JP5854329B2 - 積層体および包装材料 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー光の照射によって記録が可能な積層体、および、この積層体を含む包装材料に関する。
例えば特許文献1に開示されているように、レーザー光の照射によって情報の記録が可能な積層体が知られている。この積層体は、レーザー光の照射によって発色する発色剤を含んだレーザー発色層を内部に含んでいる。そしてこのような積層体は、例えば、包装材料に使用され、包装対象物となる食品の賞味期限や包装対象物となる製品の製造番号等の印字に利用されている。レーザー光の照射による印字によれば、積層体の内部に位置するレーザー発色層への情報の記録が可能となり、包装材料の表面へ印字するインクジェット印刷等と比較して、擦れ等に起因して印字された文字や図形等の絵柄が消失してしまうことの可能性を大幅に低減することができる。
特開2008−221607号公報
しかしながら、レーザー光を積層体に照射して文字等の絵柄を記録する場合、例えば特許文献1の段落0049にも開示されているように、記録された文字等の絵柄に滲みが発生してしまうという不具合が生じていた。従来、このような不具合の発生は、レーザー光の照射によるレーザー発色層の変質にともない、レーザー発色層とレーザー発色層に隣接する層との間の密着性が低下することに起因していると考えられていた。そこで、特許文献1に開示された発明では、レーザー光の照射条件と、レーザー発色層の組成と、を調節することによって、不具合の改善が図られている。
ところで、記録された文字等の絵柄に滲みが発生してしまう不具合は、溶融押出樹脂層を含む積層体へ印字する際に非常に顕著となる。その一方で、溶融押出樹脂層による直接の積層は、予め作製された樹脂フィルムの積層と比較して、生産性が良く生産コストを低減し得るといった利点がある。したがって、溶融押出樹脂層、とりわけ、安価で取り扱い性に優れた溶融押出ポリプロピレン樹脂層を含んだ積層体へレーザー光を照射した際に、上述した不具合の発生が防止されると非常に都合が良い。
これに対して本件発明者は、酸化チタン、ウレタン樹脂、シリカおよびレーザー発色剤を少なくとも含むレーザー発色層と、溶融押出ポリプロピレン樹脂層と、を備える積層体について鋭意研究を重ねたところ、レーザー発色層と溶融押出ポリプロピレン樹脂層とを直接積層せず、酸化チタンおよび塩素化ポリプロピレン系樹脂を少なくとも含む接着調整層を間に介在させることにより、上述の不具合、すなわち、記録された絵柄の滲みの発生を効果的に抑制し得ることを見いだした。本発明は、このような知見に基づくものであり、レーザー発色層と溶融押出ポリプロピレン樹脂層とを備える積層体であって、滲みの発生を効果的に抑制することができる積層体を提供することを目的とする。
本発明による積層体は、
レーザー光の照射によって記録が可能な積層体であって、
延伸ポリプロピレンフィルムと、
前記延伸ポリプロピレンフィルム上に設けられたレーザー発色層と、
前記レーザー発色層の前記延伸ポリプロピレンフィルムとは反対側の面上に設けられた接着調整層と、
前記接着調整層の前記レーザー発色層とは反対側の面上に設けられた溶融押出ポリプロピレン樹脂層と、を備え、
前記レーザー発色層は、酸化チタンと、ウレタン樹脂と、シリカと、レーザー発色剤と、を少なくとも含み、
前記接着調整層は、酸化チタンと、塩素化ポリプロピレン系樹脂と、を少なくとも含む。
本発明による積層体において、前記接着調整層がシリカをさらに含むようにしてもよい。
本発明による積層体において、前記接着調整層が酸化アルミニウムをさらに含むようにしてもよい。
本発明による積層体において、レーザー光の照射前における前記延伸ポリプロピレンフィルムと前記溶融押出ポリプロピレン樹脂層との間での接着強度は、0.8(N/15mm)以上1.2(N/15mm)以下になっていてもよい。なお、本件における「接着強度」とは、移動速度を50mm/minとし、測定サンプルの幅を15mmとし、その他の条件をJISK6854に準拠して実施するT形はく離接着強さ試験で測定されたはく離接着強さのことである。
本発明による包装材料は、上述した本発明による積層体のいずれかを備える。
本発明によれば、滲みの発生を効果的に抑制することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、積層体の層構成を示す図である。 図2は、積層体を包装材料として用いて作製された包装品の一例を示す斜視図である。 図3は、積層体を包装材料として用いて作製された包装品の他の例を示す斜視図である。
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1は、積層体10の積層方向(法線方向)に沿った断面図であって、積層体10の層構成を説明するための図である。図2および図3は、積層体10を包装材料12として用いた包装品16,17を示す斜視図である。なお、図1においては、層構成の理解のしやすさの便宜上、各層の厚みを、実物の厚みから変更し誇張してある。
ここで説明する積層体10は、レーザー光Lの照射により絵柄18の記録が可能なシート状の部材である。この際、絵柄18の記録は、積層体10の表面ではなく、内部に施される。このため、記録した絵柄18は、耐摩耗性に優れることから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、絵柄18の改ざんも効果的に防止することができる。このような利点から、この積層体10は、食料品等の包装材料12として好適に用いられ、賞味期限、製造日、製造番号、検査結果等の情報を絵柄18として記録され得る。
なお、本明細書で用いる絵柄とは、積層体10に記録または印刷され得る種々の態様の記録対象(印刷対象)のことであり、特に限定されることなく、図形、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。
一例として、図2に、積層体10からなる包装材料12を用いて作製されたガゼット型の包装品16が図示されている。この包装品16には、絵柄18が記録されている。一方、図3には、上方開口を有したカップ状容器17aと、上方開口を閉鎖する蓋体17bと、からなる包装品17が示されている。図3に示された例において、積層体10からなる包装材料12は、金属層と積層されて蓋体17bを構成している。積層体10からなる包装材料12は、蓋体17bの表面側に配置され、外部から視認可能な絵柄18を記録されている。なお、積層体10からなる包装材料12を用いれば、図2および図3の例示に限られることなく、ピロー袋、三方シール袋、スタンディングパウチ等の種々の形態の包装品を作製することができる。また、積層体10の用途は、包装材料に限定されず、種々の用途に適用することができる。
図1に示すように、積層体10は、延伸ポリプロピレンフィルム20と、延伸ポリプロピレンフィルム20上に設けられたレーザー発色層30と、レーザー発色層30の延伸ポリプロピレンフィルム20とは反対側の面上に設けられた接着調整層40と、接着調整層40のレーザー発色層30とは反対側の面上に設けられた溶融押出ポリプロピレン樹脂層50と、を含んでいる。図1に示すように、この積層体10に対して、延伸ポリプロピレンフィルム20の側からレーザー光を照射すると、レーザー発色層30が、レーザー光の照射に応じて発色する。このため、レーザー光の照射領域を制御することによって、積層体10のレーザー発色層30に所望の情報を記録することができる。
延伸ポリプロピレンフィルム20は、後述する製造方法の一例において、基材として機能する層である。延伸ポリプロピレンフィルム20は、安定性、加工性、コスト等の面において、優れており、さらに、耐熱性や耐薬品性を有していることから包装材料12としての用途に好適に用いられる。
なお、情報の記録は、延伸ポリプロピレンフィルム20に隣接するレーザー発色層30に行われる。また、レーザー光の照射は、積層体10の延伸ポリプロピレンフィルム20の側から実施され、積層体10が包装材料12を構成するような場合には、延伸ポリプロピレンフィルム20は最外層を形成する。このため、レーザー発色層30に記録された絵柄18を延伸ポリプロピレンフィルム20を介して視認し得るよう、延伸ポリプロピレンフィルム20は透光性を有していることが好ましい。
次に、レーザー発色層30は、レーザー光の照射により発色する層であり、レーザー発色剤を含んでいる。レーザー発色剤としては、例えば、フルオラン系、フェノチアジン系、スピロピラン系、トリフェニルメタフタリド系、ローダミンラクタム系等のロイコ染料が挙げられる。ロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−アミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ニトロフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(3−ジメチルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
また、レーザー発色層30は、レーザー発色剤に加えて、酸化チタンと、ウレタン樹脂と、シリカと、を少なくとも含有している。これらの含有物は、レーザー発色剤の発色を促進すること、レーザー発色層30の成膜性や密着性を改善すること等を目的として含有されている。後述する接着調整層40の含有物の重量比との組み合わせにおいて、酸化チタン、ウレタン樹脂およびシリカを、それぞれ、15〜25:5〜15:1〜5の重量比でレーザー発色層30に含んでいることが、レーザー光の照射による積層体10への記録時における滲みの発生を効果的に抑制する上で、好ましい。
さらに、レーザー発色層30には、必要に応じて、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、シランカップリング剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、難燃剤、顕色剤などの添加剤を含有させてもよい。
次に、接着調整層40について説明する。接着調整層40は、上述したレーザー発色層30との組み合わせにおいて、酸化チタンと、塩素化ポリプロピレン系樹脂と、を少なくとも含む層である。その一方で、レーザー発色層30とは異なり、接着調整層40は、レーザー発色剤を含んでいない。
この接着調整層40は、レーザー発色層30と後述する溶融押出ポリプロピレン樹脂層50との間の密着性(接着性、接合性)を改善し、積層体10の密着性を向上させるための層である。本件発明者は、レーザー光の照射による積層体10への絵柄18の記録時における滲みの発生を効果的に防止することを目的として鋭意研究した結果として、レーザー発色層30と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50とを直接接合することなく、レーザー発色層30と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50との間に接着調整層40を介在させて、積層体10へのレーザー光の照射の有無とは無関係に、予め、積層体10内における溶融押出ポリプロピレン樹脂層50の密着性を改善しておくことにより、極めて効果的に、レーザー光の照射による積層体10への記録時における滲みの発生を防止し得ることを知見した。
記録時における滲みの発生を抑制する観点からは、上述したレーザー発色層30の含有物の重量比との組み合わせにおいて、酸化チタンおよび塩素化ポリプロピレン系樹脂を、それぞれ、20〜50:5〜15の重量比で接着調整層40に含んでいることが好ましい。
また、種々の用途に応じて、更なる含有物を接着調整層40に添加することも可能である。例えば、積層体10へのレーザー光の照射による情報の記録を行う上で、レーザー発色層30と同様に、接着調整層40にもシリカを含有させることが好ましい。接着調整層40に含有される酸化チタン、塩素化ポリプロピレン系樹脂およびシリカの重量比は、それぞれ、20〜50:5〜15:1〜10とすることが好ましい。
さらに、積層体10へのレーザー光の照射による情報の記録を行う上で、接着調整層40に酸化アルミニウムを含有させることが好ましい。接着調整層40に含有される酸化チタン、塩素化ポリプロピレン系樹脂および酸化アルミニウムの重量比は、それぞれ、20〜50:5〜15:1〜10とすることが好ましい。
さらに、接着調整層40に鉱油が含有されていてもよい。鉱油とは、天然の原油を分離、蒸留、精製される石油系油のことをいう。具体的には、鉱油として、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の油、あるいはこれらを水素化処理、溶剤精製したものなどが挙げられる。接着調整層40に含有される酸化チタン、塩素化ポリプロピレン系樹脂および鉱油の重量比は、それぞれ、20〜50:5〜15:1〜5とすることが好ましい。
次に、溶融押出ポリプロピレン樹脂層50は、ポリプロピレン樹脂を溶融押出法により押し出すことによって作製された層である。溶融押出法により作製される溶融押出ポリプロピレン樹脂層50は、直接、接着調整層40上に積層され得る。すなわち、溶融押出ポリプロピレン樹脂層50については、溶融押出法によるフィルム作製と、接着調整層40との積層とが、同時に実施される。したがって、予め作製されてロール状に巻き取られた樹脂フィルム材を、ロール状態から巻き戻すとともに、アンカーコート剤や接着剤を介して接着調整層40に積層することによって得られる樹脂フィルム層と比較して、溶融押出ポリプロピレン樹脂層50は、生産効率および生産コストの面で格段に優れる。
なお、本件発明者が鋭意研究を重ねたところ、以上の構成からなる積層体10において、接着調整層40と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50との間にアンカーコート層を形成することなく、接着調整層40と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50とを十分に密着させる得ることが確認された。
以上の構成からなる積層体10は、一例として次のようにして、作製され得る。まず、基材となるフィルム材として、延伸ポリプロピレンフィルム20を準備する。積層体10を包装材料12として用いる場合には、延伸ポリプロピレンフィルム20の厚みを、20μm以上50μm以下とすることができる。
次に、レーザー発色層30を形成するようになる固形分を含有したレーザー発色層形成用組成物(レーザー発色層形成用インキ)を準備し、延伸ポリプロピレンフィルム20上に塗布する。レーザー発色層形成用組成物は、レーザー発色層30を構成するようになる固形分、すなわち、酸化チタン、ウレタン樹脂、シリカ、および、レーザー発色剤と、溶剤と、を含んで構成され得る。溶剤としては、印刷用に用いられる公知の溶剤を用いることが可能である。一例として、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、メチルイソブチルケトン、1−メトキシー2−プロパノール、トルエン、キシレンなどの有機溶剤を用いることができる。レーザー発色層形成用組成物を延伸ポリプロピレンフィルム20上に塗布した後、乾燥処理によって、溶剤を蒸発させ、レーザー発色層形成用組成物を固化させる。これにより、延伸ポリプロピレンフィルム20上にレーザー発色層30が形成される。
その後、接着調整層40を形成するようになる固形分を含有した接着調整層形成用組成物(接着調整層形成用インキ)を準備し、レーザー発色層30の延伸ポリプロピレンフィルム20とは反対側の面上に塗布する。接着調整層形成用組成物は、接着調整層40を構成するようになる固形分、すなわち、酸化チタンおよび塩素化ポリプロピレン系樹脂と、溶剤と、さらに好ましくはシリカおよび酸化アルミニウムと、を含んで構成され得る。接着調整層形成用組成物の溶剤は、印刷用に用いられる公知の溶剤、例えば、上述したレーザー発色層形成用組成物で用いられ得る溶剤を用いることが可能である。接着調整層形成用組成物をレーザー発色層30上に塗布した後、乾燥処理によって、溶剤を蒸発させ、接着調整層形成用組成物を固化させる。これにより、レーザー発色層30の延伸ポリプロピレンフィルム20とは反対側の面上に接着調整層40が形成される。
最後に、接着調整層40のレーザー発色層30とは反対側の面上に、溶融ラミネート法により、溶融押出ポリプロピレン樹脂層50を積層することにより、上述した構成の積層体10を得ることができる。なお、積層体10を包装材料12として用いる場合には、溶融押出ポリプロピレン樹脂層50の厚みを、例えば10μm以上20μm以下とすることができる。
以上のような積層体10に対して、図1に示すように、延伸ポリプロピレンフィルム20の側からレーザー光Lを照射することによって、積層体10に絵柄18を記録することができる。
絵柄18の記録に用いられるレーザー光Lは、レーザー発色層30に含有されるレーザー発色剤に応じて、適宜選択され得り、特に限定されるものではない。例えば、YAGレーザー(1064nm)、YVOレーザー(1064nm)等から発振されるレーザー光を、用いることができる。レーザー光の照射は、積層体10の損傷が生じないようにレーザーパワー〔%〕、Qスイッチ周波数〔Hz〕および走査速度〔mm/秒〕を制御して、実施される。
延伸ポリプロピレンフィルム20を透過したレーザー光が、レーザー発色層30に照射されると、レーザー発色剤の分解、気化、炭化等が誘因され、レーザー光の走査経路に沿った絵柄18が、積層体10に記録され視認されるようになる。
上述したように、ここで説明した積層体10は、延伸ポリプロピレンフィルム20、レーザー発色層30、接着調整層40および溶融押出ポリプロピレン樹脂層50の四つの層を、この順番で積層して形成されている。そして、レーザー発色層30は、酸化チタンと、ウレタン樹脂と、シリカと、レーザー発色剤と、を少なくとも含み、接着調整層40は、酸化チタンと、塩素化ポリプロピレン系樹脂と、を少なくとも含んでいる。また、接着調整層40は、レーザー発色層30に含まれたレーザー発色剤と同一のレーザー発色剤を含んでいない。そして、このような構成の積層体10によれば、レーザー光の照射による積層体10への絵柄18の記録時における滲みの発生を極めて効果的に防止することができる。
このような積層体10によって、レーザー光を用いて積層体10へ絵柄18を記録する際に滲みの発生が効果的に防止され得ることについて、正確で詳細な理由は不明であるが、次のことがその理由と推定され得る。ただし、本発明は、次の推定に限定されるものではない。
ここで説明した積層体10では、レーザー発色層30と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50とが直接接合されることなく、レーザー発色層30と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50との間に接着調整層40が介在している。この接着調整層40は、レーザー発色層30と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50に対して良好な密着性を呈し得る。実際に本件発明者らが剥離試験を行ったところ、積層体10の剥離は、層間剥離ではなくインキ凝集剥離であった。結果として、たとえレーザー光が照射されてレーザー発色層30が変質したとしても、接着調整層40は、当該レーザー発色層30に対して高い親和性を示し続けるものと予想される。また、接着調整層40は、レーザー発色剤が含まれていないので、レーザー光を照射されたとしても大きく変質しないと考えられる。すなわち、接着調整層40によれば、生産効率が良く安価に作製され得る溶融押出ポリプロピレン樹脂層50を用いながら、積層体10の全体としての密着性を大幅に改善できるものと推測される。このため、レーザー光の照射によって積層体10のレーザー発色層30が変質したとしても、一般的に密着力が弱くなる傾向のある溶融押出ポリプロピレン樹脂層50が積層体10から剥離してしまうこともなく、結果として、レーザー光の照射による積層体10への絵柄18の記録時における滲みの発生が極めて効果的に防止されているものと推定される。
後述する実施例でも実証されているように、ここで説明して積層体10によればレーザー発色層30と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50との間に接着調整層40を介在させることにより、接着調整層40を設けることなくレーザー発色層30と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50とを直接接合した積層体と比較して、レーザー光の照射前における延伸ポリプロピレンフィルム20と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50との間での接着強度を大幅に向上させることができた。そして、本件発明者が鋭意実験を繰り返したところ、レーザー光の照射による積層体10への絵柄18の記録時における滲みの発生を防止する観点からは、レーザー光の照射前における延伸ポリプロピレンフィルム20と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50との間での接着強度が、0.8(N/15mm)以上1.2(N/15mm)以下になっていることが有効であった。なお、本件における「接着強度」とは、移動速度を50mm/minとし、測定サンプルの幅を15mmとし、その他の条件をJISK6854に準拠して実施するT形はく離接着強さ試験で測定されたはく離接着強さのことである。
以上のように本実施の形態によれば、レーザー発色層30と溶融押出ポリプロピレン樹脂層50とを備える積層体10において、滲みの発生を効果的に抑制することができる。
なお、以上において、図示する一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
以下、実施例及び比較例に基いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
〔実施例1〜3〕
厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面上に、グラビア印刷機を用いて、レーザー発色層形成用組成物(レーザー発色層形成用インキ)を塗布した。レーザー発色層形成用組成物は、ウレタン系インキに希釈溶剤を混合して調整した。希釈溶剤は、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸n−プロピル、イソプロピルアルコール(IPA)を、3:5:2の重量比で混合することにより得た。一方、ウレタン系インキは、酸化チタン、ウレタン樹脂、シリカおよびレーザー発色剤を含む東京インキ製の「LG−LSインジ剤A」を用いた。レーザー発色層形成用組成物は、酸化チタンを15〜25重量%で、ウレタン樹脂を5〜15重量%で、シリカを1〜5重量%で含むようにした。延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面上に塗布されたレーザー発色層形成用組成物を乾燥させて、延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面上にレーザー発色層を形成した。実施例1〜3に係る積層体の作製おいて、レーザー発色層形成用組成物を塗布するために用いたグラビア版のセルの深さ、および、レーザー発色層形成用組成物の乾燥後の塗布量〔g/m〕を、表1に示すように変化させた。
レーザー発色層の延伸ポリプロピレンフィルムとは反対側の面上に、グラビア印刷機を用いて、接着調整層形成用組成物(接着調整層形成用インキ)を塗布した。接着調整層形成用組成物は、塩素化ポリプロピレン系インキに希釈溶剤を混合して調整した。希釈溶剤は、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)を、4:4:2の重量比で混合することにより得た。一方、塩素化ポリプロピレン系インキは、酸化チタン、塩素化ポリプロピレン系樹脂、シリカおよび酸化アルミニウムを含む東洋インキ製の「NEWMAX67白」を用いた。接着調整層形成用組成粒は、酸化チタンを20〜50重量%で、塩素化ポリプロピレン系樹脂を5〜15重量%で、シリカを1〜10重量%で、酸化アルミニウム1〜10重量%で含むようにした。レーザー発色層の延伸ポリプロピレンフィルムとは反対側の面上に塗布された接着調整層形成用組成物を乾燥させて、レーザー発色層の一方の面上に接着調整層を形成した。実施例1〜3に係る積層体の作製おいて、接着調整層形成用組成物を塗布するために用いたグラビア版のセルの深さ、および、接着調整層形成用組成物の乾燥後の塗布量〔g/m〕を、表1に示すように変化させた。
その後、株式会社プライムポリマー製の「F329RA」をポリプロピレン樹脂として用い、溶融押出ラミネート法により、接着調整層のレーザー発色層とは反対側の面上に、溶融押出ポリプロピレン樹脂層を形成した。溶融押出ポリプロピレン樹脂層は、接着調整層上に直接積層し、溶融押出ポリプロピレン樹脂層と接着調整層との間にアンカーコート剤を塗布しなかった。溶融押出ポリプロピレン樹脂層は13μmとした。
以上のようにして、実施例1〜3に係る積層体を作製した。すなわち、実施例1〜3に係る積層体は、層構成および作製方法において互いに同一であり、レーザー発色層の厚みおよび接着調整層の厚みにおいて互いに異なるようにした。
〔比較例〕
比較例に係る積層体は、実施例1〜3に係る積層体と、接着調整層が設けられていない点において異なるようにした。すなわち、比較例に係る積層体では、実施例に係る積層体と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルム上にレーザー発色層を形成した後、接着調整層を形成することなく、溶融押出ラミネート法により、レーザー発色層の延伸ポリプロピレンフィルムとは反対側の面上に、溶融押出ポリプロピレン樹脂層を形成した。比較例に係る積層体の作製おいて、レーザー発色層形成用組成物を塗布するために用いたグラビア版のセルの深さ、および、レーザー発色層形成用組成物の乾燥後の塗布量〔g/m〕を表1に示すようにした。
Figure 0005854329
〔評価1〕
各積層体について、レーザー光の照射による絵柄の記録の前に、延伸ポリプロピレンフィルムと溶融押出ポリプロピレン樹脂層との間での接着強度を測定した。接着強度の測定条件は、測定時における剥離を進行させていくスピードとしてのつかみ移動速度を50mm/minとし、測定サンプルの幅を15mmとし、その他の条件をJISK6854に準拠した。接着強度は、延伸ポリプロピレンフィルムと溶融押出ポリプロピレン樹脂層とを把持して同一方向における逆向きに引き離す(剥離させる)、T形剥離にて実施した。結果を表1に示すように、実施例1〜3に係る積層体の接着強度(はく離接着強さ)は、比較例に係る積層体の接着強度(はく離接着強さ)よりも大幅に高い数値となった。
〔評価2〕
図1に示されているように、レーザー光を延伸ポリプロピレンフィルムの側から積層体に照射して、積層体に絵柄の記録を行った。記録されるべき絵柄は、4mm×4mmの正方形とした。レーザー光の照射条件は、次の条件1および条件2の二種類で行った。
(条件1)
レーザー:波長1064nmのYVOレーザー(キーエンス社製の「MVP−9600」)
スキャンスピード:500mm/sec
Qスイッチ周波数:10kHz
レーザーパワー:20%
(条件2)
レーザー:波長1064nmのYVOレーザー(キーエンス社製の「MVP−9600」)
スキャンスピード:500mm/sec
Qスイッチ周波数:10kHz
レーザーパワー:25%
絵柄を目視で確認して、滲みの有無を調査した。結果を表2に示すように、比較例に係る積層体では、条件1および条件2の両方で、滲みが確認された。一方、実施例1〜3に係る積層体では、条件1および条件2のいずれにおいても、滲みが生じていなかった。
また、各積層体に記録された絵柄の濃度を定量的に表すため、色差ΔEを調査した。まず、基準白色紙(L=94.75、a=−0.39、b=−0.01)を基準とし、この基準白色紙上に各積層体を配置し、絵柄の色調差(L、a、b)を測定した。測定には、GretagMacbeth社製の「SpectroEye」を用いた。色調差(L、a、b)は、JSIZ8279での規定に従った。すなわち、明度(明るさ)を「L」で表し、色相と彩度を「a」(赤味)および「b」(黄味)で表した。これらの三要素(「L」、「a」、「b」)から、色差ΔEを算出した。結果を表2に示すように、実施例1〜3に係る積層体の絵柄は、比較例に係る積層体の絵柄よりも、高濃度で記録されていた。
Figure 0005854329
10 積層体
12 包装材料
16 包装品
17 包装品
17a カップ状容器
17b 蓋体
18 絵柄
20 延伸ポリプロピレンフィルム
30 レーザー発色層
40 接着調整層
50 溶融押出ポリプロピレン樹脂層

Claims (5)

  1. レーザー光の照射によって記録が可能な積層体であって、
    延伸ポリプロピレンフィルムと、
    前記延伸ポリプロピレンフィルム上に設けられたレーザー発色層と、
    前記レーザー発色層の前記延伸ポリプロピレンフィルムとは反対側の面上に設けられた接着調整層と、
    前記接着調整層の前記レーザー発色層とは反対側の面上に設けられた溶融押出ポリプロピレン樹脂層と、を備え、
    前記レーザー発色層は、酸化チタンと、ウレタン樹脂と、シリカと、レーザー発色剤と、を少なくとも含み、
    前記接着調整層は、酸化チタンと、塩素化ポリプロピレン系樹脂と、を少なくとも含む、積層体。
  2. 前記接着調整層は、シリカをさらに含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記接着調整層は、酸化アルミニウムをさらに含む、請求項1または2に記載の積層体。
  4. レーザー光の照射前における前記延伸ポリプロピレンフィルムと前記溶融押出ポリプロピレン樹脂層との間での接着強度は、0.8(N/15mm)以上1.2(N/15mm)以下になる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体を備える包装材料。
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