JP5823099B2 - 難燃伝熱性硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は難燃性を有する硬化物を生成する硬化速度が大きい硬化性組成物に関する。特に、難燃性を有する硬化物を生成し、貯蔵安定性に優れ硬化速度が大きい硬化性組成物に関する。
珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、湿分によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は特許文献1に開示されている。また、この重合体は株式会社カネカからMSポリマー等の商品名で製造販売もされている。架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の代表的な例はポリオキシプロピレン重合体鎖の末端に架橋性珪素基としてメチルジメトキシシリル基を有する次のような重合体である。

CH(CHO)Si〜〜(ポリオキシプロピレン鎖)〜〜Si(OCHCH
この重合体は通常液状であるので、基材に塗布することができ、また、隙間や型に充填することができる。塗布や充填の後、放置しておけば空気中の湿分により加水分解反応及びシラノール縮合反応を経て、重合体同士がシロキサン結合により架橋し、通常ゴム状の硬化物を生成する。このような特性を有するため、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は接着剤、シーリング材、ポッティング剤等に利用されている。
この重合体にさらに架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体((メタ)アクリルはアクリルとメタクリルの双方の略称をいう、以下同じ)を加えた重合体は特許文献2に開示されており製造販売もされている。架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体に架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を加えた重合体(以下、この重合体混合物をアクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体ともいう)は(メタ)アクリル酸エステル系重合体を加えない重合体に比較し、硬化物の耐熱性、耐候性や被着体に対する接着性に優れるという特徴を有している。
特許文献3には架橋性珪素基を有するアクリル系重合体やアクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体に難燃剤として水酸化アルミニウムを加え、難燃性を付与した硬化性組成物が開示されている。難燃剤として水酸化アルミニウムを使用すると、リン系難燃剤やハロゲン系難燃剤を使用した場合に比較し、腐食問題や燃焼時のハロゲン発生問題がない。
特許文献4〜5に開示されているように、近年、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体において架橋性珪素基として式(1)に示されるような1個の珪素原子に3個の加水分解性基が結合した架橋性珪素基を使用することが提案されている。このような架橋性珪素基は反応性が大きいので、組成物の硬化速度が大きくなるという利点がある。
Figure 0005823099
(式中、Xは水酸基または加水分解性基を示し、3個のXは同一であってもよく、異なっていてもよい)
しかしながら、式(1)で示される架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を用いたアクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体に難燃剤として水酸化アルミニウムを加えた硬化性組成物は貯蔵安定性がよくないこと、すなわち組成物を貯蔵しておくと組成物の粘度が上昇し塗布や充填等の作業性が低下することが判明した。
特開昭52−073998号公報 特開昭63−112642号公報 特開平11−310682号公報 特開平10−245482号公報 国際公開1998−047939号公報
本発明の目的は、式(1)で示される架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を用いたアクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体と水酸化アルミニウムを含有する硬化性組成物であって、貯蔵安定性が改善された硬化性組成物を提供することにある。
本発明者等は、水酸化アルミニウムとして粒径30μを超える水酸化アルミニウムを使用することにより、貯蔵安定性が優れた次のような硬化性組成物を得ることができることを見出した。すなわち本発明は次の硬化性組成物に関する。
(A)珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、湿分によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基であってトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体100重量部、(B)珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、湿分によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基であってトリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体10〜200重量部及び(C)硬化性組成物中の有機成分100重量部に対し20〜300重量部の粒径30μmを超える水酸化アルミニウムを含有する硬化性組成物。ただし、(A)成分として架橋性珪素基の珪素原子に炭素原子が結合し、さらに該炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子が結合した化学構造を有する架橋性珪素基を分子内に有するポリオキシアルキレン系重合体を含有する硬化性組成物を除く。
本発明の硬化性組成物は式(1)で示される架橋性珪素基に起因して硬化速度が大きいが、粒径30μを超える水酸化アルミニウムを使用しているため優れた貯蔵安定性を有する。
本発明における、珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、湿分によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基は公知であり、代表例としては、式(2)で表わされる基があげられる。
Figure 0005823099
(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR SiO−(R は前記と同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、Rが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2を、それぞれ示す。またn個の式(3):
Figure 0005823099
におけるbは同一である必要はない。nは0〜19の整数を示す。但し、a+(bの和)≧1を満足するものとする。)
該加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+(bの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。なお、式(4):
Figure 0005823099
(式中、R,X,aは前記と同じ)で表わされる架橋性珪素基が、入手が容易である点から好ましい。
上記Rの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が好ましい。
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基がさらに好ましい。加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものが高い反応性有し、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。
式(4)で示される架橋性珪素基の場合、硬化性を考慮するとaは2以上が好ましい。通常、aが3の場合、aが2の場合に比較し、硬化速度が大きくなる。
架橋性珪素基の具体的な例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基、−Si(OR)、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基、−SiR(OR)、があげられる。ここでRはアルキル基であり、炭素数10以下のアルキル基が好ましく、メチル基やエチル基がさらに好ましい。これらの中で、メチルジメトキシシリル基は穏やかな反応性を有し、工業的に製造されているポリオキシアルキレンの架橋性珪素基としても使用されている。
架橋性珪素基は1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。架橋性珪素基は、主鎖または側鎖あるいはいずれにも存在しうる。硬化物の引張特性等の硬化物物性が優れる点で架橋性珪素基が分子鎖末端に存在するのが好ましい。
架橋性珪素基は重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる架橋性珪素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また多すぎると網目構造があまりに密となるため良好な機械特性を示さなくなる。
最近、大きい反応性を有するトリメトキシシリル基が結合したポリオキシアルキレン系重合体が知られるようになっている。本発明においてはポリオキシアルキレン系重合体はトリメトキシシリル基のような式(1)で示される架橋性珪素基を有する。式(1)で示される架橋性珪素基は式(3)で示される基を介してポリオキシアルキレン系重合体に結合していてもよいし、式(3)で示される基を介さずにポリオキシアルキレン系重合体に結合していてもよい。式(3)で示される基を介さずにポリオキシアルキレン系重合体に結合している重合体が製造しやすく入手も容易である。本発明では架橋性珪素基としてトリメトキシシリル基を用いる。
本発明においてはポリオキシアルキレン系重合体は結合している架橋性珪素基のすべてが式(1)で示される架橋性珪素基であってもよいし、結合している架橋性珪素基として式(1)で示される架橋性珪素基とメチルジメトキシシリル基のような他の架橋性珪素基とを併用して用いてもよい。併用して用いる場合、式(1)で示される架橋性珪素基の数はポリオキシアルキレン系重合体中の全架橋性珪素基数の50%以上、さらには70%以上、特には80%以上使用することが好ましい。また、式(1)で示される架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と式(1)以外の架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を併用してもよい。この場合、式(1)で示される架橋性珪素基の数がポリオキシアルキレン系重合体中の全架橋性珪素基数の50%以上、さらには70%以上、特には80%以上使用することが好ましい。
(B)成分の(メタ)アクリル酸エステル系重合体における架橋性珪素基としては式(1)で示される架橋性珪素基でなくてもよく、上記した式(1)以外の架橋性珪素基でよい。しかし、(B)成分の(メタ)アクリル酸エステル系重合体における架橋性珪素基として式(1)で示される架橋性珪素基を用いると組成物の硬化速度が大きくなるため好ましい。本発明では(B)成分の(メタ)アクリル酸エステル系重合体における架橋性珪素基としてもトリメトキシシリル基を用いる。
本発明で使用するポリオキシアルキレン系重合体は本質的に式(5)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 0005823099
(式中、Rは2価の有機基)
式(5)におけるRは、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。式(5)で示される繰り返し単位の具体例としては、例えば 、次のような繰り返し単位をあげることができる。
Figure 0005823099
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体から成るのが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体は、直鎖状でもよくまたは分岐を有してもよい。ポリオキシアルキレン系重合体は数平均分子量で500〜50,000程度が好ましく、5,000〜40,000がさらに好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−215623号に示されるような有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる、有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
上記ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン類との反応から得られるものをあげることができる。
オキシアルキレン系重合体への架橋性珪素基の導入は、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させることにより行うことができる(以下、この反応方法を高分子反応法という)。
高分子反応法の具体例として、不飽和基含有オキシアルキレン系重合体に架橋性珪素基を有するヒドロシランや架橋性珪素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体を得る方法があげることができる。不飽和基含有オキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
また、高分子反応法の他の具体例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法や末端にイソシアネート基を有するオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法をあげることができる。イソシアネート化合物を使用すると、容易に架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体を得ることができる。高分子反応法はオキシアルキレン系重合体以外の他の重合体にも適用することが可能である。
式(1)で示される架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は特開2005−213446号、同2005−306891号、国際公開特許WO2007−040143号の各公報に記載されている。また、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体は、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同57−164123号、特公平3−2450号、米国特許3,632,557、同4,345,053、同4,960,844等の各公報に記載されている。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は本質的に式(6)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 0005823099
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rはアルキル基を示す)
式(6)におけるRはアルキル基であり、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。Rは直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。また、ハロゲン原子やフェニル基等を有する置換アルキル基でもよい。Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等をあげることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の分子鎖は本質的に式(6)の単量体単位からなるが、ここでいう本質的にとは該重合体中に存在する式(6)の単量体単位の合計が50重量%をこえることを意味する。式(6)の単量体単位の合計は好ましくは70重量%以上である。
式(6)以外の単量体単位の例としては、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位があげられる。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は、オキシアルキレン系重合体と混合して使用される。この場合、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体との相溶性が大きい点で、架橋性珪素基を有し分子鎖が、式(7)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、式(8)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体が好ましい。
Figure 0005823099
(式中、Rは前記に同じ、Rは炭素数1〜5のアルキル基を示す)
Figure 0005823099
(式中、Rは前記に同じ、Rは炭素数6以上のアルキル基を示す)
式(7)のRとしては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜5、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基があげられる。なお、Rは一種でもよく、2種以上混合していてもよい。
式(8)のRとしては、たとえば2−エチルヘキシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の炭素数6以上、通常は7〜30、好ましくは8〜20の長鎖のアルキル基があげられる。なお、Rは一種でもよく、2種以上混合したものであってもよい。また、式(7)の単量体単位と式(8)の単量体単位の存在比は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は、直鎖状でもよくまたは分岐を有してもよく、数平均分子量で500〜50,000程度が好ましく、1,000〜30,000がさらに好ましい。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをラジカル共重合して得ることができる。また、架橋性珪素基を有する開始剤や架橋性珪素基を有する連鎖移動剤を使用すると分子鎖末端に架橋性珪素基を導入することができる。
特開2001−040037号公報、特開2003−048923号公報および特開2003−048924号公報には架橋性珪素基を有するメルカプタンおよびメタロセン化合物を使用して得られる架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体が記載されている。また、特開2005−082681号公報合成例には高温連続重合による架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体が記載されている。
特開2000−086999号公報等にあるように、架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体であって架橋性珪素基が分子鎖末端に高い割合で導入された重合体も知られている。このような重合体はリビングラジカル重合によって製造されているため、高い割合で架橋性珪素基を分子鎖末端に導入することができる。本発明では以上に述べたような(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を使用することができる。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体と式(1)で示される架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を含有する硬化性組成物は特開平10251552号公報等に記載されている。また、架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体と架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の混合物の具体例は、特開昭59−122541号、同63−112642号、同特開平6−172631号等の各公報に記載されている。また、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号等の各公報には、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行い、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の混合物を得る方法が記載されている。架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体と式(1)で示される架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を含有する硬化性組成物はこれら公報を参考にして製造することもできる。
(B)成分である架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は(A)成分の式(1)で示される架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体100重量部に対して10〜200重量部、さらには20〜100重量部使用することが好ましい。
本発明の硬化性組成物には架橋性珪素基を有する他の有機重合体を併用してもよい。このような重合体として、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、および/またはスチレン等との共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸、テレフタル酸、琥珀酸等の多塩基酸とビスフェノールA、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールとの縮合重合体やラクトン類の開環重合体等のポリエステル系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサ
メチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるナイロン6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;ポリサルファイド系重合体;たとえばビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造されるポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体等が例示される。
上記主鎖骨格をもつ重合体のうち、ポリエステル系重合体、アクリル酸エステル系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、炭化水素系重合体、ポリカーボネート系重合体等が好ましい。特に、架橋性珪素基を分子鎖末端に導入させ易く、比較的低粘度で安価でもあり、ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れるポリオキシアルキレン系重合体や耐熱性、耐候性や接着性に優れるアクリル酸アルキルエステル系重合体が好ましい。
架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体や架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体以外の重合体を併用する場合、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の合計量が架橋性珪素基を有する有機重合体全量の50重量%以上、さらには70重量%以上、特には80重量%以上が好ましい。
本発明では(C)成分として、粒径30μを超える水酸化アルミニウムを用いる。水酸化アルミニウムを難燃剤として使用する場合、通常、難燃化効率が大きい粒径30μ以下の小粒径のものが使用されている。しかし、式(1)で示される架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を含有する硬化性組成物において小粒径の水酸化アルミニウムを使用すると、貯蔵安定性が低下し、場合によっては硬化性組成物の調製すら困難になる。従って、本発明においては粒径30μを超える水酸化アルミニウムを使用する。好ましい粒径は40μ以上であり、さらには45μ以上、特には50μ以上である。ここでいう粒径は平均粒径をいう。
粒径30μを超える水酸化アルミニウムの使用量は硬化性組成物中の有機成分100重量部に対し20〜300重量部、好ましくは75〜250重量部、さらに好ましくは80〜240重量部である。水酸化アルミニウムの使用量が20重量部未満であると難燃化効率が十分でなく、300重量部を超えると組成物の粘度が大きくなり、作業性が低下する。難燃性の評価基準としてアメリカのUL規格がよく知られている。このうちUL94規格は、電気製品や器具部品用のプラスチック材料の難燃性を評価するものであり、その中でUL94 V−0は最も難燃性の高いクラスとして、規定されている。本発明の硬化性組成物において、水酸化アルミニウムを硬化性組成物中の有機成分100重量部に対し150重量部以上、特には180重量部以上、使用すると、UL94 V−0に合格する硬化物が得られる。
本発明に使用する硬化性組成物には必要に応じて充填剤、可塑剤、接着性付与剤、希釈剤、粘着付与剤、シラノール縮合触媒等の各種添加剤を併用することができる。
充填剤としては、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、ガラスバルーン、シラスバルーン、有機バルーン、有機繊維および無機繊維等の如き充填剤等が使用できる。
これら充填剤の使用により強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華等から選ばれる充填剤を架橋性珪素基を有する有機重合体100重量部に対し、1〜200重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーン等から選ばれる充填剤を同重合体100重量部に対し5〜500重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。これら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
難燃性の硬化性組成物、特に非ハロゲン系の難燃剤を含有する硬化性組成物、は電気製品やその部品に接着剤等として使用されることが多い。この場合、硬化性組成物にはさらに電気伝導性や、発生した熱を放散させるため熱伝導性が求められることがある。電気伝導性が必要な場合、銀粉などの金属粉、表面にメッキされた粉体、カーボンブラック、炭素繊維などを本発明の組成物に添加することができる。また、熱伝導性が必要な場合、窒化硼素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム等が使用される。その中でも酸化アルミニウムは安価であるので好ましい。
熱伝導性を付与するため酸化物や窒化物を使用する場合、硬化性組成物中の有機成分100重量部に対し20〜300重量部、好ましくは50〜250重量部、さらに好ましくは100〜250重量部使用するのがよい。また、酸化物や窒化物は熱伝導性の付与効果が小さく通常多量の使用が必要であるが、熱伝導性の付与効果が大きい炭素繊維、特にピッチ系の炭素繊維、を併用すると同じ熱伝導性を得るのに、酸化物や窒化物の使用量を減少させることができる。
可塑剤としては、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソウンデシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等の如きフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル等の如き脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等の如きグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルの如き脂肪族エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジル等の如きエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類;ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のポリ(メタ)アクリル
酸エステル可塑剤;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリイソブテン、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、パラフィン−ナフテン系混合炭化水素、塩素化パラフィン類等の可塑剤が単独または2種類以上の混合物の形で任意に使用できる。
とくに、耐候性の点から重合体主鎖内に不飽和結合を含有しないポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル系可塑剤、ポリ(メタ)アクリル酸エステル可塑剤、ポリイソブテン、パラフィン等が好ましい。特に、高分子可塑剤である、ポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル系可塑剤やポリ(メタ)アクリル酸エステル可塑剤が好ましい。可塑剤を使用する場合、架橋性珪素基含有有機重合体100重量部に対して1〜200重量部、さらには5〜150重量部添加することが好ましい。
接着性付与剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン等のハイドロシラン類等が具体的に例示されうるが、これらに限定されるものではない。
接着性付与剤は、あまりに多く添加すると、硬化物のモジュラスが高くなり、少なすぎると接着性が低下することから、架橋性珪素基含有有機重合体100重量部に対して0.1から15重量部添加することが好ましく、さらには0.5から10重量部添加することが好ましい。
作業性の改善、粘度の低下等のために溶剤や希釈剤を配合してもよい。溶剤の例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等があげられる。希釈剤の例としてはノルマルパラフィン、イソパラフィン、等があげられる。
粘着付与剤は被着体へのぬれ性の改善や、はく離強度を高める上で好ましい。石油樹脂系、ロジン・ロジンエステル系、アクリル樹脂系、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂やそのフェノール樹脂共重合体、フェノール・フェノールノボラック樹脂系等の粘着付与樹脂が例示されうるが、これらに限定されるものではない。
シラノール縮合触媒としてはテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、チタンテトラアセチルアセトナート等のチタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカネート(ジオクチル錫ジバーサテート)、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価錫化合物、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、ジネオデカン酸錫(バーサチック酸錫)等の2価錫化合物等の有機錫化合物類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ビスマス−トリス(2−エチルヘキソエート)、ビスマス−トリス(ネオデカノエート)等のビスマス塩と有機カルボン酸または有機アミンとの反応物等;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛等の有機鉛化合物;ナフテン酸鉄等の有機鉄化合物;有機バナジウム化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物あるいはそれらのカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;酸性リン酸エステル化合物等が例示される。
これらの硬化触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。これらの硬化触媒のうち、有機金属化合物類、または有機金属化合物類とアミン系化合物の併用系が硬化性の点から好ましい。さらには、硬化速度が速い点からジブチル錫マレエート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジオクチル錫ジネオデカネートが好ましい。また、環境問題の点からジオクチル錫化合物が好ましい。硬化触媒は架橋性珪素基を有する有機重合体100重量部に対して0.5〜10重量部用いるのが好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、水添ヒマシ油、有機ベントナイト、ステアリン酸カルシウム等のタレ防止剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。さらに、必要に応じてエポキシ樹脂等の他の樹脂、エポキシ樹脂硬化剤等の硬化剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、滑剤、発泡剤等の添加剤も適宜添加することが可能である。
本発明の硬化性組成物は全成分を混合物とする一液型組成物としても、架橋性珪素基を有する樹脂成分と硬化触媒成分とを別の成分とする二液型組成物としても使用することができるが、一液型組成物として使用するのが望ましい。
(合成例1)
ポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、PPG(ポリプロピレングリコール)換算の重量平均分子量が約25000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体を得た。
(合成例2)
合成例1で用いたポリオキシプロピレンジオールより分子量が小さいポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、PPG換算の重量平均分子量が約15000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体を得た。
(合成例3)
フラスコに溶剤である酢酸エチル40重量部、メチルメタクリレート59重量部、2エチルヘキシルメタクリレート25重量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン22重量部、及び金属触媒としてルテノセンジクロライド0.1重量部を仕込み窒素ガスを導入しながら80℃に加熱した。ついで、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8重量部をフラスコ内に添加し80℃で6時間反応を行った。室温に冷却後、ベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20重量部添加して重合を停止した。溶剤および未反応物を留去し、ポリスチレン換算の重量平均分子量が約6000であるトリメトキシシリル基を有するアクリル酸エステル系重合体を得た。
組成物の貯蔵安定性、硬化物の熱伝導性及び硬化物の難燃性の測定法は以下のとおりである
(貯蔵安定性)
硬化性組成物を、密閉容器(カートリッジ)内で23℃において24時間放置した後、B型粘度計(東機産業製、BHローター7番20rpm)を使用し測定した結果を初期とし、その後50℃乾燥機中に2週間放置した後、23℃で24時間放置し、液温が23℃になるように調整し、同様に粘度測定を行った結果を貯蔵後とした。貯蔵後/初期の値が1.4未満を合格(表1において○で表示)、1.4以上を不合格とした(表1において×で表示)。
(熱伝導性)
硬化性組成物を、シリコーン離型紙間でスペーサーを用いて厚さ2.0mmのシートを作製した。23℃,50%RH下7日間硬化及び養生した後、離型紙から剥がし、10mm×20mm×2.0mmの熱伝導性測定用の試験片を作成した。この試験片を、迅速熱伝導率計(京都電子工業製、QTM−500)を使用して熱伝導性を測定した。
(難燃性)
硬化性組成物を、シリコーン離型紙間でスペーサーを用いて厚さ1.5mmのシートを作製した。23℃,50%RH下7日間硬化及び養生した後、離型紙から剥がし、13mm×130mm×1.5mmの硬化シートを作製した。得られた硬化シートに対し、UL94 V−0規格に基づき試験を行い、難燃性を評価した。具体的には以下の各項目を全て満たすものを合格(表1において○で表示)、一つでも満たさないものを不合格とした(表1において×で表示)。a)各試料の残炎時間t1またはt2が「10秒以下」b)全ての処理による各組の残炎時間の合計(5枚の試料のt1+t2)が「50秒以下」c)第2回接炎の各試料の残炎時間と残じん時間の合計(t2+t3)が「30秒以下」d)各試料の保持クランプまでの残炎または残じんが「無い事」e)発炎物質または滴下物による標識用綿の着火が「無い事」t1〜t3は下記の通りである。t1:第1回接炎の試料の残炎時間(秒)t2:第2回接炎の試料の残炎時間(秒)t3:第2回接炎の試料の残じん時間(秒)
(実施例1)
表1に示した如く、合成例1〜3で得られた架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に、大粒径水酸化アルミニウム(粒径50μm 商品名 BW−53 日本軽金属(株)製)300重量部、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブAO−60)3重量部を攪拌混合機にて攪拌・脱泡した後、100℃にて1時間加熱脱水して50℃以下まで冷却した。続いて希釈剤としてパラフィン系希釈剤(ジャパンエナジー(株)製、商品名:カクタスノルマルパラフィンN11)30重量部、脱水剤としてテトラエトキシシラン(コルコート(株)製、商品名:エチルシリケート28)2重量部、接着性付与剤としてN−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:信越シリコーンKBM603)6重量部、硬化触媒としてジオクチル錫系硬化触媒(日東化成(株)製、商品名:ネオスタン U−800P)2重量部を加え、撹拌・脱泡してカートリッジに充填し、カートリッジを100℃に調整した熱風乾燥機内で1時間加熱後室温まで冷却して硬化性組成物を得た。この硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化物の熱伝導性及び硬化物の難燃性を測定した結果を表1に示した。実施例1では粒径50μの水酸化アルミニウムを300重量部使用しているが、貯蔵安定性は良好であり、UL94 V−0の難燃性も達成している。
(比較例1〜2)
表1に示した如く、配合物を変更した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を得た。比較例1、比較例2では粒径50μの水酸化アルミニウムに代えて粒径8μの水酸化アルミニウムを使用し他の成分は実施例1と同じである。水酸化アルミニウムを100重量部使用している比較例1の場合、貯蔵安定性は良好であったが、150重量部使用している比較例2では組成物の粘度の上昇が激しく、組成物の製造が不可能な程であった。表1に示した如く、配合物を変更した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を得た。
(参考例1)
表1に示した如く、配合物を変更した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を得た。参考例1は架橋性珪素基を有する重合体において(メタ)アクリル酸エステル系重合体の組成比を増加させたものである。この場合も実施例1と同様の結果が得られている。
(実施例2)
表1に示した如く、配合物を変更した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を得た。実施例2の組成物は硬化物が熱伝導性を有するように、組成物に熱伝導付与剤として250重量部の酸化アルミニウムがさらに添加されている。表1に示すように大量の酸化アルミニウムを添加しているが、貯蔵安定性、難燃性を維持したまま、熱伝導性が向上している。
(実施例3)
表1に示した如く、配合物を変更した以外は実施例1と同様に硬化性組成物を得た。実施例3の組成物は硬化物がさらに熱伝導性を有するように、組成物に50重量部の炭素繊維がさらに添加されている。表1に示すように炭素繊維を添加することにより、貯蔵安定性、難燃性を維持したまま、熱伝導性がさらに向上している。
このように、反応性が大きい式(1)に示される1個の珪素原子に3個の加水分解性基が結合し架橋性珪素基を有する重合体を使用しても、粒径が30μを超える水酸化アルミニウムを用いることにより、高度の難燃性が必要であるUL94 V−0の難燃性を達成できる。また、難燃性を維持したまま、酸化アルミニウムや炭素繊維等の伝熱性を向上させることができる。
Figure 0005823099
*1 水酸化アルミニウム 粒径50μm 商品名 BW−53 日本軽金属(株)製
*2 ステアリン酸処理水酸化アルミニウム 粒径 8μm 商品名 ハイジライト H32S 昭和電工(株)製
*3 酸化アルミニウム 粒径50μm 商品名 LS−210B 日本軽金属(株)製
*4 ピッチ系炭素繊維 商品名 Raheama A−201 帝人(株)製
*5 フェノール系酸化防止剤 商品名 アデカスタブ AO−60 (株)ADEKA製
*6 n−パラフィン 商品名 カクタスノルマルパラフィン N−11 (株)ジャパンエナジー製
*7 エチルシリケート 商品名 エチルシリケート28 コルコート(株)製
*8 シランカップリング剤 N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 商品名 KBM603C 信越化学工業(株)製
*9 ジオクチル錫化合物 商品案 ネオスタン U−800P 日東化成(株)製

Claims (1)

  1. (A)珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、湿分によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基であってトリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体100重量部、(B)珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、湿分によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基であってトリメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体10〜200重量部及び(C)硬化性組成物中の有機成分100重量部に対し20〜300重量部の粒径30μmを超える水酸化アルミニウムを含有する硬化性組成物。ただし、(A)成分として架橋性珪素基の珪素原子に炭素原子が結合し、さらに該炭素原子に非共有電子対を有するヘテロ原子が結合した化学構造を有する架橋性珪素基を分子内に有するポリオキシアルキレン系重合体を含有する硬化性組成物を除く。
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