JP5845853B2 - 金属ストリップの破断検知システムおよび破断検知方法 - Google Patents
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Description
このため、ブライドルロール間の張力やロールを駆動するモータの電流速度等の実績値、各種センサを用いることによって、金属ストリップが破断した状態であることを検知する装置・方法として、例えば下記の特許文献1〜3の破断検知装置・方法がある。
また、特許文献2の破断検出装置においては、上流側のロールと下流側のロールとの各電流値を検出し、上流側のブライドルロールの電流値が所定値以上になるとともに、下流側のブライドルロールの電流値が所定値以上になった時に、加工処理材が破断した状態であると判定する。
また、焼鈍炉等においては、光センサを用いることができない。つまり、製造ラインの環境下によって、各種センサを用いることが難しい場合があった。
また、特許文献1の破断検出方法のような、張力実績値を用いて金属ストリップが破断した状態であることを検知する方法であるが、張力実績値を取得するための張力計等の計測機器を有していない製造ラインにはそもそも用いることができない。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、張力実績値を取得することが難しく、また各種センサを設置することが難しい環境下にある製造ラインの処理セクションであっても、金属ストリップが破断した状態であることを検知することができる金属ストリップの破断検知システムおよび破断検知方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様による金属ストリップの破断検知システムは、金属ストリップの製造ライン内に設けられた処理セクションにおいて、トルク電流によって前記金属ストリップの張力制御を行う少なくとも1つのロールを駆動するモータのトルク電流実績値を検出するトルク電流実績値検出部と、前記ロールの回転速度実績値を検出する回転速度実績値検出部と、少なくとも前記トルク電流実績値検出部によって検出されたトルク電流実績値に基づいて、前記ロールの回転速度変化率を算出する第1回転速度変化率算出部と、前記回転速度実績値検出部によって検出された回転速度実績値に基づいて、前記ロールの回転速度変化率を算出する第2回転速度変化率算出部と、前記第1回転速度変化率算出部により算出された回転速度変化率と、前記第2回転速度変化率算出部により算出された回転速度変化率との差の絶対値が、破断状態判定閾値を超えた場合に、前記金属ストリップが破断した状態であると判定する破断状態判定部とを備えることを特徴とする。
これにより、張力実績値を取得する必要がなく、また光センサ等のセンサを設置する必要もなく、製造ラインの各種の処理セクションにおいて金属ストリップが破断した状態であることを検知することが可能となる。
上記の金属ストリップの破断検知システムによれば、経験値として、製造ラインの駆動停止の減速率の2〜3倍程度の破断状態判定閾値を破断状態判定閾値記憶部に設定しておくことで、金属ストリップの破断検知時間を従来よりも飛躍的に短縮することが可能となる。
本発明のある態様による金属ストリップの破断検知システムは、前記破断状態判定部は、前記金属ストリップが破断した状態であると判定した際、前記金属ストリップの製造ライン内のロールを駆動するモータを駆動停止するための破断検出信号を出力することを特徴とする。
上記の金属ストリップの破断検知システムによれば、ロールを駆動するためのモータの駆動を制御する制御部が、破断状態判定部から出力された破断検出信号を受けて、ロールを駆動するモータを即座に駆動停止することが可能となる。
これにより、張力実績値を取得することが難しく、また光センサ等のセンサを設置することが比較的難しい環境下にある製造ラインの各種の処理セクションにおいても、金属ストリップが破断した状態であることを検知することができる。同時に、金属ストリップSの破断検知時間を飛躍的に短縮することができる。
(破断検知システム20を用いた製造ライン10の装置構成)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る破断検知システム20を用いた製造ライン10の装置構成を説明する。
図1に示す製造ライン10は、制御部11と、上流側ブライドルロール12と、下流側ブライドルロール13と、処理セクション14と、破断検知システム20とを備えて構成される。
制御部11は、主に、トルク電流によって上流側ブライドルロール12と下流側ブライドルロール13との各モータの回転を駆動制御する。
なお、この処理セクション14とは、一例として、金属ストリップSに対して焼鈍を行う熱処理セクションであったり、金属ストリップSを洗浄する洗浄処理セクションであったりする。勿論、製造ライン10には、処理セクション14以外にも、複数の張力制御セクションが設けられていても良い。
続いて、図2を参照して、本実施形態に係る破断検知システム20の機能構成を説明する。
図2は、破断検知システム20の機能構成を示すブロック図である。図2に示す破断検知システム20は、トルク電流実績値検出部21と、回転速度実績値検出部22と、第1回転速度変化率算出部23と、PLC23とを備えて構成される。
トルク電流実績値検出部21は、上流側ブライドルロール12のモータの回転を駆動制御するためのトルク電流実績値I(A)を検出する。
回転速度実績値検出部22は、上流側ブライドルロール12の回転速度実績値Vを検出する。
第1回転速度変化率算出部24は、トルク電流実績値検出部21によって検出されたトルク電流実績値I(A)に基づいて、上流側ブライドルロール12の回転速度変化率α´(mpm/s)を算出する。なお、第1回転速度変化率算出部24は、回転速度変化率α´(mpm/s)を算出する際に、トルク電流実績値I(A)に加えて、例えば、ロールを駆動するモータの定格トルク、定格電流および定格出力、処理セクション14の上流側ブライドルロール12側の張力設定値、処理セクション14の下流側ブライドルロール13の張力設定値を参酌する。回転速度変化率α´(mpm/s)は、破断状態判定部27において金属ストリップSが破断した状態であると判定する際の一要素であるため、回転速度変化率α´(mpm/s)を精度良く算出することで、破断状態判定部27における判定精度を高めることができる。
破断状態判定部27は、第1回転速度変化率算出部24によって算出された回転速度変化率α´(mpm/s)と、第2回転速度変化率算出部25によって算出された回転速度変化率α(mpm/s)とを入力する。そして、トルク電流実績値Iから得られるロールの回転速度変化率α´(mpm/s)と、ロールの回転速度実績値V(mpm)とから得られる回転速度変化率α(mpm/s)との差の絶対値(回転速度変化率Δα(mpm/s))が、破断状態判定閾値記憶部26に記憶されている破断状態判定閾値Kを超えた場合に、金属ストリップSが破断した状態であると判定する。
金属ストリップSを製造する製造ライン10においては、処理セクション14毎に張力値が設定されている。張力計等の機器を用いずに張力制御を行う方法としては、例えば、上流側ブライドルロール12と下流側ブライドルロール13との各モータの回転をトルク電流によって制御し、上流側ブライドルロール12と下流側ブライドルロール13との各張力設定値の差分のトルクをブライドルロールとは別の、処理セクション14内の本ロール等で補う。これにより、上流側ブライドルロール12側の張力を基準にして、下流側ブライドルロール13側の張力を相対的に制御することができる。
また、金属ストリップSに破断が発生した瞬間も、上流側ブライドルロール12と下流側ブライドルロール13とには同様に一定のトルク電流によってブライドルロール間の張力が制御されている。しかしながら、金属ストリップSに破断が発生した瞬間、金属ストリップSの拘束力が急激に弱まるため、上流側ブライドルロール12と下流側ブライドルロール13との間の速度が大きく変化する。その速度変化にあっては、上流側ブライドルロール12の張力設定値と下流側ブライドルロール13の張力設定値との差分に依存する。例えば、処理セクション14の上流側ブライドルロール12側の張力設定値が、処理セクション14の下流側ブライドルロール13の張力設定値よりも大きい場合には、破断が発生した瞬間に速度が急激に加速する。これとは逆に、下流側ブライドルロール13の張力設定値が、上流側ブライドルロール12の張力設定値よりも大きい場合には、破断が発生した瞬間に速度が急激に減速する。このため、本実施形態に係る破断検知システム20においては、トルク電流実績値I(A)とロールの回転速度実績値V(mpm)とを検出し、以下で説明するように、金属ストリップSが破断した状態であることを検知する。
ある時刻tにおけるロール回転速度の単位時間Δt当たりの変化率をα(t)(mpm/s)を、
このため、上流側ブライドルロール12と下流側ブライドルロール13との間の張力に変動がない場合には、上流側ブライドルロール12と下流側ブライドルロール13とは、一定の速度で回転し続ける。この回転によって、モータのトルクτを、
続いて、図3を参照して、破断検知システム20における破断検知処理の流れを説明する。
図3に示すように、まず、トルク電流実績値検出部21は、上流側ブライドルロール12のモータを駆動制御するためのトルク電流実績値I(A)を検出する(ステップS101)。さらに、回転速度実績値検出部22は、上流側ブライドルロール12の回転速度実績値V(mpm)を検出する(ステップS102)。
また、破断状態判定部27は、製造ライン10の制御部11に対して、上流側ブライドルロール12と下流側ブライドルロール13との各モータを駆動停止するための破断検出信号Sを出力して、破断検知処理を終了する。
最後に、図4を参照して、破断検知システム20における破断検知処理による破断検知時間を説明する。
図4は、破断検知システム20によって得られた回転速度変化率Δαとロールの回転速度実績値V(mpm)とを示すグラフである。図4のグラフ中の左側の縦軸は実線で示している回転速度変化率Δα(mpm/s)を示し、右側の縦軸は破線で示しているロールの回転速度実績値V(mpm)を示す。また、グラフ中の横軸は、時間(s)を示す。
このような時、金属ストリップSが破断した瞬間(図4中に矢印Xで示す箇所)、トルク電流は回生であるため、その直後、ロールの回転速度実績値V(mpm)が急激に減速する。その結果、回転速度変化率Δα(mpm/s)も急激に変化し、回転速度変化率Δα(mpm/s)は約0.5(s)経過後(図4中に矢印Yで示す箇所)にピーク値になる。
本実施形態に係る破断検知システム20は、トルク電流実績値Iから得られるロールの回転速度変化率α´(mpm/s)と、ロールの回転速度実績値V(mpm)とから得られる回転速度変化率α(mpm/s)との差の絶対値(回転速度変化率Δα(mpm/s))が、破断状態判定閾値記憶部26に記憶されている破断状態判定閾値Kを超えた場合に、金属ストリップSが破断した状態であると判定する。
以上説明したように、トルク電流によって張力制御されるブライドルロール間の各種の処理セクション(熱処理セクションや洗浄処理セクション等)において、張力がかけられている金属ストリップが破断した状態であることを検知することのできる破断検知システムとして、金属ストリップの製造ライン内に利用することができる。
11……制御部
12……上流側ブライドルロール
13……下流側ブライドルロール
14……処理セクション
20……破断検知システム
21……トルク電流実績値検出部
22……回転速度実績値検出部
23……PLC
24……第1回転速度変化率算出部
25……第2回転速度変化率算出部
26……破断状態判定閾値記憶部
27……破断状態判定部
Claims (4)
- 金属ストリップの製造ライン内に設けられた処理セクションにおいて、トルク電流によって前記金属ストリップの張力制御を行う少なくとも1つのロールを駆動するモータのトルク電流実績値を検出するトルク電流実績値検出部と、
前記ロールの回転速度実績値を検出する回転速度実績値検出部と、
少なくとも前記トルク電流実績値検出部によって検出されたトルク電流実績値に基づいて、前記ロールの回転速度変化率を算出する第1回転速度変化率算出部と、
前記回転速度実績値検出部によって検出された回転速度実績値に基づいて、前記ロールの回転速度変化率を算出する第2回転速度変化率算出部と、
前記第1回転速度変化率算出部により算出された回転速度変化率と、前記第2回転速度変化率算出部により算出された回転速度変化率との差の絶対値が、破断状態判定閾値を超えた場合に、前記金属ストリップが破断した状態であると判定する破断状態判定部と
を備え、
前記第1回転速度変化率算出部は、
前記トルク電流値検出部によって検出されたトルク電流値に加えて、前記ロールを駆動するモータの定格トルク、定格電流および定格出力と、前記ロールのうちの製造ライン上の上流側ブライドルロールの張力設定値と、前記ロールのうちの製造ライン上の下流側ブライドルロールの張力設定値とに基づいて、前記ロールの回転速度変化率を算出することを特徴とする金属ストリップの破断検知システム。 - 前記破断状態判定閾値を記憶する破断状態判定閾値記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の金属ストリップの破断検知システム。
- 前記破断状態判定部は、
前記金属ストリップが破断した状態であると判定した際、前記金属ストリップの製造ライン内のロールを駆動するモータを駆動停止するための破断検出信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の金属ストリップの破断検知システム。 - トルク電流実績値検出部が、金属ストリップの製造ライン内に設けられた処理セクションにおいて、トルク電流によって前記金属ストリップの張力制御を行う少なくとも1つのロールを駆動するモータのトルク電流実績値を検出するトルク電流実績値検出ステップ、
回転速度実績値検出部が、前記ロールの回転速度実績値を検出する回転速度実績値検出ステップ、
第1回転速度変化率算出部が、少なくとも前記トルク電流実績値検出部によって検出されたトルク電流実績値に基づいて、前記ロールの回転速度変化率を算出する第1回転速度変化率算出ステップ、
第2回転速度変化率算出部が、前記回転速度実績値検出部によって検出された回転速度実績値に基づいて、前記ロールの回転速度変化率を算出する第2回転速度変化率算出ステップ、
破断状態判定部が、前記第1回転速度変化率算出部により算出された回転速度変化率と、前記第2回転速度変化率算出部により算出された回転速度変化率との差の絶対値が、破断状態判定閾値を超えた場合に、前記金属ストリップが破断した状態であると判定する破断状態判定ステップ
を有し、
前記第1回転速度変化率算出部は、前記第1回転速度変化率算出ステップにおいて、前記トルク電流値検出部によって検出されたトルク電流値に加えて、前記ロールを駆動するモータの定格トルク、定格電流および定格出力と、前記ロールのうちの製造ライン上の上流側ブライドルロールの張力設定値と、前記ロールのうちの製造ライン上の下流側ブライドルロールの張力設定値とに基づいて、前記ロールの回転速度変化率を算出することを特徴とする金属ストリップの破断検知方法。
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