以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明に係る冷凍サイクル装置10を、車両走行用の駆動力を走行用の電動モータから得る電気自動車の車両用空調装置1に適用している。この冷凍サイクル装置10は、車両用空調装置1において、空調対象空間である車室内へ送風される車室内送風空気を冷却あるいは加熱する機能を果たす。
本実施形態では、図1、2に示すように、車室内を冷房する冷房モード(冷房運転)の冷媒回路、車室内を暖房する暖房モード(暖房運転)の冷媒回路、車室内を除湿しながら暖房する第1、第2除湿暖房モード(除湿運転)の冷媒回路を切替可能に構成されている。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用しており、高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を越えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。この冷媒には、後述する圧縮機11を循環するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒と共にサイクルを循環している。
圧縮機11は、車両ボンネット内に配置され、冷凍サイクル装置10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機として構成されている。圧縮機11の電動モータは、後述する制御装置40から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御される。
圧縮機11の吐出口側には、室内凝縮器12の入口側が接続されている。室内凝縮器12は、室内空調ユニット30において車室内送風空気の空気通路を形成するケーシング31内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された吐出冷媒(高圧冷媒)と後述する室内蒸発器20を通過した車室内送風空気とを熱交換させて、吐出冷媒を放熱させるとともに、車室内送風空気を加熱する放熱器である。
室内凝縮器12の出口側には、統合弁13の冷媒流入口としての第1流入口A1が接続されている。統合弁13には、レシーバ14の冷媒入口側および冷媒出口側と、第1室外熱交換部16の冷媒入口側および冷媒出口側と、第2室外熱交換部17の冷媒入口側とが接続されている。
統合弁13は、室内凝縮器12通過後の冷媒が第2室外熱交換部17に向かう冷媒流れの間で、すなわち、第2室外熱交換部よりも冷媒流れ上流側で、レシーバ14と第1室外熱交換部16の冷媒が流れる順番を入れ替える順番入替手段である。
本実施形態の統合弁13は、図3に示すように、1つの構造体に、室内凝縮器12を通過した圧縮機11吐出後の冷媒が流入する第1流入口A1の他に、レシーバ14の冷媒入口側に向かって冷媒が流出する第1流出口B1、レシーバ14流出後の冷媒が流入する第2流入口A2、第1室外熱交換部16の冷媒入口側に向かって冷媒が流出する第2流出口B2、第1室外熱交換部16流出後の冷媒が流入する第3流入口A3、および第2室外熱交換部17の冷媒入口側に向かって冷媒が流出する第3流出口B3が形成されている。
そして、統合弁13の内部は、第1流入口A1から流入した冷媒が、第1、第2流出口B1、B2の一方から流出した後、統合弁13の内部に流入し、第1、第2流出口B1、B2の残りの他方から流出した後、統合弁13の内部に流入し、第3流出口B3から流出するように構成されている。
換言すると、統合弁13は、図4に示すように、流入口と流出口との連通状態を第1の連通状態と第2の連通状態とに切換可能に構成された六方弁である。第1の連通状態は、図4中の実線で示すように、第1流入口A1と第1流出口B1とが連通し、第2流入口A2と第2流出口B2とが連通し、第3流入口A3と第3流出口B3とが連通した状態である。第2の連通状態は、図4中の破線で示すように、第1流入口A1と第2流出口B2とが連通し、第3流入口A3と第1流出口B1とが連通し、第2流入口A2と第3流出口B3とが連通した状態である。なお、統合弁13の内部構造の詳細については後述する。
レシーバ14は、室内凝縮器12よりも冷媒流れ下流側に配置されている。レシーバ14は、冷媒の気液を分離して液相冷媒を貯留する気液分離器である。レシーバ14は液相冷媒を流出する。
統合弁13の第2流出口B2と第1室外熱交換部16の冷媒流れの間には、第1膨張弁15が配置されている。
第1膨張弁15は、第1室外熱交換部16に流入する冷媒を減圧させる減圧手段である。 第1膨張弁15は、冷媒通路の通路開度(絞り開度)を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成された電気式の可変絞り機構である。本実施形態の第1膨張弁15は、絞り開度を全開した際に冷媒通路を全開する全開機能付きの可変絞り機構で構成されている。つまり、第1膨張弁15は、冷媒の減圧作用を発揮させないようにすることができるようにすることもできる。なお、第1膨張弁15は、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第1室外熱交換部16は、室内凝縮器12よりも冷媒流れ下流側に配置されている。第2室外熱交換部17は、第1室外熱交換部16およびレシーバ14よりも冷媒流れ下流側に配置されている。
第1、第2室外熱交換部16、17は、その内部を流通する冷媒と図示しない送風ファンから送風された外気とを熱交換させるものである。第1、第2室外熱交換部16、17は、後述する暖房モード時等には、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器として機能し、冷房モード時等には、冷媒を放熱させる放熱器として機能する。
本実施形態では、図3に示すように、第1、第2室外熱交換部16、17は、1つの室外熱交換器18によって構成されている。室外熱交換器18の内部を上側と下側の2つの熱交換部に分け、上側の熱交換部を第1室外熱交換部16とし、下側の熱交換部を第2室外熱交換部17としている。統合弁13は、室外熱交換器18の側面に隣接して配置されている。なお、レシーバ14は、統合弁13から離れて配置されている。
第2室外熱交換部17の出口側には、第2膨張弁19を介して、室内蒸発器20の入口側が接続されている。
第2膨張弁19は、室内蒸発器20に流入する冷媒を減圧させる減圧手段である。第2膨張弁19は、冷媒通路の通路開度(絞り開度)を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。
本実施形態の第2膨張弁19は、絞り開度を全開した際に冷媒通路を全開する全開機能、および絞り開度を全閉した際に冷媒通路を閉鎖する全閉機能付きの可変絞り機構で構成されている。つまり、第2膨張弁19は、冷媒の減圧作用を発揮させないことと、冷媒通路を開閉することができる。なお、第2膨張弁19は、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
室内蒸発器20は、室内空調ユニット30のケーシング31内のうち、室内凝縮器12の車室内送風空気流れ上流側に配置されている。室内蒸発器20は、冷房モード時および第1、第2除湿暖房モード時にその内部を流通する冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることにより室内凝縮器12を通過前の車室内送風空気を冷却する蒸発器である。室内蒸発器20の出口側には、圧縮機11の吸入側が接続されている。
また、第2室外熱交換部17の出口側と圧縮機11の吸入側との間には、第2膨張弁19および室内蒸発器20を迂回させて冷媒を流すバイパス通路21が設けられている。
このバイパス通路21には、開閉弁(第1開閉手段)22が配置されている。このバイパス用開閉弁22は、バイパス通路21を開閉する電磁弁であり、制御装置40から出力される制御信号により、その作動が制御される。
バイパス用開閉弁22が開いている場合、冷媒がバイパス通路21を通過する際に生ずる圧力損失は、冷媒が室内蒸発器20を通過する際に生ずる圧力損失に対して極めて小さい。したがって、第2室外熱交換部17から流出した冷媒は、バイパス用開閉弁22が開いている場合には、バイパス通路21に流れ、バイパス用開閉弁22が閉じている場合には、室内蒸発器20に流れる。
なお、上記したサイクル構成部品のうち、統合弁13、第1膨張弁15、第2膨張弁19、バイパス用開閉弁22が、後述する各運転モード時の作動説明からわかるように、冷媒が循環する冷媒回路を切り替える冷媒回路切替手段を構成している。
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、温度調整された車室内送風空気を車室内に送風するもので、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、前述の室内凝縮器12、室内蒸発器20等を収容することによって構成されている。
ケーシング31は、樹脂製であり、内部に車室内送風空気の空気通路を形成している。ケーシング31内の車室内送風空気の空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)と外気とを切替導入する内外気切替装置33が配置されている。
内外気切替装置33には、ケーシング31内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口が形成されている。さらに、内外気切替装置33の内部には、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドアが配置されている。
内外気切替装置33の空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して吸入された空気を車室内へ向けて送風する送風機32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)32aを電動モータ32bにて駆動する電動送風機であって、制御装置40から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
送風機32の空気流れ下流側には、室内蒸発器20および室内凝縮器12が、車室内送風空気の流れに対して、この順に配置されている。換言すると、室内蒸発器20は、室内凝縮器12に対して、車室内送風空気の流れ方向上流側に配置されている。
さらに、室内蒸発器20の空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の空気流れ上流側には、室内蒸発器20通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12を通過させる風量割合を調整するエアミックスドア34が配置されている。エアミックスドア34は、制御装置40から出力される制御信号によって作動が制御される図示しないサーボモータによって駆動される。
また、室内凝縮器12の空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて冷媒と熱交換して加熱された送風空気と室内凝縮器12を迂回して加熱されていない送風空気とを混合させる混合空間35が設けられている。
ケーシング31の空気流れ最下流部には、混合空間35にて混合された空調風を、空調対象空間である車室内へ吹き出す吹出開口部が配置されている。具体的には、この吹出開口部としては、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出開口部、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出開口部、および車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出開口部(いずれも図示せず)が設けられている。
従って、エアミックスドア34が室内凝縮器12を通過させる風量の割合を調整することによって、混合空間35にて混合された空調風の温度が調整され、各吹出開口部から吹き出される空調風の温度が調整される。
さらに、フェイス吹出開口部、フット吹出開口部、およびデフロスタ吹出開口部の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出開口部の開口面積を調整するフェイスドア、フット吹出開口部の開口面積を調整するフットドア、デフロスタ吹出開口部の開口面積を調整するデフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、リンク機構等を介して、制御装置40から出力される制御信号によってその作動が制御される図示しないサーボモータによって駆動される。
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。制御装置40は、CPU、ROM、RAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する。
また、制御装置40の入力側には、車室内温度を検出する内気センサ、外気温を検出する外気センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、室内蒸発器20からの吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度センサ、圧縮機11から吐出された冷媒の温度を検出する吐出温度センサ、車室内へ吹き出す吹出空気温度(車室内吹出空気温度)を検出する吹出空気温度センサ等の種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。
さらに、制御装置40の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル(図示略)が接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ、冷房モード、除湿暖房モードおよび暖房モードを選択する運転モード選択スイッチ等が設けられている。
なお、制御装置40は、その出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれ制御機器の作動を制御する構成(ソフトウェアおよびハードウェア)が、それぞれの制御機器の作動を制御する制御手段を構成している。例えば、統合弁13、第1膨張弁15、第2膨張弁19およびバイパス用開閉弁22を制御する構成が冷媒回路切替制御手段を構成している。また、第1膨張弁15の絞り開度を制御する構成が第1絞り制御手段を構成し、第2膨張弁19の絞り開度を制御する構成が第1絞り制御手段を構成している。
次に、統合弁13の内部構造について説明する。
図5〜7に示すように、統合弁13は、第1〜第3流入口A1〜A3および第1〜第3流出口B1〜B3が形成された1つのボデー131を備えている。ボデー131は、統合弁13の外形を構成するものであり、金属ブロックで構成される。なお、第1〜第3流入口A1〜A3および第1〜第3流出口B1〜B3のそれぞれの向きは、図示されるものに限らず、任意に変更されるものである。
ボデー131の内部には、第1流入口A1と、第1、第2流出口B1、B2の一方とを連通させる電動式の第1三方弁132が設けられている。
第1三方弁132は、電磁弁50の開閉に応じて、第1流入口A1から流入した冷媒を第1、第2流出口B1、B2の一方に導くように構成されたものである。
具体的には、第1流入口A1と第1流出口B1との間に第1主弁60が設けられ、第1流入口A1と第2流出口B2との間に第2主弁70が設けられている。第1主弁60と第2主弁70とは、同一軸線上に配置されている。第1主弁60に、第1主弁60に作用する背圧と第1流出口B1の連通路側の圧力との差圧を小さくするための電磁弁50が設けられており、この差圧が小さくされたとき、第2主弁70が閉、第1主弁60が開となるように構成されている。
第1主弁60は、弁体部62aおよび大径部62bを有する第1スライド弁体62と、第1流入口A1と第1流出口B1との間を遮断もしくは連通するように、弁体部62aが接離する弁座63が設けられた第1弁室64と、第1スライド弁体62における第1弁室64とは反対側に設けられた第1背圧室65と、前記弁体部62aが閉となる方向に第1スライド弁体62を付勢する付勢部材としてのコイルばね66とを備えている。
第2主弁70は、主弁体部72a、副弁体部72b、および大径部72cを有する第2スライド弁体72と、第1流入口A1と第2流出口B2との間を遮断もしくは連通するために、主弁体部72aが接離する主弁座73が設けられた第2弁室74と、副弁体部72bが接離する副弁座75が設けられた第2背圧室76と、主弁体部72aが閉、副弁体部72bが開となる方向に第2スライド弁体72を付勢する付勢部材としてのコイルばね77とを備えている。副弁座75は弁座形成部材78に形成されている。弁座形成部材78の内部には連通路78aが形成されている。第2弁室74は、連通路79を介して、第1流入口A1と連通している。
なお、図6に示すように、第1流入口A1に導入された高圧の冷媒は、連通路81、第1弁室64、および第1スライド弁体62の大径部62bとその摺動壁面との間を通って第1背圧室65にも導入されるとともに、第2スライド弁体72の大径部72cとその摺動壁面との間を通って第2背圧室76にも導入される。
また、第1主弁60の第1スライド弁体62には、第1背圧室65と弁座63より下側部分(弁体部62aを挟んだ第1背圧室65とは反対側の部分)とを連通するパイロット通路82が設けられている。パイロット通路82は電磁弁50で開閉されるようになっており、弁座63より下側部分の圧力を、弁座形成部材78の連通路78aを介して、第2スライド弁体72の副弁体部72bに作用させるようにされている。
電磁弁50は、コイル部51、吸引子52、ボール53a付き弁体(プランジャ)53、付勢ばね54等からなるものである。電磁弁50は、通電されていないときには、付勢ばね54により弁体53が押し下げられてパイロット通路82を閉じ、通電されると、弁体53が吸引子52側に引き上げられてパイロット通路82を開けるようになっている。なお、図5〜7は、電磁弁50の通電時を示している。
また、ボデー131の内部には、第1流出口B1と第3流入口A3との間に第1逆止弁83が設けられ、第2流出口B2と第2流入口A2との間に第2逆止弁85が設けられている。
第1逆止弁83は、第1流出口B1と第3流入口A3とを連通する連通路84に配置されている。第1逆止弁83は、第3流入口A3の冷媒圧力が第1流出口B1の冷媒圧力よりも高い場合に、第1流出口B1と第3流入口A3とを連通させ、第1流出口B1の冷媒圧力が第3流入口A3の冷媒圧力よりも高い場合に、第1流出口B1と第3流入口A3との間を遮断するようになっている。なお、図5は、第1逆止弁83が第1流出口B1と第3流入口A3との間を遮断している状態を示している。
第2逆止弁85は、第2流出口B2と第2流入口A2とを連通する連通路86に配置されている。第2逆止弁85は、第2流入口A2の冷媒圧力が第2流出口B2の冷媒圧力よりも高い場合に、第2流出口B2と第2流入口A2とを連通させ、第2流出口B2の冷媒圧力が第2流入口A2の冷媒圧力よりも高い場合に、第2流出口B2と第2流入口A2との間を遮断するようになっている。なお、図5は、第2逆止弁85が第2流出口B2と第2流入口A2とを連通させている状態を示している。
また、ボデー131の内部には、第2、第3流入口A2、A3の一方と第3流出口B3とを選択的に連通させる非電動式の第2三方弁133が設けられている。第2三方弁133は、第2流入口A2と第3流出口B3との間に設けられた第3逆止弁91と、第3流入口A3と第3流出口B3との間に設けられ、第3逆止弁91と機械的に連動する第4逆止弁92とを有する。
第3、第4逆止弁91、92は、第2流入口A2の冷媒圧力が第3流入口A3の冷媒圧力よりも高い場合に、第2流入口A2と第3流出口B3との間を遮断するとともに、第3流入口A3と第3流出口B3とを連通させ、第3流入口A3の冷媒圧力が第2流入口A2の冷媒圧力よりも高い場合に、第3流入口A3と第3流出口B3との間を遮断し、第2流入口A2と第3流出口B3とを連通させるようになっている。
第3逆止弁91は、連通路86(第2流入口A2)に連通する弁穴93と、この弁穴92に摺動自在に嵌挿された弁体94と、この弁体94が接離する弁座95が設けられるとともに、連通路100を介して第3流出口B3に連通する弁室96(第4逆止弁92と共通)とを有している。
第4逆止弁92は、連通路84(第3流入口A3)に連通する弁穴97と、この弁穴97に摺動自在に嵌挿された弁体98と、この弁体98が接離する弁座99が設けられるとともに、連通路100を介して第3流出口B3に連通する弁室96(第3逆止弁91と共通)とを有している。
第3、第4逆止弁91、92は、同一構造で対称的に同一軸線上に配設され、両者の弁体94、98の円柱状先端部同士が連結されることにより、両者が機械的に連動するようになっている。
次に、本実施形態の車両用空調装置1の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、前述の如く、車室内を冷房する冷房モード、車室内を暖房する暖房モード、および、車室内を除湿しながら暖房する除湿暖房モードに切り替えることができる。以下に各運転モードにおける作動を説明する。
(A)暖房モード
暖房モードは、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)された状態で、選択スイッチによって暖房モードが選択されると開始される。
暖房モードでは、制御装置40が、統合弁13の電磁弁50を通電状態とし、第1膨張弁15を減圧作用が発揮される制御開度とし、第2膨張弁19を全閉状態とし、バイパス用開閉弁22を開く。これにより、冷凍サイクル装置10では、図1の矢印および白抜き矢印で示すように冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。
また、制御装置40は、読み込まれた検出信号および操作信号の値に基づいて、車室内へ吹き出す空気の目標温度である目標吹出温度TAOを算出する。さらに、制御装置40は、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、制御装置40に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、以下のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、室内凝縮器12の目標凝縮器温度TCOを決定する。そして、この目標凝縮器温度TCOと吐出温度センサの検出値との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内凝縮器12を通過した空気の温度が、目標吹出温度TAOに近づくように圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
また、第1膨張弁15へ出力される制御信号については、第2室外熱交換部17から流出の冷媒の温度状態が、予め定められた目標温度状態となるように決定される。
また、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、室内蒸発器20を通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12の空気通路を通過するように決定される。
そして、上記の如く決定された制御信号等を各種制御機器へ出力する。その後、操作パネルによって車両用空調装置1の作動停止が要求されるまで、所定の周期毎に運転モードの決定処理→各種制御機器の作動状態の決定→制御信号等の出力といった制御ルーチンが繰り返される。なお、このような制御ルーチンの繰り返しは、他の運転モード時にも同様に行われる。
ここで、暖房モードでの統合弁13、レシーバ14、第1室外熱交換部16、第2室外熱交換部17における冷媒流れを説明する。
統合弁13の電磁弁50が通電状態とされると、図1に示すように、統合弁13の第1流入口A1から流入した冷媒は、第1流出口B1に導かれるようになる。これにより、冷媒が流れる順番が、レシーバ14が先、第1室外熱交換部16が後となる。
具体的には、図5、6に示すように、電磁弁50が通電状態とされると、電磁弁50の弁体53が引き上げられてパイロット通路82が開かれる。これにより、第1主弁60の弁座63より下側部分の圧力が上昇して第1背圧室65との差圧が小さくなり、その上昇した圧力が弁座形成部材78の連通路78aを介して第2スライド弁体72の副弁体部72bに作用する。このため、第2主弁70の第2スライド弁体72が移動して、主弁体部72aが閉となるとともに、副弁体部72bが開となる。これによって、第1流入口A1から流入した高圧の冷媒は、連通路81を介して、第1主弁60の第1弁室64に導かれ、第1スライド弁体62の大径部62bに作用する。これにより、第1スライド弁体62がコイルばね66の付勢力に抗して移動し、弁体部62aが開となる。このため、第1流入口A1と第1流出口B1とが連通した状態となり、第1流入口A1から流入した冷媒は、第1流出口B1から流出する。なお、第1逆止弁83が、第1流入口A1から流入した冷媒によって押されて閉となるので、第1流入口A1から流入した冷媒は、第3流入口A3には流れない。
第1流出口B1から流出した冷媒は、レシーバ14を介して、第2流入口A2から統合弁13の内部に流入する。第2流入口A2から流入した冷媒の圧力が、第2流入口A2と第2流出口B2とを連通する連通路86に配置された第2逆止弁85に作用することにより、第2逆止弁85が移動して開となる。このため、第2流入口A2と第2流出口B2とが連通した状態となり、第2流入口A2から流入した冷媒は、第2逆止弁85を介して、第2流出口B2から流出する。
第2流出口B2から流出した冷媒は、第1膨張弁15、第1室外熱交換部16を介して、第3冷媒流入口A3から流入する。このとき、第1膨張弁15が制御開度とされることから、第1膨張弁15によって減圧された冷媒が第3冷媒流入口A3から流入する。このため、第2流入口A2の冷媒圧力が第3流入口A3の冷媒圧力よりも高いので、図5、7に示すように、第2流入口A2側の第3逆止弁91が閉となり、第3流入口A3側の第4逆止弁92が開となる。すなわち、第3、第4逆止弁91、92は、第2流入口A2と第3流出口B3との間を遮断するとともに、第3流入口A3と第3流出口B3とを連通させる。
この結果、第3冷媒流入口A3から流入した冷媒は、第3流出口B3から流出する。そして、第3流出口B3から流出した冷媒は、第2室外熱交換部17に流入する。
従って、暖房モード時の冷凍サイクル装置10では、図1に示すように、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12に流入する。室内凝縮器12に流入した冷媒は、送風機32から送風されて室内蒸発器20を通過した車室内送風空気と熱交換して放熱する。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、統合弁13を介して、レシーバ14に流入して気液分離される。そして、レシーバ14にて分離された液相冷媒は、統合弁13を介して、第1膨張弁15に流入し、第1膨張弁15にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される。そして、第1膨張弁15にて減圧された低圧冷媒は、第1室外熱交換部16に流入して、送風ファンから送風された外気から吸熱して蒸発する。第1室外熱交換部16から流出した冷媒は、統合弁13を介して、第2室外熱交換部17に流入して、送風ファンから送風された外気から吸熱する。
第2室外熱交換部17から流出した冷媒は、バイパス通路21を介して、圧縮機11の吸入側に流入し、再び圧縮機11にて圧縮される。なお、第2膨張弁19は全閉状態であるため、室内蒸発器20には冷媒が流入しない。
以上の如く、暖房モードでは、圧縮機11→室内凝縮器12→統合弁13(第1流入口A1→第1流出口B1)→レシーバ14→統合弁13(第2流入口A2→第2流出口B2)→第1膨張弁15(制御開度)→第1室外熱交換部16→統合弁13(第3流入口A3→第3流出口B3)→第2室外熱交換部17→バイパス通路21→圧縮機11の順に冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。
そして、この暖房モードでは、室内凝縮器12にて圧縮機11から吐出された高圧冷媒の有する熱を車室内送風空気に放熱させて、加熱された車室内送風空気を車室内へ吹き出すことができる。この結果、車室内の暖房を実現することができる。
(B)冷房モード
冷房モードでは、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)された状態で、選択スイッチによって冷房モードが選択されると開始される。
冷房モードでは、制御装置40が、統合弁13の電磁弁50を非通電状態とし、第1膨張弁15を全開状態とし、第2膨張弁19を減圧作用が発揮される制御開度とし、バイパス用開閉弁22を閉じる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図2の矢印で示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
さらに、制御装置40は、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、制御装置40に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、以下のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器20の目標蒸発器温度TEOを決定する。そして、この目標蒸発器温度TEOと蒸発器温度センサの検出値との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内蒸発器20を通過した空気の温度が、目標吹出温度TAOに近づくように圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
また、第2膨張弁19へ出力される制御信号については、室内蒸発器20から流出の冷媒の温度状態が、予め定められた目標温度状態となるように決定される。
また、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を閉塞し、室内蒸発器20を通過後の送風空気の全流量が冷風バイパス通路を通過するように決定される。すなわち、エアミックスドア34は、図2中の実線位置とされる。
ここで、冷房モードでの統合弁13、レシーバ14、第1室外熱交換部16、第2室外熱交換部17における冷媒流れを説明する。
統合弁13の電磁弁50が非通電状態とされると、図2に示すように、統合弁13の第1流入口A1から流入した冷媒は、第2流出口B2に導かれるようになる。これにより、冷媒が流れる順番が、第1室外熱交換部16が先、レシーバ14が後となる。
具体的には、電磁弁50が非通電状態とされると、電磁弁50によりパイロット通路82が閉じられる(図5、6参照)。このとき、第1流入口A1から流入した冷媒の圧力が、第2スライド弁体72の大径部72cに作用する。これにより、第2スライド弁体72が移動して、主弁体部72aが開となるとともに、副弁体部72bが閉となる。このとき、第1主弁60の弁座63より下側部分の内圧よりも第1背圧室65の内圧(背圧)の方が高くなるので、第1スライド弁体62の弁体部62aが閉となる。このため、第1流入口A1と第2流出口B2とが連通した状態となり、第1流入口A1から流入した冷媒は、第2流出口B2から流出する。なお、第2逆止弁85が、第1流入口A1から流入した冷媒によって押されて閉となるので、第1流入口A1から流入した冷媒は、第2流入口A2には流れない。
第2流出口B2から流出した冷媒は、第1膨張弁15、第1室外熱交換部16を介して、第3流入口A3から統合弁13の内部に流入する。このとき、第1逆止弁83が、第3流入口A3から流入した冷媒によって押されて開となる。これにより、第3流入口A3と第1流出口B1とが連通した状態となり、第3流入口A3から流入した冷媒は、第1逆止弁83を介して、第1流出口B1から流出する。
第1流出口B1から流出した冷媒は、レシーバ14を介して、第2冷媒流入口A2から流入する。このとき、第2冷媒流入口A2から流入した冷媒は、冷媒流れに伴う圧力損失によって、第3流入口A3から流入した冷媒よりも圧力が低い。このため、第3流入口A3の冷媒圧力の方が第2流入口A2の冷媒圧力よりも高いので、第3流入口A3側の第4逆止弁92が閉となり、第2流入口A2側の第3逆止弁91が開となる。すなわち、第3、第4逆止弁91、92は、第3流入口A3と第3流出口B3との間を遮断するとともに、第2流入口A2と第3流出口B3とを連通させる(図7参照)。
この結果、第2流入口A2から流入した冷媒は、第3流出口B3から流出する。そして、第3流出口B3から流出した冷媒は、第2室外熱交換部17に流入する。
従って、冷房モード時の冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12に流入する。この際、エアミックスドア34が室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12に流入した冷媒は、殆ど車室内送風空気と熱交換することなく、室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、統合弁13を介して、第1膨張弁15に流入する。この際、第1膨張弁15は全開状態であるため、室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1膨張弁15にて減圧されることなく、第1室外熱交換部16に流入する。そして、第1室外熱交換部16に流入した冷媒は、第1室外熱交換部16にて送風ファンから送風された外気へ放熱する。
第1室外熱交換部16から流出した冷媒は、統合弁13を介して、レシーバ14へ流入して気液分離される。そして、気液分離された液相冷媒は、統合弁13を介して、第2室外熱交換部17に流入し、送風ファンから送風された外気へさらに放熱して、過冷却度(サブクール)を持つ。
第2室外熱交換部17から流出した冷媒は、第2膨張弁19へ流入して、第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される。第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、車室内送風空気が冷却される。
室内蒸発器20から流出した冷媒は、圧縮機11の吸入側から吸入されて再び圧縮機11にて圧縮される。
以上の如く、冷房モードでは、圧縮機11→室内凝縮器12→統合弁13(第1流入口A1→第2流出口B2)→第1膨張弁15(全開)→第1室外熱交換部16→統合弁13(第3流入口A3→第1流出口B1)→レシーバ14→統合弁13(第2流入口A2→第3流出口B3)→第2室外熱交換部17→第2膨張弁19(制御開度)→室内蒸発器20→圧縮機11の順に冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。
そして、この冷房モードでは、エアミックスドア34にて室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内蒸発器20にて冷却された車室内送風空気を車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の冷房を実現することができる。
(C)第1除湿暖房モード
第1除湿暖房モードは、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)された状態で、選択スイッチによって除湿暖房モードが選択され、さらに、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOが基準温度よりも高い場合に開始される。
第1除湿暖房モードでは、制御装置40が、暖房モードと同様に、統合弁13の電磁弁50を通電状態とし、第1膨張弁15を減圧作用が発揮される制御開度とする。また、制御装置40は、暖房モードと異なり、第2膨張弁19を減圧作用が発揮される制御開度とし、バイパス用開閉弁22を閉じる。
これにより、冷凍サイクル装置10では、図1の矢印および斜線矢印で示すように冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。第1除湿暖房モードの冷媒流れは、圧縮機11から第2室外熱交換部17までは、暖房モードと同じであり、バイパス通路21ではなく、第2膨張弁19(制御開度)、室内蒸発器20を冷媒が流れる点が、暖房モードと異なる。
従って、第1除湿暖房モードでは、圧縮機11→室内凝縮器12→レシーバ14→第1膨張弁15→第1室外熱交換部16→第2室外熱交換部17→第2膨張弁19→室内蒸発器20の順に冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。
さらに、制御装置40は、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、制御装置40に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
圧縮機11については、室内蒸発器20を通過した空気の温度が、所定の除湿性能を発揮するための目標蒸発器温度TEOに近づくように圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
エアミックスドア34の作動状態については、暖房モードと同様に決定される。
また、第1膨張弁14および第2膨張弁19の作動状態については、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOに応じて決定される。具体的には、制御装置40は、目標吹出温度TAOが高いほど、第1膨張弁15にて冷媒通路の通路面積(絞り開度)を減少させると共に、第2膨張弁19にて冷媒通路の通路面積(絞り開度)を増大させる。
これにより、第1除湿暖房モードでは、サイクルを循環する冷媒の状態については、図8のモリエル線図に示すように変化する。なお、図8では、便宜上、モリエル線図にサイクルの各構成部品を記載している。
すなわち、図8に示すように、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図8のA点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(図8のA点→B点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、統合弁13、レシーバ14を介して、第1膨張弁15に流入し、外気温よりも温度の低い中間圧冷媒となるまで減圧される(図8のB点→C点)。そして、第1膨張弁15にて減圧された中間圧冷媒は、第1室外熱交換部16に流入して、送風ファンから送風された外気から吸熱し、さらに、統合弁13を介して、第2室外熱交換部17に流入して、送風ファンから送風された外気から吸熱する(図8のC点→D点)。
第2室外熱交換部17から流出した冷媒は、第2膨張弁19へ流入して、第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(図8のD点→E点)。第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(図8のE点→F点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。そして、室内蒸発器20から流出した冷媒は、圧縮機11の吸入側に流入し、再び圧縮機11にて圧縮される。
以上の如く、第1除湿暖房モードでは、室内蒸発器20にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
この際、第1除湿暖房モードでは、第1、第2室外熱交換部16、17を吸熱器として機能させている。そして、第1、第2膨張弁15、19の絞り開度を調節することによって、第1、第2室外熱交換部16、17に流入する冷媒の圧力(温度)を調整でき、第1、第2室外熱交換部16、17の吸熱量を調整できる。この結果、室内蒸発器20の吸熱量を決めても、第1、第2室外熱交換部16、17の吸熱量を調整することで、室内凝縮器12の放熱量を調整でき、室内凝縮器12通過後の送風空気の温度を調整できる。すなわち、目標吹出温度TAOに応じて、第1、第2膨張弁15、19で圧力制御を行うことで、空調対象空間への吹出空気温度を目標吹出空気温度とすることができる。
(D)第2除湿暖房モード
第2除湿暖房モードは、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)された状態で、選択スイッチによって除湿暖房モードが選択され、さらに、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOが基準温度よりも低い場合に開始される。
第2除湿暖房モードでは、制御装置40が、冷房モードと同様に、統合弁13の電磁弁50を非通電状態とし、第2膨張弁19を減圧作用が発揮される制御開度とし、バイパス用開閉弁22を閉じる。また、制御装置40は、冷房モードと異なり、第1膨張弁15を減圧作用が発揮される制御開度とする。
これにより、冷凍サイクル装置10では、図2の矢印で示すように冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。第2除湿暖房モードの冷媒流れは、冷房モードと同じである。すなわち、第2除湿暖房モードでは、圧縮機11→室内凝縮器12→第1膨張弁15→第1室外熱交換部16→レシーバ14→第2室外熱交換部17→第2膨張弁19→室内蒸発器20の順に冷媒が流れる冷媒回路に切り替えられる。
さらに、制御装置40は、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、制御装置40に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
圧縮機11については、室内蒸発器20を通過した空気の温度が、所定の除湿性能を発揮するための目標蒸発器温度TEOに近づくように圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
エアミックスドア34の作動状態については、冷房モードと異なり、室内蒸発器20を通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12の空気通路を通過するように決定される。すなわち、エアミックスドア34は、図2中の破線位置とされる。
また、第1膨張弁14および第2膨張弁19の作動状態については、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOに応じて決定される。具体的には、制御装置40は、目標吹出温度TAOが高いほど、第1膨張弁15にて冷媒通路の通路面積(絞り開度)を減少させると共に、第2膨張弁19にて冷媒通路の通路面積(絞り開度)を増大させる。ただし、第2除湿暖房モードでは、第1膨張弁15の絞り開度を第1除湿暖房モード時よりも大きな絞り状態とし、第2膨張弁19の絞り開度を第1除湿暖房モード時よりも小さな絞り状態とする。
これにより、第2除湿暖房モードでは、サイクルを循環する冷媒の状態については、図9のモリエル線図に示すように変化する。なお、図9では、便宜上、モリエル線図にサイクルの各構成部品を記載している。
すなわち、図9に示すように、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図9のA点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(図9のA点→B点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、統合弁13を介して第1膨張弁15に流入し、中間圧冷媒となるまで減圧される(図9のB点→C点)。
第1膨張弁15にて減圧された中間圧冷媒は、第1室外熱交換部16に流入して、送風ファンから送風された外気へ放熱する。第1室外熱交換部16から流出した冷媒は、統合弁13を介して、レシーバ14へ流入して気液分離される。そして、気液分離された液相冷媒は、統合弁13を介して、第2室外熱交換部17に流入し、送風ファンから送風された外気へさらに放熱して、サブクールを持つ(図9のC点→D点)。
第2室外熱交換部17から流出した冷媒は、第2膨張弁19へ流入して、第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(図9のD点→E点)。第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(図9のE点→F点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。そして、室内蒸発器20から流出した冷媒は、圧縮機11の吸入側へと流れて再び圧縮機11にて圧縮される。
以上の如く、第2除湿暖房モードでは、室内蒸発器20にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
この際、第2除湿暖房モードでは、第1、第2室外熱交換部16、17を放熱器として機能させている。そして、第1、第2膨張弁15、19の絞り開度を調節することによって、第1、第2室外熱交換部16、17に流入する冷媒の圧力(温度)を調整でき、第1、第2室外熱交換部16、17の放熱量を調整できる。この結果、室内蒸発器20の吸熱量を決めても、第1、第2室外熱交換部16、17の放熱量を調整することで、室内凝縮器12の 放熱量を調整でき、室内凝縮器12通過後の送風空気の温度を調整できる。すなわち、目標吹出温度TAOに応じて、第1、第2膨張弁15、19で圧力制御を行うことで、空調対象空間への吹出空気温度を目標吹出空気温度とすることができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態の冷凍サイクル装置10では、上記の通り、統合弁13等によって、冷房モード時の冷媒回路と暖房モード時の冷媒回路との切り替えが実施可能となっている。
そして、冷房モード時では、第1室外熱交換部16→レシーバ14→第2室外熱交換部17の順に冷媒を流すことで、レシーバ14で気液分離した液相冷媒を、第2室外熱交換部17で冷却して過冷却液相冷媒とすることができるので、冷房性能を向上させることができる。
よって、本実施形態の冷凍サイクル装置10によれば、上記した特許文献1に記載の冷凍サイクル装置と比較して、冷房性能が高い冷房モードを実行できる。
(2)本実施形態の冷凍サイクル装置10では、上記の通り、目標吹出温度TAOに応じて、統合弁13を切り替える等により、上記した第1除湿暖房モード時の冷媒回路と第2除湿暖房モード時の冷媒回路との切り替えが実施可能となっている。
そして、第1除湿暖房モード時では、第1、第2室外熱交換部16、17を吸熱器として機能させ、第2除湿暖房モード時では、第1、第2室外熱交換部16、17を放熱器として機能させているので、第1除湿暖房モード時の方が、第2除湿暖房モード時よりも、室内凝縮器12の吹出温度を高くできる。
また、第1、第2除湿暖房モード時では、第1、第2膨張弁15、19で、第1、第2室外熱交換部16、17に流入する冷媒の圧力を調整することで、第1、第2室外熱交換部16、17の吸熱量もしくは放熱量を調整できる。
この結果、室内蒸発器20の吸熱量を決めても、第1、第2室外熱交換部16、17の吸熱量もしくは放熱量を調整することで、室内凝縮器12通過後の送風空気の温度を低温域と高温域で調整できる。
よって、本実施形態の冷凍サイクル装置10によれば、上記した特許文献1に記載の冷凍サイクル装置と比較して、空調対象空間への吹出空気の温度調整可能範囲が広い除湿暖房が可能となる。
(3)本実施形態の冷凍サイクル装置10では、1つの統合弁13によって、第2室外熱交換部17よりも冷媒流れ上流側で、第1室外熱交換部16とレシーバ14の冷媒が流れる順番を入れ替える順番入替手段を構成している。
これによれば、順番入替手段を1つの装置で構成しているので、順番入替手段を複数の装置で構成する場合と比較して、冷凍サイクルのサイクル構成を簡素化できる。
(4)本実施形態の冷凍サイクル装置10では、上記の通り、統合弁13を、ボデー131と、ボデー131の内部に設けられた電動式の第1三方弁132と、第1逆止弁83、第2逆止弁85、非電動式の第2三方弁133とを有する構成としている。
これによれば、第1三方弁132を駆動するための駆動手段(本例では電磁弁50)1つで、第1室外熱交換部16とレシーバ14の冷媒が流れる順番を入れ替える構成を実現できる。
(5)一般的な車両用冷房サイクルは、レシーバサイクルであり、一般的なヒートポンプサイクルは、アキュムレータサイクルである。このため、同型車種で、冷房サイクルを搭載する車種と、ヒートポンプサイクルを搭載する車種とが混在する場合、ヒートポンプサイクルを搭載する車種においては、アキュムレータの設置のために、以下のことが必要となる。
例えば、圧縮機の近くにアキュムレータを設置する場合、エンコパ内に設置スペースを設ける必要が生じる。また、室外熱交換器付近、例えば、ランプ下などにアキュムレータを設置する場合、配管を取り回す必要が生じる。
これに対して、本実施形態の冷凍サイクル装置10は、レシーバサイクルであるので、このようなアキュムレータの設置のための煩わしさが必要なくなる。
(6)アキュムレータサイクルに用いられるアキュムレータは、液相冷媒を溜め込むとともに、気相冷媒を圧縮機に供給し、その際に、液相冷媒に含まれるオイルを圧縮機に戻すものである。このため、アキュムレータに液相冷媒とともにオイルが溜め込まれる分、オイルをレシーバサイクルよりもサイクル内に封入しなければならないという問題がある。また、オイル戻し構造が必要となるため、アキュムレータは、オイル戻し構造の分の容積が必要となり、レシーバよりも体格が大きくなってしまうという問題がある。
これに対して、本実施形態の冷凍サイクル装置10は、レシーバサイクルであるので、これらの問題を解決できる。
(7)アキュムレータサイクルでは、アキュムレータ温度が冷媒温度により周囲温度よりも低くなるため、アキュムレータの吸熱により冷房モード時の冷房性能が下がってしまうという問題がある。なお、この対策として、アキュムレータの内部を断熱する方法が考えられるが、この方法では、アキュムレータの体格が大きくなるため、アキュムレータの搭載スペースが制限されている場合、この方法を採用できない。
これに対して、本実施形態の冷凍サイクル装置10は、レシーバサイクルであり、アキュムレータを用いていないので、この問題を解決できる。すなわち、アキュムレータサイクルと比較して、冷房モード時の冷房性能を向上できる。
(第2実施形態)
本実施形態は、図10に示すように、レシーバ14を統合弁13の上に隣接して配置し固定したものであり、その他の構成については、第1実施形態と同じである。
このように、室外熱交換器18の側面に隣接して、統合弁13およびレシーバ14を配置して一体化することで、これらの車両搭載性を向上できる。
(第3実施形態)
本実施形態は、図11に示すように、第1、第2実施形態の冷凍サイクル装置10に対して、第2室外熱交換部17を迂回して冷媒を流すバイパス通路23と、このバイパス通路23を開閉するバイパス用開閉弁24を追加したものである。他の構成については、第1、第2実施形態と同じである。
第1、第2実施形態では、暖房モードや第1除湿暖房モードで第1、第2室外熱交換部16、17を吸熱器として機能させている。しかし、第2室外熱交換部17の構造によっては、第2室外熱交換部17を通過する際の冷媒の圧力損失が高くなるため、第2室外熱交換部17を迂回させる方が性能面で有利になる場合がある。
そこで、本実施形態では、暖房モードや第1除湿暖房モード時に、バイパス用開閉弁24を開くことにより、第3流出口B3から流出した冷媒が第2室外熱交換部17を迂回して流れるようにする。
一方、冷房モード時では、バイパス用開閉弁24を閉じることで、第1、第2実施形態と同様に、第3流出口B3から流出した冷媒が第2室外熱交換部17を通過するようにする。
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の統合弁13を2つに分割することにより、第3実施形態と同様に、暖房モードや第1除湿暖房モード時に、第2室外熱交換部17を迂回するバイパス通路に冷媒を流すものである。
具体的には、図12に示すように、冷凍サイクル装置10は、順番入替手段として、統合弁13と、統合弁13の冷媒流れ下流側に配置された下流側切換弁26とを備えている。
本実施形態の統合弁13は、第1実施形態の統合弁13に対して、第2三方弁133を省略し、第4流出口B4を追加したものである。
具体的には、統合弁13は、第1〜第3流入口A1〜A3および第1〜第4流出口B1〜B4を有する第1ボデー131を備えている。本実施形態の第1〜第3流入口A1〜A3および第1、第2流出口B1、B2は、第1実施形態と同じである。
第1ボデー131の内部において、第3流出口B3は第2流入口A2と連通しており、第4流出口B4は第3流入口A3と連通している。
第3流出口B3は、第2室外熱交換部17の冷媒入口側に接続されており、第3流出口B3から第2室外熱交換部17の冷媒入口側に向かって冷媒が流出する。第4流出口B4は、第2室外熱交換部17を迂回させて冷媒を流すバイパス通路25に接続されており、第4流出口B4からバイパス通路25に向かって冷媒が流出する。
下流側切換弁26は、第4流入口A4、第5流入口A5および第5流出口B5を有する第2ボデー261を備えている。この第2ボデー261は第1ボデー131と別体であり、第1ボデー131と離間して配置される。第4流入口A4は、第2室外熱交換部17を介して、統合弁13の第3流出口B3と連通される。第5流入口A5は、バイパス通路25を介して、統合弁13の第4流出口B4と連通される。第5流出口B5は、第4、第5流入口A4、A5の一方から流入した冷媒を流出させる冷媒流出口である。
下流側切換弁26は、第2ボデー261の内部に、第4、第5流入口A4、A5の一方と第5流出口B5とを連通させる第2三方弁133が設けられている。この第2三方弁133は、第1実施形態で説明した第2三方弁133と同じものであり、第1実施形態と同様に作動する。
本実施形態では、第2三方弁133の第3逆止弁91は、第4流入口A4と第5流出口B5との間に設けられ、第2三方弁133の第4逆止弁92は、第5流入口A5と第5流出口B5との間に設けられている。このため、第3、第4逆止弁91、92は、第4流入口A4の冷媒圧力が第5流入口A5の冷媒圧力よりも高い場合、第4流入口A4と第5流出口B5との間を遮断し、第5流入口A5と第5流出口B5とを連通させる。一方、第5流入口A5の冷媒圧力が第4流入口A4の冷媒圧力よりも高い場合、第3、第4逆止弁91、92は、第5流入口A5と第5流出口B5との間を遮断し、第4流入口A4と第5流出口B5とを連通させる。
このような構成により、暖房モードや第1除湿暖房モード時に、第1実施形態と同様に、電磁弁50が通電状態となることで、第4流出口B4から流出した冷媒が第2室外熱交換部17を迂回して流れる。
一方、冷房モード時では、第1実施形態と同様に、電磁弁50が非通電状態となることで、第3流出口B3から流出した冷媒が第2室外熱交換部17を通過する。
本実施形態によっても、第1実施形態の効果(1)、(2)、(4)〜(7)を奏する。
また、本実施形態によれば、順番入替手段を統合弁13と下流側切換弁26の2つの切換装置で構成するので、順番入替手段を3つ以上の切換装置で構成する場合と比較して、サイクル構成を簡素化できる。
(第5実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、統合弁13の構成を変更したものである。なお、他の構成については、第1実施形態と同じである。
図13に示すように、本実施形態の統合弁13は、ボデー131の内部に、第1四方弁134と、第2四方弁135とが設けられたものである。第1四方弁134と第2四方弁135としては、一般的な構造を採用できる。
このように、2つの四方弁134、135を組み合わせ、2つの四方弁134、135の連通状態を切り替えることで、図13に示す第1、第2の連通状態を切り替えることができる。第1、第2の連通状態における連通する流入口と流出口の組み合わせは、第1実施形態と同じである。
本実施形態によっても、第1実施形態の効果(1)〜(3)、(5)〜(7)を奏する。
(第6実施形態)
本実施形態は、第1実施形態で説明した統合弁13の代わりに、図14、15に示されるスライド式の六方弁200を採用したものである。この六方弁200は、特許第3983896号公報に記載されているものと同じである。なお、他の構成については、第1実施形態と同様である。
この六方弁200は、第1〜第3流入口A1〜A3および第1〜第3流出口B1〜B3を有する本体ボデー201を備えている。第1〜第3流入口A1〜A3および第1〜第3流出口B1〜B3には、それぞれ、接続用パイプが接続されている。
本体ボデー201の内部には、バルブシート202とスライド部203とが収容されている。スライド部203は、一対の円板状バルブ204と、一対の円板状バルブ204を連結するスライドメンバ205と、スライドメンバ205に取り付けられたスライドバルブ206とを備えている。
なお、図示しないが、バルブシート202には、第2、第3流入口A2、A3および第1〜第3流出口B1〜B3に連通する弁口が形成されており、スライドバルブ206には、隣り合う2つの弁口を連通させる連通路が形成されている。
また、六方弁200は、第1〜第3均圧管207、208、209を介して、ボデー201と接続されたパイロットバルブ210を備えている。パイロットバルブ210は、パイロットバルブ210のボデー211の内部にブランジャーニードル212およびニードル213が収容されており、これらが電磁コイル214のオン・オフにより軸方向に移動するようになっている。
パイロットバルブ210のボデー211に、第1〜第3均圧管207、208、209の一端が接続されており、ブランジャーニードル212およびニードル213の軸方向の移動により、第1、第2均圧管207、208同士もしくは第2、第3均圧管208、209同士が連通状態とされる。第1均圧管207の他端は、本体ボデー201の円板状バルブ204の左右の空間の一方221と連通され、第3均圧管209の他端は、本体ボデー201の円板状バルブ204の左右の空間の他方222と連通される。第2均圧管208の他端は、第3流出口B3と連通される。
この六方弁200では、パイロットバルブ210により、各均圧管207〜209の連通状態が制御されることによって、本体ボデー201の円板状バルブ204の左右の空間221、222に圧力差が生じて、スライド部203が軸方向に移動する。このとき、スライド部203ととともにスライドバルブ206が移動することによって、図14に示す第1の連通状態と図15に示す第2の連通状態とが切り替えられるようになっている。第1、第2の連通状態における連通する流入口と流出口の組み合わせは、第1実施形態と同じである。
本実施形態によっても、第1実施形態の効果(1)〜(3)、(5)〜(7)を奏する。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)第1実施形態では、統合弁13の第2三方弁133が、非電動式であったが、第1三方弁132のような電動式であっても良い。同様に、第4実施形態の第2三方弁133を電動式としても良い。
(2)第5実施形態では、1つのボデー131の内部に、第1四方弁134と、第2四方弁135とを設け、第1四方弁134と第2四方弁135とを一体化したが、第1四方弁134と第2四方弁135とを別体としても良い。この場合、2つの装置で、順番入替手段が構成される。
(3)上記した各実施形態では、第1、第2室外熱交換部16、17が1つの室外熱交換器18によって構成されていたが、第1、第2室外熱交換部16、17を別々の熱交換器で構成しても良い。
(4)上記した各実施形態では、冷房モード時に、室内凝縮器12が放熱機能を発揮しない状態とするために、エアミックスドア34によって室内凝縮器12の空気通路を閉塞したが、この代わりに、室内凝縮器12を迂回させて冷媒を流すようにしても良い。すなわち、冷凍サイクル装置10が、室内凝縮器12を迂回して冷媒が流れるバイパス通路と、このバイパス通路を開閉する開閉手段とを備え、冷房モード時に、開閉手段がバイパス通路を開くことで、このバイパス通路に冷媒を流すようにしても良い。この場合、バイパス通路を開閉する開閉手段が、冷媒回路切替手段を構成する。
(5)上記した各実施形態では、冷房モード時に、第1膨張弁15で減圧作用させない状態とするために、第1膨張弁15を全開としたが、この代わりに、第1膨張弁15を迂回して冷媒が流れるようにしても良い。すなわち、冷凍サイクル装置10が、第1膨張弁15を迂回して冷媒が流れるバイパス通路と、このバイパス通路を開閉する開閉手段を備え、冷房モード時に、開閉手段がバイパス通路を開くことで、このバイパス通路に冷媒を流すようにしても良い。この場合、バイパス通路を開閉する開閉手段が、冷媒回路切替手段を構成する。
(6)上記した各実施形態では、選択スイッチによって、運転モードが選択される場合を説明したが、制御装置40が自動的に運転モードを選択しても良い。
(7)上記した各実施形態では、運転モードとして、冷房モード、暖房モード、第1、第2除湿暖房モードを有していたが、第1、第2除湿暖房モードを有していなくても良い。
(8)上記した各実施形態では、本発明の冷凍サイクル装置10を、電気自動車用の車両用空調装置1に適用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、本発明の冷凍サイクル装置10を、エンジン(内燃機関)および走行用電動モータから走行用の駆動力を得るハイブリッド車両等の車両用空調装置に適用しても良い。また、本発明の冷凍サイクル装置10を、据置型空調装置等に適用しても良い。
(9)上記した各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。