JP5840042B2 - 半導体用シール強化組成物、半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体用シール強化組成物、半導体装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体用シール強化組成物、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
微細化が進む半導体装置の分野において、半導体の層間絶縁層として多孔質構造を有する低誘電率の材料(以下、「low−k材料」ということがある)が種々検討されている。
このような多孔質の層間絶縁層においては、誘電率をさらに低下させるために空隙率を大きくすると、配線材料として埋め込まれる銅等の金属成分や、プラズマ処理によるプラズマ成分(ラジカル及びイオンの少なくとも1種。以下同じ。)などが半導体層間絶縁層中の細孔に入り込みやすくなり、誘電率が上昇したり、リーク電流が発生したりする場合があった。
また、多孔質でない層間絶縁層においても、金属成分やプラズマ成分などが浸透する場合があり、多孔質の層間絶縁層と同様に、誘電率が上昇したり、リーク電流が発生する場合があった。
そこで、カチオン性官能基を有するポリマー(カチオン性官能基含有ポリマー)を用いて多孔質の層間絶縁層の細孔(ポア)を被覆する技術が検討されている。
例えば、多孔質の層間絶縁層に対する細孔被覆性(シール性)に優れた半導体用シール組成物として、2以上のカチオン性官能基を有する重量平均分子量が2000〜100000のポリマーを含有する半導体用シール組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2010/137711号パンフレット
しかしながら、カチオン性官能基含有ポリマーを用いて層間絶縁層の表面(特に多孔質の層間絶縁層の細孔)を被覆する際、被覆性(シール性)を更に強化させることが求められることがある。
本発明の課題は、カチオン性官能基含有ポリマーによる層間絶縁層に対するシール性を、更に強化させることができる半導体用シール強化組成物、ならびにこれを用いた半導体装置およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、アニオン性官能基を有する特定のポリマーを含む組成物が、カチオン性官能基含有ポリマーによる層間絶縁層(特に多孔質の層間絶縁層)に対するシール性を格段に強化させるとの知見を得、この知見に基づき本発明を完成した。
即ち、前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> アニオン性官能基を有しアニオン性官能基当量が45〜720であり重量平均分子量が1000〜800000であるポリマーを含有し、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下である、半導体用シール強化組成物
<2> 前記アニオン性官能基は、アミド基、スルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イミド基、スルフィニル基、オキシム基、ヒドロキシム基、チオール基、チオカルボキシル基、及びトリアゾール基からなる群から選択される少なくとも1種である、<1>に記載の半導体用シール強化組成物。
> 前記ポリマーは、アクリルアミド(共)重合体、ビニルスルホン酸(共)重合体、アクリル酸(共)重合体、メタクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体、イタコン酸(共)重合体、並びに、重量平均分子量が500〜700000のポリマーにアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イミド基、スルフィニル基、オキシム基、ヒドロキシム基、チオール基、チオカルボキシル基、及びトリアゾール基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を導入して得られたポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、<1>又は<2>に記載の半導体用シール強化組成物。
> 基板上に形成された層間絶縁層上に、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有する半導体用シール組成物を付与する半導体用シール組成物付与工程と、基板上に形成された層間絶縁層上に、<1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体用シール強化組成物を付与する半導体用シール強化組成物付与工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
> 前記層間絶縁層は、多孔質シリカを含み、その表面に該多孔質シリカに由来するシラノール残基を有し、前記半導体用シール組成物付与工程は、前記半導体用シール組成物を前記層間絶縁層の前記表面に接するように付与する、<>に記載の半導体装置の製造方法。
> 前記層間絶縁層に10nm〜32nm幅の凹状の溝を形成する溝形成工程をさらに含み、前記半導体用シール組成物付与工程は、前記半導体用シール組成物を少なくとも前記凹状の溝に付与し、前記半導体用シール強化組成物付与工程は、前記半導体用シール強化組成物を少なくとも前記凹状の溝に付与する、<>又は<>に記載の半導体装置の製造方法。
> 基板上に形成された層間絶縁層に10nm〜32nm幅の凹状の溝を形成する溝形成工程と、少なくとも前記凹状の溝に、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有する半導体用シール組成物を付与し、前記凹状の溝の表面に、前記2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有するシール層を形成する半導体用シール組成物付与工程と、前記凹状の溝の表面に形成されたシール層の少なくとも一部をエッチングするエッチング工程と、前記エッチング工程後の少なくとも前記凹状の溝に、<1>〜<>のいずれか1項に記載の半導体用シール強化組成物を付与する半導体用シール強化組成物付与工程と、を含む、<>〜<>のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
> 層間絶縁層と;
2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマー、及び、アニオン性官能基を有し重量平均分子量が1000〜800000であるポリマーを含有するポリマー層と;
銅からなる層と;
がこの順で配置された構造を備える、半導体装置。
本発明によれば、カチオン性官能基含有ポリマーによる層間絶縁層に対するシール性を、更に強化させることができる半導体用シール強化組成物、ならびにこれを用いた半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
本実験例1(サンプル1及び2、比較サンプル1及び2)における、トルエン相対圧とトルエン吸着量の体積分率との関係を示すグラフである。 本実験例1(サンプル1及び3、比較サンプル3及び4)における、トルエン相対圧とトルエン吸着量の体積分率との関係を示すグラフである。 本実験例2におけるポリマー層の厚さを示すグラフである。
<半導体用シール強化組成物>
本発明の半導体用シール強化組成物(以下、「本発明のシール強化組成物」ともいう)は、アニオン性官能基を有し重量平均分子量が1000〜800000であるポリマーを含有し、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下である。
本発明のシール強化組成物によれば、カチオン性官能基含有ポリマーによる層間絶縁層に対するシール性を、更に強化させることができる。かかる効果が得られる理由は以下のように推測されるが、本発明は以下の理由によって限定されることはない。
一般に、層間絶縁層の表面をカチオン性官能基含有ポリマーによって被覆する際には、カチオン性官能基が前記層間絶縁層上に吸着し、前記層間絶縁層の表面(層間絶縁層が多孔質の層間絶縁層である場合には、該多孔質の層間絶縁層に存在する細孔(ポア))がポリマー層によって被覆される。
このとき、カチオン性官能基含有ポリマーと本発明のシール強化組成物とを併用することで、本発明のシール強化組成物に含まれるアニオン性官能基を含有するポリマー(以下、「アニオン性官能基含有ポリマー」ともいう)とカチオン性官能基含有ポリマーとの相互作用により、カチオン性官能基含有ポリマー単独で用いた場合と比較して、より緻密なポリマー層が形成されると考えられる。
また、カチオン性官能基含有ポリマー単独からなるポリマー層ではカチオン性官能基同士の反発により微細な空隙が発生すると考えられるが、カチオン性官能基含有ポリマーと本発明のシール強化組成物とを併用することで、アニオン性官能基含有ポリマーの負電荷によってカチオン性官能基の静電荷が打ち消され、前述のカチオン性官能基同士の反発が緩和されて空隙の発生が抑制され、その結果、カチオン性官能基含有ポリマー単独で用いた場合と比較して、より緻密なポリマー層が形成されると考えられる。
以上のようにして、ポリマー層がより緻密な層となることにより、カチオン性官能基含有ポリマーによる層間絶縁層に対するシール性を、更に強化させることができると考えられる。
また、カチオン性官能基含有ポリマーと本発明のシール強化組成物とを併用した場合には、カチオン性官能基含有ポリマー単独からなるポリマー層よりも薄いポリマー層により、カチオン性官能基含有ポリマー単独からなるポリマー層と同程度のシール性を発現させることができる。更に、本発明のシール強化組成物によれば、エッチングにより損なわれた、カチオン性官能基含有ポリマーによるシール性を回復させることもできる。
[アニオン性官能基含有ポリマー]
本発明のシール強化組成物は、アニオン性官能基を有し重量平均分子量が1000〜800000であるポリマー(アニオン性官能基含有ポリマー)を含有する。
本発明のシール強化組成物には、アニオン性官能基含有ポリマーが1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
本発明における「アニオン性官能基」は、その構造中に負電荷を帯びることができる部位を含む官能基全般を指す。本発明における「アニオン性官能基」は「電子吸引性基」ともいうことができる。
また、本発明における「カチオン性官能基」は、その構造中に正電荷を帯びることができる部位を含む官能基全般を指す。本発明における「カチオン性官能基」は「電子供与性基」ともいうことができる。
本発明における「アニオン性官能基」には、カルボキシル基等のいわゆる酸性官能基に加え、その構造中に負電荷を帯びることができる部位を含む官能基として、例えばアミド基等も含まれる。
より具体的には、前記アニオン性官能基としては、アミド基、スルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イミド基、スルフィニル基、オキシム基、ヒドロキシム基、チオール基、チオカルボキシル基、トリアゾール基、リン酸基、等が挙げられる。
中でも、アミド基、スルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イミド基、スルフィニル基、オキシム基、ヒドロキシム基、チオール基、チオカルボキシル基、トリアゾール基が好ましく、アミド基、イミド基、カルボキシル基、スルホニル基、スルフィニル基がより好ましく、アミド基、カルボキシル基、スルホニル基が特に好ましい。
前記アニオン性官能基含有ポリマーは、1分子中にアニオン性官能基を有するものであればよいが、シール性強化の観点から、アニオン密度が高いポリマーであることが好ましい。具体的には、アニオン性官能基当量が45〜720であることが好ましく、45〜500であることがより好ましく、51〜200であることがより好ましく、51〜100であることが特に好ましい。
さらに、層間絶縁層の表面を公知の方法、例えば、国際公開第04/026765号パンフレット、国際公開第06/025501号パンフレットなどに記載の方法で疎水化処理した場合は、前記表面の極性基の密度が減少するので、45〜500であることもまた好ましい。
ここでアニオン性官能基当量とは、アニオン性官能基当たりの重量平均分子量を意味し、ポリマーの重量平均分子量(Mw)を、1分子に相当するポリマーが含むアニオン性官能基数(n)で除して得られる値(Mw/n)である。このアニオン性官能基当量が大きいほどアニオン性官能基の密度が低く、一方、アニオン性官能基当量が小さいほどアニオン性官能基の密度が高い。
また、前記アニオン性官能基含有ポリマーのpKaは、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、−3以上5以下であることが特に好ましい。
また、前記アニオン性官能基含有ポリマーは、アニオン性官能基を含有するモノマーの単独重合体(ホモポリマー)やアニオン性官能基を含有するモノマーと他のモノマーとの共重合体(コポリマー)であってもよいし、ポリマー(アニオン性官能基を含んでいても含んでいなくてもよい)に対し高分子反応によりアニオン性官能基を導入して得られたポリマーであってもよい。
前記アニオン性官能基含有ポリマーが「アニオン性官能基を含有するモノマーの単独重合体(ホモポリマー)」又は「アニオン性官能基を含有するモノマーと他のモノマーとの共重合体(コポリマー)」である例としては、アクリルアミド(共)重合体、ビニルスルホン酸(共)重合体、アクリル酸(共)重合体、メタクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体、イタコン酸(共)重合体が好ましい。
ここで、「(共)重合体」は、単独重合体又は共重合体を意味する
前記アニオン性官能基含有ポリマーが「ポリマー(アニオン性官能基を含んでいても含んでいなくてもよい)に対し高分子反応によりアニオン性官能基を導入して得られたポリマー」である例としては、重量平均分子量が500〜700000(好ましくは500〜500000)のポリマーに対し、アニオン性官能基(好ましくは、アミド基、スルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イミド基、スルフィニル基、オキシム基、ヒドロキシム基、チオール基、チオカルボキシル基、及びトリアゾール基からなる群から選択される少なくとも1種)を導入して得られたポリマーが好ましい。
また、前記アニオン性官能基含有ポリマーは、アニオン性官能基を有する繰り返し単位構造を有するものであってもよいし、また特定の繰り返し単位構造を持たず、ポリマーを構成するモノマーが分岐的に重合して形成されるランダムな構造を有するものであってもよい。
前記アニオン性官能基含有ポリマーが、アニオン性官能基を有する繰り返し単位構造(以下、「特定単位構造」ということがある)を有するものである場合、前記アニオン性官能基は、特定単位構造において、主鎖の少なくとも一部として含まれていても、側鎖の少なくとも一部として含まれていてもよく、さらに、主鎖の少なくとも一部および側鎖の少なくとも一部として含まれていてもよい。
さらに前記特定単位構造がアニオン性官能基を2以上含む場合、2以上のアニオン性官能基は同一であっても異なっていてもよい。
前記特定単位構造として、具体的には、アクリルアミドに由来する単位構造、ビニルスルホン酸に由来する単位構造、アクリル酸に由来する単位構造、メタクリル酸に由来する単位構造、マレイン酸に由来する単位構造、イタコン酸に由来する単位構造、等が挙げられる。
また、前記アニオン性官能基含有ポリマーが、特定の繰り返し単位構造を持たず、ポリマーを構成するモノマーが分岐的に重合して形成されるランダムな構造を有するものである場合、前記アニオン性官能基は、主鎖の少なくとも一部として含まれていても、側鎖の少なくとも一部として含まれていてもよく、さらに、主鎖の少なくとも一部および側鎖の少なくとも一部として含まれていてもよい。
また、前記アニオン性官能基含有ポリマーは、アニオン性官能基の1種又は2種以上を有するものであるが、必要に応じて、カチオン性官能基やノニオン性官能基をさらに有していてもよい。
本発明における前記アニオン性官能基含有ポリマーの重量平均分子量は、1000〜800000であるが、1000〜600000であることが好ましく、1000〜200000であることがより好ましく、5000〜80000であることが更に好ましく、10000〜50000であることが更に好ましく、20000〜30000であることが特に好ましい。
前記重量平均分子量が800000を超えると、形成されるポリマー層にムラが発生する場合がある。また、前記重量平均分子量が1000未満であると、細孔内に入り込んで層間絶縁膜の誘電率が上昇する場合がある。また、多点で吸着できないため密着性が低下する場合もあり、シール性を強化することができない場合がある。
尚、重量平均分子量は、ポリマーの分子量測定に通常用いられるGPC装置を用いて測定される。
また、前記アニオン性官能基含有ポリマーは、水溶媒中における臨界ミセル濃度が1重量%以上であるか、実質的にミセル構造を形成しないこともまた好ましい。ここで実質的にミセル構造を形成しないとは、常温の水溶媒中等の通常の条件下ではミセルを形成しない、すなわち臨界ミセル濃度が測定できないことをいう。かかるアニオン性官能基含有ポリマーであることにより、厚さが分子レベルの薄いポリマー層(例えば、5nm以下)を形成することができ、層間絶縁層の誘電率の上昇を効果的に抑制することができる。
本発明の半導体用シール強化組成物における前記アニオン性官能基含有ポリマーの含有量には特に制限はなく、例えば0.01〜1.0重量%とすることができ、0.02〜0.3重量%であることが好ましい。また本発明の半導体用シール強化組成物を用いてポリマー層を形成する場合には、ポリマー層を形成する面の面積および細孔密度に基づいて、前記組成物における前記アニオン性官能基含有ポリマーの含有量を調整することもできる。
[その他の成分]
本発明の半導体用シール強化組成物は、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下である。ナトリウムまたはカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppbを越えると、絶縁性が低下してリーク電流が発生する場合がある。
本発明の半導体用シール強化組成物は、前記アニオン性官能基含有ポリマーに加えて必要に応じて溶媒を含むことができる。本発明における溶媒としては、前記アニオン性官能基含有ポリマーが均一に溶解し、ミセルを形成しにくい溶媒であれば特に限定されない。 例えば、水(好ましくは、超純水)、水溶性有機溶剤(例えば、アルコール類等)等を挙げることができる。本発明においては、ミセル形成性の観点から、水、または水と水溶性有機溶剤の混合物を溶媒として用いることが好ましい。
また前記溶媒の沸点は特に制限されないが、210℃以下であることが好ましく、160℃以下がさらに好ましい。溶媒の沸点が前記範囲であることで、例えば、後述する本願発明の半導体用シール強化組成物を層間絶縁層に付与する工程の後、洗浄工程や乾燥工程を設けた場合、層間絶縁層の絶縁性を大きく損なうことなく、また前記シール強化組成物を前記層間絶縁層から剥離させることがない低い温度で、前記溶媒を除去することができる。
さらに本発明の半導体用シール強化組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の成分(前記アニオン性官能基含有ポリマー以外の他のポリマー、各種添加剤等)をさらに含んでいてもよい。
さらに本発明の半導体用シール強化組成物は、層間絶縁層を腐食や溶解させる化合物を添加しないのが好ましい。具体的には例えば、特に層間絶縁層の主材がシリカなどの無機化合物である場合、フッ素化合物等が本発明のシール強化組成物中に含まれると、前記層間絶縁層が溶解して絶縁性が損なわれ、比誘電率が増加する場合がある。
本発明の半導体用シール組成物は、210℃以下、好ましくは160℃以下の沸点を有する化合物か、250℃まで加熱しても分解性を有さない化合物のみを含むことが好ましい。
なお前記「250℃まで加熱しても分解性を有さない化合物」とは、25℃で測定した重量に対する、250℃、窒素下で1時間保持した後の重量の変化が50%未満の化合物のことをいう。
以上で説明した本発明のシール強化組成物は、カチオン性官能基含有ポリマーとともに、又は、カチオン性官能基含有ポリマーを含有する半導体用シール組成物とともに、層間絶縁層に付与して半導体装置を製造する態様に好適に用いられ、特に、以下の本発明の半導体装置の製造方法に好適に用いられる。
<半導体装置の製造方法>
本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に形成された層間絶縁層(例えば多孔質の層間絶縁層)上に、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有する半導体用シール組成物を付与する半導体用シール組成物付与工程と、基板上に形成された層間絶縁層(例えば多孔質の層間絶縁層)上に、既述の本発明の半導体用シール強化組成物を付与する半導体用シール強化組成物付与工程と、を含み、必要に応じその他の工程を含む。
前記半導体用シール組成物付与工程では、例えば、前記カチオン性官能基含有ポリマーが有する2以上のカチオン性官能基が層間絶縁層上に多点吸着して、層間絶縁層の表面(多孔質の層間絶縁層の場合には該多孔質の層間絶縁層に存在する細孔(ポア))がポリマー層によって被覆される。これにより層間絶縁層への金属成分やプラズマ成分などの拡散が抑制される。さらに、前記カチオン性官能基含有ポリマーが形成するポリマー層は薄層(例えば、5nm以下)であるため、層間絶縁層と、ポリマー層を介して層間絶縁層上に形成された配線材料又は後述するバリア層との密着性に優れ、比誘電率の変化を抑制することができる。
更に、本製造方法によれば、半導体用シール組成物及び半導体用シール強化組成物により、半導体用シール組成物を単独で用いた場合と比較して、より緻密なポリマー層が形成されるので、半導体用シール組成物を単独で用いた場合と比較して、シール性が強化される。
ここで、形成されるポリマー層の構造は、半導体用シール組成物に含まれるカチオン性官能基含有ポリマーによる層(以下、「カチオン性官能基含有ポリマー層」ともいう)と半導体用シール強化組成物に含まれるアニオン性官能基含有ポリマーによる層(以下、「アニオン性官能基含有ポリマー層」ともいう)との積層構造であってもよいし、これら2種の層が混ざり合ってなる単層構造であってもよい。なお前記の積層構造には、カチオン性官能基含有ポリマー層とアニオン性官能基含有ポリマー層とが接触する界面において、カチオン性官能基含有ポリマー層とアニオン性官能基含有ポリマー層とが一部混ざり合っている態様も含まれる。
形成されるポリマー層の厚さには特に制限はないが、例えば0.3nm〜6nmであり、より好ましくは0.3nm〜5nmであり、特に好ましくは0.5nm〜4nmである。
なお、ここでいうポリマー層は、層間絶縁層が多孔質の層間絶縁層である場合には、ポリマーのみからなる層の形態だけでなく、多孔質の層間絶縁層の細孔にポリマーが染み込んだ構成となっている層(いわゆる染み込み層)の形態も含む。
本製造方法において、層間絶縁層には、半導体用シール組成物及び半導体用シール強化組成物のいずれを先に付与してもよい。即ち、前記半導体用シール組成物付与工程及び前記半導体用シール強化組成物付与工程は、いずれが先であってもよい。いずれの場合においても、前述の半導体用シール組成物を単独で用いた場合と比較して、より緻密なポリマー層を形成できるので、シール性を強化することができる。
また、本製造方法では、前記層間絶縁層に半導体用シール組成物と半導体用シール強化組成物と半導体用シール組成物とをこの順に付与してもよいし、半導体用シール強化組成物と半導体用シール組成物と半導体用シール強化組成物とをこの順に付与してもよいし、
半導体用シール組成物と半導体用シール強化組成物とを交互に(又は、半導体用シール強化組成物と半導体用シール組成物とを交互に)繰り返し付与してもよい。
これらの態様により、より緻密なポリマー層を形成でき、シール性をより強化することができる。
本製造方法の具体的な形態としては、以下の形態が挙げられる。
第1の形態は、前記層間絶縁層に、まず半導体用シール組成物を付与し、次いで半導体用シール強化組成物を付与する(更に必要に応じ、半導体用シール強化組成物に続いて半導体用シール組成物を付与する)形態である。
第2の形態は、前記層間絶縁層に、まず半導体用シール強化組成物を付与し、次いで半導体用シール組成物を付与する(更に必要に応じ、半導体用シール組成物に続いて半導体用シール強化組成物を付与する)形態である。
第3の形態は、前記層間絶縁層に、半導体用シール組成物と半導体用シール強化組成物とをこの順に複数回繰り返し付与する(更に必要に応じ、半導体用シール強化組成物に続いて半導体用シール組成物を付与する)形態である。
第4の形態は、前記層間絶縁層に、半導体用シール強化組成物と半導体用シール組成物とをこの順に複数回繰り返し付与する(更に必要に応じ、半導体用シール組成物に続いて半導体用シール強化組成物を付与する)形態である。
本発明における層間絶縁層は、低誘電率材料から構成されていることが好ましい。
また、前記層間絶縁層は多孔質の層間絶縁層であることが好ましい。
前記多孔質の層間絶縁層における細孔半径(ポア半径)には特に限定はないが、本製造方法におけるシール性の効果をより効果的に奏する観点から、前記細孔半径は、0.5〜3.0nmか好ましく、1.0〜2.0nmがより好ましい。
前記層間絶縁層は、多孔質シリカを含み、表面に多孔質シリカに由来するシラノール残基を有することが好ましい。この場合、前記半導体用シール組成物付与工程は、前記半導体用シール組成物を前記層間絶縁層の前記表面(多孔質シリカに由来するシラノール残基を有する表面)に接するように付与すること(即ち、前記半導体用シール組成物を、前記半導体用シール強化組成物よりも先に付与すること)が好ましい。
これにより、前記シラノール残基が、前記半導体用シール組成物のカチオン性官能基含有ポリマーに含まれるカチオン性官能基と相互作用することにより、前記カチオン性官能基含有ポリマーが層間絶縁層上の細孔を被覆するように前記カチオン性官能基含有ポリマーからなる薄層が形成される。
前記多孔質シリカとしては、半導体装置の層間絶縁層に通常用いられる多孔質シリカを特に制限なく用いることができる。例えば、WO91/11390パンフレットに記載されたシリカゲルと界面活性剤等とを用いて、密封した耐熱性容器内で水熱合成する有機化合物と無機化合物との自己組織化を利用した均一なメソ細孔を持つ酸化物や、Nature誌、1996年、379巻(703頁)またはSupramolecular Science誌、1998年、5巻(247頁等)に記載されたアルコキシシラン類の縮合物と界面活性剤とから製造される多孔質シリカ等を挙げることができる。
また、前記多孔質シリカとしては、国際公開第2009/123104号パンフレット(段落0009〜0187)や国際公開第2010/137711号パンフレット(段落0043〜0088)に記載された、多孔質シリカ(例えば、特定のシロキサン化合物を含む組成物を用いて形成された多孔質シリカ)を用いることも好ましい。
本製造方法おいて層間絶縁層が設けられる基板には特に限定はなく、例えば、シリコンウエハ等の半導体基板、ガラス基板、石英基板、ステンレス基板、プラスチック基板等を挙げることができる。その形状も特に制限されず、板状、皿状等のいずれであってもよい。
また、本製造方法おいて、半導体用シール組成物及び半導体用シール強化組成物(以下、単に「組成物」と総称することがある)を層間絶縁層上に付与する方法としては特に制限はなく、通常用いられる方法を用いることができる。例えば、ディッピング法(例えば、米国特許第5208111号明細書参照)、スプレー法(例えば、Schlenoffら、Langmuir, 16(26), 9968, 2000や、Izquierdoら、Langmuir, 21(16), 7558, 2005参照)、および、スピンコート法(例えば、Leeら、Langmuir, 19(18), 7592, 2003や、J. Polymer Science, part B, polymer physics, 42, 3654, 2004参照)などを用いることができる。
また、本製造方法では、組成物の付与の後、必要に応じ、組成物の乾燥や洗浄(リンス)を行うことができる。
また、本製造方法における半導体用シール組成物付与工程又は半導体用シール強化組成物付与工程(好ましくは半導体用シール組成物付与工程)では、層間絶縁層上に付与された組成物を加熱処理することも好適である。これにより、シール性をより向上させることができる。
加熱処理の温度については組成物の組成によっても異なるが、例えば60〜350℃とすることができ、80〜250℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。
加熱処理の時間については、組成物の組成や加熱処理の温度によっても異なるが、例えば1〜600秒とすることができ、30〜300秒が好ましく、60〜120秒がより好ましい。
加熱処理は、ホットプレート、炉などの通常用いられる加熱処理器を用いて行うことができる。
例えば、スピンコート法による組成物の付与方法として、層間絶縁層が設けられた基板をスピンコーターで回転させながら、該層間絶縁層上に組成物を滴下し、次いで水などのリンス液を滴下してリンス処理を行い、次いで基板の回転数を上げて乾燥させる方法を用いることができる。このとき、組成物の滴下及び水の滴下を複数回繰り返した後、乾燥させてもよい。また、組成物を滴下後、回転数を上げて乾燥させ、乾燥後に一旦ホットプレート等の加熱処理器に移して加熱処理を行い、加熱処理後に再びスピンコーターに戻し、リンス処理及び乾燥を行ってもよい(以上の操作を複数回繰り返してもよい)。
前記スピンコート法による組成物の付与方法において、基板の回転数、組成物の滴下量及び滴下時間、乾燥時の基板の回転数、リンス液の滴下量及び滴下時間、などの諸条件については特に制限はなく、適宜調整できる。
[半導体用シール組成物付与工程]
本発明における半導体用シール組成物付与工程では、前記層間絶縁層に、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマー(カチオン性官能基含有ポリマー)を含有する半導体用シール組成物を付与する。
−半導体用シール組成物−
本工程で用いられる半導体用シール組成物は、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマー(カチオン性官能基含有ポリマー)を含有する。
前記カチオン性官能基としては、例えば、例えば、アミノ基、4級アンモニウム基等を挙げることができる。中でも金属成分の拡散抑制の観点から、1級アミノ基および2級アミノ基から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
前記カチオン性官能基含有ポリマーは、1分子中にカチオン性官能基を2以上有するものであればよいが、金属成分の拡散抑制の観点から、カチオン密度が高いポリマーであることが好ましい。具体的には、カチオン性官能基当量が27〜430であることが好ましく、43〜400であることがより好ましい。
さらに、層間絶縁層の表面を公知の方法、例えば、国際公開第04/026765号パンフレット、国際公開第06/025501号パンフレットなどに記載の方法で疎水化処理した場合は、前記表面の極性基の密度が減少するので、27〜400であることもまた好ましい。
ここでカチオン性官能基当量とは、カチオン性官能基当たりの重量平均分子量を意味し、ポリマーの重量平均分子量(Mw)を、1分子に相当するポリマーが含むカチオン性官能基数(n)で除して得られる値(Mw/n)である。このカチオン性官能基当量が大きいほどカチオン性官能基の密度が低く、一方、カチオン性官能基当量が小さいほどカチオン性官能基の密度が高い。
前記カチオン性官能基含有ポリマーの重量平均分子量は、2000〜1000000であるが、2000〜600000であることが好ましく、10000〜200000であることが好ましく、20000〜100000であることがより好ましい。
例えば、前記半導体用シール組成物を、配線間隔が32nm以下で層間絶縁層上の細孔直径が2〜6nm程度である半導体装置の製造に適用する場合、前記カチオン性官能基含有ポリマーの重量平均分子量が1000000よりも大きいと、カチオン性官能基含有ポリマーの大きさが配線間隔よりも大きくなり、カチオン性官能基含有ポリマーが、配線材料が埋め込まれる凹状の溝に入り込めず、溝の側面の細孔が十分に被覆されない場合がある。また、重量平均分子量が2000未満であると、層間絶縁層上の細孔直径よりもポリマー分子の大きさが小さくなり、ポリマー分子が層間絶縁層上の細孔に入り込んで層間絶縁層の誘電率が上昇する場合がある。また多点で吸着しない場合がある。
ここで、重量平均分子量は、ポリマーの分子量測定に通常用いられるGPC装置を用いて測定される。
前記カチオン性官能基含有ポリマーとして、具体的には、アルキレンイミン(好ましくは炭素数2〜12のアルキレンイミン、より好ましくは炭素数2〜8のアルキレンイミン)を重合させてなるポリアルキレンイミン(例えば、ポリエチレンイミン(PEI))、ポリアリルアミン(PAA)、ポリジアリルジメチルアンモニウム(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリメチルピリジルビニル(PMPyV)、プロトン化ポリ(p−ピリジルビニレン)(R-PHPyV)、およびこれらの誘導体を挙げることができる。中でも、ポリアルキレンイミンまたはその誘導体、ポリアリルアミン(PAA)などが好ましく、炭素数2〜4のアルキレンイミンを重合させてなるポリアルキレンイミンまたはその誘導体がより好ましい。
また、前記カチオン性官能基含有ポリマーとしては、例えば、国際公開第2010/137711号パンフレットの段落0010〜0030に記載された樹脂(カチオン性官能基含有ポリマー)を用いることも好適である。
前記半導体用シール組成物は、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下であることが好ましい。これにより、リーク電流の発生がより効果的に抑制される。
前記半導体用シール組成物の構成は、含有されるポリマーの種類以外は、本発明の半導体用シール強化組成物と同様の構成とすることができる。
また、前記半導体用シール組成物としては、例えば、国際公開第2010/137711号パンフレットに記載された樹半導体用シール組成物を用いることも好適である。
[半導体用シール強化組成物付与工程]
半導体用シール強化組成物付与工程は、層間絶縁層(例えば、多孔質の層間絶縁層)上に、既述の本発明の半導体用シール強化組成物を付与する工程である。
本工程により、前述の半導体用シール組成物による層間絶縁層(例えば、多孔質の層間絶縁層)に対するシール性が強化される。前述のとおり、本工程は、半導体用シール組成物の前に設けられていてもよいし、後に設けられていてもよい。本工程における半導体用シール強化組成物の付与などの操作については、前述のとおりである。
[溝形成工程]
本製造方法は、半導体用シール組成物付与工程及び半導体用シール強化組成物付与工程の前に、前記層間絶縁層に10nm〜32nm幅の凹状の溝を形成する溝形成工程を含むことが好ましい。この溝形成工程を含む場合、前記半導体用シール組成物付与工程は、前記半導体用シール組成物を少なくとも前記凹状の溝に付与し、前記半導体用シール強化組成物付与工程は、前記半導体用シール強化組成物を少なくとも前記凹状の溝に付与する。
このとき、前記半導体用シール組成物付与工程は、少なくとも前記凹状の溝の側面に前記半導体用シール組成物を接触させることが好ましい。
かかる態様であることで、層間絶縁層に形成された凹状の溝の側面を構成する層間絶縁層(多孔質の層間絶縁層の場合には、多孔質の層間絶縁層に存在する細孔を含む)を効果的に被覆することができ、前記凹状の溝に配線材料を埋め込む場合に、配線材料を構成する金属成分が層間絶縁層中に拡散することを抑制することができる。
尚、凹状の溝の側面とは、基板と平行な面に対してほぼ直交するように形成された面を意味する。
前記層間絶縁層に10nm〜32nm幅の凹状の溝を形成する工程は、通常用いられる半導体装置の製造プロセス条件に従って行うことができる。例えば、層間絶縁層上に、ハードマスクとフォトレジストとを形成し、フォトレジストのパターン通りにエッチングすることで、所望のパターンを有する溝を形成することができる。
[エッチング工程]
本製造方法は、前記半導体用シール組成物付与工程及び前記半導体用シール強化組成物の少なくとも一方によって、前記凹状の溝の表面に形成されたポリマー層(シール層)の少なくとも一部をエッチングするエッチング工程を含んでいてもよい。
このエッチングにより、例えば、凹状の溝の底に堆積している、シール機能への寄与が小さいポリマー層(シール層)を除去することができる。更には、半導体装置の構成によっては凹状の溝の底に金属配線(銅配線など)が存在している場合があるが、この場合においても、溝の底に存在する金属配線の表面に堆積したポリマー層(シール層)を除去することができ、溝の底に存在する金属配線と凹状の溝に埋め込まれる金属配線との接触抵抗を低減することができる。
前記エッチングとしては特に限定はなく、半導体装置の製造プロセスにおける通常のエッチング(ドライエッチング(プラズマ処理、UV処理等)、ウエットエッチング等)を用いることができる。
前記エッチングとしては、例えば、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アンモニアガス等を用いたプラズマ処理が好適である。
前記プラズマ処理の条件には特に限定はないが、凹状の溝の側面に堆積している、シール機能への寄与が大きいポリマー層(シール層)を除去しすぎない程度の条件とすることが好ましい。
このような条件の例として、例えば、全圧20〜100mTorr、ガス流量20〜100sccm、放電電力20〜200W、処理時間(放電時間)10〜60秒、といった条件を例示できる。
本製造方法がエッチング工程を有する場合、ポリマー層(シール層)によるシール性が低下することがある。
このような場合においても、エッチング工程後の層間絶縁層に本発明の半導体用シール強化組成物を付与することにより、シール性を回復させることができる。
かかる観点からみた本製造方法の好ましい一態様は、基板上に形成された層間絶縁層に10nm〜32nm幅の凹状の溝を形成する溝形成工程と、少なくとも前記凹状の溝に、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有する半導体用シール組成物を付与し、前記凹状の溝の表面に、前記2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有するシール層を形成する半導体用シール組成物付与工程と、前記凹状の溝の表面に形成されたシール層の少なくとも一部をエッチングするエッチング工程と、前記エッチング工程後の少なくとも前記凹状の溝に、前記本発明の半導体用シール強化組成物を付与する半導体用シール強化組成物付与工程と、を含む態様である。
かかる一態様によれば、エッチングによって低下したシール性を回復させることができる。更に、エッチング前のポリマー層(シール層)よりも薄いポリマー層により、エッチング前のポリマー層と同程度のシール性を得ることができる。
本発明の半導体装置の製造方法は、必要に応じて配線形成工程やバリア層形成工程等の通常行われる工程をさらに含んでいてもよい。
配線形成工程は、公知のプロセス条件に従って行うことができる。例えば、メタルCVD法、スパッタリング法または電解メッキ法により銅配線を形成し、CMPにより膜を平滑化する。次いでその膜の表面にキャップ膜を形成する。さらに必要であれば、ハードマスクを形成し、上記の工程を繰り返すことで多層化することができ、本発明の半導体装置を製造することができる。
さらに本発明の半導体装置の製造方法においては、配線形成工程前にバリア層(銅バリア層)形成工程をさらに設けることができる。バリア層を形成することで層間絶縁層への金属成分の拡散をより効果的に抑制することができる。
前記バリア層形成工程は、通常用いられるプロセス条件に従って行うことができる。前記シール組成物付与工程及び前記シール強化組成物付与工程後に、例えば、気相成長法(CVD)により、チタン化合物、タンタル化合物、ルテニウム化合物、マンガン化合物等からなるバリア層を形成することができる。本発明においては、ルテニウム化合物からなるバリア層を形成することが好ましい。
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、層間絶縁層(例えば、多孔質の層間絶縁層)と、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマー(カチオン性官能基含有ポリマー)、及び、アニオン性官能基を有し重量平均分子量が1000〜800000であるポリマー(アニオン性官能基含有ポリマー)を含有するポリマー層と、バリア層および/または銅からなる層と、がこの順で配置された構造を備える。
本発明の半導体装置の好適な形態は、層間絶縁層(例えば、多孔質の層間絶縁層)と、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマー(カチオン性官能基含有ポリマー)、及び、アニオン性官能基を有し重量平均分子量が1000〜800000であるポリマー(アニオン性官能基含有ポリマー)を含有するポリマー層と、(必要に応じバリア層と、)銅からなる層と、がこの順で配置された形態である。
本発明の半導体装置では、層間絶縁層と配線材料(銅)(または、バリア層が存在する場合にはバリア層)との間に、上記ポリマー層が配置されていることで32nm以下の微細な回路構成であってもリーク電流等の発生が抑制され、良好な特性を示すことができる。
前記ポリマー層は、カチオン性官能基含有ポリマーからなる層とアニオン性官能基含有ポリマーからなる層との積層構造を有する形態であってもよいし、これら2種の層が混ざり合ってなる単層構造を有する形態であってもよいし、一つのポリマー層にカチオン性官能基含有ポリマー及びアニオン性官能基含有ポリマーが含まれている形態であってもよい。
本発明の半導体装置のより具体的な形態としては、以下の形態が挙げられる。
第1の形態は、層間絶縁層と、該層間絶縁層に接するカチオン性官能基含有ポリマー層と、アニオン性官能基含有ポリマー層と、(更に必要に応じカチオン性官能基含有ポリマー層と、)銅からなる層と、がこの順で配置された構造を備える形態である。
第2の形態は、層間絶縁層と、該層間絶縁層に接するアニオン性官能基含有ポリマー層と、カチオン性官能基含有ポリマー層と、(更に必要に応じアニオン性官能基含有ポリマー層と、)銅からなる層と、がこの順で配置された構造を備える形態である。
第3の形態は、層間絶縁層と、カチオン性官能基含有ポリマー層とアニオン性官能基含有ポリマー層とが交互に複数回繰り返し積層されたポリマー層(該積層されたポリマー層に含まれるカチオン性官能基含有ポリマー層が層間絶縁層と接している)と、(更に必要に応じカチオン性官能基含有ポリマー層と、)銅からなる層と、がこの順で配置された構造を備える形態である。
第4の形態は、層間絶縁層と、アニオン性官能基含有ポリマー層とカチオン性官能基含有ポリマー層とが交互に複数回繰り返し積層されたポリマー層(該積層されたポリマー層に含まれるアニオン性官能基含有ポリマー層が層間絶縁層と接している)と、(更に必要に応じアニオン性官能基含有ポリマー層と、)銅からなる層と、がこの順で配置された構造を備える形態である。
上記第1〜第4の形態では、カチオン性官能基含有ポリマー層とアニオン性官能基含有ポリマー層とが接触する界面において、カチオン性官能基含有ポリマー層とアニオン性官能基含有ポリマー層とが一部混ざり合っていてもよい。また、上記第1〜第4の形態では、ポリマー層と銅からなる層との間に、バリア層が配置されていてもよい。
その他の形態として、第1〜第4の形態において、カチオン性官能基含有ポリマー層とアニオン性官能基含有ポリマー層とが混ざりあって1つのポリマー層を形成している形態も挙げられる。
本発明の半導体装置においては、前記ポリマー層と前記銅からなる層(配線材料)との間に、銅バリア層(好ましくは、ルテニウム化合物からなる層)をさらに有することが好ましい。
尚、本発明の半導体装置は、前記半導体装置の製造方法によって製造することができる。
以下、本発明を実験例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
本実験例で用いた各成分の詳細は以下の通りである。
−アルコキシシラン化合物−
ビストリエトキシシリルエタン(Gelest製、(CO)SiCHCHSi(OC)を蒸留精製したものである。
ジメチルジエトキシシラン(山中セミコンダクター社製、電子工業グレード、((CHSi(OC))。
−界面活性剤−
ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(シグマケミカル社製、商品名:Brij78、C1837(CHCHO)OH)を、電子工業用エタノールに溶解した後、イオン交換ポリマーを用いて10ppb以下まで脱金属処理を施したものである。
−ジシリル化合物−
ヘキサメチルジシロキサン(アルドリッチ製、((CHSi)O)を蒸留精製したものである。
−水−
脱金属処理された抵抗値18MΩ以上の純水。
−有機溶媒−
エタノール(和光純薬製、電子工業グレード、COH)。
1−プロピルアルコール(関東化学製、電子工業グレード、CHCHCHOH)。
2−ブチルアルコール(関東化学製、電子工業グレード、CH(C)CHOH)。
<層間絶縁層(low−k膜)付きシリコンウエハの作製>
(前駆体溶液の調製)
77.4gのビストリエトキシシリルエタンと70.9gのエタノールとを室温下で混合攪拌した後、1mol/Lの硝酸80mLを添加し、50℃で1時間撹拌した。次に、20.9gのポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルを280gのエタノールで溶解した溶液を滴下混合した。混合後、30℃で4時間撹拌した。得られた溶液を25℃、30hPaの減圧下、105gになるまで濃縮した。濃縮後、1−プロピルアルコールと2−ブチルアルコールを体積で2:1に混合した溶液を添加し、前駆体溶液1800gを得た。
(多孔質シリカ形成用組成物の調製)
前駆体溶液472gに、ジメチルジエトキシシラン3.4g及びヘキサメチルジシロキサン1.8gを添加し、25℃で1時間撹拌し、多孔質シリカ形成用組成物を得た。この時のジメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサンの添加量は、ビストリエトキシシリルエタンに対してそれぞれ10モル%、5モル%であった。
(層間絶縁層の形成)
上記多孔質シリカ形成用組成物1.0mLをシリコンウエハ表面上に滴下し、2000rpmで60秒間回転させて、シリコンウエハ表面に塗布した後、窒素雰囲気下、150℃で1分間、次いで、350℃で10分間加熱処理した。その後、172nmエキシマランプを装備したチャンバー内で350℃まで加熱し、圧力1Paで出力14mW/cmにより、紫外線を10分間照射することにより、層間絶縁層(多孔質シリカ膜)を得た。
以上により、上記層間絶縁層(以下、「low−k膜」または「low−k」ということがある)付きシリコンウエハを得た。
得られた層間絶縁層のポア半径は、1.6nmであった。
また、得られた層間絶縁層の比誘電率kは、2.5であった。
また、得られた層間絶縁層の弾性率は、8.8GPaであった。
上記ポア半径は、トルエンの脱離等温線から計算により求めた。ここで、トルエン脱離等温線測定は、後述するシール性評価と同様の手法により、SEMILAB社製光学式ポロシメータ(PS−1200)を用いて行った。ポア半径の計算は、 M. R. Baklanov, K. P. Mogilnikov, V. G. Polovinkin, and F. N. Dultsey, Journal of Vacuum Science and Technology B (2000) 18, 1385-1391 に記載された手法に従って、ケルビン式を用いて行った。
また、比誘電率は、水銀プローブ装置(SSM5130)を用い、25℃、相対湿度30%の雰囲気下、周波数1MHzにて常法により比誘電率を測定した。
また、弾性率は、ナノインデンテーター(Hysitron社、Triboscope)により、膜厚の1/10以下の押し込み深さで常法により弾性率を測定した。
<半導体用シール組成物(シール組成物1)の調製>
ポリエチレンイミン(PEI)(MP Biomedicals社製、銘柄「LLC」、重量平均分子量(Mw)50,000〜100,000、カチオン性官能基当量43)を、0.25重量%の濃度となるように水に溶解させ、半導体用シール組成物(以下、「シール組成物1」ともいう)を得た。
得られたシール組成物1について、ナトリウムの含有量及びカリウムの含有量をそれぞれ測定した。
ここで、ナトリウムの含有量及びカリウムの含有量は、それぞれ、誘電結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)により測定した。
シール組成物1における、ナトリウムの含有量及びカリウムの含有量は、いずれも検出限界以下(<1重量ppb)であった。
<半導体用シール強化組成物(シール強化組成物1)の調製>
ポリアクリル酸(PAA)(和光純薬(株)製、Mw25,000、アニオン性官能基当量72)を、0.25重量%の濃度となるように水に溶解させ、半導体用シール強化組成物(以下、「シール強化組成物1」ともいう)を得た。
得られたシール強化組成物1について、上述のシール組成物1と同様の方法により、ナトリウムの含有量及びカリウムの含有量をそれぞれ測定した。
シール強化組成物1におけるナトリウムの含有量及びカリウムの含有量は、いずれも検出限界以下(<1重量ppb)であった。
<半導体用シール強化組成物(シール強化組成物2)の調製>
高分子ポリアクリル酸(高分子PAA)(和光純薬(株)製、Mw1,000,000、アニオン性官能基当量72)を、0.25重量%の濃度となるように水に溶解させ、半導体用シール強化組成物(以下、「シール強化組成物2」ともいう)を得た。
得られたシール強化組成物2について、上述のシール組成物1と同様の方法により、ナトリウムの含有量及びカリウムの含有量をそれぞれ測定した。
シール強化組成物2におけるナトリウムの含有量及びカリウムの含有量は、いずれも検出限界以下(<1重量ppb)であった。
<半導体用シール強化組成物(シール強化組成物3)の調製>
高分子ポリアクリル酸(高分子PAA)(和光純薬(株)製、Mw1,000,000、アニオン性官能基当量72)を、0.072重量%の濃度となるように水に溶解させ、半導体用シール強化組成物(以下、「シール強化組成物3」ともいう)を得た。
得られたシール強化組成物3について、上述のシール組成物1と同様の方法により、ナトリウムの含有量及びカリウムの含有量をそれぞれ測定した。
シール強化組成物1におけるナトリウムの含有量及びカリウムの含有量は、いずれも検出限界以下(<1重量ppb)であった。
〔実験例1〕
実験例1として、シール強化組成物を用いたシール性強化に関する実験を行った。
以下、詳細を説明する。
<評価用サンプルの準備>
評価用サンプル(サンプル1〜3及び比較サンプル1〜6)を準備した。
各サンプルの構成の概略を下記表1に示す。
表1に示した各サンプルの作製方法は以下のとおりである。
尚、以下において、「超純水」としては、超純水(Millipore社製Milli−Q水、抵抗18MΩ・cm(25℃)以下)を使用した。
(サンプル1(PAA/PEI/low−k)の作製)
上記low−k膜付きシリコンウエハをスピンコーターを用いて600rpmで回転させながら、low−k膜上に上記シール組成物1(2.0mL)を30秒間かけて一定速度で滴下した後、超純水3.0mLを30秒間一定速度で滴下し、次いで、上記シール強化組成物1(2.0mL)を30秒間かけて一定速度で滴下した後、超純水3.0mLを30秒間一定速度で滴下し、次いで、2000rpmで60秒間回転させて乾燥させた。
以上により、low−k膜上に、PEIを含むシール組成物1とPAAを含むシール強化組成物1とがこの順に付与されてなる、サンプル1(PAA/PEI/low−k)を得た。
(サンプル2(PAA/PEI/PAA/PEI/low−k)の作製)
サンプル1の作製において、シール組成物1の滴下〜シール強化組成物1の滴下後の超純水の滴下の操作を2回繰り返したこと以外はサンプル1の作製と同様にして、サンプル2を作製した。
以上により、low−k膜上に、シール組成物1、シール強化組成物1、シール組成物1、及びシール強化組成物1がこの順に付与されてなる、サンプル2(PAA/PEI/PAA/PEI/low−k)を得た。
(サンプル3(PAA/ベークPEI/low−k)の作製)
上記low−k膜付きシリコンウエハをスピンコーターを用いて600rpmで回転させながら、low−k膜上に上記シール組成物1(2.0mL)を30秒間かけて一定速度で滴下した後、2000rpmで60秒間回転させて乾燥させた。乾燥後のシリコンウエハをホットプレート上に移し(このときのシリコンウエハの向きは、シリコンウエハのlow−k膜が形成されていない側の面とホットプレート表面とが接する向きとした)、125℃で60秒間加熱処理し、low−k上に付与されたシール組成物1(PEI)を加熱処理(ベーク)した。
次いで、加熱処理後のシリコンウエハをスピンコーターに戻し、600rpmで回転させながら、ベークされたシール組成物1(PEI)上に、上記シール強化組成物1(2.0mL)を30秒間かけて一定速度で滴下した後、超純水3.0mLを30秒間一定速度で滴下し、次いで、2000rpmで60秒間回転させて乾燥させた。
以上により、low−k膜上に、加熱処理されたシール組成物1と、シール強化組成物1とをこの順に有する、サンプル3(PAA/ベークPEI/low−k)を得た。
(比較サンプル1(PEI/low−k)の作製)
サンプル1の作製において、シール強化組成物1の滴下及びこれに次いで行われる超純水の滴下を行わなかったこと以外は、サンプル1の作製と同様にして、比較サンプル1を作製した。
以上により、low−k膜上にシール組成物1が1回付与されてなる、比較サンプル1(PEI/low−k)を得た。
(比較サンプル2(PEI/PEI/low−k)の作製)
サンプル1の作製において、シール強化組成物1をシール組成物1に変更したこと以外はサンプル1の作製と同様にして、比較サンプル2を作製した。
以上により、low−k膜上に、シール組成物1が2回付与されてなる、比較サンプル2(PEI/PEI/low−k)を得た。
(比較サンプル3(PAA/low−k)の作製)
サンプル1の作製において、シール組成物1の滴下及びこれに次いで行われる超純水の滴下を行わなかったこと以外は、サンプル1の作製と同様にして、比較サンプル3を作製した。
以上により、low−k膜上にシール強化組成物1が付与されてなる、比較サンプル3(PAA/low−k)を得た。
(比較サンプル4(low−k)の準備)
上述したlow−k膜付きシリコンウエハを、比較サンプル4(low−k)とした。
比較サンプル4(low−k)には、シール組成物1もシール強化組成物1も付与されていない。
(比較サンプル5(高分子PAA/low−k)の作製)
比較サンプル3の作製において、シール強化組成物1をシール強化組成物2(高分子PAA濃度0.25重量%)に変更したこと以外は比較サンプル3の作製と同様にして、比較サンプル5を作製した。
以上により、low−k膜上にシール強化組成物2が付与されてなる、比較サンプル5(高分子PAA/low−k)を得た。
(比較サンプル6(高分子PAA/low−k)の作製)
比較サンプル3の作製において、シール強化組成物1をシール強化組成物3(高分子PAA濃度0.072重量%)に変更したこと以外は比較サンプル3の作製と同様にして、比較サンプル6を作製した。
以上により、low−k膜上にシール強化組成物3が付与されてなる、比較サンプル6(高分子PAA/low−k)を得た。
<シール性の評価>
上記各サンプルを用い、シール性の評価を行った。
シール性評価は、各サンプルのlow−k膜形成面側の表面におけるトルエン吸着特性測定により行った。このトルエン吸着特性測定では、トルエン吸着量が少ないほど、Low−k膜中への配線材料(銅など)の侵入を防ぐシール性が高いことを表す。
トルエン吸着測定は、SEMILAB社製光学式ポロシメータ(PS−1200)を用いて行った。
測定方法は、M. R. Baklanov, K. P. Mogilnikov, V. G. Polovinkin, and F. N. Dultsey, Journal of Vacuum Science and Technology B (2000) 18, 1385-1391に記載の手法に従って行った。
具体的には、温度範囲23〜26℃において、サンプルの入ったサンプル室を5mTorrまで排気した後、トルエンガスをサンプル室に十分にゆっくり導入した。各圧力において、low−k膜の屈折率をエリプソメータ装置によりその場測定した。この操作を、サンプル室内圧力がトルエンの飽和蒸気圧に達するまで繰り返した。同様に、サンプル室内雰囲気を徐々に排気しつつ、各圧力にて屈折率の測定を行った。以上の操作により、low−k膜へのトルエンの吸着および脱離による屈折率変化を求めた。更に、ローレンツ−ローレンツ式を用いて、屈折率の相対圧力特性からトルエンガス吸着脱離等温線を求めた。
図1及び図2に、トルエンガス吸着脱離等温線を示す。
図1及び図2中の横軸は、トルエン相対圧(P/P;ここで、Pはトルエンの室温での分圧を表し、Pはトルエンの室温での飽和蒸気圧を表す。)であり、縦軸は、トルエン吸着量の体積分率(Low−k膜全体の体積に対するトルエンの室温での吸着体積の比率)である。トルエン吸着量の体積分率は、ローレンツ−ローレンツ式を用いてlow−k膜の屈折率に基づいて求めた。
図1及び図2では、トルエン吸着量の体積分率が同じ場合、トルエン相対圧が大きいほどシール性に優れることを意味する。
図1に示すように、サンプル1(PAA/PEI/low−k)では、比較サンプル1(PEI/low−k)及び比較サンプル2(PEI/PEI/low−k)と比較して、シール性が格段に優れていた。これにより、シール組成物1によるシール性を、シール強化組成物1が強化させることがわかった。
また、図1に示すように、サンプル2(PAA/PEI/PAA/PEI/low−k)は、サンプル1(PAA/PEI/low−k)と比較して、更に優れたシール性を示した。これにより、シール組成物1の付与及びシール強化組成物1の付与を複数回行うことで、更に優れたシール性が得られることが確認された。
また、図2に示すように、サンプル3(PAA/ベークPEI/low−k)は、サンプル1(PAA/PEI/low−k)と比較して、更に優れたシール性を示した。これにより、ベークされたシール組成物1上にシール強化組成物1を付与することで、更に優れたシール性が得られることが確認された。
また、図2中、比較サンプル3(PAA/low−k)と比較サンプル4(low−k)との対比より、シール組成物1を付与せずシール強化組成物1を単独で付与した場合には、あまりシール性向上の効果が得られないことがわかった。
また、比較サンプル5(高分子PAA/low−k)、比較サンプル6(高分子PAA−2/low−k)は、斑点状の膜ムラが観測されシール性を評価することができなかった。
〔実験例2〕
実験例2として、シール強化組成物による、水素プラズマ処理(エッチング)により低下したシール性の回復性に関する実験を行った。
以下、詳細を説明する。
<「プラズマ処理前サンプル」の作製>
上記low−k膜付きシリコンウエハをスピンコーターを用いて600rpmで回転させながら、low−k膜上に上記シール組成物1(2.0mL)を30秒間かけて一定速度で滴下した後、2000rpmで60秒間回転させて乾燥させた。乾燥後のシリコンウエハをホットプレート上に移し(このときのシリコンウエハの向きは、シリコンウエハのlow−k膜が形成されていない側の面とホットプレート表面とが接する向きとした)、125℃で60秒間加熱処理し、low−k膜上に付与されたシール組成物1(PEI)を加熱処理(ベーク)した。
以上により、low−k膜上に加熱処理されたシール組成物1(PEI)を有する「プラズマ処理前サンプル」を得た。
<「プラズマ処理後サンプル」の作製>
上記「プラズマ処理前サンプル」のlow−k膜に対し、下記条件の水素プラズマ処理を施し、「プラズマ処理後サンプル」とした。
−水素プラズマ処理の条件−
・使用電極 … 平行平板型電極(φ10cm)
・到達真空度 … 2×10−5Torr未満
・水素ガス流し … 5分
・放電電力 … 100W
・放電周波数 … 13.56MHz
・放電時の圧力 … 50mTorr
・電極の温度 … 室温
・水素ガス流量 … 50sccm
・サンプル設置側 … グラウンド電位(0V)が印加されたアノード電極上
・処理時間(放電時間) … 30秒
<PAA付与後サンプルの作製>
上記「プラズマ処理後サンプル」をスピンコーターを用いて600rpmで回転させながら、水素プラズマ処理が施された面に対し、上記シール強化組成物1(2.0mL)を30秒間かけて一定速度で滴下した後、超純水3.0mLを30秒間一定速度で滴下し、次いで、2000rpmで60秒間回転させて乾燥させた。
以上により、「PAA付与後サンプル」を得た。
<シール性の評価>
上記各サンプルを用い、実験例1と同様の方法によりシール性の評価を行った。
評価結果を下記表2に示す。
下記表2では、トルエン相対圧(P/P0)が0.8であるときのトルエン吸着量の体積分率を相対値(プラズマ処理前サンプル1における値を1.0とした)で示した。
表2に示すように、水素プラズマ処理によりシール組成物1によるシール性が低下したが、水素プラズマ処理後にシール強化組成物1を付与することで、水素プラズマ処理により低下したシール性が、プラズマ処理前のシール性と同程度にまで回復した。
<ポリマー層の厚さ(nm)測定>
上記各サンプル(プラズマ処理前サンプル、プラズマ処理後サンプル、及びPAA付与後サンプル)の作製において、low−k膜付きシリコンウエハを、シリコンウエハ又は銅基板に変更したこと以外は各サンプルの作製と同様にして、ポリマー層の厚さ測定用のサンプルを作製した。
得られた測定用サンプルを用い、プラズマ処理前、プラズマ処理後、及びPAA付与後におけるポリマー層の厚さ(シリコン上又は銅上)を測定した。
ポリマー層の厚さは、SEMILAB社製光学式ポロシメータ(PS−1200)のエリプソメーターを使用して常法により測定した。
測定結果を図3に示す。
図3に示すように、「プラズマ処理前」では、シール組成物1の付与により、3.8〜5.3nm程度の厚さのポリマー層(PEI層)が形成されていた。
これに対し、「プラズマ処理後」では、水素プラズマ処理によってポリマー層がエッチングされ、厚さが0.3〜0.7nmにまで減少していた。
更に、「PAA付与後」では、シール強化組成物1の付与によりPAA層が堆積され、ポリマー層の厚さが0.7〜1.4nmに増大していた。
表2及び図3の結果より、水素プラズマ処理後にシール強化組成物1を付与して形成されたポリマー層は、水素プラズマ処理前のポリマー層よりも薄いにも関わらず、水素プラズマ処理前と同程度のシール性を示すことがわかった。

Claims (8)

  1. アニオン性官能基を有しアニオン性官能基当量が45〜720であり重量平均分子量が1000〜800000であるポリマーを含有し、ナトリウムおよびカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10重量ppb以下である、半導体用シール強化組成物。
  2. 前記アニオン性官能基は、アミド基、スルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イミド基、スルフィニル基、オキシム基、ヒドロキシム基、チオール基、チオカルボキシル基、及びトリアゾール基からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の半導体用シール強化組成物。
  3. 前記ポリマーは、アクリルアミド(共)重合体、ビニルスルホン酸(共)重合体、アクリル酸(共)重合体、メタクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体、イタコン酸(共)重合体、並びに、重量平均分子量が500〜700000のポリマーにアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イミド基、スルフィニル基、オキシム基、ヒドロキシム基、チオール基、チオカルボキシル基、及びトリアゾール基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を導入して得られたポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の半導体用シール強化組成物。
  4. 基板上に形成された層間絶縁層上に、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有する半導体用シール組成物を付与する半導体用シール組成物付与工程と、
    基板上に形成された層間絶縁層上に、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の半導体用シール強化組成物を付与する半導体用シール強化組成物付与工程と、
    を含む、半導体装置の製造方法。
  5. 前記層間絶縁層は、多孔質シリカを含み、その表面に該多孔質シリカに由来するシラノール残基を有し、
    前記半導体用シール組成物付与工程は、前記半導体用シール組成物を前記層間絶縁層の前記表面に接するように付与する、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記層間絶縁層に10nm〜32nm幅の凹状の溝を形成する溝形成工程をさらに含み、
    前記半導体用シール組成物付与工程は、前記半導体用シール組成物を少なくとも前記凹状の溝に付与し、
    前記半導体用シール強化組成物付与工程は、前記半導体用シール強化組成物を少なくとも前記凹状の溝に付与する、請求項又は請求項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 基板上に形成された層間絶縁層に10nm〜32nm幅の凹状の溝を形成する溝形成工程と、
    少なくとも前記凹状の溝に、2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有する半導体用シール組成物を付与し、前記凹状の溝の表面に、前記2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマーを含有するシール層を形成する半導体用シール組成物付与工程と、
    前記凹状の溝の表面に形成されたシール層の少なくとも一部をエッチングするエッチング工程と、
    前記エッチング工程後の少なくとも前記凹状の溝に、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の半導体用シール強化組成物を付与する半導体用シール強化組成物付与工程と、
    を含む、請求項〜請求項のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 層間絶縁層と;
    2以上のカチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリマー、及び、アニオン性官能基を有し重量平均分子量が1000〜800000であるポリマーを含有するポリマー層と;
    銅からなる層と;
    がこの順に配置された構造を備える、半導体装置。
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