータである、クロストーク解析方法。
  12. 半導体集積回路のレイアウトデータから、クロストーク解析の対象となるノイズを受ける側の配線であるビクティム配線を選択する処理と、
    前記レイアウトデータから、選択した前記ビクティム配線に対してノイズを与える側の配線であるアグレッサ配線の本数を算出する処理と、
    静的解析により演算されたクロストークノイズに対する悲観性の判定閾値をアグレッサ配線の本数毎に規定する閾値テーブルを準備する処理と、
    前記レイアウトデータを用いた静的解析により、前記ビクティム配線が受けるクロストークノイズを算出する処理と、
    前記アグレッサ配線の本数と各々の前記アグレッサ配線が前記ビクティム配線に与えるノイズの大きさとに基づいて前記アグレッサ本数を補正して実効アグレッサ本数を演算する処理と、
    演算された実効アグレッサ本数に対応する判定閾値を、前記閾値テーブルを用いて取得する処理と、
    取得した前記判定閾値と算出した前記クロストークノイズの値とを比較し、前記判定閾値よりも前記クロストークノイズの値が大きい場合にはエラーと判定し、前記クロストークノイズの値が前記判定閾値よりも小さい場合にはノーエラーとするクロストークエラー判定を行う処理と、のそれぞれを制御する、コンピュータにより実行可能なクロストーク解析プログラムであって、
    前記閾値テーブルを準備する処理は、コンピュータによるモンテカルロシミュレーションにより前記アグレッサ配線の本数毎の判定閾値を算出する処理を含み、
    前記モンテカルロシミュレーションには、複数本のアグレッサ配線に固有の演算パラメータの代わりに、当該本数のアグレッサ配線の形状を等しくしたとき夫々のアグレッサ配線に共通化された演算パラメータを用いる、クロストーク解析プログラム。
  13. 請求項12において、前記実効アグレッサ本数を算出する処理は、算出した各々の前記アグレッサ配線のノイズ値が全体ノイズ値に占める割合を算出し、各々の前記割合の二乗和の逆数に基づいて前記実効アグレッサ本数を計算する処理である、クロストーク解析プログラム。
  14. 請求項12において、前記アグレッサ配線の演算パラメータは、プロセス条件に応ずるプロセス条件パラメータ、ビクティム配線に応ずるビクティム配線パラメータ、及び1本のアグレッサ配線に応ずるアグレッサ配線パラメータである、クロストーク解析プログラム。
JP2011269730A 2011-12-09 2011-12-09 閾値テーブルの作成方法、クロストーク解析の悲観性削減方法、クロストーク解析方法、及びクロストーク解析プログラム Expired - Fee Related JP5872273B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011269730A JP5872273B2 (ja) 2011-12-09 2011-12-09 閾値テーブルの作成方法、クロストーク解析の悲観性削減方法、クロストーク解析方法、及びクロストーク解析プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011269730A JP5872273B2 (ja) 2011-12-09 2011-12-09 閾値テーブルの作成方法、クロストーク解析の悲観性削減方法、クロストーク解析方法、及びクロストーク解析プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013120585A JP2013120585A (ja) 2013-06-17
JP5872273B2 true JP5872273B2 (ja) 2016-03-01

Family

ID=48773177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011269730A Expired - Fee Related JP5872273B2 (ja) 2011-12-09 2011-12-09 閾値テーブルの作成方法、クロストーク解析の悲観性削減方法、クロストーク解析方法、及びクロストーク解析プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5872273B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106021799B (zh) * 2016-06-06 2019-02-26 北京航空航天大学 机载电子产品仿真分析用例生成方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5272024B2 (ja) * 2003-09-18 2013-08-28 株式会社日立製作所 半導体装置の設計方法
JP5103321B2 (ja) * 2008-08-08 2012-12-19 ルネサスエレクトロニクス株式会社 クロストークノイズの判定方法およびプログラム
JP5370256B2 (ja) * 2010-05-06 2013-12-18 富士通株式会社 解析支援プログラム、解析支援装置および解析支援方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013120585A (ja) 2013-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Roy et al. High-performance routing at the nanometer scale
JP4455359B2 (ja) 半導体装置設計プログラム
CN106886623B (zh) 用于设计具有布局前rc信息的集成电路的***
Seo et al. Pin accessibility-driven cell layout redesign and placement optimization
CN106055724B (zh) 设计半导体器件、制造器件的***以及使用***的方法
JP4979142B2 (ja) Icレイアウトの電気特性の計算
US8707230B1 (en) Method and system for semiconductor simulation
US8239797B1 (en) Congestion aware block placement
US9129075B2 (en) Mesh generation system
JP2007052591A (ja) 半導体集積回路の電源電圧分布シミュレーション方法およびシミュレーションプログラム
US8595677B1 (en) Method and system for performing voltage-based fast electrical analysis and simulation of an electronic design
Shi et al. Dynamic planning of local congestion from varying-size vias for global routing layer assignment
US8850374B2 (en) Method of reducing parasitic mismatch
TWI743322B (zh) 用以評估積體電路中之導電結構的方法、系統和非暫態電腦可讀取媒體
JP5872273B2 (ja) 閾値テーブルの作成方法、クロストーク解析の悲観性削減方法、クロストーク解析方法、及びクロストーク解析プログラム
JP5071081B2 (ja) 半導体装置に対する同時動作信号ノイズ見積り方法における同時動作信号ノイズ基礎特性取得方法、及びプログラム
US8984468B1 (en) Method to adaptively calculate resistor mesh in IC designs
JP5103321B2 (ja) クロストークノイズの判定方法およびプログラム
US11972185B2 (en) Method and apparatus for estimating aging of integrated circuit
CN111414724B (zh) 电路仿真优化的方法
TWI730409B (zh) 用於基於艾爾摩延遲時間(edt)的電阻模型的電腦實施方法、積體電路設計工具、及電腦程式產品
JP2008226232A (ja) 1次元モデルを使用して電力分配ネットワークの電気的特性を決定するシステム及び方法
JP6316311B2 (ja) パターンベースの電源グランド(pg)ルーティングおよびビア生成
TWI608372B (zh) 電力狀態覆蓋度量標準及其估計方法
JP5531723B2 (ja) 半導体装置の設計方法及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150910

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5872273

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees