以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈発明の実施形態1〉
図1に示すように、本実施形態は、給湯システム(10)に液浄化装置を設けたものである。上記給湯システム(10)は、浴槽(U1)及びシャワー(U2)へ温水を供給するシステムである。給湯システム(10)は、いわゆるヒートポンプ式の給湯器であり、熱源ユニット(30)と給湯ユニット(40)とを有している。
上記熱源ユニット(30)は、圧縮機(31)と加熱熱交換器(32)と膨張弁(33)と室外熱交換器(34)とを備えている。そして、上記圧縮機(31)と加熱熱交換器(32)と膨張弁(33)と室外熱交換器(34)とが冷媒配管を介して順に接続され、閉回路の冷媒回路(11)が構成されている。上記冷媒回路(11)には、冷媒として二酸化炭素が充填されている。
上記加熱熱交換器(32)は、一次側伝熱部(32a)と二次側伝熱部(32b)とを有している。一次側伝熱部(32a)は、圧縮機(31)と膨張弁(33)との間の高圧ラインに接続されている。二次側伝熱部(32b)は、給湯ユニット(40)の第1循環流路(13)に接続されている。加熱熱交換器(32)は、一次側伝熱部(32a)を流れる冷媒と、二次側伝熱部(32b)を流れる水とを熱交換させている。室外熱交換器(34)の近傍には、ファン(35)が設けられている。
上記冷媒回路(11)は、圧縮機(31)を運転して冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。即ち、上記圧縮機(31)で圧縮された冷媒が、一次側伝熱部(32a)で放熱し、膨張弁(33)で減圧される。減圧された冷媒は、室外熱交換器(34)で蒸発し、圧縮機(31)に吸入される。この冷凍サイクルは、冷媒としての二酸化炭素を臨界圧力以上まで圧縮する、いわゆる超臨界サイクルである。
上記給湯ユニット(40)は、貯留タンクである給湯タンク(41)と内部熱交換器(42)とを備えている。該給湯タンク(41)は、縦長の円筒状の密閉容器で構成されている。給湯タンク(41)は、円筒形の周壁部(41a)と、周壁部(41a)の上側を閉塞する頂壁部(41b)と、周壁部(41a)の下側を閉塞する底壁部(41c)とを備えている。給湯タンク(41)には、第1循環流路(13)と第2循環流路(14)と供給流路(15)とが接続されている。また、給湯タンク(41)には、該給湯タンク(41)内へ水道水を適宜補給する給水流路(20)も接続されている。これらの流路(13,14,15,20)は、給湯タンク(41)と連通する水流路(12)を構成している。
上記第1循環流路(13)の始端は、給湯タンク(41)の下部に接続され、第1循環流路(13)の終端は、給湯タンク(41)の上部に接続されている。そして、第1循環流路(13)には、第1ポンプ(43)が設けられている。第1ポンプ(43)は、第1循環流路(13)の始端側から終端側の方向へ水を搬送する搬送機構である。第1循環流路(13)には、第1ポンプ(43)の下流側に二次側伝熱部(32b)が接続されている。
上記第2循環流路(14)の始端は、給湯タンク(41)の下部に接続され、第2循環流路(14)の終端は、給湯タンク(41)の頂壁部(41b)に接続されている。そして、第2循環流路(14)には、第2ポンプ(44)が設けられている。第2ポンプ(44)は、第2循環流路(14)の始端側から終端側の方向へ水を搬送する搬送機構である。第2循環流路(14)には、第2ポンプ(44)の下流側に内部熱交換器(42)の第1伝熱管(42a)が接続されている。
上記内部熱交換器(42)は、第1伝熱管(42a)と第2伝熱管(42b)とを有している。第1伝熱管(42a)は、第2循環流路(14)に接続されている。第2伝熱管(42b)は、供給流路(15)の第3循環流路(16)に接続されている。
上記供給流路(15)は、主供給路(17)と第1分岐路(18)と第2分岐路(19)と第3循環流路(16)とを備えている。
上記主供給路(17)の始端は、給湯タンク(41)の頂壁部(41b)に接続され、主供給路(17)の終端側は、第1分岐路(18)と第2分岐路(19)とに分岐している。そして、主供給路(17)には、第3ポンプ(45)が設けられている。第3ポンプ(45)は、主供給路(17)の始端側から終端側の方向へ水を搬送する搬送機構である。
上記第1分岐路(18)の終端は、第3循環流路(16)を介して浴槽(U1)と連通している。つまり、第1分岐路(18)は、浴槽(U1)側へ温水を供給するための浴槽側供給路を構成している。第1分岐路(18)には、第1開閉弁(46)が設けられている。第2分岐路(19)の終端は、シャワー(U2)に接続されている。つまり、第2分岐路(19)は、シャワー(U2)に温水を供給するシャワー側供給路を構成している。第2分岐路(19)には、第2開閉弁(47)が設けられている。
上記第3循環流路(16)は、浴槽(U1)内の水を循環させる浴槽循環流路を構成している。第3循環流路(16)は、供給循環路(16a)と返送循環路(16b)とを有している。供給循環路(16a)の流出端は、浴槽(U1)の内部における上方寄りに開口している。返送循環路(16b)の流入端は、浴槽(U1)の内部における下方寄りに開口している。供給循環路(16a)には、第4ポンプ(48)が設けられている。第4ポンプ(48)は、主供給路(17)側の水、又は返送循環路(16b)側の水を浴槽(U1)内へ供給する搬送機構である。返送循環路(16b)には、内部熱交換器(42)の第2伝熱管(42b)が接続され、該第2伝熱管(42b)の下流側に第3開閉弁(49)が設けられている。
上記内部熱交換器(42)は、第1伝熱管(42a)を流れる水と、第2伝熱管(42b)を流れる水とを熱交換させている。給湯ユニット(40)では、返送循環路(16b)を流れる水と比較すると、第2循環流路(14)を流れる水の温度の方が高くなる。このため、内部熱交換器(42)では、第1伝熱管(42a)を流れる水の熱が、第2伝熱管(42b)を流れる水へ付与される。つまり、第2伝熱管(42b)は、第3循環流路(16)を流れる水を加熱する加熱部を構成している。
一方、上記給湯タンク(41)には、3つの温度センサ(Se1〜Se3)が設けられている。該温度センサ(Se1〜Se3)は、給湯タンク(41)に貯留された水(液体)の温度(水温)を検出する温度検出部を構成している。そして、第1温度センサ(Se1)は、給湯タンク(41)の下部に設けられ、給湯タンク(41)の下部の水温を検出している。第2温度センサ(Se2)は、給湯タンク(41)の中央部に設けられ、給湯タンク(41)の中央部の水温を検出している。第3温度センサ(Se3)は、給湯タンク(41)の上部に設けられ、給湯タンク(41)の上部の水温を検出している。
〈水浄化ユニットの詳細構造〉
上記給湯タンク(41)には、放電ユニット(62)及び超音波発生部(94)が設けられている。つまり、上記給湯タンク(41)と放電ユニット(62)と超音波発生部(94)によって液浄化装置である水浄化ユニット(60)が構成されている。
上記水浄化ユニット(60)は、貯留タンク(41)の貯留水の水中で放電と超音波照射を行って水中に水酸ラジカル及び過酸化水素等の浄化成分を生成し、この浄化成分によって貯留水の浄化を行うものである。
上記水浄化ユニット(60)は、図2に示すように、貯留タンク(41)における内部の底部に高電圧発生部(70)を含む放電ユニット(62)と、超音波発生部(94)とが設けられて構成されている。さらに、水浄化ユニット(60)は、高電圧発生部(70)に接続された放電波形発生部(3)と、電極対(64,65)に印加する電圧のオン又はオフを制御する制御部(1)と、増幅器(9)を介して超音波発生部(94)に所定の周波数の交流電圧を供給する超音波波形発生部(8)と、超音波波形発生部(8)を介して超音波発生部(94)の動作を制御する制御部(5)と、貯留タンク(41)内の液体の過酸化水素濃度をモニタするセンサ(7)とを備えている。なお、図示しないが、センサ(7)のモニタ結果に基づいて制御部(1,5)を制御する中央演算装置(CPU)が設けられていてもよい。制御部(1,5)による放電ユニット(62)及び超音波発生部(94)の制御方法については、後に説明する。なお、後述のいわゆるフィードフォワード制御を行う場合、センサ(7)は必ずしも設けられなくてもよい。
上記放電ユニット(62)は、電極A(64)及び電極B(65)とからなる電極対(64,65)と、この電極対(64,65)に電圧を印加する高電圧発生部(70)と、電極A(64)を内部に収容する絶縁ケーシング(71)とを備えている。
上記電極対(64,65)は、水中で放電を生起するためのものである。上記電極A(64)は、絶縁ケーシング(71)の内部に配置されている。電極A(64)は、上下に扁平な板状に形成されている。電極A(64)は、高電圧発生部(70)に接続されている。上記電極A(64)は、例えば、ステンレス、銅等の導電性の金属材料で構成されている。
上記電極B(65)は、絶縁ケーシング(71)の外部に配置されている。上記電極B(65)は、電極A(64)の上方に設けられている。電極B(65)は、上下に扁平な板状であって、且つ上下に複数の貫通孔(66)を有するメッシュ形状ないしパンチングメタル形状に構成されている。電極B(65)は、電極A(64)と略平行に配設されている。電極B(65)は、高電圧発生部(70)に接続されている。電極B(65)は、例えば、ステンレス、真鍮等の導電性の金属材料で構成されている。
上記高電圧発生部(70)は、例えば電極対(64,65)に所定の電圧を印加する電源で構成されていてもよい。即ち、高電圧発生部(70)は、電極対(64,65)に対して瞬時的に高電圧を繰り返し印加するようなパルス電源ではなく、電極対(64,65)に対して常に数キロボルトの電圧を印加する電源であってもよい。また、高電圧発生部(70)には、電極対(64,65)の放電電力を一定に制御する定電力制御部が設けられている(図示省略)。
上記絶縁ケーシング(71)は、貯留タンク(41)の底部に設置されている。絶縁ケーシング(71)は、例えば、セラミックス等の絶縁材料で構成されている。絶縁ケーシング(71)は、一面(上面)が開放された容器状のケース本体(72)と、該ケース本体(72)の上方の開放部を閉塞する板状の蓋部(73)とを有している。
上記ケース本体(72)は、角型筒状の側壁部(72a)と、該側壁部(72a)の底面を閉塞する底部(72b)とを有している。電極A(64)は、底部(72b)の上側に敷設されている。絶縁ケーシング(71)では、蓋部(73)と底部(72b)との間の上下方向の距離が、電極A(64)の厚さよりも長くなっている。つまり、電極A(64)と蓋部(73)との間には、所定の間隔が確保されている。これにより、絶縁ケーシング(71)の内部では、電極A(64)とケース本体(72)と蓋部(73)との間に空間(S)が形成される。
上記絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)には、図2及び図3に示すように、該蓋部(73)を厚さ方向に貫通する1つの開口(74)が形成されている。この開口(74)により、電極A(64)と電極B(65)との間の電界の形成が許容されている。蓋部(73)の開口(74)の内径は、0.02mm以上0.5mm以下であることが好ましい。以上のような開口(74)は、電極対(64,65)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部を構成する。
以上のように、絶縁ケーシング(71)は、電極対(64,65)のうちの一方の電極(電極A(64))のみを内部に収容し、且つ電流密度集中部としての開口(74)を有する絶縁部材を構成している。
加えて、絶縁ケーシング(71)の開口(74)内では、電流経路の電流密度が上昇することで、水がジュール熱によって気化して気泡(B)が形成される。つまり、絶縁ケーシング(71)の開口(74)は、該開口(74)に気相部としての気泡(B)を形成する気相形成部として機能する。
超音波発生部(94)は、板状の圧電セラミックス(95)と、間に圧電セラミックス(95)を挟むように設けられた一対の金属板(96a,96b)とで構成される。超音波発生部(94)を封入するケース(97)は密閉され、貯留タンク(41)の底部に配置されている。超音波発生部(94)は、電極対(64,65)よりも、貯留タンク(41)の給水口に近い位置(言い換えれば、注水口から遠い位置)に配置される。
金属板(96a,96b)には、増幅器(9)によって増幅された超音波波形発生部(8)の出力信号(交流電圧)が供給される。これにより、超音波発生部(94)は任意の周波数の超音波を貯留タンク(41)内の液体に照射する。
なお、超音波発生部(94)は、貯留タンク(41)内の液体に超音波を照射できる範囲で任意の位置に設置されていてもよい。例えば、図4(a)に示すように、超音波発生部(94)が貯留タンク(41)の底部外側に設置されていてもよく、貯留タンク(41)の内部において、電極対(64,65)よりも注水口に近い位置に設置されていてもよい。超音波発生部(94)が貯留タンク(41)の底部外側に設置されている場合、超音波は貯留タンク(41)の壁面を介して液体に伝達される。
また、超音波発生部(94)の構成は、図2に示す例に限られない。例えば、図4(b)に示すように、金属ケース(97a)の上部と金属板(96)とで板状の圧電セラミックス(95)を挟み、両者の間に交流電圧を供給する構成であってもよい。
一方、上記放電ユニット(62)には、コントローラ(80)が接続されている。該コントローラ(80)は、3つの温度センサ(Se1〜Se3)が接続されると共に、運転制御部(81)が設けられている。
該運転制御部(81)は、温度センサ(Se1〜Se3)が検出した水温にしたがって上記放電ユニット(62)の浄化運転を制御している。つまり、上記運転制御部(81)は、温度センサ(Se1〜Se3)が検出した水温にしたがって上記放電ユニット(62)の放電時間を制御している。
具体的に、上記運転制御部(81)は、水温が高くなるにしたがって上記放電ユニット(62)の放電時間を短くするように構成されている。また、上記運転制御部(81)は、3つの温度センサ(Se1〜Se3)が検出した水温のうち、最も低い温度にしたがって上記放電ユニット(62)の放電時間を制御している。
そこで、水温にしたがって放電時間を制御する基本的原理について説明する。
先ず、上記水浄化ユニット(60)の除菌能力は、水温にしたがって変化する。水浄化ユニット(60)の過酸化水素の濃度を一定とし、水温を変化させた場合、水温が上昇するにしたがって90%除菌運転時間が短くなる。つまり、過酸化水素濃度が一定である水浄化ユニット(60)の除菌能力は、水温が上昇するにしたがって高くなる。
また、水浄化ユニット(60)の過酸化水素の発生量は、水温が上昇するにしたがって高くなる。
そこで、本実施形態では、上述したように、上記運転制御部(81)は、水温が高くなるにしたがって上記放電ユニット(62)の放電時間を短くする。
そして、上記運転制御部(81)は、図示しないが、水温決定部と放電時間算出部と放電実行部とを備えている。
上記水温決定部は、3つの温度センサ(Se1〜Se3)が検出した水温のうち、最も低い温度を選択し、最も低い温度を給湯タンク(41)の水温と決定する。
上記放電時間算出部は、過酸化水素の濃度を一定した場合の除菌能力と水温との関係及び過酸化水素の発生量と水温との関係を示すデータを予め記憶し、水温決定部が決定した水温に基づき放電時間を算出する。
上記放電実行部は、放電時間算出部が算出した放電時間が経過するまで放電ユニット(62)の放電を実行し、放電時間が経過すると放電ユニット(62)の放電を停止する。
なお、図2では、コントローラ(80)は高電圧発生部(70)に接続されており、運転制御部(81)は高電圧発生部(70)の電極対(64,65)に対する電圧の印可をオン又はオフ制御するが、放電ユニット(62)の放電時間を制御できれば、これに限られない。例えばコントローラ(80)が制御部(1)等に接続されて、運転制御部(81)は制御部(1)を介して高電圧発生部(70)の電極対(64,65)に対する電圧の印可をオン又はオフ制御をしてもよい。また、制御部(1)がコントローラ(80)を含んでもよい。
−給湯システムの運転動作−
次に、上記給湯システム(10)の基本的な運転動作について図1を参照しながら説明する。この給湯システム(10)は、浴槽内へ温水を供給する「給湯運転」と、浴槽内の水を循環させながら加熱する「追い炊き運転」とが行われる。
〈給湯運転〉
給湯運転では、熱源ユニット(30)の圧縮機(31)が運転され、冷媒回路(11)で冷凍サイクルが行われる。給湯ユニット(40)では、第1ポンプ(43)及び第3ポンプ(45)が運転され、第2ポンプ(44)及び第4ポンプ(48)が停止状態となる。また、第1開閉弁(46)、第2開閉弁(47)が開放状態となり、第3開閉弁(49)は閉鎖状態となる。
上記第1ポンプ(43)を運転すると、給湯タンク(41)内の水が第1循環流路(13)へ流出する。この水は、加熱熱交換器(32)の二次側伝熱部(32b)を流れる。加熱熱交換器(32)では、一次側伝熱部(32a)を流れる冷媒の熱が、二次側伝熱部(32b)を流れる水へ放出され、この水が所定温度まで加熱される。加熱された水は、第1循環流路(13)を経由して給湯タンク(41)内に流入する。これにより、給湯タンク(41)内部には、所定温度の温水が蓄えられる。
第3ポンプ(45)を運転すると、給湯タンク(41)内の水(温水)は、主供給路(17)に流出し、第1分岐路(18)と第2分岐路(19)とに分流する。第1分岐路(18)を流れた水は、第3循環流路(16)の供給循環路(16a)に流入する。この水は、供給循環路(16a)を通過した後、浴槽(U1)内へ放出される。これにより、浴槽(U1)内に所定温度の温水が供給される。一方、第2分岐路(19)を流れた水は、シャワー(U2)側に供給される。
〈追い炊き運転〉
追い炊き運転では、熱源ユニット(30)の圧縮機(31)が運転され、冷媒回路(11)で冷凍サイクルが行われる。給湯ユニット(40)では、第1ポンプ(43)、第2ポンプ(44)、及び第4ポンプ(48)が運転される。また、第1開閉弁(46)が閉鎖状態となり、第2開閉弁(47)及び第3開閉弁(49)が開放状態となる。
上記第1ポンプ(43)を運転すると、給湯タンク(41)内の水が第1循環流路(13)を流れる。これにより、第1循環流路(13)の水は、加熱熱交換器(32)で加熱されて給湯タンク(41)へ返送される。
上記第2ポンプ(44)を運転すると、給湯タンク(41)内の水は、第2循環流路(14)へ流出する。この水は、内部熱交換器(42)の第1伝熱管(42a)を流れる。内部熱交換器(42)では、第1伝熱管(42a)を流れる水の熱が、第2伝熱管(42b)を流れる水へ放出される。第1伝熱管(42a)で放熱した水は、第2循環流路(14)を経由して給湯タンク(41)内に流入する。
上記第4ポンプ(48)を運転すると、浴槽(U1)の水は第3循環流路(16)の返送循環路(16b)へ吸い込まれる。返送循環路(16b)を流れた水は、内部熱交換器(42)で加熱された後、浴槽(U1)へ供給される。これにより、浴槽(U1)内の水の温度が徐々に高くなる。
−水浄化ユニットの運転動作−
本実施形態の給湯システム(10)では、水浄化ユニット(60)を運転して給湯タンク(41)の貯留水の浄化が行われる。
図5は、本実施形態の液浄化ユニット(60)による液体処理の基本サイクルを示す図である。同図に示すように、貯留タンク(41)内に溜められた水等の液体は、まず、電極対(64,65)間に生起される放電によって浄化される。この際には、放電によって液体中に水酸ラジカル等の活性種が生成し、有機物等の分解や殺菌などが行われる(図5中のステップSt1、St2)。水酸ラジカルは短時間で過酸化水素に変化する(ステップSt3)。
次に、超音波発生部(94)から液体へと任意の周波数の超音波を伝搬させ、液体中の過酸化水素を分解し、水酸ラジカルに変化させる(ステップSt4)。ただし、過酸化水素を分解して水酸ラジカルを効率良く発生させるためには、超音波の周波数が、100kHz以上程度であれば特に好ましい。超音波照射により発生した水酸ラジカルは、再度過酸化水素に変化する。ただし、除菌等、液体の浄化反応に使われた水酸ラジカルは水に変化するので、放電を停止して超音波照射のみを行った場合には、過酸化水素の濃度は低下してゆくことになる。
なお、上記の液体浄化は、1回ごとに貯留タンク(41)内の液体を全て入れ替える、いわゆるバッチ処理によって行ってもよい。あるいは、貯留タンク(41)への注水と貯留タンク(41)からの液体の流出を連続的に行う連続処理によって浄化を行ってもよい。
まず、放電ユニット(62)の運転動作について説明する。
上記水浄化ユニット(60)の運転の開始時には、図2に示すように、絶縁ケーシング(71)の内の空間(S)が浸水した状態となっている。高電圧発生部(70)から電極対(64,65)に所定の電圧(例えば1kV)が印加されると、電極対(64,65)の間に電界が形成される。電極A(64)の周囲は、絶縁ケーシング(71)で覆われている。このため、電極対(64,65)の間での漏れ電流が抑制されるとともに、開口(74)内の電流経路の電流密度が上昇した状態となる。
上記開口(74)内の電流密度が上昇すると、開口(74)内のジュール熱が大きくなる。その結果、絶縁ケーシング(71)では、開口(74)の近傍において、水の気化が促進されて気泡(B)が形成される。この気泡(B)は、図6に示すように、開口(74)のほぼ全域を覆う状態となり、電極B(65)側の水と、電極A(64)との間に気泡(B)が介在する。従って、この状態では、気泡(B)が、電極A(64)と電極B(65)との間での水を介した導電を阻止する抵抗として機能する。これにより、電極A(64)と電極B(65)との間の漏れ電流が抑制され、電極対(64,65)間では、所望とする電位差が保たれることになる。すると、気泡(B)内では、絶縁破壊に伴い放電が発生する。
以上のようにして、気泡(B)で放電が行われると、給湯タンク(41)内の水中では、水酸ラジカル等の活性種や過酸化水素等が生成される。水酸ラジカル等の活性種や過酸化水素は、放電に伴う熱によって給湯タンク(41)内を対流する。これにより、水中での活性種や過酸化水素の拡散が促される。また、気泡(B)で放電が行われると、この放電に伴ってこの気泡(B)でイオン風を生成し易くなる。よって、給湯タンク(41)内では、このイオン風を利用して、活性種や過酸化水素の拡散効果を更に向上できる。
また、上述したように、給湯タンク(41)には、第1循環流路(13)に銅配管を用いると、銅イオンが供給される。過酸化水素と銅イオンの存在下では、フェントン反応により、銅イオンが触媒的に作用して水酸ラジカルの生成が促進される。これにより、水酸ラジカルによる水の浄化効率が向上する。加えて、銅イオンは菌の繁殖を抑制する効果があるため、水中での殺菌作用も高くなる。
以上のようにして、水中に拡散した水酸ラジカル等の活性種は、水中に含まれる被処理成分(例えばアンモニア等)を酸化分解して水の浄化に利用される。また、水中に拡散した過酸化水素は、水の殺菌に利用される。これにより、本実施形態の給湯システム(10)では、浴槽(U1)内の清浄度が保たれる。
次に、上記放電ユニット(62)の放電時間の制御について説明する。
先ず、上記コントローラ(80)には、3つの温度センサ(Se1〜Se3)が検出した水温データの入力されている。この水温データに基づきコントローラ(80)が図7に示すように放電ユニット(62)を制御する。
上記放電ユニット(62)による除菌運転が開始されると、ステップS1において、水温センサが給湯タンク(41)の水温を検出する。そして、ステップS2において、水温決定部が、3つの温度センサ(Se1〜Se3)が検出した水温のうち、最も低い温度を選択し、最も低い温度を給湯タンク(41)の水温と決定する。
続いて、ステップS3において、放電時間算出部は、過酸化水素の濃度を一定した場合の除菌能力と水温との関係及び過酸化水素の発生量と水温との関係を示すデータを予め記憶し、水温決定部が決定した水温に基づき放電時間を算出する。
その後、ステップS4において、放電実行部は、放電時間算出部が算出した放電時間が経過するまで放電ユニット(62)の放電を実行し、放電時間が経過すると放電ユニット(62)の放電を停止し、除菌運転を終了する。
このようにすると、水温にしたがって放電ユニット(62)の浄化運転を制御するようにしたために、信頼性の高い浄化を行うことができると共に、省エネルギ化を図ることができる。
本実施形態では、コントローラ(80)は、放電ユニット(62)の放電時間を制御しているが、コントローラ(80)は、放電ユニット(62)だけでなく、超音波発生部(94)の貯留液に対する超音波照射のオン又はオフを制御するように、例えば超音波発生部(94)等に接続されていてもよい。このようにすると、水温にしたがって、超音波発生部(94)の超音波照射時間を制御できる。例えば、水温が低い際に、放電ユニット(62)の放電時間を長くするのと共に、超音波発生部(94)の超音波照射時間を長くすることにより、効果的に水酸ラジカルを生成することができる。
次に、放電と超音波処理を組み合わせた液浄化装置の運転制御の具体例について説明する。図8は、液体中の過酸化水素の濃度を用いてフィードバック制御を行う場合の運転制御の一例を示すタイムチャートである。以下の方法では、液体中の過酸化水素はセンサ(7)によって検知される。
この方法において、まず貯留タンク(41)内に液体が溜まった状態で運転を開始する。制御部(1)は、電極対(64,65)間に所定の電圧を印加させ、放電を生起させる。この際、超音波発生部(94)はオフ状態にしておく。これにより、液体が浄化されるとともに、液体中の過酸化水素の濃度が上昇する。
次いで、液体の過酸化水素濃度があらかじめ設定された下限値を超えた場合、制御部(1)は電極対(64,65)への電圧供給を継続させ、制御部(5)は、超音波発生部(94)をオン状態にして液体に超音波を照射させる。これにより、放電により生成された水酸ラジカルと、過酸化水素から生成された水酸ラジカルとによって液体が浄化される。放電によって生成される過酸化水素の量は超音波によって分解される過酸化水素の量よりも多いので、この期間中も液中の過酸化水素の濃度は上昇する。
次に、液体の過酸化水素濃度があらかじめ設定された上限値を超えた場合、制御部(1)は電極対(64,65)への電圧供給を停止し、放電を停止させる。制御部(5)は、引き続き超音波発生部(94)をオン状態にして液体に超音波を照射させる。これにより、過酸化水素から生成された水酸ラジカルによって液体が浄化される。この期間中、超音波によって過酸化水素が分解されるので、液中の過酸化水素の濃度は減少する。
次いで、液体の過酸化水素濃度が上述の下限値を下回った時点で、制御部(1)は電極対(64,65)への電圧供給を再開する。これにより、液中の過酸化水素の濃度は再び上昇する。これ以後、同様に超音波照射のみを行う期間と超音波照射と放電とを組み合わせる期間とを繰り返すことで、液体の過酸化水素濃度を下限値以上、且つ上限値以下の範囲に制御しつつ、液体を浄化する。
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態1によれば、水温にしたがって放電ユニット(62)の浄化運転を制御するようにしたために、信頼性の高い浄化を行うことができると共に、省エネルギ化を図ることができる。
つまり、水温が高い場合には放電ユニット(62)による除菌能力が高いので、浄化運転を短くすることができることから、過剰な除菌運転を防止することができると共に、運転時間の短縮による省エネルギ化を図ることができる。
また逆に、水温が低い場合には放電ユニット(62)による除菌能力が低いので、浄化運転を長くすることができることから、除菌運転の不足を防止することができる。
また、上記放電ユニット(62)に3つの温度センサ(Se1〜Se3)を設け、この3つの温度センサ(Se1〜Se3)が検出した水温のうち、最も低い温度を選択し、最も低い温度を給湯タンク(41)の水温と決定するので、除菌運転の不足及び過剰を確実に防止することができる。
さらに、本実施形態1によれば、制御部(1)は、動作開始後に液体の過酸化水素濃度が上限値に達するまでは放電を生起させて水酸ラジカルを発生させ、液体を浄化することができる。また、制御部(5)は、液体の過酸化水素濃度が所定の下限値を超える期間中に超音波発生部(94)をオン状態にする、言い換えれば、過酸化水素濃度が所定の下限値を下回る期間中には超音波発生部(94)をオフ状態にする。つまり、液中に十分な過酸化水素が存在する場合に超音波によって水酸ラジカルを発生させているので、液体を効果的に浄化することができる。さらに、十分な濃度の過酸化水素の存在下で超音波を継続的に照射することで、継続的に水酸ラジカルを生成することができるので、強い浄化能力を所定の期間中維持することができる。
さらに、上述の方法によれば、貯留タンク(41)から供給される液体中の過酸化水素の濃度を上限値以下に抑えることができるので、過酸化水素を除去するための工程を容易にすることができる。
本実施形態の液浄化装置によれば、上述のように、液中での放電と、液体への超音波照射とを組み合わせることで、液体の過酸化水素濃度を上昇させずに浄化能力の向上とを併せて図ることが可能になる。
なお、液体を連続処理する場合には、超音波発生部(94)を電極対(64,65)よりも給水口側に配置することにより、放電によって生じた過酸化水素から超音波照射により効果的に水酸ラジカルを発生させることができる。
また、図2では、電極対(64,65)に印加する電圧のオン又はオフを制御する制御部(1)と、超音波発生部(94)の動作を制御する制御部(5)とを別個に設けたが、1つの制御部で電極対(64,65)に印加する電圧のオン又はオフと超音波発生部(94)の動作とを制御することもできる。
なお、本実施形態の液浄化装置では、放電及び超音波照射によって生じる水酸ラジカルによって、液体の浄化処理と同時に貯留タンク(41)内に繁殖する細菌等を効果的に殺菌することもできる。
〈実施形態1の変形例〉
上記実施形態1は、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)に1つの開口(74)が形成されている。しかしながら、例えば、図9及び図10に示すように、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)に複数の開口(74)を形成してもよい。なお、図9では、図の簡略化のために、実施形態1と異なる部分である電極B(65)及び蓋部(73)等を示し、超音波発生部(94)及び高電圧発生部(70)等の実施形態1と同一である部分については省略している。この変形例では、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)が、略正方形板状に形成され、この蓋部(73)に複数の開口(74)が等間隔を置きながら碁盤目状に配列されている。一方、電極A(64)及び電極B(65)は、全ての開口(74)に跨るような正方形板状に形成されている。
この変形例においても、各開口(74)が、電流密度集中部、及び気相形成部として機能する。これにより、高電圧発生部(70)から電極対(64,65)に電圧が印加されると、各開口(74)の電流密度が上昇し、各開口(74)で気泡(B)が形成される。その結果、各気泡(B)でそれぞれ放電が生起され、水酸ラジカル等の活性種や、過酸化水素が生成される。
〈発明の実施形態2〉
実施形態2の給湯システム(10)は、上述した実施形態1と放電ユニット(62)の構成が異なるものである。以下には、上記実施形態1と異なる点を主として説明する。なお、図11及び図12では、図の簡略化のために、実施形態1と異なる部分について示し、超音波発生部(94)及び高電圧発生部(70)等の実施形態1と同一である部分については省略している。
図11に示すように、実施形態2の放電ユニット(62)は、給湯タンク(41)の外側から内部に向かって挿入されて固定される、いわゆるフランジユニット式に構成されている。また、実施形態2の放電ユニット(62)は、電極A(64)と電極B(65)と絶縁ケーシング(71)とが一体的に組立てられている。
上記絶縁ケーシング(71)は、大略の外形が円筒状に形成されている。絶縁ケーシング(71)は、ケース本体(72)と蓋部(73)とを有している。
上記ケース本体(72)は、ガラス質又は樹脂製の絶縁材料で構成されている。ケース本体(72)は、円筒状の基部(76)と、該基部(76)から給湯タンク(41)側に向かって突出する筒状壁部(77)と、該筒状壁部(77)の外縁部から更に給湯タンク(41)側に向かって突出する環状凸部(78)とを有している。また、ケース本体(72)には、環状凸部(78)の先端側に先端筒部(79)が一体に形成されている。基部(76)の軸心部には、円柱状の挿入口(76a)が軸方向に延びて貫通形成されている。筒状壁部(77)の内側には、挿入口(76a)と同軸となり、且つ挿入口(76a)よりも大径となる円柱状の空間(S)が形成されている。
上記蓋部(73)は、略円板状に形成されて環状凸部(78)の内側に嵌合している。蓋部(73)は、セラミックス材料で構成されている。蓋部(73)の軸心には、実施形態1と同様、蓋部(73)を上下に貫通する円形状の1つの開口(74)が形成されている。
上記電極A(64)は、軸直角断面が円形状となる縦長の棒状の電極で構成されている。電極A(64)は、基部(76)の挿入口(76a)に嵌合している。これにより、電極A(64)は、絶縁ケーシング(71)の内部に収容されている。実施形態2では、電極A(64)のうち給湯タンク(41)とは反対側の端部が、給湯タンク(41)の外部に露出される状態となる。このため、給湯タンク(41)の外部に配置される電源部(70)と、電極A(64)とを電気配線によって容易に接続することができる。
上記電極A(64)のうち給湯タンク(41)側の端部(64a)は、絶縁ケーシング(71)の内部の空間(S)に臨んでいる。なお、図11に示す例では、上記電極A(64)の端部(64a)が、挿入口(76a)の開口面よりも上側(給湯タンク(41)側)に突出しているが、この端部(64a)の先端面を挿入口(76a)の開口面と略面一としてもよいし、端部(64a)を挿入口(76a)の開口面よりも下側に陥没させてもよい。また、電極A(64)は、実施形態1と同様、開口(74)を有する蓋部(73)との間に所定の間隔が確保されている。
上記電極B(65)は、円筒状の電極本体(65a)と、該電極本体(65a)から径方向外方へ突出する鍔部(65b)とを有している。電極本体(65a)は、絶縁ケーシング(71)のケース本体(72)に外嵌している。鍔部(65b)は、給湯タンク(41)の壁部に固定されて放電ユニット(62)を保持する固定部を構成している。放電ユニット(62)が給湯タンク(41)に固定された状態では、電極B(65)の電極本体(65a)の一部が浸水された状態となる。
上記電極B(65)は、電極本体(65a)よりも小径の内側筒部(65c)と、該内側筒部(65c)と電極本体(65a)との間に亘って形成される連接部(65d)とを有している。内側筒部(65c)及び連接部(65d)は、給湯タンク(41)内の水中に浸漬している。内側筒部(65c)は、その内部に円柱空間(67)を形成している。内側筒部(65c)の軸方向の一端は、蓋部(73)と当接して該蓋部(73)を保持する保持部を構成している。また、電極本体(65a)と内側筒部(65c)と連接部(65d)の間には、ケース本体(72)の先端筒部(79)が内嵌している。内側筒部(65c)の軸方向の他端側には、円柱空間(67)を覆うようにメッシュ状の漏電防止材(68)が設けられている。この漏電防止材(68)は、電極B(65)と接触することで、実質的にアースされている。これにより、漏電防止材(68)は、給湯タンク(41)の内部の空間(水中)のうち、円柱空間(67)の内側から外側への漏電を防止している。
上記電極B(65)は、電極本体(65a)の一部が給湯タンク(41)の外部に露出される状態となる。このため、高電圧発生部(70)と電極B(65)とを電気配線によって容易に接続することができる。その他、超音波発生部(94)及び運転制御部(81)などの構成は、実施形態1と同様である。
−水浄化ユニットの運転動作−
実施形態2の給湯システム(10)においても、水浄化ユニット(60)が運転されることで、水流路(12)を流れる水の浄化がなされる。
水浄化ユニット(60)の運転の開始時には、図11に示すように、絶縁ケーシング(71)の内の空間(S)が浸水した状態となっている。電源部(70)から電極対(64,65)に所定の電圧(例えば1kV)が印加されると、開口(74)の内部の電流密度が上昇していく。
図11に示す状態から、電極対(64,65)へ更に電圧が継続して印加されると、開口(74)内の水が気化されて気泡(B)が形成される(図12を参照)。この状態では、気泡(B)が開口(74)のほぼ全域を覆う状態となり、円柱空間(67)内の負極側の水と、電極A(64)との間に気泡(B)による抵抗が付与される。これにより、電極A(64)と電極B(65)との間の電位差が保たれ、気泡(B)で放電が発生する。その結果、水中では、水酸ラジカルや過酸化水素を生成され、これらの成分が水の浄化に利用される。その他、超音波発生部(94)及び運転制御部(81)などの動作及び効果は、上記実施形態1と同様である。
〈実施形態2の変形例〉
上記実施形態2では、円板状の蓋部(73)の軸心に1つの開口(74)を形成しているが、この蓋部(73)に複数の開口(74)を形成してもよい。図13に示す例では、蓋部(73)の軸心を中心とする仮想ピッチ円上に、5つの開口(74)が等間隔置きに配列されている。このように蓋部(73)に複数の開口(74)を形成することで、各開口(74)の近傍でそれぞれ放電を生起させることができる。
〈発明の実施形態3〉
以下、本発明の実施形態3に係る液浄化装置の運転動作について説明する。なお、本実施形態の液状化装置の構成は実施形態1と同様の構成である。
図14は、過酸化水素の濃度変化の測定値を用いてフィードフォワード制御を行う場合の運転制御の一例を示すタイムチャートである。
ここで用いられる液浄化装置には、必ずしもセンサ(7)が設けられていなくてもよい。ただし、放電のみを行った場合に貯留タンク(41)内の液体の過酸化水素濃度が0から下限値に達するまでに要する時間T1、放電と超音波照射とを同時に行った場合に液体の過酸化水素濃度が下限値から上限値になるまでに要する時間T2、超音波照射のみを行った場合に上限値から下限値に達するのに要する時間T3を、それぞれあらかじめ測定しておき、それらの測定データを制御部(1,5)内部又は外部に設けられたメモリ(図示せず)に記憶させておく。制御部(1,5)は測定データに基づいて以下の制御を行う。制御部(1,5)の内部又は外部には、時間をカウントするタイマを設けておく。
本実施形態に係る方法において、まず制御部(1)は、電極対(64,65)間に所定の電圧を印加させ、放電を生起させる。この際、超音波発生部(94)はオフ状態にしておく。これにより、液体が浄化されるとともに、液体中の過酸化水素の濃度が上昇する。
次いで、運転開始から時間T1が経過した時点で、制御部(1)は電極対(64,65)への電圧供給を継続させ、制御部(5)は、超音波発生部(94)をオン状態にして液体に超音波を照射させる。これにより、放電により生成された水酸ラジカルと、過酸化水素から生成された水酸ラジカルとによって液体が浄化される。この期間中も液中の過酸化水素の濃度は上昇する。
次に、時間T2が経過した時点で、制御部(1)は電極対(64,65)への電圧供給を停止し、放電を停止させる。制御部(5)は、引き続き超音波発生部(94)をオン状態にして液体に超音波を照射させる。これにより、過酸化水素から生成された水酸ラジカルによって液体が浄化される。この期間中、液中の過酸化水素の濃度は減少する。
次いで、さらに時間T3が経過した時点で、制御部(1)は電極対(64,65)への電圧供給を再開し、この状態を時間T2の間継続する。これにより、液中の過酸化水素の濃度は再び上昇する。これ以後、同様に超音波照射のみを行う期間(時間T3)と超音波照射と放電とを組み合わせる期間(時間T2)とを繰り返すことで、液体の過酸化水素濃度を下限値以上且つ上限値以下の範囲に制御しつつ、液体を浄化する。
以上の方法によっても液体中の過酸化水素の濃度を下限値以上、且つ上限値以下の範囲に制御しつつ、液体を浄化することができる。なお、これは運転動作の一実施形態であって、他の方法によっても液体の浄化を行うことができる。
〈発明の実施形態4〉
図15は、本発明の実施形態4における液浄化装置を示す構成図である。同図では、実施形態1に係る液浄化装置と同様の構成については同一の符号を付している。また、放電波形発生部(3)、制御部(1,5)、増幅器(9)及びセンサ(7)は図15では図示を省略しているが、実際には本実施形態の液浄化装置に設けられている。以下では、主に実施形態1に係る液浄化装置と異なる点について説明する。
本実施形態の液浄化装置は、貯留タンク(41)と、貯留タンク(41)内に配置された電極対(64x,65x)と、電極対(64x,65x)に接続された高電圧発生部(電源部)(70a)と、貯留タンク(41)の底部に設置された超音波発生部(94)とを備えている。
電極(64x)は絶縁ケーシング(71a)の内部に収納され、電極(65x)は絶縁ケーシング(71b)の内部に収納されている。電極(64x)及び電極(65x)は、それぞれ扁平な板状に形成されている。また、電極(64x)及び電極(65x)はステンレス、銅等の導電性の金属材料で構成されている。高電圧発生部(70a)は、数キロボルト程度の電圧を電極対(64x,65x)に供給する。
絶縁ケーシング(71a,71b)は、例えばセラミックス等の絶縁材料で構成されており、図2に示す絶縁ケーシング(71)と同様の構成を有している。
すなわち、絶縁ケーシング(71a)は、一面(図15では右側の面)が開放された容器状のケース本体(180a)と、該ケース本体(180a)の上記開放部を閉塞する板状の蓋部(73a)とを有している。また、絶縁ケーシング(71b)は、一面(図15では左側の面)が開放された容器状のケース本体(180b)と、該ケース本体(180b)の上記開放部を閉塞する板状の蓋部(73b)とを有している。
絶縁ケーシング(71a)の蓋部(73a)には、該蓋部(73a)を厚さ方向に貫通する1つの開口(74a)が形成されている。絶縁ケーシング(71b)の蓋部(73b)にも、該蓋部(73b)を厚さ方向に貫通する1つの開口(74b)が形成されている。これらの開口(74a,74b)により、電極(64x)と電極(65x)との間の電界の形成が許容されている。開口(74a,74b)の内径は、0.02mm以上0.5mm以下であることが好ましい。以上のような開口(74a,74b)は、電極対(64x,65x)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部を構成する。
絶縁ケーシング(71a,71b)は、貯留タンク(41)内の互いに対向する側面に、蓋部(73a,73b)同士が対向するように設置されている。言い換えれば、電極(64x)と電極(65x)とは互いに対向するよう配置されている。
絶縁ケーシング(71a,71b)の開口(74a,74b)内では、電流経路の電流密度が上昇することで、液体がジュール熱によって気化して気泡が形成される。つまり、絶縁ケーシング(71a,71b)の開口(74a,74b)は、該開口(74a,74b)に気相部としての気泡を形成する気相形成部として機能する。この構成により、電圧が電極対(64x,65x)に供給された場合に電極対(64x,65x)間の気泡内に放電を生起させることができる。
なお、超音波発生部(94)の具体的な構成は実施形態1に係る液浄化装置と同様である。
本実施形態の液浄化装置を、図8又は図14に示す方法で運転することにより、液中の過酸化水素の濃度を所定の範囲内に保持しつつ、貯留タンク(41)内の液体を効果的に浄化することができる。
〈発明の実施形態5〉
図16は、本発明の実施形態5における液浄化装置を示す構成図である。同図では、実施形態1に係る液浄化装置と同様の構成については同一の符号を付している。また、放電波形発生部(3)、制御部(1,5)、増幅器(9)及びセンサ(7)は図16では図示を省略しているが、実際には本実施形態の液浄化装置に設けられている。以下では、主に実施形態1に係る液浄化装置と異なる点について説明する。
本実施形態の液浄化装置は、貯留タンク(41)と、貯留タンク(41)内に配置された電極対(64,65)と、電極対(64,65)に接続された高電圧発生部(電源部)(70b)と、貯留タンク(41)の底部に設置された超音波発生部(94)とを備えている。
本実施形態の液浄化装置においては、電極A(64)及び電極B(65)がそれぞれ高電圧発生部(70b)の正極側及び負極側にそれぞれ接続され、高電圧発生部(70b)から電極対(64,65)に高電圧のパルス電圧が供給される点が実施形態1に係る液浄化装置と異なっている。
また、電極A(64)を囲む絶縁ケーシング(71)は設けられない。電極A(64)及び電極B(65)は共に板状であり、貯留タンク(41)内の側面に、互いに対向するように設置される。
さらに、液浄化装置には、例えば貯留タンク(41)の底部など、少なくとも電極対(64,65)の間であって、電極対(64,65)よりも低い位置に設けられたノズル(吐出手段)(119)と、ノズル(119)に空気等の気体を送るエアポンプ(送出手段)(99)とが設けられている。エアポンプ(99)によって貯留タンク(41)内の気体は、ノズル(119)を介して循環される。ただし、エアポンプ(99)によって貯留タンク(41)内に外部から気体を供給してもよい。
超音波発生部(94)の構成は実施形態1に係る液浄化装置と同様であり、貯留タンク(41)の底部に設置されていてもよいが、貯留タンク(41)内の液体に超音波を照射できる限りにおいて任意の位置に設置可能である。
少なくとも放電処理を行う期間中、ノズル(119)から液体中へと泡が吐出される。液中に泡が存在する状態で電極対(64,65)にパルス電圧を供給することにより、泡の内部で放電が生起され、水酸ラジカルが生成する。
本実施形態の液浄化装置では、実施形態1に係る液浄化装置と基本的に同じ方法、すなわち図8又は図14に示す方法で、放電と超音波照射とを組み合わせた液体浄化が行われる。ただし、図8又は図14に示す放電処理の期間中は、高電圧発生部(70b)から電極対(64,65)へとパルス電圧が間欠的に供給され、電極対(64,65)間に間欠的に放電が生起される。
以上の構成及び方法によれば、電極対(64,65)間にパルス放電を発生させる場合でも、効率良く水酸ラジカルを発生させることができるので、超音波照射と組み合わせることで、過酸化水素濃度を上昇させずに、高い浄化能力を発揮することができる。
〈発明の実施形態6〉
図17は、本発明の実施形態6における液浄化装置を示す構成図である。同図では、実施形態1、実施形態4に係る液浄化装置と同様の構成については同一の符号を付している。また、放電波形発生部(3)、制御部(1,5)、増幅器(9)及びセンサ(7)は図17では図示を省略しているが、実際には本実施形態の液浄化装置に設けられている。以下では、主に実施形態4に係る液浄化装置と異なる点について説明する。
本実施形態の液浄化装置は、貯留タンク(41)と、貯留タンク(41)内に配置された電極対(64y,65y)と、電極対(64y,65y)に接続された高電圧発生部(電源部)(70c)と、貯留タンク(41)の底部に設置された超音波発生部(94)とを備えている。
電極(64y)と電極(65y)とは、それぞれ貯留タンク(41)内の側面に、互いに対向するように設置されている。
電極(64y)は、少なくとも1つの導電部(164)と、導電部(164)を囲む絶縁部(165)とを有している。
電極(65y)は、少なくとも1つの導電部(166)と、導電部(166)を囲む絶縁部(167)とを有している
以上のように、電極(64y)における導電部(164)の露出面、及び電極(65y)における導電部(166)の露出面の面積は小さいので、電圧を電極対(64y,65y)に供給した場合には導電部(164,166)の表面で電流密度の集中部が形成される。そのため、導電部(164,166)の表面では液体がジュール熱によって気化して気泡が形成される。この泡によって導電部(164,166)の露出面が覆われた状態で高電圧発生部(70c)からの電圧供給を継続することにより、泡の内部で放電が生起される。
なお、超音波発生部(94)の具体的な構成は実施形態1に係る液浄化装置と同様である。
本実施形態の液浄化装置を、図8又は図14に示す方法で運転することにより、液中の過酸化水素の濃度を所定の範囲内に保持しつつ、貯留タンク(41)内の液体を効果的に浄化することができる。
以上の構成によっても、電極対(64y,65y)間での放電と、超音波照射と組み合わせることで、過酸化水素濃度を上昇させずに、高い浄化能力を発揮することができる。
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態において、運転制御部(81)は、放電ユニット(62)の放電時間を制御するように構成した。しかしながら、上記運転制御部(81)は、上記放電ユニット(62)の電極対(64,65)に供給する電力を制御するように構成してもよい。つまり、上記運転制御部(81)は、貯留液の温度が高くなるにしたがって上記放電ユニット(62)の電極対(64,65)に供給する電力を低下するように構成してもよい。
例えば、上記運転制御部(81)は、水温決定部と、実施形態1の放電時間算出部に代わる電力算出部と、放電実行部とを備えている。
上記水温決定部は、例えば、3つの温度センサ(Se1〜Se3)が検出した水温のうち、最も低い温度を選択し、最も低い温度を給湯タンク(41)の水温と決定する。
上記電力算出部は、過酸化水素の濃度を一定した場合の除菌能力と水温との関係及び過酸化水素の発生量と水温との関係を示すデータを予め記憶し、水温決定部が決定した水温に基づき電極対(64,65)に供給する電力、例えば、供給電流または印加電圧を算出する。
上記放電実行部は、電力算出部が算出した電流値または電圧値に放電ユニット(62)を制御する。
この結果、水温が高い場合には放電ユニット(62)による除菌能力が高いので、放電ユニット(62)の供給電力を低下することができることから、過剰な除菌運転を防止することができると共に、供給電力の低下による省エネルギ化を図ることができる。
また逆に、水温が低い場合には放電ユニット(62)による除菌能力が低いので、放電ユニット(62)の供給電力を増大することができることから、除菌運転の不足を防止することができる。その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じである。
また、上記各実施形態は、放電ユニット(62)を備えた給湯システム(10)について説明したが、本発明が浄化する液体は、給湯水に限られず、水耕栽培の水は各種の溶液であってもよいことは勿論である。
また、温度検出部は、3つの温度センサ(Se1〜Se3)に限られず、1つの温度センサであってもよく、さらに、3つ以上の温度センサであってもよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。