JP5828631B2 - 外ケーブル方式緊張鋼材を併用した複合構造梁 - Google Patents
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Description
この発明は、PC造部材と鉄骨造部材との接合部において、機械式継手と緊張鋼材の緊張締結による接合の2種類の接合手段を用いるものである。
この緊張鋼材5は、2次緊張鋼材として柱梁接合部において柱4を貫通して隣接スパンの複合構造梁1の鉄骨造部材3のエンドプレート30に端部が定着されており、梁柱接合部の接合材として機能すると共に、複合構造梁1の接合部の接合手段としても機能するものである。
また、複合構造梁1の中央部の鉄骨造部材3は、両端のPC造部材2に比べて剛性が低いので、たわみ変形及び振動が生じ易く、想定外の荷重が作用すると過大な変形と振動が生ずるという問題がある。
本発明は、以上の問題点を解消しようとするものであり、PC造部材と鉄骨造部材との接合部の安全性を高めて想定外の荷重が作用しても鉄骨造部材が落下することがないようにして複合構造梁の安全性を高めると共に、鉄骨造部材の過大なたわみ変形及び振動の発生を抑制するものである。
更に、前記の複合構造梁において、PC造部材に鉄骨造部材を受ける顎を設けることによって荷重の一部を顎に負担させるようにしたものである。
(1)外ケーブル方式の1次緊張鋼材によって複合梁全体にプレストレスが付与されるので、梁柱及びPC造部材と鉄骨造部材の接合に使用されている2次緊張鋼材が万一破断しても、鉄骨造部材の落下が1次緊張鋼材によって防止され、複合梁の安全性を高めることができる。
(2)鉄骨造部材に直線的に張設される1次緊張鋼材は、設計荷重範囲内においては、PC造部材と鉄骨造部材の接合に対しては力学的に作用していないが、設計荷重を超える想定外の荷重による過大なたわみ変形や振動の発生を抑制するので、構造物が安定したものとなる。
(3)1次緊張鋼材を鉄骨造部材に対して所定のライズを設けて非直線状に張設することによって、鉄骨造部材に上方力(押し上げ力)を与え、鉄骨造部材が負担する応力を軽減するので、PC造部材と鉄骨造部材との接合部の安全性が高まるだけでなく、たわみ変形及び振動の発生を積極的に抑制する。また、鉄骨造部材の断面を減少させることができ、経済的である。
(4)PC造部材に鉄骨造部材を受ける顎を設けることによって、PC造部材と鉄骨造部材との接合部において、鉄骨造部材から伝達された荷重の一部を顎に負担させて1次緊張鋼材の鋼材量を減らすことができるので経済的である。
柱と梁とからなる建物の骨組構造を構成する複合構造梁1であり、両端部のPC造部材2と中央部の鉄骨造部材3とは、例えばねじ節鉄筋とナットからなる機械式継手と2次緊張鋼材である緊張鋼材5による緊張力によって接合してある。柱4には複合構造梁1を受ける顎41が設けてあり、複合構造梁1の端部が載せられ、PC造部材2に配設した2次緊張鋼材5が柱4を貫通して隣のスパンの複合構造梁(図示しない)の鉄骨造部材のエンドプレート30に緊張定着されて複合構造梁1と柱4が接合される。なお、建物の端部においては、2次緊張鋼材5の一端は柱4に定着される。
1次緊張鋼材10のPC造部材2への挿入、緊張作業はPC造部材2を製作する工場で実施するのが一般的であるが、運搬上制約がある場合には、複合構造梁1を設置する建設現場において地組とすることもできる。
2次緊張鋼材は、PC鋼棒、PC鋼より線またはPC鋼線のいずれでもよい。
柱梁接合部の複合構造梁1を受ける顎41の形状は、図1のように梁端断面高さの約半分で梁断面内部に内蔵させた形式(内蔵型)にしてもよいし、梁端断面の下に突出(図示しない)させて梁を受けるようにしたものでもよい。また、柱4の顎41はコンクリート製でも、鋼製としてもよく、材質は特に限定されるものではない。
建造物の天井高さや室内有効使用高さに制約があって、複合構造梁1の下面側にライズをとれない場合は、図3bに示すように、鉄骨造部材3の断面内において1次緊張鋼材10を鉄骨造部材3に対し非平行に配設して複合構造梁1に上向きの力を与える。
例えば、1次緊張鋼材は防錆処理されたものに限定されることはなく、他の方法によって防錆処理する場合には、2次緊張鋼材と同じように、PC鋼棒、PC鋼より線またはPC鋼線から選択することができる。
2 PC造部材
21 顎
3 鉄骨造部材
30 エンドプレート
31 支持材
4 柱
41 顎
5 梁柱接合用緊張鋼材(2次緊張鋼材)
10 緊張鋼材(1次緊張鋼材)
Claims (5)
- 両端部がPC造部材で中央部が鉄骨造部材であり、PC造部材が柱に設けた顎に載せられ、PC造部材に配設された2次緊張鋼材によって鉄骨造部材とPC造部材が接合されると共に柱に接合される柱梁構造に使用する複合構造梁であって、緊張鋼材が中央部の鉄骨造部材の長手方向に外ケーブル方式で配設されて両端のPC部材に1次緊張鋼材として定着されて複合構造梁全体にプレストレスを付与しており、この1次緊張鋼材は、複合梁の設計荷重範囲内においてはPC造部材と鉄骨造部材の接合については力学的に作用せず、複合構造梁の設計荷重を超過する荷重によって2次緊張鋼材が破断しても鉄骨造部材の落下を防止するものであることを特徴とする複合構造梁。
- 請求項1において、1次緊張鋼材とする緊張鋼材が、鉄骨造部材の下面に支持材によって鉄骨造部材から間隔をあけて配設されていることを特徴とする複合構造梁。
- 請求項1または2において、1次緊張鋼材とする緊張鋼材は鉄骨造部材に対して所定のライズを設けて配設されており、複合構造梁に上向きの力を付与していることを特徴とする複合構造梁。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、PC造部材に鉄骨造部材を受ける顎が設けてあることを特徴とする複合構造梁。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、鉄骨造部材の適宜の位置に貫通口が形成してあることを特徴とする複合構造梁。
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