第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
このうち、図1は本発明の積層材を示す平面図、図2は本発明の積層材の第1の実施形態を示す断面図、図3は本発明の積層材の剥離片の取付例の第一の例を示す平面図、図4は本発明の積層材の剥離片の取付例の第ニの例を示す平面図、図5は本発明の積層材の剥離片の取付例の第三の例を示す平面図、図6は本発明の積層材の剥離片の取付例の第四の例を示す平面図、図7は本発明の積層材の剥離片の取付例の第五の例を示す平面図である。
図1に示すように、本発明の積層材10には易剥離層がパターンコートされた領域4Xと矩形状の剥離片70が形成され、剥離片70は点線からなる第1のハーフカット線70aと連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。ユーザーは剥離片70を剥離し、応募券やクーポン券等として使用することができる。なお、便宜上、積層材10の平面図を矩形状として説明するが、積層材の形状はこれに限定されるものではない。また、易剥離層がパターンコートされた領域4Xおよび矩形状の剥離片70の形成位置についても、これに限定されるものではない。
第1の実施の形態の積層材10Aは、図2(a)に示すように、外面側から、印刷層1、熱可塑性樹脂層2、紙層3が順次積層されたものである。ここで、外面側とは、製品販売時にユーザーが見るほうの面を指す。また、図2(b)に示すように、易剥離層がパターンコートされた領域4Xは、熱可塑性樹脂層2と紙層3との間に易剥離層4が積層されている。更に、第1のハーフカット線70aと第2のハーフカット線70bが印刷層1から熱可塑性樹脂層2まで形成されている。
印刷層1は、絵柄や商品情報の文字等を印刷するための層である。後述する隠された情報が印刷された印刷層が印刷されない場合は、印刷層1の剥離片70の領域内に、応募券やクーポン券等の内容が印刷される。
熱可塑性樹脂層2は、ヒートシールできる熱可塑性樹脂であればよく、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−メチルエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−マレイン酸共重合体等を用いることができる。その中でも、低温シール性、透明性、加工適性という観点から、ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂層2の厚さは、30μm〜60μmであることが好ましい。
紙層3は主強度材であり、紙層を構成する紙材としては、コートボール等の板紙、純白ロール紙、ミルクカートン原紙、コート紙、クラフト紙、加工紙等の公知の紙を用いることができる。紙材の坪量は、紙容器の形態に応じて適宜決定すればよいが、主に80g/m2〜600g/m2であり、100g/m2〜450g/m2のものを用いることが好ましい。また、厚みは、主に110μm〜860μmであり、140μm〜640μmのものを用いることが好ましい。
易剥離層4は、熱可塑性樹脂層2の紙層3に対する強固な接着を阻害する役割を果たす層である。易剥離層4は、紙層3との接着性が良好で、且つ、熱可塑性樹脂層2との接着性が、易剥離層4と紙層3との接着力よりも低くなるような樹脂材料から構成されていればよく、具体例としては、シリコーン樹脂、ウレタン系樹脂、硝化綿(セルロース)系樹脂、硝化綿とウレタン系樹脂とのブレンド樹脂、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とのブレンド樹脂、アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体を溶解させた、アクリル系の水溶性樹脂やエマルジョン等が挙げられる。これらの材料の中でも、コロナ処理を行うことなく塗布することができることから、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とのブレンド樹脂が好ましい。このような剥離剤としては、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とを主成分とし、酢酸エチルを溶剤として含むDIC株式会社製の「ポリコートP−91」などは、コロナ処理を行うことなく塗布することができるため、特に好適である。これらのコーティング液の塗工方法は、特に限定されず、従来公知の塗工方法が用いられるが、グラビアコート、ロールコート、エアナイフコート、ブレードコート、ショートドウェルコート、キャストコート等の塗工方法が用いられる。
熱可塑性樹脂層2と易剥離層4との間の接着強度は、0.5N以下/15mm幅であり、0.2N以下/15mmであることが更に好ましい。接着強度が0.5N/15mm幅を超えると、剥離片70を剥離し難くなる。なお、接着強度の測定は、まず積層体を15mm幅にて100mm切り出して試験片とし、切り出した試験片の一方から熱可塑性樹脂層3と易剥離層4とを50mmまで剥がし、引張り試験機の両チャックにそれぞれチャッキングする。チャック間距離は100mmとする。そして、25℃の雰囲気下で、50mm/minの引張り速度で180度方向に剥がし、最大荷重を測定する。測定は5回行い、その算術平均を熱可塑性樹脂層2と易剥離層4との間の接着強度とする。
必要に応じて、強度向上層や、水蒸気やその他のガスバリア層等を積層することもできる。強度向上層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルの二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等のポリアミドの二軸延伸フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等を使用することができる。また、ガスバリア層としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等のフィルムのほか、アルミニウム箔(AL)、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着膜を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(蒸着ONy)、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層を設けたニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート(蒸着PET)等を使用することができる。
また、紙層3の内面側に第2の熱可塑性樹脂層を設けてもよい。第2の熱可塑性樹脂層は、ヒートシールできる熱可塑性樹脂であればよく、熱可塑性樹脂層2と同じ材質のものを使用することができる。第2の熱可塑性樹脂層を設けることにより、内容物を飲料とする紙容器や容器用の蓋材に使用することができる。
以下に、積層材10Aの積層方法について説明する。まず、紙層3の一方の面の一部にグラビアロールにて易剥離剤が塗布されて易剥離層4が形成された後、紙層3の一方の面に熱可塑性樹脂が押出コーティング法にて押し出され、熱可塑性樹脂層2が形成される。更に、熱可塑性樹脂層2の上に印刷層1が印刷される。得られた積層材に対して、レーザーにより印刷層1から熱可塑性樹脂層2まで第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが形成される。なお、印刷層1の剥離片70の領域内には、応募券やクーポン券等の内容が印刷される。
なお、易剥離層4の塗布量は、乾燥重量で2g/m2〜10g/m2となるように設定する。塗布量が2g/m2未満では易剥離層4が均一な膜になり難く、熱可塑性樹脂層3と紙層2との強度が上がり、剥離片70が剥離し難くなるため好ましくない。また、塗布量が10g/m2より大きい場合は、塗布膜の乾燥性・塗工適性が悪くなるとともにコストも上がるため好ましくない。
易剥離層4がパターンコートされた領域4Xと矩形状の剥離片70について説明する。ここで、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xおよび矩形状の剥離片70は、製品販売時にユーザーが見たときの位置関係で説明することとする。剥離片70は、左辺の下側と、下辺と、右辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、左辺の上側と、上辺と、右辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形状に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aが始端と終端を除いて形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に第2のハーフカット線70bが形成されている。このように、剥離片の取付例の第一の例では、易剥離層がパターンコートされた領域に点線からなる第1のハーフカット線が少なくとも始端と終端を除いて形成され、易剥離層がパターンコートされていない領域に連続した線からなる第2のハーフカット線が第1のハーフカット線の始端と終端を繋ぐように形成されている。
ユーザーは第2のハーフカット線70bを摘んで剥離することにより、剥離片70の外縁に沿ってきれいに剥離することができる。ここで、剥離片70の外縁に沿ってきれいに剥がすことができるとは、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bの全ての線を繋いで剥離できることを指す。また、第2のハーフカット線70bは摘む箇所となることから、第1のハーフカット線70aに対して外方に凸の形状となっていることが好ましい。
また、剥離片の取付例の第一の例として、図3のようにすることもできる。図3(a)および図3(b)は、何れも、矩形状の剥離片70が形成されている。図3(a)の剥離片70は、上辺の右側と、右辺と、下辺と、左辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、上辺の左側と、左辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形の左上の頂角を切り取った形状に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aが始端と終端を除いて形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に第2のハーフカット線70bが形成されている。図3(b)の剥離片70は、下辺の右側と、右辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、下辺の左側と、左辺と、上辺と、右辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが三角形に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aが始端と終端を除いて形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に第2のハーフカット線70bが形成されている。図3(c)は、図1の剥離片70において、第2のハーフカット線70bを外方に凸の曲線としたものである。図3(c)のようにした場合は、剥離片70を摘み易くすることができるとともに、第2のハーフカット線70bに角部がないため、積層材を加工する工程や製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。また、剥離片の取付例の第一の例において、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xの外縁と第1のハーフカット線70aが重なるように形成してもよい。
剥離片の取付例の第一の例は、第1のハーフカット線70aの一部および第2のハーフカット線70bがパターンコートされていない領域に形成されているため、積層材を加工する工程や製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。また、点線からなる第1のハーフカット線70aが、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに少なくとも始端と終端を除いて形成されているため、剥離片70を外縁に沿ってきれいに剥がし易くすることができる。
更に、剥離片の取付例の第ニの例として、図4のようにすることもできる。剥離片の取付例の第ニの例では、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、点線からなる第1のハーフカット線70aの全部が含まれるように形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に連続した線からなる第2のハーフカット線70bが第1のハーフカット線の始端と終端とを繋ぐように形成されている。図4は、何れも、矩形状の剥離片70が形成され、剥離片70は、左辺の下側と、下辺と、右辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、左辺の上側と、上辺と、右辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形状に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aが全て含まれるように形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に第2のハーフカット線70bが形成されている。図4(b)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xの外縁と第1のハーフカット線70aが重なる場合を示している。
剥離片の取付例の第ニの例は、点線からなる第1のハーフカット線70aが易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに全て含まれるため、剥離片の取付例の第一の例に比べて剥離片70を外縁に沿ってきれいに剥がし易くすることができる。また、第2のハーフカット線70bは易剥離層4がパターンコートされていない領域に形成されているため、積層材を加工する工程や製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。
更に、剥離片の取付例の第三の例として、図5のようにすることもできる。剥離片の取付例の第三の例では、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに点線からなる第1のハーフカット線70aが全て含まれるように形成され、連続した線からなる第2のハーフカット線70bが第1のハーフカット線の始端と終端とを繋ぐように形成されるとともに、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第2のハーフカット線70bの始端と終端、または、全部が含まれるよう形成されている。図5は、何れも、矩形状の剥離片70が形成され、剥離片70は、左辺の下側と、下辺と、右辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、左辺の上側と、上辺と、右辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形状に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aが全て含まれるように形成されている。図5(a)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第2のハーフカット線70bの始端と終端が含まれる場合、図5(b)、図5(c)、図5(d)は易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第2のハーフカット線70bの全部が含まれる場合を示している。図5(b)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xの上辺に第2のハーフカット線70bの上辺が重なる場合、図5(d)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xの外縁と、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが重なる場合を示している。
剥離片の取付例の第三の例は、第1のハーフカット線70aだけでなく、第2のハーフカット線70bの一部または全部が、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに含まれるため、剥離片の取付例の第一あるいは第ニの例に比べて剥離片70を外縁に沿ってきれいに剥がし易くすることができる。また、第1のハーフカット線70aは点線で構成されているため、剥離片の取付例の第一の例あるいは第2の例には劣るものの、積層材を加工する工程や製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。
また、剥離片の取付例の第三の例は、積層材を加工する工程や製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くするために、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに含まれる第2のハーフカット線70bの長さは剥離片70の外周、つまり、第1のハーフカット線70aの長さと第2のハーフカット線70bの長さの合計の40%以下とすることが好ましく、25%以下とすることがより好ましい。
更に、剥離片の取付例の第四の例として、図6のようにすることもできる。剥離片の取付例の第四の例では、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが全て含まれるように形成され、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが点線となるように形成されているものである。
剥離片の取付例の第四の例は、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが点線で形成されるため、積層材を加工する工程や製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を最も剥がれ難くすることができる。
更に、剥離片の取付例の第五の例として、図7のようにすることもできる。剥離片の取付例の第五の例は、剥離片の取付例の第ニの例において、第1のハーフカット線70aが連続した線となるように形成されているものである。
剥離片の取付例の第五の例は、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが連続した線で形成されるため、最も生産しやすくすることができる。
また、剥離片の取付例の第五の例は、積層材を加工する工程や製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くするために、第1のハーフカット線70aの長さは剥離片70の外周、つまり、第1のハーフカット線70aの長さと第2のハーフカット線70bの長さの合計の40%以下とすることが好ましく、25%以下とすることがより好ましい。
剥離片の取付例の第一〜第五の例において、図2(c)は、積層材10Aの易剥離層4がパターンコートされていない領域に第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示し、図2(d)は、積層材10Aの易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示している。何れにおいても、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bは印刷層1から熱可塑性樹脂層2まで形成されている。
第2の実施の形態
以下、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、第1の実施形態において、印刷層1あるいは熱可塑性樹脂層2の少なくとも1層が隠蔽性を有するとともに、紙層3の外面側の第1のハーフカット線70aと第2のハーフカット線70bで囲まれた領域に隠された情報が印刷された印刷層5が印刷されたものである。ユーザーは剥離片70を剥がした後、紙容器10に露出した隠された情報を利用してキャンペーンに応募することができる。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
第2の実施の形態の積層材10Bは、図8(a)に示すように、外面側から、隠蔽性を有する印刷層1、熱可塑性樹脂層2、紙層3が順次積層されたものである。また、図8(b)に示すように、易剥離層がパターンコートされた領域4Xは、熱可塑性樹脂層2と紙層3との間に易剥離層4が積層され、紙層3の外面側に情報が印刷された印刷層5が印刷されている。更に、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが印刷層1から熱可塑性樹脂層2まで形成されている。
隠された情報が印刷された印刷層5が紙容器10の外面側から見えないようにするために、印刷層1あるいは熱可塑性樹脂層2の少なくとも1層が隠蔽性を有するようにする。印刷層1が隠蔽性を有するためには、カーボンブラック等の黒色インキを含むようにすればよい。また、熱可塑性樹脂層2が隠蔽性を有するためには、熱可塑性樹脂中に、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック、石英粉末、カオリンクレー、ゼオライト、タルク、マイカ、雲母、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の充填剤や着色剤を混入すればよい。
隠された情報が印刷された印刷層5は、当り券、応募券、シリアル番号、QRコード(登録商標)等のキャンペーン情報を印刷するための層である。また、商品情報、絵柄、広告等を印刷することもできる。
第2の実施の形態において、易剥離層4は、熱可塑性樹脂層2の隠された情報が印刷された印刷層5に対する強固な接着を阻害する役割を果たす層である。易剥離層4の材質や塗布量は、第1の実施形態と同じである。
以下に、積層材10Bの積層方法について説明する。まず、紙層3の一方の面の一部に隠された情報が印刷された印刷層5が印刷される。更に、隠された情報が印刷された印刷層5の上にグラビアロールにて易剥離剤が塗布されて易剥離層4が形成された後、紙層3の一方の面に熱可塑性樹脂が押出コーティング法にて押し出され、熱可塑性樹脂層2が形成される。更に、熱可塑性樹脂層2の上に隠蔽性を有する印刷層1が印刷される。得られた積層材に対して、レーザーにより印刷層1から熱可塑性樹脂層2まで第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが形成される。なお、隠された情報が印刷された印刷層5は剥離片70の領域内に印刷される。
剥離片の取付例の第一〜第五の例において、図8(c)は、積層材10Bの易剥離層4がパターンコートされていない領域に第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示し、図8(d)は、積層材10Bの易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示している。何れにおいても、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bは印刷層1から熱可塑性樹脂層2まで形成されている。
第3の実施の形態
以下、図9を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、第1の実施形態において、熱可塑性樹脂層2と紙層3の間に基材層6が積層されたものである。基材層6を積層することにより、積層材の強度を向上することができるとともに、剥離片70がカールするのを防止することができる。なお、第1または第2の実施形態と同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
第3の実施の形態の積層材10Cは、図9(a)に示すように、外面側から、印刷層1、熱可塑性樹脂層2、基材層6、接着樹脂層7、紙層3が順次積層されたものである。また、易剥離層がパターンコートされた領域4Xは、図9(b)に示すように、基材層6と接着樹脂層7との間に易剥離層4が積層されている。更に、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが印刷層1から基材層6まで形成されている。
第3の実施形態において、易剥離層4は、接着樹脂層7の基材層6に対する強固な接着を阻害する役割を果たす層である。易剥離層4の材質や塗布量は、第1の実施形態と同じである。
基材層6としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルの二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等のポリアミドの二軸延伸フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、アルミニウム箔等の金属箔、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着膜を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(蒸着ONy)、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層を設けたニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート(蒸着PET)等を使用することができる。基材層6の厚みは、5μm〜80μmであることが好ましい。また、紙を使用することもできる。紙としては紙層2と同じものを使用することができる。
接着樹脂層7は、基材層6と紙層3を接着できる熱可塑性樹脂であればよく、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−メチルエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−マレイン酸共重合体、アイオノマー(ION)等を用いることができる。低温シール性、透明性、加工適性という観点では、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。また、基材層6としてアルミニウム箔を使用した場合は、アルミニウムと強い接着性が得られるとともに、加工適性に優れ、これらの材料の中では価格が比較的安価であるという点で、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−マレイン酸共重合体を用いることが好ましい。接着樹脂層7の厚さは、15μm〜80μmであることが好ましい。
以下に、積層材10Cの積層方法について説明する。まず、基材層6の一方の面に熱可塑性樹脂が押出コーティング法にて押し出され、熱可塑性樹脂層2が形成される。更に、熱可塑性樹脂層2の上に印刷層1が印刷される。得られた積層材に対して、ロータリーダイカットにより印刷層1から基材層6まで第1のハーフカット線70aと第2のハーフカット線70bが形成される。そして、基材層6の他方の面の一部にグラビアロールにて易剥離剤が塗布されて易剥離層4が形成された後、基材層6の他方の面と紙層3の一方の面を対向させ、接着樹脂層7が押し出されサンドラミネートされる。なお、印刷層1の剥離片70の領域内には、応募券やクーポン券等の内容が印刷される。
剥離片の取付例の第一〜第五の例において、図9(c)は、積層材10Cの易剥離層4がパターンコートされていない領域に第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示し、図9(d)は、積層材10Cの易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示している。何れにおいても、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bは印刷層1から基材層6まで形成されている。
上記では、基材層6と接着樹脂層7との間に易剥離層4が積層する例を示したが、接着樹脂層7と紙層3との間に易剥離層4を積層してもよい。
第4の実施の形態
以下、図10を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、第1の実施形態において、熱可塑性樹脂層2と紙層3の間に基材層6が積層されるとともに、印刷層1、熱可塑性樹脂層2、基材層6の少なくとも1層が隠蔽性を有し、更に、基材層6の内面側の第1のハーフカット線70aと第2のハーフカット線70bで囲まれた領域に隠された情報が印刷された印刷層5が印刷されたものである。基材層6を積層することにより、紙容器10の強度を向上することができるとともに、剥離片70がカールするのを防止することができる。更に、ユーザーは剥離片70を剥がした後、剥離片70の裏面に印刷された隠された情報を利用してキャンペーンに応募することができる。なお、第1〜第3の実施形態と同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
第4の実施の形態の積層材10Dは、図10(a)に示すように、外面側から、隠蔽性を有する印刷層1、熱可塑性樹脂層2、基材層6、接着樹脂層7、紙層3が順次積層されたものである。また、易剥離層がパターンコートされた領域4Xは、図10(b)に示すように、基材層6と接着樹脂層7との間に易剥離層4が積層され、基材層6の内面側に隠された情報が印刷された印刷層5が印刷されている。更に、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが印刷層1から基材層6あるいは隠された情報が印刷された印刷層5まで形成されている。
第4の実施の形態において、易剥離層4は、接着樹脂層7の隠された情報が印刷された印刷層5に対する強固な接着を阻害する役割を果たす層である。易剥離層4の材質や塗布量は、第1の実施形態と同じである。
隠された情報が印刷された印刷層5が紙容器10の外面側から見えないようにするために、印刷層1、熱可塑性樹脂層2、基材層6の少なくとも1層が隠蔽性を有するようにする。基材層6が隠蔽性を有するためには、基材層6にクレーコートをする、あるいは基材層6として紙やアルミニウム箔やアルミニウムを蒸着したPETやONyを使用すればよい。
以下に、積層材10Dの積層方法について説明する。まず、基材層6の一方の面の一部に隠された情報が印刷された印刷層5が印刷される。更に、基材層6の他方の面に熱可塑性樹脂が押出コーティング法にて押し出され、熱可塑性樹脂層2が形成される。そして、熱可塑性樹脂層2の上に隠蔽性を有する印刷層1が印刷される。得られた積層材に対して、ロータリーダイカットにより印刷層1から基材層6あるいは隠された情報が印刷された印刷層5まで第1のハーフカット線70aと第2のハーフカット線70bが形成される。そして、基材層6の一方の面の隠された情報が印刷された印刷層5の上にグラビアロールにて易剥離層4が塗布された後、基材層6の一方の面と紙層3の一方の面を対向させ、接着樹脂層7が押し出されサンドラミネートされる。なお、隠された情報が印刷された印刷層5は剥離片70の領域内に印刷される。
また、剥離片の取付例の第一〜第五の例において、図10(c)は、積層材10Dの易剥離層4がパターンコートされていない領域に第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示し、図10(d)は、積層材10Dの易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示している。何れにおいても、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bは印刷層1から接着樹脂層7まで形成されている。
上記では、基材層6と接着樹脂層7との間に易剥離層4を積層する例を示したが、接着樹脂層7と紙層3との間に易剥離層4を積層してもよい。
<接着強度の測定>
紙層3として坪量320g/m
2のノーコート紙(クリアウォーター製)に、易剥離剤としてポリコート91(DIC株式会社製)を塗布して易剥離層4を形成し、紙層3の易剥離層4が塗布された面に押出コーティングにて低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC520)を17μmとなるように積層したときの接着強度を測定した。これは、積層材10Aにおいて熱可塑性樹脂層2を低密度ポリエチレンとしたときの熱可塑性樹脂層2と易剥離層4との間の接着強度に相当する。具体的には、幅15mm、長さ100mmの試験片を切り出し、切り出した試験片の一端から易剥離層4と低密度ポリエチレンフィルムの層間を50mm剥がし、テンシロン引張り試験機の両チャックに紙層3と低密度ポリエチレンフィルムをそれぞれチャッキングした。25℃雰囲気下、50mm/minの引張り速度で180度方向に剥がし、最大荷重を測定した。測定は5回行い、その算術平均を接着強度として結果を表1に示す。
易剥離層4の塗布量が2〜10g/m2において、易剥離層4と低密度ポリエチレンフィルム(LPDE)は容易に剥離することができた。また、塗布量が5g/m2と10g/m2のラミ強度は、テンシロン引張り試験機の測定精度以下となった。易剥離層4を設けない場合においては、紙層3中で凝集剥離してしまい、紙剥けが発生した。
また、紙層3として坪量320g/m
2のノーコート紙(クリアウォーター製)に隠された情報が印刷された印刷層5を印刷した後、隠された情報が印刷された印刷層5の上に易剥離剤としてポリコート91(DIC株式会社製)を塗布して易剥離層4を形成し、更に、紙層3の易剥離層4が塗布された面に押出コーティングにて低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC520)を17μmとなるように積層したときの接着強度を測定した。これは、積層材10Bにおいて熱可塑性樹脂層2を低密度ポリエチレンとしたときの熱可塑性樹脂層2と易剥離層4との間の接着強度に相当する。具体的には、幅15mm、長さ100mmの試験片を切り出し、切り出した試験片の一端から易剥離層4と低密度ポリエチレン(LDPE)の層間を50mm剥がし、テンシロン引張り試験機の両チャックに紙層2と低密度ポリエチレンフィルムをそれぞれチャッキングした。25℃雰囲気下、50mm/minの引張り速度で180度方向に剥がし、最大荷重を測定した。測定は5回行い、その算術平均を接着強度として結果を表2に示す。なお、積層材10Bは隠された情報が印刷された印刷層5の上に易剥離剤が塗布されるため、易剥離剤が均一に塗布される。積層材10Cは基材層6の上に易剥離剤が塗布され、積層材10Dは隠された情報が印刷された印刷層5の上に易剥離剤が塗布されるため、何れも易剥離剤が均一に塗布される。従って、積層材10Cあるいは積層材10Dの接着樹脂層7と易剥離層4との間の接着強度は、積層材10Bの熱可塑性樹脂層2と易剥離層4との間の接着強度と同様である。
易剥離層4の塗布量が2〜10g/m2において、易剥離層4と低密度ポリエチレンフィルム(LPDE)は容易に剥離することができた。また、塗布量が5g/m2と10g/m2のラミ強度は、テンシロン引張り試験機の測定精度以下となった。易剥離層4を設けない場合においては、紙層3中で凝集剥離してしまい、紙剥けが発生した。
本発明の積層材は、(1)剥離片70が点線からなるハーフカット線70aで構成される部分を有していること、(2)易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、点線からなる第1のハーフカット線70aが形成されていることに特徴がある。剥離片70が点線からなるハーフカット線70aで構成される部分を有するため、積層材を加工する工程や製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、点線からなる第1のハーフカット線70aが形成されているため、点線にも関わらず剥離片70の外縁に沿ってきれいに剥がし易くすることができる。また、易剥離層4がパターンコートされている(積層材の一部のみに塗布されている)ため、紙容器として使用されたときに強度を維持することができる。易剥離層4が積層材の全面に塗布されている場合、易剥離層4を含む層間での接着強度が低いため、紙容器として使用した場合、強度が弱くなる。
第1〜第4の実施形態において、剥離片の取付例の第一〜第五の例の何れも、ユーザーは第2のハーフカット線70bを摘んで剥離することにより、剥離片70の外縁に沿ってきれいに剥離することができる。また、剥離片の取付例の第四の例においては、第1のハーフカット線70aと摘んで剥離してもよい。
また、本発明の積層材から剥離片70を剥離した後、剥離片70に印刷された隠された情報を複数組み合わせて新たな情報を作成することができる。例えば、図11に示すように、A、B、Cといった特定な組み合わせのときに当たり券となるようにしてもよい。
また、本発明の積層材から剥離片70を剥がした後、積層材に露出した隠された情報を複数組み合わせて新たな情報を作成することもできる。例えば、図12に示すように、A、B、Cの絵柄を組み合わせて新たな絵柄となるようにしてもよい。
第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bの形状は上記の例に限るものではなく、曲線、曲線と直線で構成されるもの、複数の直線で構成されるものとしてもよい。