本発明が適用されたスロットマシンの実施例1を図面を用いて説明すると、本発明の遊技機の一例であるスロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aを正面から見て左側の前端辺に回動自在に枢支され、該筐体1aの前面開口を開閉可能な前面扉1bと、から構成されている。
本実施例のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
リール2L、2C、2Rの外周部には、それぞれ「黒7」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「黒チェリー」、「白チェリー」、「網チェリー」、「オレンジ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図3参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
前面扉1bの各リール2L、2C、2Rの手前側(遊技者側)の位置には、液晶表示器51(図1参照)の表示領域51aが配置されている。液晶表示器51は、液晶素子に対して電圧が印加されていない状態で、透過性を有するノーマリーホワイトタイプの液晶パネルを有しており、表示領域51aの透視窓3に対応する透過領域51b及び透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。また、表示領域51aの透過領域51bを除く領域の裏面には、背後から表示領域51aを照射するバックライト(図示略)が設けられているとともに、さらにその裏面には、内部を隠蔽する隠蔽部材(図示略)が設けられている。
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施例では遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス)の場合には1、リプレイタイム(以下、RTと略称する)では3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、後述するビッグボーナス中のメダルの獲得枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、入賞の発生により払い出されたメダル枚数が表示されるペイアウト表示器13が設けられている。
また、前面扉1bには、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
MAXBETスイッチ6の内部には、1枚BETスイッチ5及びMAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図3参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図3参照)がそれぞれ設けられている。
前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するエラー状態及び後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図3参照)が設けられている。
筐体1a内部には、図2に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図3参照)からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
また、筐体1aを構成する背板1cの内面上部には、後述する遊技制御基板40が収容された基板ケース200が、遊技制御基板40の電子部品の実装面40aの裏面40b側が視認不可となる第1の回動規制位置(裏面40bが筐体の背板に対向する位置)と、遊技制御基板40の裏面40b側が視認可能となる第2の回動規制位置(実装面40aが筐体の左側板に対向する位置)と、の間で回動可能に設けられている。尚、基板ケース200の詳細な構造については後述することとする。
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
電源ボックス100の前面には、後述のビッグボーナス終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のビッグボーナス終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するには1枚BETスイッチ5またはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施例では、規定数の賭数として遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス)では1枚、通常遊技状態では3枚が定められている。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施例では、図1に示すように、各リール2L、2C、2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、各リール2L、2C、2Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められている。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1〜L5上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化されたいずれかの入賞ラインL1〜L5上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。
また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
遊技制御基板40には、前述した1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述した払出センサ34c、満タンセンサ35a、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施例では0〜65535)の乱数を生成する乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路等の電子部品が搭載されている。
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(メイン)を実行し、一定時間間隔(本実施例では、約0.56ms)毎にタイマ割込処理(メイン)を実行する。尚、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成され、遊技制御基板40と演出制御基板90とは直接接続されている。
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、前述したリールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
尚、本実施例では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としても良く、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
また、本実施例では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、例えば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用しても良い。
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
本実施例のスロットマシン1では、前述のように遊技の制御を行うメイン制御部41が設けられた遊技制御基板40などの各種基板が搭載されており、これらの基板には、図4に示すように、遊技者による遊技の進行操作が可能なスイッチ類等からなる電気部品がケーブルを介して接続されている。
遊技制御基板40には、前述したように、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、リールモータ32L、32C、32R、リールセンサ33L、33C、33R、ホッパーモータ34b、払出センサ34c、演出制御基板90が接続されている。
具体的には、図4に示すように、スタートスイッチ7は遊技制御基板40と配線接続され、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25は、操作部中継基板110を経由して遊技制御基板40と配線接続され、リールモータ32L、32C、32R及びリールセンサ33L、33C、33Rは、リール中継基板120を経由して遊技制御基板40と配線接続され、ホッパーモータ34b及び払出センサ34cは、電源基板101を経由して遊技制御基板40と配線接続され、演出制御基板90は遊技制御基板40と配線接続されている。
操作部中継基板110、リール中継基板120、電源基板101、演出制御基板90には、遊技制御基板40と各電気部品とを接続するための配線パターン(図示略)が設けられており、各電気部品から遊技制御基板40に対して出力される検出信号または遊技制御基板40から供給(入力)される電力や信号等を中継可能とされている。
このようにスタートスイッチ7を除く各種電気部品と遊技制御基板40とを、スロットマシン1の本体(本実施例では、筐体1a)所定箇所に取り付けた各基板110、120、101を経由して配線接続することで、遊技制御基板40からスロットマシン1の本体所定箇所に個々に配設される複数の電気部品との配線の取りまとめが容易になるとともに、コネクタ接続部が常に中継基板または遊技制御基板40に設けられることになり、これにより各電気部品それぞれのコネクタ接続部が固定されるため、配線接続作業時においてコネクタ接続部を探したり、接続する配線の種類を間違うこと等が防止される。
1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、リールモータ32L、32C、32R、リールセンサ33L、33C、33R、ホッパーモータ34b、払出センサ34cは、ゲームの進行に関わる信号を遊技制御基板40に入出力する電気部品である。ゲームの進行に関わる信号とは、例えば、ゲームを開始可能な状態とするための賭数の設定操作、ゲームを開始させるための操作、リール2L、2C、2Rの表示結果を導出させるための操作等、ゲームの進行操作に応じて遊技制御基板40に出力される信号や、投入メダルの検出、リールの基準位置の検出、払出メダルの検出等、ゲームの進行に応じて遊技用電気部品から出力されて遊技制御基板40に入力される信号と、スタート操作の検出に応じてリール2L、2C、2Rを駆動させるための駆動信号や、入賞の発生に伴いメダルを払い出すホッパーを駆動するための駆動信号等、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40から出力されて遊技用電気部品に入力される信号と、を含む。
そして、これら遊技用電気部品は、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40に信号を出力する第1の電気部品と、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40からの信号が入力される第2の電気部品と、からなる。
遊技用電気部品と基板とはケーブルを介して接続されており、遊技用電気部品と基板とを接続するケーブルは、スロットマシンの製造時における組み付け作業や配線作業を容易にするため、コネクタ同士の接続を解除することで分離可能とされている。また、これら遊技用電気部品は、基本的には複数の機種に共通して継続使用される電気部品であり、故障等が発生しない限り本体から取り外して交換する機会は少ないので、スロットマシンの本体所定箇所に固設されている。これに対して遊技制御基板40や演出制御基板90等は、機種変更の際には交換が必要となるため、その際には本体から取り外される。つまり、遊技制御基板40を取り外す際には遊技用電気部品や演出制御基板90との接続を解除する必要があるため、これら基板同士及び基板と遊技用電気部品とを接続するケーブルと基板とは、ケーブルの端部に設けられたケーブル側コネクタと基板の配線パターンと電気的に接続された基板側コネクタとの接続により電気的に接続されており、基板側コネクタからケーブル側コネクタを抜脱して接続を解除することで、遊技制御基板40を本体から容易に取り出して交換できるようになっている。
しかし、このように遊技制御基板40と遊技用電気部品との配線接続をコネクタの抜脱により容易に解除できる状態のままスロットマシンをメーカーから遊技店に出荷すると、例えば遊技店において、基板側コネクタからケーブル側コネクタを抜脱し、これに替えていわゆる打ち込み器具等の不正な器具に接続されたケーブル側コネクタを基板側コネクタに容易に接続することが可能となってしまう。
打ち込み器具とは、例えば遊技用電気部品から遊技制御基板40に入出力される信号を擬似的に再現した信号を遊技制御基板40に入出力させることで、スロットマシンに設けられた各種スイッチ等を操作することなく、ゲームを自動的に進行させることができるものである。従って、例えば遊技店等において、遊技制御基板40に設けられた基板側コネクタに接続されている正規なコネクタを抜脱し、これに替えて打ち込み器具に接続された不正なコネクタを接続して、各種信号を適宜タイミングで遊技制御基板40に入出力して遊技を自動的に進行させることで、例えば特別役が当選した状態等を容易に設定することができる。よって、このような不正な打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシン、さらにはRB、BBのうちより有利度の高いBBが当選している可能性が高い状態に設定したスロットマシンを、例えば遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業が実施された場合、遊技の公平性が損なわれる虞がある。
このため本実施例では、前述したように、遊技用電気部品のうちスタートスイッチ7を遊技制御基板40に直接配線接続するとともに、遊技制御基板40とスタートスイッチ7との間のコネクタ接続、すなわち遊技制御基板40の基板側コネクタ620bとケーブル600bのケーブル側コネクタ610bとの接続について、コネクタ同士の接続の解除をコネクタ規制部材650によって規制できるようになっている。また、スタートスイッチ7の部品側コネクタ640bとケーブル側コネクタ630bとの接続について、コネクタ同士の接続の解除をコネクタ規制部材650aによって規制できるようになっている。
また、メイン制御部41からのコマンドに基づいてサブ制御部91により遊技者の有利度を左右するような演出(例えば、遊技者にとって有利となる操作態様を報知する演出等)を行う場合には、遊技制御基板40に設けられた基板側コネクタに接続されている正規なコネクタを抜脱してこれを不正な器具に接続し、遊技者の有利度が高くなるような擬似的なコマンドを該不正器具から演出制御基板90に出力することができる。よって、このような不正な打ち込み器具を使用して遊技者の有利度が高くなるように設定したスロットマシンを、例えば遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業が実施された場合、遊技の公平性が損なわれる虞がある。
このため本実施例では、遊技用電気部品のうち演出制御基板90を遊技制御基板40に直接配線接続するとともに、遊技制御基板40と演出制御基板90との間のコネクタ接続、すなわち遊技制御基板40の基板側コネクタ620dとケーブル600dのケーブル側コネクタ610dとの接続について、コネクタ同士の接続の解除を上記したコネクタ規制部材650によって規制できるようになっている。また、演出制御基板90の基板側コネクタ640dとケーブル側コネクタ630dとの接続について、コネクタ同士の接続の解除をコネクタ規制部材650bによって規制できるようになっている。
尚、コネクタ規制部材650の詳細な構造に関しては後述することとし、コネクタ規制部材650a,650bに関しては、例えばコネクタ規制部材650と同様に構成されていればよいので、特に詳細な図示は省略する。
尚、本実施例では、遊技制御基板40とスタートスイッチ7及び遊技制御基板40と演出制御基板90とは中継基板を経由することなく接続され、コネクタ接続を遊技制御基板40、電気部品(スタートスイッチ7)及び演出制御基板90側でのみ行えば済むため、配線接続が簡素化されているが、1つまたは複数の中継基板を経由して接続される場合には、その間に存在するコネクタ接続全てについて抜脱を規制することが好ましく、このようにすることで遊技制御基板40とスタートスイッチ7及び遊技制御基板40と演出制御基板90との間のいずれかのコネクタの接続を解除することが困難となるため、上記不正営業をより効果的に防止できる。
また、本実施例では、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40に対して信号を入力する第1の電気部品5、6、7、8、31、33L、33C、33R、35及びゲームの進行に応じて遊技制御基板40から信号が出力される第2の電気部品32L、32C、32R、34のうち、スタートスイッチ7と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制している。すなわちその信号がなければ遊技を進行させることができない電気部品の一つであるスタートスイッチ7(スタートスイッチ7からの信号が入力されなければゲームを開始することが不可能となる)と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制しており、他の電気部品と遊技制御基板40との間でコネクタ同士の接続を解除して打ち込み器具のコネクタに差し替えた場合でも、実質的に遊技を自動的に進行させることができなくなるため、最小限の規制で不正行為を防止することが可能となり、これらコネクタ同士の接続を解除するための部品点数を減らすことができる。
尚、本実施例では、スタートスイッチ7と遊技制御基板40との間のコネクタ接続にコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制しているが、投入メダルセンサ31と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても同様の効果が得られる。また、本実施例のようにリールの回転開始後、リールの停止操作がなされるまでリールが停止する構成でないものであれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかと遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても同様の効果が得られる。
また、本実施例では、ドア開放検出スイッチ25がケーブルを介して遊技制御基板40と接続されているが、ドア開放検出スイッチ25と遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタでの接続が解除されると、前面扉1bが開放された際に、その旨を遊技制御基板に搭載されたメイン制御部41が検出することができず、ドア開放報知やドア開放信号の出力が行われなくなるため、前面扉1bが開放されて不正行為がなされてもその発見が遅れてしまう虞があるため、遊技制御基板40とドア開放検出スイッチ25との間のコネクタ接続にコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしてもよく、このようにすることで、遊技制御基板40とドア開放検出スイッチ25との間のいずれかのコネクタ同士の接続を解除することが困難となるため、前面扉1bの開放された旨の報知がされない状態で、前面扉1bが開放されてしまうことを効果的に防止できる。
また、本実施例では、メイン制御部41とゲームの進行上必要な信号の入出力が行われるスタートスイッチ7を除く複数の電気部品及びドア開放検出スイッチ25とを接続する複数の信号線が、遊技制御基板40と操作部中継基板110との間では1本のケーブル600aで接続されているため、遊技制御基板40の基板側コネクタ620aとケーブル側コネクタ610aとのコネクタ接続、すなわち1カ所のコネクタ接続のみ接続の解除を規制することで、複数の信号線同士の接続の解除を規制することが可能となり、これらコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
尚、メイン制御部41とゲームの進行上必要な信号の入出力が行われる複数の電気部品及びドア開放検出スイッチ25とを接続する複数の信号線が、複数のケーブルを介して接続される場合でも、基板側コネクタを近接する位置に配置するとともに、1つの部品でこれら複数の基板側コネクタと複数のケーブル側コネクタとの接続の解除を規制することで、これらコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
本実施例のスロットマシン1は、遊技状態やエラーの発生状況などを示す外部出力信号を出力する。これら外部出力信号は、メインCPU41aの制御により遊技制御基板40より出力され、外部出力基板1000、スロットマシン1が設置される遊技店(ホール)の情報提供端子板(図示略)を介してホールコンピュータ(図示略)などのホール機器に出力されるようになっている。
遊技制御基板40から外部出力基板1000に対しては、賭数の設定に用いられたメダル数を示すメダルIN信号、入賞の発生により遊技者に付与されたメダル数を示すメダルOUT信号、遊技状態が後述するRB中の旨を示すRB中信号、遊技状態が後述するBB中の旨を示すBB中信号、前面扉1bが開放中の旨を示すドア開放信号、後述する設定変更モードに移行している旨を示す設定変更信号、メダルセレクタの異常を示す投入エラー信号、ホッパーユニット34の異常を示す払出エラー信号がそれぞれ出力される。
本実施例のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、確定した表示値(設定値)がメイン制御部41のRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすれば良い。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
本実施例のスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(メイン)を実行する。電断割込処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ(本実施例では、5AH)、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはRAM41cの該当する領域(本実施例では、全ての領域)の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。尚、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
尚、本実施例では、RAM41cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、メインCPU41aは、電源投入時においてRAM41cのデータが正常であると判定した場合に、RAM41cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM41cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、例えば、入力ポートの状態などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(サブ)を実行する。電断割込処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行うようになっている。
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、メインCPU41aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
尚、本実施例では、RAM91cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、サブCPU91aは、電源投入時においてRAM91cのデータが正常であると判定した場合に、RAM91cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM91cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、入力ポートの状態や、演出が途中で中断された場合の途中経過などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。例えば、ビッグボーナス中か、通常遊技状態か、などの遊技状態を示すデータのみをバックアップするとともに、遊技状態に対応する演出(ビッグボーナス中であればビッグボーナス中演出、通常遊技状態であれば通常演出)以外の特定の演出(小役告知など)の実行中に電断が発生した場合に、次回電源投入時において電断時に実行されていた特定の演出を再開するのではなく、電源投入時においてバックアップされている遊技状態に対応する演出を最初から実行するようにしても良い。
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域は、重要ワーク、一般ワーク、特別ワーク、設定値ワーク、非保存ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oポート41dの入出力データ、遊技時間の計時カウンタ等、ビッグボーナス終了時に初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。一般ワークは、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数、ビッグボーナス中のメダル払出総数等、ビッグボーナス終了時に初期化可能なデータが格納されるワークである。特別ワークは、演出制御基板90へコマンドを送信するためのデータ、各種ソフトウェア乱数(後述する判定値加算用乱数、初期値変更用乱数)等、設定変更前にも初期化されないデータが格納されるワークである。設定値ワークは、内部抽選処理で抽選を行う際に用いる設定値が格納されるワークである。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かに関わらず必ず値が設定されることとなる。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。スタック領域は、メインCPU41aのレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
本実施例においてメインCPU41aは、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37がONの状態での起動時、ビッグボーナス終了時、設定キースイッチ37がOFFの状態での起動時においてRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の5つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる5種類の初期化を行う。
初期化0は、RAM異常エラー発生時に行う初期化であり、初期化0では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域を除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化1は、起動時において設定キースイッチ37がONの状態であり、設定変更状態へ移行する場合において、その前に行う初期化であり、初期化1では、RAM41cの格納領域のうち、特別ワーク、非保存ワーク及び使用中スタック領域以外の領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化2は、ビッグボーナス終了時に行う初期化であり、初期化2では、RAM41cの格納領域のうち、一般ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化3は、起動時において設定キースイッチ37がOFFの状態であり、かつRAM41cのデータが破壊されていない場合において行う初期化であり、初期化3では、非保存ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、1ゲーム終了時に行う初期化であり、初期化4では、RAM41cの格納領域のうち、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。
尚、本実施例では、初期化1を設定変更状態の移行前に行っているが、設定変更状態の終了時に行ったり、設定変更状態移行前、設定変更状態終了時の双方で行うようにしても良い。この場合、設定値ワークを初期化してしまうと確定した設定値が失われてしまうこととなるので、設定変更状態終了時の初期化では、設定値ワークの初期化は行われない。
本実施例のスロットマシン1は、前述のように遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。本実施例では、遊技状態として、レギュラーボーナス(以下ではRBと称す)(ビッグボーナス(以下ではBBと称す))、RT(0)〜(6)があり、このうちRB(BB)では賭数の規定数として1が定められており、RT(0)〜(6)では賭数の規定数として3が定められている。このため、遊技状態がRB(BB)であれば、賭数として1が設定されるとゲームを開始させることが可能となり、RT(0)〜(6)であれば、賭数として3が設定されるとゲームを開始させることが可能となる。尚、本実施例では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインLが有効化されるようになっており、RB(BB)では賭数として1が設定された時点で全ての入賞ラインL1〜L5が有効化されることなり、RT(0)〜(4)では賭数として3が設定された時点で全ての入賞ラインL1〜L5が有効化されることとなる。
本実施例のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ライン(以下では、有効化された入賞ラインを単に入賞ラインと呼ぶ)上に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組合せであっても良いし、異なる図柄を含む組合せであっても良い。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技状態の移行を伴う特別役と、がある。以下では、小役と再遊技役をまとめて一般役とも呼ぶ。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
尚、これら各役の当選フラグのうち、小役及び再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となるが、特別役の当選フラグは、当該フラグにより許容された役の組合せが揃うまで有効とされ、許容された役の組合せが揃ったゲームにおいて無効となる。すなわち特別役の当選フラグが一度当選すると、例え、当該フラグにより許容された役の組合せを揃えることができなかった場合にも、その当選フラグは無効とされずに、次のゲームへ持ち越されることとなる。
内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)が取得される。そして、遊技状態及び特別役の持ち越しの有無に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態、賭数及び設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。
本実施例では、遊技状態が、RT(0)(1)(特別役の非持越中)であるか、RT(2)(4)(5)(特別役の非持越中)であるか、RT(3)(特別役の非持越中)であるか、RT(6)(特別役の持越中)であるか、RB(BB)であるか、によって内部抽選の対象となる役が異なる。
内部抽選では、内部抽選の対象となる役、現在の遊技状態及び設定値に対応して定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値数/65536)で役が当選することとなる。
そして、いずれかの役の当選が判定された場合には、当選が判定された役に対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの格納領域にて構成されており、そのうちの上位バイトが、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークとして割り当てられ、下位バイトが、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとして割り当てられている。詳しくは、特別役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、一般役格納ワークに設定されている当選フラグをクリアする。また、一般役が当選した場合には、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。尚、いずれの役及び役の組合せにも当選しなかった場合には、一般役格納ワークのみクリアする。
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。
メインCPU41aは、リールの回転が開始したとき、及びリールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。尚、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、からなる。
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、更に、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。尚、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
停止制御テーブルは、停止操作が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施例では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0〜20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0〜20の図柄番号が割り当てられているので、0番図柄から20番図柄に対して、それぞれ0〜20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の滑りコマ数を取得できるようになっている。
前述のようにテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施例では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の滑りコマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリール及び当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
次に、メインCPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施例では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
本実施例のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、更に、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
また、本実施例では、滑りコマ数として0〜4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
本実施例では、いずれかの役に当選している場合には、当選役をいずれかの入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役がいずれの入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も入賞ライン上に揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、いずれかの入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役が当選した場合や特別役が持ち越されていない状態で特別役と小役が同時に当選した場合など、特別役と小役が同時に当選している場合には、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる。
尚、本実施例では、特別役と小役が同時に当選している場合に、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる構成であるが、小役よりも特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞させることが可能となる構成としても良い。
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合や特別役が持ち越されていない状態で特別役と再遊技役が同時に当選した場合など、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行われる。尚、この場合、再遊技役を構成する図柄は、リール2L、2C、2Rのいずれについても5図柄以内、すなわち4コマ以内の間隔で配置されており、4コマの引込範囲で必ず任意の位置に停止させることができるので、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらずに、必ず再遊技役が揃って入賞することとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも再遊技役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、必ず再遊技役が入賞することとなる。
本実施例においてメインCPU41aは、リール2L、2C、2Rの回転が開始した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。尚、リール回転エラーの発生により、一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リール回転が再開した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。
尚、本実施例では、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっているが、リールの回転が開始してから、予め定められた自動停止時間が経過した場合に、リールの停止操作がなされない場合でも、停止操作がなされたものとみなして自動的に各リールを停止させる自動停止制御を行うようにしても良い。この場合には、遊技者の操作を介さずにリールが停止することとなるため、例え、いずれかの役が当選している場合でもいずれの役も構成しない表示結果を導出させることが好ましい。
本実施例では、メインCPU41aが演出制御基板90に対して、BETコマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、復帰コマンド、設定開始コマンド、確認開始コマンド、確認終了コマンド、操作検出コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。
これらコマンドは、コマンドの種類を示す1バイトの種類データとコマンドの内容を示す1バイトの拡張データとからなり、サブCPU91aは、種類データからコマンドの種類を判別できるようになっている。
次に、遊技制御基板40を収納する基板ケース200の構造及び基板ケース200の筐体1aに対する取付構造について説明する。尚、以下の説明においては、図2に示すように筐体1aの背板1cに取り付けられた状態の基板ケース200を筐体1aの正面から見た場合を基準として、基板ケース200の上下、左右、前後方向を示すものとする。
図5に示すように、ケース支持装置300は、筐体1aの背板1c内面上部に取り付けられる固定ベース301及び係止部材303と、固定ベース301に回動可能に支持される可動ベース302と、から主に構成されており、遊技制御基板40が収容された基板ケース200は、可動ベース302の前面側に取り付けられることにより、背板1cの内面上部に対し、固定ベース301に形成された上下方向を向く軸周りに回動可能に支持される。
(基板ケース)
基板ケース200は、図6に示すように、回路基板の一例である遊技制御基板40の裏面(他面)40b側を覆うベース体としてのベース部材201と、遊技制御基板40の実装面(一面)40a側を覆うカバー体としてのカバー部材202と、から構成され、遊技制御基板40を挟持するように組み付けられるものである。尚、遊技制御基板40の実装面40aには、特に詳細な図示はしないが、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c等の電子素子や、他の基板からのケーブルの一端に設けられたケーブル側コネクタ等が接続される基板側コネクタ620a〜620e等が多数実装されている。
(ベース部材)
ベース部材201は、図6及び図7に示すように、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、略長方形状に形成されるベース板201aを有し、該ベース板201aの上下長辺には、前向きに立設された一対の側壁201b,201bがそれぞれ長手方向に沿って延設されている。側壁201b,201bには、カバー部材202に設けられた後述する係合片220が摺動自在に挿通される係合溝250が、長手方向の中央及び左右位置にそれぞれ形成されている。これら係合溝250は、側面視略L字形に形成され、その前端は側壁201bの前端にて前方に開放され、後述するように各係止片203,203を前方から挿通し、ベース板201aに沿って右側に移動させることで、カバー部材202を封止位置に係止できるようになっている。
また、各側壁201b,201bの外面後部位置には、カバー部材202の下端が当接する当接片204,204が長手方向に沿って延設されているとともに、各側壁201b,201bの内側近傍位置には、遊技制御基板40の裏面40bの上下辺部を当接支持する支持片205,205が側壁201b,201bに沿って延設されている。
ベース部材201の左側の短辺201cには、後述するカバー部材202に形成される挿通穴222,222に挿通可能な係止片203,203が、長手方向の両側からそれぞれ外向きに突設されている。また、短辺201cに対向する短辺201dの中央部には、ベース板201aの一部を前面側に向けて***させてなる***部206が形成されており、該***部206の前面にはベース体側溶着部としてのベース側溶着部207が形成されている。このベース側溶着部207は、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに後述するカバー部材202のカバー体側溶着部としてのカバー側溶着部223の後面側に対向するようになっている。また、ベース側溶着部207の右側端部には、カバー部材202のカバー側溶着部223の右端部を当接規制するフック状の規制片208が形成されている。尚、ベース側溶着部207の詳細な構造に関しては後述することとする。
短辺201dにおける***部206上側方部には、後述する閉鎖ネジ226が取り付けられるネジ孔209が形成されたベース側封印部229が設けられており、***部206下側方部には、後述するワンウェイネジ240cが取り付けられるネジ孔210が設けられた予備用封止片211が外向きに突設されている。
(カバー部材)
カバー部材202は、図6及び図8に示すように、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、中央が外向きに膨出する略長方形状のカバー板202aと、該カバー板202aの長辺に沿って後向きに立設された一対の側壁202b,202bと、短辺に沿って後向きに立設された一対の側壁202c,202dとにより、後面側が開放するとともに、下長辺側に横長の凹溝部202eが形成された凸型の箱状に成形されている。側壁202b,202bの内面における中央位置及び左右側には、ベース部材201の係合溝250に係合可能な係合片220(図6参照)が内向きに突設されている。
また、カバー板202aの前面周囲には、カバー板202aの前面から突設するリブが四角枠状に形成され、カバー板202aの前面側を設置面に向けて設置した状態において該カバー板202aの前面が設置面と接触することが回避されている。これにより、例えば後述する溶着部を溶着する際において、カバー板202aの前面が治具の設置面と摺接して傷が付くことや、該前面に貼付される管理シール等の損傷が防止されるようになっている。また、カバー板202aの角部(実装面40aに搭載されたメインCPU41aやROM41b等から極力離れた位置)には、放熱用の小孔202fが複数形成されている。
カバー部材202の一方の短辺の側壁202c外面の長手方向の両端部には、固定ベース301に形成された回動軸に当接し、該回動軸の軸支溝からの離脱を規制するとともに、回動軸を前面側から被覆可能な一対の板状片221,221が外向きに突設されているとともに、その後面側には、ベース部材201の係止片203,203が挿通可能な長方形状の挿通穴222,222が形成されている。
他方の短辺の側壁202dの長手方向の中央部には、カバー体側溶着部としての板状のカバー側溶着部223が外向きに延設され、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201のベース側溶着部207の上面側に対向するとともに、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に当接して移動規制されるようになっている。
側壁202dの長手方向の上側方位置には、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201のネジ孔209の前面側に対向して配置されるカバー側封印部224が形成されている。カバー側封印部224の前面は、封印シール400(図6参照)を貼着可能な平坦状の封印シール貼付面とされているとともに、ネジ孔209に対向する位置には、閉鎖ネジ226(図6参照)を取り付け可能な取付穴227が底面に形成された有底円筒状の凹部227aが形成されており、該凹部227a内に閉鎖ネジ226の頭部を収容できるようになっている。尚、カバー側封印部224の詳細な構造については後述することとする。
側壁202dの長手方向の下側方位置には、取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232がそれぞれ側壁202dの外面から外向きに突設されている。取付封止片230及び予備用取付封止片231は、後述する可動ベース302に基板ケース200を設置したときに、該可動ベース302に取り付けられる後述する取付台座315に対向する位置に設けられている。予備用封止片232は、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201の予備用封止片211に対向する位置に設けられている。
取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232は、特に図10(a)に示すように、後述するワンウェイネジ240a〜240cを収容可能な筒状部と、筒状部と側壁202dとを連接する切断片(カバー部材202の一部)233とで構成されている。そして、切断片233を介して筒状部が側壁202dから所定距離離間した状態で配置されている。よって、切断片233は、ニッパ等の工具で切断(破壊)できるとともに、カバー部材202の一側縁である側壁202dの外面から外方に向けて複数突設され、各切断片233の先端に筒状部である取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232が設けられている。
取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232の筒状部は、上面が開口する有底四角筒状に形成され、内部にワンウェイネジ240a〜240cを収納可能な大きさを有し、ワンウェイネジ240a〜240cの上部を収納可能な大きさに形成されているとともに、底部には、ワンウェイネジ240a〜240cの頭部の直径よりも小径の取付孔234、235が形成されている。取付孔234は、封止状態において、ネジ孔210の対向位置に配置される。取付孔235,235は、後述する取付状態において、取付穴316a,316bの対向位置に配置される。
尚、特に図示はしないが、取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232の上面にはキャップが装着可能とされており、例えばキャップと各封止片230〜232とを接着剤で接着したり、各筒状部の内面上端に形成した段部に係止することによって、キャップにより各封止片230〜232の上面開口を閉塞してもよい。
凹溝部202eには、当該カバー部材202の裏面側に取り付けられる遊技制御基板40に設けられた複数の基板側コネクタ620それぞれを外方に挿通するためのコネクタ用開口236a〜236gがそれぞれ形成されている。また、凹溝底面202gにおける、前述したスタートスイッチ7が接続される基板側コネクタ620bに対応するコネクタ用開口236cの側部には、前述したコネクタ規制部材650の被係合筒656が嵌合可能に形成され、該被係合筒656の外周に設けられた係合穴657(図13参照)に係合する弾性爪237aが内部に形成された係合筒237が突設されている。
また、カバー部材202の裏面側には、図6に示すように、遊技制御基板40が、4つの取付ネジ238によって四隅を止着することにより取り付けられる。遊技制御基板40は、電子部品等が実装(搭載)される実装面40a(搭載面)をカバー部材202の裏面に対向させた状態で、カバー部材202の裏面側に取り付けられ、取り付けられた状態において、実装面40aの裏面40bが側壁202b〜202dの下端よりも上方に位置するように収容される。
(基板ケースの封止)
次に、ベース部材201とカバー部材202との封止状況について説明する。まず、図6に示されるように、カバー部材202の裏面側に取付ネジ238を介して遊技制御基板40を取り付ける。この際、遊技制御基板40の実装面40aをカバー部材202の裏面に対向させた状態で、遊技制御基板40をカバー部材202内に嵌め込んで位置決めし、遊技制御基板40の四隅に取付ネジ238を取り付け、カバー部材202のネジ穴(図示略)に取り付ける。
このように、カバー部材202の裏面側に、実装面40aが被覆されるように遊技制御基板40を取り付けた状態で収容することで、万が一カバー部材202が不正に開放された場合でも、カバー部材202から遊技制御基板40を取り外さない限り、実装面40aに実装されたメインCPU41aやROM41b等の電子部品に不正行為を施すことができなくなるので、手間がかかるようになる。
次いで、カバー部材202の裏面側に取り付けられた遊技制御基板40の裏面40bをベース部材201のベース板201aの前面と対向させ、ベース部材201の短辺201cからカバー部材202の側壁202cがはみ出すようにカバー部材202をベース部材201に近接し、カバー部材202の各係合片220をベース部材201の各係合溝250の開放端部から挿通する。このとき、カバー部材202の側壁202cによりベース部材201の側壁201bの外面が覆われる。そしてこの状態で、カバー部材202を右側に向けて長手方向(図6中右側に向けて)にスライドさせる。
そして、各係合片220が各係合溝250の端部に当接するとともに、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に当接してスライド移動が規制されると、左側の短辺では、ベース部材201の係止片203,203が挿通穴222,222内に挿通される。このように、各係合片220が各係合溝250に係合され、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に係止され、係止片203,203が挿通穴222,222内に挿通されることによりベース部材201にカバー部材202が組み付けられ、ベース部材201に対するカバー部材202の組付位置が決定し、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされてベース部材201の開口が閉鎖された閉鎖状態(係止状態)となり、後述する封止が可能な状態となる(図9及び図10参照)。
このように本実施例の基板ケース200は、前記閉鎖状態からカバー部材202を開放するためには、まずベース部材201のベース板201aに沿ってカバー部材202をスライド移動させなければ、ベース部材201に対してカバー部材202を係止または係止状態を解除することができず、係止作用によりベース部材201からのカバー部材202の離脱、つまり浮き上がりが効果的に規制される。
また、閉鎖状態において、予備用封止片232の取付孔234がネジ孔210の対向位置に配置されるとともに、取付穴227がネジ孔209の対向位置に配置され、また、カバー側溶着部223がベース側溶着部207の対向位置に配置される(図10(a)参照)。
ここで、例えばメーカー等により、遊技制御基板40を基板ケース200内に収納して遊技店等に出荷する際等においては、溶着部であるカバー側溶着部223とベース側溶着部207とを、例えば超音波溶着機等を用いて超音波溶着(かしめ)する(第1封止状態とも言う)。また、閉鎖ネジ226は、外周に雄ネジ部(取付部)が形成された棒状部と、該棒状部の一端に形成され凹部227aに収納される頭部と、からなる一般的なネジであり、凹部227aの開口227bから取付穴227に閉鎖ネジ226の棒状部を挿通してネジ孔209に螺入した後、カバー側封印部224とベース側封印部229とに跨るように封印シール400を貼付して封止状態(第2封止状態または封印状態とも言う)を構成するとともに、該貼着した封印シール400を覆うように、合成樹脂材からなるコ字形のシール保護カバー228をカバー部材202とベース部材201とを挟み込むように装着し、封印シール400を保護した状態で出荷する。
このようにベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが融解変形して溶着されて互いに一体化されるため、両者を剥離させることが極めて困難となる。そしてこのようにベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが固着されることで、ベース部材201に対するカバー部材202のスライド移動が規制されるため、ベース部材201に対するカバー部材202の係止状態を解除することができなくなる。すなわち、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの固着状態を解除しない限り、カバー部材202を開放することができない封止状態が形成される。
ここで、例えばカバー部材202をベース部材201に対して係止解除方向に強制的にスライド移動させることでカバー側溶着部223とベース側溶着部207とを剥離する場合、互いの対向面同士が融解して変形していることから、カバー側溶着部223及びベース側溶着部207双方、つまりベース部材201及びカバー部材202双方に傷や変形痕が残ることになるため、カバー部材202が開放(開封)された可能性があることを確実に発見することができる。
(コネクタカバー)
次に、コネクタ規制部材650の詳細な構造について、図11〜図17に基づいて説明する。図11は、(a)〜(c)はコネクタ規制部材を示す斜視図である。図12は、(a)はコネクタ規制部材を示す正面図、(b)は底面図、(c)は背面図、(d)は右側面図である。図13は、(a)は図12(a)のC−C断面図、(b)はD−D断面図、(c)はE−E断面図である。図14は、コネクタ規制部材が取り付けられた基板ケースを示す斜視図である。図15は、図14のH−H断面図である。図16は、(a)は図14のF−F断面図、(b)はG−G断面図である。図17は、コネクタ規制部材の取り付け状況を示す断面図である。尚、以下の説明においては、図2に示すように筐体1aの背板1cに配置された基板ケース200に取り付けられたコネクタ規制部材を筐体1aの正面から見た場合を基準として、該コネクタ規制部材の上下、左右、前後方向を示すものとする。
図11〜図13に示すように、コネクタ規制部材650は、例えば透明なポリカーボネート樹脂材等の合成樹脂材にて構成され、カバー部材202に形成された係合筒237に取り付けられる被取付部651と、正面視略横長長方形状をなすとともに、被取付部651の右側に背面が開口する箱状に形成された被覆部652と、被取付部651の左側に正面視二股状に形成された支持部653と、から構成される。
被取付部651は、右壁654a、左壁654b、下壁654c、上壁654dにより正面視四角枠状に形成され、上壁654dを除く右壁654a、左壁654b、下壁654cの内面からそれぞれ連設される連結片655を介して、カバー部材202に形成された係合筒237内に嵌合可能な外径を有する被係合筒656が前後方向を向く姿勢で連結保持されている。また、被係合筒656は、各壁654a〜654dに囲まれた空間内において上壁654d寄りに偏った位置に配設されている。
被係合筒656の上面及び底面側の後部には、係合穴657がそれぞれ形成されており、係合筒237内に被係合筒656が嵌合されたときに、該係合筒237内に設けられた弾性爪237aが係合穴657に係合することで、係合筒237に対する被係合筒656の逸脱方向への移動が規制される。
左壁654bを除く右壁654a、下壁654c、上壁654dには、それぞれ後辺には切欠部658a〜658cが形成されており、被覆したケーブル側コネクタ610b,610dから延出されたケーブル600b,600dを、切欠部658a〜658cを通して外部に挿通できるようになっている。
下壁654c及び上壁654dの一端側は、左壁654bよりも左側に向けて互いに平行に延設され平面視略三角形状をなす突出部659,659を構成しており、これら突出部659,659の間に、基板側コネクタ620a及びケーブル側コネクタ610aが配置される凹部660が形成されている。
被覆部652は、正面視横長長方形状をなし、下壁654c及び上壁654dと前壁661とにより背面側が開口する箱状に形成され、被取付部651から右側に向けて延設されている。前壁661は、被取付部651から右方向(他方側)に向けて背面側に傾斜する第1湾曲部662と、上壁654dの前辺から下方向に向けて拡がるように背面側に傾斜する第2湾曲部663と、から構成されている。
より詳しくは、第1湾曲部662は、被取付部651の前部から右方向に向けて水平に延設される幅狭な水平面662aと、水平面662aの右端から右後方に向けて漸次幅広となる湾曲面662bと、湾曲面662bの右端から右後方に向けて延設される平坦面662cと、から構成される。そしてこれら水平面662aと湾曲面662b及び湾曲面662bと平坦面662cとの連接部は、一方が湾曲面662bであることにより屈曲部は存在しない。つまり、被取付部651から右側に離れる方向に向けて形成される第1湾曲部662は、湾曲面を一部に有する屈曲部のない連続面にて構成されている。これに対し第2湾曲部663は、上部から下部にかけて湾曲する湾曲面のみで形成されている。
このように前壁661は、被取付部651から右方向に延設された第1湾曲部662の左側上部から角部を抉り取るように第2湾曲部663が形成されている。よって、第1湾曲部662と第2湾曲部663との境界C1及び下壁654cと第2湾曲部663との境界C2に、角度約90度以下の屈曲部(角部)が形成されないようにしているとともに、下壁654cの前後幅が短いため、境界C1、C2に形成される屈曲部に手指が掛かり難くされている。尚、第1湾曲部662と上壁654dとの境界C3は角度約90度の屈曲部(角部)が形成されている。
図11(c)、図12(b)(c)及び図13に示すように、コネクタ規制部材650の後端面665(図中網点で示される領域)は、被取付部651の左側に被係合筒656の軸心Pに対し直交する方向を向く第1後端面665aと、被取付部651の右側に該第1後端面665aに対し傾斜する第2後端面665bと、から構成されている。
第2後端面665bは、下壁654c、上壁654b、前壁661と同じ板厚幅寸法を有し、互いに平行をなす下壁654c及び上壁654bの後端面と前壁661の後端面とにより背面視略コ字形に形成され、軸心Pに対し直交する方向を向く水平面Hに対し、被取付部651側である左側部から右側辺(他方側)に向けて背面側に所定角度θ(例えば、θ=約2〜4度)傾斜する平坦面にて構成されている(図13(a)参照)。
すなわち、当接面である第2後端面665bは、取付手段である係合筒237,弾性爪237aと被係合筒656,係合穴657によりカバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付ける際の取付姿勢{カバー部材202にコネクタ規制部材650が取り付けられていない状態であるが、取り付けられたときに被覆状態が形成される姿勢、第2後端面665bを凹溝底面202g側に向けた姿勢(例えば、図17(a)参照)}において、被取付部651側(一方側)から被取付部651がない右辺部R側(他方側)に向けて被当接面である凹溝底面202g側に傾斜するように形成されている。
次に、このように構成されたコネクタ規制部材650によるコネクタの抜脱規制について、図14〜図17に基づいて説明する。
図14〜図16に示すように、コネクタ規制部材650は、遊技制御基板40が収容された状態で封止された基板ケース200におけるカバー部材202に取り付け可能に形成されている。詳しくは、カバー部材202における凹溝部202eの凹溝底面202gに形成された各コネクタ用開口236a〜236eのうち、コネクタ用開口236c,236dから前方に突出した基板側コネクタ620b,620d及びこれら基板側コネクタ620b,620dに接続されたケーブル側コネクタ610b,610dを被覆部652により前面側から被覆するように、凹溝部202eの長手方向に沿って左右方向に向けた状態で取り付けられる。
尚、取り付けに際して、ケーブル側コネクタ610b,610dのケーブル600b,600dは、被覆部652から切欠部658cを介して被取付部651に挿通した後、下壁654cに形成された切欠部658a(図14参照)から外部に延出することが好ましい。また、被取付部651において、被係合筒656は上壁654d側に偏って配置されていることで、下壁654cの切欠部658a側に広い配線スペースが確保されている。
コネクタ規制部材650をカバー部材202に取り付けるには、カバー部材202の凹溝底面202gに突設された係合筒237に、被係合筒656が嵌合されるように、カバー部材202の前面側からコネクタ規制部材650を取り付ける(図17(a)参照)。係合筒237に被係合筒656が嵌合されると、該係合筒237内で弾性爪237aが係合穴657に係合され、これにより係合筒237に対する被係合筒656の逸脱方向への移動が規制される(図17(b)参照)。
また、被係合筒656の上面は閉鎖されているとともに、弾性爪237aの係合穴657への係合が係合筒237内で行われていることで、被係合筒656の係合状態を外部から解除することはできない。すなわち、例えば連結片655等をニッパ等の工具により切断して被取付部651を被覆部652及び支持部653から分離させる、あるいは、コネクタ規制部材650またはカバー部材202の所定箇所を破壊する等しない限り、カバー部材202からコネクタ規制部材650を取り外すことはできない。
よって、連結片655を切断した場合も、コネクタ規制部材650またはカバー部材202の所定箇所を破壊した場合もいずれも痕跡が残りうるため、不正者によりコネクタ規制部材650がカバー部材202から取り外された場合でも、その痕跡が残されていることで、不正に取り外された可能性があることを判別することができる。
つまり、係合筒237,弾性爪237aと被係合筒656,係合穴657とは、ベース部であるカバー部材202にコネクタ規制部材650を、痕跡を残すことなく解除することが不能な状態、すなわち、一度取り付けたらカバー部材202やコネクタ規制部材650等の取り付けに関連する取付関連部位を破壊しない限り取付状態を解除することができない状態で取り付ける取付手段を構成している。
そして、このようにコネクタ規制部材650が取り付けられた状態において、凹溝底面202gに第2後端面665bが当接して被覆部652によるコネクタ用開口236c,236dの被覆状態が形成される(図17(b)参照)。
ここで、コネクタ規制部材650をカバー部材202に取り付ける際における第2後端面665bと凹溝底面202gとの当接状況について説明する。
まず、被係合筒656を係合筒237内に嵌合し、弾性爪237aが係合穴657に係合される直前において、第2後端面665bは、第1後端面655aに対し右辺部R側が背面側に傾斜するように配設されているため、凹溝底面202gに対し右辺部Rが先に当接する(図17(a)参照)。
次いで、被取付部651をカバー部材202側に向けてさらに押圧していくと、右辺部Rを支点として、第2後端面665bの被取付部651側が凹溝底面202gに近接していき、係合穴657に弾性爪237aが係合されたときに、第2後端面665bの全域が凹溝底面202gに当接する(図17(b)(c)参照)。
尚、右辺部Rを支点として被取付部651をカバー部材202側に押圧した場合、例えばコネクタ規制部材650の変形、具体的には、被係合筒656に対して比較的脆弱な連結片655を介して連結されている被覆部652が、該被係合筒656の軸心Pに対して直交する方向に傾いたり、被覆部652全体や第2後端面665bを形成する下壁654c,上壁654dが撓んだり捩れたりすること、あるいは、凹溝底面202gが押圧されて変形すること等により、それらの弾性復帰力により第2後端面665bと凹溝底面202gとの密接力が高まるようになる。
このように、第2後端面665bは、被取付部651から右辺部R側に離れる方向に向けて凹溝底面202g(後側)側に傾斜していることで、弾性爪237aが係合穴657に係合した状態において、第2後端面665bの被取付部651側よりも先に当接する右辺部R側の方が凹溝底面202gに対する圧接力が高くなる。よって、コネクタ用開口236c,236dを囲むように形成されたコ字形の第2後端面665bのうち、被取付部651から最も離れた位置にある右辺部Rを、凹溝底面202gから浮き上がらせにくくなる。
図17に示すように、係合筒237に被係合筒656が嵌合され弾性爪237aが係合穴657に係合された取付状態において、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236c,236dの周囲に第2後端面665bが密接され、これにより、被覆部652により基板側コネクタ620b,620d及び該基板側コネクタ620b,620dに接続されたケーブル側コネクタ610b,610cが被覆される被覆状態が形成される。
この被覆状態において、前壁661がケーブル側コネクタ610b,610cに近接して配置されるため、基板側コネクタ620b,620dからケーブル側コネクタ610b,610cを手前側に抜脱しようとしても、前壁661により当接規制されて抜脱できなくなる。
また、特に図17(b)に示すように、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236dの右隣近傍位置に形成されたコネクタ用開口236eから、基板側コネクタ620e(ケーブル側コネクタ610e)が凹溝底面202gに対し突出して設けられることで、第2後端面665bと凹溝底面202gとの間にマイナスドライバー等の不正器具等を右辺部R側から差し込む際に基板側コネクタ620eが邪魔になるため、不正行為を抑制することができる。このように基板側コネクタ620eやケーブル側コネクタ610eを利用することで、カバー部材202の成型が容易になる。
また、図17(c)に示すように、コネクタ規制部材650の下壁654cと第2湾曲部663との境界C2は、カバー部材202の側壁202bの前端と前後方向のほぼ同位置に配設される。また、第1湾曲部662と上壁654dとの境界C3は、カバー部材202の前面よりも後側に配置されている。具体的には、凹溝底面202gから被覆部652の前壁661までの前後幅寸法L1より、凹溝底面202gからカバー板202aまでの前後幅寸法L2の方が長寸とされていることで(L1<L2)、被覆部652を上側に手指を掛けることが困難となる。
よって、境界C2は側壁202bの前端よりも前方に大きく突出した位置に配置されることはないので、側壁202bが邪魔になり境界C2に手指をかけにくい。一方、境界C3は、側壁202bの前端よりも前方に大きく突出した位置に配置されているが、上側の傾斜壁202hよりも後位置であるため、傾斜壁202hが邪魔になって手指をかけにくい。よって、被覆部652を上下から手指で摘もうとしても側壁202bや傾斜壁202hが邪魔になるので、被覆部652の右辺部R側を摘んで手前側に引張ることが困難となる。
また、側壁202bに対して下壁654cがほぼ当接した状態で近接配置されているため、側壁202bと下壁654cとの間にマイナスドライバー等の不正器具を差し込みにくい。また、傾斜壁202hに対して上壁654dが隙間を隔てて配置されているものの、隙間は極めて小さく手指を差し込み難いとともに、傾斜壁202hの後部に対して上壁654dがほぼ当接した状態で近接配置されているため、傾斜壁202hと上壁654dとの間に手指やマイナスドライバー等の不正器具を差し込みにくい。
尚、本実施例では、第1湾曲部662と上壁654dとの境界C3には角度約90度の屈曲部が形成されているが、このような第1湾曲部662と上壁654dとを屈曲部がない連続面にて構成すれば、傾斜壁202hに対して上壁654dが隙間を隔てて配置されていても、手指を引っ掛けにくくすることができる。
よって、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236c,236dの下縁近傍には側壁202bが立設され、コネクタ用開口236c,236dの上縁近傍には傾斜壁202hが立設されていることで、被覆部652の上下側から凹溝底面202gと第2後端面665bとの間にマイナスドライバー等を差し込む際に側壁202bや傾斜壁202hが邪魔になるので、被取付部651から離れる方向に対して直交する方向(上下方向)からの不正器具の差し込みを防止できる。
尚、本実施例では、マイナスドライバー等の右辺部Rからの差し込みを防止するために、基板側コネクタ620e及びケーブル側コネクタ610eが、コネクタ用開口236dの右隣に形成されたコネクタ用開口236eから前方に突出するように配設され、これを壁部として利用していたが、例えば、凹溝底面202gのコネクタ用開口236dの右縁部近傍に壁部(突起部)等を立設することで、マイナスドライバー等の右辺部Rからの差し込みを防止できる。
図17(b)に示すように、前壁661の前面、つまり、被取付部651から右側に向けて形成される第1湾曲部662は、左右方向に向けて屈曲部のない連続面にて形成されている。つまり、被覆部652を前壁661、下壁654c、上壁654d、左壁、右壁とにより背面が開口する箱状に形成した場合、前壁661と右壁との間に右辺部Rに沿った屈曲部が形成されるが、上記の第1湾曲部662のように前壁661と右壁とを連続面とすることにより、第1湾曲部662の右辺部R側に手指をかけにくくなる。
また、被取付部651を挟んで反対側に支持部653が突出されていることで、右辺部R側に手指をかけて凹溝底面202gから浮き上がらせようとする際に、支点が被取付部651よりも左側になるので、取り付け状態を解除せずにコネクタ規制部材650の右辺部R側を浮き上がらせることが困難となる。
また、前壁661は、左右方向に向けて湾曲する第1湾曲部662だけでなく、上下方向に向けて湾曲する第2湾曲部663も有していることで、上壁654dや下壁654cに沿って屈曲角度が約90度以下の屈曲部が形成されないことで、横長のコネクタ規制部材650の上壁654d及び下壁654cの外側を指で挟みにくくなるため、右辺部R側を上下から挟んで手前側に引張ることによる浮き上がりが防止される。
尚、このように被覆部652の外面を構成する連続面は、少なくとも屈曲角度が90度以下の屈曲部が存在しない面であればよい。すなわち、例えば屈曲角度が約90度以上の屈曲部であれば、90度以下の屈曲部に比べて手指を引っ掛けにくいため、90度以上の屈曲部を有していてもよい。よってこの場合、互いに90度以上の屈曲角度で連接される複数の平坦面にて構成されていてもよいが、好ましくは、90度以上の屈曲部が存在しない、曲率が小さい湾曲面等にて構成されている方がよい。例えば、被覆部652は縦断面略後向きU字形をなすドーム状に形成されていてもよい。
以上説明したように、本発明の実施例としてのスロットマシン1にあっては、被係合筒656を係合筒237に嵌合して、ベース部であるカバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付けることで、カバー部材202からコネクタ規制部材650が取り外された場合は、連結片655等が切断されるなどその痕跡が確実に残るため、不正行為が行われた可能性があることを発見することができる。
また、当接面である第2後端面665bが取付手段の一部を構成する被係合筒656から離れる方向(右方向)、つまり、被覆部652の一方側に設けられた被係合筒656から該被係合筒656がない他方側に向けて被当接面である凹溝底面202g側となる後側に傾斜していることで、被覆状態において、被係合筒656から離れるにつれて第2後端面665bの凹溝底面202gに対する圧接力が弱まることを抑制でき、これにより第2後端面665bと凹溝底面202gとの間にマイナスドライバー等の異物を差し込み難くなる。
特に本実施例では、第2後端面665bは、被取付部651である被係合筒656の軸心Pから離れる方向である上・下・右方向のうち、離間距離が最も長い右辺部Rがある右方向に向けて後側に傾斜する平坦面にて構成されていることで、取り付けの際に左辺部よりも先に右辺部Rの方が凹溝底面202gに当接する。よって、被取付部651を押圧して第2後端面665b全域を当接することで、より右辺部Rの凹溝底面202gに対する圧接力が高まるので、軸心Pからの距離が最も長く圧接力が弱まる位置を浮き上がらせることを困難とすることができる。
このように、コネクタ規制部材650をカバー部材202から取り外すことなく、例えばマイナスドライバーを第2後端面665bと凹溝底面202gとの間に差し込んで被覆部652を凹溝底面202gから強制的に浮き上がらせることにより、ケーブル側コネクタ610b,610dの被覆状態、つまり、ケーブル側コネクタ610b,610dの基板側コネクタ620b,620dに対する抜脱方向への移動規制状態を解除し、ケーブル側コネクタ610b,610dを強引に抜脱するといった不正行為を防止することができる。
また、被覆部652の外面のうち、被取付部651から右方向に向けて形成される第1湾曲部662は、屈曲角度が90度以下の屈曲部のない連続面にて形成されていることで、被覆部652の外面には屈曲部等の手指等を引っ掛けやすい部位が存在しないため、外面に手指等を引っ掛けてカバー部材を浮き上がらせることを防止できる。
また、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236c,236d上縁及び下縁の近傍位置に、被覆部652の外面を側方から被覆可能な高さを有する壁部としての側壁202bや傾斜壁202hが立設されていることで、コネクタ規制部材650がカバー部材202に取り付けられた状態において、凹溝底面202gの近傍に立設される側壁202bや傾斜壁202hが邪魔になり、凹溝底面202gと第2後端面665bとの間にマイナスドライバー等の異物を差し込みにくくなるとともに、被覆部652の側面、つまり、被覆状態において凹溝底面202gに対して立設される上壁面や下壁面に手指を掛け難くなるため、被覆部652の側面を摘んで浮き上がらせることを防止できる。
また、凹溝底面202gにおけるコネクタ用開口236b,236dの周縁の近傍位置に、被覆部652の外面を一側方(上方)から被覆可能な高さを有する傾斜壁202h(第1壁部)が立設されるとともに、該傾斜壁202hより低く、他側方(下方)から被覆可能な高さを有する側壁202b(第2壁部)が立設され、被覆部652の外面のうち、上方から下方に向けて形成される外面である第2湾曲部663は、屈曲部のない連続面にて形成されていることで、傾斜壁202hの前端から側壁202bの前端にかけて屈曲部等の手指等を引っ掛けやすい部位が存在しないため、外面に上側または下側から手指等を引っ掛けてカバー部材を浮き上がらせることを防止できる。
また、凹溝底面202gの周縁のうち、被取付部651から最も離れた右辺部Rの近傍位置に、遊技用部材である基板側コネクタ620b,620d及びケーブル側コネクタ610b,610dとは別個の所定部材である基板側コネクタ620e及びケーブル側コネクタ610eがコネクタ用開口236eを介して第2後端面665bに対し突出するように配設されていることで、コネクタ規制部材650がカバー部材202に取り付けられた状態において、被取付部651から最も離れ凹溝底面202gに対する圧接力が弱くなる右縁部の近傍位置にある基板側コネクタ620e及びケーブル側コネクタ610eが邪魔になり、凹溝底面202gと第2後端面665bとの間にマイナスドライバー等を差し込みにくくなる。
また、被覆部652により被覆されたケーブル側コネクタ610b,610dから延出されたケーブル600b,600dは、被取付部651に挿通された後、該被取付部651を構成する下壁654cに形成された切欠部658aから外部に引き出されるようになっている(図14参照)。このようにケーブル600b,600dの挿通部である切欠部658aが被覆部652に形成されないことで、例えば引き出されたケーブル600b,600dが手前側に向けて強く引張られてもその引張り力が被覆部652に直接及ぶことがないので、浮き上がりが防止される。
また、コネクタ規制部材650は、凹溝底面202g上に突出するように露呈した基板側コネクタ620b,620d及びケーブル側コネクタ610b,610dを周囲から被覆可能に構成されていたが、必ずしも基板側コネクタ620b,620d及びケーブル側コネクタ610b,610d全体を被覆していなくてもよい。
すなわち、カバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付ける主たる目的は、被覆部652の第2後端面665bと凹溝底面202gとの間にマイナスドライバー等を差し込むことにより被覆部652の右辺部R側を浮き上がらせ、基板側コネクタ620b,620dからのケーブル側コネクタ610b,610dの抜脱方向への移動規制状態を解除して、カバー部材202からコネクタ規制部材650を取り外さずに抜脱されることを防止することである。
従って、コネクタ規制部材650は、例えばケーブル側コネクタ610b,610dの一部を被覆するように当接規制することで、基板側コネクタ620b,620dからのケーブル側コネクタ610b,610dの抜脱方向への移動を当接規制しうるものであれば、必ずしもこれらコネクタ全体を被覆していなくてもよい。
また、本実施例では、コネクタ規制部材650は、複数の基板側コネクタ620a〜620e及びケーブル側コネクタ610a〜610eのうち、遊技用部材の一例である基板側コネクタ620b,620d及びケーブル側コネクタ610b,610dを被覆するように構成されていたが、これら以外の基板側コネクタ620a〜620eやケーブル側コネクタ610a〜610eを被覆しうるものであってもよい。また、コネクタ規制部材650と同様に構成されたコネクタ規制部材650a,650b(図4参照)のように、遊技用部材としての他のコネクタを被覆しうるものであってもよい。
また、本実施例では、1つの被覆部652で2つの基板側コネクタ620b,620d及びケーブル側コネクタ610b,610dを被覆可能に構成されていたが、1つのコネクタのみを被覆可能であってもよいし、3つ以上のコネクタを被覆可能に構成されていてもよい。
また、本実施例では、カバー部材202にコネクタ規制部材650を取り付ける取付手段は、連結片655等の取り付け関連部位を破壊しない限り取り付けた状態を解除することができないように取り付けできるものであったが、痕跡が残らないように解除することが不可能な状態で取り付けるものであれば、例えば、実施例のように係合爪の係合による取り付けだけでなく、例えば従来公知のワンウェイネジ等、取り付けた後に取り外すことができない取付部材により取り付けてもよいし、あるいは、一般的な取付ネジと、例えば剥離した痕跡が残り得る封印シールとにより取付手段を構成し、封印シールをコネクタ規制部材650とカバー部材202とに跨るように貼着することにより取り外した痕跡が残り得るようにしてもよい。
また、このように取り付け状態を解除するために取り付け関連部位を破壊しなければならないものに限定されるものではなく、痕跡が残らないように解除することが不可能な状態で取り付けるものであれば、例えば錠前と鍵を用いてカバー部材をベース部に取り付けるようにしてもよい。この場合、例えば遊技場の店員等、スロットマシン1を管理する管理者にしか解除操作することができないため、取り付け状態を解除するには関連部位を破壊するしかないが、管理者が解除操作を行えば、破壊を伴うことなく解除(解錠)操作を行うことができる。また、例えば、管理者しか判らない暗証番号や識別情報(指紋情報等も含む)が認証されたときのみ施錠状態を解除できる施解錠装置や、管理者のみが所有する鍵や工具等の特殊部材を用いて操作されたときのみ施錠状態を解除できる施解錠装置や、管理者のみが所有する溶剤等の特殊部材を用いたときのみ接着状態を解除できる接着剤等を含む。
また、前記実施例では、第2後端面665bは平坦面にて構成され、被係合筒656の軸心Pに対して直交する面に対し傾斜するように設けられていたが、例えば被取付部651から右辺部Rにかけて、凹溝底面202g側に向けて僅かに湾曲する湾曲面にて構成してもよい。
次に、本発明の変形例としてのカバー部材について、図18及び図19に基づいて説明する。図18は、変形例としてのコネクタ規制部材を示す図である。図19は、他の変形例としてのコネクタ規制部材を示す図である。
図18に示すように、変形例としてのカバー部材1650は、被取付穴1653を有する被取付部1651と、被取付部1651の左右側に形成され、一面が開口する箱状をなし、基板側コネクタKCN1,2及びケーブル側コネクタHCN1,2の周囲を覆うように形成される被覆部1652a,1652bと、から構成されており、凹溝底面1660に形成されたネジ穴1656に、例えば被取付穴1653に取り付けたワンウェイネジ1654をネジ穴1656に螺入することで取り付けできるようになっている。
ここで、被覆部1652a,1652bに形成された後端面1655a,1655bは、被取付部1651のうち被取付穴1653の軸心から離れる方向に向けて凹溝底面1660側に傾斜するように形成されている。すなわち、後端面1655a,1655bは、被覆部1652a,1652bの一方(被覆部1652aの右側,被覆部1652bの左側)に形成された被取付穴1653の軸心から離れる方向のうち一方向に向けてのみ傾斜する傾斜面に限定されず、被取付穴1653の軸心から放射状に離れる多方向に向けて傾斜する傾斜面であってもよい。
この場合、傾斜面は、例えば被取付穴1653の軸心を中心とする球状面にて構成されることになるので、被取付穴1653の軸心から該被取付穴1653がない他方向である上・下・左・右のうち左右方向に傾斜するだけでなく、上下方向に対しても傾斜する。よって、被取付穴1653の軸心から最も離れた位置である左右辺部だけでなく、上下辺部においても被取付穴1653の軸心から離れる方向に傾斜しているため、上辺または下辺からの浮き上がりが防止される。
次に、図19に示すように、変形例としてのカバー部材2650は、被取付部1651と、被取付部1651の左右側に形成される一面が開口する箱状をなし、遊技用部材の他の例であるCPU2660の上面2661の一部の被覆領域Z(図中網点領域)を覆うように形成される被覆部2652と、から構成されており、ベース部の一例となるベース部材201に形成されたネジ穴2654に、例えば、被取付部2651に取り付けたワンウェイネジ2653をネジ穴2654に螺入することで、ベース部材201に取り付けできるようになっている。
ここで、被覆部1652に形成された後端面2655は、被取付部2651から離れる方向(左側)に向けて上面2661側に傾斜するように形成されている。すなわち、ワンウェイネジ2653の取付穴の軸心に対し直交する水平面に対して傾斜するように形成されている。よって、ワンウェイネジ2653によりカバー部材2650をベース部材201に取り付けることで、後端面2655の左辺部の上面2661に対する圧接力が高まるため、被取付部2651から最も離れた位置にある左辺部からマイナスドライバー等の異物を差し込みにくくすることができる。また、当接面は、前記実施例の第2後端面665bのように、遊技用部材の周囲を覆うように枠状に形成される面でなくてもよい。
このように、カバー部材2650は、ベース部材201に取り付けたときに、被覆部2652により遊技用部材としてのCPU2660の上面2661の一部に形成された被覆領域Zを被覆するように形成され、これによりCPU2660の制御基板Kからの逸脱方向への移動が規制されれば、被覆状態において必ずしもCPU2660全体を被覆するものでなくてもよい。
また、前記実施例では、当接面である第2後端面665bが当接する被当接面である凹溝底面202gは、遊技用部材である基板側コネクタ620b,620dやケーブル側コネクタ610b,610dとは別個の部材に形成されていたが、本変形例のように、カバー部材2650に形成される当接面である後端面2655が当接する被当接面は、遊技用部材としてのCPU2660の上面2661に形成されていてもよい。つまり、この場合、後端面2655は被覆部とともに抜脱を規制する規制面を構成している。
また、前記実施例及び変形例1では、カバー部材の一例として、遊技用部材の一例であるケーブル側コネクタの抜脱を規制するコネクタ規制部材650,1650等を記載したが、変形例2に記載したカバー部材2650のように、遊技用部材としてのCPU2660の基板からの抜脱を規制するものであってもよい。
このように遊技用部材は、コネクタやCPU等に限定されるものではなく、例えばスロットマシン1に設けられた遊技用部品であればよく、例えば設定キースイッチ37やリセット/設定スイッチ38等のキーやスイッチ、あるいは操作レバー等も遊技用部材に含まれる。
また、カバー部材は、コネクタ規制部材のように、遊技用部材の移動を当接規制する部材でなくてもよく、例えば所定のスイッチ等の周囲を操作不能に被覆したり、所定のキー溝にキーを差込不能に被覆する被覆部材等であってもよい。
また、カバー部材は、コネクタ規制部材650の被覆部652のように一面が開口する箱状に形成されるものに限定されるものではなく、例えば、カバー部材2650のような板状部材にて構成されていてもよい。具体的には、特に図示はしないが、所定の操作面にスイッチを操作可能とするスイッチ用開口が形成されている場合、操作面におけるスイッチ用開口を閉鎖可能な大きさを有する板状部材であればよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
例えば、前記実施例では、本発明の遊技機の一例として、遊技用価値としてメダル(遊技媒体)やクレジット等を用いて遊技を行うスロットマシン1を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技用価値としてパチンコ球(遊技媒体)を用いて遊技を行うスロットマシンであってもよいし、パチンコ遊技機や雀球遊技機等にも適用可能である。
また、前記実施例では、遊技者所有の遊技用価値としてのメダルの一部(前記実施例では50枚まで)をクレジットとして記憶可能であり、メダルまたはクレジットを用いることで遊技(ゲーム)を行うことができるようになっていたが、例えば貸出要求に応じて貸し出された価値や入賞に応じて付与された価値を全てクレジットとして記憶し、該クレジットのみの使用で遊技を行うことが可能な遊技機であってもよく、この場合、遊技用価値とはクレジットにあたる。
また、本発明は、所定の遊技を行うことが可能な遊技機であればよく、例えば入賞や大当り等の発生など遊技を行うことにより成立する所定条件の成立にもとづいて有価価値を付与する遊技機にも適用可能である。
また、有価価値とは、遊技を行うための遊技用価値としてのメダルや遊技球等の遊技媒体であってもよいし、賭数の設定をクレジットのみを使用して行う完全クレジット式であればクレジットを付与するものであればよい。