本発明は、サンプル中の分析物(標的としても知られている)を検出するための方法とデバイスに関し、分析されるサンプルはクロマトグラフィ担体に塗布される。ポイント・オブ・ケア検査のための複数面構造において、問題になっている分析物の結合パートナーの1つを包含する複合体は、好ましくは、異なる面から送達される。分析物を包含するサンプルはソースから直接集められ、好ましくは、従来の処理、溶出、希釈、または、濃縮を経たものではない。複合物は本明細書では圧縮機デバイスとも呼ばれ、サンプル圧縮機によってサンプルと接触するように作られる。圧縮は、固定化された複合体とサンプルを組み合わせるのに役立つ。好適な実施形態では、複合体を含むサンプル圧縮機は、好ましくは、サンプル分析デバイスから完全に分離している。サンプル圧縮機は試験ストリップ上の流路の一部ではない。結果として、サンプル分析デバイス(好ましくは、試験ストリップ)への複合体とサンプルの移動は、流動や毛細管現象ではなく圧力を用いて始められる。サンプル圧縮機を適用すると、ランニングバッファー(running buffer)を塗布する前に、必要に応じて時間差があってもよい。サンプル塗布と流動による試験の開始との間の時間経過は、分析物の安定性に依存して、24時間または数日間までである。実施形態によって、サンプル圧縮機、サンプル採取装置、および、1以上の外部の結合パートナーの任意の組み合わせを含む非試験ストリップ構成要素は、好ましくは、流動が始まるまでは試験ストリップに結合したままである。
本発明の側方流動デバイスは、抗体を用いるイムノアッセイであるか、または、抗体を用いない代わりに他の結合パートナー(核酸、ナノ粒子、リガンドおよび受容体を含むがこれらに限定されない)を用いる非イムノアッセイであってもよい。
本発明のさらなる記載の前に、そして、本発明がもっと容易に理解されるように、本発明に関連する特定の用語がここで定義される。
本明細書で使用されるような用語「圧縮」は、サンプル圧縮機のパッド上のサンプルおよび任意の構成要素を試験ストリップに塗布することを指す。パッド、サンプル採取装置の採取部、および、サンプル塗布領域は、その3つの圧縮が試験ストリップへのサンプルの塗布の間に生じるように、好ましくはすべて圧縮可能である。
本明細書で使用されるような用語「圧力」とは、物理的な圧力、より具体的には、サンプル採取装置のサンプルに対して、同じように、試験ストリップのサンプル塗布領域に対して、サンプル圧縮機によってかけられる物理的な圧力のことを指す。本明細書で使用されているように、側方流動デバイスの機械的なバイアスまたはユーザーによって供給される圧力は、サンプル圧縮機のパッド、サンプル採取装置の採取部、および、試験ストリップのサンプル塗布領域を接触させることによって、サンプル圧縮機のパッド上のサンプルと任意の構成要素を試験ストリップに移動させる。この移動は好ましくは、垂直流動によっては生じない。
本明細書で使用されるような用語「垂直の」と「垂直に」は、パッドまたは媒体のようなデバイス中で利用される要素の長さと幅の寸法に対立するものとして、厚さまたは深さと平行な方向を指す。
本明細書で使用されるような用語「側方の」と「側方に」は、パッドと媒体のようなデバイス中で利用される要素の幅と深さの寸法に対立するものとして、長さと平行な方向を指す。
幾つかの実施形態では、試験ストリップの要素の多くはほぼ平面であり、上下の寸法よりも大きな横の寸法を有している。しかしながら、互いに対するこれらの寸法の大きさは、本発明の精神の範囲内で変更されてもよい。一般的に、「垂直な」、「垂直に」、「側方の」、および、「側方に」との用語は、デバイスの要素の並置または配向を指す。垂直に並置された要素について、このような要素の平面に垂直でかつ交差する線は、他の垂直に並置される要素の平面に対してもほぼ垂直でかつ交差する。
本明細書で使用されるような用語「流路」は、流動デバイスの使用中の該デバイス内の毛細管流動の経路を指す。従来の側方流動デバイス内の流路はデバイスの長さに沿って側方にある。本発明の好ましい実施形態では、サンプルは流動よりもむしろ圧力を用いた圧縮によって垂直に移動させられるため、流路は側方のみである。対照的に、垂直流動は上で議論された先行技術において、試験ストリップにサンプルを移すために使用される。
本明細書で使用されるような用語「標識」は、検知可能で好ましくは定量化可能な信号を提供するために使用される、蛍光タグなどの任意の原子または分子を指す。標識の検知方法は、限定されないが、可視検知、蛍光、化学発光、放射能、比色法、重量測定、X線回折、X線による吸収、磁性および酵素活性を含む。可視スペクトル試験領域は、スペクトロメーターによって解釈されることで、定量化された試験結果をもたらしてもよい。
本明細書で使用されるような用語「インサイツの溶解(in situ lysis)」は、溶解動作が別の工程として行なわれないように、クロマトグラフィ試験ストリップまたは他の側方流動イムノアッセイデバイスなどのポイント・オブ・ケア検査デバイスに溶解剤を組み込むための技術を指す。
本明細書で使用されるような用語「領域」は、試験ストリップの任意の部分を指す。領域の境界は、好ましくは、横方向に垂直な平面である。用語「領域」は用語「線」を包含し、「線」は幅よりもかなり小さな横方向の長さを有する領域を指す。
本発明の実施形態は、検出される分析物(標的)が試験ストリップの試験領域で固定化された結合パートナーに直接結合しない場合のアッセイを含む。その代わりに、分析物は好ましくは、ストリップ上の他の領域(または、いくつかの実施形態のバッファー内)の1つ以上の分析物結合パートナーと相互作用する。分析物結合パートナーの少なくとも1つは、試験領域中の第2の固定化されたタグを備えた複合物を形成する第1のタグを含む。
好ましい実施形態では、対照領域の結合パートナーはサンプル圧縮機に含まれる。この設計によって、サンプル圧縮機上の複合体領域が試験ストリップと接触するように適切に圧縮かつ製造されていない場合、いかなる対照領域もランニングバッファーの適切な流動によってさえも進行しない。したがって、陰性と陽性の試験サンプルの両方を含む対照領域が現れると、試験における手順制御が正しいことを示している。
本発明のいくつかの実施形態において、側方流動が始まると、試験ストリップはもはや、サンプル圧縮機とサンプル採取装置に圧縮接触していない。しかしながら、本発明の他の実施形態において、垂直な堆積物は、サンプル圧縮機とサンプル採取装置から試験ストリップへの移動を最大にするために、側方流動の間維持される。さらに、他の実施形態では、試験ストリップへのサンプルの塗布後に、サンプル採取装置が垂直な堆積物から取り除かれるが、サンプル圧縮機から試験ストリップへの移動を最大にするために、サンプル圧縮機は側方流動中に試験ストリップに接触したまま維持される。
本発明は、例えば、病原体、酵素、免疫メディエーター、核酸、タンパク質、糖タンパク質、リポ多糖類、タンパク質付加体、腫瘍および心臓のマーカー、ならびに/あるいは、限定されないが、ハプテンを含む低分子量化合物などの分析物の検出に高感度かつ迅速な方法を提供する。方法とデバイスは、ヒトおよび動物(例えば、ペットまたは家畜動物)の診断に適している。検出は、分析物の直接的な検出、および/または、試験される流体サンプル中に存在する分析物に対する抗体の検出を含んでもよい。
好ましくは、方法は、複数の分析物の平行な測定を含む。病原体は、好ましくは、細菌、菌類(例えば、酵母菌またはカビ)、あるいは、寄生虫(例えば、アメーバまたは線虫)のような、ウイルスまたは微生物から選ばれる。免疫メディエーターは炎症カスケードの一部であり、限定されないが、抗体、増殖因子、補体、サイトカイン、リンホカイン、ケモキネス、インターフェロン、および、インターフェロン誘導体、C反応性タンパク質、カルシトニン、アミロイド、接着分子、抗体、および、化学誘引成分を含む。低分子量化合物は、薬物または化学分子または複合物、および、薬物または化学分子によって形成された代謝物を含んでもよい。
検出は、標的(例えば、病原体)の直接的な検出、および/または、例えば、試験される流体サンプル中に存在する病原体などの標的に対する抗体の検出を含んでもよい。好ましくは、方法は、複数の標的の平行な測定を含む。
あるいは、所望の分析物は低分子量化合物であってもよい。好ましい実施形態では、検出される分析物は、ヘロインまたはメタンフェタミンのような薬物分子である。他の好ましい実施形態では、低分子量化合物はハプテンのような小分子である。
本発明は、複数の病原体、アレルゲン、免疫メディエーター、核酸、または、単一のクロマトグラフィ担体上の低分子量化合物の検出も含んでもよい。サンプル分析デバイスは常に、複数の低分子量化合物、免疫メディエーター、核酸、タンパク質、または、病原体の同時検出を可能にするものであってもよい。サンプルは好ましくは流体であるが、部分的なまたはほとんどの、固体の乾燥物質または乾燥質量は、本発明のデバイスおよび方法におけるサンプルとして試験されてもよい。例えば、流体は、回復しつつある創傷などにおいて凍結または硬化し、サンプル採取装置で集められ、その後、サンプル塗布領域へ移されもよい。サンプルは、代替的に、性感染症に関して試験されるサンプルを採取する際などに水疱部位付近の体液によって湿った、水泡から擦り落ちた水泡の硬化した部分、または、試験ストリップ上を流れるバッファーによって湿った、水泡から擦り落ちた水泡の硬化した部分であってもよい。サンプルは創傷または水泡からの1つ以上の滲出液であってもよい。
身体サンプルは、好ましくは、全血、血清、血漿、粘膜流体(口の、鼻の、膣の、肛門の、内耳の、および、眼球の空洞の)、脳脊髄液(CSF)、涙液、ペニスの流体(penile fluid)、腺からの分泌物または滲出液、あるいは、病変または水泡(例えば、皮膚の病変または水泡)からの分泌物または滲出液である。より好ましくは、サンプルは、口の、鼻の、眼球の、生殖器の、および、直腸の流体、ならびに、皮膚の病変または水泡からの分泌物または滲出液から選ばれる。
幾つかの実施形態では、サンプルに結合した液体の量は、圧縮下で、サンプル圧縮機のパッド上のサンプルおよび/または任意の複合体または第2の結合パートナーをサンプル塗布領域に移すのには不十分である。代わりに、ランニングバッファーは、試験ストリップのサンプル塗布領域に、サンプルおよび/または複合体または第2の結合パートナーを移すために必要とされる追加の流体を提供する。他の実施形態では、サンプル圧縮機のパッド上のサンプルおよび/または任意の複合体または第2の結合パートナーは、圧縮下でサンプル塗布領域に移される。代わりの実施形態では、ランニングバッファーは圧縮機を介して塗布されてもよい。
好ましい実施形態では、サンプルは、採取後に滴ったり流れたりしない流体である。それどころか、流体は、サンプルがサンプル採取装置で採取後に垂直または上下逆さまでさえ保持可能となってサンプル採取装置に留まるように、凝結した塊である。例えば、目のサンプルが採取され、事前の処理にかけられない場合、サンプルは、主に表面張力によって垂直にまたは上下逆さまに保持されたとしてもサンプル採取装置にとどまる。これは、サンプルがサンプル採取装置材料(例えば、サンプル採取装置フリース(fleece))上で効果的に捕えられて包まれるためである。好ましい実施形態では、ダクロン(登録商標)繊維などのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維またはナイロン繊維が用いられる。なぜなら、結合が特異的または永久的なものではなく、したがって、これらの繊維は湿ると分析物を「放出」するからである。その現象は、湿気が穴の中で表面張力によって保持されるように、ペーパータオルで優しく溢流(spill)をふき取ることに似ている。サンプル採取装置フリースに使用することができる他の材料は、限定されないが、ポリエステル、セルロース、レーヨン、アルギン酸カルシウム、ミクロキャピラリーおよび/またはマイクロチャネルを含有するミクロ設計の機械的構造、または、他の織物あるいはメッシュを含む。ヒトの体液を採取するために無菌の採取装置材料が必要とされる実施形態において、殺菌することができ、かつ、生体適合性が承認されている材料が好ましくは使用される。
その方法の重要な利点は、試験結果が診察期間内に、例えば、数分で提供されるということである。好ましくは、結果は、20分までの時間に、より好ましくは15分以内に提供される。サンプルが患者から得られると、試験は同様に24乃至48時間までに実行されてもよい。さらに、試験が非侵襲的であるため、患者にほとんど危険をかけない。したがって、最良の利用可能な処置が特定の病原体に適時適用されることができる。先行技術方法よりも優れるさらなる利点は、分析を行うには数マイクロリットルのサンプルしか必要とされないということである。サンプルは、好ましくは約0.1マイクロリットルから約100マイクロリットル、さらに好ましくは約0.2マイクロリットルから約20マイクロリットル、および、もっとも好ましくは約0.5マイクロリットルから約15マイクロリットルである。
本発明は簡単な試験キットによって行なわれてもよい。試験キットの取り扱いは、追加の実験機器、試薬のさらなる取り扱い、または、器具の使用を必要としない。本明細書に記載の本発明の別の重要な利点は、サンプルが分析デバイスに移される前には希釈を必要としないため、検出限界は一般的に現在利用可能な診断試験よりも10乃至100倍低いということである。したがって、本発明の方法は先行技術の方法よりも高感度で正確である。
分析物の第1の結合パートナーおよび検知可能な標識を含む複合体と、分析物の第2の結合パートナーの両方がサンプル圧縮機に置かれる場合、サンプル分析デバイスは任意の分析物について試験するために製造および使用可能である。ユーザーは、所望の分析物を標的とした結合パートナーを包含する特定の圧縮機を選択する必要があるだけである。
本発明の実施形態のいくつかにおいて、体液サンプルは、採取デバイスまたはスワブ材で非侵襲的に採取される。採取工程は、好ましくは、試験される体液を含有する体の表面にわたってスワブ材を軽くこするか軽く叩くことを含む。好ましくは、スワブ材は無菌である。スワブ材は乾燥しているか、または、採取工程の前に流体で事前に処理されてもよい。
好ましい実施形態では、スワブ材の事前処理は行われず、サンプルは採取され、採取されたサンプルにはいかなる処理も行わずにサンプル分析デバイスに移される。採取デバイスを使ってサンプルを採取することによって、かつ、サンプルを抽出および/または希釈するような事前処理工程にサンプルをさらさないことによって、サンプルの分解は回避される。試験される分析物は、好ましくは、インタクト(intact)のままであるか、または、サンプル中の他の自然に発生する物質に囲まれるかまたは混合されるその天然型(native form)のままである。
先行技術において、サンプルがバッファー中で抽出および希釈されると、サンプルは多くの場合もはやインタクトではない。これは、その安定性または不安定性ゆえに、分析物の「立体構造」を変えることもある。採取デバイスを用いてサンプルを直接採取することによって、および、そのサンプルを事前に処理しないことによって、サンプルの本来の性質が濃縮された形態で保存される。このことがより少ない体積で高濃度のサンプルをもたらすため、サンプルは試験の感度を上げる。加えて、サンプルを希釈することなく、出現する時間と試験領域の強度は、分析物の濃度に正比例する。スペクトロメーターを用いて、絶対的な数の定量化を得ることができる。加えて、サンプルを事前処理する必要がないため、試験はより簡単で、より迅速で、それほど高価でなくなる。そのことによって、同様に、試験が医師、看護師または実験技術者によって臨床設定下で行なわれることが可能となる。結膜炎を検知するために使用される試験ストリップでは、試験の感度は超高感度なポリメラーゼ連鎖反応試験の感度に匹敵する。
先行技術の方法およびデバイスは事前処理を必要とした。事前処理が必要だと信じられていた理由のなかには、事前処理がより均質のサンプルをもたらすという迷信が含まれていた。別の理由は、濃縮したサンプルは結合分析を行なう前に緩衝化される必要があると信じられていたものであった。他の理由は、サンプルを洗浄する必要性、および、非特異的な結合反応とそれによって偽陽性の試験結果を引き起こしかねない汚染粒子と物質を除去する必要性について記載していた。より大きな均質のサンプルが最も高感度で特異的なアッセイ試験結果を生み出すという一般化した考え方も先行技術にはあった。
これに反して、サンプルを事前処理しないことで、ユーザーは不均質な高濃度サンプルを維持する。界面分極の材料原理によって記載されるように、不均質な誘電体材料には不均質誘電体を構築する相のインターフェースで生じている電荷分布がある。「インタクトな」(無希釈または未かく乱の)インビボの感染性の体液サンプルでは、電荷または電荷担体は不純物中心または相界面での捕捉によって妨害される。この「インタクトな」サンプルの特徴は、空間電荷分極をもたらす二層コンデンサー効果を生み出す。「インタクトな」不均質な性質の特徴は、より高い結合効率とそれによってより高感度なアッセイをもたらす。
血液、涙、および、化膿性の滲出液を含む体液が異なる採取装置フリース材料にどんな影響を及ぼすかについては、以前は知られていなかった。具体的には、分析物が他の細胞物質から効果的に放出され、サンプル採取装置からサンプル分析デバイスまで移されるかどうかは知られていなかった。
幾つかの実施形態では、サンプルの大きさは好ましくは数マイクロリットルである。(好ましくは、サンプルを処理することなく)サンプル塗布領域へサンプルを移した後、溶出媒体(ランニングバッファーとしても知られている)が加えられる。側方流動イムノアッセイを実行する先行技術の方法は、この洗浄ステップを行うことができなかった。例えば、結膜炎のような眼の感染症に関して試験するために目のサンプルを集める場合、サンプルの大きさは好ましくは3乃至15マイクロリットルである。この例において、その後、150乃至200マイクロリットルの溶出媒体が試験ストリップに加えられる。異なるアッセイシステムとの比較として、この40乃至50倍の洗浄は、機械に依存したELISA試験で行なわれる洗浄に勝る。
サンプルを採取する1つの例において、緩やかな渦運動を用いて、無菌のスワブ材は関心の体表面または粘膜に適用され、体液中に含有される任意の病原体、低分子量化合物、および/または、免疫メディエーター、ペプチド、糖タンパク質、核酸、および、アレルギーに関連する成分を捕らえることが可能となる。
スワブ材はサンプル分析デバイスから分離した部分であってもよい。その後、サンプルは、サンプルの少なくとも一部がスワブ材上にあるという条件下で、サンプル分析デバイスとサンプル圧縮機にスワブ材を接触させることによって移される。複合体がサンプル圧縮機上に配された実施形態における複合体の少なくとも一部、および/または、第2の結合パートナーがサンプル圧縮機上に配された実施形態における第2の結合パートナーの少なくとも一部は、圧力によってサンプル分析デバイスに移される。これは、スポンジから流体を絞るのに類似した現象である。この実施形態では、スワブ材は好ましくは、分析デバイス上のサンプル塗布領域と、サンプル圧縮機のパッド部分(それは好ましくは複合体および/または分析物のための第2の結合パートナーを含む)の両方に接触する。その後、サンプルと複合体はサンプル塗布領域へ移され、次に検出領域へ移動する。幾つかの実施形態では、スワブ材はサンプル分析デバイスに接触位置して固定され、このデバイス内でスワブ材のサンプル採取領域は分析デバイスのサンプル塗布領域に直接接触している。したがって、スワブ材および/または分析デバイスは、予め決められた位置において両方の部分間の固定接点を提供するための固定化手段を好ましくは含む。あるいは、スワブ材はサンプル分析デバイスの一体化された部分であってもよく、その移動は、サンプル圧縮機を用いて圧力をかけることによって、複合体と同様にスワブ材上のサンプルの少なくとも一部をサンプル塗布領域に渡すことを含む。幾つかの実施形態では、サンプル圧縮機は一体型のサンプル分析デバイスの一体化部分でもあり、ヒンジによってデバイスに接続されるのが好ましい。他の実施形態では、サンプル圧縮機はデバイスの残りの部分から離れている。
スワブ材からサンプル分析デバイス上のサンプル塗布領域へのサンプルの移動は、好ましくは直接的な移動である。すなわち、その移動はスワブ材上のサンプルの事前処理を伴わずに行われる。サンプルまたはスワブ材の事前処理のない実施形態において、スワブ材フリースがストリップ上のフリースと直接接触する領域で、精密ろ過は生じる。フリースの繊維がインターロック式(interlock)であることによって、格子または物理的干渉が形成される。したがって、サンプル中に含有されるさらに大きな要素は、サンプル分析デバイス上で阻止され、溶出されない。複合体とサンプルがサンプル塗布領域を通って移動するにつれ、より小さな分析物が溶出される。同様に、粘膜流体からのサンプルを使用する場合、粘膜体液中の粘液の機械的破砕により、所望のサンプルと分析物が精製(purified)される。
他の実施形態では、移動は、溶出媒体、例えば、バッファーまたは水による、スワブ材からのサンプルの溶出を含む。溶出媒体は外部ソースから加えられてもよく、または、例えば、分析デバイス内の容器として提供されてもよい。さらに、移動は好ましくは、サンプル分析デバイス上の検出領域への流体のクロマトグラフィによるおよび/または毛細管による移動である。
いくつかの好ましい実施形態によっては、スワブ材は、側方流動試験ストリップと、サンプル圧縮機(それは、分析物のための第1の結合パートナーおよび検知可能な標識、タグを含む分析物のための第2の結合パートナー、対照領域結合パートナー、または、これらのいずれかの任意の組み合わせを含む複合体を含んでもよい)のパッド部分の間に置かれる。この工程によって、採取された標本は、試験ストリップ上に直接移される。試験ストリップは、好ましくは1つまたは複数の毛細管活性(capillary active)フリースまたは膜を含む。
いくつかの好ましい実施形態によっては、サンプルはクロマトグラフィ試験ストリップに加えられ、サンプルが加えられた後の別の工程として、複合体が加えられる。これらの実施形態では、複合体とサンプルは同時に加えられない。例えば、サンプルを含むサンプル採取装置は、試験ストリップのサンプル塗布領域に置かれる。サンプルの少なくともいくつかがこの時試験ストリップに移される。その後、複合体を含有するサンプル圧縮機が加えられ、サンプル圧縮機はサンプル採取装置を圧縮する。これは、複合体の移動と同様に、試験ストリップ上へのサンプルのさらなる移動を促進する。分析物が存在する場合、複合体がサンプルを圧縮し始めるや否や、サンプル中の分析物と複合体との間の複合物は形成されてもよい。流体サンプルとともに、複合物は、サンプル自体の流動性によって形成され始める。好ましい実施形態では、分析物のための第2の結合パートナーは、サンプル圧縮機上、または、試験ストリップのサンプル塗布領域内のいずれかにもある。これらの実施形態では、バッファーがさらに加えられる前に、第1の結合パートナーと、分析物と、第2の結合パートナーとの間の完全なサンドイッチが形成されてもよい。バッファーの追加は、複合物の形成と、その後の検出領域への構成要素の移動を強化する。複合物が圧縮中に形成される可能性があるため、サンプリングと試験の間に時間差があってもよい。バッファーが試験ストリップに加えられる前に、分析物と複合物の間の反応は好ましくは始まる。サンプルと複合物が加えられる際と、バッファーが加えられる際の時間差は、24時間までであるか、または、もっと長いこともあり得る。
検出工程は、サンプルの移動によって直接始められるか、または、サンプル分析のために溶出媒体が適用されることを要求するかのいずれかである。幾つかの実施形態では、溶出媒体はたんなる水道水である。他の実施形態では、溶出媒体はアルカリ性バッファーである。検出領域がサンプル塗布領域の下流の側方にあるイムノアッセイの試験ストリップである場合、選択された溶出媒体は検出領域に近づき、それによって、採取デバイス内の接触部位を通過する。分析物と複合体は溶出媒体によって溶出され、それによって検出領域へと運ばれる。検出領域では、分析物は、質的な方法によって、および/または、量的方法によって、例えば、免疫学的結合反応で測定される。
試験ストリップは、1つの単一なクロマトグラフィ材料で、または、好ましくは、同じ材料または異なる材料で作られるとともに運搬体の裏当てに固定された複数の毛細管活性材料で作ることができる。これらの材料は移動経路を形成するために互いに密接に接触しており、この経路に沿って、毛管力によって動かされた液体が開始領域から流れ、スワブと検出領域の接触部位を通って、ストリップのもう一方の端部にある廃棄物領域に向かう。
試験ストリップに好ましいいくつかの材料および膜は、限定されないが、ダクロン(登録商標)繊維などのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ニトロセルロース、ポリエステル、ナイロン、酢酸セルロース、ヒドロゲル、ポリプロピレン、ガラス繊維、および、これらの材料とそれらの裏当ての組み合わせを含む。フリースと膜の特徴は、試験ストリップまたは採取デバイスの特定の範囲または領域に使用される材料の種類に依存する。本明細書に記載されるように、試薬(試薬領域、捕捉領域、または、本明細書に記載の他の領域のいずれかにある試薬を含む)を流動させ、かつ、溶出媒体とともに移動させることが可能な材料は、結合が特異的または永久的ではないため、分析物と試薬が溶出媒体または大量のサンプルと遭遇すると放出されるようなフリース材料または繊維を含む。これらの材料のいくつかは、限定されないが、ダクロン(登録商標)繊維などのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、セルロースアセテート繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、気泡、スポンジ、および、他の織物ならびにメッシュを含む。対照的に、(例えば、検出領域の試験領域と対照領域で固定化された試薬、および、サンプル塗布領域の下流の捕捉領域で固定化された試薬を捕捉する実施形態における捕捉試薬を含む)特定の領域で試薬を固定化する材料は、限定されないが、ナイロンメッシュ中の夫々のファイバーがタンパク質などの試薬に永久的に結合するように化学的に処理されたニトロセルロースおよびナイロン繊維を含む。ストリップの異なる一部を製造するためのいくつかの方法は、限定されないが、ストリップ上で材料に縞を付けること、噴霧すること、該材料を浸すこと、および、乾燥させることを含む。
本発明の実施形態の多くにおいてニトロセルロースが検出領域のために使用される一方で、他の実施形態では、ナイロンまたはポリエステルのように中性膜が用いられてもよい。これらの実施形態では、ニュートラアビジン、抗体および抗原のようなタンパク質、ナノ粒子、または、核酸は、直接固定化されない。その代りに、これらは、膜に「堆積して」隙間で保持される微粒子と結合する。
サンプル圧縮機のパッド部分に好ましい幾つかの材料は、限定されないが、ダクロン(登録商標)繊維のようなポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、セルロースアセテート繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、フリース、気泡、スポンジ、および、他の織物ならびにメッシュを含む。
試験ストリップ材料は、好ましくは、膜中の細胞片(沈殿物など)のように微粒子状物質をろ過および/または保持する。加えて、サンプルの量非常に小さいのが好ましいため、サンプルは材料内では動かず、サンプルの真下を流れる溶出バッファーはサンプルに接触するとともにサンプルを移動させることで、サンプルが検出領域の試験領域に到達する前に、抽出、溶解、および/または、ろ過される。
さらに、本発明のデバイスおよび試験キットは、好ましくは本明細書に記載の方法を行う。
好ましい実施形態では、複合体はサンプル分析デバイスから離れたサンプル圧縮機に置かれる。複合体は好ましくは、検知可能な標識で標識化されるだけでなく、分析物のための第1の結合パートナーを含む。標識は好ましくは目に見えておよび/または蛍光によって検知可能であるが、当該技術で知られている検知の任意の形態は、選択される標識に依存して使用されてもよい。
幾つかの実施形態では、複合体のための検知可能な標識は、コロイド金、有色ラテックスビーズ、蛍光性ナノ粒子、化学発光(chemiluminiscent)ナノ粒子、常磁性ナノ粒子、または、リン光性ナノ粒子であってもよい。
定性的な解釈は、試験領域の強度および色相を観察することによって視覚的に行われる。目に見える赤色染料が標識として使用される例において、分析物の濃度が検出の下限と等しいか、わずかに大きいとき、試験領域はかすかに見え、色相はピンクである。分析物の濃度が上がるにつれ、試験領域の強度はこれに応じて高まり、色相はピンクから明るい赤色に変わる。定量的な解釈は、可視スペクトル中で作動するスペクトロメーターを用いて展開される。試験領域の定量化を進行させるために、吸収測定または反射率測定のいずれかが可視スペクトルで使用されてもよい。まず、一組の特徴的な濃度の分析物が展開される。各々の濃度はサンプル塗布領域に適用され、試験が実行される。スペクトロメーターは、試験領域の吸収または反射率のいずれかを測定するために使用される。標準曲線はスペクトロメーターの測定値から計算される。標準曲線は通常、線形である。他の実施形態において、蛍光タグが使用される場合、類似する組の既知の濃度の分析物が展開されてもよい。スペクトロメーターによって試験および定量化される未知の濃度の分析物は、標準曲線上でプロットされる際にある濃度の分析物に関連づけられる値を生みだす。
目に見える標識は、限定されないが、コロイド金、有色ラテックスビーズ、セレニウム、または、炭素のような有色粒子を含む、肉眼で見える任意の標識であってもよい。幾つかの実施形態では、目に見えるタグも同様に蛍光要素でコーティングされてもよい。幾つかの実施形態では、蛍光要素は蛍光染料である。あるいは、好ましくは無色の蛍光ラテックスビーズ複合体の混合物は、コロイド金(可視スペクトル)複合体と、または、側方流動イムノアッセイで目に見える読み取り試験領域をもたらす複合体と混合されることによって、アッセイの感度を高め、かつ、真陽性と真陰性を視覚的に読み取るのに役立ってもよい。ナノ粒子が使用される実施形態では、使用されるナノ粒子は、限定されないが、セレニウム、炭素およびコロイド金を含む。
幾つかの実施形態では、分析物のための第2の結合パートナーもサンプル圧縮機に置かれる。第2の結合パートナーは検知可能な標識ではなくタグを含む。第2の結合パートナーは、その代わりに、試験ストリップのサンプル塗布領域内に、サンプル塗布領域の上流に、または、サンプル塗布領域と検出領域との間の試験ストリップ上の任意の位置に、置かれもよい。分析物のための第2の結合パートナーが検出領域の上流に、または、サンプル圧縮機上のいずれかにある実施形態では、検出領域は、第2の結合パートナーのタグ部分と結合する不動タグを含む。
1つの好ましい実施形態では、第2の結合パートナーはビオチンでタグ付けされる。第2の結合パートナー上のタグがビオチンである実施形態では、検出領域で固定化されたタグは好ましくは、アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンである。他の実施形態では、第2の結合パートナーは、アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンでタグ付けされる。これらの実施形態では、検出領域で固定化されたタグは、好ましくはビオチンである。あるいは、第2の結合パートナー上のタグはレクチンであってもよく、固定化されたタグはグリコシル部分であってもよい。例えば、幾つかの実施形態では、レクチンはエンドウレクチンであり、グリコシル部分は赤血球グリコシル単位である。第2の結合パートナーのタグと、固定化されたタグは、本発明の精神の範囲内で逆にされてもよい。例えば、グリコシル部分は、検出領域内の固定化されたレクチンタグを備えた第2の結合パートナー上のタグであってもよい。他の実施形態では、他の受容体およびリガンドが使用されてもよい。
好ましい実施形態では、サンプル圧縮機の複合体領域内および/または、サンプル塗布領域内の分析物のための特異的な結合パートナーは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または、組み換え抗体、あるいは、病原体に結合することができる抗体のフラグメントである。他の実施形態では、特異的な結合パートナーは、病原体、免疫メディエーター、ペプチド、糖タンパク質、または、アレルゲンに対する抗体に結合することができる抗原でもかまわない。他の種類の結合パートナーは、アプタマーまたは受容体のような生物有機高分子、ナノ粒子または核酸である。本発明の方法およびデバイスは任意の結合アッセイに使用することができ、例えば、リガンド受容体結合アッセイおよび酵素基質結合アッセイにおいて、抗体/抗原または核酸の使用を回避することができる。
これらの実施形態のすべてにおいて、分析物が存在する際のサンプル塗布領域で、複合物の第1の結合パートナー、分析物、および、第2の結合パートナーの間で、完全な「サンドイッチ」が好ましくは生成される。あるいは、第1の結合パートナーまたは第2の結合パートナーのどちらかが、サンプル塗布領域の下流に配される場合、完全な「サンドイッチ」はサンプル塗布領域と検出領域の間で形成されてもよい。その後、完全なサンドイッチは検出領域へ移動し、ここで、第2の結合パートナー上のタグが、検出領域において固定化されたタグと結合する。第2の結合パートナー上のタグと検出領域内の固定化されたタグとの間の複合物は、分析物が存在するかどうかにかかわらず生じることに留意する。しかしながら、分析物が存在し、かつ、(検知可能な標識を含む)複合体が分析物に結合した場合にのみ、複合物は検出可能である。
他の実施形態では、サンプル圧縮機上の、または、検出領域の上流の試験ストリップ上のいずれかに分析物のための第2の結合パートナーを有する代わりに、分析物のための固定化された第2の結合パートナーは検出領域に配される。これらの実施形態では、複合体の第1の結合パートナーと、その後、試験領域へ移動する分析物との間で、「サンドイッチ」の半分が形成され、その半サンドイッチは固定化された第2の結合パートナーに結合し、完全な「サンドイッチ」を完成させる。
デバイスは、試験が正確に実行されたかどうかを示す対照領域を好ましくは含む。好ましい実施形態では、対照領域結合パートナー、例えば、目に見える標識を備えた流動性の対照領域結合パートナーも、サンプル圧縮機に置かれる。対照領域で固定化された結合パートナーに結合する流動性の対照領域結合パートナーを、サンプル圧縮機に置くことによって、複合体の移動がサンプル圧縮機からサンプル分析デバイスのサンプル塗布領域へと生じたかどうかが示される。これは非常に有用な対照である。なぜなら、複合物は分析物の存在を検出するために移動される必要があるからである。
サンプルは、医師のオフィスまたは緊急処置室で現在使用されているような標準のスワブ材によって得られてもよい。このスワブ材は、その後、サンプル圧縮機を用いてクロマトグラフィ試験ストリップのサンプル塗布領域に押しこまれる。
いくつかの好ましい実施形態では、ポイント・オブ・ケア検査デバイスの「外部」で細胞を溶解する代わりに、本発明は「インサイツでの溶解」を利用する。これらの実施形態において、本発明の方法およびデバイスは、インサイツでサンプル材料を溶解するために、本明細書に議論されるような側方流動アッセイ試験ストリップの、または、当該技術で知られている他の側方流動アッセイデバイスの一部として、少なくとも1つの溶解剤を含む溶解領域を組み込む。加えて、捕捉領域はアッセイの精度を高めるために干渉物質を捕捉する。
サンプル負荷後に、輸送液体とともに移動するサンプルは溶解剤に遭遇する。溶解剤は、試験ストリップにあらかじめ負荷され、輸送液体によって溶出される。いくつかの好ましい実施形態では、溶解剤は試験ストリップで乾かされた。あるいは、溶解剤は、凍結乾燥(freeze dryingまたはlyophilizing)によって予め乾かされ、その後、試験ストリップに予め負荷される。他の実施形態では、溶解剤は、試験ストリップ上で、吸収され、吸着され、埋め込まれ、または、捕捉されてもよい。好ましい実施形態では、サンプルがサンプル分析デバイスに移される際に溶解されるように、溶解剤は、サンプル塗布領域に、または、サンプル塗布領域の上流に局在している。溶解剤は好ましくは、サンプル輸送液体中に可溶性であるか、または、混和性であり、溶解剤はサンプル輸送液体と接触すると、可溶化され活性化される。その後、サンプル輸送液体は、溶液または懸濁液中の溶解剤と、懸濁液中のサンプル成分との両方を含有する。サンプル中の任意の溶解の影響を受けやすい成分は、懸濁液中で溶解剤にさらされると、それ自体がインサイツで溶解される。その後、分析物は好ましくは、標識化された複合物と第2の結合パートナーとの両方に晒されることによって、検出領域に到達する前にサンドイッチが形成される。あるいは、溶解剤はランニングバッファーに含まれてもよい。
あるいは、溶解剤はサンプル圧縮工程の間に試験ストリップに導入されてもよい。1つの実施形態では、溶解剤はサンプル圧縮機のパッドに置かれる。あるいは、スワブ材が無菌である必要がない場合、溶解剤はサンプル採取装置のスワブ材上で乾かされてもよい。そうでなければ、スワブ材は、溶解剤の溶解能力を損なわない滅菌技術を用いて溶解剤を追加した後に殺菌されてもよい。
試験ストリップに予め負荷された溶解剤の濃度は、好ましくは、0.001%および5%重量/体積の間である。あらかじめ負荷される体積は、溶解剤がどこで予め負荷されるかに依存する。適切な範囲は、サンプル採取装置のフリース(サンプル塗布領域)に予め負荷される際は1〜10マイクロリットル、または、吸収パッドか試験ストリップ内の他の位置に予め負荷される際は5〜50マイクロリットルである。理想的には、予め負荷した量は、サンプル採取装置のフリースに予め負荷された約3マイクロリットルであるか、または、吸収パッドあるいは試験ストリップ内の他の位置に予め負荷された約10マイクロリットルでなければならない。
特定の溶解環境および薬剤の選択は分析物とアッセイに依存する。pHとイオン強度が溶解する環境の鍵である。溶解剤によって確立されたpHに関して、4.0より下のpHは、材料、特にタンパク質を沈殿させる傾向にある。約10.0以上の高いpHは、タンパク質および細胞壁のような材料を溶解する傾向がある。したがって、約10.0以上のpHは多くの用途に好ましい。あるいは、低いpHは核酸標的に好まれることがある。
溶解剤によって確立されたイオン強度に関して、高イオン強度と低イオン強度の両方は溶解のために使用されてよい。例えば、低イオン強度(低張)は赤血球を破壊する傾向がある。水自体は赤血球を溶解することができる。高イオン強度環境は特定の細胞壁と細胞膜を破裂させるために使用されてもよい。
特定の溶解剤に関して、それらは、その特性:塩、両性およびカチオン性の剤、ならびに、イオンおよび非イオンの洗剤に基づいて、分類および選択されてもよい。塩化アンモニウム(NH4C1)は赤血球を溶解する。限定されないが、高濃度の塩化ナトリウム(NaCl)および塩化カリウム(KCl)を含む他の塩は、特定の細胞壁および細胞膜を破裂することがある。他の溶解剤は、Lyso PC、CHAPS、および、両性洗浄剤を含むがこれらに限定されない両性の剤である。あるいは、C16 TABおよび塩化ベンザルコニウムを含むがこれらに限定されないカチオン性の剤は、溶解剤として使用されてもよい。イオン性のおよび非イオン性の両方の界面活性剤は、リポタンパク質と糖タンパク質のような細胞壁または細胞膜成分を壊すか溶解するためにしばしば使用される。共通のイオン界面活性剤は、SDS、EDTA、コール酸、および、デオキシコール酸を含むが、これらに限定されない。イオン界面活性剤は優れた可溶化剤である。抗体は、0.1%またはそれ以下のSDS中でその活性を保持する。共通の非イオン界面活性剤は、限定されないが、オクチルグルコシド、ジギトニン、C12E8、ルブロール、トリトンX−100、Noniodet P−40、ツイーン20、および、ツイーン80を含む。非イオン界面活性剤と中性のイオン界面活性剤は、より弱い変性剤で、ウイルス表面タンパク質のような膜タンパク質を可溶化するためにしばしば使用される。追加の溶解剤は、尿素と酵素を含むがこれらに限定されない。異なる溶解剤の組み合わせは、溶解環境を最適化するために使用されてもよい。
サーファクタントは、一般的に湿潤剤として作用し、液体の表面張力を低下させる。その後、これによって、液体間の界面張力の低下によるさらに容易な拡散が可能となる。したがって、サーファクタントは、抗原および抗体またはリガンドおよび受容体の自然な結合を干渉することができる。したがって、その濃度は各クラスの溶解剤について実験的に選択される。ひとたび溶解が生じれば、所望の結合反応が妨害されないことが大事である。一般的に、0.001%の溶解剤の濃度が下限と考えられており、上限は約1%である。溶解剤の組み合わせが使用される場合、相加効果または相乗効果がある。これは、使用される濃度の作用範囲を、約0.001%から1%まで拡張する。最後に、いくつかの望ましくない非特異的な結合は、5%濃度のツイーン20で回避される。すべての場合、個々の試験ストリップのあらゆる位置に予め負荷された溶解剤の総量は、免疫検出に対する障害を溶解するのに十分なものでなければならず、試験ストリップの実際の作業を可能にするものでなければならない。
溶解剤はそれ自体では他のアッセイ検出器または指示薬剤に干渉してはならず、したがって、アッセイの実際の作業を阻むような程度まで他の任意のアッセイ相互作用および反応に干渉してはならない。溶解剤は、ポイント・オブ・ケア検査で試験ストリップを使用する前に、製造、分配、および、貯蔵を可能にするための十分な有効期間を有していなければならない。
本発明の好ましい実施形態では、本発明の側方流動デバイスは、サンプルを輸送する液体(バッファーであってもよい)と、サンプル圧縮機と、サンプルを流す毛細管特性を含む1つまたは複数のフリース材料または膜を含有するクロマトグラフィ試験ストリップとを含む。本発明のデバイスおよび方法では、試験ストリップにサンプルを塗布する前に、サンプル中の細胞を溶解する必要はない。
図1はサンプル分析デバイス(試験ストリップ)(1)とサンプル採取装置(2)を示す。サンプル採取装置(2)は、当該技術で知られている任意の種類のサンプル採取装置(2)であってもよく、例えば、サンプル採取装置(2)はスワブ材でありえる。サンプル(20)は、干渉粒子(5)(干渉タンパク質または干渉遺伝子を含んでもよい)と他の干渉粒子あるいは細胞片(4)と同様に、分析物(3)を含んでもよい。サンプル分析デバイス(1)は、この図では、サンプル塗布領域(18)の上流の複合体領域(8)を含んでいる。複合体領域(8)はこの図ではサンプル塗布領域(18)の上流に示されているが、複合体領域(8)は代替的に、本発明の精神の範囲内で、サンプル塗布領域(18)と重なるか、または、サンプル塗布領域(18)の下流にあってもよい。サンプル塗布領域(18)は同様に精密ろ過領域であり、この領域は好ましくは、サンプル(20)中の細胞片と干渉粒子(4)をろ過して取り除く。
複合体領域(8)は好ましくは、分析物(3)および検知可能な標識に結合する部分を含む流動性の複合体(15)と、例えば、目に見える標識を含む対照領域抗体である、検知可能な標識を含む対照領域結合パートナー(16)とを両方含む。幾つかの実施形態では、流動性の複合物は、目に見える標識を含む試験抗体複合体である。対照領域結合パートナー(16)は、対照領域(11)内で、そのための固定化された結合パートナーと結合し、試験が正しく行われたどうかを示す。分析物(3)がサンプル(20)内に存在する場合、分析物は複合体(15)と結合し、複合体(15)−分析物(3)の複合物は、検出領域(12)中の試験領域(10)に移動する。その後、分析物(3)は、分析物(3)のための固定化された結合パートナー(17)に結合することで、サンドイッチ型アッセイ中の完全な「サンドイッチ」を形成する。
サンプル分析デバイス上のサンプル採取装置(2)からサンプル塗布領域(18)へのサンプルの移動は、好ましくは、直接的な移動であり、すなわち、その移動はサンプル採取装置(2)上でサンプルの事前処理を伴わずに起こる。サンプルまたはサンプル採取装置(2)の事前処理のない実施形態では、圧力(14)が加えられ、サンプル採取装置のフリースがサンプル分析デバイス(1)上のフリースに直接接触する領域で、精密ろ過が生じる。フリースの繊維がインターロック式であるため、格子または物理的干渉が形成される。したがって、サンプル中に含有されるより大きな要素、例えば、細胞片と干渉粒子(4)は阻止されて溶出されない。
サンプル塗布デバイス(1)は、好ましくは、1つ以上の捕捉試薬を含む遮断領域(9)を含んでいる。この遮断領域は、サンプル(20)にある干渉タンパク質および/または遺伝子(5)を捕捉する。捕捉試薬が干渉物質と複数の手法で相互作用することで干渉物質による分析物の検出への干渉を防ぐと、1つ以上の捕捉試薬による干渉物質(4)および(5)の捕捉が生じる。遮断領域(9)が図1に示されているが、捕捉試薬は、捕捉試薬を、溶出媒体中で移動させ、試薬と混合させて試薬で乾燥させ、サンプル塗布領域に組み込ませ、サンプル採取装置のフリース材料に組み込ませ、および/または、線または領域のいずれかとして固定化材料(例えば、ニトロセルロース)上で固定化させることが可能な材料で作られた捕捉領域(9)にあってもよい。これらのいずれか、または、これらの任意の組み合わせのいずれかは、試験とサンプルマトリックスに依存して、本発明の実施形態で使用されてもよい。
サンプル分析デバイス(1)は随意に、複合体領域(8)とサンプル塗布領域(18)の上流の吸収パッド(7)を含む。バッファーが加えられ、サンプル(20)、複合体(15)、および、対照領域結合パートナー(16)を含む試験の構成要素を溶出するために矢印(6)の方向に移動し、検出領域(12)に至る。サンプル分析デバイス(1)は、好ましくは、デバイス(1)の下流端に廃棄物パッド(13)も含む。サンプル分析デバイス(1)は、随意に裏当て(23)も含んでもよい。
本発明のデバイスおよび方法はサンプル圧縮機(30)を含む。使用することができるサンプル圧縮機(30)のいくつかの概略的な例が図2Aと2Bで示される。サンプル圧縮機(30)は好ましくは、ハンドル(31)、伸張部分(32)、および、パッド部分(33)を含む。設計によっては、サンプル圧縮機は、パッド部分(33)が置かれた棚(ledge)部分(34)のような追加部分を含んでいる。具体例が図2Aおよび2Bで示されているが、アッセイの1つ以上の構成要素とサンプルをサンプル分析デバイスに移動させるために圧力をかけることができる任意のサンプル圧縮機(30)が本発明の実施形態で使用可能である。好ましい実施形態では、複合体(36)は複合体領域を形成するパッド(33)上に予め負荷され、乾かされる。いくつかの好ましい実施形態では、対照領域で結合パートナーと複合物を形成可能な標識化された対照(61)も、サンプル圧縮機(30)のパッド(33)にあらかじめ負荷され乾かされる。他の好ましい実施形態では、分析物のための第2の結合パートナー(38)はパッド(33)にある。複合体(36)、第2の結合パートナー(38)、または、対照領域結合パートナー(61)の任意の組み合わせは、サンプル圧縮機(30)のパッド部分(33)上にあってもよい。
図2Cは、サンプル採取装置(35)の例を示す。この実施例において、サンプル採取装置(35)はスワブ材である。サンプル採取装置(35)は好ましくはサンプル採取部(60)を含み、フリースタイプの材料で好ましくは作られる。いくつかの実施形態において、サンプル採取装置(35)は無菌である。
図3A乃至3Cは、サンプル圧縮機(30)、サンプル採取装置(35)、および、サンプル分析デバイス(図中の試験ストリップ)を備えたシステムの1つの実施形態を示す。試験ストリップは好ましくは、吸収パッド(42)、サンプル塗布領域(44)、検出領域(52)、および、随意の廃棄物パッド(47)を含んでいる。試験ストリップは好ましくは、運搬体の裏当て(48)も含む。検出領域(52)は好ましくは、対照領域(46)と同様に、分析物(40)のための固定化された結合パートナー(38)を含む試験領域(45)も含む。この実施形態では、複合体(36)がサンプル圧縮機(30)上にある。サンプル圧縮機(30)からの、複合体(36)の一部である第1の結合パートナー(37)は、試験サンプル中の分析物(40)と結合することで、半サンドイッチを形成し、該サンドイッチは、その後、試験領域(45)で固定化される第2の結合パートナー(38)に輸送される。図3Bに示されているのは、分析物(40)と複合体(36)の一部(37)、分析物(40)、および、第2の結合パートナー(38)間で形成される完全なサンドイッチ(420)である。好ましい実施形態では、サンプル圧縮機(30)上のパッド(33)は、検知可能な標識を備えた対照領域結合パートナー(61)を含む。対照領域結合パートナー(61)は、対照領域(46)中のその結合パートナーと複合物を形成する。先行技術で知られているように、試験ストリップ上またはバッファー中ではなく、サンプル圧縮機(30)上に対照領域結合パートナー(61)を含んでいることによって、この実施形態では複合体(36)と対照領域結合パートナー(61)の両方を含むサンプル圧縮機(30)上の構成要素が、サンプル分析デバイスに効率的に移され、したがって、このシステムの適切な操作を保証するということをユーザーに確約することができる。
1つの実施例において、第1の結合パートナー(37)と第2の結合パートナー(38)の両方は、分析物に対する異なる抗体である。対照領域結合パートナー(61)は好ましくは抗体であり、対照領域におけるその結合パートナーは抗原(あるいは逆もまた同じ)である。他の実施形態では、特異的な結合パートナーは、分析物に対する抗体に結合することができる抗原であってもよい。他の種類の結合パートナーは、アプタマーまたは受容体のような生物有機高分子、ナノ粒子または核酸である。例えば、本発明の図3A乃至3Cで示されるデバイスは、任意の結合アッセイに使用することができ、例えば、リガンド受容体結合アッセイ、および、酵素基質結合アッセイで抗体/抗原または核酸の使用を回避することができる。
操作時、サンプルがサンプル塗布領域(44)上に直接あるように、サンプル採取装置(35)は置かれる。幾つかの実施形態では、サンプル塗布領域(44)上へのサンプル採取装置(35)の配置は、サンプル圧縮機(30)の配置と同時ではない。言いかえれば、これらの実施形態において、サンプル圧縮機(30)が垂直な堆積物に加えられる前に、サンプルのいくつかはサンプル塗布領域(44)に移される。
サンプル圧縮機(30)は、分析物(40)(もし存在すれば)を含むサンプルと複合体(36)をサンプル塗布領域(44)に移すための圧力を用いて、サンプル採取装置(35)上に圧力(51)をかける。サンプル圧縮機(30)上に対照領域結合パートナー(61)も存在する場合、対照領域結合パートナー(61)も移される。移動が圧力によるものであって、流動または毛細管現象ではないことに留意する。その後、バッファー(43)が加えられることで、複合体(36)−分析物(40)の複合物(もしあれば)を検出領域(52)に流動させることが可能となる。その後、試験領域(45)内の固定化された結合パートナー(38)は分析物と結合して、完全なサンドイッチを形成する。複合体(36)が標識(41)を含むので、形成される複合物は検知可能であり、かつ、陽性の結果を示す。試験の適切な操作は、対照領域結合パートナー(61)と対照領域(46)のその固定化されたパートナーとの間の相互作用によって、対照領域(46)で検知可能な陽性結果をもたらす。
示されてはいないが、好ましくはサンプル塗布領域(44)の上流で重なるか上流にある溶解領域が随意に存在してもよい。他の実施形態では、図1に関して議論された領域に類似した、捕捉試薬を含む遮断領域が存在してもよい。
他の実施形態では、複合体領域は、「完全なサンドイッチ」を形成するために、サンプル中の分析物のための両方の結合パートナーを含むことができる。結合パートナーのひとつは、好ましくは、ビオチン、アビジン、レクチン、グリコシル部分、特定のリガンド、または、特異的な受容体のような適切なマーカーを有している。他の結合パートナーは、以下に言及されるような適切なナノ粒子に結合することができる。その後、完全なサンドイッチは試験領域で捕捉され、この試験領域で、限定されないが、ビオチンのためのアビジン、アビジンのためのビオチン、レクチンのためのグリコシル部分、グリコシル部分のためのレクチン、リガンドのための受容体、または、受容体のためのリガンドを含む適切なマーカーの結合パートナーが固定化される。
図20Aは、本発明の実施形態における試験ストリップの例を示す。試験ストリップは好ましくは、吸収パッド(42)、サンプル塗布領域(44)、検出領域(52)、および、随意の廃棄物パッド(47)を含む。試験ストリップは好ましくは、運搬体の裏当て(48)も含む。この実施形態では、サンドイッチ(第1の結合パートナー(513)−分析物(40)−第2の結合パートナー(518)全体が、サンプル塗布領域(44)で形成される。「完全なサンドイッチ」(514)は図20Bで示される。この実施形態における試験領域(45)は、第2の結合パートナー(518)のタグ(519)と結合する、固定化されたタグ(510)を含んでいる。固定化されたタグ(510)は、分析物(40)と直接結合せず、その代わりに、中間物を介して、分析物(40)のための第2の結合パートナー(518)上のタグ(519)と結合する。
この実施形態では、標識化された複合体(505)の一部である第1の結合パートナー(513)は、試験サンプル中の分析物(40)と結合することで、半サンドイッチを形成する。第2の結合パートナー(518)もタグ(519)を含む。この実施形態の第2の結合パートナー(518)は、好ましくは、試験ストリップのサンプル塗布領域(44)上で予め負荷されて乾かされ、その一方で、標識化された複合体(505)は好ましくは、サンプル塗布領域(44)の上流の標識化された複合体領域(515)で予め負荷されて乾かされる。あるいは、第2の結合パートナー(518)および/または標識化された複合体領域(515)は、サンプル塗布領域(44)の重なる部分、サンプル塗布領域(44)の上流、または、サンプル塗布領域(44)と検出領域(52)の間を含むがこれらに限定されない、検出領域(52)の上流の試験ストリップの任意の場所にも位置付けられてもよい。1つの好ましい実施形態では、標識化された(509)複合体(505)の約75−80%は、サンプル塗布領域(サンプル塗布領域(44)に重なる標識化された複合体(505)の約20−25%を含む)の上流にあり、第2の結合パートナー(518)の約75−80%は、サンプル塗布領域(44)(サンプル塗布領域(44)に重なる第2の結合パートナーの約20−25%を含む)の下流に位置する。好ましくはないが、他の実施形態では、サンプルが試験ストリップに加えられる前に、標識化された複合体(505)、第2の結合パートナー(518)、または、その両方のいずれかはバッファー中に配されるか、または、サンプルとあらかじめ混合されてもよい。さらに他の実施形態において、構成要素のいずれかまたはすべては、検出領域(52)に重ねることができる。
幾つかの実施形態では、第1の結合パートナー(513)と第2の結合パートナー(518)の両方は、分析物(40)に対する異なる抗体である。他の実施形態では、特異的な結合パートナーも同様に、分析物に対する抗体と結合可能な抗原であってもよい。他の種類の結合パートナーは、アプタマーまたは受容体のような生物有機高分子、ナノ粒子、または、核酸である。図20Aで示されるデバイスは、任意の結合アッセイに使用することができ、例えば、リガンド受容体結合アッセイおよび酵素基質結合アッセイでの抗体/抗原または核酸の使用を回避することができる。
1つの好ましい実施形態では、第2の結合パートナー(518)は、ビオチンでタグ付け(519)される。第2の結合パートナー(518)上のタグ(519)がビオチンである実施形態において、検出領域(52)中の固定化されたタグ(510)は、好ましくは、アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンである。他の実施形態では、第2の結合パートナー(518)は、アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンでタグ付け(519)される。これらの実施形態において、検出領域(52)中の固定化されたタグ(510)は、好ましくはビオチンである。あるいは、第2の結合パートナー(518)上のタグ(519)はレクチンであってもよく、固定化されたタグ(510)はグリコシル部分であってもよい。例えば、幾つかの実施形態では、レクチンはエンドウレクチンであり、グリコシル部分は赤血球グリコシル単位である。第2の結合パートナーのタグと、固定化されたタグは、本発明の精神の範囲内で逆にされてもよい。例えば、グリコシル部分は検出領域中の固定化されたレクチンタグを含む、第2の結合パートナー上のタグであってもよい。他の実施形態では、他の受容体およびリガンドがタグに使用されてもよい。
操作時、サンプルがサンプル塗布領域(44)上に直接あるように、サンプルを包含するサンプル採取装置は置かれる。好ましい実施形態では、サンプルは、試験ストリップへの塗布の前に事前処理されない。その代わりに、サンプルは依然としてその天然型である。
サンプルは試験ストリップのサンプル塗布領域(44)へと移される。サンドイッチは、パンの第1の欠片として標識化された複合体(505)と、パンの第2の欠片として第2の結合パートナー(518)と、それらの間の分析物(40)とによって形成され、3つの構成要素は流動(43)の間に互いに接触している。標識化された複合体(505)−分析物(40)(もし、存在すれば)−第2の結合パートナー(518)の複合物(完全なサンドイッチ)は、検出領域(52)に流動する。その後、試験領域(45)中の固定化されたタグ(510)はタグ(519)と結合する。標識化された複合体(505)が標識(509)を含んでいるので、形成される複合物は検知可能であり、陽性の結果を示す。試験の適切な操作は、好ましくは、対照領域(46)の対照領域結合パートナーとその固定化されたパートナーとの間の相互作用によって、対照領域(46)で検知可能な陽性結果をもたらす。
示されてはいないが、好ましくはサンプル塗布領域(44)で重なるか、または、代替的に本発明の精神の範囲内で試験ストリップの他の一部にある溶解領域も随意に存在してもよい。
タグを用いるいくつかの好ましい実施形態では、検出領域は、タグに対する抗体を含んでいる。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または、単一のドメイン抗体であってもよい。例えば、タグがビオチンである場合、抗ビオチン抗体は、アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンに代わって試験領域で固定化される。
図4A乃至4Cは、サンプル圧縮機(30)とサンプル採取装置(35)とサンプル分析デバイス(図の試験ストリップ)を備えたシステムの実施形態の例を示す。図3A乃至3Cと同様に、試験ストリップは好ましくは、吸収パッド(42)、サンプル塗布領域(44)、検出領域(52)、および、随意の廃棄物パッド(47)を含む。試験ストリップは好ましくは、運搬体の裏当て(48)を含む。この実施形態では、サンドイッチ(第1の結合パートナー(37)−分析物(40)−第2の結合パートナー(38))全体は、(好ましくは、バッファーの追加の前に)サンプル塗布領域(44)で形成される。幾つかの実施形態では、サンプル塗布領域(44)上のサンプル採取装置(35)の配置は、サンプル圧縮機(30)の配置と同時ではない。言いかえれば、これらの実施形態において、サンプル圧縮機(30)がその垂直の堆積物に加えられる前に、サンプルのいくつかはサンプル塗布領域(44)に移される。
この実施形態での試験領域(45)は、第2の結合パートナー(38)のタグ(39)と結合する固定化されたタグ(50)を含む。この実施形態では、複合体(36)の一部であるとともに、好ましくはサンプル圧縮機(30)のパッド(33)に事前に負荷されて乾かされる第1の結合パートナー(37)は、試験サンプル中の分析物(40)と結合することで、半サンドイッチを形成する。この実施形態の第2の結合パートナー(38)も好ましくは、サンプル圧縮機のパッド(33)に事前に負荷されて乾かされる。第2の結合パートナー(38)はタグ(39)も含む。
(図5A−5B、6A−6B、7B、7C、および、7Dの実施形態と同様に)この実施形態における複合体(36)の結合パートナー(37)、分析物(40)、および、第2の結合パートナー(38)間で形成される完全なサンドイッチ(420)は、図4Bに示される。好ましい実施形態では、サンプル圧縮機(30)上のパッド(33)は、検知可能な標識を含む対照領域結合パートナー(61)(図3Cで示される)も含む。対照領域結合パートナー(61)は、対照領域(46)のその結合パートナーと複合物を形成する。先行技術で知られているように、試験ストリップ上またはバッファー中ではなく、サンプル圧縮機(30)上に対照領域結合パートナー(61)を含んでいることによって、複合体(61)と対照領域結合パートナー(61)の両方を含むサンプル圧縮機(30)上の構成要素が、サンプル分析デバイスに効率的に移され、したがって、このシステムの適切な操作を保証するということをユーザーに確約することができる。
1つの例において、第1の結合パートナー(37)と第2の結合パートナー(38)の両方は、分析物に対する異なる抗体である。対照領域結合パートナー(61)は好ましくは抗体であり、対照領域でのその結合パートナーは抗原(あるいは逆も同じ)である。他の実施形態では、特異的な結合パートナーは、分析物に対する抗体と結合することが可能な抗原でもあってもよい。他の種類の結合パートナーは、アプタマーまたは受容体のような生物有機高分子、ナノ粒子または核酸である。本発明の図4A乃至4Cで示されるデバイスは、任意の結合アッセイに使用することができ、例えば、リガンド受容体結合アッセイおよび酵素基質結合アッセイで、抗体/抗原または核酸の使用を回避することができる。
1つの好ましい実施形態では、第2の結合パートナー(38)はビオチン(39)でタグ付けされる。第2の結合パートナー(38)上のタグ(39)がビオチンである実施形態では、検出領域中の固定化されたタグ(50)は好ましくは、アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンである。他の実施形態では、第2の結合パートナー(38)は、アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンでタグ付け(39)される。これらの実施形態では、検出領域(52)中の固定化されたタグ(50)は好ましくは、ビオチンである。あるいは、第2の結合パートナー(38)上のタグ(39)はレクチンであってもよく、固定化されたタグ(50)はグリコシル部分であってもよい。例えば、幾つかの実施形態では、レクチンはエンドウレクチンであり、グリコシル部分は赤血球グリコシル単位である。第2の結合パートナー上のタグと、固定化されたタグは、本発明の精神の範囲内で逆にされてもよい。例えば、グリコシル部分は、検出領域中の固定化されたレクチンタグを含む、第2の結合パートナー上のタグであってもよい。他の実施形態では、他の受容体およびリガンドはタグに使用されてもよい。
操作時、サンプルがサンプル塗布領域(44)上に直接あるように、サンプル採取装置(35)は置かれる。サンプル圧縮機(30)は、サンプル採取装置(35)に圧力(51)をかける。圧力は、(もし存在するならば分析物(40)を含む)サンプル、複合体(36)、および、タグ付けされた第2の結合パートナー(38)をサンプル塗布領域(44)に移動させる。サンプル圧縮機(30)上に対照領域結合パートナー(61)が存在すれば、対照領域結合パートナー(61)も移される。移動が圧力によるものであって、流動または毛細管現象ではないことに留意する。その後、バッファー(43)が加えられることによって、複合体(36)−分析物(40)(もし存在すれば)−第2の結合パートナー(38)複合物(完全なサンドイッチ)は、検出領域(52)に流動することが可能となる。その後、試験領域(45)中の固定化されたタグ(50)はタグ(39)と結合する。複合体(36)が標識(41)を含んでいるため、形成される複合物は検知可能であり、陽性結果を示す。試験の適切な操作は、好ましくは、対照領域(46)内の対照領域結合パートナー(61)とその固定化されたパートナーとの間の相互作用によって、対照領域(46)で検知可能な陽性結果を同様にもたらす。
示されてはいないが、好ましくはサンプル塗布領域(44)で重なる溶解領域も随意に存在してもよい。他の実施形態では、図1に関して議論された領域と同様に、捕捉試薬を含む遮断領域があってもよい。
別の実施形態では、分析物のための2つの結合パートナーは、「垂直なサンドイッチ」を達成するような方法で位置付けられ、該サンドイッチにおいて、サンプルは第2の面から圧縮される複合体と結合し、ストリップの面でストリップ上に配された他の結合パートナーと、同時にまたは連続して結合することができる。したがって、サンプル中の分析物を挟むことは、ストリップの面の上から送達された複合体からのパートナーと結合することによって、および、材料を送達するサンプルより下のストリップの面に配された第2の結合パートナーと結合することによって、なされる。
図5Aと5Bは、サンプル圧縮機(30)、サンプル採取装置(35)、および、サンプル分析デバイス(図では試験ストリップ)を備えたシステムの実施形態の別の例を示す。図3A乃至3Cと同様に、試験ストリップは好ましくは、吸収パッド(42)、サンプル塗布領域(44)、検出領域(52)、および、随意の廃棄物パッド(47)を含む。試験ストリップは好ましくは、運搬体の裏当て(48)を含む。図4Aおよび4Cで示される実施形態と同様に、この実施形態において、サンドイッチ(第1の結合パートナー(37)−分析物(40)−第2の結合パートナー(38))全体は、サンプル塗布領域(44)で形成される。この実施形態での試験領域(45)は、第2の結合パートナー(38)のタグ(39)と結合する、固定化されたタグ(50)を含む。この実施形態では、複合体(36)の一部であるとともに、好ましくはサンプル圧縮機(30)のパッド(33)に予め負荷されて乾かされる第1の結合パートナー(37)は、試験サンプル中の分析物(40)と結合することで、半サンドイッチを形成する。この実施形態の第2の結合パートナー(38)は好ましくは、試験ストリップのサンプル塗布領域(44)に予め負荷されて乾かされる。第2の結合パートナー(38)もタグ(39)を含む。あるいは、この実施形態の第2の結合パートナー(38)は、サンプル塗布領域の重なる部分、サンプル塗布領域の上流、および、サンプル塗布領域と検出領域の間を含むがこれらに限定されない、検出領域の上流の試験ストリップの任意の場所に位置付けられてもよい。
好ましい実施形態では、サンプル圧縮機(30)上のパッド(33)は、検知可能な標識を含む対照領域結合パートナー(61)(図3Cに示される)を同様に含む。対照領域結合パートナー(61)は、対照領域(46)のその結合パートナーと複合物を形成する。先行技術で知られているように、試験ストリップ上またはバッファー中ではなく、サンプル圧縮機(30)上に対照領域結合パートナー(61)を含んでいることによって、複合体(61)と対照領域結合パートナー(61)の両方を含むサンプル圧縮機(30)上の構成要素が、サンプル分析デバイスに効率的に移され、したがって、このシステムの適切な操作を保証するということをユーザーに確約することができる。
1つの例において、第1の結合パートナー(37)と第2の結合パートナー(38)の両方は、分析物に対する異なる抗体である。対照領域結合パートナー(61)は好ましくは抗体であり、対照領域でのその結合パートナーは抗原(または逆も同じ)である。他の実施形態では、特異的な結合パートナーは、分析物に対する抗体と結合することが可能な抗原であってもよい。他の種類の結合パートナーは、アプタマーまたは受容体のような生物有機高分子、ナノ粒子または核酸である。本発明の図5A−5Bで示されるデバイスは任意の結合アッセイに使用することができ、例えば、リガンド受容体結合アッセイおよび酵素基質結合アッセイで、抗体/抗原または核酸の使用を回避することができる。
1つの好ましい実施形態では、第2の結合パートナー(38)はビオチン(39)でタグ付けされる。第2の結合パートナー(38)上のタグ(39)がビオチンである実施形態では、検出領域中で固定化されたタグ(50)は好ましくは、アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンである。他の実施形態では、第2の結合パートナー(38)はアビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジンでタグ付け(39)される。これらの実施形態では、検出領域(52)中の固定化されたタグ(50)は好ましくはビオチンである。あるいは、第2の結合パートナー(38)上のタグ(39)はレクチンであってもよく、固定化されたタグ(50)はグリコシル部分であってもよい。例えば、幾つかの実施形態では、レクチンはエンドウレクチンであり、グリコシル部分は赤血球グリコシル単位である。第2の結合パートナー上のタグと固定化されたタグは本発明の精神の範囲内で逆にされてもよい。例えば、グリコシル部分は、検出領域中の固定化されたレクチンタグを含む、第2の結合パートナー上のタグであってもよい。他の実施形態では、他の受容体とリガンドがタグに使用されてもよい。
操作時、サンプルがサンプル塗布領域(44)上に直接あるように、サンプル採取装置(35)は置かれる。サンプル圧縮機(30)は、(もし存在すれば、分析物(40)を含む)サンプルと複合体(36)をサンプル塗布領域(44)に移すための圧力を用いて、サンプル採取装置(35)上に圧力(51)をかける。「垂直な」サンドイッチは、上部ピースとしての複合体(36)と、下部ピースとしての第2の結合パートナー(38)と、それらの間の分析物(40)とによって形成される。サンプル圧縮機(30)上に対照領域結合パートナー(61)が存在すれば、対照領域結合パートナー(61)も移される。移動が圧力によるものであって、流動または毛細管現象ではないことに留意する。その後、バッファー(43)が加えられることによって、複合体(36)−分析物(40)(もし存在すれば)−第2の結合パートナー(38)の複合物(完全なサンドイッチ)は、検出領域(52)に流動することが可能となる。その後、試験領域(45)中の固定化されたタグ(50)はタグ(39)と結合する。複合体(36)が標識(41)を含んでいるので、形成される複合物は検知可能であり、陽性結果を示す。試験の適切な操作は、好ましくは、対照領域(46)内の対照領域結合パートナー(61)とその固定化されたパートナーとの間の相互作用によって、対照領域(46)で検知可能な陽性結果を同様にもたらす。
示されてはいないが、好ましくはサンプル塗布領域(44)と重なるか、または、サンプル塗布領域(44)の上流に配される溶解領域も随意に存在してもよい。他の実施形態では、図1に関して議論された領域と同様に、捕捉試薬を含む遮断領域があってもよい。
図6Aと6Bは本発明の別の実施形態を示し、サンプル圧縮機(30)は、タグ(39)と結び付いた、分析物(40)のための第2の結合パートナー(38)を含み、試験ストリップは、分析物(40)のための第1の結合パートナー(37)と検知可能な標識(41)との両方を含む複合体(36)、および、試験領域(45)中の第2の結合パートナー上のタグと結合する固定化されたタグ(50)を含む。この実施形態は、「垂直な」サンドイッチが上部ピースとしての第2の結合パートナー(38)と下部ピースとしての複合体(36)と、それらの間の分析物(40)とによって形成されるという点を除けば、図5Aおよび5Bに関して記載された実施形態と同様に作用する。あるいは、この実施形態における複合体(36)は、サンプル塗布領域の重なる部分、サンプル塗布領域の上流、または、サンプル塗布領域と検出領域の間を含むがこれらに限定されない、検出領域の上流の試験ストリップの任意の場所に位置付けられてもよい。
図7A乃至7Dは、検出領域(52)が図3C、4C、5Bおよび6Bのサンプル塗布領域(44)に重なるという点を除けば、これらの図のそれぞれに類似している。これらの実施形態における検出領域は、好ましくは、ニトロセルロースで作られている。側方流動はこれらの実施形態中のアッセイを行うのに厳密には要求されないが、サンドイッチが試験領域で結合することができ、任意の結合されていない複合体が試験領域から洗い流されるように、少なくともわずかな量の流動は好ましい。1つの実施形態では、試験ストリップの端部に塗布されるランニングバッファーの代わりに、洗浄液が試験領域に上からまたは横から、例えば、水筒を用いて直接塗布されてもよい。1つの実施形態では、サンプル圧縮機とサンプル採取装置は、試験ストリップから垂直な堆積物を取り除くことなく試験領域を読むことができるように、十分に透明である。試験領域(45)および対照(46)の両方がこれらの図のサンプル塗布領域内に示されているが、他の実施形態では、対照領域(46)がサンプル塗布領域(44)の下流にある一方で、試験領域(45)はサンプル塗布領域(44)に重なることができることに留意する。対照領域がサンプル塗布領域(44)から側方に下流にあれば、流動を可能にするためにバッファーを加える必要がある。加えて、陽性の結果から信号を強化するために、バッファー(例えば、銀を含むバッファー)を加えることが望ましいこともある。
サンプル圧縮機(30)が分析物(40)のための結合パートナー(37)および(38)を両方とも含む際の図8Aで示されるような一般的な試験ストリップ(80)が使用されてもよい。サンプル圧縮機(30)とサンプル採取装置(35)は、サンプル窓(81)で一般的な試験ストリップ(80)に移されるだろう。試験されている分析物(40)に特異的な要素がサンプル圧縮機(30)上にあるので、一般的な試験ストリップ(80)の表示窓(82)内の試験領域(83)は、分析物(40)のための第2の結合パートナー(38)上のタグ(39)と複合物を形成するタグ(50)さえ有していればよい。例えば、分析物(40)のための第2の結合パートナー(38)がビオチンでタグ付け(39)される際、一般的な試験ストリップ(80)の試験領域(83)は、ビオチンのための結合パートナーであるアビジン(39)を含む。一般的な試験ストリップ(80)は、好ましくは、対照領域(84)とハウジング(85)を含んでいる。図7A乃至7Dの実施形態については、試験領域はサンプル窓(81)に位置する。他の実施形態では、適切なマーカーは、試験領域において固定化された適切な核酸配列とハイブリッド形成することができるヌクレオチド配列になりえる。
サンプル圧縮機とサンプル採取装置は図1乃至8Aでは別の実体として示されているが、サンプル圧縮機のパッド(33)とサンプル採取装置のサンプル採取部(60)は、本発明の精神の範囲内で単一要素の構成要素であってもよい。例えば、サンプルが、サンプル圧縮機パッドに患者をさらすことなく、サンプル採取部を用いて患者から採取可能となるように、そして、サンプル採取部とサンプル圧縮機パッドがその後、圧縮による試験ストリップのサンプル塗布領域への塗布のために接触可能となるように、サンプル採取装置は、カートリッジの一部として、回転自在にまたは柔軟にサンプル圧縮機に接続されてもよい。サンプル採取装置は、試験用カセットに回転自在にまたは柔軟に接続されてもよく、または、カートリッジとして挿入されてもよい。別の実施形態では、サンプルは、圧縮機および/または複合体を所定の位置に置く前に、試験ストリップ上に強制的に直接注入されてもよい。さらに別の実施形態では、サンプル採取装置は、外部のカートリッジ内で複合体と接触してもよく、該カートリッジは試験用カセットを折るかまたは試験用カセットに挿入することで、試験ストリップに接触した材料をもたらす。
幾つかの実施形態では、サンプル圧縮機(30)は、図8Bで示されるように、ハウジング(85)に回転自在に接続される。サンプル圧縮機(30)が開いている際にはストリップの下流側に向かって回転するように、サンプル圧縮機(30)のヒンジは示されているが、ハウジングは、サンプル圧縮機(30)が本発明の精神の範囲内でいずれかの側に、または、他の方向にヒンジで連結されるように設計可能である。サンプル採取装置(35)のサンプル採取部(60)は、ハウジング(85)の横の挿入穴部(88)とぴったりと合うように、横から挿入されるのが好ましい。しかしながら、サンプル採取装置(35)は、ハウジングの設計に依存して任意の方向に挿入可能である。サンプル圧縮機(30)は好ましくは、試験ストリップ(80)のサンプル塗布領域に面するサンプル圧縮機の面に配置された、1つ以上のアッセイ構成要素を含む、パッド(図8Bでは目に見えない)を含む。圧縮圧力がサンプル圧縮機のパッドと、サンプル採取部と、サンプル塗布領域との垂直な堆積物に加えられることで、サンプルと1以上のアッセイ成分を試験ストリップのサンプル塗布領域に移すように、サンプル圧縮機(30)はその後閉じられる。図8Bのデバイスの遠方の上流端でハウジングから突き出た吸収パッドがある一方で、吸収パッドの長さは変化してもよい。実際に、バッファーを上流端で加えることができる限り(例えば、ハウジング内の塗布窓を通って)、吸収パッドをハウジングの外部で著しく伸ばす必要はない。この実施形態では、サンプル圧縮機を失う可能性はなく、垂直な堆積物を形成する際に、サンプル塗布領域とサンプル圧縮機を一直線に並べる必要はない。これらの実施形態の1つの利点は、サンプルの塗布と、試験領域への流動の実際の開始との間に、時間差を与えることが可能となるということである。言いかえれば、サンドイッチを予め作ることができ、その流動はずっと後で開始されてもよい。
あるいは、パッド(33)は、本発明の精神の範囲内でサンプル圧縮機から離れてもよい。パッドはサンプル採取装置に類似する結合パートナー塗布器上にあってもよい。これらの実施形態において、サンプル塗布領域にサンプルを移すためにサンプル圧縮機によって圧力がかけられる際、結合パートナー塗布器は、サンプル採取部とサンプル塗布領域に配されてもよい。
図9は、試験ストリップのサンプル圧縮機(30)、サンプル採取部(60)を含むサンプル採取装置(35)、塗布器のパッド(64)を含む結合パートナー塗布器(62)、および、サンプル塗布領域(44)を含む垂直な堆積物を示す。結合パートナー塗布器(62)は図9ではハンドルを含んでいるが、結合パートナー塗布器(62)はその代わりに単なるパッドであってもよい。サンプル圧縮機(30)の棚部分(34)は、サンプルを負荷したサンプル採取部(60)と、サンプル中の試験される分析物のための少なくともひとつの結合パートナーを負荷した塗布器パッド(64)とに圧力を加える。圧力は好ましくは、サンプル採取部(60)からサンプルの少なくとも一部を無理やり押し進めることによって塗布器パッド(64)を湿らせ、それによって結合パートナーのいくつかを固定化し、サンプルの少なくともいくつかと結合パートナーのいくつかがサンプル塗布領域(44)に移されるようになる。幾つかの実施形態では、この移動は希釈せずに生じる。しかしながら、少量のサンプル、または、粘着性のあるいは固体のサンプルを用いる実施形態では、追加の液体を用いることで試験ストリップへのサンプルと結合パートナーの移動を促進してもよい。幾つかの実施形態では、図9に示されるように、パッドは、本発明の精神の範囲内で追加の液体またはバッファーを供給するなどして移動を支援するのに使用されてもよいが、サンプル圧縮機にはパッドがない。幾つかの実施形態では、図9に示されるように、サンプル採取部(60)は、垂直な堆積物におけるサンプル圧縮機(30)と塗布器パッド(64)との間に位置付けられることによって、圧縮の間に結合パートナーを試験ストリップに移動させるのに役立つ。あるいは、塗布器パッド(64)は、本発明の精神の範囲内で、サンプル圧縮機(30)とサンプル採取部(60)との間に置かれてもよい。試験領域に到達する前に完全なサンドイッチが形成される実施形態において、2つの結合パートナー塗布器(分析物の結合パートナーにつき別の塗布器)は、本発明の精神の範囲内で垂直な堆積物に任意の順で配されるサンプル採取部、第1の塗布器パッド、および、第2の塗布器とともに使用されてもよい。あるいは、単一の結合パートナー塗布器は、分析物のための結合パートナーを両方とも含むことができる。他の実施形態では、サンプル、第1の結合パートナー、および、第2の結合パートナーは、本発明の精神の範囲内でサンプル圧縮機を用いて、任意の順で試験ストリップに連続して塗布されてもよい。
側方流動デバイスの試験ストリップにサンプルを塗布する方法では、少なくともひとつの外部の結合パートナーは、試験ストリップのサンプル塗布領域に最初に置かれる。外部の結合パートナーは外部パッドに置かれてもよい。試験領域に到達する前に分析物と結合する2つの分析物結合パートナーがある実施形態では、分析物結合パートナーの1つまたは両方が加えられてもよい。サンプルを含むサンプル採取装置は、外部の結合パートナーとサンプル圧縮機の間の垂直な堆積物に配される。サンプル圧縮機は、外部の結合パートナーとサンプルの少なくとも一部とをサンプル塗布領域に移すために、サンプル採取装置に圧力を加える。あるいは、外部の結合パートナーがサンプル圧縮機によって追加および圧縮され、それから取り除かれることができ、その後に、サンプル採取装置がサンプル塗布領域上に積み重ねられ、そこでサンプルは試験ストリップ上に圧縮される。別の代替的な実施形態では、少なくともひとつの外部の結合パートナーは、サンプル圧縮機とサンプル採取装置との間の垂直な堆積物に置かれる。あるいは、サンプル採取装置が加えられ圧縮され、それから取り除かれる。その後に、外部の結合パートナーが試験ストリップ上に加えられて、圧縮される。他の実施形態では、サンプル採取装置は、第1の外部の結合パートナーと第2の外部の結合パートナーとの間の垂直な堆積物のなかにあり、サンプル圧縮機はその垂直な堆積物に圧力を加える。これらの実施形態では、ストリップもサンプル圧縮機も特定の分析物結合パートナーを有していない。サンプル、分析物結合パートナー、および、流動性の対照結合パートナーも、本発明の精神の範囲内で、任意の組み合わせで複数の工程においてサンプル塗布領域に塗布されてもよい。
あるいは、本発明の側方流動デバイスでは、サンプル圧縮機は、所望の分析物に特異的な成分を含まない一般的なサンプル圧縮機であってもよい。1つの実施形態では、サンプル圧縮機は、アッセイの構成要素を包含していない。対照を含む実施形態では、サンプル圧縮機のパッドは、流動性の対照領域結合パートナーのみを含む。これらの実施形態において、1つ以上の結合パートナー塗布器は、分析物のための少なくともひとつの結合パートナーを含み、サンプルがサンプル塗布領域に移される際に、サンプル圧縮機とサンプル採取装置とを含む垂直な堆積物の一部となる。サンプル、分析物結合パートナー、および、流動性の対照結合パートナーも、本発明の精神の範囲内で、任意の組み合わせにおいて複数の工程でサンプル塗布領域に塗布されてもよい。
本発明の別の実施形態では、サンプル圧縮機(30)はサンプル採取装置としても機能し、サンプル圧縮機のパッド(33)はサンプル採取部としても役立つ。この実施形態において、複合体、第2の結合パートナー、対照領域結合パートナー、および/または、その3つの任意の組み合わせは、好ましくは、パッドがサンプル圧縮機アームに取り付けられるパッド(33)の背面に配される。サンプルの採取が無菌で行われる必要がある実施形態では、サンプル圧縮機(30)は好ましくは、サンプル採取装置としての使用前に放射線によって殺菌される。サンプルはその後、サンプルを獲得する間に患者が複合体または第2の結合パートナーにさらされないように、パッドの前部を用いて採取される。サンプルが試験ストリップのサンプル塗布領域に塗布される際、サンプルが複合体または第2の結合パートナーと混ざり、その両方の少なくとも一部が試験ストリップ上に絞り出されるように、パッドが圧縮されるのが好ましい。
幾つかの実施形態では、本発明の側方流動デバイスは、内蔵型の、オンライン式の、インサイツの信号増幅システムを含んでもよい。サンプル増幅システムは、本発明の精神の範囲内で、サンプル圧縮機と組み合わせて、または、サンプル圧縮機のない方法またはデバイスで、使用されてもよい。コロイド金が複合体の検知可能な標識として使用される実施形態では、試験領域に結合する複合体のコロイド金の信号は、銀増感(silver enhancement)によってさらに増幅可能である。銀塩と銀の顕色剤(developer)の適切な製剤は、サンプル塗布の部位で、または、その上流あるいは下流で、乾燥させることができる。銀の塩と顕色剤は、一緒に、互いに対して上流または下流で、乾燥させることができるか、または、サンプル塗布領域によって分離させることができる。他の実施形態において、システムが追加の抗原を含む複合体と第2の複合体(好ましくは、抗原の特異的な結合パートナーを含むナノ粒子)とを含んでいる堆積物は、信号を増幅するために使用される。第2の複合体は、好ましくは標識も含んでいる。第2の複合体では、結合パートナーは、第1の複合体中の粒子と同じ大きさか、これよりも小さいまたは大きい粒子に結合されてもよい。さらに他の実施形態では、銀増感と堆積強化(stacking enhancement)の両方は同じ試験ストリップ上で使用されてもよい。堆積複合体と銀増感の要素は、一緒に、または、互いに対して上流あるいは下流にあってもよい。これらの実施形態の好ましい特徴は、両方の「積み重ねられる」ナノ粒子および/または銀増感体(enhancer)が、最初は複合物と接触しないが、複合体が試験領域に固定化されている間のみ接触するということである。したがって、さらに優れた特異性が達成される。
複合物が検出領域(52)に到達する前に、分析物(40)、第1の分析物結合パートナー(37)、および、第2の分析物結合パートナー(38)の間で「完全なサンドイッチ」が形成される幾つかの実施形態において(例えば、図4A乃至4C、5A−5B、および、6A−6Bを参照)、複合物が検出領域(52)に到達する前に銀塩および/または銀の顕色剤が完全なサンドイッチと相互に作用するように、銀増感または他の増幅の信号はサンプル塗布領域(44)の上流に配されてもよい。完全なサンドイッチを含む他の実施形態において、検出領域(52)に到達する前に完全なサンドイッチが形成され、銀の塩/顕色剤へと移動するように、銀塩および/または銀の顕色剤は、サンプル塗布領域(44)の下流に位置する。
図10に示されるような先行技術において、試験領域(45)では分析物(40)と標識(41)が一対一対応である。なぜなら、各々の分析物は、複合体(36)上の1つの標識(41)によって、ひとつの固定化された結合パートナー(37)とひとつの固定化された結合パートナー(38)とに結合するからである。
本発明の信号増幅システムでは、増幅源は、サンプル塗布領域、または、その上流あるいは下流を含む、試験ストリップのいかなる場所に位置してもよい。あるいは、増幅源は、バッファー中に、または、サンプル圧縮機上にあってもよい。
図11に示されるような幾つかの実施形態において、多数の複合体が試験領域内で結合した1つの分析物に付随するように、増幅源(70)は複合体上に非特異的に堆積する。この実施形態では、増幅源は好ましくは1つ以上の銀塩であり、銀の顕色剤は、複合物の標識部分(41)としてコロイド金を用いて、アッセイでの信号を強化するために使用されてもよい。銀塩と銀の顕色剤は、分析物の検出を強化する任意の方法で位置付けられるか導入されてもよい。コロイド金が複合体のための検知可能な標識として使用される実施形態では、試験領域内の結合した複合体のコロイド金の信号は、銀増感によって増幅させることができる。銀塩と銀の顕色剤の適切な製剤は、サンプル塗布の部位で、または、その上流あるいは下流で乾燥させることができる。銀の塩と顕色剤は、一緒に、互いに対して上流または下流で、乾燥させることができるか、または、サンプル塗布領域によって分離させることができる。あるいは、銀の塩および/または顕色剤は、緩衝液の一部として含まれることができる。
好ましい実施形態では、銀の塩と顕色剤の混合物は、サンプル塗布領域と試験領域の間の領域で乾かされる。この実施形態では、2つの結合パートナー(ひとつは金の複合体であり、もうひとつはビオチンなどのマーカーで適切にタグ付けされる)間の分析物の完全なサンドイッチは、銀増感領域に移り、それらが捕獲される際に一緒に試験領域に移動する。銀増感は捕獲前に半サンドイッチに適用されてもよいが、銀増感は捕獲後に適用されるのが好ましい。なぜなら、それはさもなければ試験領域における結合に干渉することがあるからである。銀の塩と顕色剤は、限定されないが、図3A乃至3C、4A乃至4C、5A−5B、6A−6B、および、7A乃至7Dで示されるものを含む、本明細書に記載の実施形態のいずれかで使用されてもよい。
さらに別の実施形態では、銀増感領域は、サンプル塗布材料の真下に直接位置する。上に記載されているような両方の結合パートナーを含む圧縮機は、完全なサンドイッチを形成し、すべて1つの場所で銀の塩と顕色剤によって強化されるようになる。その後、この巨大な複合物は試験領域へと移動することができ、この試験領域で複合物は捕獲される。
さらに別の実施形態では、銀増感は、ランニングバッファーに銀の塩と顕色剤を組み込むことによって達成される。他の実施形態では、銀塩および/または銀の顕色剤は、サンプル採取装置が無菌である必要がない状況下で、サンプル圧縮機またはサンプル採取装置に置かれてもよい。さもないと、サンプル採取装置は、例えば、銀塩および/または銀の顕色剤を損なわない放射線などの滅菌技術を用いて、銀塩および/または銀の顕色剤の追加後に殺菌されてもよい。
さらに別の実施形態において、銀塩は、サンプル塗布領域に対する部位、上流、または、下流で乾かされ、銀の顕色剤は、別の工程として表示窓に加えることが可能である。
銀増感を含む好ましい実施形態では、銀が光に敏感であるので、試験は上下逆さまに(カセットが使用される実施形態では、カセットをひっくり返して)実行されるか、または、さもなければ、試験の完了前に周辺光から保護される。
別の実施形態では、試験領域(83)がある表示窓(82)に銀の塩と顕色剤が一緒にまたは別々に加えられる場合、銀増感は別の工程として達成される。表示窓領域(82)がない場合、銀の塩と顕色剤は好ましくは、ストリップの試験領域(83)に加えられる。これらの実施形態のいくつかにおいて、試験ストリップが使用後にまだ濡れているか、または、乾かされている間に、銀増感は試験ストリップに加えられる。これらの実施形態のいくつかにおいて、ストリップは任意のハウジングから取り除かれ、試験領域(83)を包含するストリップの一部は切断されるか、または、一緒にあるいは別に銀増感で処理される。
1つの好ましい実施形態において、ストリップは、試験が行われた後に空気で乾かされる。ストリップの適度な乾燥は、約20〜30分で達成されるが、環境要因に依存する。ストリップが乾いた後、試験領域(83)がある表示窓領域(82)に、一滴または二滴の銀の塩と顕色剤が加えられる。表示窓領域(82)がない場合、銀の塩と顕色剤は好ましくは、ストリップの試験領域(83)に加えられる。これは感度を最小でも五倍高める。銀の塩と顕色剤は、一緒にまたは別々に加えられてもよい。銀増感はほとんど瞬間的に生じ、その結果はさらなる銀増感後の2〜3分以内に好ましくは読み取られる。結果が迅速に読み取られない場合、ストリップは黒くなり、背景は、結果として生じる灰色/黒色の試験線の読み取りを妨げる。洗浄液が表示窓(82)/試験領域(83)に加えられると、この背景は大部分は最小化される。感度は、携帯型の光学読取り装置(例えば、Ocean Optics,Inc.(Dunedin,Florida)によって製造された小型のスペクトロメーター)を使用することで高められてもよい。携帯型の読取り装置は、手で持てるサイズの小型のスペクトロメーターであり、これは、試験線と結合する標識化された複合物の吸光度と反射率を測定する試験線の色強度を定量化する。
試験線の定量化は標準曲線を用いて測定することができる。標準曲線を展開する際に、分析物濃度のいくつかの滴定が作成され、各々の滴定で読み取り装置の出力が記録される。読取り装置は、試験の感度を5乃至10倍上げる。操作時、目に見える試験線を見る検出窓は、直接的な吸光度または反射率の測定が可能となるように、スペクトロメーターの開口部に直接置かれるか、または、その近くに置かれる。
別の好ましい実施形態では、銀の塩および/または顕色剤の溶液は揮発性液体を含む。銀の塩と顕色剤は、単一の溶液に、または、別の溶液として、一緒に作られることができる。室温で蒸発するか、または、容易に蒸発せずに試験を妨げない任意の液体が使用可能である。揮発性溶媒は、第2の結合パートナー(17)(図1を参照)、(38)(図3A乃至3Cおよび7Aを参照)、または、固定化されたタグ(50)(図4A乃至4C、5A−5B、6A−6Bおよび7B乃至7Dを参照)が配される試験領域(83)を構成する膜材料(例えば、ニトロセルロース)を溶かさないような方法で選択される。使用することができる揮発性液体のいくつかの例は、限定されないが、メタノール、イソプロピルアルコール、低濃度ベンゼン、および、低濃度アセトンを含んでいる。銀増感は、銀塩と、好ましくは本来は比較的有機の顕色剤とを有する。試験ストリップがまだ十分に湿っている際に、銀の塩と顕色剤の溶液は、試験領域(83)が試験の最後(例えば、サンプルがストリップに加えられて約10分後)に位置する表示窓領域(82)に加えられる。表示窓領域(82)がない場合、銀の塩と顕色剤は好ましくは、ストリップの試験領域(83)に加えられる。揮発性液体は、これが加えられる領域(試験領域(83))を「乾燥させる」。この実施形態では、ストリップ全体が適度に乾燥するのを待つ必要はない。この実施形態は、所望の領域(試験領域(83))のみの「インサイツの」乾燥をもたらす。
図12に示されるような幾つかの実施形態において、増幅は「堆積」現象によるものであり、この現象では、第2の複合体(74)はアッセイ中に形成された複合物の少なくとも一部上に「積み重なる」。これらの実施形態では、第1の複合体(72)は、追加部分(73)の結合パートナー(76)が特異的に結合するこの追加部分(73)を含み、第2の複合体(74)は好ましくは標識(78)も含む。例えば、第2の結合パートナー(38)がアビジンタグ(39)を含む場合、完全なサンドイッチは固定化されたビオチン(50)によって試験領域で捕獲され、その後、または、同時に、「堆積」複合体は、試験領域で固定化された完全なサンドイッチ上に蓄積するか、または、積み重ねられて、より一層積み重ねられた蓄積物とより優れた信号認識をもたらす。1つの実施形態では、第1の複合体は分析物とトリIgYの抗体に結合した金であり、第2の複合体は、ウサギの抗トリ抗原に結合した赤色ラテックスビーズである。
好ましくは、「堆積」は、試験領域に到達する前に「完全なサンドイッチ」が形成される実施形態でのみ使用される。例えば、図4C、5B、6B、7B、7C、および、7Dで、完全なサンドイッチはサンプル塗布領域で形成される。好ましい実施形態では、標識化された複合体上のマウス抗体は抗原に結合することで、第1の複合物を形成する。第1の複合物は、固定化されたビオチンで標識化されたポリクローナル抗体とすぐに結合することで、第2の複合物として完全なサンドイッチを形成する。
その後、第2の複合物はビオチン標識を介してアビジンによって試験領域で捕獲される。その後、遅らせて放出した抗マウス標識複合体は、試験領域内の第2の複合物でマウス抗体に結合するとともに積み重なる。抗マウス標識複合体は、分析物の複合物が形成された後に試験領域に到達するように、好ましくは配される。抗マウス標識複合体に好ましいいくつかの位置は、サンプル塗布領域内、サンプル塗布領域の上流、予め定義された期間の後にバッファーに加えられること、サンドイッチが形成された後に試験領域に塗布されること、または、流路内であるがその放出を例えば、20〜30秒遅らせるためにカプセルに入れることを含む。この実施形態では、堆積物はアッセイの感度を3乃至5倍高める。
側方流動アッセイのすべてで使用される金の複合体を含む本発明の実施形態において、標識化されて乾かされる抗トリIgYまたは別の非特異的な免疫原性部分は、サンプル塗布領域から上流の試験ストリップ上で、または、代替的にバッファー中で組み込まれる。サンプルが哺乳動物(例えば、ヒト)である場合、非特異的な免疫原性部分は、分析物の結合に干渉しないように、例えば、鳥、魚または植物などの非哺乳動物の生物からであるのが好ましい。その後、第2の複合体(例えば、抗トリIgY)はバッファーによって動かされる。第2の複合体の動きを遅らせることによって、完全なサンドイッチは、流動するとともに、流動性の第2の結合パートナーの場合、タグに固定化されたタグ(例えば、ビオチン−アビジン)を介して試験領域で捕獲物と結合し始めることができる。完全なサンドイッチは試験領域で蓄積し、その後、第1の複合体(例えば、金)上で、第2の複合体(例えば、赤色ラテックスビーズ)と結合してこれを積み重ねる。この実施形態はさらにアッセイの感度を3−5倍高める。分析物のための第2の結合パートナーが試験領域で固定化される実施形態では、半サンドイッチは好ましくは試験領域へ移動し、その後、結合と堆積が起こる。
図11は非特異的な増幅を示し、図12は特異的な増幅を示す。他の実施形態では、特異的な増幅と非特異的な増幅の両方の組み合わせは、信号をさらに増幅するために使用可能である。例として、第1の増幅は、第2の複合体(74)がアッセイ中に形成された複合物の少なくとも一部上に「積み重なる」、図12に関して上に示されて議論されるような「堆積」現象によるものである。多数の複合体が、図11に関して上に示され議論された如く、試験領域で結合した1つの分析物に付随するように、増幅源(70)が複合体上に非特異的に堆積する場合、さらなる増幅が提供される。特異的および非特異的な増幅の他の組み合わせは、代替的に使用可能である。
堆積と信号の強化の別の実施形態では、強化は堆積部分に結合した酵素を使用して行なわれる。1つの例において、酵素は西洋ワサビペルオキシダーゼであり、ウサギ抗マウス抗体に結合する。西洋ワサビペルオキシダーゼは、弱い信号を増幅するためにしばしば使用されるが、弱い信号を強化する他の酵素が代替的に使用されてもよく、これは、限定されないが、アルカリフォスファターゼ、カタラーゼ、ウレアーゼ、および、グルコースオキシダーゼを含む。同様に、複合体または中間物と結合する他の抗体が、代替的に使用可能である。この実施形態にはナノ粒子も微粒子もない。その代わりに、この実施形態は複合体の「可溶性の」形態を含んでいる。この酵素複合体が乾かされる位置は変化することがあり、それは、サンプル塗布領域の上流、下流、または、サンプル塗布領域に重なる位置であってもよい。サンプル圧縮機を含む実施形態では、酵素複合体は代替的にサンプル圧縮機上にあってもよい。酵素複合体は好ましくは、試験ストリップ上で乾かされるが、固定化されない。酵素複合体は、単独で、または、(好ましくはビオチン化された)抗体および/または金と結合した抗体で「サンドイッチ」を形成する他の構成要素と組み合わせて配される。
図14は、堆積部分に結合した酵素を含む検出器の実施形態を示す。対照領域(46)は固定化された第1の対照結合パートナー(110)を含んでいる。試験領域(45)は、膜上の固定化された第1の試験領域結合パートナー(109)を含む。第2の試験領域結合パートナー(101)に結合した第1の分析物結合パートナー(102)は乾かされるか、または、さもなければ、サンプル塗布領域(44)に組み込まれる(例えば、凍結乾燥される)。この図では示されていないが、第1の分析物結合パートナー(102)は、代替的に、サンプル塗布領域(44)の上流または下流に位置付けられることができる。別の分析物結合パートナー(103)のための結合パートナー(107)は酵素(108)に結合して、サンプル塗布領域(44)の上流に位置付けられる。あるいは、第2の分析物結合パートナー(103)のための結合パートナー(107)は、サンプル塗布領域(44)と重なるか、または、サンプル塗布領域(44)の下流に位置付けられる。サンプル圧縮機(30)上のパッド(33)は好ましくは、第1の検知可能な標識(104)に結合した第2の分析物結合パートナー(103)が埋め込まれ、および、対照として役立つ第2の検知可能な標識(106)に結合した第2の対照結合パートナー(105)と好ましくは混合される。
図14は、試験ストリップまたはサンプル圧縮機(30)上の特定の位置の異なる試薬を示しているが、試験ストリップ上のおよび/またはサンプル圧縮機(30)のパッド(33)上の、第2の試験領域結合パートナー(101)と結合した第1の分析物結合パートナー(102)、第2の分析物結合パートナー(103)のための結合パートナー(107)、第1の検知可能な標識(104)と結合した第2の分析物結合パートナー、および、第2の検知可能な標識(106)と結合した第2の対照結合パートナー(105)の各々のための他の位置も同様に可能である。他の実施形態はサンプル圧縮機(30)を必要としない。これらの実施形態において、試薬(101)、(102)、(103)、(104)、(105)、(106)、(107)、および、(108)は、試験ストリップ上の様々な位置、好ましくは、試験領域(45)の上流に位置している。
サンプルはサンプルスワブ(35)上で得られ、その後、(ハウジングおよびサンプル窓を備えた実施形態で)サンプル窓(81)を通ってサンプル塗布領域(44)に、または、そのままサンプル塗布領域(44)上に置かれる。その後、サンプル圧縮機(30)はサンプル塗布領域(44)上に圧縮される。サンプル圧縮機(30)の吸収性の先端は、サンプル圧縮機(30)を取り除く前に、約15−30秒間、ランニングバッファー中に浸されるのが好ましい。図15Aと15Bは、試薬と分析物の間で形成される異なる複合物を示す。分析物(40)がサンプル中にある場合、分析物は、第1の分析物結合パートナー(102)、および、酵素(108)と結合した結合パートナー(107)と複合物を形成する第2の分析物結合パートナー(103)と複合物を形成する。
分析物(40)がサンプル中にない場合、第2の分析物結合パートナー(103)は、酵素(108)と結合した結合パートナー(107)と依然として複合物を形成するが、サンプルまたは第1の分析物結合パートナー(102)とは複合物を形成しない。第2の試験領域結合パートナー(101)は、分析物(40)がサンプル中にあるかどうかにかかわらず、試験領域(45)内の第1の試験領域結合パートナー(109)と結合する。しかしながら、分析物が存在しない場合、試験線には何も見えない。その結果は約10分で視覚的に読み取られる。目に見える試験線が目に見える対照線に沿って形成されると、その結果はサンプル中の高レベルの分析物を示している。10分間の終わりに、試験線で目に見える線がない場合、酵素のための基質が1滴だけその試験線で加えられる。酵素基質の追加が目に見える信号をもたらす場合、その結果は弱陽性のサンプルを示す。対照線での目に見える線は、第2の検知可能な標識(106)と結合した第2の対照結合パートナー(105)が、対照領域(46)で第1の対照結合パートナー(110)と結合したこと、および、試験が正確に行われたことを示す。図15Cは、対照領域で形成される複合物を示す。
例として、単純ヘルペスウイルス(HSV)検出器は、図14に示されるように以下の部分を含む。対照領域(46)は固定化されたウサギ抗トリIgY抗体(110)を含む。試験領域(45)は、ニトロセルロース膜に固定化されたニュートラアビジン(109)を含んでいる。ビオチン化した(101)ポリクローナル抗体HSV−1および/またはHSV−2(102)は、サンプル塗布領域(44)上で乾かされる。この図では示されていないが、抗HSV−1/HSV−2(102)はその代わりにサンプル塗布領域(44)の上流または下流で乾燥させることができる。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(108)と結合したウサギ抗マウスIgG(H&L)(107)は、サンプル塗布領域(44)の上流で乾かされる。あるいは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(108)と結合したウサギ抗マウスIgG(107)は、サンプル塗布領域(44)と重なるか、または、サンプル塗布領域(44)の下流に位置付けられることができる。サンプル圧縮機(30)上のパッド(33)は、好ましくは、コロイド金(104)と結合したマウスモノクローナル抗gD 1&2(103)(単純ヘルペスウイルスの糖タンパク質Dに対するモノクローナル抗体)が埋め込まれ、対照として役立つ青色で染色したラテックスビーズ(106)と結合したトリIgY(105)と混合される。
サンプルはサンプルスワブ(35)上で得られ、その後、(ハウジングおよびサンプル窓を備えた実施形態で)サンプル窓(81)を通ってサンプル塗布領域(44)に、または、そのままサンプル塗布領域(44)上に置かれる。その後、サンプル圧縮機(30)はサンプル塗布領域(44)上に圧縮される。サンプル圧縮機(30)の吸収性の先端は、サンプル圧縮機(30)を取り除く前に、約15−30秒間、ランニングバッファーに浸されるのが好ましい。図15Aと15Bは、検査試薬と分析物の間で形成される異なる複合物を示す。HSV(分析物(40))がサンプル中にある場合、HSVは、ビオチン化した(101)ポリクローナル抗HSVl/2(102)と、および、HRP(108)と結合したウサギ抗マウスIgG(107)と複合物を形成する、コロイド金(104)と結合したマウスモノクローナル抗gD1&2(103)と複合物を形成する。
HSVがサンプル中にない場合、コロイド金(104)と結合したモノクローナル抗gD1&2(103)は、HRP(108)と結合したウサギ抗マウスIgG(107)と依然として複合物を形成するが、サンプル、または、ビオチン化した(101)ポリクローナル抗HSVl/2(102)とは複合物を形成しない。ビオチン化した(101)ポリクローナル抗HSVl/2(102)は、HSVがサンプル中にあるかどうかにかかわらず、試験領域(45)内でニュートラアビジン(109)と結合するであろう。しかしながら、HSVが存在しなければ、ビオチン化した(101)ポリクローナル抗HSV 1/2(102)は試験線では目に見えない。その結果は約10分で視覚的に読み取られる。目に見える赤色の試験線が青色の対照線に沿って形成されると、その結果はサンプル中の高レベルのHSVを示す。10分間の終わりに、試験線で赤い線が目に見えない場合、酵素基質TMBM(または、西洋ワサビペルオキシダーゼ用のための別の基質)の一滴が試験線で加えられる。TMBMの追加が青/紫の試験線に結果として生じる場合、結果は弱い陽性サンプルを示す。対照線の青色線は、青色に染色したラテックスビーズ(106)と結合したトリIgY(105)が対照領域(46)内のウサギ抗トリIgY(110)に結合したこと、および、試験が正確に行われたことを示唆している。図15Cは、対照領域で形成される複合物を示す。
この実施形態では、ポイント・オブ・ケア検査は酵素結合のものになり、増幅は酵素と基質の量に依存し、時間とともに増加する。これは、コロイド金のようなナノ粒子、または、ラテックスビーズのような微粒子に対して視覚的にタグ付けされた複合体では生じない。加えて、試験線の結果は、抗原−抗体イムノアッセイによるものではなく、ニュートラアビジンとビオチン間のような、リガンドと受容体の間の結合アッセイによるものである。試験線での結合は免疫学的結合によるものではなく、化学的結合によるものである。したがって、それは酵素イムノアッセイ法(ELISAまたはEIA)ではない。その代わりに、サンプル圧縮機とともに使用される際、それは、酵素結合のクロモフィルトグラフィ(chromofiltography)、または、直接的な複数面の酵素クロモフィルトグラフィである。試験線に酵素基質を加えるという追加工程でも、試験を行なうことは依然として容易である。
図16、17Aおよび17Bに示される代替的な堆積の実施形態では、酵素は、複合体と堆積部分の両方の上で検知可能な標識に物理的に結合される。1つの例において、酵素は目に見えて検知可能なビーズ(例えば、赤色ラテックスビーズ)をコーティングし、ウサギ抗マウス抗体と結合している。西洋ワサビペルオキシダーゼは、弱い信号を増幅するためにしばしば使用されるが、弱い信号を強化する他の酵素が代替的に使用されてもよく、これは、限定されないが、アルカリフォスファターゼ、カタラーゼ、ウレアーゼ、および、グルコースオキシダーゼを含む。同様に、複合体または中間物と結合する他の抗体が代替的に使用可能である。この実施形態にはナノ粒子も微粒子もない。代わりに、この実施形態は複合体の「可溶性の」形態を含んでいる。この酵素複合体が乾かされる位置は変えることができ、サンプル塗布領域の上流、下流、またはサンプル塗布領域に重ねてもよい。サンプル圧縮機を備えた実施形態では、酵素複合体は代替的にサンプル圧縮機上にあってもよい。酵素複合体は好ましくは、試験ストリップ上で乾かされるが、固定化はされない。それは、単独で、または、好ましくはビオチン化される抗体を用いて「サンドイッチ」を形成する他の構成要素と組み合わせて位置付けられる。
図16は、複合体と堆積部分の両方の上で検知可能な標識に物理的に結合された酵素を含む検出器の実施形態を示す。対照領域(46)は、図14に示される検出器と類似した、固定化された第1の対照結合パートナー(110)を含む。試験領域(45)は、膜上の固定化された第1の試験領域結合パートナー(209)を含んでいる。第2の試験領域結合パートナー(201)と結合した第1の分析物結合パートナー(202)は、サンプル塗布領域(44)で乾かされるか、または、さもなければ、組み込まれる(例えば、凍結乾燥される)。この図では示されていないが、第1の分析物結合パートナー(202)は、代替的に、サンプル塗布領域(44)の上流または下流に位置付けられる。
酵素(208)と結合するとともに検知可能な標識(215)(これは酵素(208)とも結合する)と結合する第2の分析物結合パートナー(203)のための結合パートナー(207)は、サンプル圧縮機(30)のパッド(33)に好ましくは埋め込まれる。他の実施形態では、検知可能な標識(215)と結合した、第2の分析物結合パートナー(203)のための結合パートナー(207)のみがあり、検知可能な標識も酵素(208)と結合している。幾つかの実施形態では、酵素(208)は、検知可能な標識(215)をコーティングすることによって検知可能な標識(215)に結合している。幾つかの実施形態では、酵素(208)と結合した結合パートナー(207)と、検知可能な標識(215)(これは酵素(208)とも結合している)と結合した結合パートナー(207)は、試験ストリップ上に位置付けられるか、サンプル塗布領域(44)と重なるか、または、サンプル塗布領域(44)の上流または下流に位置付けられることができる。サンプル圧縮機(30)上のパッド(33)は好ましくは、酵素(208)でコーティングされた検知可能な標識(204)と結合した第2の分析物結合パートナー(203)が埋め込まれ、これは、対照として役立つ検知可能な標識(106)(図14に示される)と結合した第2の対照結合パートナー(105)と好ましくは混合されている。
図16が試験ストリップまたはサンプル圧縮機(30)上の特定の位置の異なる試薬を示しているが、試験ストリップ上のおよび/またはサンプル圧縮機(30)のパッド(33)上の、第2の試験領域結合パートナー(201)と結合した第1の分析物結合パートナー(202)、酵素(208)と結合した結合パートナー(207)に加えて、酵素でコーティングされた検知可能な標識(215)と結合した結合パートナー(207)、および、検知可能な標識(106)と結合した第2の対照結合パートナー(105)の各々のための他の位置も同様に可能である。他の実施形態はサンプル圧縮機(30)を必要としない。これらの実施形態において、試薬(201)、(202)、(203)、(204)、(105)、(106)、(207)、(208)、および、(215)は、試験ストリップ上の様々な位置で、好ましくは試験領域(45)の上流に位置付けられる。
サンプルはサンプルスワブ(35)上で得られ、その後、(ハウジングとサンプル窓を備えた実施形態で)サンプル窓(81)を通ってサンプル塗布領域(44)に、または、そのままサンプル塗布領域(44)上に置かれる。その後、サンプル圧縮機(30)はサンプル塗布領域(44)上に圧縮される。サンプル圧縮機(30)の吸収性の先端は、サンプル圧縮機(30)を取り除く前に、約15−30秒間、ランニングバッファーに浸されるのが好ましい。図17Aと17Bは、試験試薬と分析物の間で形成される異なる複合物を示す。分析物(40)がサンプル中にある場合、第1の分析物結合パートナー(202)と第2の分析物結合パートナー(203)とによって複合物を形成する。第2の分析物結合パートナーは、結合パートナー(207)とも複合物を形成する。
分析物(40)がサンプル中にない場合、第2の分析物結合パートナー(203)は依然として結合パートナー(207)と複合物を形成するが、サンプルまたは第1の分析物結合パートナー(202)とは複合物を形成しない。第2の試験領域結合パートナー(201)は、分析物(40)がサンプル中にあるかどうかにかかわらず、試験領域(45)の第1の試験領域結合パートナー(209)と結合する。しかしながら、分析物(40)が存在しない場合、第1の分析物結合パートナー(202)と結合されるとともに、第1の試験領域結合パートナー(209)と複合物を形成する第2の試験領域結合パートナー(201)は、試験線では目に見えない。その結果は約10分間で視覚的に読み取られる。目に見える試験線が目に見える対照線に沿って形成されると、その結果はサンプル中の高レベルの分析物を示唆する。10分間の終わりに、試験線に目に見える線がない場合、酵素基質が一滴だけ試験線で加えられる。酵素基質の追加が目に見える試験線をもたらす場合、その結果は弱陽性のサンプルを示唆する。対照線で目に見える線は、第2の対照結合パートナー(105)が対照領域(46)内の第1の対照結合パートナー(110)と結合したこと、および、試験が正確に行われたことを示唆している。対照線の複合物は、図15Cに示される。
この実施形態では、酵素は、検知可能な標識(例えば、ラテックスビーズ)に物理的に結合され、検知可能な標識とともに移動する。したがって、特異性と背景の問題は改善される。高レベルの抗原では、陽性の結果は、目に見える線によって容易に目に見えて検知可能である。非常に低いレベルでは、酵素増幅された発色反応を得るために、酵素基質は結果窓に加えられる。酵素(208)と検知可能な酵素(215)を含む結合パートナー(207)を含む試薬の多くを、サンプル圧縮機上に置くことによって、これらの試薬はストリップ上にはなくなる。いくつかの好ましい実施形態では、第2の分析物結合パートナー(203)は、(酵素標識された結合パートナーを含む、または、含まない)結合パートナー(207)と事前に混合され、サンプル圧縮機パッド内に埋め込まれることができる。これらの実施形態において、試験ストリップは、第1の試験領域結合パートナー(209)と結合する第2の試験領域結合パートナー(202)を含む。これによって、試験ストリップはイムノアッセイではなく結合アッセイとなる。
例として、単純ヘルペスウイルス(HSV)検出器は、図16に示されるように、以下の部分を含んでいる。対照領域(46)は、図14に示される検出器に類似した、固定化されたウサギ抗トリIgY抗体(110)を含む。試験領域(45)は、ニトロセルロース膜上に固定化されたニュートラアビジン(209)を含んでいる。ビオチン化した(201)ポリクローナル抗HSV−1および/またはHSV−2(202)は、サンプル塗布領域(44)上に乾かされる。この図では示されていないが、抗HSV−l/HSV−2(202)は、サンプル塗布領域(44)の上流または下流で乾かすことができる。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(208)と結合したウサギ抗マウスIgG(H&L)(207)は、赤色ラテックスビーズに結合したウサギ抗マウスIgG(207)を加え、および、サンプル圧縮機(30)のパッド(33)に好ましくは埋め込まれる。他の実施形態では、西洋ワサビペルオキシダーゼでコーティングされた赤色ラテックスビーズ(215)と結合したウサギ抗マウスIgG(207)のみがある。あるいは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(208)と結合したウサギ抗マウスIgG(207)と、西洋ワサビペルオキシダーゼでコーティングされた赤色ラテックスビーズと結合したウサギ抗マウスIgG(207)は、試験ストリップに位置付けられるか、サンプル塗布領域(44)に重なるか、サンプル塗布領域(44)の下流または上流に位置付けられる。サンプル圧縮機(30)上のパッド(33)は好ましくは、西洋ワサビペルオキシダーゼでコーティングされた赤色ラテックスビーズ(204)と結合したマウスモノクローナル抗gD 1&2(203)(単純ヘルペスウイルスの糖タンパク質Dに対するモノクローナル抗体)が埋め込まれ、対照として役立つ青色で染色したラテックスビーズ(106)(図14に示される)と結合したトリIgY(105)と混合されている。
サンプルはサンプルスワブ(35)上で得られ、その後、(ハウジングとサンプル窓を備えた実施形態で)サンプル窓(81)を通ってサンプル塗布領域(44)に、または、そのままサンプル塗布領域(44)上に置かれる。その後、サンプル圧縮機(30)はサンプル塗布領域(44)上に圧縮される。サンプル圧縮機(30)の吸収性の先端は、サンプル圧縮機(30)を取り除く前に、約15−30秒間、ランニングバッファーに浸されるのが好ましい。図17Aと17Bは、試験試薬と分析物の間で形成される異なる複合物を示す。HSV(分析物(40))がサンプル中にある場合、HSVは、ビオチン化した(201)ポリクローナル抗HSVl/2(202)と、赤色ラテックスビーズ(204)と結合したマウスモノクローナル抗gD1&2 (203)と複合物を形成し、マウスモノクローナル抗gD1&2 (203)は、HRP(208)と結合したウサギ抗マウスIgG(207)と、および、西洋ワサビペルオキシダーゼでコーティングされた赤色ラテックスビーズ(215)と結合したウサギ抗マウスIgG(207)と複合物を形成する。
HSVがサンプル中にない場合、赤色ラテックスビーズ(204)と結合したマウスモノクローナル抗gD1&2(203)はウサギ抗マウスIgG(207)と依然として複合物を形成するが、サンプル、または、ビオチン化した(201)ポリクローナル抗HSVl/2(202)とは複合物を形成しない。ビオチン化した(201)ポリクローナル抗HSVl/2(202)は、HSVがサンプル中にあるかどうかにかかわらず、試験領域(45)内のニュートラアビジン(209)と結合する。しかしながら、HSVがまったくなければ、ビオチン化した(201)ポリクローナル抗HSV 1/2(202)は試験線では目に見えないだろう。結果は約10分で視覚的に読み取られる。目に見える赤色の試験線が青色の対照線に沿って形成されると、結果はサンプル中の高レベルのHSVを示唆している。10分間の終わりに試験線に目に見える赤色の線がない場合、酵素基質TMBM(または、西洋ワサビペルオキシダーゼのための別の基質)は一滴だけ試験線で加えられる。TMBMの追加が青/紫の試験線をもたらす場合、結果は弱い陽性サンプルを示す。対照線での青い線は、青く染色したラテックスビーズ(106)と結合したトリIgY(105)が、対照領域(46)内のウサギ抗トリIgY(110)に結合されたこと、および、試験が正確に行われたことを示唆する。対照線の複合物は図15Cで示される。
この実施例において、ウサギ抗マウス抗体は、赤色ラテックスビーズにも結合した酵素と結合しており、追加のウサギ抗マウス抗体は同じビーズに直接結合される。酵素はビーズに物理的に結合され、ビーズとともに移動する。したがって、特異性と背景の問題は改善される。高レベルの抗原では、陽性の結果は、赤い線によって容易に目に見えて検知可能である。非常に低いレベルでは、酵素増幅された発色反応を得るために、酵素基質が結果窓に加えられる。
サンプル圧縮機に(同じビーズ上で結合した酵素に沿って)赤いビーズと結合したウサギ抗マウス抗体を置くため、これらの試薬はストリップ上にない。いくつかの好ましい実施形態では、遊離型のマウスモノクローナル抗gD 1&2は、(酵素標識化したウサギ抗マウスを含むまたは含まない)ウサギ抗マウスで事前に混合され、サンプル圧縮機パッド内に埋め込まれることができる。これらの実施形態で、試験ストリップは、ニュートラアビジンと結合するビオチンを含む。これは試験ストリップをイムノアッセイではなく結合アッセイにする。
図18、19Aおよび19Bは、本発明の別の堆積の実施形態を示す。この実施形態では、酵素は、堆積部分の検知可能な標識に結合され/物理的に結合され、分析物と結合する複合体は検知可能な標識を含んでいない。この実施形態はさらに特異性を高める。1つの例において、酵素は目に見えて検知可能なビーズ(例えば、赤色ラテックスビーズ)をコーティングし、ウサギ抗マウス抗体と結合している。西洋ワサビペルオキシダーゼは、弱い信号を増幅するためにしばしば使用されるが、弱い信号を強化する他の酵素が代替的に使用されてもよく、これは、限定されないが、アルカリフォスファターゼ、カタラーゼ、ウレアーゼ、および、グルコースオキシダーゼを含む。同様に、複合物または中間物と結合する他の抗体が代替的に使用可能である。この実施形態にはナノ粒子も微粒子もない。代わりに、この実施形態は複合物の「可溶性の」形態を含んでいる。この酵素複合体が乾かされる位置は変えることができ、サンプル塗布領域の上流、下流、または、サンプル塗布領域に重なってもよい。サンプル圧縮機を備えた実施形態では、酵素複合体は代替的にサンプル圧縮機上にあってもよい。酵素複合体は好ましくは試験ストリップ上で乾かされるが固定化されない。酵素複合体は、単独で、または、(好ましくはビオチン化される)抗体を用いて「サンドイッチ」を形成する他の構成要素と組み合わせて位置付けられる。
堆積部分の検知可能な標識と、検知可能な標識を含んでいない分析物と結合する複合体とに結合した/物理的に結合した酵素を含む検出器の実施形態は、図18に示される。対照領域(46)は、図14に示される検出器と同様に、固定化された第1の対照結合パートナー(110)を含んでいる。試験領域(45)は、膜上に固定化された第1の試験領域結合パートナー(309)を含む。第2の試験領域結合パートナー(301)と結合した第1の分析物結合パートナー(302)は、乾かされるか、または、さもなければ、サンプル塗布領域(44)に組み込まれる(例えば、凍結乾燥される)。この図では示されていないが、第1の分析物結合パートナー(302)は、サンプル塗布領域(44)の上流または下流に位置付けられる。酵素(308)と結合した第2の分析物結合パートナー(303)のための結合パートナー(307)と、酵素(308)にコーティングされたか、さもなければ結合した検知可能な標識(315)(例えば、ラテックスビーズ)と結合した結合パートナー(307)との混合物は、サンプル圧縮機(30)のパッド(33)へ好ましくは埋め込まれる。他の実施形態では、(例えば、酵素コーティングラテックスビーズによって)酵素(308)とも結合している検知可能な標識(315)と結合した結合パートナー(307)のみがある。酵素と結合している結合パートナー(307)、および、酵素でコーティングされた検知可能な標識(315)に結合した結合パートナー(307)は、この図中のサンプル圧縮機(30)上に示されているが、これらの構成要素は、試験ストリップ上に、サンプル塗布領域(44)に重なっているか、サンプル塗布領域(44)の下流または上流に位置付けられる。サンプル圧縮機(30)上のパッド(33)も、別の分析物結合パートナー(303)が好ましくは埋め込まれる。前述の実施形態とは異なり、第2の分析物結合パートナー(303)は検知可能な標識または酵素とは結合しない。幾つかの実施形態では、第2の分析物結合パートナー(303)は好ましくは、対照として役立つ検知可能な標識(106)(図14に示される)と結合した第2の対照結合パートナー(105)と混合されている。
図18が試験ストリップまたはサンプル圧縮機(30)上の特定の場所における異なる試薬を示す一方で、試験ストリップおよび/またはサンプル圧縮機(30)のパッド(33)上の、第2の試験領域結合パートナー(301)と結合した第1の分析物結合パートナー(302)、酵素(308)と結合した第2の分析物結合パートナー(303)のための結合パートナー(307)と、酵素(308)でコーティングされるか、さもなければ結合される検知可能な標識(315)と結合した結合パートナー(307)との混合物、第2の分析物結合パートナー(303)、および、検知可能な標識(106)と結合した第2の対照結合パートナー(105)の各々の他の場所も可能である。他の実施形態はサンプル圧縮機(30)を必要としない。これらの実施形態において、試薬(301)、(302)、(303)、(304)、(105)、(106)、(307)、(308)、および、(315)は、試験ストリップ上の様々な位置で、好ましくは試験領域(45)の上流に位置付けられる。
サンプルはサンプルスワブ(35)上で得られ、その後、(ハウジングとサンプル窓を備えた実施形態で)サンプル窓(81)を通ってサンプル塗布領域(44)に、または、そのままサンプル塗布領域(44)上に置かれる。その後、サンプル圧縮機(30)はサンプル塗布領域(44)上に圧縮される。サンプル圧縮機(30)の吸収性の先端は、サンプル圧縮機(30)を取り除く前に、約15−30秒間、ランニングバッファーに浸されるのが好ましい。図19Aと19Bは、試験試薬と分析物の間で形成される異なる複合物を示す。分析物(40)は、サンプル中にある場合、第1の分析物結合パートナー(302)と第2の分析物結合パートナー(303)との複合物を形成する。第2の分析物結合パートナー(303)は、結合パートナー(307)とも複合物を形成する。
分析物(40)がサンプル中にない場合、第2の分析物結合パートナー(303)は依然として結合パートナー(307)と複合物を形成するが、サンプルまたは第1の分析物結合パートナー(302)とは複合物を形成しない。第2の試験領域結合パートナー(301)は、分析物がサンプル中にあるかどうかにかかわらず、試験領域(45)の第1の試験領域結合パートナー(309)と結合する。しかしながら、分析物(40)が存在しない場合、結果として生じる複合物は試験線では目に見えないだろう。結果は、約10分間で視覚的に読み取られる。目に見える試験線が目に見える対照線に沿って形成されると、結果はサンプル中の高レベルの分析物(40)を示唆している。10分間の終わりに、試験線に目に見える線がない場合、酵素基質は一滴だけ試験線で加えられる。酵素基質の追加が目に見える試験線をもたらす場合、結果は弱い陽性サンプルを示唆している。対照線での目に見える線は、検知可能な標識(106)と結合した第2の対照結合パートナー(105)が対照領域(46)内の第1の対照結合パートナー(110)と結合したこと、および、試験が正確に行われたことを示唆している。対照線の複合物は図15Cに示される。
この実施形態では、結合パートナー(307)は、検知可能な標識(315)(例えば、ラテックスビーズ)とも結合した酵素(308)と結合しており、追加の結合パートナー(307)は同じ検知可能な標識(315)に直接結合する。酵素は、検知可能な標識に物理的に結合され、検知可能な標識とともに移動する。したがって、特異性と背景の問題は改善される。高レベルの抗原では、陽性の結果は、目に見える線によって容易に目に見えて検知可能である。非常に低いレベルでは、酵素増幅された発色反応を得るために、酵素基質は結果窓に加えられる。
サンプル圧縮機に結合パートナー(307)およびその他の構成要素(308と315)を置くと、これらの試薬がストリップ上にはなくなる。いくつかの好ましい実施形態では、第2の分析物結合パートナー(303)は、(酵素標識化された結合パートナー(307)を含むまたは含まない)結合パートナー(307)と事前に混合され、サンプル圧縮機パッドに埋め込まれることができる。これらの実施形態において、デバイスはビオチンとアビジンのような結合パートナーを含む。これにより、試験ストリップはイムノアッセイではなく結合アッセイになる。
例として、図18に示されるように、単純ヘルペスウイルス(HSV)検出器は以下の部分を含む。
対照領域(46)は、図14に示される検出器のように、固定化されたウサギ抗トリIgY抗体(110)を含む。試験領域(45)は、ニトロセルロース膜上の固定化されたニュートラアビジン(309)を含む。ビオチン化した(301)ポリクローナル抗HSV−1および/またはHSV−2(302)は、サンプル塗布領域(44)上に乾かされる。この図では示されていないが、抗HSV−l/HSV−2(302)は、サンプル塗布領域の上流または下流に位置付けられる。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(308)と結合したウサギ抗マウスIgG(H&L)(307)と、西洋ワサビペルオキシダーゼでコーティングされた赤色ラテックスビーズ(315)と結合したウサギ抗マウスIgG(307)は、好ましくは、サンプル圧縮機のパッド(33)に埋め込まれる。他の実施形態では、西洋ワサビペルオキシダーゼでコーティングされた赤色ラテックスビーズ(315)と結合したウサギ抗マウスIgG(307)だけがある。あるいは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(308)と結合したウサギ抗マウスIgG(307)と、西洋ワサビペルオキシダーゼ(308)でコーティングされた赤色ラテックスビーズと結合したウサギ抗マウスIgG(307)とは、試験ストリップ上に位置付けられるか、サンプル塗布領域(44)に重なるか、または、サンプル塗布領域(44)の下流または上流に位置付けられる。サンプル圧縮機(30)上のパッドは好ましくは、遊離型マウスモノクローナル抗gD 1&2(303)が埋め込まれる。前述の実施形態とは異なり、遊離型マウスモノクローナル抗体(303)は、検知可能な標識または酵素とは結合しない。遊離型マウスモノクローナル抗体(303)は好ましくは、対照として役立つ青色で染色したラテックスビーズ(図14に示される)と結合したトリIgY(105)と混合されている。
サンプルはサンプルスワブ(35)上で得られ、その後、(ハウジングとサンプル窓を備えた実施形態で)サンプル窓(81)を通ってサンプル塗布領域(44)に、または、そのままサンプル塗布領域(44)上に置かれる。その後、サンプル圧縮機(30)はサンプル塗布領域(44)上に圧縮される。サンプル圧縮機(30)の吸収性の先端は、サンプル圧縮機(30)を取り除く前に、約15−30秒間、ランニングバッファーに浸されるのが好ましい。図19Aと19Bは、試験試薬と分析物の間で形成される異なる複合物を示す。HSV(分析物(40))がサンプル中にある場合、HSVは、ビオチン化した(301)ポリクローナル抗HSVl/2(302)と、マウスモノクローナル抗gD1&2(303)と複合物を形成し、マウスモノクローナル抗gD1&2(303)は、HRP(308)と結合したウサギ抗マウスIgG(307)と、西洋ワサビペルオキシダーゼでコーティングされた赤色ラテックスビーズ(315)と結合したウサギ抗マウスIgG(307)と複合物を形成する。
HSVがサンプル中にない場合、マウスモノクローナル抗gD1&2(303)は、ウサギ抗マウスIgG(307)と依然として複合物を形成するが、サンプル、または、ビオチン化した(301)ポリクローナル抗HSVl/2(302)とは複合物を形成しない。ビオチン化した(301)ポリクローナル抗HSVl/2(202)は、HSVがサンプル中にあるかどうかにかかわらず、試験領域(45)でニュートラアビジン(309)と結合する。しかしながら、HSVがまったくなければ、ビオチン化した(301)ポリクローナル抗HSV 1/2(302)は試験線では目に見えない。結果は、約10分間で視覚的に読み取られる。目に見える赤色の試験線が青い対照線に沿って形成されると、結果はサンプル中の高レベルのHSVを示唆している。10分間の終わりに、試験線に目に見える赤色の線がない場合、酵素基質TMBM(または、西洋ワサビペルオキシダーゼのための別の基質)は一滴だけ試験線で加えられる。TMBMの追加が青/紫の試験線をもたらす場合、結果は弱い陽性サンプルを示唆している。対照線における青色の線は、青く染色したラテックスビーズ(106)と結合したトリIgY(105)が、対照領域(46)内のウサギ抗トリIgY(110)に結合されたこと、および、試験が正確に行われたことを示唆している。対照線の複合物は図15Cに示される。
この例において、ウサギ抗マウス抗体は、赤色ラテックスビーズとも結合した酵素と結合し、追加のウサギ抗マウス抗体は同じビーズに直接結合する。酵素は、ビーズに物理的に結合され、ビーズとともに移動する。したがって、特異性と背景の問題は改善される。高レベルの抗原では、陽性の結果は、赤色の線によって容易に目に見えて検知可能である。非常に低いレベルでは、酵素増幅された発色反応を得るために、酵素基質は結果窓に加えられる。
サンプル圧縮機に(同じビーズ上で結合した酵素に沿って)赤色ビーズと結合したウサギ抗マウス抗体を置くため、これらの試薬はストリップ上にはない。いくつかの好ましい実施形態において、遊離型マウスモノクローナル抗gD 1&2は、(酵素標識化したウサギ抗マウスを含むまたは含まない)ウサギ抗マウスで事前に混合され、サンプル圧縮機パッドに埋め込まれている。これらの実施形態において、デバイスはビオチンとアビジンのような結合パートナーを含む。これにより、試験ストリップはイムノアッセイではなく結合アッセイになる。
いくつかの好ましい実施形態では、ニトロセルロースは遮断薬で「遮断され」、それによって反応の特異性は増加する。遮断薬のいくつかの例は、限定されないが、カゼインおよびウシ血清アルブミン(BSA)を含んでいる。ニトロセルロース膜を遮断する際は常に、ニトロセルロースの固有の電荷は中和され、したがって、どの追加のタンパク質も遮断された膜と結合することができない。加えて、クロマトグラフィの構造は変えられ、流動は、従来のクロマトグラフィの代わりに滑空流(gliding flow)または摺動流(sliding flow)に好ましくは似ている。結果は独特のクロモフィルトグラフィ工程である。
図21Aは、強化要素を含む側方流動試験ストリップの別の実施形態を示す。この実施形態は、好ましくは、分析物(40)の代わりに種に特異的な標識化された結合パートナー(407)を含んでいる。例として、分析物のための結合パートナー(402)がマウス抗体である場合、標識化された種に特異的な結合パートナー(407)は抗マウス抗体である。別の例として、分析物のための結合パートナー(402)がウサギ抗体である場合、標識化された種に特異的な結合パートナー(407)は抗ウサギ抗体である。当業者は、任意の種に特異的な結合パートナー(407)、または、分析物(40)には特異的でないが、分析物のための結合パートナー(402)に特異的な他の結合パートナーが、この実施形態で使用可能であることを理解するであろう。当業者は、交差反応を最小限にするために種を選ぶ方法も知るであろう。
サンプル塗布領域(44)は、分析物(40)のための第1の結合パートナー(402)を含んでいる。第1の結合パートナー(402)が検知可能な標識を含まないことに留意する。この実施形態では、第1の結合パートナー(402)のいくつかは、好ましくはタグ付けされ(401)、タグ(401)のための結合パートナー(409)は検知可能な標識で好ましくは標識化される。好ましい実施形態では、タグ付け(401)される第1の結合パートナー(402)の量は、試験中の第1の結合パートナー(402)の総量の1−10%である。
サンプル塗布領域(44)は、第1の結合パートナー(402)の種により第1の結合パートナー(402)と結合する(検知可能な標識(417)と結合した)標識化された種に特異的な結合パートナー(407)も含む。サンプル塗布領域(44)は好ましくは、標識化された(415)の対照結合パートナー(405)を含む。分析物(40)のための第1の結合パートナー(402)、目に見える標識(417)と種に特異的な結合パートナー(407)を含む複合体、および、目に見える標識(415)と結合した対照複合体(405)がこの図のサンプル塗布領域(44)内に示されているが、これらの構成要素の任意の組み合わせは、先の実施形態に述べられているように、試験ストリップ上の(サンプル塗布領域の上流、下流、または、これに重なって)、あるいは、サンプル圧縮機(30)上の任意の場所に位置付けられてもよい。
試験領域(45)は、分析物(40)に対する固定化された第2の結合パートナー(427)を含んでいる。対照領域(46)は、対照結合パートナー(405)のための固定化された結合パートナー(420)を含む。試験領域(45)と対照領域(46)は、ニトロセルロース膜に好ましくは置かれる。
分析物(40)を含むサンプルが試験ストリップに加えられると、第1の結合パートナー(402)は分析物(40)と結合し、「半サンドイッチ」を形成する。これは好ましくは試験ストリップ上の流動なく生じる。ランニングバッファーが塗布されると、それは「半サンドイッチ」を動かす。ランニングバッファーは種に特異的な結合パートナー(407)を動かす。流動中に、種に特異的な結合パートナー(407)は、半サンドイッチにおいて、第1の結合パートナー(402)と相互に作用してこれと結合する。第1の結合パートナー(402)の結合部位が複数あるため、分析物(40)の検出を強化する凝集または堆積の効果がある。試験領域(45)において、今や凝集した複合物または積み重ねられた複合物の一部である分析物(40)は、完全なサンドイッチを形成するために固定化された第2の結合パートナー(427)と結合する。結果は試験領域(45)に形成された強化された目に見える信号である。対照結合パートナー(405)と固定化された対照結合パートナー(420)の間の結合は、検知可能な信号(415)をもたらす。
分析物(40)の存在下で、種に特異的な結合パートナー(407)と結合した検知可能な信号(417)は、複合物の一部であり、目に見えるはずである。目に見える試験線がユーザーによって「読み取」られる場合、試験は分析物(40)の存在について陽性の結果として記録される。試験線が目に見えないかはっきりしない場合、その後、検知可能な標識(例えば、コロイド金またはラテックスビーズ)に結合したタグ(401)のためのタグ結合パートナー(409)を含む流体が一滴以上、試験領域(45)に加えられる。タグ結合パートナー(409)は、第1の結合パートナー(402)上のタグ(401)に瞬間的に結合する。これは、分析物(40)の存在下で試験線の可視性を著しく高める。分析物の不在下で、タグ結合パートナー(409)は消え、試験線は目に見えない。
図21Bは、分析物(40)がサンプル中にある際の試験線で積み重ねられた複合物を示す。図21Cは、タグ(401)と(409)を加えて積み重ねられた複合物を示す。
単純ヘルペスウイルス(HSV)を検知するための図21A乃至21Cで示される実施形態の例では、サンプル塗布領域(44)は、ビオチン化した(401)マウスHSV gD1&2(402)と同様に、(HSVに結合する)遊離型マウスHSV gD 1&2(402)を含んでいる。好ましい実施形態では、遊離型HSV gD1&2(402)の約1−10%はビオチン化(401)している。
サンプル塗布領域(44)は、同様に、赤色ラテックスビーズ(417)と結合したウサギ抗マウス抗体(407)、および、青色ラテックスビーズ(415)と結合した対照トリIgY抗体(405)を含む。ウサギ抗マウス抗体(407)が分析物(40)に特異的ではないことに留意する。その代わりに、それはマウスHSV gD1&2抗体(402)に特異的に結合する。上に議論されたように、HSV gD1&2(402)、ビオチン化した(401)HSV gD1&2(402)、赤色ラテックスビーズに結合したウサギ抗マウス抗体、青色ラテックスビーズに結合したトリIgY抗体、または、これらの要素の任意の組み合わせのいずれかは、代替的に、サンプル塗布領域(44)の上流、下流にあるか、または、重なってもよく、あるいは、サンプル圧縮機(30)が使用される実施形態でサンプル圧縮機(30)上に含まれてもよい。試験領域(45)は、サンプル中にある際にHSV分析物(40)に結合する、固定化されたウサギ抗HSV(427)を含んでいる。対照領域(46)は固定化されたウサギ抗トリ/ウサギIgG(420)を含んでいる。試験領域(45)と対照領域(46)は好ましくは、ニトロセルロース膜に置かれる。
分析物(40)を含むサンプルが試験ストリップに加えられる際、HSV gD1&2(402)はHSV分析物(40)に結合し、「半サンドイッチ」を形成する。これは試験ストリップ上での流動を伴わずに生じる。ランニングバッファーが塗布されると、それは「サンドイッチの半分」を動かす。ランニングバッファーはウサギ抗マウス抗体(407)も動かす。流動中に、ウサギ抗マウス抗体(407)は、半サンドイッチ内のHSV gD1&2(402)抗体と相互に作用して、これに結合する。マウス抗体(402)上に複数の結合部位があるため、分析物(40)の検出を強化する凝集または堆積の効果がある。試験領域(45)では、凝集した、または、積み重なった複合物の分析物(40)(今や凝集したまたは積み重なった複合物の一部である)は、完全なサンドイッチを形成するために、固定化されたウサギ抗HSV(427)と結合する。結果は試験領域(45)における強化された目に見える信号の形成である。対照複合体トリIgY(405)と、固定化されたウサギ抗トリ/ウサギIgG(420)との間で結合が生じ、青色の検知可能な標識(415)をもたらす。
分析物(40)の存在下で、ウサギ抗マウス抗体(407)に結合した赤色ラテックスビーズ(417)は、複合物の一部であり、目に見えるはずである。目に見える試験線がユーザーによって「読み取」られると、試験は、分析物(40)の存在について陽性の結果として記録される。試験線が目に見えないかはっきりしない場合、コロイド金またはラテックスビーズに結合した(409)アビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジンを一滴、試験領域(45)に加える。アビジン、ニュートラアビジン、または、ストレプトアビジン複合物(409)は、即座にHSV gD1&2抗体(402)上のビオチン(401)に結合する。これは、分析物(40)の存在下で試験線の可視性を著しく高める。分析物の不在下で、アビジン、ストレプトアビジン、または、ニュートラアビジン複合物(409)は消え、どの試験線も目に見えない。
幾つかの実施形態では、ニトロセルロース膜の代わりに、中性であるナイロンまたはポリエステルのような膜を使用することができる。これらの実施形態において、ニュートラアビジン、抗体、および、抗原などのタンパク質は、直接固定化されない。その代りに、これらは、膜に「堆積し」て隙間で保持される微粒子と結合する。中性膜の使用が特にこの実施形態に関して示されているが、本発明の他の実施形態で、これらの膜上に堆積した中性膜と微粒子を代替的に使用することができる。
図13は、本発明の側方流動デバイスの実施形態における銀増感と堆積の両方のための信号強化材料のいくつかの好ましい位置を示す。図13は、検出領域の位置について2つの選択肢を概略的に示し、信号強化に特異的な要素のみが図で示されている。
銀増感を含む実施形態では、銀塩(70)は、好ましくは、サンプル塗布領域(44)と試験領域(45)の間の領域(90)に位置することで、サンドイッチの少なくとも一部が銀塩結合の前に形成可能となる。あるいは、銀塩(70)は、サンプル圧縮機(30)のパッド(33)に、サンプル塗布領域(44)に、サンプル塗布領域(44)の上流の領域(92)に、ランニングバッファー(43)中に、または、アッセイが行われた後に直接試験領域(45)上に置かれてもよい。幾つかの実施形態では、銀の顕色剤(71)もサンプル塗布領域と試験領域の間の領域(90)にある。他の実施形態では、銀の顕色剤(71)は、サンプル塗布領域(44)の上流の領域(92)に、ランニングバッファー(43)中に、サンプル圧縮機(30)のパッド(33)に、または、アッセイが行われた後に直接試験領域(45)上にある。
堆積にかかる実施形態では、第1の複合体(72)は、サンプル圧縮機(30)のパッド(33)に、サンプル塗布領域(44)に、サンプル塗布領域(44)の上流の領域(92)に、または、サンプル塗布領域から下流の領域(90)にあってもよい。あるいは、第1の複合体(72)は、サンプル塗布領域の塗布の前に、サンプルと事前に混合されてもよく、この実施形態では、半サンドイッチはアッセイデバイスの外部で形成される。第2の複合体(74)は好ましくは、サンプル塗布領域から下流の領域(92)にある。あるいは、第2の複合体(74)はサンプル圧縮機(30)のパッド(33)にあってもよい。あるいは、第2の複合体(74)は、限定されないが、サンプル塗布領域の上流、複合体の上流を含む、第1の複合体(72)への到達から遅れても可能な位置にあってもよく、または、アッセイ開始後に一度、ランニングバッファー中や直接試験領域に加えられてもよい。好ましくはないが、第1の複合体(72)または第2の複合体(74)のいずれかまたは両方は、代替的にランニングバッファー(43)(図示せず)中にあってもよい。
方法とデバイスはサンドイッチアッセイとして本明細書で記載されているが、本発明の方法およびデバイスは競合アッセイで等しく使用されてもよい。これらの競合アッセイでは、複合体は好ましくは、分析物の結合パートナーよりもむしろ、標識と結合した分析物または分析物アナログを含み、または、代替的に、第2の結合パートナーは、分析物または分析物アナログに置き換えられる。陽性の試験結果は、試験ストリップの試験領域における標識の存在の欠如によって示唆される。
従って、当然のことながら、本明細書に記載された発明の実施形態は発明の原則の適用をたんに示しているにすぎない。例証された実施形態の詳細に対する本明細書での言及は、本発明に必要不可欠であるとみなされる特徴を列挙している請求項の範囲を限定することを意図していない。