JP5849648B2 - 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射弁から気筒内に噴射された燃料を自着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに設けられ、所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させると共に、その後所定の再始動条件が成立したときに、エンジン停止時に圧縮行程となる停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点寄りに設定された特定範囲内にある場合は、スタータモータを用いてエンジンに回転力を付与しつつ上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射弁から燃料を噴射することによりエンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置に関する。
ディーゼルエンジンに代表される圧縮自己着火式エンジンは、一般に、ガソリンエンジンのような火花点火式エンジンよりも熱効率に優れ、排出されるCOの量も少ないことから、近年、車載用エンジンとして広く普及しつつある。
上記のような圧縮自己着火式エンジンにおいて、より一層のCOの削減を図るには、アイドル運転時等にエンジンを自動停止させ、その後車両の発進操作等が行われたときにエンジンを再始動させる、いわゆるアイドルストップ制御の技術を採用することが有効であり、そのことに関する種々の研究もなされている。
例えば、下記特許文献1には、所定の自動停止条件が成立したときにディーゼルエンジンを停止させ、所定の再始動条件が成立すると、スタータモータを駆動しながら燃料噴射を実行してディーゼルエンジンを再始動させるディーゼルエンジンの制御装置において、圧縮行程で停止した気筒(停止時圧縮行程気筒)のピストン停止位置に基づいて、最初に燃料を噴射する気筒を可変的に設定することが開示されている。
具体的に、同文献では、ディーゼルエンジンが自動停止されると、その時点で圧縮行程にある上記停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置を求め、そのピストン停止位置が相対的に下死点寄りに設定された適正位置にあるか否かを判定し、適性位置にある場合には、上記停止時圧縮行程気筒に最初の燃料を噴射することで、エンジン全体として1回目の圧縮上死点を迎えるときから燃焼を開始させるようにしている(以下、これを「1圧縮始動」という)。
一方、上記停止時圧縮行程のピストンが上記適正位置よりも上死点側にある場合には、吸気行程で停止した気筒(停止時吸気行程気筒)が圧縮行程に移行してから当該気筒に最初の燃料を噴射することにより、エンジン全体として2回目の圧縮上死点を迎えるときから燃焼を再開させる(以下、これを「2圧縮始動」という)。このように、停止時圧縮行程気筒ではなく停止時吸気行程気筒に燃料を噴射する2圧縮始動を行うのは、停止時圧縮行程気筒のピストンが上記適正位置から上死点側に外れているときには、そのピストンによる圧縮代(上死点までのストローク量)が少なく気筒内の空気が十分に高温化しないことから、停止時圧縮行程気筒に燃料を噴射しても失火が起きるおそれがあるためである。
また、エンジンの自動停止に関しては、例えば特許文献2には、エンジンを自動停止させる過程の前半期間では、各気筒の全行程で吸気弁を全閉状態とすることにより、各気筒内への新気の導入を抑制して、筒内温度の低下を抑制し、エンジン再始動時のグロー通電を抑制し得るディーゼルエンジンが開示されている。
特開2009−062960号公報(段落0048) 特開2009−222002号公報(段落0047)
上記特許文献1の技術では、エンジン停止時に圧縮行程となる停止時圧縮行程気筒のピストンが適性位置にあるときには、1圧縮始動によって速やかにエンジンを再始動できるものの、上記適正位置から上死点側に外れてしまった場合には、2圧縮始動を行う必要があり、再始動に要する時間が長くなってしまう。すなわち、2圧縮始動では、エンジン停止時に吸気行程となる停止時吸気行程気筒が圧縮行程に移行するのを待ってから燃料を噴射するので、エンジン全体として2回目の圧縮上死点を迎えるまでは、燃焼によるエネルギーを利用することができず、その分だけ再始動時間が長くなってしまう。このため、できるだけ高い頻度で、1圧縮始動によるエンジン再始動を可能にすることが望まれる。
そこで、例えば、エンジンを自動停止させる過程において、オルタネータの吸収トルク(発電量)を調節することにより、停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置が下死点寄りになるように、各気筒の上死点通過回転数を制御することが提案される。
しかし、圧縮自己着火式エンジンは、一般に、回転系の慣性重量が大きいため、オルタネータを緻密に制御しても、ピストン停止位置を狙いの停止位置に安定して収束させることが困難である。特に、手動変速機を搭載するMT車両では、変速機に滑らかな回転を入力するための慣性質量の大きいフライホイールが組み込まれることが多いので、例えばそのような慣性質量の大きいフライホイールが組み込まれることがないAT車両(自動変速機を搭載する車両)に比べて、回転系の慣性質量がより一層大きくなり、オルタネータの制御でピストン停止位置を狙いの停止位置に安定して収束させることはより一層困難となる。
そこで、エンジンを自動停止させる過程において、停止時圧縮行程気筒の吸気行程中(例えばエンジンが自動停止する前の全気筒の最後の上死点(「最終TDC」という)の1つ前の上死点(「2TDC」という)から上記最終TDCまでの期間)の上記停止時圧縮行程気筒内への流入空気量が、エンジン停止時に膨張行程となる停止時膨張行程気筒の吸気行程中(例えば上記最終TDCの2つ前の上死点(「3TDC」という)から上記2TDCまでの期間)の上記停止時膨張行程気筒内への流入空気量よりも多くなるように、吸気通路に設けられた吸気絞り弁を制御することが提案される。
これによれば、エンジンを自動停止させる過程において、停止時圧縮行程気筒内には停止時膨張行程気筒内よりも多くの量の空気が流入する。これにより、エンジンが自動停止したときには、停止時圧縮行程気筒には圧縮反力(圧縮された空気が膨張しようとする力)が働き、停止時膨張行程気筒には膨張反力(膨張された空気が収縮しようとする力)が働く。そのため、停止時圧縮行程気筒のピストンが下ってピストン停止位置が自ずと下死点寄りとなり、停止時膨張行程気筒のピストンが上ってピストン停止位置が自ずと上死点寄りとなる。結果として、停止時圧縮行程気筒のピストンを安定して下死点寄りに停止させることができ、圧縮自己着火式エンジンを高い頻度で1圧縮始動で迅速に再始動させることが可能となる。
しかし、さらに次のような問題がある。上記のように、エンジンを自動停止させる過程において、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量が停止時膨張行程気筒内への流入空気量よりも多くなるように吸気絞り弁を制御する具体的動作としては、例えば、停止時膨張行程気筒の吸気行程中(3TDC〜2TDC)は吸気絞り弁を閉じておき(例えば開度0%)、停止時圧縮行程気筒の吸気行程中(2TDC〜最終TDC)は吸気絞り弁を開く(開度0%超)ことが考えられる。吸気絞り弁を閉じることによって、吸気絞り弁よりも下流側の吸気通路内の圧力(以下、単に「下流側圧力」という)が低下し、停止時膨張行程気筒内への流入空気量が減少する一方、吸気絞り弁を開くことによって、上記下流側圧力が上昇し、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量が増加するからである。
ところで、エンジンの自動停止は、実質的に、燃料噴射弁から気筒内への燃料噴射の停止(燃料カット)を行うことによって達成される。燃料カットが開始されると、燃焼膨張がなくなり、エンジンは惰性で回転し、エンジン回転速度が徐々に低下していき、最終的に完全停止(0rpm)に至る。このエンジン回転速度が徐々に低下していく途上で、上記3TDC(最後の上死点の2つ前の上死点)、2TDC(最後の上死点の1つ前の上死点)、及び最終TDC(最後の上死点)が順に到来する。
燃料カットと同時に吸気絞り弁を閉じると、吸気絞り弁よりも下流側の吸気通路内の空気が1サイクル毎に消費されて下流側圧力が低下していくと同時に、エンジン回転速度が徐々に低下していく。ここで、自動変速機を搭載するAT車両は、前述のフライホイールが組み込まれることがなく、したがって、それが組み込まれることが多いMT車両に比べて回転系の慣性重量が小さいため、燃料カット後に惰性で回転する回転数が少ない(回転低下が速い)傾向にある。すると、AT車両では、下流側圧力が十分低下しないうちに3TDCが到来し、停止時膨張行程気筒内への流入空気量の減少は僅かとなる。また、2TDCで吸気絞り弁を開いても、下流側圧力は僅かしか上昇せず、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量の増加は僅かとなる。そのため、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量と停止時膨張行程気筒内への流入空気量との偏差が小さくなって、エンジンが自動停止したときに停止時圧縮行程気筒に働く圧縮反力及び停止時膨張行程気筒に働く膨張反力が小さくなり、結果として、停止時圧縮行程気筒のピストンを安定して下死点寄りに停止させることが困難となる。
このような問題は、トルクコンバータ付きのAT車両においてより顕著となる。トルクコンバータの抵抗がエンジン回転にブレーキをかけ、燃料カット後の回転低下がより速くなるからである。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、燃料カット後の回転低下が相対的に速いAT車両において、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量と停止時膨張行程気筒内への流入空気量との偏差を十分拡大し、もって1圧縮始動による迅速なエンジン再始動の機会を増やすことのできる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、燃料噴射弁から気筒内に噴射された燃料を自着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに設けられ、所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動停止させると共に、その後所定の再始動条件が成立したときに、エンジン停止時に圧縮行程となる停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点寄りに設定された特定範囲内にある場合は、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、上記停止時圧縮行程気筒に上記燃料噴射弁から燃料を噴射することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置であって、上記エンジンは自動変速機を搭載する車両に用いられるものであり、エンジンを自動停止させる過程において、上記自動停止条件が成立した時点から所定時間が経過する前に吸気通路に設けられた吸気絞り弁の開度を上記自動停止条件が成立する前の開度よりも小さくし、上記所定時間が経過した後に上記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止し、上記燃料噴射の停止後に、エンジンが停止する前の全気筒の最後の上死点の1つ前の上死点の近傍で、上記吸気絞り弁の開度を大きくする制御手段を有することを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、エンジンを自動停止させる過程において、吸気絞り弁の開度を自動停止条件が成立する前の開度よりも小さくした後、2TDCの近傍で吸気絞り弁の開度を大きくするから、前述したように、3TDCから2TDCまでの期間が吸気行程である停止時膨張行程気筒内への流入空気量よりも、2TDCから最終TDCまでの期間が吸気行程である停止時圧縮行程気筒内への流入空気量が多くなる。その結果、停止時圧縮行程気筒のピストンを安定して下死点寄りに停止させることができ、圧縮自己着火式エンジンを高い頻度で1圧縮始動で迅速に再始動させることが可能となる。
その場合に、燃料カットよりも前に吸気絞り弁の開度を小さくするから、吸気絞り弁よりも下流側の吸気通路内の圧力(下流側圧力)の低下がエンジン回転速度の低下よりも先行して起こる。そのため、3TDCが到来したときには下流側圧力が十分低下し、停止時膨張行程気筒内への流入空気量が確実に減少する一方、2TDCの近傍で吸気絞り弁の開度を大きくしたときには下流側圧力が大幅に上昇し、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量が確実に増加する。
したがって、たとえエンジンが燃料カット後の回転低下が相対的に速いAT車両に用いられていても、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量と停止時膨張行程気筒内への流入空気量との偏差が十分拡大され、1圧縮始動による迅速なエンジン再始動の機会が増やされる。
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記自動停止条件が成立した時点に上記吸気絞り弁の開度を小さくする(請求項2)。
この構成によれば、エンジンを自動停止させる過程において、吸気絞り弁の開度が最も早い時期に小さくされるので、下流側圧力の低下がより早い時期から起こり、結果として、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量と停止時膨張行程気筒内への流入空気量との偏差が確実に拡大され、1圧縮始動による迅速なエンジン再始動の機会が確実に増やされる。
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記所定時間が経過する前は吸気絞り弁の開度を非全閉の所定開度とし、上記燃料噴射の停止と同時に吸気絞り弁を全閉とする(請求項3)。
この構成によれば、所定時間が経過する前は吸気絞り弁を全閉としないから、アイドル回転が維持できるだけの下流側圧力(新気充填量)が維持され、燃料カットが行われるまでに失火することなくエンジン回転を持続させることができる。そして、燃料カットと同時に吸気絞り弁を全閉とするので、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量と停止時膨張行程気筒内への流入空気量との偏差の拡大が確実に図られる。
本発明において、好ましくは、上記自動変速機は、トルクコンバータ付きの自動変速機である(請求項4)。
この構成によれば、トルクコンバータ付きの自動変速機は、トルクコンバータの抵抗がエンジン回転にブレーキをかけ、燃料カット後の回転低下がより速くなるため、燃料カット後の回転低下が相対的に速いAT車両においても1圧縮始動の頻度を高めることができるという本発明の作用効果は非常に大きいものとなる。
本発明において、好ましくは、上記圧縮自己着火式エンジンは、幾何学的圧縮比が16未満に設定されたディーゼルエンジンである(請求項5)。
この構成によれば、幾何学的圧縮比が16未満のディーゼルエンジンは、従来から多用されてきたディーゼルエンジンに比べれば圧縮比が低く、その分、圧縮行程の途中位置に停止するピストンの圧縮代(停止位置から圧縮上死点までの有効圧縮比)は小さく、燃料の自己着火性が相対的に低いため、停止時圧縮行程気筒のピストンを安定して下死点寄りに停止させて1圧縮始動の頻度を高めることができるという本発明の作用効果は非常に大きいものとなる。
以上説明したように、本発明によれば、たとえ燃料カット後の回転低下が相対的に速いAT車両においても、停止時圧縮行程気筒内への流入空気量と停止時膨張行程気筒内への流入空気量との偏差を十分拡大することができるので、1圧縮始動による迅速なエンジン再始動の機会を増やすことができる。
本発明の一実施形態に係る始動制御装置が適用されたディーゼルエンジンの全体構成を示す図である。 上記エンジンの自動停止制御時における各状態量の変化を示すタイムチャートである。 上記エンジンの自動停止制御による作用を示すための説明図であり、(a)はエンジンの停止直前の各気筒のピストン位置を示し、(b)はエンジンの停止完了後のピストン位置を示している。 上記エンジンの自動停止制御の具体的動作例を示すフローチャートである。 上記エンジンの再始動制御の具体的動作例を示すフローチャートである。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る始動制御装置が適用されたディーゼルエンジンの全体構成を示す図である。本図に示されるディーゼルエンジンは、走行駆動用の動力源として、トルクコンバータ付きの自動変速機を搭載するAT車両に用いられる4サイクルのディーゼルエンジンである。このエンジンのエンジン本体1は、いわゆる直列4気筒型のものであり、紙面に直交する方向に列状に並ぶ4つの気筒2A〜2Dを有するシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、各気筒2A〜2Dにそれぞれ往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。
上記ピストン5の上方には燃焼室6が形成されており、この燃焼室6には、燃料としての軽油が、後述する燃料噴射弁15からの噴射によって供給される。そして、噴射された燃料(軽油)が、ピストン5の圧縮作用により高温・高圧化した燃焼室6で自着火し(圧縮自己着火)、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動するようになっている。
上記ピストン5は図外のコネクティングロッドを介してクランクシャフト7と連結されており、上記ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて上記クランクシャフト7が中心軸回りに回転するようになっている。
ここで、図示のような4サイクル4気筒のディーゼルエンジンでは、各気筒2A〜2Dに設けられたピストン5が、クランク角で180°(180°CA)の位相差をもって上下運動する。このため、各気筒2A〜2Dでの燃焼(そのための燃料噴射)のタイミングは、180°CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。具体的には、気筒2A,2B,2C,2Dの気筒番号をそれぞれ1番、2番、3番、4番とすると、1番気筒2A→3番気筒2C→4番気筒2D→2番気筒2Bの順に燃焼が行われる。このため、例えば1番気筒2Aが膨張行程であれば、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bは、それぞれ、圧縮行程、吸気行程、排気行程となる。
上記シリンダヘッド4には、各気筒2A〜2Dの燃焼室6に開口する吸気ポート9及び排気ポート10と、各ポート9,10を開閉する吸気弁11及び排気弁12とが設けられている。なお、吸気弁11及び排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカムシャフト等を含む動弁機構13,14により、クランクシャフト7の回転に連動して開閉駆動される。
また、上記シリンダヘッド4には、燃料噴射弁15が各気筒2A〜2Dにつき1つずつ設けられている。各燃料噴射弁15は、蓄圧室としてのコモンレール20に分岐管21を介してそれぞれ接続されている。コモンレール20には、燃料供給ポンプ23から燃料供給管22を通じて供給された燃料(軽油)が高圧状態で蓄えられており、このコモンレール20内で高圧化された燃料が分岐管21を通じて各燃料噴射弁15にそれぞれ供給されるようになっている。
上記燃料噴射弁15は、先端部に複数の噴孔を有した多噴孔型のものであり、その内部に、上記各噴孔に通じる燃料通路と、この燃料通路を開閉するために電磁的に駆動されるニードル状の弁体とを有している(いずれも図示省略)。そして、通電による電磁力で上記弁体が開方向に駆動されることにより、コモンレール20から供給された燃料が上記各噴孔から燃焼室6に向けて直接噴射されるようになっている。なお、本実施形態における燃料噴射弁15は、8〜12個という多数の噴孔を有している。
上記燃料噴射弁15と対向するピストン5の冠面(上面)の中央部には、他の部分(冠面の周縁部)よりも下方に凹んだキャビティ5aが形成されている。このため、ピストン5が上死点の近くにある状態で上記燃料噴射弁15から燃料が噴射された場合、この燃料は、まずキャビティ5aの内部に進入することになる。
ここで、本実施形態のエンジン本体1は、その幾何学的圧縮比(ピストン5が下死点にあるときの燃焼室容積とピストン5が上死点にあるときの燃焼室容積との比)が14に設定されている。すなわち、一般的な車載用のディーゼルエンジンの幾何学的圧縮比が18もしくはそれ以上に設定されることが多いのに対し、本実施形態では、幾何学的圧縮比が14というかなり低い値に設定されている。
上記シリンダブロック3やシリンダヘッド4の内部には、冷却水が流通する図外のウォータジャケットが設けられており、このウォータジャケット内の冷却水の温度を検出するための水温センサSW1が、上記シリンダブロック3に設けられている。
また、上記シリンダブロック3には、クランクシャフト7の回転角度及び回転速度(すなわちエンジン回転速度)を検出するためのクランク角センサSW2が設けられている。このクランク角センサSW2は、クランクシャフト7と一体に回転するクランクプレート25の回転に応じてパルス信号を出力する。
具体的に、上記クランクプレート25の外周部には、一定ピッチで並ぶ多数の歯が突設されており、その外周部における所定範囲には、基準位置を特定するための歯欠け部25a(歯の存在しない部分)が形成されている。そして、このように基準位置に歯欠け部25aを有したクランクプレート25が回転し、それに基づくパルス信号が上記クランク角センサSW2から出力されることにより、クランクシャフト7の回転角度(クランク角)及び回転速度(エンジン回転速度)が検出されるようになっている。
一方、上記シリンダヘッド4には、動弁用のカムシャフト(図示省略)の角度を検出するためのカム角センサSW3が設けられている。カム角センサSW3は、カムシャフトと一体に回転するシグナルプレートの歯の通過に応じて、気筒判別用のパルス信号を出力する。
すなわち、上記クランク角センサSW2から出力されるパルス信号の中には、上述した歯欠け部25aに対応して360°CAごとに生成される無信号部分が含まれるが、その情報だけでは、例えばピストン5が上昇しているときに、それがどの気筒の圧縮行程又は排気行程にあたるのか判別することができない。そこで、720°CAごとに1回転するカムシャフトの回転に基づきカム角センサSW3からパルス信号を出力させ、その信号が出力されるタイミングと、上記クランク角センサSW2の無信号部分のタイミング(歯欠け部25aの通過タイミング)とに基づいて、気筒判別を行うようにしている。
上記吸気ポート9及び排気ポート10には、吸気通路28及び排気通路29がそれぞれ接続されている。すなわち、外部からの吸入空気(新気)が上記吸気通路28を通じて燃焼室6に供給されると共に、燃焼室6で生成された排気ガス(燃焼ガス)が上記排気通路29を通じて外部に排出されるようになっている。
上記吸気通路28のうち、エンジン本体1から所定距離上流側までの範囲は、気筒2A〜2Dごとに分岐した分岐通路部28aとされており、各分岐通路部28aの上流端がそれぞれサージタンク28bに接続されている。このサージタンク28bよりも上流側には、単一の通路からなる共通通路部28cが設けられている。
上記共通通路部28cには、各気筒2A〜2Dに流入する空気量(吸気流量)を調節するための吸気絞り弁30が設けられている。吸気絞り弁30は、エンジンの運転中は基本的に全開もしくはこれに近い高開度に維持されており、エンジンの停止時等の必要時にのみ閉弁されて吸気通路28を遮断するように構成されている。
また、上記吸気絞り弁30とサージタンク28bとの間の共通通路部28cには、吸気流量を検出するためのエアフローセンサSW4が設けられている。サージタンク28bには、サージタンク28b内の圧力を検出するインマニ圧センサSW5が設けられている。ここで、サージタンク28b内の圧力は、吸気絞り弁30よりも下流側の吸気通路28内の圧力、すなわち下流側圧力に相当する。
上記クランクシャフト7には、タイミングベルト等を介してオルタネータ32が連結されている。このオルタネータ32は、図外のフィールドコイルの電流を制御して発電量を調節するレギュレータ回路を内蔵しており、車両の電気負荷やバッテリの残容量等から定められる発電量の目標値(目標発電電流)に基づき、クランクシャフト7から駆動力を得て発電を行うように構成されている。
上記シリンダブロック3には、エンジンを始動するためのスタータモータ34が設けられている。このスタータモータ34は、モータ本体34aと、モータ本体34aにより回転駆動されるピニオンギア34bとを有している。上記ピニオンギア34bは、クランクシャフト7の一端部に連結されたリングギア35と離接可能に噛合している。そして、上記スタータモータ34を用いてエンジンを始動する際には、ピニオンギア34bが所定の噛合位置に移動して上記リングギア35と噛合し、ピニオンギア34bの回転力がリングギア35に伝達されることにより、クランクシャフト7が回転駆動されるようになっている。
(2)制御系
以上のように構成されたエンジンは、その各部がECU(エンジン制御ユニット)50により統括的に制御される。ECU50は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサである。
上記ECU50には、各種センサから種々の情報が入力される。すなわち、ECU50は、エンジンの各部に設けられた上記水温センサSW1、クランク角センサSW2、カム角センサSW3、エアフローセンサSW4、及びインマニ圧センサSW5と電気的に接続されており、これら各センサSW1〜SW5からの入力信号に基づいて、エンジンの冷却水温、クランク角、エンジン回転速度、気筒判別情報、吸気流量、吸気圧力(下流側圧力)等の種々の情報を取得する。
また、ECU50には、車両に設けられた各種センサ(SW6〜SW9)からの情報も入力される。すなわち、車両には、運転者により踏み込み操作されるアクセルペダル36の開度を検出するためのアクセル開度センサSW6と、ブレーキペダル37のON/OFF(ブレーキの有無)を検出するためのブレーキセンサSW7と、車両の走行速度(車速)を検出するための車速センサSW8と、バッテリ(図示省略)の残容量を検出するためのバッテリセンサSW9とが設けられている。ECU50は、これら各センサSW6〜SW9からの入力信号に基づいて、アクセル開度、ブレーキの有無、車速、バッテリの残容量といった情報を取得する。
上記ECU50は、上記各センサSW1〜SW9からの入力信号に基づいて種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。具体的に、ECU50は、上記燃料噴射弁15、吸気絞り弁30、オルタネータ32、及びスタータモータ34と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
上記ECU50が有するより具体的な機能について説明する。ECU50は、例えばエンジンの通常運転時に、運転条件に基づき定められる所要量の燃料を燃料噴射弁15から噴射させたり、車両の電気負荷やバッテリの残容量等に基づき定められる所要発電量をオルタネータ32に発電させる等の基本的な機能を有する他、いわゆるアイドルストップ機能として、予め定められた特定の条件下でエンジンを自動的に停止させ、又は再始動させる機能をも有している。このため、ECU50は、エンジンの自動停止又は再始動制御に関する機能的要素として、自動停止制御部51及び再始動制御部52を有している。
上記自動停止制御部51は、エンジンの運転中に、予め定められたエンジンの自動停止条件が成立したか否かを判定し、且つ、エンジンを停止させても支障のない状態であるか(システム条件が成立したか)否かを判定し、両方が確認された場合に、エンジンを自動停止させる制御を実行するものである。
例えば、車両が停止状態にあること等の複数の要件が揃い(自動停止条件が成立し)、且つ、エンジンを停止させても支障のない状態である(システム条件が成立した)ことが確認された場合に、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止(燃料カット)する等により、エンジンを停止させる。
上記再始動制御部52は、エンジンが自動停止した後、予め定められた再始動条件が成立したか否かを判定し、成立した場合に、エンジンを再始動させる制御を実行するものである。
例えば、車両を発進させるために運転者がアクセルペダル36を踏み込むなどして、エンジンを始動させる必要が生じたときに、再始動条件が成立したと判定する。そして、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、燃料噴射弁15からの燃料噴射を再開させることにより、エンジンを再始動させる。
(3)自動停止制御
次に、上記ECU50の自動停止制御部51により実行されるエンジンの自動停止制御の内容をより具体的に説明する。図2は、エンジンの自動停止制御時における各状態量の変化を示すタイムチャートである。本図では、エンジンの自動停止条件が成立した時点をt1、その後システム条件が成立した時点をt2としている。また、3TDC(iii)(最後の上死点の2つ前の上死点)が到来する時点をt3、2TDC(ii)(最後の上死点の1つ前の上死点)が到来する時点をt4、最終TDC(i)(最後の上死点)が到来する時点をt5としている。なお、図中、「インマニ圧」とあるのは、インマニ圧センサSW5で検出されるサージタンク28b内の圧力(下流側圧力)のことである。
図2に示すように、エンジンの自動停止制御の際には、まず、上記自動停止条件の成立時点t1で、吸気絞り弁30が閉方向に駆動され、その開度が、上記自動停止条件が成立する前に設定されていた通常運転時の開度(図例では80%)よりも小さい非全閉の開度(図例では40%)に低減される。そして、吸気絞り弁30の開度を小さくしたまま、時点t1から所定時間が経過した後の時点t2(システム条件の成立時点)で、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止する制御(燃料カット)が実行される。また、この燃料カットと同時に吸気絞り弁30の開度が最終的に全閉(0%)まで低減される。
ここで、本実施形態のディーゼルエンジンは、自動変速機を搭載するAT車両に用いられている。そのため、例えば、慣性質量が大きいフライホイールが組み込まれることが多いMT車両に用いられる場合と比べて、回転系の慣性重量が小さいので、燃料カット後に惰性で回転する回転数が少なくなり、燃料カット後のエンジンの回転低下が相対的に速い傾向にある。しかも、上記自動変速機は、トルクコンバータ付きの自動変速機であるから、トルクコンバータの抵抗がエンジン回転にブレーキをかけ、燃料カット後のエンジンの回転低下がより一層速くなる傾向にある。
また、自動停止条件の成立時点t1からシステム条件の成立時点t2まで所定時間が経過するのは、ECU50が、単に運転者による車両の停止操作だけでエンジンの自動停止を許可するのではなく、それに加えて車両システムの観点からエンジンの自動停止の可否を判定するのにある程度の時間を要するからである。自動停止条件が成立しても、システム条件が成立しなければ、エンジンは自動停止されない。
次いで、上記燃料カットの実行後、エンジン回転速度が低下する途上で、吸気絞り弁30が再び開かれる。具体的には、全気筒2A〜2Dにおけるエンジン停止直前の最後の上死点を最終TDCとしたときに、この最終TDCよりも1つ前の上死点(2TDC)の通過時(時点t4)に、吸気絞り弁30が開方向に駆動され、その開度が0%を超える所定の開度(例えば10〜30%程度、図例では20%)まで増やされる。
その後、時点t5で最終TDCを迎えた後、エンジンは、一時的にピストンの揺れ戻しにより逆回転するも、一度も上死点を越えることなく、時点t6で完全停止状態に至る。
ここで、上記のように吸気絞り弁30を開く制御を時点t4で実行するのは、エンジンが完全停止したときに圧縮行程にある気筒、つまり停止時圧縮行程気筒(図2では3番気筒2C)のピストン停止位置を、図3(b)に示すように、上死点と下死点との間に位置する基準停止位置Xよりも下死点側に設定された特定範囲Rxにできるだけ収めるためである。なお、基準停止位置Xは、エンジンの形状(排気量、ボア/ストローク比等)や暖機の進行度合い等によって異なり得るが、例えば上死点前(BTDC)90〜75°CAの間のいずれかの位置に設定することができる。例えば、基準停止位置XがBTDC80°CAである場合、上記特定範囲Rxは、BTDC80〜180°CAの範囲となる。
上記停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5が上記特定範囲Rxで停止していれば、その後エンジンの再始動条件が成立したときに、上記停止時圧縮行程気筒2Cに最初の(エンジン全体として最初の)燃料を噴射する1圧縮始動によって、エンジンを迅速に再始動させることができる。一方、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン停止位置が上記特定範囲Rxから外れていれば、再始動の開始後、停止時圧縮行程気筒2Cの次に圧縮行程を迎える気筒、つまりエンジン停止時に吸気行程にある停止時吸気行程気筒(図2では4番気筒2D)に燃料を噴射する2圧縮始動によってエンジンを再始動する必要が生じる。このように、ピストン停止位置によって1圧縮始動と2圧縮始動とを使い分けるのは、ピストン停止位置によって停止時圧縮行程気筒2Cでの着火性が異なるからである。
上記2圧縮始動は、停止時吸気行程気筒2Dが圧縮行程に移行するまで燃料を燃焼させることができないので、始動の迅速性という点では、1圧縮始動の方が有利である。このため、1圧縮始動を高い頻度で実行可能にするには、できるだけ停止時圧縮行程気筒2Cのピストン停止位置を上記特定範囲Rxに収める必要がある。そこで、本実施形態では、図2に示したように、時点t4で吸気絞り弁30を開くようにしている。すなわち、図2の制御によれば、最終TDCの1つ前の上死点(2TDC)までは(時点t4までは)、吸気絞り弁30の開度が0%とされ、2TDCを過ぎると(時点t4を過ぎると)、吸気絞り弁30の開度が0%超の所定開度まで増大される。これにより、2TDCから吸気行程を迎える(時点t4〜時点t5が吸気行程となる)停止時圧縮行程気筒2Cに対する流入空気量が、最終TDCの2つ前の上死点(3TDC)から吸気行程を迎える(時点t3〜時点t4が吸気行程となる)気筒、言い換えると、エンジンが完全停止したときに膨張行程にある停止時膨張行程気筒(図2では1番気筒2A)に対する流入空気量よりも増大することになる。
この点について図3(a),(b)を用いてより詳しく説明する。上記のように2TDCの通過時に吸気絞り弁30を開くと、上述したように、エンジンが自動停止する直前に、停止時圧縮行程気筒2C内への流入空気量(充填量)が停止時膨張行程気筒2A内への流入空気量(充填量)よりも多くなる。これにより、図3(a)に示すように、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5に作用する圧縮空気による押下げ力(圧縮された空気が膨張しようとする力)が大きくなる一方、停止時膨張行程気筒2Aのピストン5に作用する圧縮空気による押下げ力が小さくなる(むしろ停止時膨張行程気筒2Aのピストン5に作用する膨張空気による押上げ力が大きくなる)。このため、エンジンが完全停止したときには、図3(b)に示すように、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5の停止位置が自ずと下死点寄りとなり(停止時膨張行程気筒2Aのピストン5の停止位置は上死点寄りとなり)、結果として、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5を、比較的高い頻度で、上記基準停止位置Xよりも下死点側の特定範囲Rxに停止させることができるようになる。特定範囲Rxでピストン5が停止していれば、エンジンの再始動時には、停止時圧縮行程気筒2Cに燃料を噴射する1圧縮始動によってエンジンを迅速に再始動させることが可能となる。
次に、以上のようなエンジン自動停止制御を司る自動停止制御部51の具体的制御動作の一例について、図4のフローチャートを用いて説明する。
図4のフローチャートに示す処理がスタートすると、自動停止制御部51は、各種センサ値を読み込む制御を実行する(ステップS1)。具体的には、水温センサSW1、クランク角センサSW2、カム角センサSW3、エアフローセンサSW4、インマニ圧センサSW5、アクセル開度センサSW6、ブレーキセンサSW7、車速センサSW8、及びバッテリセンサSW9からそれぞれの検出信号を読み込み、これらの信号に基づいて、エンジンの冷却水温、クランク角、エンジン回転速度、気筒判別情報、吸気流量、インマニ圧、アクセル開度、ブレーキの有無、車速、バッテリの残容量等の各種情報を取得する。
次いで、自動停止制御部51は、上記ステップS1で取得された情報に基づいて、エンジンの自動停止条件が成立しているか否かを判定する(ステップS2)。例えば、車両が停止していること、アクセルペダル36の開度がゼロ(アクセルOFF)であること、ブレーキペダル37が操作中(ブレーキON)であること、等の複数の要件が全て揃ったときに、自動停止条件が成立したと判定する。なお、車速については、必ずしも完全停止(車速=0km/h)を条件とする必要はなく、所定の低車速以下(例えば3km/以下)という条件を設定してもよい。
上記ステップS2でYESと判定されて自動停止条件が成立したことが確認された場合、自動停止制御部51は、吸気絞り弁30の開度を自動停止条件が成立する前の開度(例えばアイドル回転相当の開度:図2では80%)よりも小さい非全閉の開度(40%)に設定する制御を実行する(ステップS3)。すなわち、図2のタイムチャートに示したように、上記自動停止条件が成立した時点t1で、吸気絞り弁30の開度を閉方向に駆動し始め、その開度を最終的に40%まで低下させる。
次いで、自動停止制御部51は、エンジンを停止させても支障のない状態であるか否か、つまりシステム条件が成立しているか否かを判定する(ステップS4)。例えば、エンジンの冷却水温が所定値以上であること、バッテリの残容量が所定値以上であること、エアコンの設定温度と実際の室内温度との差が所定値以下であること等の複数の要件が全て揃ったときに、システム条件が成立したと判定する。
なお、前述したように、システム条件が成立しているか否かを判定するためには、車両システムの現在の状態に基いて、いまエンジンを停止させた場合の問題の有無を調べなければならないので、ある程度の時間がかかり、そのため、自動停止条件が成立した時点t1から所定時間が経過した後に、このステップS4の判定の結果が出る。よって、自動停止条件の成立時点t1からシステム条件の成立時点t2まで所定時間が経過する。
上記ステップS4でYESと判定されてシステム条件が成立したことが確認された場合、自動停止制御部51は、燃料噴射弁15からの燃料の供給を停止する燃料カットを実行する(ステップS5)。すなわち、上記システム条件が成立した時点t2以降は、各気筒2A〜2Dの燃料噴射弁15に対する駆動信号を全てOFFにし、各燃料噴射弁15の弁体を全閉位置に維持することにより、燃料カットを実行する。
また、自動停止制御部51は、この燃料カットと同時に、吸気絞り弁30の開度を全閉(0%)に設定する制御を実行する(ステップS5)。すなわち、図2のタイムチャートに示したように、上記システム条件が成立した時点t2で、吸気絞り弁30の開度をさらに閉方向に駆動し始め、その開度を最終的に0%まで低下させる。
次いで、自動停止制御部51は、4つの気筒2A〜2Dのいずれかのピストン5が上死点を迎えたときのエンジン回転速度(上死点通過回転速度)の値が、予め定められた所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS6)。なお、図2に示すように、エンジン回転速度は、4つの気筒2A〜2Dのいずれかが圧縮上死点(圧縮行程と膨張行程の間の上死点)を迎える度に一時的に落ち込み、圧縮上死点を越えた後に再び上昇するというアップダウンを繰り返しながら徐々に低下していく。よって、上死点通過回転速度は、エンジン回転速度のアップダウンの谷のタイミングにおける回転速度として測定することができる。
上記ステップS6での上死点通過回転速度に関する判定は、エンジン停止直前の最後の上死点(最終TDC)よりも1つ前の上死点(2TDC)を通過するタイミング(図2の時点t4)を特定するために行われる。すなわち、エンジンを自動停止させる過程において、エンジン回転速度の低下の仕方には一定の規則性があるため、上死点の通過時にそのときの回転速度(上死点通過回転速度)を調べれば、それが最終TDCの何回前の上死点にあたるのかを推定することができる。そこで、上死点通過回転速度を常時測定し、それが予め設定された所定範囲、すなわち、最終TDCの1つ前の上死点(2TDC)を通過するときの回転速度として予め実験等により求められた所定範囲の中に入るか否かを判定することにより、上記2TDCの通過タイミングを特定する。
上記ステップS6でYESと判定されて現時点が2TDC通過タイミング(図2の時点t4)であることが確認された場合、自動停止制御部51は、吸気絞り弁30を開方向に駆動し始め、その開度を0%超の所定開度(例えば10〜30%程度、図例では20%)まで増大させる制御を実行する(ステップS7)。これにより、時点t4から吸気行程を迎える停止時圧縮行程気筒2Cに対する流入空気量が、その1サイクル前(時点t3〜時点t4)が吸気行程であった停止時膨張行程気筒2Aに対する流入空気量よりも増大する。
その後、自動停止制御部51は、エンジン回転速度が0rpmであるか否かを判定することにより、エンジンが完全停止したか否かを判定する(ステップS8)。そして、エンジンが完全停止していれば(時点t6)、自動停止制御部51は、例えば、吸気絞り弁30の開度を、通常運転時に設定される所定の開度(例えば80%)に設定する等して、自動停止制御を終了する。
以上のように、この自動停止制御では、時点t4の2TDC通過時に吸気絞り弁30を開くステップS6〜S7の制御により、停止時圧縮行程気筒2Cの吸気行程と停止時膨張行程気筒2Aの吸気行程とのインマニ圧偏差が大きくなり、停止時圧縮行程気筒2Cと停止時膨張行程気筒2Aとの流入空気量(充填量)に差が生じているため、エンジンが完全停止したときには、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5が、比較的高い頻度で下死点寄りの特定範囲Rx(図3(b))内に収まることになり、1圧縮始動を高い頻度で実行することが可能となる。
なお、上記ステップS4でNOと判定されてシステム条件が成立しなかったことが確認された場合、自動停止制御部51は、吸気絞り弁30の開度を自動停止条件が成立する前の開度(例えばアイドル回転相当の開度:図2では80%)に戻す制御を実行する(ステップS9)。その後、この自動停止制御を終了する。
(4)再始動制御
次に、上記ECU50の再始動制御部52により実行されるエンジンの再始動制御の具体的制御動作の一例について、図5のフローチャートを用いて説明する。
図5のフローチャートに示す処理がスタートすると、再始動制御部52は、各種センサ値に基づいて、エンジンの再始動条件が成立しているか否かを判定する(ステップS11)。例えば、車両発進のためにアクセルペダル36が踏み込まれたこと(アクセルON)、エンジンの冷却水温が所定値未満になったこと、バッテリの残容量の低下幅が許容値を超えたこと、エンジンの停止時間(自動停止後の経過時間)が所定時間を越えたこと、等の要件の少なくとも1つが成立したときに、再始動条件が成立したと判定する。
上記ステップS11でYESと判定されて再始動条件が成立したことが確認された場合、再始動制御部52は、上述したエンジンの自動停止制御に伴い圧縮行程で停止した停止時圧縮行程気筒2Cのピストン停止位置を、クランク角センサSW2及びカム角センサSW3に基づき特定し、その特定したピストン停止位置が、基準停止位置Xよりも下死点側の特定範囲Rx(図3(b))にあるか否かを判定する(ステップS12)。
上記ステップS12でYESと判定されて停止時圧縮行程気筒2Cのピストン停止位置が特定範囲Rxにあることが確認された場合、再始動制御部52は、停止時圧縮行程気筒2Cに最初の燃料を噴射する1圧縮始動によってエンジンを再始動させる制御を実行する(ステップS13)。すなわち、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、燃料噴射弁15から停止時圧縮行程気筒2Cに燃料を噴射して自着火させることにより、エンジン全体として最初の圧縮上死点を迎えるときから燃焼を再開させて、エンジンを再始動させる。
ここで、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン停止位置は、上述した自動停止制御(図2、図4)の効果により、比較的多くのケースにおいて、上記特定範囲Rxに収まっていると考えられる。しかしながら、場合によっては、上記ピストン停止位置が特定範囲Rxを外れる(基準停止位置Xよりも上死点側でピストン5が停止する)こともあり得る。このようなときは、上記ステップS12でNOと判定されることになる。
上記ステップS12でNOと判定された場合(つまり停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5が特定範囲Rxよりも上死点側で停止している場合)、再始動制御部52は、吸気行程で停止していた停止時吸気行程気筒2Dに最初の燃料を噴射する2圧縮始動によってエンジンを再始動させる制御を実行する(ステップS14)。すなわち、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5が上死点を超えて、次に停止時吸気行程気筒2Dが圧縮行程を迎えるまで、燃料を噴射することなく、スタータモータ34の駆動のみによってエンジンを強制的に回転させる。そして、停止時吸気行程気筒2Dのピストン5が圧縮上死点付近に近づいた時点で燃料噴射弁15から停止時吸気行程気筒2Dに燃料を噴射し、噴射した燃料を自着火させることにより、エンジン全体として2回目の圧縮上死点を迎えるときから燃焼を再開させ、エンジンを再始動させる。
本実施形態では、少なくとも上記ステップS13で1圧縮始動を行う場合に、燃料噴射弁15にプレ噴射を行わせるようにしている。プレ噴射とは、圧縮上死点付近で噴射される拡散燃焼用の燃料噴射をメイン噴射とした場合に、このメイン噴射よりも前に予備的に噴射される燃料噴射のことである。プレ噴射による燃焼(プレ燃焼)は、メイン噴射に基づく圧縮上死点付近での拡散燃焼(メイン燃焼)を確実に引き起こすために利用される。すなわち、メイン噴射よりも早い段階で、プレ噴射によって少量の燃料を噴射し、その噴射した燃料を所定の着火遅れの後に燃焼(プレ燃焼)させることにより、筒内温度・圧力を上昇させて、その後に続くメイン燃焼を促進する。
上記のようなプレ噴射を停止時圧縮行程気筒2Cに対し実行すれば、圧縮上死点付近での筒内温度・圧力を意図して高めることができるので、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン停止位置が少々上死点側に近づいても、確実に1圧縮始動によりエンジンを再始動させることができるようになる。図3(b)に示した特定範囲Rxの境界である基準停止位置Xは、このようなプレ噴射による着火性の改善を加味して設定されたものである。つまり、プレ噴射がなかった場合には、上記基準停止位置Xは、図3(b)の例よりも下死点側に設定せざるを得ないが、プレ噴射によって着火性を改善することで、基準停止位置Xをより上死点側に設定することが可能になり、その結果、基準停止位置Xを、例えばBTDC90〜75°CAといった、下死点からかなり離れた位置に設定することが可能となる。これにより、特定範囲Rxが上死点側に拡大するので、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5がより高い頻度で上記特定範囲Rxに収まることとなり、1圧縮始動による迅速な再始動を行える機会が増える。
ここで、本実施形態におけるプレ噴射は、圧縮上死点よりも前の所定のクランク角範囲内で複数回(より具体的には2〜5回)実行される。これは、同じ量の燃料であれば、1回のプレ噴射で噴射し切るよりも、複数回のプレ噴射に分けて噴射した方が、ピストン5の冠面に設けられたキャビティ5a内にリッチな混合気を継続的に形成でき、着火遅れを短くできるからである。
(5)作用効果等
以上説明したように、本実施形態では、所定の条件下で自動的にエンジンを停止させたり再始動させたりする、いわゆるアイドルストップ機能を有したディーゼルエンジン、特に再始動時に1圧縮始動が可能なディーゼルエンジンにおいて、次のような特徴的な構成を採用した。
ECU50は、エンジンを自動停止させる過程(自動停止制御)において、自動停止条件の成立時点t1に、吸気絞り弁30の開度を、非全閉であって上記自動停止条件の成立前の開度よりも小さい開度にする(開度を80%から40%にする)。次いで、ECU50は、自動停止条件の成立時点t1から、車両システムの現状に基いてエンジンの自動停止の可否を判定するのに所定時間を要するシステム条件の成立時点t2に、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止し、燃料カットを実行する。また、ECU50は、この燃料カットと同時に、吸気絞り弁30の開度を全閉にする(開度を40%から0%にする)。次いで、ECU50は、上記燃料カットの実行後に、2TDC(時点t4)で、吸気絞り弁30の開度を大きくする(開度を0%から20%にする)。
このような構成により、燃料カットが行われる前(時点t1)から吸気絞り弁30の開度を小さくし、さらに燃料カットと同時(時点t2)に吸気絞り弁30を全閉とした後、2TDC(時点t4)で吸気絞り弁30の開度を大きくするから、3TDCから2TDCまでの期間(時点t3〜t4)が吸気行程である停止時膨張行程気筒2A内への流入空気量よりも、2TDCから最終TDCまでの期間(時点t4〜t5)が吸気行程である停止時圧縮行程気筒2C内への流入空気量が多くなる。その結果、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5を安定して下死点寄りに停止させることができ、圧縮自己着火式エンジンを高い頻度で1圧縮始動で迅速に再始動させることが可能となる。
その場合に、燃料カットよりも前に吸気絞り弁30の開度を小さくするから、図2に示したように、吸気絞り弁30よりも下流側の吸気通路28内の圧力(インマニ圧)の低下がエンジン回転速度の低下よりも先行して起こる。そのため、3TDCが到来したとき(時点t3)にはインマニ圧が十分低下し、停止時膨張行程気筒2A内への流入空気量が確実に減少する。一方、2TDC(時点t4)で吸気絞り弁30の開度を大きくしたときにはインマニ圧が大幅に上昇し、停止時圧縮行程気筒2C内への流入空気量が確実に増加する。
したがって、たとえエンジンが燃料カット後の回転低下が相対的に速いAT車両に用いられていても、停止時圧縮行程気筒2C内への流入空気量と停止時膨張行程気筒2A内への流入空気量との偏差が十分拡大され、1圧縮始動による迅速なエンジン再始動の機会が増やされる。
このような構成に対し、例えば、燃料カット前に吸気絞り弁30を閉じず、燃料カットと同時に吸気絞り弁30を閉じた場合は、図2に鎖線(ア)で示したように(この鎖線アは時点t2で最初の吸気絞り弁30の閉じ動作と燃料カットとを行う場合を示す)、AT車両は燃料カット後の回転低下が速いため、インマニ圧が十分低下しないうちに3TDC(時点t3)及び2TDC(時点t4)が到来し、停止時圧縮行程気筒2C内への流入空気量と停止時膨張行程気筒2A内への流入空気量との偏差が小さくなって、エンジンが自動停止したときに停止時圧縮行程気筒2Cに働く圧縮反力及び停止時膨張行程気筒2Aに働く膨張反力が小さくなり、結果として、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5を安定して下死点寄りに停止させることが困難となってしまうのである。
本実施形態では、自動停止条件の成立時点t1からシステム条件の成立時点t2までに所定時間がかかり、たとえ自動停止条件が成立しても、システム条件が成立しないうちは、実質的なエンジン停止のきっかけとなる燃料カットが実行されないことに着目し、この時間的ズレを利用して、燃料カットが行われるよりも前に吸気絞り弁30の閉じ動作を行うようにしたものである。
本実施形態では、特に、自動停止条件の成立時点t1に吸気絞り弁30の開度を小さくするから、吸気絞り弁30の開度が最も早い時期に小さくされることになり、インマニ圧の低下がより早い時期から起こり、結果として、停止時圧縮行程気筒2C内への流入空気量と停止時膨張行程気筒2A内への流入空気量との偏差が確実に拡大され、1圧縮始動による迅速なエンジン再始動の機会が確実に増やされる。
本実施形態では、特に、自動停止条件の成立時点t1から所定時間が経過する前は吸気絞り弁30の開度を全閉としないから、アイドル回転が維持できるだけのインマニ圧ひいては気筒2A〜2Dへの新気充填量が維持され、燃料カットが行われる時点t2までに失火することなくエンジン回転を持続させることができる。
本実施形態では、特に、時点t2で燃料噴射カットと同時に吸気絞り弁30を全閉とするから、停止時圧縮行程気筒2C内への流入空気量と停止時膨張行程気筒2A内への流入空気量との偏差の拡大が確実に図られる。
本実施形態では、特に、このディーゼルエンジンが用いられるAT車両は、トルクコンバータの抵抗がエンジン回転にブレーキをかけ、燃料カット後の回転低下がより速くなる傾向を有するトルクコンバータ付きの自動変速機を搭載するAT車両であるから、燃料カット後の回転低下が相対的に速いAT車両においても1圧縮始動の頻度を高めることができるという本実施形態の作用効果は非常に大きいものとなる。
本実施形態では、特に、このディーゼルエンジンは、幾何学的圧縮比が16未満(より具体的には14)に設定されたディーゼルエンジンである。
このような構成により、幾何学的圧縮比が16未満のディーゼルエンジンは、従来から多用されてきたディーゼルエンジンに比べれば圧縮比が低く、その分、圧縮行程の途中位置に停止するピストン5の圧縮代(停止位置から圧縮上死点までの有効圧縮比)は小さく、燃料の自己着火性が相対的に低いため、停止時圧縮行程気筒2Cのピストン5を安定して下死点寄りに停止させて1圧縮始動の頻度を高めることができるという本実施形態の作用効果は非常に大きいものとなる。
(6)他の実施形態
上記実施形態では、最初の吸気絞り弁30の閉じ動作を自動停止条件の成立時点t1に行ったが、最初の吸気絞り弁30の閉じ動作を燃料カットよりも前に行う限り、これに限定されず、時点t1より後で時点t2より前のいずれも時点で最初の吸気絞り弁30の閉じ動作を行ってもよい。ただし、吸気絞り弁30の閉じ動作と燃料カットの実行とが時間的に離れるほど好ましい。
また、上記実施形態では、吸気絞り弁30を時点t1と時点t2とで2段階に閉じたが、例えば、燃料カットが行われるまでのアイドル回転時に失火等の不具合が起きないのであれば、状況に応じて、最初から吸気絞り弁30を全閉にしても構わない。
また、上記実施形態では、吸気絞り弁30の開度を0%から0%超の開度(例えば10〜30%程度、図2では20%)に切り替える時期を、2TDC(時点t4)としたが、これに限らず、停止時圧縮行程気筒2C内への流入空気量を停止時膨張行程気筒2A内への流入空気量よりも多くすることができる限り、2TDCよりも所定時間前の時点で吸気絞り弁30の開度を切り替えてもよく、また、2TDCよりも所定時間後の時点で吸気絞り弁30の開度を切り替えてもよい。つまり、吸気絞り弁30の開度を切り替える時期を、2TDCの近傍とすることが可能である。
また、上記実施形態では、圧縮自己着火式エンジンの一例としてディーゼルエンジン(軽油を自己着火により燃焼させるエンジン)を用い、ディーゼルエンジンに本発明に係る自動停止・再始動制御を適用した例を説明したが、圧縮自己着火式エンジンであれば、ディーゼルエンジンに限定されない。例えば、最近では、ガソリンを含む燃料を高圧縮比で圧縮して自己着火させる(HCCI:Homogeneous−Charge Compression Ignition:予混合圧縮着火)タイプのエンジンが研究、開発されているが、このような圧縮自己着火式のガソリンエンジンに対しても、本発明に係る自動停止・再始動制御は好適に適用可能である。
1 エンジン本体
2A 停止時膨張行程気筒
2C 停止時圧縮行程気筒
2D 停止時吸気行程気筒
5 ピストン
15 燃料噴射弁
28 吸気通路
30 吸気絞り弁
34 スタータモータ
50 制御手段(ECU)
Rx 特定範囲
X 基準停止位置

Claims (5)

  1. 燃料噴射弁から気筒内に噴射された燃料を自着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに設けられ、所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動停止させると共に、その後所定の再始動条件が成立したときに、エンジン停止時に圧縮行程となる停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点寄りに設定された特定範囲内にある場合は、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、上記停止時圧縮行程気筒に上記燃料噴射弁から燃料を噴射することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置であって、
    上記エンジンは自動変速機を搭載する車両に用いられるものであり、
    エンジンを自動停止させる過程において、
    上記自動停止条件が成立した時点から所定時間が経過する前に吸気通路に設けられた吸気絞り弁の開度を上記自動停止条件が成立する前の開度よりも小さくし、
    上記所定時間が経過した後に上記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止し、
    上記燃料噴射の停止後に、エンジンが停止する前の全気筒の最後の上死点の1つ前の上死点の近傍で、上記吸気絞り弁の開度を大きくする制御手段を有することを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
  2. 請求項1に記載の圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置において、
    上記制御手段は、上記自動停止条件が成立した時点に上記吸気絞り弁の開度を小さくすることを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置において、
    上記制御手段は、上記所定時間が経過する前は吸気絞り弁の開度を非全閉の所定開度とし、上記燃料噴射の停止と同時に吸気絞り弁を全閉とすることを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置において、
    上記自動変速機は、トルクコンバータ付きの自動変速機であることを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置において、
    上記圧縮自己着火式エンジンは、幾何学的圧縮比が16未満に設定されたディーゼルエンジンであることを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
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