図1において、符号1は光源ユニットを示しており、光源ユニット1は、図9、図15などに示す光源12と、光源12のほぼ半分を囲むリフレクタ11を有してなる。光源12は白色光源である。光源ユニット1の前方すなわち光源ユニットから出射される照明光の進路上には、防爆ガラス2、回転カラーフィルタ3、照明均一化素子であるライトトンネル4、第1リレーレンズ5、第2リレーレンズ6、第1折り返しミラー7、第2折り返しミラー8、カバーガラス110、反射型空間光変調素子であるDMD7、投射光学系20、防塵ガラス27がこの順に配置されている。光源ユニット1から第2折り返しミラー8までが、DMD7の微小ミラー面を照明する照明光学系を構成している。
投射光学系20は、光束の進行方向に、レンズを用いた屈折系の投射レンズ21、折り返しミラーである平面ミラー25および自由曲面ミラー26がこの順に配置されることによって構成されている。投射光学系20は、DMD7の微小ミラーからの反射光を図9に示すスクリーン70に投射して、DMD7で形成される画像をスクリーン70に拡大表示する。
上記第1折り返しミラー7はシリンダーミラーすなわち円筒形の反射面を持つである。第2折り返しミラー8は球面であり、図14に示すように、一隅部に切り欠き81を有している。第1、第2折り返しミラー7,8はいずれも凹面に反射面が形成されている。本実施例では、光源ユニット1から照明光が水平方向に出射され、ライトトンネル4、第1、第2リレーレンズ5、6を水平方向に透過し、DMD7の上方を通過した照明光が第1折り返しミラー7によって斜め上方に反射されるように、第1折り返しミラー7が斜め上方に向けて設置されている。第1折り返しミラー7で反射された照明光は第2折り返しミラー8によってDMD7に向けて反射されるように、第2折り返しミラー8は斜め下に向けて設置されている。DMD7は、前述のとおり画素に相当する無数の微小ミラーを有していて、微小ミラーが水平面上に並ぶように配置され、オンした微小ミラーによる反射光が垂直方向上方に向かうようになっている。この垂直方向上方への光束の通路から外れた位置に第2折り返しミラー8が配置されている。
上記のようにオンした微小ミラーにより反射されて垂直方向上方に向かう光の通路には前記投射レンズ21が配置されている。後で具体的に説明するとおり、オフした微小ミラーによる反射光は投射レンズ21の光路を外れ、投射光学系20には入射しない。第2折り返しミラー8の一隅部は投射レンズ21の鏡筒の下端部外周と機械的に重なり合う位置にあるため、この重なり合いを避けるために、上記第2折り返しミラー8の一隅部に前記切り欠き81が形成されている。
前記防塵ガラス27は、投射光学系20、前記照明光学系およびDMD10に、上方から埃や塵が侵入するのを防ぐために設けられている。さらに、DMD10の直近上方にDMD10をほぼするためのカバーガラス110が配置されている。
前記自由曲面ミラー26は、DMD10で空間変調された画像を、画像投射装置の至近距離にあるスクリーンに向かって斜め上方に投射し、スクリーン上に画像を形成するためのものである。本実施例の照明光学系において、ライトトンネル4の出射端とDMD10の微小ミラー面は、第1、第2リレーレンズ5,6および第1、第2折り返しミラー7,8によって互いに共役な関係にある。
水平方向であって光源ユニット1から照明光が出射する方向をz方向、水平方向であってz方向に直交する方向をx方向、z方向とx方向を含む面に直交する方向をy方向とする。DMD10の微小ミラー面はz方向とx方向を含む面に配列されており、光源ユニット1から放射されDMD10の微小ミラー面で反射される光は、y方向上方に向かって進行するようになっている。
図2、図3は、上記実施例における光源ユニット1を含む照明光学系を模式的に示している。図2、図3において、光源ユニット1、防爆ガラス2は光源ユニットケース16内に組み込まれている。光源ユニットケース16は、光源筐体15内に配置されるとともに板ばね17で、光源筐体15の内壁面に突き当てられている。板バネ17は2箇所に配置され、一つの板バネ17は光源ユニットケース16の一側面を光源筐体15の一側壁内面に押し付け、他の一つの板バネ17は光源ユニットケース16を光源筐体15の前方に向かって押し付けている。光源ユニットケース16の一側前端と光源筐体15の前壁内面との間には光源ユニット1の傾き調整部材として、スペーサの一種である楔18が介在している。
光源筐体15の外側における各光学素子は、カラーホイール3、ライトトンネル4、第1リレーレンズ5、第2リレーレンズ6、第1折り返しミラー7、第2折り返しミラー8、DMD10、投射光学系20の順に配置されている。ライトトンネル4から投射光学系20の一部を構成する投射レンズ21の下部までは、樹脂などによって一体成形された光学系筐体40内に配置されている。光源筐体15と光学系筐体40の間に回転カラーフィルタ3が配置されている。
図13に示すように、上記光源筐体15、光学系筐体40および回転カラーフィルタ3は、樹脂などによって一体成形されたハウジング60内に設置されている。光源筐体15は、図示の例のように照明系の光学系筐体40と別に設けることによって、発生した熱が光学系筐体40側に伝達されることを軽減することができる。ただし、光源筐体15と光学系筐体40とを別に設けることが必須ではなく、光源筐体15と光学系筐体40が同じハウジング60内に収まっていればよい。
図2、図3において、前記リフレクタ11の縦断面形状は例えば楕円形であり、その回転軸O上に、例えば超高圧水銀ランプからなる白色の光源12が配置されている。光源12から放射される照明光は、リフレクタ11の凹面からなる楕円形の反射面で反射されることにより、上記回転軸Oを中心とした照明光が回転軸Oに沿って出射される。
前述のように、第2折り返しミラー8の一隅部には、投射光学系20を構成する投射レンズ21の鏡筒部分と第2折り返しミラー8との機械的な重なり合いを避けるための切り欠き81が形成されている。そのため、DMD10に照射される照明光の照度が上記切り欠き81に対応する部分で低下し、照度むらが生じる。そこで、上記切欠き81を有することによる照度の低下および照度むらを軽減するための光源ユニット1の位置調整部材が設けられている。前記楔18は上記位置調整部材の一つである。
図2に示す態様では、二つの板ばね17の弾力により、光源ユニットケース16の一側面が光源筐体15の一側壁内面に、光源ユニットケース16の前面が光源筐体15の前壁内面に押し付けられている。この態様では、前記楔18が機能しておらず、光源ユニット1の照明光の中心軸が、第1、第2リレーレンズ5,6の光軸とほぼ一致している。
図3に示す態様は、光源ユニット1の傾き調整部材としての楔18を、光源ユニットケース16の一側前端と光源筐体15の前壁内面との間にスライドさせながら挿入したときの態様である。楔18の挿入によって光源ユニットケース16が二つの板ばね17の弾力に抗して傾き、光源ユニットケース16とともに光源ユニット1が傾いて、照明光の中心軸であるリフクレタ11の回転軸Oも傾く。このようにして容易に光源12の傾きを調整することができる。
上記調整部材としてのスペーサは楔18に限られるものではなく、図4、図5に示すように、平板状のスペーサからなる調整部材181であってもよい。平板状の調整部材181を、図4、図5に示す例のように、光源ユニットケース16の一側前端と光源筐体15の前壁内面との間に挿入すると、光源ユニットケース16が二つの板ばね17の弾力に抗して移動しながら傾く。光源ユニットケース16とともに光源ユニット1が移動するとともに傾く。この光源ユニット1の移動量および傾き量は、調整部材181の厚さを変えることにより、あるいは調整部材181の重ね枚数を変えることによって調整することができる。図2乃至図5に示す例では、調整部材18,181をスライドさせながら移動させる方向は、x方向である。
図5において、光学系筐体40は、軽量で強度のある金属、例えばマグネシウムなどを素材とし、鋳造法で作製される。この光学系筐体40には、個々の光学素子を設置するための溝、孔乃至は開口が形成されている。具体的には、第1のリレーレンズ5を設置するための溝45と第2のリレーレンズ6を設置するための溝46が形成されている。前記ライトトンネル4は横断面形状が矩形であり、その一辺の長さおよび幅に合った段差47が学系筐体40に形成されている。また、学系筐体40には、DMD10を設置するために矩形の開口41と、投射レンズ21の鏡筒を設置するための円形の開口42が形成されている。
前記第1、第2の折り返しミラー7,8はミラーハウジング48内に設置されている。ミラーハウジング48は光学系筐体40とは別部材になっていて、光学系筐体40内に設置されている。ミラーハウジング48は金属または樹脂で、あるいは金属と樹脂の複合体で作製される。図2乃至図13に示す例では、投射光学系20のうち投射レンズ21のみが光学系筐体40内に設置されているが、投射光学系20を構成する前記平面ミラー25、さらには自由曲面ミラー26を含めて光学系筐体40内に設置してもよい。光源ユニット1は防爆ガラス2を有している。
光源ユニット1と光学系筐体40の間には回転カラーフィルタ3が配置されている。回転カラーフィルタ3の回転中心には駆動モータ31の軸が結合され、モータ31によって回転カラーフィルタ3が回転駆動されるようになっている。図2乃至図7に示すように、光源12から放射され、リフレクタ11で反射された照明光は、回転カラーフィルタ3を透過した後、ライトトンネル4の入射端で集光する。一般的には、ライトトンネル4の入射端面(x方向とy方向を含む面内)の中央に集光するのが望ましい。ただし、本発明においては、x方向、さらにはy方向にずらすことが好ましい場合がある。防爆ガラス2、カラーホイール3は、これらによって照明光が反射され、光源12への戻り光を防ぐため、数度から10°程度傾けて設置されている。
図2乃至図5に示す例では、光源ユニット1の傾き調整を、y方向の軸を中心に回転させて行っているが、図6、図7に示すように、x方向の軸を中心として回転させることにより調整を行うこともできる。図6、図7に示す例では、調整部材としての楔18を、光源ユニットケース16の前面上端と光源筐体15の前壁前面との間に介在させている。楔18の挿入量を調整することにより、光源ユニットケース16内の光源ユニット1の傾き調整を行うことができる。
また、第2折り返しミラー8が一隅部に前記切り欠き81を有することによって、DMD10の照明領域の上記切欠き81に対応する部分の照度低下がないように、ライトトンネル4がその中心軸線の周りに回転(傾斜)した態様で設置されている。図8は、光源側からライトトンネル4を見た図である。ライトトンネル1を設置する前記段差47が傾けて形成されていて、この段差47にライトトンネル4が設置されることにより、ライトトンネル4が段差47の傾き角度と同じ角度で傾いて設置されている。
図10、図11に示すように、光源の傾き調整部材は、ねじ50であってもよい。ねじ50は光源筐体15の前壁に外側前面からねじ込まれ、ねじ50の先端が上記前壁を貫いて、光源筐体15の上端近くかつ一側端近くの前面に当接している。光源筐体15の前壁に対するねじ50のねじ込み量を調整することにより、光源筐体15に対する光源ユニットケース16およびこれと一体の光源ユニット1の、x方向の軸を中心とした傾きを連続的に調整することができる。
なお、光源ユニット1、回転カラーフィルタ3、照明光学系を構成するライトトンネル4などが密接して配置されているため、ねじ50を回すのに必要なスペースがない場合がある。そこで、図12に示すように、ねじ50の頭部と一体に、長いレバー51を形成し、レバー51を操作することによりねじ50を回転するようにするとよい。図10乃至図12に示す例のように、光源の傾き調整部材がねじ50で構成されていると、光源の傾き調整部材をねじの回転量によって連続的に調整することができかつ微調整が可能である。また、ねじ50を一定の角度ごとに調整するようにしておけば、段階的な調整が可能になる。
ところで、画像投射装置を外観から分類すると、縦型と横型があり、それぞれに対応して光学素子が配置される。ここまで説明してきた実施例は縦型である。図9で代表されるように、画像投射装置のハウジング60内に、防爆ガラス2を含む光源ユニット1、白色の照明光から少なくとも赤、緑、青の光を時分割で形成する回転カラーフィルタ3、照明均一化素子としてのライトトンネル4、第1、第2リレーレンズ5,6、第1、第2折り返しミラー7,8、空間光変調素子としてのDMD10、投射レンズ21、投射ミラー系22が配置されている。投射ミラー系22は、図1に示す平面ミラー25と自由曲面ミラー26で構成されている。図示していないが、冷却ファン、光源駆動部、DMD駆動部、各種光学素子の保持部材等がハウジング60内に配置されている。光源ユニット1から第2折り返しミラー8までを照明光学系と呼ぶ。また、投射レンズ12から自由曲面ミラー12までを合わせて投射光学系を構成している。図9では省略されているが、照明光学系の各素子は、前述のように、光源筐体15および光学系筐体40に設置されている。
光源12から出射した白色の照明光はリフレクタ11で集光されつつ前方に進む。白色の照明光のうち、紫外線(UV)及び赤外線(IR)は防爆ガラス2に設けられているUVカットフィルター、IRカットフィルターによりカットされる。さらに、白色照明光は、回転カラーフィルタ3により、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の三色に、時分割される。これらの光は、ライトトンネル4内で多数回反射され、その空間的な強度分布が均一化される。リフレクタ11の反射面は、例えば凹形の楕円体で表され、第1焦点に光源(発光部)12を設置し、第2の焦点位置に、ライトトンネル4の入口(入射端)を設置する。従って、光源12から出射した光はライトトンネル4の入射端において一旦集光される。
ライトトンネル4を出た光は第1リレーレンズ7、第2リレーレンズ8を経て、第1折り返しミラー7で折り返され、さらに第2折り返しミラー8で折り返され、DMD10に到達する。ライトトンネル4の出射端面とDMD10の表示面とは、共役の関係が成立するように、第1、2のリレーレンズ5,6、第2折り返しミラー8のパワーが配分されている。第1、第2の折り返しミラー7,8によって照明光の光路が3次元的に折り返得されるようになっていて、これによりハウジング60の小型化を図っている。また、図8について説明したように、ライトトンネル4が、光軸周りに回転し傾斜した姿勢で設置されているのも、照明光が第1、第2の折り返しミラー7,8により三次元的に折り返される構成になっていることによる。
x、y、zの直交座標系については前述のとおりである。図9の右下には、x軸、y軸、z軸を中心とした回転をそれぞれα、β、γとするものとして示している。これは他の図においても共通である。
図9において、DMD10の画像表示面は、z軸とx軸を含む面に平行である。また、投射レンズ21は、その光軸がy軸方向に沿うように設置されかつDMD10の画像表示面に対して垂直になっている。画像が投射されるスクリーン70は、yz面に平行である。従って、DMD10の画像表示面とスクリーン70は直交している。投射レンズ21の光軸とスクリーン70は平行であり、スクリーン70は床に垂直なy方向とz方向を含む面に平行である。また、画像投射装置を設置する部屋の床や机などの平坦な台の表面は、z方向とx方向を含む面と平行である。このような関係にある本実施例に係る画像投射装置を縦型と呼ぶことにする。従来の横型の画像投射装置においては、投射レンズの光軸がx軸と平行で、これに垂直にスクリーンがある(例えば特許文献2参照)。本発明に係る技術思想は縦型に限定されるものではなく、横型の画像投射装置にも適用することができる。
第2折り返しミラー8を図14に示す。第2折り返しミラー8は一隅部に切り欠き81を有していて、切り欠き81も含めて型枠を使った圧縮成形によって製作することができる。また、切削加工によって形成してもよい。
図15に示すように、光源12とリフレクタ11を含む光源ユニット1から出射する照明光の最大角を2θとする。ライトトンネル4の断面は矩形であり、横断面における内面の短辺の長さをa、長辺の長さをb、対角線の長さを2c、光軸に沿ったライトトンネル4の長さ(全長)をLとする。最大角の1/2でライトトンネル4に入射した光がライトトンネル4内で一回目に反射されるまでの光軸に沿った距離をsとすると、s=c*tanθである。一例として、L=25mm、θ=30°、a=3.4mm、b=5.7mmである。またc=3.32mm、s=5.75mmである。さらにL/sは、最大入射角の照明光のライトトンネル内での反射回数を表し、4.35回である。
照明光の角度θが30°よりも小さいと、ライトトンネル内での反射回数は少なくなる。またLが30mm、20mm、または15mmで、他は同じとすると、L/sはそれぞれ5.22、3.48、2.61である。ライトトンネル4の反射面の1回の反射率が98%(平均)とすると、これらの反射回数により、トータルの反射率は、L=30mmで90.0%、L=25mmで91.6%、L=20mmで93.2%、L=15mmで94.8%である。Lが大きいほど、反射回数は多くなり、トータルの反射率は低下し、Lが小さいほど、反射回数は少なくなり、トータルの反射率は向上する。光学素子の単品として、トータルの反射率で90%以上が好ましい。また、照明光の均一化の観点から、反射回数が少なすぎるのは好ましくない。従って、
3.48s≦L≦5.22s
とするのが望ましい。
DMD10が大きな照度むらがなく適切に照明されている場合、DMD10上の照度分布はほぼ平坦になる。図16はDMD10上の照度分布を示す。図16において、曲線(A)はDMD10の短辺方向の照度分布、曲線(B)はDMD10の長辺方向の照度分布、曲線(C)はDMD10の対角線方向の照度分布を示している。DMD10上の照度分布は、ライトトンネル4内での光の反射回数に依存する。反射回数が少なく、照明の均一化が不充分な場合、上部が平坦な曲線とはならず、中央が尖った不均一な分布となる。
第2折り返しミラー8の切り欠き81を要因とするDMD4上の照度低下を、光源ユニット1の位置調整により向上・回復させることができる。その理由を、図17を参照しながら説明する。図17(a)から(c)は、光源ユニット1とライトトンネル4の位置関係を描いたものである。(a)はライトトンネル4が充分に長い場合でありかつ第2折り返しミラー8の切り欠き81の影響が無い場合を示しており、DMD10上の照度分布(対角)はグラフ(i)に示すように均一になる。しかし、上記切り欠き81の影響がある場合、照度分布はグラフ(ii)のように、片側の照度が落ちる。
図17(b)はライトトンネル4が短い場合を示している。ライトトンネル4が短い場合、光源ユニット1から出射された照明光は、ライトトンネル4内で反射されることなく出射される照明光の割合が増え、DMD10上の照度分布曲線において中央にピークが生じる。さらに第2折り返しミラー8の切り欠き81の影響により照度分布曲線の片側が低下する。この場合のグラフを(iii)に示す。この場合に、図2乃至図7に示すような光源ユニット1の調整部材により照明光の中心軸を傾けると、DMD10上の照度分布曲線の中央にあったピークが移動する。そこで、第2折り返しミラー8の切り欠き81により低下した照度を相殺する方向に上記照明光の中心軸を傾ければ、図17のグラフ(vi)に示すように、照度の低下を回復・向上させることができる。
本発明の実施例によれば、第2折り返しミラー8の切り欠き81によりDMD10上の照度が低下し、かつ、短いライトトンネル4を用いた場合であっても、リフクレタ11を有する光源ユニット1の位置調整手段により、照度むらの少ない画像投射装置を得ることができる。
次に、上記実施例の各構成部分について、より詳細に説明する。
照明均一化素子としてのライトトンネル4は、図18に示すように、4枚の板状のミラーを、ミラー面がお互いに内側に、断面形状が矩形になるように張り合わせたもので、外観は柱状である。各ミラーは耐熱性に優れた接着剤などを用いて貼り合わせられている。前述のとおり、ライトトンネル4の長さは長い程、内面での反射回数が増えるため、照明光の照度分布を均一にすることができるが、照度分布の均一性と照明系のサイズとの兼ね合いで、ライトトンネルの長さは20mmから30mm程度に設定される。
DMD10として0.65インチのWXGA(16:10)、画素ピッチ10.8μmのものを採用した。これに対応するライトトンネル4の内寸は、6mm×3mm程度である。ライトトンネル4を構成する各ミラーの反射率は98%(波長420nm〜680nm)以上が好ましい。上記ミラーの反射面は、Ag、Alなどの金属膜を真空蒸着、あるいはスパッタリングによりガラス面に成膜したものである。金属膜に代えて、誘電体多層膜を成膜してもよい。各ミラーの板の厚みは1mm前後である。このような構成の照明均一化素子は、ライトトンネル、ライトパイプ、ロッドレンズ、ロッドインテグレータなどとも呼ばれる。
照明均一化素子は、図18に示すようなミラー板を張り合わせたものでなくてもよく、例えばガラス柱であってもよい。照明均一化素子としてガラス柱を用いた場合、ガラス柱内面の全反射を利用して照明光を反射することができるため、反射膜を成膜する必要なない。
光源12から放射され、リフレクタ11で反射されて光源ユニット1から出射される照明光は、配光分布を有しており、そのままスクリーンに投射すると、照度(明るさ)むらとなって人に認識される。照度むらは、一般に、スクリーンの中心領域では明るいが、周辺では暗くなっているという場合が多い。照明均一化素子としてのライトトンネル4により、照度むらを低減することができる。その原理は、カレードスコープと同様である。照明均一化手段に適当な角度で入射した光は、ライトトンネル4の内面のミラーで複数回反射を繰り返し、光を折りたたむように重ね合わされ、ライトトンネル4の出射端では照度が均一化されている。
ライトトンネル4の設置および調整構造に関して説明する。図20において、ライトトンネル4は、前記光学系筐体40の段差47に、ライトトンネル4の形状に応じた固定具49により設置されている。上記段差47に続く縦方向の壁面があり、段差47と上記縦方向の壁面とで構成される角隅部にライトトンネル4が配置され、互いに直交する2面を持つアングル状の固定具49によってライトトンネル4を上記各隅部に押圧することにより、ライトトンネル4が固定されている。
ライトトンネル4は、図19に示すようにホルダー44に入れてもよい。ホルダー44の材質は例えばステンレスであり、耐熱性があるものが好ましい。ホルダー44の内面とライトトンネル4の外面を接触させることにより冷却効果を高めることができる。ライトトンネル4を直接、もしくはライトトンネル4を保持したホルダー44を、図20に示すように、固定具49により光学系筐体40の段差47に固定する。固定具49はステンレス鋼やアルミニウムのような熱伝導性の高い金属で製作され、光学系筐体40にねじ止めされている。
図20(b)に示すように、ライトトンネル4と固定具49との間には、弾性部材である板ばね52が介在している。光学系筐体40側にはねじ孔が形成され、このねじ孔に調整ねじ53がねじ込まれている。調整ねじ53は、ライトトンネル4の底面側と一側面側の2方向からねじ込まれ、各調整ねじ53の先端がライトトンネル4の底面側と一側面側に当接している。ライトトンネル4を挟んで上記2本の調整ねじ53と反対側にそれぞれ上記板ばね52が介在している。このように、調整ねじ53、板ばね52ともに2方向に設けられていて、ライトトンネル4をx軸方向と、y軸方向に位置調整可能な位置調整構造を構成し、調整ねじ53が調整部材となっている。
少なくとも一つの調整ねじ53を回すことにより、ライトトンネル4が上記調整ねじ53の反対側にある板ばね52を付勢する向きに押される。また、上記調整ねじ53を反対側に回すと、その反対側の板ばね52の弾力によってライトトンネル4が押され、逆向きに動く。板ばね52は、固定具49とライトトンネル4との間に単に介在しているだけであってもよいし、固定具49と一体に設けられていてもよい。調整ねじ53を設ける位置は、ライトトンネル4の入射側と出射側のいずれか一方に設けてもよいし、その両方に設けてもよい。ライトトンネル4の長さ方向の傾きを調整するのであれば入射側と出射側のいずれか一方に設ければよく、位置調整(例えばライトトンネル4を平行移動(シフト)させるなど)もするのであれば入射側と出射側の両方に設ける。
空間光変調素子には、透過型のものと反射型のものに大別される。また液晶と偏光を用いた液晶空間光変調素子と、微小ミラーアレイを有し個々の微小ミラーを傾けてオン光とオフ光に切り換えるDMDがある。前記実施例ではDMDを用いている。DMDは無偏光光を用いる。
図21は、上記DMD10を模式的に示している。図21(a)はDMD10を上から見たものである。画像表示領域は矩形になっていて、この画像表示領域には、図21(b)に示すように無数の微小ミラー102が画素として配列されている。各微小ミラー102は一辺10μm前後の正方形である。微小ミラー配列数はXGAで1280×768画素(あるいはピクセル)、WXAGAで1280×768画素である。この微小ミラーの配列面がDMDの表示面すなわち画像表示領域となっている。
画像表示のサイズはDMD10の画像表示領域の対角線で、例えは0.5インチ、0.65インチというように決められる。また、矩形の画像表示領域の長辺と短辺との比を取り、4:3、16:10というように画面の縦横比を表現する。各画素を構成する微小ミラー102は正方形であり、微小ミラー102の配列周期を画素ピッチという。画素ピッチは10μm前後である。図面には現れていないが、実際の微小ミラー102のサイズは画素ピッチよりも若干小さい。画素ピッチに対する実際の微小ミラー102のサイズの比率を開口率と呼ぶ。
図21(d)は、DMD10の画素配列を横から見た場合を示している。画素配列の上側には保護用のカバーガラス110が置かれている。正方形の各微小ミラー102は、その対角線を回転軸として回転する(図21(c)参照)。各微小ミラー102の回転の方向は、回転軸に対して時計周り、反時計周りの両方であり、回転の向きをプラスとマイナスで区別する。回転角度は±10°乃至12°である。微小ミラー102の回転をチルトということもある。回転した微小ミラー102は、図21(e)に示すように、プラス方向の回転とマイナス方向の回転とで、入射光に対する反射光の方向を変えることできる。これによりオンとオフとの二値をとることができる。
各微小ミラー102は、その回転角度が+12°のときをオンとし、回転角度が−12°のときをオフとする。微小ミラーがオンのとき上記微小ミラーで反射される光が画像形成に寄与し、微小ミラーがオフのとき上記微小ミラーで反射される光は画像形成に寄与せず、黒表示となる。上記オンのとき、微小ミラーで反射された光は、前記投射レンズ21の入射瞳に入ることができ、投射レンズ21を経て、前記スクリーン70に到達する。一方、オフのとき、微小ミラーで反射した光は、投射レンズ21の入射瞳に入ることはできず、DMD10の近傍に設けられているオフ光処理用の吸収部材に到達する。この吸収部材は冷却を要する。また、上記オンとオフとの間に微小ミラーが平坦な姿勢をとる瞬間がある。DMDの表示面とは反対側にヒートシンク及び冷却ファンを設置して、DMDの冷却を行う。
前記白色の光源12としては、管球形状の高圧または超高圧水銀ランプを用いるとよい。または、ハロゲンランプであってもよい。光源ユニット1のリフレクタ11の形状は楕円体状が好ましい。楕円体の二つの焦点の一方に、管球(発光部)を設置し、他方の焦点に、照明均一化素子の入射端を設置する。光源12として、出力が例えば180W−260W(ワット)前後のものを用いる。ランプの出力が高いほど、明るい投射画像を実現できる。
水銀ランプは破裂することがあり、破裂してもガラス片が飛散しないように、リフレクタ11の前面に防爆ガラス2を設置する。防爆ガラス2は、例えば40mm角、厚み3mm前後の、硼珪酸ガラスからなり、光源ユニット1の光軸に対して例えば10°傾けて設置する。これは、防爆ガラス2で反射した光が戻り光となり、管球の位置で焦点を結ばないようにするためである。このような戻り光があるとランプの寿命が短くなる。防爆ガラス2には、赤外線(IR)カットフィルター、紫外線(UV)カットフィルターの多層膜を施す。リフレクタ11は適宜のハウジングに納められており、防爆のために、目の細かい金属のメッシュで上記ハウジングを覆ってもよい。画像投射装置において光源としてのランプは消耗品であり、数千時間といった長時間の使用により明るさが低減するので、そのときは、ランプハウジングまたは光源ユニットごと交換する。
管球からなる光源12およびリフレクタ11を図22に示す。図22の(a)は正面図、(b)は側面図である。リフクレタ11の形状には楕円あるいは双曲線等がある。いずれも回転軸を有する。またこの回転軸上に光源12としての管球が設置されている。
光源12は、紫外線から可視光線、そして赤外線まで広い範囲の光を放射しており、従って白色光源である。このうち紫外線と赤外線は、上記のように、ランプ出射直後でカットし、残りの可視光域の光を回転カラーフィルタ3により色成分ごとに分離され、特に光の三原色であるR、G、Bの単色光を用いてカラー画像を形成する。
回転カラーフィルタ3は色分離手段である。回転カラーフィルタ3は、図23に示すように、円板を円グラフのように複数の領域に回転方向に分け、それぞれの領域を異なる色とする(図23(a)参照)。具体的には、円形のガラス板の面に多層膜を蒸着してカラーフィルタとする。基本的には、赤(R)、緑(G)、青(B)であり、これに白(W)を加え四つに領域を分割する。白(W)の領域は、明るさ増大のために設けるもので、多層膜を形成しない透明の領域である。また、色再現性を高めるために、黄(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)などを加えることもある。
上記白色の光源12から出射される照明光から、必要なスペクトルを回転カラーフィルタ3により取り出す。回転カラーフィルタ3のベースをなすガラスの円板は、例えば直径40mm程度、厚み1mm程度である。各色のフィルタ領域は物理的に分離されている。上記円板の回転中心をモータ31の回転出力軸に取り付け、モータ31により高速で回転駆動する。回転速度は数千rpmから1万rpm前後である。回転カラーフィルタ3の各色の位置情報を検出するセンサが備えられており、このセンサの出力により、DMD10による画像表示を同調させている。従って、回転カラーフィルタ3は、時分割(フィールドシーケンシャル)で各色を生成している。DMD10の微小ミラーの応答速度は高速であるため、フィールドシーケンシャルでカラー画像を何ら問題なく形成することができる。また、光源ユニット1から集光される途中の光のスポット32(図23(a)参照)は、常に回転カラーフィルタ3の同じ位置に当る。
光源ユニット1から照明均一化素子であるライトトンネル4までの配置を図24に示す。光源ユニット1の直前には防爆ガラス2が配置され、続いて回転カラーフィルタ3が配置されている。前述のように、防爆ガラス2と回転カラーフィルタ3は、y軸に対して数度から10°程度チルトさせて配置されている。光源12から出射され、リフレクタ11により集光される照明光の角度すなわち照明角は約60°である。図18に示すように、リフクレタ11の回転軸はz軸に平行であり、この軸上に管球からなる光源12、ライトトンネル4の中心を通る軸がある。
図25は、ライトトンネル4と第1、第2リレーレンズ5,6との位置関係を模式的に示す。図25において、第1、2リレーレンズ5,6は、ライトトンネル4に対して、z軸すなわち照明光の光軸方向における位置は異なるが、x軸、y軸の座標は同じである。従って、第1、2リレーレンズ5,6とライトトンネル4は共軸である。しかし、第1、2リレーレンズ5,6はライトトンネル4の中心を通る軸に対してシフトし、第1、2リレーレンズ5,6の光軸とライトトンネル4の中心軸は互いにずれている。第1、2リレーレンズ5,6は、球面レンズであれば研磨により、非球面レンズの場合はプレス成型で作製するのが好ましい。
照明系を構成する、ライトトンネル4からDMD10までの光学部品の位置座標および詳細な数値を表1と表2に示す。
表1
また、投射光学系20の一例として、構成レンズその他の光学素子の位置座標を表3に、投射系レンズの詳細な数値を表4、表5、表6に示す。表3に示す座標は、スクリーン上に対角長さ43インチの画像を投射する場合である。
表7に、投射光学系の構成部材の一つである自由曲面ミラー26の形状の詳細を示す。
表7
表4乃至表6に示すいくつかの非球面レンズの形状は式1に従う。
式1
表7における自由曲面ミラー26の面形状は式2に従う。
式2
ライトトンネル4の設置に関して、光線追跡計算ソフトLightTools(ORA:Optical Research Associates社)を用いて、シミュレーション実験を行った。光源ユニット1の位置および傾き調整した場合のDMD10上での照度分布を求めた。DMD10の1画素のピッチは10.8μm、対角長0.65インチのWXGAのものを想定した。
図1および表1乃至表7に示す構成で、DMD上の照度分布につきシミュレーション実験を行った結果を図26に示す。図26は、光源ユニットをシフトも回転もすることなく実験したもので、これを中央値とする。次に、光源ユニットをx方向に+0.3mmシフトさせた場合のDMD上の照度分布を求めた。その結果を図27に示す。さらに、光源ユニットをy方向に−0.3mmシフトさせた場合のDMD上の照度分布を求めた。その結果を図28に示す。さらに、光源ユニットをα方向に−0.5°回転させた場合のDMD上の照度分布を求めた。その結果を図29に示す。さらに、光源ユニットをβ方向に−0.5°回転させた場合のDMD上の照度分布を求めた。その結果を図30に示す。図29、図30の場合、ライトトンネル4の入射端の中央に回転中心を設定している。図26乃至図30を参照すると、いずれの場合においても、照度分布が変化していることが分かる。
図31に示すように、DMD上の位置を表すのに、中央を「0」、左下を「24」とし、対角方向に等間隔で照度をプロットしたものを図32に示す。図32において、照度は規格化されており、その基準は、照度分布全体における最大値である。光源ユニットを位置調整した場合、位置24において、いずれも中央値の照度が大きくなっていることが分かる。ただし、図28、29からわかるように、光源ユニットをそれぞれy方向に−0.3mmシフトし、あるいはα方向に−0.5°回転させて位置調整すると、DMDの右上で照度の低下が見られるため、画質としてはよくない。従って、光源ユニットの位置調整の向きは、図28、図30に示すように、x方向に−0.3mmシフトし、あるいは、β方向に−0.5°回転させることが望ましい。また、図32から明らかなように、x方向、y方向へのシフトよりも、α方向、β方向への回転の方が、照度低下の低減効果および照度むらの低減効果が高い。
ここまで説明してきた各実施例において、照度分布を調整する調整部材は、主に光源ユニットの傾き角度を調整可能としたものであり、実施例によっては光源ユニットをシフトすなわち平行移動させることもできるようになっていた。ここで、光源ユニットをx方向、もしくはy方向にシフトさせて照度分布を調整することのみで足りるのであれば、調整部材は、図33に示す例のように構成することができる。すなわち、光源ユニットケース16の上面と光源筐体15との間および光源ユニットケース16の背面と光源筐体15との間に板バネ17を介在させ、光源ユニットケース16の底面と光源筐体15との間に平板状の調整部材54を介在させている。調整部材54の厚さを変え、あるいは調整部材54の重ね枚数を変えることにより、光源ユニット1とともに光源ユニットケース16の位置をy方向にシフトすることができる。
図31において、中央値で位置24での規格化照度はおよそ0.75である。これに対して、光源ユニットの位置調整を行うと、0.78乃至0.81となる。従って、この位置での照度は、照度分布全体の最大値に対して、0.75以上、照度の低下で考えると0.25未満程度が好ましい。
前に説明したように、画像投射装置には、外観から分類すると縦型と横型がある。本発明は縦型と横型の何れにも適用可能である。図示の実施例は、画像投射装置本体があり、これとは独立に反射型のスクリーンがあり、スクリーン前方から画像を投影するフロント投射型の画像投射装置として構成されている。人はスクリーン位置を基準にして画像投射装置を設置しているのと同じ側からスクリーン上の画像を観ることになる。伝統的なフロント投射型画像投射装置は、画像投射装置−人−スクリーンの位置関係になるとともに、画像投射装置本体とスクリーンとの間には、投射のためにある程度の距離が必要になり、これが画像投射装置を設置する際の制約の一つになっている。図34(b)に示すように、講演等において上記伝統的な画像投射装置300を使用する場合、画像投射装置300とスクリーン70の間に人75が入ることがあり、投射画像に人75の影が写り、影になった部分の画像は観ることができない。講演者は光源からの光が目に入って不快な思いをする難点がある。
これに対して、近年、投射レンズの短焦点化、広角化により、至近距離からの投射が可能となってきている。図34(a)はこのような画像投射装置の配置関係を示している。この場合、人75−画像投射装置100または200−スクリーン70の位置関係が可能となり、人75がスクリーン70に近づいても、投射画像中に人75の影が入りにくく、講演者等にとっては目に投射光が入りにくく、不愉快な思いをすることがなくなる。
さらに、前記実施例のように、投射レンズ21から出射した光を、自由曲面ミラー26を用いてスクリーンに投射する構成にすることにより、より至近距離から投射可能な画像投射装置を得ることができる。かかる画像投射装置を用いた投射のことを超至近距離投射などと呼んでいる。投射レンズ21から出射した光を、単なる平面ミラーで折り返しただけの場合、特定の角度以外では、投射レンズ21からの画像に、台形歪みが生じるなどの問題が生じる。そこで自由曲面ミラー26を用いて上記台形歪みを解消している。投射レンズ21と自由曲面ミラー26を合わせて、また、前記実施例では平面ミラー25も合わせて投射光学系と呼ぶ。図34(a)において、符号100は図示の実施例のように自由曲面ミラー26を使用することによって台形歪みを解消した超至近距離投射可能な画像投射装置を示している。符号200は、自由曲面ミラー26を持たない超至近距離投射可能な画像投射装置を示している。
至近距離からの投射の度合いを示す指標としてスローレシオ(Throw Ratio)がある。これは投射画像の対角サイズを、画像投射装置からスクリーンまでの距離で割ったものである。この値が大きいほど、より至近距離から大きなスクリーンに投射することができる度合いが大きいことになる。
至近距離投射の場合、図34(a)のように、人―画像投射装置−スクリーンの位置関係が成立する。このとき、画像投射装置を符号200で示すようにスクリーン70の中央の高さに設置すると、聴衆から見て画像投射装置本体がスクリーン70と重なり、画像観察の邪魔になる。従って、至近距離の画像投射装置の設置位置は符号100で示すようにスクリーン70よりも下になる。例えば、床72に置くこともあり得る。この場合、スクリーン70の斜め下方から投射するため、スクリーン70の下端(床側)と上端(天井側)とでは、光線の入射角が異なり、上端の方が入射角は大きくなる。従って、スクリーンの上端に入った光は、天井71の方向に反射される割合が増え、見ている人の方に向かう光の割合は少なくなる。これはスクリーン70の上端部分が暗い画像となる。図34(b)に示すような伝統的な投射方式の画像投射装置ではこのようなことは生じない。
縦型で至近距離投射可能な画像投射装置においては、前記自由曲面ミラー26を含む投射光学系20を用いるため、通常の横型の画像投射装置とは異なり、特異な歪曲に伴う投射画像領域の変形や、スクリーン70の上部が暗く下が明るいといった照度むらの課題がある。これに、前述の照明光学系中の折り返しミラーに切り欠きが存在することによる照度の低下が加わると、さらに画質は低下する。これに対して、前記本発明の実施例のように、光源の位置調整部材を備えていると、照度むらの軽減および照度低下の軽減に有効である。