JP5828550B2 - 不織布の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不織布の製造方法に関する。
本出願人は先に、熱伸長性繊維を原料とする不織布を種々提案した(特許文献1及び2参照)。これらの不織布は、嵩高で、かつ風合いの良好なものなので、その利点を生かして、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品における着用者の肌に接する部材として好適に用いられる。
特許文献1及び2の記載によれば、前記不織布は、熱伸長性繊維を含むウェブに、必要に応じ前処理としてエンボス加工を施したのち、熱風を吹き付けることによって該繊維同士の交点を融着させるとともに、該繊維を伸長させることで得られる。
特開2004−218183号公報 特開2010−138529号公報
しかし、熱風の吹き付けによる前記繊維の伸長時に、高速度の該熱風を吹き付けると、吹き付け圧によって前記ウェブが押し潰されやすく、そのことに起因して、前記繊維の伸長を生かしたウェブの嵩高さを顕著に発現させ難くなる場合がある。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術の方法よりも、各種の性能が一層向上した不織布を製造し得る方法を提供することにある。
本発明は、芯鞘型の熱伸長性複合繊維を含むウェブを加熱空気で熱処理して、該繊維を伸長させるとともに、該繊維同士の交点を融着させる工程を有する不織布の製造方法であって、
前記繊維として、熱伸長開始温度が、鞘を構成する樹脂の融点よりも低く、かつ最大熱伸長発現温度が、鞘を構成する樹脂の融点よりも高く、芯を構成する樹脂の融点よりも低いものを用い、
鞘を構成する樹脂の融点よりも高く、芯を構成する樹脂の融点よりも低い温度に加熱された極低速の前記加熱空気によって、前記ウェブを熱処理する、不織布の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、低坪量でありながら嵩高く、かつ圧力に対して押し潰され難い不織布を容易に製造できる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の製造方法においては、原料繊維として芯鞘型の熱伸長性複合繊維を用いる。この原料繊維は、所定温度の加熱によってその長さが伸びる繊維である。芯鞘型の複合繊維は、芯を構成する樹脂と鞘を構成する樹脂との異なる2種類の樹脂から構成されている。芯を構成する樹脂及び鞘を構成する樹脂としては、いずれも繊維形成能を有するものが用いられる。芯を構成する樹脂は、鞘を構成する樹脂よりも融点が高い。芯鞘型の複合繊維は、その横断面の状態が同心のものであるか、又は偏心のものである。
原料繊維としては、前記の芯鞘型の熱伸長性複合繊維のみを用いてもよく、あるいは、該繊維に加えて、該繊維以外の他の繊維を用いてもよい。他の繊維としては、例えば融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなる非熱伸長性の芯鞘型熱融着性複合繊維を用いることができる。また、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)を用いることもできる。原料繊維として、前記の芯鞘型の熱伸長性複合繊維に加えて他の繊維も用いる場合、原料繊維における芯鞘型の熱伸長性複合繊維の割合は30質量%以上、特に50質量%以上であることが好ましく、他の繊維の割合は70質量%以下、特に50質量%以下であることが好ましい。
原料繊維として用いる芯鞘型の熱伸長性複合繊維は、鞘を構成する樹脂の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっている。つまり、熱伸長開始温度TEが、鞘を構成する樹脂の融点よりも低くなっている。また、芯鞘型の熱伸長性複合繊維は、その最大熱伸長発現温度(以下「MHET」ともいう。)が、鞘を構成する樹脂の融点MPS(℃)よりも高く、かつ芯を構成する樹脂の融点MPC(℃)よりも低くなっている。このような物性を有する芯鞘型の熱伸長性複合繊維を用い、後述する条件下に不織布を製造することで、低坪量でありながら嵩高く、良好な柔軟性を有する不織布を容易に製造することができる。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維の熱伸長開始温度及び最大熱伸長発現温度は次の方法により測定される。測定装置として、セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。試料としては、長さが10mm以上の繊維を、繊維長さ10mmあたりの合計質量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意する。その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装置に装着する。測定開始温度を25℃とし、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷した状態下に、5℃/minの昇温速度で、芯を構成する樹脂の融点MPC(℃)及び鞘を構成する樹脂の融点MPS(℃)のうち、高い方の融点−10℃まで昇温させる。雰囲気は、窒素とする。その際、繊維が1%の伸び量を示した温度を読み取り、その温度を「熱伸長開始温度TE」とする。またその際、繊維の最大の伸び量を示す温度を読み取り、その温度を「最大熱伸長発現温度」とする。ここで例えば、芯を構成する樹脂がPETで、前記樹脂の融点MPCが250℃である場合の最大熱伸長発現温度は、前記熱機械分析装置を用いて、240℃まで試料を昇温し、その際の繊維の最大の伸び量を示す温度を読み取り、その温度を「最大熱伸長発現温度」とする。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維は、その最大熱伸長発現温度における熱伸長率が10〜50%、特に15〜25%であることが、嵩高な不織布を得る点から好ましい。熱伸長率は、前記の方法で測定された最大熱伸長発現温度での繊維の伸び量をX(mm)としたとき、(X/10)×100[%]から算出される。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維の熱伸長開始温度TEは、上式で算出された該繊維の熱伸長率が1%になった温度とする。
鞘を構成する樹脂及び芯を構成する樹脂の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて測定する。細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を、窒素雰囲気下に昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定する。融点は、その融解ピーク温度で定義される。鞘を構成する樹脂及び芯を構成する樹脂の融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、樹脂の分子の流動が始まる温度として、樹脂が融着する温度を軟化点とする。本発明においては、融点を持たない樹脂の場合には、軟化点を融点として取り扱う。
鞘を構成する樹脂及び芯を構成する樹脂としては、両樹脂の融点差、又は芯を構成する樹脂の融点と鞘を構成する樹脂の軟化点との差が20℃以上、特に25℃以上であることが、熱融着による不織布の製造を容易に行い得る点から好ましい。例えばポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を芯とし、これらよりも融点の低い樹脂を鞘とすることが好ましい。芯を構成する樹脂と鞘を構成する樹脂との好ましい組み合わせとしては、芯を構成する樹脂をPPとした場合の第2樹脂成分としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン(PE)、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレンなどが挙げられる。また、芯を構成する樹脂としてPET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂を用いた場合は、鞘を構成する樹脂として、前述した鞘を構成する樹脂の例に加え、PP、共重合ポリエステルなどが挙げられる。
鞘を構成する樹脂と芯を構成する樹脂との特に好ましい組み合わせとしては、鞘を構成する樹脂がPEであり、芯を構成する樹脂がPPである組み合わせと、鞘を構成する樹脂がPEであり、芯を構成する樹脂がPETである組み合わせが挙げられる。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維の繊維長は、ウェブの製造方法に応じて適切な長さのものが用いられる。ウェブを例えば後述するようにカード法で製造する場合には、繊維長を30〜70mm程度とすることが好ましい。ウェブをスパンボンド法で製造する場合には、芯鞘型の熱伸長性複合繊維の繊維長は実質的に無限長になる。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維は、熱伸長によってその繊維径が小さくなる。したがって、不織布に含まれる繊維の太さは、一般に、その原料である芯鞘型の熱伸長性複合繊維よりも細くなる。このことを考慮した上で、芯鞘型の熱伸長性複合繊維の太さは、目的とする不織布の具体的な用途に応じ適切に選択される。不織布を吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合、芯鞘型の熱伸長性複合繊維は、その太さが0.5〜20dtex、特に1.0〜8dtexであることが好ましい。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維は、例えば特開2007−182662号公報のようにして製造することができる。また、芯鞘型の熱伸長性複合繊維として、特開2004−218183号公報や、特開2007−182662号公報に記載のものを用いることもできる。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維を含む原料繊維を用いてウェブを形成する。ウェブの形成方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。原料繊維としてステープルファイバを用いる場合には、カード法によってウェブを形成することが好適である。カード法によってウェブを形成することに代えて、例えばスパンボンド法によってウェブを形成することもできる。この場合には、ウェブの構成繊維は実質的に無限長になる。
ウェブは単層のものでもよく、あるいは多層のものでもよい。ウェブが単層のものである場合、単層の該ウェブ中に芯鞘型の熱伸長性複合繊維が含まれている。ウェブが多層のものである場合、少なくとも一つの層にウェブが含まれていればよい。
ウェブが単層である場合と、多層である場合との双方において、ウェブの坪量は、目的とする不織布の具体的な用途に応じ適切に選択することができ、例えば不織布を吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合には、ウェブの坪量を10〜60g/m2、特に15〜50g/m2に設定することが好ましい。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維を含む原料繊維から構成されたウェブには、加熱空気を用いた熱処理が施されて、芯鞘型の熱伸長性複合繊維が伸長するとともに、該熱伸長性複合繊維同士の交点が融着する。これによって、目的とする不織布が得られる。この熱処理に先立ち、前処理を行ってもよい。前処理は、芯鞘型の熱伸長性複合繊維における鞘を構成する樹脂の融点MPSよりも低い温度に設定されている前処理用加熱空気を用いてウェブを熱処理することで行われる。前処理を施すことで、目的とする不織布の嵩を一層高くすることが可能になる。
前処理においては、使用する前処理用加熱空気の温度TP(℃)をMPS−100℃〜MPS−20℃の範囲に設定することが更に好ましく、MPS−80℃〜MPS−30℃の範囲に設定することが一層好ましい。この温度範囲に設定された前処理用加熱空気を用いて熱処理することで、ウェブ中に含まれる芯鞘型の熱伸長性複合繊維同士の交点を融着させることなく、該ウェブの嵩を増加させることができる。
前処理用加熱空気によるウェブの熱処理は、該ウェブに対して前処理用加熱空気を吹き付けることで行ってもよく、あるいは、前記温度範囲に設定された加熱雰囲気下にウェブを静置することで(つまり前処理用加熱空気を意図的に吹き付けずに)行ってもよい。いずれの場合であっても、前処理用加熱空気によるウェブの熱処理は、極低速の前処理用加熱空気によって行われる。極低速の前処理用加熱空気を用いることで、ウェブの嵩の増加を一層顕著なものにすることができる。「極低速」とは、前処理用加熱空気の速度が、ウェブ中を該加熱空気が貫通しないか又は貫通したとしても、ウェブの嵩の増加を妨げない程度の低速であることをいう。「ウェブの嵩の増加を妨げない」とは、前処理用加熱空気で処理する前のウェブの嵩よりも、前処理用加熱空気で処理した後のウェブの嵩の方が高いことをいう。
極低速の前処理用加熱空気によるウェブの嵩の増加は、坪量が好ましくは10〜60g/m2、更に好ましくは15〜50g/m2のウェブに対して、風速が好ましくは0m/sec以上、0.3m/sec以下、更に好ましくは0m/sec以上、0.1m/sec以下の加熱空気を吹き付けることで一層顕著なものになる。風速は0であっても構わない。風速が0である場合には、ウェブは、前処理用加熱空気の雰囲気下に静置され、ウェブに対して直接前処理用加熱空気は吹き付けられない。前処理用加熱空気の風速は、日本カノマックス株式会社製の定温度型熱式風速計ANEMOMASTER「本体MODEL6162、中温プローブMODEL0203」を用いて測定される。ウェブを載置する支持ネットがある場合は、ネットを基準とし、そこから上方に0〜50mmの範囲に中温プローブを設置して測定される。
前処理用加熱空気を吹き付ける場合には、ウェブを透気性材料又は非透気性材料の上に載置して、載置された該ウェブの上面(片面)にのみ前処理用加熱空気を吹き付けることが好ましい。逐次的にウェブの各面に前処理用加熱空気を吹き付けてもよい。しかし、同時にウェブの各面に前処理用加熱空気を吹き付けることは行わないことが好ましい。熱処理の時間は、ウェブの坪量等に応じ適切に選択することができ、例えばウェブの坪量が好ましくは10〜60g/m2、更に好ましくは15〜50g/m2の場合には、好ましくは2〜60秒、更に好ましくは5〜40秒とすることができる。
このようにして、必要に応じて行われる前処理が完了したら、本処理を行う。本処理では、本処理用加熱空気を用い、ウェブ中の芯鞘型の熱伸長性複合繊維を伸長させるとともに、該熱伸長性複合繊維同士の交点を融着させる。
本処理においては、使用する本処理用加熱空気の温度TM(℃)を、芯鞘型の熱伸長性複合繊維における鞘を構成する樹脂の融点MPSよりも高く設定し、かつ芯を構成する樹脂の融点MPCよりも低く設定することが好ましい。この温度範囲に設定された本処理用加熱空気を用いてウェブを熱処理することで、ウェブ中に含まれる芯鞘型の熱伸長性複合繊維同士の交点を首尾よく融着させることができる。これとともに、該熱伸長性複合繊維を伸長させることができ、目的とする不織布を容易に嵩高にすることができる。
特に、芯鞘型の熱伸長性複合繊維として、鞘がPEからなり、芯がPPからなる繊維を用いる場合には、繊維のMHET−20℃以上で、かつ芯を構成するPPの融点以下の温度の本処理加熱空気でウェブを熱処理することが好ましい。これによって、芯鞘型の熱伸長性複合繊維の熱伸長を一層顕著なものにすることができ、目的とする不織布を更に一層嵩高にすることができる。
芯鞘型の熱伸長性複合繊維として、鞘がPEからなり、芯がPETからなる繊維を用いる場合には、前記の温度範囲に代えて、繊維のMHET−80℃以上で、かつ芯を構成するPETの融点以下の温度の本処理用加熱空気でウェブを熱処理することが好ましい。PETは弾性率の高い樹脂なので、芯にPETを用いると、本処理用加熱空気を用いた熱処理時に、該加熱空気によってウェブが押し潰されにくくなり、嵩高な不織布が得られやすいので好ましい。また、PET/PEの組み合わせからなる熱伸長性複合繊維は、PP/PEの組み合わせからなる熱伸長性複合繊維に比較して、MHET付近での熱伸長率の変化が緩やかなので、より広い温度範囲において本処理を行うことができ、熱処理条件の設定の自由度が高いという利点もある。
本処理用加熱空気によるウェブの熱処理は、該ウェブに対して本処理用加熱空気を吹き付けることで行ってもよく、あるいは、前記温度範囲に設定された本処理用加熱空気の雰囲気下にウェブを静置することで(つまり本処理用加熱空気を意図的に吹き付けずに)行ってもよい。いずれの場合であっても、本処理用加熱空気によるウェブの熱処理は、極低速の本処理用加熱空気によって行われる。極低速の本処理用加熱空気を用いることで、目的とする不織布の嵩の増加を一層顕著なものにすることができる。詳細には、芯鞘型の熱伸長性複合繊維は、その熱伸長開始温度は、鞘を構成する樹脂の融点MPSよりも低いので、本処理用加熱空気による熱処理を極低速とすることで、該熱伸長性複合繊維は徐々に加熱される。したがって、該熱伸長性複合繊維は徐々に伸長しながら融着が徐々に進行する。その結果、目的とする不織布の嵩が首尾よく増加するとともに、不織布全体に均一に融着点が生じ、不織布が圧力に抗して押し潰されにくくなる。更に、不織布が嵩高になり、繊維間距離が増加し、不織布の液透過性も良好になる。
「極低速」とは、本処理用加熱空気の速度が、ウェブ中を該加熱空気が貫通しないか又は貫通したとしても、不織布の嵩の増加を妨げない程度の低速であることをいう。「不織布の嵩の増加を妨げない」とは、本処理用加熱空気で処理する前のウェブの厚みに対して、本処理用加熱空気で処理して得られた不織布の厚みが0.7以上であることをいう。なお、不織布及びウェブの厚みに測定方法については後述する。
極低速の本処理用加熱空気による熱処理は、坪量が好ましくは10〜60g/m2、更に好ましくは15〜50g/m2のウェブに対して、風速が好ましくは0.3m/sec以下、更に好ましくは0.1m/sec以下の加熱空気によって行われる。風速は0であっても構わない。風速が0である場合には、ウェブは、本処理用加熱空気の雰囲気下に静置され、ウェブに対して直接本処理用加熱空気は吹き付けられない。本処理用加熱空気の風速は、先に述べた前処理用加熱空気の風速と同様の方法で測定される。
本処理用加熱空気を吹き付ける場合には、ウェブを透気性材料又は非透気性材料の上に載置して、載置された該ウェブの上面(片面)にのみ本処理用加熱空気を吹き付けることが好ましい。逐次的にウェブの各面に本処理用加熱空気を吹き付けてもよい。しかし、同時にウェブの各面に本処理用加熱空気を吹き付けることは行わないことが好ましい。
以上のとおりの本処理によって、ウェブ中の芯鞘型の熱伸長性複合繊維同士の交点が融着して不織布の保形性が確保される。これとともに、融着点間において該熱伸長性複合繊維が伸長する。本処理で用いる本処理用加熱空気は極低速なので、該加熱空気を用いた熱処理においては、該加熱空気によるウェブの押し潰しが起こりにくく、そのことに起因して該熱伸長性複合繊維の熱伸長性が最大限発揮される。その結果、得られる不織布は、低坪量であっても嵩高なものとなる。つまり、比容積の大きな不織布となる。
このようにして、本製造方法に従い、目的とする不織布が得られる。この不織布の嵩を一層高くする観点から、以上の工程中のいずれの段階においても、ウェブに対してエンボス加工による繊維の熱融着を行わないことが好ましい。エンボス加工は、不織布の嵩の増加を妨げる一因となる場合があるからである。尤も、目的とする不織布の具体的な用途に応じ、エンボス加工を行うことは妨げられない。その場合、エンボス加工は、本処理の前に行うことが好ましい。前処理も行う場合には、前処理の前、又は前処理と本処理との間にエンボス加工を行うことが好ましい。
このようにして得られた不織布は、その嵩高さ、換言すれば繊維間距離の大きさや、風合いを生かした種々の分野に適用できる。例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品の分野における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、更には対物用のワイパーなどとして好適に用いられる。特に吸収性物品の分野におけるセカンドシートとして、本発明の方法に従い製造された不織布を用いると、該不織布の高液透過性に起因して、該衛生物品は液の吸収に優れたものになる。また、該不織布は、圧力に抗して押し潰されにくいものなので、該不織布を吸収性物品の構成部材として用いた場合、着用者の体圧に抗して不織布の嵩が減じ難くなる。とりわけ、芯鞘型の熱伸長性複合繊維として、芯がPETからなり、鞘がPEからなるものや、芯がPPからなり、鞘がPEからなるものを用いると、圧力に対して不織布の嵩が一層減じ難くなるので、該不織布を吸収性物品の構成部材として用いた場合、着用者の体圧に抗して不織布の嵩が減じ難くなるので好ましい。
不織布は、これを例えば吸収性物品の表面シートやセカンドシートとして用いる場合には、その坪量が5〜80g/m2、特に10〜60g/m2、とりわけ15〜50g/m2であることが好ましい。同様の用途に用いる場合、不織布の厚みは、0.5〜3mm、特に0.7〜3mmであることが好ましい。
これらの用途に使用される前の状態の不織布は一般にロール状に巻回された状態で保存されている。このことに起因して不織布は、その嵩高さが減じられている場合が多い、そこで不織布の使用時には、該不織布にエアスルー方式で熱風を吹き付けて、減じられた嵩を回復させることが好ましい。嵩の回復においては、不織布に吹き付ける熱風として、該不織布に含まれる熱伸長性原料繊維における鞘を構成する樹脂の融点MPS未満で、かつ該融点MPS−50℃以上の温度の熱風を用いることが好ましい。このような不織布の嵩回復方法としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2004−137655号公報、特開2007−177364号公報及び特開2008−231609号公報等に記載の技術を用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
繊維として、鞘がPEからなり、芯がPPからなる芯鞘型の熱伸長性複合繊維を用いた。この芯鞘型の熱伸長性複合繊維の諸物性を以下の表1に示す。この芯鞘型の熱伸長性複合繊維(繊維長51mm)を用い、カード機によってウェブを製造した。このウェブを、以下の表1に示す温度及び風速の加熱空気で熱処理した。熱処理時間も同表に示すとおりである。詳細には、ウェブを、表面をテフロン(登録商標)処理した金属ワイヤーからなる透気性ネットの上に載置し、その上から加熱空気を施した。
〔実施例2及び3〕
芯鞘型の熱伸長性複合繊維として、表1に示すものを用いた。また不織布の製造条件として、同表に示す条件を用いた。これら以外は実施例1と同様にして、不織布を得た。
〔比較例1〕
本比較例は、熱処理を極低速ではなく、エアスルー方式で行った例である。芯鞘型の熱伸長性複合繊維として、実施例1と同様のものを用いた。不織布の製造条件として、表1に示すとおり、エアスルー方式を採用した。これら以外は実施例1と同様にして、不織布を得た。
〔比較例2〕
本比較例も、熱処理を極低速ではなく、エアスルー方式で行った例である。芯鞘型の熱伸長性複合繊維として、実施例2と同様のものを用いた。不織布の製造条件として、表1に示すとおり、エアスルー方式を採用した。これら以外は実施例2と同様にして、不織布を得た。
〔比較例3ないし5〕
本比較例では、熱伸長性複合繊維に代えて、熱伸長性を有さない芯鞘型の複合繊維を用い、かつ熱処理を極低速ではなく、エアスルー方式で行った例である。熱伸長性を有さない芯鞘型の複合繊維として、表1に示すものを用いた。不織布の製造条件として、同表に示すとおり、エアスルー方式を採用した。これら以外は実施例1と同様にして、不織布を得た。
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた不織布について、以下の方法で測定及び評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
〔不織布の坪量〕
不織布を100mm×100mmの矩形に切り出し、これを試料片とした。この試料片の質量を測定し、その値を試料片の面積で除して坪量を算出した。
〔不織布の厚み及びウェブの厚み〕
不織布及びウェブの厚みは以下の方法で測定される。先ず、測定対象の不織布又はウェブをMD100mm×CD100mmの大きさに裁断し、これを測定片とし、定盤にのせる。測定機器には、(株)キーエンス製デジタルHFマイクロスコープVH−8000を用いた。前記の測定片に2.9Pa(0.03gf/cm2)の一定荷重を負荷するように、平板をのせる。その状態で不織布断面の拡大写真を得る。拡大写真には、既知の寸法のものを同時に写しこむ。この既知寸法と不織布断面の寸法の比較から次に、前記不織布断面の拡大写真にスケールを合わせ、不織布の厚みを測定する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を不織布及びウェブの厚み(mm)とする。
〔不織布の比容積〕
不織布の厚みをその坪量で除して比容積を算出した。
〔不織布の耐圧縮性〕
KES−FB3圧縮試験機を用いて圧縮仕事量WCを測定した。この値を不織布の耐圧縮性の尺度とした。この値が高いほど、耐圧縮性が高いことを意味する。
〔不織布の液透過性〕
不織布の液透過性は、Lenzing Technik社製のストライクスルー時間測定装置Listerを使用し、EDANAのLiquid Strike−Through Time法に準じ測定した不織布の液透過時間により評価した。前記液透過時間の測定は、試験液:大塚製薬製の日本薬局方 生理食塩液(500mL中の塩化ナトリウム4.5g)を用いて行った。また測定は3回行いその平均値を液透過時間とした。液透過時間が短いほど、液透過性が良好であることを示す。
Figure 0005828550
表1に示す結果から明らかなように、各実施例で得られた不織布は、嵩高であり、かつ液透過性が良好であることが判る。また、圧力に対して押し潰されにくいことも判る。これに対して比較例1及び2で得られた不織布は、不織布製造時の熱処理に用いた加熱空気の風速が高いことに起因して、ウェブが押し潰された結果、嵩高なものにならなかった。熱伸長性の繊維を用いていない比較例3ないし5の不織布も、嵩高なものにならなかった。

Claims (6)

  1. 芯鞘型の熱伸長性複合繊維を含むウェブを加熱空気で熱処理して、該繊維を伸長させるとともに、該繊維同士の交点を融着させる工程を有する不織布の製造方法であって、
    前記繊維として、熱伸長開始温度が、鞘を構成する樹脂の融点よりも低く、かつ最大熱伸長発現温度が、鞘を構成する樹脂の融点よりも高く、芯を構成する樹脂の融点よりも低いものを用い、
    鞘を構成する樹脂の融点よりも高く、芯を構成する樹脂の融点よりも低い温度に加熱された極低速の前記加熱空気によって、前記ウェブを熱処理する工程を行い、
    前記ウェブを前記加熱空気で熱処理して、前記繊維を伸長させるとともに、前記繊維同士の交点を融着させるのに先立ち、前記ウェブを、前記繊維の鞘を構成する樹脂の融点よりも低い温度の極低速の前処理用加熱空気で熱処理して、前記繊維同士の交点を融着させることなく、前記ウェブの嵩を増加させる、不織布の製造方法。
  2. 坪量10〜60g/m2のウェブに対して、風速0.3m/sec以下の前記加熱空気で熱処理する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記繊維として、鞘がポリエチレンからなり、芯がポリプロピレンからなる芯鞘型の熱伸長性複合繊維を用い、
    該繊維の最大熱伸長発現温度−20℃以上で、かつ芯を構成するポリプロピレンの融点以下の温度の前記加熱空気で前記ウェブを熱処理する請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記繊維として、鞘がポリエチレンからなり、芯がポリエチレンテレフタレートからなる芯鞘型の熱伸長性複合繊維を用い、
    該繊維の最大熱伸長発現温度−80℃以上で、かつ芯を構成するポリエチレンテレフタレートの融点以下の温度の前記加熱空気で前記ウェブを熱処理する請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 坪量10〜60g/m2のウェブに対して、風速0.3m/sec以下の前記前処理用加熱空気で熱処理する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 工程中のいずれの段階においても、前記ウェブに対してエンボス加工を行わない請求項1ないしのいずれか一項に記載の製造方法。
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