JP5829718B2 - ポリアセタール共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアセタール共重合体の製造方法に関する。
従来、ポリアセタール(POM)共重合体の製造法として、トリオキサンを主モノマーとし、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとするカチオン共重合が知られている。これら共重合に用いるカチオン活性触媒としては、ルイス酸、殊にホウ素、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物、例えば三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素及び五フッ化アンチモン、及びその錯化合物又は塩の如き化合物;プロトン酸、例えば、パークロル酸;プロトン酸のエステル、殊にパークロル酸と低級脂肪族アルコールとのエステル、例えばパークロル酸−3級ブチルエステル;プロトン酸の無水物、特にパークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物、例えばアセチルパークロラート、あるいはトリメチルオキソニウムヘキサフルオルホスファート、トリフェニル−メチルヘキサフルオルアルゼナート、アセチルテトラフルオルボラート、アセチルヘキサフルオルホスファート及びアセチルヘキサフルオルアルゼナート等が提案されている。中でも三フッ化ホウ素、あるいは三フッ化ホウ素と有機化合物、例えばエーテル類との配位化合物は、トリオキサンを主モノマーとする重合触媒として最も一般的であり、工業的にも広く用いられている。
しかしながら、三フッ化ホウ素系化合物等の一般に使用される重合触媒では、重合に比較的多量(例えば全モノマーに対し40ppm又はそれ以上)の触媒を必要とする。このため、重合後の触媒失活処理を十分に行い難く、また、失活化させたとしても触媒に由来する物質が共重合体中に残存し、共重合体の分解が促進される等の問題が生じる場合がある。また、触媒の失活工程はトリエチルアミン等の塩基性化合物を含む多量の水溶液中で行うのが一般的であり、触媒失活後に共重合体を処理液と分離し乾燥すること、処理液中に溶解した未反応モノマーを回収すること等、煩雑な工程を必要とするものであり、経済的にも課題を含むものであった。
このような触媒の失活処理に伴う煩雑さを省くため、生成共重合体に三価のリン化合物を添加する方法(例えば、特許文献1等を参照)やヒンダードアミン化合物を添加する方法(特許文献2等を参照)の提案もなされているが、期待されるほどの効果は得られていない。
これに対し、ヘテロポリ酸を触媒に使用したポリアセタール共重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3等を参照)。また、ヘテロポリ酸を触媒とした共重合により粗ポリアセタール共重合体の調製を行った後、反応生成物にアミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物及びポリアミドから選ばれた少なくとも一種である固体塩基性化合物を添加し、溶融混練処理して触媒の失活化を行うポリアセタール共重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献4等を参照)。この方法によれば、ヘテロポリ酸が高活性であることから極めて少量の触媒量によって重合が可能となり、高品質のポリアセタール共重合体を提供できる。また、実質的に溶液を使用せず、溶融混練処理によって触媒の失活化を行うため、前記のような煩雑な工程を必要とせず、経済性にも優れる。
特公昭55−42085号公報 特開昭62−257922号公報 特開平1−170610号公報 特開2003−026746号公報
近年、特に優れた熱安定性を有し、ホルムアルデヒド発生量が極めて少ない高品質のポリアセタール共重合体が求められているが、特許文献1〜4に記載の方法では、その要求に応えることが厳しい状況になってきている。この要求に応えるためには、触媒のより効率的な失活化をはじめとした更なる改善が求められている。
本発明の目的は、モノマーの選択、重合の際に用いる重合触媒の選択、重合条件の選択、重合触媒を失活させるための失活剤の選択等を適切に行うことで、重合収率が高く、不安定末端部が少なく、熱的に安定で、ホルムアルデヒド放出量が少なく、メルトインデックス及び色相にも優れたポリアセタール共重合体を、簡易かつ効率的に重合触媒を失活させ、重合体を洗浄する洗浄設備が不要であり、運転技術としてもシンプルなプロセスで提供することである。
本発明者は、上記課題を達成すべく、モノマーの種類、重合触媒の種類、重合触媒を失活させるための失活剤の種類、及びこれらに対応した重合法及び触媒失活法等について鋭意検討した結果、主モノマーとしてトリオキサンを用い、コモノマーとして少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールを用い、触媒として不揮発性のプロトン酸を用い、失活剤として塩基性化合物を用い、主モノマーとコモノマーとの共重合を所定の条件で行い、共重合体を粉砕し、粒度が一定以下である共重合体の粒体からなる群について、重合触媒を失活させ、ポリアセタール共重合体として提供することで、触媒の重合活性が高いにもかかわらず、極めて少量で確実かつ速やかに触媒を失活させ、不安定末端を低減・安定化できることを見出した。そして、本発明者は、上記のポリアセタール共重合体は、熱的に極めて安定で、ホルムアルデヒド放出量が極めて少なく、高品質であることを見出した。加えて、本発明者は、簡易かつ効率的に重合触媒を失活させ、重合体を洗浄する洗浄設備が不要であり、運転技術としてもシンプルなプロセスで上記のポリアセタール共重合体を提供できることを見出した。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明は、主モノマー(a)であるトリオキサンと、コモノマー(b)であって、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを、不揮発性のプロトン酸を重合触媒(c)として共重合し、粗ポリアセタール共重合体(d1)を得る共重合工程と、乾式粉砕機を用いて、目開きが11.2mmである篩いを用いて篩分したときの篩下の割合が90重量部以上である粗ポリアセタール共重合体(d2)を得る粉砕工程と、前記粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)に塩基性化合物(e)を添加し、混合物を溶融混練することで、前記重合触媒(c)を失活させ、重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)を得る失活工程とを含む、ポリアセタール共重合体の製造方法である。
(2)また、本発明は、前記不揮発性のプロトン酸が、ヘテロポリ酸、イソポリ酸又はこれらの酸性塩から選ばれる少なくとも一種を含む、(1)に記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(3)また、本発明は、前記不揮発性のプロトン酸が下記一般式(1)で示されるヘテロポリ酸又はその酸性塩を含む、(2)に記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
[M・M’]・yHO ・・・(1)
〔一般式(1)において、MはP及び/又はSiから選ばれる中心元素を示し、M’はW、Mo、Vより選ばれる一種以上の配位元素を示す。lは10〜100であり、mは1〜
10であり、nは6〜40であり、xは1以上であり、yは0〜50である。〕
(4)また、本発明は、前記ヘテロポリ酸又はその酸性塩が、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングストバナジン酸又はこれらの酸性塩から選ばれる少なとも一種の化合物を含む、(2)又は(3)に記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(5)また、本発明は、前記不揮発性のプロトン酸が下記一般式(2)又は(3)で示されるイソポリ酸又はその酸性塩を含む、請求項2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
xM O・pM ・yHO ・・・(2)
xM O・pMVI ・yHO ・・・(3)
〔一般式(2)及び(3)において、Mは水素であるが、一部が金属で置換されていてもよい。Mは周期律表V族のV、Nb、Taより選ばれる一種以上の元素を示す。MVIは周期律表VI族のCr、Mo、W、Uより選ばれる一種以上の元素を示す。p及びxは1以上であり、yは0〜50である。〕
(6)また、本発明は、前記イソポリ酸又はその酸性塩が、パラタングステン酸、メタタングステン酸、パラモリブデン酸、メタモリブデン酸、パラバナジウム酸、メタバナジウム酸又はこれらの酸性塩から選ばれる少なとも一種の化合物を含む、(2)又は(5)に記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(7)また、本発明は、前記コモノマー(b)が、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン又はエチレンオキサイドから選択される少なくとも一種を含む、(1)から(6)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(8)また、本発明は、前記塩基性化合物(e)が、アミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物から選択される少なくとも一種を含む、(1)から(7)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(9)また、本発明は、前記アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物が、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトウム、ステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも一種を含む、(8)に記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(10)また、本発明は、前記粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)において、水分が0.1重量部以下であり、未反応トリオキサンの含有量が1.0重量部以下である、(1)から(9)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
(11)また、本発明は、前記重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)が、前記重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)から発生するホルムアルデヒド量が100ppm以下であり、色差計を使用したときの前記重合触媒失活後ポリアセタール共重合体のb値が2.0以下の共重合体である、(1)から(10)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法である。
本発明によると、重合触媒として不揮発性のプロトン酸を用いたときの粗ポリアセタール共重合体における未反応トリオキサンの含有量及び粒径を一定の範囲内に制御できる。また、塩基性化合物を重合触媒の失活剤として粗ポリアセタール共重合体を溶融混練することで、重合触媒を失活できるだけでなく、粗ポリアセタール共重合体の不安定末端を安定化できる。その結果、熱安定性に優れ、ホルムアルデヒド発生量の極めて少ない高品質のポリアセタール共重合体を、簡易な製造工程により、経済的に製造することができる。
また、本発明によると、従来のウェット式の失活方法と比較してドライ式方法にしたことで、失活工程の簡略化及び洗浄工程が省略されている極めて合理化された工程で、重合触媒の速やかで完全な失活に次いで不安定末端部の安定化も行うことができる。その結果、触媒に由来する分解、変質等の支障がなく、熱的に安定で、かつ不安定末端部及びホルムアルデヒド放出量の極めて少ない優れた品質のポリアセタール共重合体を経済的に製造できる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<ポリアセタール共重合体の製造方法>
本発明は、主モノマー(a)とコモノマー(b)とを共重合し、粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)を得る共重合工程と、この粗ポリアセタール共重合体(d1)を乾式粉砕機を用いて粉砕し、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)を得る粉砕工程と、粉砕後の粗ポリアセタール共重合体(d2)に塩基性化合物(e)を添加し、混合物を溶融混練することで、重合触媒(c)を失活させ、重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)を得る失活工程とを含む。
〔共重合工程〕
共重合工程は、主モノマー(a)であるトリオキサンと、コモノマー(b)であって、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを、不揮発性のプロトン酸を重合触媒(c)として共重合し、粗ポリアセタール共重合体(d1)を得る工程である。
[主モノマー(a)]
主モノマー(a)として、トリオキサン(1,3,5−トリオキサン)が使用される。トリオキサンは、3分子のホルムアルデヒドが酸の作用で結合することによって得られる。
[コモノマー(b)]
コモノマーとしては、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物(b)が使用される。コモノマーとして使用する化合物(b)の代表的な例としては、例えば、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。中でも、重合の安定性から考慮して、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキシド等が好ましい。さらに、環状エステル、例えばβ−プロピオラクトンや、ビニル化合物、例えばスチレン等も使用できる。また、コモノマーとして、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルの如き、置換基単位を有する単官能の環状エーテルや環状ホルマールを用いることも可能である。さらに、コモノマーとして、アルキレングリコールのジグリシジルエーテルやジホルマールの如き2個の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物、例えば、ブタンジオールジメチリデングリセリルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等や、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の如き3個以上の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物を用いることもできる。これによって分岐構造や架橋構造が形成されたポリアセタール共重合体も本発明の対象である。
本発明において、コモノマーとして用いる環状エーテル及び環状ホルマールから選ばれる化合物(b)の量は、全モノマー(主モノマーとコモノマーの合計量)中の割合として0.1〜20モル%であり、好ましくは0.2〜10モル%である。0.1モル%未満では、重合によって生成する粗ポリアセタール共重合体の不安定末端部が増加して安定性が悪くなり、またコモノマー量が過大になると生成共重合体が軟質となり融点の低下を生じて好ましくない。
[重合触媒(c)]
重合触媒(c)として、不揮発性のプロトン酸が使用される。本発明では、三フッ化ホウ素系触媒でなく、不揮発性のプロトン酸を重合触媒として用いているため、三フッ化ホウ素系触媒を重合触媒とした場合に比べ、重合転化率を高めることができる。
不揮発性のプロトン酸の例として、ヘテロポリ酸、イソポリ酸又はこれらの酸性塩から選ばれる少なくとも一種を含む化合物が挙げられる。ヘテロポリ酸とは、異種の酸素酸が脱水縮合して生成するポリ酸をいい、中心に特定の異種元素が存在し、酸素原子を共有して縮合酸基が縮合してできる単核又は複核の錯イオンを有する。イソポリ酸とは、イソ多重酸、同核縮合酸、同種多重酸とも称され、V価又はVI価の単一種類の金属を有する無機酸素酸の縮合体から成る高分子量の無機酸素酸をいう。
(ヘテロポリ酸又はその酸性塩)
まず、ヘテロポリ酸又はその酸性塩について詳しく説明する。ヘテロポリ酸又はその酸性塩は、一般式(1)で表すことができる。
[M・M’]・yHO ・・・(1)
本発明の重合触媒として特に有効なヘテロポリ酸は、上記の組成式中の中心元素MがP及び/又はSiから選ばれた少なくとも一種の元素であり、配位元素M’がW、Mo、Vより選ばれる一種以上の元素である場合である。重合活性の観点から、配位元素M’はW又はMoであることがより好ましい。また、一般式(1)において、lは10〜100であり、mは1〜10であり、nは6〜40であり、xは1以上であり、yは0〜50である。
また、一般式(1)におけるHが各種金属等に置換された酸性塩も本発明の触媒として用いることができる。
ヘテロポリ酸の具体例として、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステントバナジン酸等が挙げられる。特に、重合活性の観点から、ヘテロポリ酸は、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸から選択されることが好ましい。
また、ヘテロポリ酸は、一般にα0型、βII型、βIV型が知られているが、重合活性の点でα0型、βIV型が好ましく、α0型が特に好ましい。
(イソポリ酸又はその酸性塩)
続いて、イソポリ酸又はその酸性塩について詳しく説明する。イソポリ酸又はその酸性塩は、一般式(2)又は一般式(3)で表すことができる。
xM O・pM ・yHO ・・・(2)
xM O・pMVI ・yHO ・・・(3)
一般式(2)及び(3)において、Mは水素であるが、一部が金属で置換されていてもよい。Mは周期律表V族のV、Nb、Taより選ばれる一種以上の元素を示す。MVIは周期律表VI族のCr、Mo、W、Uより選ばれる一種以上の元素を示す。p及びxは1以上であり、yは0〜50である。
イソポリ酸は、イソポリ酸塩溶液をイオン交換樹脂で処理する方法のほか、イソポリ酸塩の濃縮溶液に鉱酸を加えてエーテル抽出する方法等、各種の方法により調製される。なお、本発明では、イソポリ酸に限らず、イソポリ酸の酸性塩も重合触媒として用いることができる。イソポリ酸塩は上記一般式(2)、(3)のいずれであってもよいが、重合活性の観点から、一般式(3)のイソポリ酸又はその酸性塩であることが好ましい。
好適なイソポリ酸の具体例として、パラタングステン酸、メタタングステン酸等に例示されるイソポリタングステン酸、パラモリブデン酸、メタモリブデン酸等に例示されるイソポリモリブデン酸、メタポリバナジウム酸、イソポリバナジウム酸等が挙げられる。中でも、重合活性の観点から、イソポリタングステン酸であることが好ましい。
(溶剤)
重合反応を均一に行うため、不揮発性のプロトン酸は、重合に悪影響のない不活性な溶剤で希釈して、トリオキサン及び/又はコモノマーに添加して使用することが好ましい。不活性な溶媒として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の炭素数1〜10の低分子量カルボン酸と、メタノール、エタノール、1−プロバノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−へキサノール等の炭素数1〜10の低分子量のアルコールが縮合して得られるエステル;アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−へキサノン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン等の炭素数1〜10の低分子量のケトン類が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。工業的な入手しやすさ等も勘案すると、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等が最も好適である。重合触媒は、上記不活性溶媒に、好適には濃度1〜30重量/重量部で溶解されるが、これに限定されるものではない。また、トリオキサン、コモノマー、分子量調節剤等のいずれか一種又は複数種の一部量又は全量に、不揮発性のプロトン酸の所定量を予め混合し、この溶液を重合系に添加して重合を行う方法も好ましい。
重合触媒(c)の量は特に限定されるものでないが、全モノマーの合計に対して0.1ppm以上50ppm以下であることが好ましく、0.1ppm以上10ppm以下であることがより好ましい。
重合触媒(c)の量が少なすぎると、粗ポリアセタール共重合体に含まれる未反応トリオキサンの含有量が1.0重量部を超え、高い重合収率が得られるとはいえない点で好ましくない。また、粗ポリアセタール共重合体に含まれる未反応トリオキサンの含有量が1.0重量部を超える場合、粗ポリアセタール共重合体の不安定末端を安定化したとしても、安定化ポリアセタール共重合体の熱安定性、ホルムアルデヒド放出量及びメルトインデックスが十分でないため、好ましくない。また、安定化ポリアセタール共重合体ペレットの色相においても、b値が高い値となる。
一方、重合触媒(c)の量が多すぎると、分解反応が進行する可能性があるため、好ましくない。
[粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)の調製]
本発明において、重合による粗ポリアセタール共重合体の調製は、従来から公知のトリオキサンの共重合と同様の設備と方法で行うことができる。すなわち、バッチ式、連続式、半連続式の何れも可能であり、液体モノマーを用い、重合の進行とともに固体粉塊状のポリマーを得る方法が一般的である。本発明に用いられる重合装置としては、バッチ式では一般に用いられる撹拌機付きの反応槽が使用でき、又、連続式としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機、その他、これまでに提案されているトリオキサン等の連続重合装置が使用可能であり、また2種以上のタイプの重合機を組み合わせて使用することもできる。
重合方法は特に限定されるものではないが、先に提案されているように、トリオキサン、コモノマー及び重合触媒としてのヘテロポリ酸を、予め液相状態を保ちつつ十分に混合し、得られた反応原料混合液を重合装置に供給して共重合反応を行えば、必要触媒量の低減が可能となり、結果としてホルムアルデヒド放出量のより少ないポリアセタール共重合体を得るのに有利であり、より好適な重合方法である。
重合温度は、転化率が50%になるまでの重合環境温度を100℃以下とし、その後の重合環境温度を115℃以上140℃以下の温度範囲に保つことが好ましい。重合温度が115℃未満であると、粗ポリアセタール共重合体に含まれる未反応トリオキサンの含有量が1.0重量部を超え、高い重合収率が得られるとはいえない点で好ましくない。粗ポリアセタール共重合体に含まれる未反応トリオキサンの含有量が1.0重量部を超えている場合、粗ポリアセタール共重合体の不安定末端を安定化したとしても、安定化ポリアセタール共重合体の熱安定性、ホルムアルデヒド放出量及びメルトインデックスが十分でないため、好ましくない。また、安定化ポリアセタール共重合体ペレットの色相においても、b値が高い値となる。
重合温度が140℃を超えると、分解反応の進行により、効率的にポリアセタール共重合体を得ることが困難となる。
本発明において、上記の主モノマー(a)とコモノマー(b)とを重合してポリアセタール共重合体を調製するにあたり、重合度を調節するため公知の連鎖移動剤、例えばメチラールの如き低分子量の線状アセタール等を添加することも可能である。
また、重合反応は活性水素を有する不純物、例えば水、メタノール、ギ酸等が実質的に存在しない状態、例えばこれらが夫々10ppm以下の状態で行うのが望ましく、このためには、これらの不純物成分を極力含まないように調製されたトリオキサン、環状エーテル及び/又は環状ホルマールを、主モノマーやコモノマーとして使用するのが望ましい。
〔粉砕工程〕
続いて、粉砕工程について説明する。粉砕工程は、乾式粉砕機を用いて粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)を粉砕し、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)を得る工程である。粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)の粒径は、目開きが11.2mmである篩いを用いて篩分したときの篩下の割合が90重量部以上である。この粒径を得るには、一般的な乾式粉砕機を使用でき、具体的には、ジェット式、ハンマー式、ボール式、ロール式、ロッド式、フェザー式などがある。
粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)を粉砕しない場合、次に説明する失活工程で塩基性化合物(e)を添加する際の原料に、粒径が11.2mmを超える粒子群が原料全体の10重量部を超えてしまうため、粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)を加え、重合触媒(c)を失活させるとともに、粗ポリアセタール共重合体の不安定末端を安定化したとしても、安定化ポリアセタール共重合体の熱安定性、ホルムアルデヒド放出量及びメルトインデックスが十分でないため、好ましくない。また、安定化ポリアセタール共重合体ペレットの色相においても、b値が高い値となる。
[粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)]
本発明において、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)は、水分が0.1重量部以下であり、未反応トリオキサンの含有量が1.0重量部以下であり、目開きが11.2mmである篩いを用いて篩分したときの篩下の割合が90重量部以上である。
未反応トリオキサンの含有量は、共重合工程における共重合温度を適切に保つことによって初めて上記の範囲内に制御され、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)の粒径は、共重合後の粗ポリアセタール共重合体を適切に粉砕することによって初めて上記の範囲内に制御される。水分量は外部環境から水分が浸入することを回避することにより上記の範囲に制御される。また、不安定末端量は、ポリアセタール共重合体が安定化処理に付される前の粗ポリアセタール共重合体である場合に限り、上記の範囲にある。
(未反応トリオキサンの含有量)
未反応トリオキサンの含有量は、ポリアセタール共重合体100重量部に対して1.0重量部以下であり、0.7重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以下であることがより好ましい。未反応トリオキサンの含有量が1.0重量部を超えると、粗ポリアセタール共重合体の不安定末端を安定化したとしても、安定化ポリアセタール共重合体の熱安定性、ホルムアルデヒド放出量及びメルトインデックスが十分でないため、好ましくない。また、安定化ポリアセタール共重合体ペレットの色相においても、b値が高い値となる。
(粉砕)
目開きが11.2mmである篩いを用いて篩分したときの篩下の割合は、篩い分けに供した試料100重量部に対して90重量部以上であり、95重量部以上であることが好ましい。この割合が90重量部未満であると、粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)を加え、重合触媒(c)を失活させるとともに、粗ポリアセタール共重合体の不安定末端を安定化したとしても、安定化ポリアセタール共重合体の熱安定性、ホルムアルデヒド放出量及びメルトインデックスが十分でないため、好ましくない。また、安定化ポリアセタール共重合体ペレットの色相においても、b値が高い値となる。
(不安定末端量)
本発明において、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)の不安定末端量は、0.5重量部を超える。不安定末端量が0.5重量部以下である場合、ポリアセタール共重合体(d2)に対して何らかの安定化処理がなされたことを意味する。
不安定末端として、ヘミアセタール末端基、ホルミル末端基量等が挙げられる。また、本発明において、不安定末端量(末端の不安定部分の量)は以下の手法で評価するものとする。
粗オキシメチレン共重合体約1gを精秤し、水酸化カルシウム15mgと0.5体積%の水酸化アンモニウムを含む60体積%メタノール水溶液100mlとともに耐圧密閉容器に入れ、170℃で60分間加熱処理した後、冷却、開封して内溶液を取り出す。不安定な末端部分の分解によって生じ、溶液中に溶解したホルムアルデヒド量をJIS K0102、29.1項 アセチルアセトン吸光光度法にしたがって定量し、粗オキシメチレン共重合体に対する割合を重量部として算出する。
〔失活工程〕
続いて、失活工程について説明する。失活工程は、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)に塩基性化合物(e)を添加し、混合物を溶融混練することで、重合触媒(c)を失活させ、重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)を得る工程である。
[塩基性化合物(e)]
塩基性化合物(e)の種類は、特に限定されるものでないが、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)を洗浄することなく、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)に対して塩基性化合物(e)をそのまま添加し、重合触媒(c)の失活及び粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)の不安定末端の安定化に供することができる点で、塩基性化合物(e)は、アミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。そして、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物は、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトウム、ステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
(アミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物)
本発明においては、上記のように共重合して得られ、重合触媒を含有するとともに、その末端に不安定な部分を有するポリアセタール共重合体(粗ポリアセタール共重合体)に、アミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物より選ばれた少なくとも一種(e)を添加し、溶融混練して、重合触媒の失活を行うとともにポリアセタール共重合体(粗共重合体)が有する不安定末端基を低減して安定化することを特徴とする。以下、「アミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物」のことを(e)成分ともいう。かかる安定化処理は、共重合反応によって得られた粗ポリアセタール共重合体を、洗浄等を行うことなく、上記(e)成分をそのままを添加して処理することにより、より簡便かつ効率的に行うことができる。
上記アミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物として、好ましくはメラミン、メラミン樹脂、CTUグアナミン(3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−卜リアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)、CMTUグアナミン(3,9−ビス[1−(3,5−ジアミノ−2,4,6−卜リアザフェニル)メチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)等が挙げられる。
また(e)成分は、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩、脂肪族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩又は芳香族カルボン酸塩又はその水和物のいずれかであることが好ましい。具体的には、炭酸リチウム、無水炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム一水和物、炭酸ナトリウム十水和物、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、ギ酸リチウム一水和物、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸ルビジウム、ギ酸セシウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、ギ酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム一水和物、酢酸マグネシウム四水和物、酢酸バリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、シュウ酸リチウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム一水和物、コハク酸リチウム、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、コハク酸ニカリウム、アジピン酸二ナトリウム、アジピン酸ニカリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、リンゴ酸二ナトリウム1/2水和物、リンゴ酸二ナトリウム三水和物、酒石酸ニリチウム一水和物、酒石酸二ナトリウムニ水和物、酒石酸水素カリウム、酒石酸ニカリウム、酒石酸カリウムナトリウム四水和物、酒石酸ナトリウムルビジウム、クエン酸リチウム四水和物、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウムニ水和物、アスパラギン酸ナトリウム一水和物、グルタミン酸二ナトリウム一水和物、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フマル酸一ナトリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、フタル酸水素カリウム、サリチル酸リチウム一水和物、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
工業的な入手しやすさ等も勘案すると、(e)成分は、炭酸リチウム、無水炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム一水和物、炭酸ナトリウム十水和物、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ギ酸リチウム一水和物、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、ギ酸バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、酢酸カリウム、酢酸カルシウム一水和物、酢酸マグネシウム四水和物、酢酸バリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ酸カルシウム、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、コハク酸ニカリウム、クエン酸リチウム四水和物、クエン酸一ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウムニ水和物、アスパラギン酸ナトリウム一水和物、グルタミン酸二ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フマル酸一ナトリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、フタル酸水素カリウム、サリチル酸リチウム一水和物、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウムであることが好ましい。
さらに、重合触媒(c)を失活させた後のポリアセタール共重合体の色相を考慮すると、(e)成分は、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム一水和物、炭酸ナトリウム十水和物、炭酸水素ナトリウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等であることがより好ましい。
本発明において、上記一般式(2)で示される塩(e)は、一種類であってもよいし、複数を組み合わせて使用してもよく、それらの混合物や複塩等の状態であっても構わない。
複塩の例としては、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとから成るセスキ炭酸ナトリウムを挙げることができる。
(e)成分の含有量は特に制限されるものではないが、(ア)ポリマー中に残存する触媒量、(イ)重合の諸条件によって生じる不安定末端基の種類や量、(ウ)(e)成分の活性の程度や処理条件(温度、時間、接触速度等)等に応じて適宜変えることが好ましい。具体的に、(e)成分の含有量は、ごく少量であることが好ましく、共重合反応によって得られる粗ポリアセタール共重合体1kgに対し、0.002〜700ミリ当量であることが好ましい。
(e)成分の含有量を粗ポリアセタール共重合体1kgに対し1.0ミリ当量以下にすることで、重合触媒(c)失活後のポリアセタール共重合体のb値を2.0以下にすることができる。
(e)成分の量が過剰であると、重合触媒(c)を失活させた後のポリアセタール共重合体の色相が劣る可能性があり、過少であると、失活の効率若しくは不安定末端部の安定化を十分に達成できない可能性がある点で好ましくない。
上記のとおり(e)成分を添加することでごく少量の(e)成分を全体に均一に分散でき、その結果、色差計を使用して測定した、重合触媒(c)失活後のポリアセタール共重合体のb値を2.0以下にすることができる。なお、本明細書におけるb値は、色差計SE−2000(日本電色工業社製)を用いて、ペレット測定用のセル(丸セル)にペレットを所定量入れ、試料台に置き、カバーを被せ、測定したときに表示される値である。
[粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)と塩基性化合物(e)との溶融混練]
溶融混練処理装置については特に限定されないが、溶融した共重合体を混練する機能を有し、好ましくはベント機能を有するものであり、例えば、少なくとも1つのベント孔を有する単軸又は多軸の連続押出し混練機、コニーダー等が挙げられる。本発明はこの溶融混練処理において、重合触媒の完全な失活及び不安定末端部の低減安定化が行なわれる。
溶融混練処理は、共重合体の融点以上260℃までの温度範囲が好ましい。260℃より高いと、重合体の分解劣化が生じ好ましくない。
本発明において、上記の溶融混練処理は酸化防止剤の存在下で行うことが好ましい。酸化防止剤としては、従来のポリアセタール樹脂の安定剤として公知の物質、例えば各種のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が用いられる。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−へキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナマミド)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス〔2−{(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1’−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン等が例示される。尚、これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は、その一部又は全部を重合前の主モノマー又はコモノマー中に予め添加して重合させてもよく、これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は添加量が特に過大でない限り重合触媒の活性に悪影響はなく、好ましい実施態様の一つである。
さらに、この段階で必要に応じ、各種のポリアセタール樹脂の安定剤として公知の物質を添加しても何ら差し支えない。さらに、例えばガラス繊維の如き無機充填剤、結晶化促進剤(核剤)、離型剤、抗酸化剤等を添加してもよい。
上記のように、粗共重合体に失活・安定化処理剤として(e)成分を添加し、溶融混練処理した後、通常、分解して生じたホルムアルデヒドガス、未反応モノマー、オリゴマー、失活・安定化剤等が押出機のベント部より減圧下で除去され、ペレット等に成形されて樹脂加工用の製品となる。ペレットは必要に応じて乾燥される。乾燥する場合、例えば、135℃、4時間程度乾燥させる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
Figure 0005829718
Figure 0005829718
表1及び表2において、重合触媒(c)は次のとおりである。
C1:リンタングステン酸(ヘテロポリ酸)
C2:パラタングステン酸(イソポリ酸)
C3:三フッ化ホウ素
表1及び表2において、塩基性化合物(e)は次のとおりである。
E1:ギ酸ナトリウム
E2:炭酸ナトリウム
E3:炭酸水素ナトリウム
E4:ラウリン酸ナトリウム
E5:ステアリン酸ナトリウム
E6:ステアリン酸カルシウム
E7:メラミン
<実施例1〜7>
〔主モノマー(a)であるトリオキサンと、コモノマー(b)である環状エーテル及び/
又は環状ホルマールとの共重合〕
重合反応装置として連続式二軸重合機を用いた。この重合機は、外側に加熱用又は冷却用の媒体を通すためのジャケットが付いており、その内部には撹拌、推進用の多数のバドルを付した2本の回転軸が長手方向に設けられている。この二軸重合機のジャケットに115℃以上140℃未満の環境温度で、2本の回転軸を一定の速度で回転させながら、その一端に、連鎖移動剤としてのメチラールを1000ppm含有する、主モノマー(a)としてのトリオキサン96.2重量部と、コモノマー(b)としての1,3−ジオキソラン(DOXO)3.8重量部とを含有する混合液を連続的に供給するとともに、上記混合液に、表1に示す重合触媒(c)を0.3重量部含むギ酸メチル溶液を、全モノマーに対して表1に示した量で連続添加して共重合を行った。表1において、重合触媒の添加量は全モノマーの合計に対する重量比率(単位:ppm)である。
〔粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)の粉砕〕
共重合による反応生成物(粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1))を、乾式粉砕機に通し、粗ポリアセタール共重合体(d2)を得た。
〔重合触媒(c)の失活〕
その後、重合機の他端に設けられた吐出口から粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)を排出するとともに、重合触媒(c)を失活させるため、表1に示した塩基性化合物(e)を添加した。表1において、塩基性化合物(e)の量は、全モノマーの合計に対する重量比率(単位:ppm)である。
次いで、酸化防止剤としてとしてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェール)プロピオネート〕0.3重量部を添加し、ベント付き2軸押出機を用いて温度220℃、ベント部の真空度5mmHgで溶融混練して押し出した。上記の工程を経て、実施例1〜7に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)のペレットを調製した。
なお、反応装置全体として、ポリアセタール共重合体の水分が上昇するのを防ぐため、基本的に装置は密閉した系であり、重合、粉砕及び失活は、いずれも外部環境から水分が浸入することを防ぐ環境下で行われた。
<比較例1>
重合環境温度を100℃以下で重合したこと以外は、実施例1と同じ手法にて、比較例1に係る粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)’と、比較例1に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)’のペレットとを調製した。
<比較例2>
共重合による反応生成物(粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)’)を、目開きが11.2mmである篩いに通さずに重合機の他端に設けられた吐出口より排出したこと以外は、実施例1と同じ手法にて、比較例2に係る粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)’と、比較例2に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)’のペレットとを調製した。
<比較例3>
重合環境温度を100℃以下で重合し、共重合による反応生成物(粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)’)を、目開きが11.2mmである篩いに通さずに重合機の他端に設けられた吐出口より排出したこと以外は、実施例1と同じ手法にて、比較例3に係る粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)’と、比較例3に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)’のペレットとを調製した。
<比較例4>
重合触媒(c)として三フッ化ホウ素を使用し、二軸重合機を外部から加熱することなく重合した以外は、実施例1と同じ手法にて、比較例4に係る粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)’と、比較例4に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)’のペレットとを調製した。
<評価>
実施例及び比較例に係る粉砕後粗ポリアセタール共重合体(ただし、比較例2及び3については粉砕前粗ポリアセタール共重合体)について、水分量と、トリオキサン量と、粗ポリアセタール共重合体の粒子群に含まれる粒径が11.2mm以下の粒子群の割合と、不安定末端量とを測定した。また、実施例及び比較例に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体のペレットを135℃、4時間の条件で乾燥した後、メルトインデックス(MI)、アルカリ分解率、ホルムアルデヒド放出量、及び重合触媒(c)を失活した後のポリアセタール共重合体の色相と、不安定末端量とを測定した。
〔粗ポリアセタール共重合体について〕
[粗ポリアセタール共重合体に含まれる水分量の評価]
実施例及び比較例に係る試料をカールフィッシャー水分計CA−200(三菱アナリテック製)を用いて、試料1.0gを100℃、300mL/minの窒素気流下の条件で測定したときの粗共重合体に含まれる水分量を定量した。結果を表3及び表4に示す。
[粗ポリアセタール共重合体に含まれるトリオキサン量の評価]
トリオキサン量の評価は、ガスクロマトグラフィーGC−2014ATF(島津製作所製)を用いて行った。実施例及び比較例に係る試料40gと、蒸留水20mLとをシリンダーに入れて密栓し、オイルバスで100℃、4時間の条件で加熱してトリオキサンを抽出した。そして、ガスクロマトグラフィーで測定したときの粗共重合体に含まれるトリオキサン量を定量した。結果を表3及び表4に示す。
[粗ポリアセタール共重合体の粒子群に含まれる粒径が11.2mm以下の粒子群の割合]
実施例及び比較例に係る試料を、目開きが11.2mmである篩いを用いて篩い分けし、試料100重量部に対する篩下の割合を測定した。結果を表3及び表4に示す。
[粗ポリアセタール共重合体の不安定末端量]
不安定末端量は、以下の手法で評価した。
試料約1gを精秤し、水酸化カルシウム15mgと0.5体積%の水酸化アンモニウムを含む60体積%メタノール水溶液100mlとともに耐圧密閉容器に入れ、170℃で60分間加熱処理した後、冷却、開封して内溶液を取り出した。不安定な末端部分の分解によって生じ、溶液中に溶解したホルムアルデヒド量をJIS K0102、29.1項 アセチルアセトン吸光光度法にしたがって定量し、試料に対する割合を重量部として算出した。結果を表3及び表4に示す。
〔重合触媒失活後ポリアセタール共重合体について〕
[メルトインデックス(MI)の評価]
メルトインデックス測定装置:Melt Indexer L202型(タカラサーミ
スタ社製)を用いて、実施例及び比較例に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体に対して、荷重2.16kg、温度190℃で測定したときの値をメルトインデックス(g/10min)とした。結果を表3及び表4に示す。本実施例では、メルトインデックス(MI)を分子量に対応する特性値とした。すなわち、MIが低いほど分子量が高いと判断し、MIが高いほど分子量が低いと判断した。
[ホルムアルデヒド放出量の評価]
実施例及び比較例に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体を200℃に保ったシリンダーに充填して、5分間で溶融後、溶融物をシリンダーから密閉容器内に押出した。この密閉容器に窒素ガスを流し、出てきた窒素ガスに含まれるホルムアルデヒドを水に溶かして捕集し、水中のホルムアルデヒド濃度を測定することにより、溶融物から放出されたホルムアルデヒドの重量を求めた。このホルムアルデヒド重量を溶融物の重量で除してホルムアルデヒド放出量(単位ppm)とした。結果を表3及び表4に示す。
[ペレットにおける色相の評価]
色差計SE−2000(日本電色工業社製)を用いて、ペレット測定用のセル(丸セル
)に、実施例及び比較例に係る重合触媒失活後ポリアセタール共重合体のペレットを所定量入れ、試料台に置き、カバーを被せ、測定したときに表示されるb
値を読み取った。結果を表3及び表4に示す。
[重合触媒失活後ポリアセタール共重合体の不安定末端量]
不安定末端量は、[粗ポリアセタール共重合体の不安定末端量]で記載した手法と同じ手法で評価した。結果を表3及び表4に示す。
Figure 0005829718
Figure 0005829718
本発明は、重合触媒(c)として不揮発性のプロトン酸を用いているため、極めて少量で高重合収率が得られる。また、共重合温度転化率が50%になるまでの重合環境温度を100℃以下とし、その後の重合環境温度を115℃以上140℃以下の温度範囲での範囲内にし、乾式粉砕機を用いて粉砕前粗ポリアセタール共重合体(d1)を粉砕している。これにより、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)は、未反応トリオキサンの含有量を1.0重量部以下の範囲内に、粒子群のうち90重量部以上の粒子の粒径を11.2mm以下の範囲内に保つことができる。水の含有量を0.1重量部以下の範囲内に制御した。
加えて、本発明は、粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)に塩基性化合物(e)、具体的にはアミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物を添加し、溶融混練することで重合触媒(c)を失活させるとともに、不安定末端を安定化させている。これにより、簡単に、極めて高品質のポリアセタール共重合体を製品として提供できる(実施例1〜7)。
一方、共重合の温度が適切でないと、粗ポリアセタール共重合体において、未反応トリオキサンの含有量を1.0重量部以下にすることができない。その結果、粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)を添加して不安定末端を安定化させたとしても、メルトインデックス値が10.0g/10min以上となり、ペレットのb値が2.0以上となる。また、ホルムアルデヒド放出量においても、十分な品質レベルを満たすことができない(比較例1及び4)。
共重合後に粗ポリアセタール共重合体を粉砕していない場合についても同様に、粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)を添加して不安定末端を安定化させるだけでは、メルトインデックス値が10.0g/10min以上となり、ペレットのb値が2.0以上となる。また、ホルムアルデヒド放出量においても、十分な品質レベルを満たすことができない(比較例2及び3)。
また、重合触媒として三フッ化ホウ素を用いた場合、重合触媒を失活させるための失活剤を多量に要するが、それでも、メルトインデックス値が10.0g/10min以上となり、ペレットのb値が2.0以上となる。また、ホルムアルデヒド放出量においても、十分な品質レベルを満たすことができない(比較例4)。

Claims (11)

  1. 主モノマー(a)であるトリオキサンと、コモノマー(b)であって、少なくとも一つの炭素−炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを、不揮発性のプロトン酸を重合触媒(c)として共重合し、粗ポリアセタール共重合体(d1)を得る共重合工程と、
    乾式粉砕機を用いて、目開きが11.2mmである篩いを用いて篩分したときの篩下の割合が、篩分した粗ポリアセタール共重合体(d2)100重量部に対して90重量部以上である粗ポリアセタール共重合体(d2)を得る粉砕工程と、
    前記粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)に塩基性化合物(e)を添加し、混合物を溶融混練することで、前記重合触媒(c)を失活させ、重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)を得る失活工程とを含み、
    前記共重合の温度は、転化率が50%になるまでの重合環境温度を100℃以下とし、その後の重合環境温度を115℃以上140℃以下の温度範囲に保つものである、ポリアセタール共重合体の製造方法。
  2. 前記不揮発性のプロトン酸は、ヘテロポリ酸、イソポリ酸又はこれらの酸性塩から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  3. 前記不揮発性のプロトン酸が下記一般式(1)で示されるヘテロポリ酸又はその酸性塩を含む、請求項2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
    [M・M’]・yHO ・・・(1)
    〔一般式(1)において、MはP及び/又はSiから選ばれる中心元素を示し、M’はW、Mo、Vより選ばれる一種以上の配位元素を示す。lは10〜100であり、mは1〜
    10であり、nは6〜40であり、xは1以上であり、yは0〜50である。〕
  4. 前記ヘテロポリ酸又はその酸性塩は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングストバナジン酸又はこれらの酸性塩から選ばれる少なとも一種の化合物を含む、請求項2又は3に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  5. 前記不揮発性のプロトン酸が下記一般式(2)又は(3)で示されるイソポリ酸又はその酸性塩を含む、請求項2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
    xM O・pM ・yHO ・・・(2)
    xM O・pMVI ・yHO ・・・(3)
    〔一般式(2)及び(3)において、Mは水素であるが、一部が金属で置換されていてもよい。Mは周期律表V族のV、Nb、Taより選ばれる一種以上の元素を示す。MVIは周期律表VI族のCr、Mo、W、Uより選ばれる一種以上の元素を示す。p及びxは1以上であり、yは0〜50である。〕
  6. 前記イソポリ酸又はその酸性塩は、パラタングステン酸、メタタングステン酸、パラモリブデン酸、メタモリブデン酸、パラバナジウム酸、メタバナジウム酸又はこれらの酸性塩から選ばれる少なとも一種の化合物を含む、請求項2又は5に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  7. 前記コモノマー(b)は、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン又はエチレンオキサイドから選択される少なくとも一種を含む、請求項1から6のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  8. 前記塩基性化合物(e)は、アミノ基又は置換アミノ基を有するトリアジン環含有化合物、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物から選択される少なくとも一種を含む、請求項1から7のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  9. 前記アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物は、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトウム、ステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも一種を含む、請求項8に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  10. 前記粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)は、
    水分が前記粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)100重量部に対して0.1重量部以下であり、
    未反応トリオキサンの含有量が前記粉砕後粗ポリアセタール共重合体(d2)100重量部に対して1.0重量部以下である、請求項1から9のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  11. 前記重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)は、
    前記重合触媒失活後ポリアセタール共重合体(d3)から発生するホルムアルデヒド量が100ppm以下であり、
    色差計を使用したときの前記重合触媒失活後ポリアセタール共重合体のb値が2.0以下の共重合体である、請求項1から10のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
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