JP5854497B2 - Nb−Si系耐熱合金 - Google Patents

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本発明は、高温強度と靭性に優れた、高温耐熱材料として用いられるNb-Si系耐熱合金に関する。
エネルギー、航空宇宙、鉄鋼業、化学工業等の分野では、高温の厳しい環境下で長時間使用可能な機器部材用構成材料、つまり耐熱材料の開発が期待されている。特に、火力発電では、地球環境保全や化石燃料資源保護の観点から、熱効率の向上が求められている。したがって、ガスタービンの運転温度を一層高温化させること、ひいては、ガスタービンの構成材料の耐熱性及び耐久性等の特性を更に向上させることが急務の課題である。
現在、耐熱材料として広く用いられているのはニッケル(Ni)基合金である。しかし、Ni基合金の使用可能温度の上限は1100℃程度であり、その耐熱性の向上はほぼ限界に達している。そのため、Ni基合金に替わる新たな耐熱材料が必要となっている。
新たな耐熱材料としては、Niよりも融点の高いことが必須の条件であり、これを満たすものとして、いわゆる高融点金属が考えられる。その中でも特にニオブ(Nb)は、Niより融点が1000℃以上も高く、しかも軽量であることから、耐熱材料として有望視されている。しかしながら、ニオブ単体を耐熱材料として実用化するには、高温強度及び常温靭性を強化する必要がある。
現在、耐熱材料であるNi基超合金の代替材料候補の一つとしてNb-Si系合金が期待されている。特許文献1には、Nbに2〜10at%のMoと18.7〜26at%のSiを含有し、Nb固溶相中にニオブシリサイドが分散した耐熱構造材料用二相合金が記載されている。本発明者らは、先に、Nb、Si、及び適切な添加物(例えば、Mg)を溶融、凝固させた後、熱処理することによって、新たな組織構成を有するNb基複合体を得る方法に関する発明を特許出願した(特許文献2)。
また、特許文献3には、金属Nb基相と少なくとも1つの金属ケイ化物相とを含み、約9原子%〜約25原子%のSi、約5原子%〜約25原子%のTi、約1原子%〜約30原子%のRe、約1原子%〜約25原子%のCr、約1原子%〜約20原子%のAl、最大約20原子%までのHf、最大約30原子%までのRu、最大約30原子%までのW、Ta及びMoから選択された少なくとも1つの金属、並びに残部のNb、を含む高融点金属の金属間化合物複合材が記載されている。
非特許文献1には、NbにSiを添加し、ニオブシリサイド(Nb5Si3)を析出(共晶)させることによって、Nb固溶体中(母材相)にNb5Si3が分散した複合体組織(Nb‐Nb5Si3)、すなわちニオブ基複合体を形成することが記載されている。また、非特許文献2には、さらにMo及びWを添加することによってNb固溶体を強化し、高温強度を向上させること(固溶体強化)が記載されている。本発明者らは、Nb-18.1at%Si-1.5at%Zr-100ppmMg合金における微細組織の制御についての報告(非特許文献3、4)及びNb-Si-Mo合金へのTa添加によりNb3Siが安定化されるという報告をしている(非特許文献5)。
従来、Ni基合金の製造方法は、より強度のあるNi基耐熱合金の製造を目指して、普通鋳造(CC:Conventionally Cast)合金から、一方向凝固(DS:Directionally Solidified)合金、単結晶(SC:Single Crystal)合金、そして酸化物分散強化型(ODS:oxide dispersion strengthening)合金へとその手法が開発されてきた。
現在、最も過酷な条件下で用いられている耐熱材料であるNi基合金では、より高性能な合金を目指して、SC合金の開発が盛んである。すなわち、粗大なNi結晶粒中に化合物を分散させることによって高い強度を実現している。
現在、Nb基合金の製造方法として可能なのはDSである。Ni基合金と同じく、さらにSCへと改良を進めることが望まれるが、Nbを用いた場合、高温で複数の相変態が起きるため、既存の方法である精密鋳造・一方向凝固は適用できない。従って、現在の金属工学で用いられる手法、すなわち溶融状態からの凝固による直接形成では、Nb基合金をSCに進めることは不可能であると考えられている。Siの量を一桁減らせば、SCを製造することは可能であるが、このように化合物の量を減らすと、現在使用されているNi基合金と比較して、強度が著しく小さくなり、実用に耐えうる材料は製造できない。
特開2003−306736号公報 特開2006−241484号公報 特開2007−031837号公報 Won-Yong Kim, et al., "Materials Science and Engineering ",A346 (2003) p.65-74 Jiangbo Sha, et al.," Materials Science and Engineering ",A364 (2004) p.151-158 S.Miura et al.,"Metall.Mater.Trans.A",36(2005),p.489 S.Miura et al.,"Materials Science and Engineering ",A510-511(2009),p.317-321 S. Miura et al.,"Materials Science Forum", Vols. 654-656(2010) p.444-447
耐熱材料としては、従来は、融点が1300℃程度のNiを主成分とする合金材料を用いており、ジエットエンジンや発電用ガスタービンの動翼材料として用いた場合、これ以上の燃焼効率向上の余地に乏しい。また、耐熱性を上げるために内部に冷却用の空気を流す等するために、製作に複雑な工程を必要としており、コストが高い。
そこで、融点が1900℃以上のNb基合金を用いることにより、耐熱性を確保してエネルギーを効率的に利用し、CO2ガス排出削減、石油等の炭素系資源の有効利用を図ることができると考えられる。
Nb-Si二元系合金は、図8に示す状態図のとおり共晶合金であり、状態図に現れる金属間化合物Nb5Si3は酸化抵抗やクリープ抵抗の改善に有効とされ注目されており、延性に富むNbと優れた高温強度を持つシリサイドとの複合化による高靭性化が期待されているが、Si濃度が10〜15at%程度で室温靭性が大幅に低下する問題がある。Nb-Si系合金の課題の一つとして高温強度を有するとともに室温靭性の改善が挙げられる。また、既存の方法である精密鋳造・一方向凝固が適用できる材料や熱間加工が容易な材料が求められている。
本発明者らは、Nb-Si二元合金は大きな塑性変形を示さないが、Au,Pdから選ばれる1又は2種の元素、又はRh元素を添加し通常の溶融凝固法で製造したNb-Si合金では高温での熱処理により延性Nb中でNb5Si3が球状化して分散した組織とすることができ、強度を犠牲にすることなく優れた塑性変形能を示すNb基合金が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、Siを9.0〜17.5原子%、Au又はPdから選ばれる1又は2種の元素を1原子%以上固溶限度以下含有し残部が不可避不純物及びニオブからなり、Nb母材相中に球状化したNb5Si3粒子を分散したNb/Nb5Si3共晶組織を有することを特徴とするニオブ基耐熱合金、である。この合金は、1200℃における高温三点曲げ試験による変位量が1500μm以上であることを特徴とする。
また、本発明は、Siを9.0〜17.5原子%、Rh元素を1原子%以上固溶限度以下含有し残部が不可避不純物及びニオブからなり、Nb母材相中に球状化したNb 5 Si 3 粒子を分散したNb/Nb 5 Si 3 共晶組織を有することを特徴とするニオブ基耐熱合金、である。
これまでにも、Mo及び/又はW等の他の高融点金属元素を添加することによって、固溶体強化したニオブ基三元系合金が報告されている。しかし、本発明の製造方法は、Nb及びSiに、上述のように、Au,Pdから選ばれる1又は2種の元素、又はRh元素を添加することで、従来の単なる固溶体強化等の特性改善方法では得られなかった特性を有するニオブ基耐熱合金を提供するものである。
本発明の耐熱合金は、ニオブ母体結晶相中に微細な球状のニオブシリサイドが分散した組織形態となっている。このため、耐熱性の他に常温靭性及び延性が特に優れている。したがって、本発明のニオブ基耐熱合金は熱間鍛造等の加工にも適し、耐熱材料として、非常に有用である。
本発明の合金の製造方法と得られる組織を従来のZrを添加元素とした場合と比較して示す概念図である。 Nb-Si合金鋳造材の添加元素による組織の相違を示す図面代用SEM写真である。 実施例のNb-15Si-3Au合金の鋳造のままの組織と熱処理後の組織を示す図面代用SEM写真である。 本発明の実施例及び比較例の合金の熱処理後の室温三点曲げ試験結果を示すグラフである。 本発明の実施例及び比較例の合金の熱処理後の1200℃における高温三点曲げ試験結果を示すグラフである。 高温三点曲げ試験後の試験片の図面代用光学写真である。 三点曲げ試験の概念図である。 Nb-Si二元系合金の状態図である。
<本発明に係るニオブ基耐熱合金の組成と組織>Nb−Si系の二元系合金は、一般に、Nbが17.5at%以下の亜共晶域では、マトリックス(連続相)が延性大なNb相であるのに対して、Nbが17.5at%以上の過共晶域では、延性の低いシリサイドがマトリックスになるため、硬くて脆い材料になり、靭性の確保が難しくなる。
本発明に係るニオブ基耐熱合金中のケイ素の量は亜共晶域の約9原子%〜約17.5原子%の範囲、より好ましくは、10原子%〜約16原子%の範囲内である。ケイ素の量が約9原子%より少ないと、ニオブシリサイドの量が少なくなり耐熱強度が低下する。上限は共晶点が好ましい。球状の金属間化合物Nb5Si3
を形成するためには、Au,Pdから選ばれる1又は2種の元素、又はRh元素(以下「Au等の添加金属」という場合もある)を添加する必要がある。これらの元素の含有量は1原子%以上であれば球状化効果が発揮され、添加量はコストと効果の関係を考慮して選択できるが、固溶限度まで添加は可能である。これらの添加金属は、ニオブ母材相とニオブシリサイドに固溶するが、Nb母材相の固溶量は約2〜6at%である。
このニオブ基耐熱合金は、Nb結晶を含む母材相と、ニオブシリサイドを含む化合物相とを有する複合体である。上記化合物相は、Nb母材相に分散した球状の金属間化合物Nb5Si3である。化合物相の大きさは、より小さいことが好ましい。これは、化合物相のサイズが大きいと、塑性変形抵抗として機能しにくいためである。また、負荷応力で破壊されたときにできる亀裂が化合物相のサイズと同じになることから、化合物相のサイズが大きいと、応力集中しやすくなって靭性が低下する。化合物相の大きさとしては特に限定されないが、直径が1μm又はそれ以下が好ましい。
図1は、本発明の合金の製造方法を従来のZrを添加元素とした場合と比較して示す概念図である。従来の例えばNb-15Si-1.5Zr系合金では、溶解鋳造した凝固体は、Nb3Siを主成分とするニオブシリサイド中に微細なニオブ固溶体が析出したミクロ組織となる。このNb3Siは脆いために合金作成時に亀裂などの欠陥が入る。一方本発明の合金では、溶解鋳造した凝固体は、溶けた状態から直接又はNb+Nb3Si共晶を経由して、ニオブとNb5Si3ラメラ(板状)構造となる。これは、添加金属がNb3Siを極めて不安定化し凝固過程においてNb/Nb5Si3共晶と考えられる組織形態が生じるためであると推察される。最終的にNb5Si3の球状化が進んでいれば靭性向上は達成される。
ニオブシリサイドは高温強度に優れるものの、常温靭性に乏しい。従来のNb-ニオブシリサイド複合体では、そのニオブシリサイドが長く繋がっていたので、シリサイド中の亀裂はどんどん進展し、その結果破壊に至るという問題があった。
しかし、本発明のニオブ基耐熱合金は、上述のような組織構造を有するために、上述した破壊の進行を抑えることができ、高い強度と常温靭性とを有する。しかも、上述した破壊の進行を抑える機構は、低温、高温によらずに有効であるので、本発明のニオブ基耐熱合金は、幅広い温度環境で使用可能である。
<本発明に係るニオブ基耐熱合金の製造方法>本発明のニオブ基耐熱合金の製造方法は、Nb、Si及び、Au等の添加金属の原料を溶融させる溶融工程と、上記溶融工程によって得られた溶融物を共晶凝固させる凝固工程と、上記凝固工程によって得られた凝固物を固体状態で熱処理する熱処理工程とを含んでいればよい。上記溶融工程や共晶凝固工程は、従来公知の合金製造方法において行われる溶融工程、凝固工程を好適に用いることができ、その具体的な手法、条件等については限定されるものではない。
例えば、上記溶融工程における溶融方法としては、アーク溶解法、電子ビーム溶解法、高周波溶解法、光学的加熱法等の方法を適用することが可能である。特に、一方向凝固装置を用いることによって、ニオブ結晶の方位が揃った領域を大きくすることができる。
また、材料を溶融させる前に、粉状の試料を一定の形状にするために、粉末焼結を行ってもよい。つまり、粉末焼結を行う場合は、粉末焼結では溶解状態にならないので、粉末焼結後、上述したような溶融方法で溶融させることになる。溶融工程は、アルゴン等の不活性雰囲気中、又は真空条件で行うことが好ましい。
また、溶融工程で溶解される材料には、それぞれの構成元素(Nb、Si、Au等の添加金属)が単体の状態で含まれていてもよいし、化合物又は合金の状態で含まれていてもよい。また、材料の形態も特に限定されるものではなく、塊、フレーク、又は粉末等の状態にある材料を用いることができる。例えば、高純度のNb塊、Siフレーク、及びAu等の添加金属フレークを材料としてもよいし、Nb、Si、Au等の添加金属の純金属又は合金の粉末を用い、これらの粉末を粉末焼結法等によって処理することで材料を一定の形状にした後、上述した溶融法によって溶融させてもよい。
(熱処理工程)本発明に係る熱処理工程は、上記凝固工程を経た試料を固体状態のまま熱処理する工程である。また、熱処理工程は、真空中又は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
この熱処理工程を経て得られたニオブ基耐熱合金は、Nb結晶を主とする母材相と、ニオブシリサイドを主とする化合物相からなるニオブ基複合体であり、このニオブ基複合体のニオブシリサイドのほとんどはNb5Si3である。また、このニオブ基複合体の組織を観察すると、Nb相(母材相)に球状のNb5Si3相が分散した状態になっている。
以上に述べた溶融工程、凝固工程、及び熱処理工程によってこのような組織のニオブ基複合体が得られるのは、以下のような過程によると考えられる。上述の溶融工程及び凝固工程を経ることによって、材料中のNb及びSiから、Nbを主とするNb相と、薄片状ニオブシリサイド(Nb5Si3)を主とするラメラ構造を有する凝固物を得ることができる。この凝固物に上述の熱処理工程を施すと、上記凝固物中の薄片状Nb5Si3が、熱処理工程によって多数の粒子に分断され、球状化する。
Au等の添加金属の添加なしでは、このような組織は得られない。これは、 Au等の添加金属を加えずに熱処理工程を行った場合には、Nb5Si3の界面エネルギーが等方的ではないことから、球状化過程が進まないためであると考えられる。添加元素がMoやWの場合は、熱処理によっても球状化せず、ラメラのままである。
また、熱処理工程における温度、及び時間は、ラメラ構造のNb5Si3が球状化するように設定されればよく、加熱温度は、1100〜1700℃程度、好ましくは1300〜1700℃程度、さらに好ましくは1500〜1650℃である。
この合金製品は、様々な方法によって所望の物品に加工及び成形することができる。例えば、溶融させた合金製品は、適当な装置内で鋳造することができる。様々なその他の方法(単独又は組合せの)もまた、合金製品を加工処理するために使用することができる。非限定的な実施例には、押出し(例えば、熱間押出し)、鍛造、熱間等静圧圧縮成形及び圧延が含まれる。当業者は、これらの合金の適当な加工熱処理に関する詳細に精通している。
<実施例及び比較例>合金組成をNb-15at%Si-3at%Xとし、添加金属Xは遷移金属であるFe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、又はAuとした。なお、Cuに関してはNbへの固溶限度量が1.2at%であるので1at%添加とした。純度99.9%程度の塊状Nb、純度99.999%程度のSiフレーク、及び純度99%程度の添加金属のフレークを原料とし、アーク溶解し、鋳造して約20gのインゴットを作製した。溶解にはアルゴンアーク溶解炉を用いた。
溶湯を凝固して得られたインゴットを切断し、#180〜#2000まで湿式研磨、アルミナ粉末(粒径0.1μm)で鏡面仕上げし観察試料とした。組織観察にはSEM(JXA-8900(JEOL))を用い、各合金構成相の同定および添加元素の固溶量を測定するために波長分散X線分光分析を行った。また、Nb-15Si-3AuにはさらにTa又はTiを5at%添加した試料も作製し、同様の観察、測定を行った。
図2に、各試料の熱処理後のSEM観察結果を示す。Nb-15Si-3Au合金は、球状化したNb 5 Si 3 粒子を分散したNb母相のNb/Nb5Si3 二相組織を示している。Nb-15Si-3(Cu,Ru,Rh,Pd)合金は、as-cast材中のNb3Siに共析分解が起きていることから分解促進による球状化効果があると結論された。Nb-15Si-3Co合金は、Nb5Si3母相のNb/Nb5Si3二相組織を示している。Co、NiではNb5Si3の代わりに三元化合物相と思われる相が観察された。Nb3Si相への固溶量はどの添加元素も1at%以下と小さいが、Nb5Si3相へは2〜6at%とより大きな固溶量を示した。また、いずれの添加元素も化合物相よりNb相にさらに大きく固溶する。Nbデンドライト初晶への添加元素の固溶量は、添加元素の原子半径がNb原子半径に近づくにつれて大きくなるという傾向が見られた。Nb-Si-Mo合金へのTa添加によりNb3Siが安定化されるという先行研究[非特許文献5]と同様に、Nb-Si-AuにおいてもTa添加によりNb3Siが安定化される一方、Ti添加はNb3Siの安定化に寄与しないという結果が得られた。
次で、各試料を1650℃で100時間、縦型超高温炉を用い、高純度アルゴンガスを流しながら熱処理した。Nb-15Si-3Au合金については、1300℃×100Hr、1500℃×100Hr、1650℃×100Hrでそれぞれ熱処理し、組織を観察した。図3に、Nb-15Si-3Au合金の鋳造のままの組織と熱処理後の組織を示す。
さらに、図4に、常温三点曲げ試験結果を、図5に、1200℃における高温三点曲げ試験結果を示す。また、図6に高温三点曲げ試験後の試験片(Nb-15Si-3Pd及びNb-15Si-3Au)の光学写真を示す。なお三点曲げ試験は、図7に示すように、断面1mmx2mm、長さ10mmの棒状試験片を用い、アルミナピン間の距離を8mmとした。R熱電対で温度を制御した赤外線イメージ炉で加熱し、ピエゾ素子を用いて1ミクロン/秒の速度で中央のピンを押し込み、その移動量を計測した。
図4、図5では、横軸が三点曲げ試験のピンの移動距離、縦軸が荷重である。二元合金では大きな塑性変形が観察されないが、Au、Pdを添加した合金試験片は試験終了まで割れず大きな塑性変形を示した。Ruは途中で破断しているが、その他の添加元素材はほぼ同様の塑性変形能を持っている。
Nb-15Si-1Cu合金は常温曲げ試験結果は優れているが、高温曲げ試験結果は良くない。Au、Pdを添加したNb-Si合金では常温曲げ試験で優れた結果が得られ、高温曲げ試験では変位量が1500μmを超えても破壊しないことが分かる。
本発明の合金は、耐熱材料として非常に適した性質を備えているので、エネルギー、航空宇宙、鉄鋼業、化学工業等において、高温の厳しい環境下で長時間使用可能な機器部材用構成材料として用いることができる。例えば、ジエットエンジンや発電用ガスタービン等の動翼材料として用いることで、ガス燃焼温度を向上させ、熱効率を向上させることができる。

Claims (3)

  1. Siを9.0〜17.5原子%、Au又はPdから選ばれる1又は2種の元素を1原子%以上固溶限度以下含有し残部が不可避不純物及びニオブからなり、Nb母材相中に球状化したNb5Si3粒子を分散したNb/Nb5Si3共晶組織を有することを特徴とするニオブ基耐熱合金。
  2. 1200℃における高温三点曲げ試験による変位量が1500μm以上であることを特徴とする請求項1記載のニオブ基耐熱合金。
  3. Siを9.0〜17.5原子%、Rh元素を1原子%以上固溶限度以下含有し残部が不可避不純物及びニオブからなり、Nb母材相中に球状化したNb 5 Si 3 粒子を分散したNb/Nb 5 Si 3 共晶組織を有することを特徴とするニオブ基耐熱合金。
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