JP5818708B2 - 非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器及び波長分割多重送信器 - Google Patents

非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器及び波長分割多重送信器 Download PDF

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Description

本発明は光デバイスである非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器と、この非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器を備えた波長分割多重送信器に関する。
現在の光通信の伝送速度の更なる高速化の要求に対して、光強度のオン・オフを高速に切り替えることができる光強度変調器が必要とされている。
一般に高速・長距離の光信号伝送の実現のためには、光信号のオン・オフの強度比である消光比が大きいことが重要である。
また、一方で近年、光通信機器が消費する電力の低減が重要視されている。
従って、高い消光比を低消費電力にて実現できる光強度変調器が必要とされている。
光強度変調器の種類としては、光導波路に電界を印加することで光導波路材料に光を吸収させる電界吸収型の光強度変調器(EAM)と、マッハツェンダー干渉計型光導波路の一部の屈折率を制御し、光の結像位置を変化させることで光強度の強弱を得るマッハツェンダー干渉計型の光強度変調器が挙げられる。
電界吸収型光強度変調器は光導波路に電極を装荷するのみで光強度変調の機能が得られ、光カプラが必要なマッハツェンダー干渉計型と比較してその構成が簡素であり、作製が比較的容易であるという利点を有している。
W.Kobayashi, M. Arai, T. Yamanaka, N. Fujiwara, T. Fujisawa, T. Tadokoro, K. Tsuzuki, Y. Kondo, F. Kano, "Design and Fabrication of 10-/40-Gb/s, Uncooled Electroabsorption Modulator Integrated DFB Laser With Butt-Joint Structure", IEEE/OSA Journal of Lightwave Technology, vol. 28, pp.164-171, Jan. 2010. T. Fujisawa, T. Yamanaka, T. Tadokoro, N. Fujiwara, M. Arai, W. Kobayashi, Y. Kawaguchi, K. Tsuzuki, and F. Kano, "Theoretical and Experimental Investigation of the Incident-Power-Dependent Extinction Ratio of an Electroabsorption Modulator Integrated with a Distributed Feedback Laser", IEEE Journal of Quantum Electronics, vol. 47, pp.60-65, Jan. 2011.
しかしながら、電界吸収型光強度変調器は、その簡素な構造ゆえに設計の自由度が低く、本質的には電界吸収型光強度変調器を構成する半導体の層構造と電界を印加する電極長が決定されてしまうと、電界吸収型光強度変調器としての特性、具体的には駆動電圧に対する消光比特性を更に向上する手段が乏しいという問題があった。
一般に、寄生容量の観点から、電界吸収型光強度変調器の電極長(即ち電界吸収型光強度変調器の長さ)が短いほど、電界吸収型光強度変調器の高周波特性がよい。10Gbpsや40Gbpsの高速な光強度信号には、200μm以下のEAMの長さが適している。(非特許文献1)
本発明はこれらの問題を解決するために提案されるものである。
即ち、電界吸収型光強度変調器を構成する半導体の層構造と電界(駆動電圧)を印加する電極長が決定された電界吸収型光強度変調器に対して、更なる消光比の向上を提供する。
これは、所望の消光比を得るために必要な駆動電圧の低減も意味する。
駆動電圧の低減が達成されると、一般的に光通信用送信器の駆動に用いられる高価な化合物半導体電子回路によるドライバを安価なCMOS回路に置き換えることや、更にはドライバそのものを必要とせずに、信号発生源から直接送信器を駆動できる可能性があり、光送信器モジュール全体で見た際のコストや消費電力の削減に寄与できる。
従って本発明は上記の事情に鑑み、電界吸収型光強度変調器単体と比較して、その消光比の増大、または駆動電圧の低減、または高周波特性の向上を図ることができる非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器と、この非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器を備えた波長分割多重送信器とを提供することを課題としている。
上記課題の克服のために、電界吸収型光強度変調器の屈折率変化に着目した。
通常、電界吸収型光強度変調器はその光吸収特性が積極的に利用され、屈折率変化に関しては生成光信号の瞬時周波数の時間変化、いわゆるチャーピングを引き起こすことから、この現象を抑制することに焦点が当てられてきた。
本発明ではこの電界吸収型光強度変調器の屈折率変化を積極的に利用する。
本発明の構成は次のとおりである。
上記課題を解決する第1発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器は、
第1の入力光導波路と、
第2の入力光導波路と、
第1の入力側が、前記第1の入力光導波路の出力側に結合され、第2の入力側が、前記第2の入力光導波路の出力側に結合された非対称な光強度分岐比を持つ第1の2x2カプラと、
入力側が、前記第1の2x2カプラの第1の出力側に結合された第1のアーム光導波路と、
入力側が、前記第1の2x2カプラの第2の出力側に結合された第2のアーム光導波路と、
前記第1のアーム光導波路上に装荷された光位相調整器と、
前記第2のアーム光導波路上に装荷された電界吸収型光強度変調器と、
第1の入力側が、前記第1のアーム光導波路の出力側に結合され、第2の入力側が、前記第2のアーム光導波路の出力側に結合された非対称な光強度分岐比を持つ第2の2x2カプラと、
入力側が、前記第2の2x2カプラの第1の出力側に結合された第1の出力光導波路と、
入力側が、前記第2の2x2カプラの第2の出力側に結合された第2の出力光導波路とを有し、
前記第1の入力光導波路又は前記第2の入力光導波路のどちらか一方から入力された光を、前記第1の2x2カプラによって前記第1のアーム光導波路と前記第2のアーム光導波路とに異なる光強度で2分岐し、前記光位相調整器によって位相変化を与えた光と、前記電界吸収型光変強度調器によって光強度減衰と当該光強度減衰と同時に生じる位相変化とを与えた光を、前記第2の2x2カプラによって合波し、前記第1の出力光導波路又は前記第2の出力光導波路の少なくともどちら一方から光を出力する構成の2x2ポートの光回路を有しており、
前記電界吸収型光強度変調器が光を吸収するときの吸収係数をαとし、
前記第1の2x2カプラにおける前記第2のアーム光導波路への光強度分岐比をK1とし、
前記第2の2x2カプラにおける前記第1の入力側から見てCrossへの光強度分岐比をK2として、
前記K1および前記K2が、K1+K2=1かつK1=1/(e-α/2+1)を満たし、
前記第1の出力光導波路又は前記第2の出力光導波路の少なくともどちら一方から出力する光の消光比が、前記電界吸収型光強度変調器単体の消光比と比較して増大されるように前記K1および前記K2と、前記光位相調整器の位相変化量が調整されていることを特徴とする。
また、第2発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器は、
第1発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器において、
前記電界吸収型光強度変調器の長さが、50〜150μmの範囲であることを特徴とする。
また、第3発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器は、
第1又は第2発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器において、
前記 1 と前記K 2 の比であるK 1 :K 2 が、55:45から95:5の範囲で調整されていることを特徴とする。
また、第4発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器は、
第1又は第2発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器において、
前記 1 と前記K 2 の比であるK 1 :K 2 が、65:35から90:10の範囲で調整されていることを特徴とする。
また、第5発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器は、
第1〜第4発明の何れか1つの非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器において、
前記第1のアーム光導波路と前記第2のアーム光導波路と前記光位相調整器と前記電界吸収型光強度変調器は化合物半導体で作製され、前記第1の入力光導波路と前記第2の入力光導波路と前記第1の2x2カプラと前記第2の2x2カプラと前記第1の出力光導波路と前記第2の出力光導波路は化合物半導体以外の材料で作製されていることを特徴とする。
また、第6発明の波長分割多重送信器は、
第1〜第5発明の何れか1つの非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器を、N(2以上の整数)個と、
前記N個の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器における前記第1の入力光導波路の入力側又は前記第2の入力光導波路の入力側のそれぞれに結合された波長の異なるN個の光源と、
前記N個の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器における前記第1の出力光導波路の出力側又は前記第2の出力光導波路の出力側に結合されたNx1カプラと、
を有することを特徴とする。
本発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器によれば、既存の電界吸収型光強度変調器と、非対称な光強度分岐比を持つ2x2カプラと、光位相調整器を集積化することで、消光比の増大、または駆動電圧の低減、または高周波特性の向上による変調帯域の向上が実現されるため、光通信の更なる普及に大きな効果がある。
また、電界吸収型光強度変調器の長さを50〜150μmの範囲とすることにより、消光比を保ち、且つ、損失の増加を抑えて、電界吸収型光強度変調器の高周波特性を向上させることができる。
また、本発明の波長分割多重送信器によれば、本発明の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器をN個と、N個の光源と、Nx1カプラを有することにより、波長依存性の低い波長分割多重送信器を実現することができる。
本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器(2x2光強度変調器)を、上面から見た模式図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器を構成する光導波路の断面構造を示す斜視図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器における各部の特性パラメータのシンボルの定義を示す図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器に適用可能な2x2カプラの他の例を示す模式図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器で用いた電界吸収型光強度変調器単体の消光特性及び光位相変化特性の数値計算例を示す図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器と、この非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器で用いた電界吸収型光強度変調器単体との、消光特性(駆動電圧の変化に対する光の透過率の変化)を比較した図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器が、非対称な光強度分岐比を持つ2x2カプラを有することによって消光比が改善される理由を説明するための図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器について、駆動電圧の変化に対する、第1のアーム光導波路(光位相調整器)と第2のアーム光導波路(電界吸収型光強度変調器)の間の光の位相差の変化を示す図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器について、非対称な光強度分岐比を持つ2x2カプラの光強度分岐比の条件を説明するための図である。 本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器について、非対称な光強度分岐比を持つ2x2カプラの光強度分岐比の条件と、電界吸収型光強度変調器の長さ(電極長)を短くする指針を説明するための図である。 本発明の実施の形態例2に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器と、この非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器に用いた電界吸収型光強度変調器単体との、電極長変化に対する消光比の変化を比較した図である。 本発明の実施の形態例2に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器と、この非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器に用いた電界吸収型光強度変調器単体との、電極長変化に対する挿入損失の変化を比較した図である。 本発明の実施の形態例3に係る、InP基板とSOIによるハイブリッド集積によって構成した非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器(2x2光強度変調器)を、上面から見た模式図である。 本発明の実施の形態例4に係る、N個の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器とN個の光源とNx1カプラとを集積化した波長分割多重送信器を、上面から見た模式図である。
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
<実施の形態例1>
図1〜図10に基づき、本発明の実施の形態例1に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器(以下、これを発明素子とも称する)11について説明する。
図1に示すように、本実施の形態例1の発明素子11は、第1の入力光導波路I1と、第2の入力光導波路I2と、非対称な光強度分岐比を持つ第1の2x2カプラC1と、第1のアーム光導波路A1と、第2のアーム光導波路A2と、第1のアーム光導波路A1上に装荷された光位相調整器Pと、第2のアーム光導波路A2上に装荷された電界吸収型光強度変調器Mと、非対称な光強度分岐比を持つ第2の2x2カプラC2と、第1の出力光導波路O1と、第2の出力光導波路O2とを有して成る2x2ポートの光回路を有している。
第1の2x2カプラC1は、その第1の入力側C1−1が、第1の入力光導波路I1の出力側I1−1に結合され、その第2の入力側C1−2が、第2の入力光導波路I2の出力側I2−1に結合されている。
第1のアーム光導波路A1は、その入力側A1−1が、第1の2x2カプラC1の第1の出力側C1−3に結合されている。
第2のアーム光導波路A2は、その入力側A2−1が、第1の2x2カプラC1の第2の出力側C1−4に結合されている。
第2の2x2カプラC2は、その第1の入力側C2−1が、第1のアーム光導波路A1の出力側A1−2に結合され、その第2の入力側C2−2が、第2のアーム光導波路A2の出力側A2−2に結合されている。
第1の出力光導波路O1は、その入力側O1−1が、第2の2x2カプラC2の第1の出力側C2−3に結合されている。
第2の出力光導波路O2は、その入力側O2−1が、第2の2x2カプラC2の第2の出力側C2−4に結合されている。

この2x2ポートの光回路において、第1の入力光導波路I1又は第2の入力光導波路I2のどちらか一方から入力された光は、第1の2x2カプラC1によって第1のアーム光導波路A1と第2のアーム光導波路A2とに異なる光強度で2分岐され、光位相調整器Pによって位相変化が与えられた光と、電界吸収型光変強度調器Mによって光強度減衰と当該光強度減衰と同時に生じる位相変化とが与えられた光が、第2の2x2カプラC2によって合波し、第1の出力光導波路O1又は第2の出力光導波路O2の少なくともどちら一方から光を出力する。
そして、この2x2ポートの光回路では、第1の出力光導波路O1又は第2の出力光導波路O2の少なくともどちら一方から出力する光の消光比が、単体の電界吸収型光強度変調器Mの消光比と比較して増大されるように第1の2x2カプラC1及び第2の2x2カプラC2の光強度分岐比と、光位相調整器Pの位相変化量が調整されている。
詳述すると、2x2ポートの光回路に対して、光は第1の入力光導波路I1又は第2の入力光導波路I2のどちらか一方から入力され、この入力された光は非対称な光強度分岐比を持つ第1の2x2カプラC1によって、パワー(光強度)の異なる第1の分岐光と第2の分岐光に2分岐される。第1の分岐光は第1のアーム光導波路A1を伝搬し、第2の分岐光は第2のアーム光導波路A2を伝搬する。
このとき、第2のアーム光導波路A2において電界吸収型光強度変調器Mが光を吸収しない場合には、第1のアーム光導波路A1を伝搬した第1の分岐光と、第2のアーム光導波路A2を伝搬した第2の分岐光は、第2の2x2カプラC2において再び合波され、第1の出力光導波路O1と第2の出力光導波路O2へ出力される。
応用上は、第1の出力光導波路O1又は第2の出力光導波路O2のどちらか一方から出力される光強度が大きくなるように 非対称な光強度分岐比を持つ第1の2x2カプラC1及び第2の2x2カプラC2や光位相調整器Pの特性を調整する。
ここで、第2のアーム光導波路A2において電界吸収型光強度変調器Mが光を吸収する場合は、それに応じて、第1及び第2の出力光導波路O1,O2の光出力は減衰する。
その際に、第2のアーム光導波路A2を伝搬する第2の分岐光は、その強度が減衰するだけではなく、位相も変化する。
従って、第2のアーム光導波路A2上の電界吸収型光強度変調器Mにおいて強度が減衰し、更に位相も変化した第2の分岐光と、もう一方の第1のアーム光導波路A1を伝搬した第1の分岐光が、非対称な光強度分岐比を持つ第2の2x2カプラC2を通じて、第1の出力光導波路O1又は第2の出力光導波路O2において、お互いが打ち消し合うことで、従来の電界吸収型光強度変調器Mの消光比の更なる改善が達成される。
次に、本発明素子11を用いることによる、従来の電界吸収型光強度変調器Mの消光比向上効果を、数値解析により示す。
本発明素子11を構成する光導波路の具体的な構造を、図2に示す。
図2に示すように、光導波路は、n型のInP基板1と、このInP基板1上に設けられたInP下部クラッド2と、このInP下部クラッド2上に設けられらたInGaAlAsベースとした多重量子井戸構造のコア層3と、このコア層3上に設けられたp型のInP上部クラッド層4と、コア層3上でInP上部クラッド層4の両側に設けられた空気クラッド5とから成っている。
ここでコア層3はInGaAlAsのAl系の4元混晶としているが、InGaAsPのp系の4元混晶でも構わない。
また、電気信号を印加する電界吸収型光強度変調器M、光位相調整器Pとは異なり、光を伝搬させることのみを目的とした第1及び第2の入力光導波路I1,I2、第1及び第2の出力光導波路O1,O2、非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2、第1及び第2のアーム光導波路A1,A2については、電界吸収型光強度変調器M、光位相調整器Pと異なる半導体材料や層構造となっていても構わない。
例えば、第1及び第2の入力光導波路I1,I2、第1及び第2の出力光導波路O1,O2、非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2、第1及び第2のアーム光導波路A1,A2のコア層3に対してはInGaAsPを用いたバルク型の層として、電界吸収型光強度変調器M、光位相調整器Pのコア層3に対してはInGaAlAsベースとした多重量子井戸構造であってもよい。
コア層3の多重量子井戸の井戸層は、フォトルミネッセンスピーク波長で1.25μm付近の光を発光するような組成となっている。
本発明素子11の製造方法としては、まず、n型のInP基板1の上に、InP下部クラッド2、コア層3、上部クラッド層4を成長させる。
次に、フォトリソグラフィーにより、図1のようなパターンを形成し、ドライエッチングにより、InP上部クラッド層4の両側部分をコア層3まで図2のようにエッチングをすることで、いわゆるリッジ光導波路構造を形成する。
その後、電極加熱型の蒸着装置により、半導体表面に電極となる金属を蒸着して、電界吸収型光強度変調器Mと光位相調整器Pを得る。
光導波路の幅については、本計算においては以下に述べる光導波路のパラメータを実現する範囲で任意性があるが、シングルモード条件を考えて、ここでは第1及び第2の入力光導波路I1,I2、第1及び第2の出力光導波路O1,O2、第1及び第2のアーム光導波路A1,A2の幅を、1.2μmとする。
非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2については、ここでは方向性結合器を想定しており、従って非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2を構成する2本の光導波路の幅も、上記の光導波路幅の値に従い1.2μmとする。
次に、数値解析に用いた具体的な光導波路のパラメータについて述べる。
図3に各パラメータのシンボルの定義を示す。
入力光として波長λ0が1.3μmである光を計算に用いた。
非対称な光強度分岐比を持つ第1の2x2カプラC1と第2の2x2カプラC2は、ここでは方向性結合器を想定しており、それぞれの光強度分岐比がBar:Crossで15:85と85:15になっている。
第1及び第2の2x2カプラC1,C2の光強度の分岐比は、第1及び第2の2x2カプラC1,C2として方向性結合器を選択した場合、方向性結合器を構成する2つの光導波路間隔や、方向性結合器の長さを調整することで任意の光強度分岐比に設定することができる。
ここでは、非対称な光強度分岐比を持つ第1の2x2カプラC1と第2の2x2カプラC2の長さを、それぞれ225μmと75μmとした。
なお、発明素子11に適用する2x2カプラとしては、任意の光強度分岐比を選べるならば、2モード干渉光導波路などでも構わない。
それ以外にも、例えば、2x2カプラとして方向性結合器を用いるならば、図4に示すように光強度分岐比の調整機構として、第1の2x2カプラC1が電流注入用の電極E1を有し、第2の2x2カプラC2が電流注入用の電極E2を有する構成とすることもできる。
図3に示した通り、非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2におけるCrossへの光強度分岐比をK1,K2と定義すると、ここではそれぞれK1=85%,K2=15%となる。
即ち、非対称な光強度分岐比を持つ第1の2x2カプラC1を通じて、第1の入力光導波路I1より入力された光強度の85%が第2のアーム光導波路A2へ、残りの15%が第1のアーム光導波路A1へ結合される。

Δは第1のアーム光導波路A1に装荷されている光位相調整器Pによるバイアス位相変化量である。
Lは第1のアーム光導波路A2に装荷されている電界吸収型光強度変調器Mの電極長、即ち電界吸収型光強度変調器Mの長さである。
α,φ は第2のアーム光導波路A2へ装荷されている電界吸収型光強度変調器Mの光強度減衰係数と、この変化に伴う光位相変化量である。
従って、φ−Δは第1のアーム光導波路A1と第2のアーム光導波路A2の光位相差を示す。
図5は非特許文献2の計算方法に基づいて、電界吸収型光強度変調器Mの消光特性、及び光位相変化特性の数値計算結果を示したものである。なお、図5のΓは光閉じ込め係数であり、本計算ではΓ=0.16とした。
本発明素子11の特性の計算に図5に示した電界吸収型光強度変調器Mの光消光特性、及び位相変化特性の数値計算結果を用いた。
図5より、電界吸収型光強度変調器Mへ駆動電圧を印加すると、励起子吸収スペクトルが変化することによって光の吸収率が増加し、電界吸収型光強度変調器Mを通過する光の透過率が低くなることが分かる。
また、Kramers-Kronigの関係式より、電界吸収型光強度変調器Mの吸収スペクトルの変化は屈折率スペクトルの変化も意味する。
従って、図5の様に電界吸収型光強度変調器Mの透過率の変化に伴って光が感じる屈折率が変化し、結果として電界吸収型光強度変調器Mからの透過光の位相も変化していることが分かる。

電界吸収型光強度変調器Mが光を吸収しない際には、第1のアーム光導波路A1と第2のアーム光導波路A2を伝搬する光は、非対称な光強度分岐比を持つ第2の2x2カプラC2により合波され、第1の出力光導波路O1と第2の出力光導波路O2にある強度の光が出力される。
特別な場合として、光位相調整器Pによるバイアス位相変化量Δが0の場合には第2の出力光導波路O2の光強度は最大となり、第1の入力光導波路I1へ入力された光強度の100%となる。
本計算では後述の理由により、光位相調整器Pに適当なバイアス信号を加えたとして、Δ=0.8πとした。
従って、第1の入力光導波路I1への光入力に対する第2の出力光導波路O2の透過率は、1よりも小さな値となる。
Δを得る光位相調整器Pの仕組みとしては、光導波路への加熱による屈折率変化や、キャリア注入による屈折率変化など幾通りかの方法が考えられる。
今回の場合は、図2にて示した様に化合物半導体によるダブルヘテロ構造を光導波路構造としているためにキャリア注入による屈折率変化を仮定すると、上述のΔ=0.8πの位相変化量を得るには10mA程度の電流量が必要となる。
以上のパラメータを用いて計算した本発明素子11の光消光特性を、図6に示す。図6には、比較のため、図5に示した単体の電界吸収型光強度変調器Mの特性も示してある。
本発明素子11の消光特性の計算には、転送行列法による数理モデルを用いた。次の(1)式が転送行列の式である。
この(1)式中のt1,t2はそれぞれ第1の入力光導波路I1への入力光に対して、第1の出力光導波路O1と第2の出力光導波路O2から出力される光の複素透過率となる。なお、(1)式中のαは電界吸収型光強度変調器Mが光を吸収するときの吸収係数である。
本数値解析においては、第2の出力光導波路O2からの光出力強度であるt2の絶対値の2乗の値を、本発明素子11の出力光強度とした。
第2のアーム光導波路A2上へ装荷されている電界吸収型光強度変調器Mによって、第2のアーム光導波路A2を通る光が減衰されると、この減衰量に従って、第2の出力光導波路O2の光強度は減衰することになる。
この電界吸収型光強度変調器Mによる光強度減衰には、光の位相の変化φも同時に生じる。
即ち、第1のアーム光導波路A1の伝搬光と、強度が減衰し位相も変化した第2のアーム光導波路A2の伝搬光が、非対称な光強度分岐比を持つ第2の2x2カプラC2を通じて合波されたとき、第2の出力光導波路O2において、これらの2つの光の位相が逆となり、電界振幅を打ち消し合う、即ち破壊的干渉が生じる。このことにより、本来の電界吸収型光強度変調器Mの光減衰に加えて更なる光強度の減衰を得る。なお、破壊的な干渉とは、電界振幅を打ち消し合うという意味であり、具体的には2つの光波の位相差が90度より大きく270度未満であればこの作用は働く。位相差が180度のときに最も強く電界を打ち消し合う。
非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2を用いる理由を、図7に基づいて更に説明すると、電界吸収型光強度変調器Mにおいて吸収しきれなかった光LT2と、電界吸収型光強度変調器Mへ入力する前に前段の第1の2x2カプラC1にて僅かに残しておいた光LT1を、第2の2x2カプラC2を通じて、第2の出力光導波路O2で干渉させて互いに打ち消し合うようにすることにより、本来の電界吸収型光強度変調器Mの消光作用だけでなく、これに干渉計の消光作用が加わることで消光比の向上が達成される。

この作用は、第1のアーム光導波路A1を伝搬する光に対して、第1のアーム光導波路A1に装荷された光位相調整器Pを用いて適当なバイアス位相変化量(バイアス位相調整量)Δを加えることにより、更に強い作用とすることが可能となる。
本実施の形態例1においては、上述の通りΔ=0.8πとした。
図6において、印加電界(印加電圧)3V付近にて、単体の電界吸収型光強度変調器Mは透過率の減少が−15dB程度に留まっていることに対して、本発明素子11の透過率は−35dB程度まで顕著に減少しており、電界吸収型光強度変調器Mの単体の消光比に対して、本発明素子11の明らかな消光比の向上が見て取れる。

図8は光位相調整器Pを用いたバイアス位相変化量Δと、電界吸収型光強度変調器Mによる位相変化量φの位相差であるφ−Δを、電界吸収型光強度変調器Mへの印加電界(印加電圧)に対してプロットしたものである。
図8では、図6の発明素子11の特性において光出力が最小となる駆動電圧3V付近において、φ−Δ=−πとなっている。消光比を最大にするには、位相差φ−Δの絶対値がπとなっていればよい。
従って、図6における消光比の向上は、非対称な光強度分岐比を持つ第2の2x2カプラC2を通じて、第2の出力光導波路O2において、第1のアーム光導波路A1の伝搬光と第2のアーム光導波路A2の伝搬光の破壊的干渉が生じていることに起因していると理解できる。
本発明素子11を用いることで、既存の電界吸収型光強度変調器Mの消光特性を向上させることができる。
また、第1の2x2カプラC1の光強度分岐比K1と第2の2x2カプラC2の光強度分岐比K2の条件は、K1:K2が、55:45から95:5の範囲で調整されているのがよく、より望ましくは65:35から90:10の範囲で調整されているのがよい。その理由は、以下に述べる通りである。
第2の出力光導波路O2のパワー(光強度)透過率T2は、転送行列の式である上記(1)式のt2の2乗で与えられ、次の(2)式のようになる。
この(2)式を用いて第1及び第2の2x2カプラC1,C2の光強度分岐比K1,K2の条件について説明する。
(第1の条件:素子損失からの条件)
第1及び第2の2x2カプラC1,C2の光強度分岐比K1,K2を決める第1の条件は、『ON状態(電界吸収型光強度変調器Mが光を吸収しない状態)で、透過率T2が最大になること』である。即ち、図9(図6に相当する図)のa点における透過率T2が最大になることである。
このときには電界吸収型光強度変調器Mに駆動電圧を加えないのでα=0、φ=0となる。
光位相調整期器Pを用いないならば、Δ=0である。この場合、上記(2)式のα,φ,Δが0であるため、T2は次の(3)式のようになる。
この(3)式のT2はK1+K2=1のときに最大(=1)になる。
従って、第1及び第2の2x2カプラC1,C2の光強度分岐比を決める一つの条件は、K1:K2=85:15など、K1とK2の和が100%になることである。
なお、実際には光位相調整器Pを用いるので、Δは有限の値となるが、Δがある程度小さい場合には、K1+K2=1の条件は素子の低損失設計のよい指針となる。
(第2の条件:消光比からの条件)
第1及び第2の2x2カプラC1,C2の光強度分岐比K1,K2を決める第2の条件は、『OFF状態(電界吸収型光強度変調器Mが光を吸収する状態)で、透過率T2が最小になること』である。即ち、図9のb点における透過率T2が最小になることである。
本発明の特徴は図10に示す経路Aと経路Bの位相差(φ−Δ)がπになることで光が大きく消光する所にある。従って、上記(2)式の(φ−Δ)をπにすると、T2は次の(4)式のようになる。
光が大きく消光するということはT2=0であるいうことであるため、上記(4)式のT2を0にすると、次の(5)式が得られる。
更に、前述の第1の条件のK1+K2=1を用いて、上記(5)式を変形すると、次の(6)式が得られる。
ここでαは電界吸収型光強度変調器Mが光を吸収するときの吸収係数である。
電界吸収型光強度変調器Mは通常5dBから20dB程度の範囲の消光比のものを用いるため、e-α/2は次の(7)式で示す範囲となる。
この(7)式と上記(6)式から、K1は0.65から0.9程度の範囲の値が適当である。
このため、第1の2x2カプラC1の光強度分岐比K1と第2の2x2カプラC2の光強度分岐比K2の条件は、素子損失最小化、消光比最大化の観点から、K1+K2=1、且つ、K1は0.65から0.9程度となる。
従って、K1,K2は、K1:K2=65:35からK1:K2=90:10の範囲となる。更に、これに幅を持たせて、K1,K2は、K1:K2=55:45からK1:K2=95:5としてもよい。
<実施の形態例2>
図11及び図12に基づき、本発明の実施の形態例2に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器(発明素子)11について説明する。
なお、本実施の形態例2の発明素子11の基本的な構成については、上記実施の形態例1の発明素子11と同様であるため、図1,図3等を参照し、ここでの図示及び詳細な説明は省略する。
本発明素子11は、既存の電界吸収型光強度変調器Mの消光比を向上させることができるため、これを利用すると消光比を保ったまま、単体の電界吸収型光強度変調器Mの電極長の長さLを短くさせることも可能である。
通常、電界吸収型光強度変調器Mの変調帯域は素子寄生容量によって制限されるから、電極長Lの削減は電界吸収型光強度変調器Mの変調帯域の拡大を意味する。
図11は発明素子11において電界吸収型光強度変調器Mの電極長Lを、L=25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μmとし、それぞれの電極長Lの発明素子11に対してK1、K2、Δの値として適当な数値を選び、電圧振幅0.5Vppの電圧信号が電界吸収型光強度変調器Mに加えられた際に、電極長Lにかかわらず常に消光比が10dB程度となるように調整した結果を示したものである。
図11には、比較として、電極長L=25μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μmの単体の電界吸収型光強度変調器Mの消光比も示している。
図11から、電極長Lの長さが短くになるにつれて、単体の電界吸収型光強度変調器Mの消光比が劣化していくのに対し、本発明素子11においてはK1、K2、Δの値を調整することで消光比が10dB程度に保たれていることが分かる。
特に、L=100μm以下の場合には変調速度が80Gbpsをも達成できる可能性がある(非特許文献1)ことから、本発明素子11はL=100μm以下において特に有用である。
電極長Lが150μmを上回ると単体の電界吸収型光強度変調器Mにおいても消光比10dBが得られるため、本発明素子11の恩恵は小さくなる。このことから、本発明素子11の電界吸収型光強度変調器Mの電極長Lの上限は150μmとなる。
また、図12は図11の消光比を計算した結果として、本発明素子11と単体の電界吸収型光強度変調器11の損失を示したものである。電極長Lが短くなるに伴って光位相調整器Pによる必要なΔの値が大きくなり、損失は増加する。
電極長Lが50μm以下となると損失は10dBを超すことから、実用性を考慮すると、本発明素子11の電界吸収型光強度変調器Mの電極長Lの下限は50μmとなる。
なお、図10を参照して、本発明素子11における電界吸収型光強度変調器Mの電極長Lの下限を決定する指針について更に詳述する。
本発明素子11では、図10に示す二つの経路A,Bの光が打ち消し合うことにより、従来の電界吸収型光強度変調器Mの消光比の向上を図る。そのために、次の(1),(2)の二つの条件が必要である。
(1) 経路Aからの光の強度と経路Bからの光の強度が等しい。
(2) 経路Aからの光の位相と経路Bからの光の位相の差がπである。
これらの条件(1)及び(2)が満たされるとき、光は大きく消光する。
電極長Lを短くすると、電界吸収型光強度変調器Mでは、光はあまり消光しない。
従って、上記条件(1)を満たすためには、『入力から電界吸収型光強度変調器Mへ光が入力される割合K1を小さくする』、又は、『電界吸収型光強度変調器Mから出力した光が出力へ出される割合1−K2を小さくする(=K2を大きくする)』という手段が考えられる。
従って、図12においては電極長Lが短くなるにつれて、K1が小さくなり、K2が大きくなっている。これにより、電極長Lが短くなって電界吸収型光強度変調器Mの光吸収量が小さくなっても、発明素子11の消光比を確保することができる。
しかし、まだ上記条件(2)を満たす必要がある。理想的には電界吸収型光強度変調器Mに電圧を加えたときに上記条件(2)が成立すればよいが、電界吸収型光強度変調器Mの電極の長さLが短くなるほど、経路Aと経路Bの光の位相差はπよりも小さくなってしまう。
これを解消するために経路Aの光に対して、前段の第1の2x2カプラC1と後段の第1の2x2カプラC2の間の光位相調整器Pにて位相をバイアスしておく必要がある。この光位相調整器Pによる光位相調整により、上記条件(2)が満たされる。
ところが、この光位相調整器Pにおける位相のバイアスは、そのバイアス量が大きいほど、電界吸収型光強度変調器Mに電圧を加えないとき(光が出力ポートへ出力されるとき)の損失が大きくなってしまうという欠点がある。
従って、図12では電極長Lが短くなるにつれて光位相調整量Δが増加し、それにつれて損失も増加している。
以上のことから、本発明発明素子11では電界吸収型光強度変調器Mの電極長Lを短くするほど、損失が増加する傾向があり、電極長Lは短ければ短いほど、高速動作に向いているため、本発明素子11では損失が許容される範囲で、電界吸収型光強度変調器Mの電極長Lを短くする、といった指針となる。
<実施の形態例3>
図13に基づき、本発明の実施の形態例3に係る非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器(発明素子)11について説明する。
なお、本実施の形態例3の発明素子11の基本的な構成については、上記実施の形態例1の発明素子11(図1,図3等を参照)と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
本発明素子11を作製するにあたって、外部から電気信号を加える電界吸収型光強度変調器M、光位相調整器Pと、これらの電界吸収型光強度変調器M及び光位相調整器Pを装荷する第1及び第2のアーム光導波路A1,A2は化合物半導体で作製し、光を伝搬するのみである第1及び第2の入力光導波路I1,I2、第1及び第2出力光導波路O1,O2、非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2については、化合物半導体以外の材料で作製する。
その後、化合物半導体で作製された電界吸収型光強度変調器M、光位相調整器P、第1及び第2のアーム光導波路A1,A2と、化合物半導体以外の材料で作製された第1及び第2の入力光導波路I1,I2、第1及び第2の出力光導波路O1,O2、非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2とを、ハイブリッド集積することにより、本発明素子11を構成する。
図13は本発明素子11の具体例の概念図である。
図13では、第1及び第2の入力光導波路I1,I2、第1及び第2の出力光導波路O1,O2、非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2を、化合物半導体以外の材料であるSOI(Silicon on Insulator)ウェハ31にて作製し、InP基板32上に化合物半導体にて電界吸収型光強度変調器M、光位相調整器P、これらの電界吸収型光強度変調器M及び光位相調整器Pを装荷する第1及び第2のアーム光導波路A1,A2を作製し、その後、SOIウェハ31で作製された第1及び第2の入力光導波路I1,I2、第1及び第2の出力光導波路O1,O2、非対称な光強度分岐比を持つ第1及び第2の2x2カプラC1,C2と、InP基板32上に化合物半導体で作製された電界吸収型光強度変調器M、光位相調整器P、第1及び第2のアーム光導波路A1,A2とを、ハイブリッド集積することにより、本発明素子11が構成されている。
シリコンの屈折率は化合物半導体の屈折率とその値が近く、光導波路を伝搬する光の界分布の形状が近いことからハイブリッド集積の際に、その光学的結合が容易であると考えられる。
本実施の形態例3においては、化合物半導体と比較して安価かつ加工性に優れたシリコンや石英材料を干渉光導波路に用いることにより、低コスト化が期待できる。
<実施の形態例4>
図14に基づき、本発明の実施の形態例4に係る波長分割多重送信器41について説明する。
本実施の形態例4の波長分割多重送信器41は、上記実施の形態例1〜3の何れかの非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器(発明素子)11をN(2以上の整数)個、即ちN個の発明素子11−1,11−2,・・・,11−Nと、出力光の波長の異なるN個の光源21−1,21−2,・・・,21−Nと、適当なNx1カプラ22とを集積して成るものである。
N個の光源21−1,21−2,21−Nは、N個の発明素子11−1,11−2,・・・,11−Nにおける第1の入力光導波路I1の入力側I1−2又は第2の入力光導波路I2の入力側I2−2(図示例では第1の入力光導波路I1の入力側I1−2)のそれぞれに結合されている。
Nx1カプラ22は、N個の発明素子11−1,11−2,・・・,11−Nにおける第1の出力光導波路O1の出力側O1−2又は第2の出力光導波路O2の出力側O2−2(図示例では第2の出力光導波路O2の出力側O2−2)に結合されている。
通常、電界吸収型光強度変調器Mには光の消光特性が入力波長によって異なる、波長依存性が存在する。
従って、出力信号において、波長によっては消光特性が低い光信号が生成されることになる。
一方で、同一基板上への集積型の波長分割多重送信器の製作において、入力波長ごとに最適動作波長の異なる電界吸収型光強度変調器を集積することは、異なる半導体積層構造を同一基板上へ成長させる必要があり素子作製工程を考慮すると、これは非常に困難である。
そこで、発明素子11をN個用いて、これらN個の発明素子11における同一特性の電界吸収型光強度変調器Mに対し、入力波長(各光源21−1,21−2,・・・,21−Nの出力光の波長)に適したK1、K2、Δを選択することにより、電界吸収型光強度変調器Mの波長依存性を補償し、結果として波長依存性の低い、波長分割多重送信器41を実現することが可能となる。
本発明は非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器と、この非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器を備えた波長分割多重送信器に関するものであり、電界吸収型光強度変調器単体と比較して、その消光比の増大、駆動電圧の低減、高周波特性の向上を図る場合に適用して有用なものである。
1 n型のInP基板
2 InP下部クラッド
3 コア層
4 InP上部クラッド層
5 空気クラッド
11(11−1,11−2,・・・,11−N) 非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器(発明素子)
21−1,21−2,・・・,21−N 光源
22 Nx1カプラ
31 SOIウェハ
32 InP基板
41 波長分割多重送信器
1 第1の入力光導波路
1−1 第1の入力光導波路の出力側
1−2 第1の出力光導波路の入力側
2 第2の入力光導波路
2−1 第2の入力光導波路の出力側
2−2 第2の入力光導波路の入力側
1 第1の2x2カプラ
1−1 第1の2x2カプラの第1の入力側
1−2 第1の2x2カプラの第2の入力側
1−3 第1の2x2カプラの第1の出力側
1−4 第1の2x2カプラの第2の出力側
1 第1のアーム光導波路
1−1 第1のアーム光導波路の入力側
1−2 第1のアーム光導波路の出力側
2 第2のアーム光導波路
2−1 第2のアーム光導波路の入力側
2−2 第2のアーム光導波路の出力側
2 第2の2x2カプラ
2−1 第2の2x2カプラの第1の入力側
2−2 第2の2x2カプラの第2の入力側
2−3 第2の2x2カプラの第1の出力側
2−4 第2の2x2カプラの第2の出力側
P 光位相調整器
M 電界吸収型光強度変調器
1 第1の出力光導波路
1−1 第1の出力光導波路の入力側
1−2 第1の出力光導波路の出力側
2 第2の出力光導波路
2−1 第2の出力光導波路の入力側
2−2 第2の出力光導波路の出力側

Claims (6)

  1. 第1の入力光導波路と、
    第2の入力光導波路と、
    第1の入力側が、前記第1の入力光導波路の出力側に結合され、第2の入力側が、前記第2の入力光導波路の出力側に結合された非対称な光強度分岐比を持つ第1の2x2カプラと、
    入力側が、前記第1の2x2カプラの第1の出力側に結合された第1のアーム光導波路と、
    入力側が、前記第1の2x2カプラの第2の出力側に結合された第2のアーム光導波路と、
    前記第1のアーム光導波路上に装荷された光位相調整器と、
    前記第2のアーム光導波路上に装荷された電界吸収型光強度変調器と、
    第1の入力側が、前記第1のアーム光導波路の出力側に結合され、第2の入力側が、前記第2のアーム光導波路の出力側に結合された非対称な光強度分岐比を持つ第2の2x2カプラと、
    入力側が、前記第2の2x2カプラの第1の出力側に結合された第1の出力光導波路と、
    入力側が、前記第2の2x2カプラの第2の出力側に結合された第2の出力光導波路とを有し、
    前記第1の入力光導波路又は前記第2の入力光導波路のどちらか一方から入力された光を、前記第1の2x2カプラによって前記第1のアーム光導波路と前記第2のアーム光導波路とに異なる光強度で2分岐し、前記光位相調整器によって位相変化を与えた光と、前記電界吸収型光変強度調器によって光強度減衰と当該光強度減衰と同時に生じる位相変化とを与えた光を、前記第2の2x2カプラによって合波し、前記第1の出力光導波路又は前記第2の出力光導波路の少なくともどちら一方から光を出力する構成の2x2ポートの光回路を有しており、
    前記電界吸収型光強度変調器が光を吸収するときの吸収係数をαとし、
    前記第1の2x2カプラにおける前記第2のアーム光導波路への光強度分岐比をK1とし、
    前記第2の2x2カプラにおける前記第1の入力側から見てCrossへの光強度分岐比をK2として、
    前記K1および前記K2が、K1+K2=1かつK1=1/(e-α/2+1)を満たし、
    前記第1の出力光導波路又は前記第2の出力光導波路の少なくともどちら一方から出力する光の消光比が、前記電界吸収型光強度変調器単体の消光比と比較して増大されるように前記K1および前記K2と、前記光位相調整器の位相変化量が調整されていることを特徴とする非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器。
  2. 請求項1に記載の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器において、
    前記電界吸収型光強度変調器の長さが、50〜150μmの範囲であることを特徴とする非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器。
  3. 請求項1又は2に記載の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器において、
    前記K1と前記K2の比であるK1:K2が、55:45から95:5の範囲で調整されていることを特徴とする非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器。
  4. 請求項1又は2に記載の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器において、
    前記K1と前記K2の比であるK1:K2が、65:35から90:10の範囲で調整されていることを特徴とする非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器において、
    前記第1のアーム光導波路と前記第2のアーム光導波路と前記光位相調整器と前記電界吸収型光強度変調器は化合物半導体で作製され、前記第1の入力光導波路と前記第2の入力光導波路と前記第1の2x2カプラと前記第2の2x2カプラと前記第1の出力光導波路と前記第2の出力光導波路は化合物半導体以外の材料で作製されていることを特徴とする非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器を、N(2以上の整数)個と、
    前記N個の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器における前記第1の入力光導波路の入力側又は前記第2の入力光導波路の入力側のそれぞれに結合された波長の異なるN個の光源と、
    前記N個の非対称分岐カプラ集積型電界吸収型光強度変調器における前記第1の出力光導波路の出力側又は前記第2の出力光導波路の出力側に結合されたNx1カプラと、
    を有することを特徴とする波長分割多重送信器。
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