(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る弾性クローラについて図1〜8を用いて説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る弾性クローラの一例としての無端状のゴムクローラ10は、機体としてのクローラ車(例えば、コンバインやトラクターなど)の駆動軸に連結される駆動輪100と、クローラ車に回転自在に取付けられる遊動輪102(図5、図8参照)と、駆動輪100と遊動輪102の間に配設されるようにクローラ車に回転自在に取り付けられる複数の転輪104(図5参照)に巻き掛けられて用いられるものである。
本実施形態では、無端状のゴムクローラ10の周方向(図2の矢印S方向)を「クローラ周方向」と記載し、ゴムクローラ10の幅方向(図2の矢印W方向)を「クローラ幅方向」と記載する。なお、クローラ周方向とクローラ幅方向は、ゴムクローラ10を外周側または内周側(図2参照)から見た場合に直交している。
また、本実施形態では、駆動輪100、遊動輪102、及び転輪104に巻き掛けて環状(円環状、楕円環状、多角形環状などを含む)となったゴムクローラ10の内周側(図3、図4の矢印IN方向側)を「クローラ内周側」と記載し、上記ゴムクローラ10の外周側(図3、図4の矢印OUT方向側)を「クローラ外周側」と記載する。なお、図3、図4の矢印IN方向(環状の内側方向)、矢印OUT方向(環状の外側方向)は、巻き掛け状態のゴムクローラ10の内外方向を示している。
また、駆動輪100、遊動輪102、転輪104、及びこれらに巻き掛けられたゴムクローラ10によってクローラ車の走行部としての第1実施形態に係るクローラ走行装置90(図1参照)が構成される。
図1、図4に示すように、駆動輪100は、クローラ車の駆動軸に連結される円盤状の輪部100Aと、輪部100Aの外周側の両縁部に円周方向に一定間隔で設けられ径方向外側へ突出する左右一対の歯部100Bと、を含んで構成されている。この駆動輪100は、ゴムクローラ10にクローラ車からの駆動力を作用させて(詳細は後述)、ゴムクローラ10を駆動輪100及び遊動輪102の間で循環させるものである。
図5、図8に示すように、遊動輪102は、円盤状とされ、クローラ車に回転自在に取付けられている。また、遊動輪102は、クローラ車側が備える図示しない油圧等の加圧機構によって駆動輪100から離間する方向へ押圧されて、ゴムクローラ10のテンション(張力)を保持するものである。
転輪104は、クローラ車の重量を支持するものであり、クローラ車に回転自在に取付けられる軸部(図示省略)と、軸部の両端側に設けられ該軸部よりも大径な円盤状の一対の輪部104Aと、を含んで構成されている(図5参照)。
上記遊動輪102及び転輪104は、駆動輪100及び遊動輪102の間を循環するゴムクローラ10に対して従動回転するようになっている。
図1に示すように、ゴムクローラ10は、ゴム材を無端帯状に形成したゴム体12を有している。なお、本実施形態のゴム体12は、本発明の弾性体の一例である。また、本実施形態のゴム体12の周方向、幅方向、内周側、外周側は、それぞれクローラ周方向、クローラ幅方向、クローラ内周側、クローラ外周側と一致している。
図2に示すように、ゴム体12には、金属材料で形成された芯金20がクローラ周方向に間隔(本実施形態では一定間隔)をあけて複数埋設されている。この芯金20は、図2、図4に示すように、クローラ幅方向に延在し、クローラ幅方向の中央部22の両端部からクローラ幅方向外側にそれぞれ延出する一対の翼部24を有している。また、この芯金20は、翼部24の根元部分(クローラ幅方向の中央部22側)からクローラ内周側に突出する芯金突起26を有している。
また、図2に示すように、芯金20は、クローラ幅方向の中央を通る中央線CLがゴム体12のクローラ幅方向の中央を通る中央線と一致するように配置されている。なお、本実施形態では、中央線CLに向う側をクローラ幅方向内側、中央線CLから離れる側をクローラ幅方向外側として説明する。
図3、図4に示すように、中央部22のクローラ内周側には、一方の芯金突起26の根元部から他方の芯金突起26の根元部に向けて延びて両者を連結固定する突条の補強リブ23が設けられている。この補強リブ23により一対の芯金突起26のクローラ周方向及びクローラ幅方向の曲げ剛性が補強されている。
また、補強リブ23の頂面23A(クローラ内周側の面)は、ゴム体12から露出している(図2、図3参照)。
図7に示すように、芯金突起26は、クローラ側面視(クローラ幅方向から見て)で、先端部から根元部までの中間部分に括れ部分26Aが形成されている。また、図4に示すように、芯金突起26は、先端部側が内周部12Aから突出している。この芯金突起26の内周部12Aから突出した部分は、ゴム体12を構成するゴム材と同様のゴム材によって被覆されて、内周部12Aに複数のゴム突起14を形成している。
図3に示すように、ゴム突起14は、クローラ側面視で略三角形状とされており、芯金突起26の括れ部分26Aに対応した部分のゴム厚が他の部分よりも肉厚とされている(図7参照)。本実施形態では、ゴム突起14の括れ部分26Aに対応した肉厚部分に駆動輪100の歯部100Bの根元側が当接するようになっている。
なお、本実施形態では、図4〜図7に示すように、駆動輪100及び遊動輪102は、ゴム突起14によってガイドされながら一対のゴム突起14間を通過し、転輪104の一対の輪部104Aは、一対のゴム突起14を跨いでクローラ幅方向両外側をそれぞれ通過するようになっている。
図2、図4、図7に示すように、ゴム体12の内周部12Aには、クローラ周方向に隣り合う芯金20間に前述の駆動輪100の左右一対の歯部100Bがそれぞれ挿入係合される一対の係合凹部28が形成されている。具体的には、係合凹部28は、クローラ周方向に隣り合うゴム突起14間に形成されたクローラ外周側へ窪む窪みである。図7に示すクローラ側断面図で逆台形状とされている。
また、図7に示すように、係合凹部28のクローラ周方向の凹壁面28Aは、ゴム突起14のクローラ周方向の傾斜壁面14Aと連続するように傾斜している。この構成により、走行時において、係合凹部28に対する駆動輪100の歯部100Bの抜き差しがスムーズに行なわれる。
図2、図7に示すように、係合凹部28の凹壁面28Aと凹底面28Bとの境界部分には、クローラ幅方向に延びる横溝29が形成されている。この横溝29は、クローラ側面視で、略半円状となっている。この横溝29により、凹壁面28Aに駆動輪100の歯部100Bの先端側が当接して駆動力が入力されることで生じる凹壁面28Aと凹底面28Bとの境界部分の歪が抑制される。
図2に示すように、ゴム体12の内周部12Aには、クローラ周方向に隣り合う芯金20間でかつ一対の係合凹部28間にクローラ内周側に***したブロック状の支持部30が形成されている。この支持部30の頂面30Aは、図5に示すクローラ幅方向に沿った断面において、補強リブ23の頂面23Aよりもクローラ内周側に位置している。
図8に示すように、支持部30の頂面30Aは、遊動輪102の外周面102Aと接触して該遊動輪102を支持するものであり、図3及び図4に示すように平坦状とされている。
また、本実施形態では、図4、図7に示すように、支持部30の頂面30Aは、駆動輪100の輪部100Aの外周面100Cと接触して該駆動輪100を支持している。このとき、歯部100Bの先端部(外周側の先端部)は、係合凹部28の凹底面28Bから離間している(浮いている)が、本発明はこの構成に限定されず、歯部100Bの先端部が係合凹部28の凹底面28Bに接触していてもよい。
なお、本発明に係るその他の実施形態では、歯部100Bの先端部が係合凹部28の凹底面28Bに接触して駆動輪100を支持し、代わりに輪部100Aの外周面100Cが支持部30の頂面30Aから離間している(浮いている)構成としてもよい。
また、支持部30の頂面30Aと補強リブ23の頂面23Aとのクローラ内外方向の高低差は、頂面30Aが駆動輪100又は遊動輪102からの荷重を受けて支持部30が圧縮弾性変形した場合においても、ゼロとならないように設定されている。
図2に示すように、頂面30Aのクローラ周方向の長さL1は、芯金20の配置間隔(ピッチ)Pの半分よりも大きく設定されている。この構成により、例えば、頂面30Aの長さL1がピッチPの半分以下に設定されているものと比べて、遊動輪102及び遊動輪102が支持部30の頂面30Aからクローラ周方向に隣り合う支持部30の頂面30Aへ乗り移る際の、遊動輪102の下方(クローラ外周側)への落ち込みが抑制されて、駆動輪100及び遊動輪102の上下動が抑制される。
図2、図6に示すように、支持部30は、ゴム体12(ゴムクローラ10)の巻き掛かけ状態におけるクローラ周方向の曲げに対する断面二次モーメントが頂面30Aのクローラ周方向の端部30Bから中間部(クローラ周方向の一方の端部30Bと他方の端部30Bとの間の中間部分)にかけて次第に小さくなっている。具体的には、図6に示すように、支持部30は、頂面30Aのクローラ幅方向に沿った幅が端部30Bから中央30Cに向って漸減しながら断面積が減少しており、断面二次モーメントがクローラ周方向の端部30Bから中央30Cに向けて次第に小さくなっている。なお、本実施形態では、頂面30Aの中央30Cを、クローラ周方向の中央を通る直線(一点鎖線)で表している。
また、支持部30は、底部30Dのクローラ幅方向に沿った幅が頂面30Aの端部30Bから中央30Cに向って一定とされ、係合凹部28の凹底面28Bを基準とした頂面30Aの高さHが一定とされている。なお、支持部30の底部30Dは、係合凹部28の凹底面28Bと同じ位置(すなわち、凹底面28Bを基準とした高さがゼロとなる位置)とされている。
さらに具体的に説明すると、図6に示すように、支持部30は、クローラ幅方向に沿った断面の形状が略台形状とされている。この支持部30は、頂面30Aの中央30Cでの断面形状K1(図6では二点鎖線)が端部30B近傍での断面形状K2(図6では二点鎖線)よりもクローラ内周側の辺(頂面30A)の幅が短くなっており、断面形状K1の面積S1が断面形状K2の面積S2よりも小さくなっている。この構成により、支持部30は、巻き掛かけ状態におけるクローラ周方向の曲げに対する断面二次モーメントが断面形状K2の部分よりも断面形状K1の部分で小さくなっている。
図2に示すように、頂面30Aのクローラ幅方向の端部30Eは、平面視で(クローラ内周側から見て)、支持部30のクローラ幅方向の中央(ここでは、中央線CL)に向って凸となるように湾曲している。これにより、支持部30が駆動輪100や遊動輪102に巻き掛けられて曲げられた際の、端部30Eへの局部的な応力集中が緩和される。なお、本発明に係るその他の実施形態では、端部30Eを平面視で中央線CLに向って凸となるV字形状、階段形状、波形状などとしてもよい。
また、頂面30Aの中央30Cでのクローラ幅方向に沿った幅をW1、端部30Bでのクローラ幅方向に沿った幅をW2としたとき、幅W1は幅W2の50〜99%の範囲内とされている。
図2に示すように、本実施形態では、頂面30Aの中央30Cとクローラ周方向に隣り合う芯金20間の中央を通る直線SLとが一致している。なお、本発明に係るその他の実施形態では、中央30Cと直線SLはクローラ周方向にずれていても構わない。
図2、図4に示すように、ゴム体12の内周部12Aには、一対のゴム突起14を挟んでクローラ幅方向両側にクローラ内周側に***した転輪支持部36がそれぞれ形成されている。この転輪支持部36は、クローラ周方向に沿って連続しており、頂面36Aが平坦状とされ、転輪104の輪部104Aの外周面104Bと接触して該転輪104を支持するものである。
なお、図4に示すように、本実施形態では、内周部12Aを基準として該内周部12Aよりもゴム突起14がクローラ内周側に突出し、支持部30がクローラ内周側に***し、係合凹部28がクローラ外周側に窪んでいる。
図3、図4に示すように、ゴム体12には、芯金20のクローラ外周側にクローラ周方向に沿って延びる無端帯状の補強層18が埋設されている。この補強層18は、クローラ周方向に沿って螺旋状に巻回された1本の補強コード又はクローラ周方向に沿って並列された複数本の補強コードをゴム被覆して形成したものである。なお、本実施形態においては、引張り強度に優れるスチールコードを補強コードとして用いるが、本発明はこの構成に限定されず、十分な引張り強度を有していれば、例えば、有機繊維などで構成したコードを補強コードとして用いてもよい。
図1、図3に示すように、ゴム体12の外周部には、クローラ外周側に***しクローラ幅方向に延びるブロック状の長ラグ16Aが中央線CLを挟んでクローラ幅方向に一対形成されている。
また、ゴム体12の外周部には、クローラ外周側に***しクローラ幅方向に延びるブロック状の短ラグ16Bが中央線CLを挟んでクローラ幅方向に一対形成されている。
これら一対の長ラグ16A及び一対の短ラグ16Bは、クローラ周方向に間隔(ここでは、一定間隔)をあけて交互に形成されている。
長ラグ16Aは、クローラ幅方向外側の端部がゴム体12のクローラ幅方向の端部12Bへそれぞれ到達している。一方、短ラグ16Bは、長ラグ16Aよりもクローラ幅方向の長さが短く、クローラ幅方向外側の端部がゴム体12の端部12Bよりもクローラ幅方向内側に位置している。
図3に示すように、一対の長ラグ16Aと一対の短ラグ16Bは、クローラ周方向に隣接する芯金20間に配置されている。具体的には、クローラ側面視(図3参照)で、支持部30のクローラ外周側に配置されている。これら長ラグ16Aと短ラグ16Bにより、車両の重量が支えられ、かつゴムクローラ10の牽引力が発揮される。
次に、本実施形態のゴムクローラ10の作用効果について説明する。
ゴムクローラ10では、駆動輪100の左右一対の歯部100Bが係合凹部28に挿入係合した状態で、駆動輪100が回転すると、駆動力がゴムクローラ10(ゴム体12)へ伝達される。これにより、ゴムクローラ10が駆動輪100及び遊動輪102の間を循環して、クローラ走行装置90を備えるクローラ車が地面の上を移動する。このとき、遊動輪102は、図8に示すように、支持部30の頂面30Aからクローラ周方向に隣り合う支持部30の頂面30Aへ順次乗り移りながら、各々の支持部30の頂面30A上を転動する。同様に、駆動輪100も、図7に示すように、支持部30の頂面30Aからクローラ周方向に隣り合う支持部30の頂面30Aへ順次乗り移りながら、各々の支持部30の頂面30A上を転動する。
ここで、ゴムクローラ10では、内周部12Aにクローラ内周側に***し、頂面30Aで遊動輪102を支持する支持部30を形成していることから、例えば、上記のような支持部30を形成しないものと比べて、遊動輪102が支持部30の頂面30Aからクローラ周方向に隣り合う支持部30の頂面30Aへ乗り移る際の、該遊動輪102と芯金20(詳細には、補強リブ23の頂面23A)との衝突を回避、または、該遊動輪102と芯金20との衝突を和らげる(緩衝する)ことができる。なお、遊動輪102と芯金20との衝突が回避された場合には、衝突音、及び衝突に起因する振動は生じない。また、上記のように、遊動輪102と芯金20との衝突を回避または和らげる(緩衝する)ことで、繰り返し衝突に起因する芯金20とその周辺のゴムとの剥離を抑制することができる。また、駆動輪100と芯金20(詳細には、補強リブ23の頂面23A)との衝突を回避、または、該駆動輪100と芯金20との衝突を和らげる(緩衝する)こともでき、繰り返し衝突に起因する芯金20とその周辺のゴムとの剥離を抑制することができる。これにより、走行時における騒音や振動が抑制される。
なお、ここで言う、駆動輪100及び遊動輪102と芯金20の衝突は、直接的または間接的な衝突を含むものであり、間接的な衝突とは、芯金20を被覆するゴムを介して該芯金20と駆動輪100及び遊動輪102とが衝突することを指す。
一方、ゴムクローラ10では、支持部30の、ゴム体12の巻き掛かけ状態におけるクローラ周方向の曲げに対する断面二次モーメントを頂面30Aの端部30Bから中間部(ここでは中央30C)にかけて次第に小さくしていることから、例えば、支持部30の断面二次モーメントを端部30Bから中央30Cにかけて大きくしている、または、断面二次モーメントを一定にしているものと比べて、支持部30のクローラ周方向の曲げ抵抗が減少する。これにより、ゴムクローラ10は、弾性体周方向の曲げ抵抗の増加が抑制されて、駆動輪100や遊動輪102に巻き掛かった際に、これらの外周面100Cや102Aに沿って曲がり易くなる。
なお、ここでいう、クローラ周方向の曲げ抵抗とは、ゴムクローラ10が駆動輪100や遊動輪102に巻き掛かり、これら駆動輪100や遊動輪102の各々の外周に沿って曲げられるときの曲げ変形に対する抵抗、すなわち、ゴム体12の巻き掛かけ状態におけるクローラ周方向の曲げ変形に対する抵抗を指している。
以上のことから、ゴムクローラ10によれば、走行時の騒音や振動を抑制しつつ、クローラ周方向の曲げ抵抗の増加を抑制することができる。
また、ゴムクローラ10では、曲げ応力(圧縮)が最大となる頂面30Aにおいて該頂面30Aのクローラ幅方向に沿った幅を、該頂面30Aの端部30Bから中央30Cに向って漸減させながら支持部30のクローラ幅方向に沿った断面積を減少させていることから、支持部30のクローラ周方向の曲げ抵抗を減少させることができる。
そして、上記のように、支持部30は、頂面30Aの端部30Bから中央30Cに向ってクローラ幅方向に沿った断面積が減少する、すなわち、ゴム量が減少していることから、発熱量が減少する。特に、支持部30は、クローラ周方向の曲げ変形において主に曲がる部分である中央30C近傍のゴム量が減少しているため、発熱量を低く抑えられる。以上のことから、支持部30は、クローラ周方向の曲げによるゴムの熱劣化が抑制され、この熱劣化に起因する不具合(例えば、亀裂の発生など)が抑制される。これにより、ゴムクローラ10の耐久性が向上する。
また、支持部30は、頂面30Aの中央30Cでのクローラ幅方向に沿った幅W1が端部30Bでのクローラ幅方向に沿った幅W2の50%未満の場合には、上記中央30C近傍において遊動輪102や駆動輪100から受ける面圧が上昇するため、該中央30C近傍の摩耗の進行が早まる虞があり、幅W1が幅W2の99%を超えた場合には、支持部30のクローラ周方向の曲げ抵抗を減少させる効果が十分に得られない。このため、ゴムクローラ10では、幅W1を幅W2の50〜99%の範囲内として、支持部30の局部的な摩耗の発生を抑制する効果と、支持部30のクローラ周方向の曲げ抵抗を減少させる効果を両立している。
ゴムクローラ10が駆動輪100や遊動輪102に巻き掛かり、これら駆動輪100や遊動輪102の各々の外周に沿って曲げられると、クローラ周方向の隣り合う芯金20間の中央を通る直線SL上に曲げ応力が集中する。このため、ゴムクローラ10では、支持部30の頂面30Aの中央30Cとクローラ周方向に隣り合う芯金20間の中央を通る直線SLとを一致させている。これにより、ゴムクローラ10のクローラ周方向の曲げ抵抗の増加をさらに抑制することができる。
また、ゴムクローラ10では、支持部30の頂面30A上に入り込んだ異物(例えば、小石など)を駆動輪100や遊動輪102で踏んだとしても、支持部30の下側(クローラ外周側)に、芯金20などの剛体が配置されていないことから、支持部30を構成するゴムなどが弾性変形して、頂面30Aの不具合(損傷など)を抑制する。これにより、ゴムクローラ10の支持部30の損傷による亀裂の進展や、ゴム欠けなどを効果的に抑制することができる。
またさらに、ゴムクローラ10では、支持部30の頂面30Aを平坦状としていることから、遊動輪102が支持部30の頂面30Aからクローラ周方向に隣り合う支持部30の頂面30Aへ乗り移る際の、頂面30Aの端部30B及びその周辺と遊動輪102との衝突による端部30B及びその周辺の材料欠け(ゴム欠け)を抑制させられる。これにより、支持部30の耐久性、すなわち、ゴムクローラ10の耐久性が向上する。
上記のようにクローラ周方向の曲げ抵抗の増加が抑制されたゴムクローラ10を用いるクローラ走行装置90では、ゴムクローラ10(ゴム体12)が駆動輪100などに巻き掛かる際のパワーロスを低減することができ、クローラ車の燃費を改善できる。加えて、ゴムクローラ10を、駆動輪100、遊動輪102及び転輪104に巻き掛ける際の作業も容易になる。さらに、加速性能を向上させることもできる。
また、ゴムクローラ10では、駆動輪100の歯部100Bが係合凹部28に挿入係合することから、例えば、歯部100Bがゴム突起14に係合するものと比べて、駆動輪100の歯部100Bから駆動力が入力される位置がクローラ外周側(図6に示すように、芯金突起26の根元側)となり、ゴム体12内の芯金20の傾く動きが抑制される。このようにゴム体12内の芯金20の傾く動きが抑制されることにより、芯金20まわりのゴムの変形も小さくなる。その結果、芯金20まわりのゴムの疲労が低減され、かつ芯金20と該芯金20まわりのゴムとの接着耐久性の低下が抑制される。なお、ここでいう芯金20の傾きは、クローラ側面視(図3など)でのクローラ周方向の傾きを指す。
また、例えば、クローラ周方向に間隔をあけて複数配置された芯金20のクローラ外周側に長ラグ16A及び短ラグ16Bをクローラ周方向に交互に形成した場合、頂面30A上を駆動輪100及び遊動輪102が転動する際に駆動輪100及び遊動輪102からの荷重によって支持部30の頂面30Aが下がり、走行時の振動が増す虞がある。このため、ゴムクローラ10では、芯金20のクローラ外周側に長ラグ16A及び短ラグ16Bを形成せずに、クローラ周方向に間隔をあけて複数形成された支持部30の頂面30Aのクローラ外周側に長ラグ16A及び短ラグ16Bをクローラ周方向に交互に形成している。これにより、支持部30(特に頂面30A)の位置でのゴム材の厚みが増すため、駆動輪100及び遊動輪102からの荷重によって頂面30Aが下がるのが抑制される。つまり、ゴムクローラ10の上下方向(クローラ内外方向)のバネがクローラ周方向で均一となるため、転輪104などの上下動(振動)が抑制されて走行時振動が抑制され、かつ安定性も向上する。
第1実施形態では、クローラ側面視で支持部30の頂面30Aを平坦状とする構成にしているが、本発明はこの構成に限定されず、クローラ側面視で支持部30の頂面30Aを平坦状以外とする構成にしてもよい。例えば、頂面30Aを、クローラ周方向の端部30Bがクローラ周方向の中間部(例えば、中央部)よりもクローラ内周側に盛り上がる形状(例えば、テーパー形状など)としてもよい。この場合には、例えば、クローラ側面視で頂面30Aが平坦状のものと比べて、支持部30の頂面30Aと遊動輪102との接触面積を増やして、頂面30Aに作用する面圧を低下させることが可能となる。これにより、支持部30の摩耗が低減され、支持部30の耐久性、すなわち、ゴムクローラ10の耐久性が向上する。なお、クローラ側面視で頂面30Aを端部30Bがクローラ周方向の中央側よりもクローラ内周側に盛り上がる形状にすることについては、後述する第2実施形態のゴムクローラなどに適用してもよい。
また、第1実施形態の芯金20では、図3に示すように、クローラ側面視で芯金突起26の形状を、先端部から根元部までの中間部分に括れ部分26Aが形成される形状としているが、本発明はこの構成に限定されず、クローラ側面視で芯金突起26の形状を、先端部から根元部までの中間部分に括れ部分26Aが形成されない形状としてもよい。例えば、芯金20の変形例である図18に示す芯金86のように、クローラ側面視で芯金突起88の形状を、先端部から根元側に向けてクローラ周方向の長さが次第に長くなる形状(図15では一例として略三角形状としている)としてもよい。なお、芯金突起88は、突起根元側が翼部24に対してクローラ周方向に張り出している。上記のように芯金86では、クローラ側面視で芯金突起88の形状を、先端部から根元側に向けてクローラ周方向の長さが次第に長くなる形状としている、すなわち、括れ部分26Aを形成しない形状(構成)としていることから、芯金突起88の剛性(曲げ剛性など)を向上させることができる。なお、芯金86は、後述する第2〜第5実施形態の各ゴムクローラの芯金として用いてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の弾性クローラについて図9、図10を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図9、図10に示すように、本実施形態のゴムクローラ50は、支持部52の構成以外は、第1実施形態のゴムクローラ10と同一の構成である。このため、以下では、支持部52の構成について説明する。
支持部52は、底部52Dのクローラ幅方向に沿った幅が、頂面52Aのクローラ幅方向に沿った幅と同様に頂面52Aのクローラ周方向の端部52Bからクローラ周方向の中央52Cに向って漸減しながら断面積が減少しており、その他の構成は、第1実施形態の支持部30とほぼ同一の構成である。なお、頂面52Aのクローラ幅方向の端部52Eは、第1実施形態の頂面30Aの端部30Eに対応している。また、本実施形態では、頂面52Aの中央52Cを、クローラ周方向の中央を通る直線(一点鎖線)で表している。
次に、第2実施形態のゴムクローラ50の作用効果について説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
本実施形態のゴムクローラ50では、支持部52の底部52Dのクローラ幅方向に沿った幅を、端部52Bから中央52Cに向って漸減しながら断面積を減少させていることから、第1実施形態のゴムクローラ10の支持部30よりも、支持部52のクローラ周方向の曲げ抵抗を減少させることができる。また、支持部52のゴム量が、第1実施形態の支持部30よりも、少ないため、発熱量も低下する。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の弾性クローラについて図11〜図14を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図11、図12に示すように、本実施形態のゴムクローラ60は、支持部62の構成以外は、第1実施形態のゴムクローラ10と同一の構成である。このため、以下では、支持部62の構成について詳細に説明する。
図12、図14に示すように、支持部62は、ゴム体12(ゴムクローラ10)の巻き掛かけ状態におけるクローラ周方向の曲げに対する断面二次モーメントが頂面62Aのクローラ周方向の端部62Bから中央62Cにかけて次第に小さくなっている。具体的には、図12に示すように、支持部62は、頂面62Aの係合凹部28の凹底面28Bを基準にした高さが頂面62Aの端部62Bから中央62Cに向って漸減しながらクローラ幅方向に沿った断面積が減少して、断面二次モーメントがクローラ周方向の端部62Bから中央62Cに向けて次第に小さくなっている。なお、本実施形態では、頂面62Aの中央62Cを、クローラ周方向の中央を通る直線(一点鎖線)で表している。
また、支持部62は、頂面62Aのクローラ幅方向に沿った幅Wが頂面62Aの端部62Bから中央62Cに向って一定とされるとともに底部62Dのクローラ幅方向に沿った幅Wが頂面62Aの端部62Bから中央62Cに向って一定とされている。なお、支持部62の底部62Dは、係合凹部28の凹底面28Bと同じ位置(すなわち、凹底面28Bを基準とした高さがゼロとなる位置)とされている。
さらに具体的に説明すると、図13に示すように、支持部62は、クローラ幅方向に沿った断面の形状が略台形状とされている。この支持部62は、頂面62Aの中央62Cでの断面形状K1(図13では二点鎖線)が端部62B近傍での断面形状K2(図13では二点鎖線)よりも上記高さが低くなっており、断面形状K1の面積S1が断面形状K2の面積S2よりも小さくなっている。この構成により、支持部62は、巻き掛かけ状態におけるクローラ周方向の曲げに対する断面二次モーメントが断面形状K2の部分よりも断面形状K1の部分で小さくなっている。
図12に示すように、頂面62Aは、クローラ側面視で、中央62Cが最も上記高さが低いV字形状とされている。なお、本発明に係るその他の実施形態では、頂面62Aをクローラ外周側に凸となるように湾曲させる構成としてもよい。また、頂面62Aの中央62Cを除く両端部62B間の任意の部位(中間部)が最も上記高さが低いV字形状、湾曲形状としてもよい。
また、頂面62Aの中央62Cでの凹底面28Bを基準にした高さをH1、端部62Bでの凹底面28Bを基準にした高さをH2としたとき、0<(H2−H1)/P<0.15を満たしている。
図11に示すように、本実施形態では、頂面62Aの中央62Cとクローラ周方向に隣り合う芯金20間の中央を通る直線SLとが一致している。なお、本発明に係るその他の実施形態では、中央62Cと直線SLはクローラ周方向にずれていても構わない。
次に、第3実施形態のゴムクローラ60の作用効果について説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
第3実施形態のゴムクローラ60では、曲げ応力(圧縮)が最大となる頂面62Aにおいて該頂面62Aの係合凹部28の凹底面28Bを基準にした高さを、該頂面62Aのクローラ周方向の端部62Bから中央62Cに向って漸減させながら支持部62のクローラ幅方向に沿った断面積を減少させていることから、支持部62のクローラ周方向の曲げ抵抗をさらに減少させることができる。
特に、図12に示すように頂面62Aがクローラ側断面視でV字形状となっていることから、例えば、頂面が直線状(平坦状)のものと比べて、頂面62Aの面積が広く、曲げ変形により発熱した支持部62の熱を効率よく放熱することができる。
そして、頂面62Aの中央62Cでの凹底面28Bを基準にした高さをH1、端部62Bでの凹底面28Bを基準にした高さをH2としたとき、0<(H2−H1)/P<0.15の関係を満たしている。(H2−H1)/P<0の場合には、頂面62Aと遊動輪102や駆動輪100との接触が局部的なものとなり、面圧が上昇するため、頂面62Aに局部的な摩耗が生じる虞があり、(H2−H1)/P≧0.15を超えた場合には、支持部62のクローラ周方向の曲げ抵抗を減少させる効果を十分に得られない。このため、ゴムクローラ10では、0<(H2−H1)/P<0.15の関係を満たすことで、支持部62の局部的な摩耗の発生を抑制する効果と、支持部62のクローラ周方向の曲げ抵抗を減少させる効果を両立している。
また、ゴムクローラ60では、支持部62の頂面62Aの中央62Cとクローラ周方向に隣り合う芯金20間の中央を通る直線SLとを一致させている。これにより、クローラ周方向の曲げ抵抗の増加をさらに抑制することができる。
なお、本実施形態のゴムクローラ60の支持部62に、第1実施形態の支持部30、第2実施形態の支持部52の構成を適用して、例えば、支持部62を、頂面62Aのクローラ幅方向に沿った幅及び係合凹部28の凹底面28Bを基準にした高さが端部62Bから中央62Cに向って漸減しながら断面積が減少する構成としてもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の弾性クローラについて図15、図16を参照しながら説明する。なお、第2実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図15、図16に示すように、本実施形態のゴムクローラ70は、支持部72の構成以外は、第3実施形態のゴムクローラ60と同一の構成である。このため、以下では、支持部72の構成について詳細に説明する。
支持部72は、クローラ側面視で、頂面72Aがクローラ外周側に凸となるように湾曲し、この湾曲の曲率半径が遊動輪102の半径rと同一または大きく設定されている点以外は、第3実施形態の支持部62とほぼ同一の構成である。すなわち、支持部72は、頂面72Aの係合凹部28の凹底面28Bを基準にした高さがクローラ周方向の端部72Bから中央72Cに向って漸減しながら断面積が減少している。なお、本実施形態では、頂面72Aの中央72Cを、クローラ周方向の中央を通る直線(一点鎖線)で表している。
次に、第4実施形態のゴムクローラ70の作用効果について説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第3実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
支持部72は、頂面72Aの曲率半径が遊動輪102の半径と同一または大きく設定されていることから、遊動輪102が頂面72A上を転動する際の接触面積を増加させることができる。これにより、頂面72Aの接触面圧が低減されて、頂面72Aの摩耗の進行が抑制される。結果、支持部72の耐久性、すなわち、ゴムクローラ70の耐久性が向上する。
なお、本実施形態の支持部72は、頂面72Aの端部72B周囲を円弧形状としている。これにより、遊動輪102や駆動輪100が頂面72Aからクローラ周方向に隣り合う頂面72Aに乗り移る際の、上下動を抑制することができる。また、端部72B周囲の摩耗の進行を抑制することができる。
なお、本実施形態のゴムクローラ70の支持部72に、第1実施形態の支持部30、第2実施形態の支持部52の構成を適用して、例えば、支持部72を、頂面72Aのクローラ幅方向に沿った幅及び係合凹部28の凹底面28Bを基準にした高さが端部72Bから中央72Cに向って漸減しながら断面積が減少する構成としてもよい。
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態の弾性クローラについて図17を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
第5実施形態のゴムクローラ80は、駆動輪100、遊動輪102、及び転輪105に巻き掛けられる。この転輪105は、円盤状とされ、クローラ車に回転自在にとりけられ、ゴムクローラ80の一対のゴム突起14間を通過すると共に、支持部30の頂面30Aで支持されて該頂面30A上を転動するようになっている。このため、ゴムクローラ80には、一対の係合凹部28を挟んでクローラ幅方向両外側に転輪支持部36を形成していない。なお、ゴムクローラ80のその他の構成は、第1実施形態のゴムクローラ10と同一である。
次に、第5実施形態のゴムクローラ80の作用効果について説明する。
なお、本実施形態の作用効果のうち、第1実施形態と同様の作用効果については、その説明を省略する。
ゴムクローラ80の走行時には、図17に示すように、転輪105は、支持部30の頂面30Aからクローラ周方向に隣り合う支持部30の頂面30Aへ順次乗り移りながら、各々の支持部30の頂面30A上を転動する。このため、転輪105が支持部30の頂面30Aからクローラ周方向に隣り合う支持部30の頂面30Aへ乗り移る際の、該転輪105と芯金20(詳細には、補強リブ23の頂面23A)との衝突を回避、または、該転輪105と芯金20との衝突を和らげる(緩衝する)ことができる。なお、転輪105と芯金20との衝突が回避された場合には、衝突音、及び衝突に起因する振動は生じない。また、上記のように、転輪105と芯金20との衝突を回避または和らげる(緩衝する)ことで、繰り返し衝突に起因する芯金20とその周辺のゴムとの剥離を抑制することができる。これにより、走行時における騒音や振動がさらに抑制される。
なお、ここで言う、転輪105と芯金20の衝突は、直接的または間接的な衝突を含むものであり、間接的な衝突とは、芯金20を被覆するゴムを介して該芯金20と転輪105とが衝突することを指す。
また、ゴムクローラ80では、上記のように、転輪105が支持部30の頂面30A上を転動する構成としていることから、一対の係合凹部28を挟んでクローラ幅方向両外側に転輪支持部36を形成しない構成としている。このため、ゴムクローラ80は、例えば、転輪支持部36を一対の芯金突起26のクローラ幅方向両外側にそれぞれ形成するものと比べて、重量を減らすことができ、さらには、クローラ周方向の曲げ剛性を低下させることができる。
なお、第5実施形態のゴムクローラ80の、転輪105を用いて転輪支持部36を形成しない構成は、第2〜第4実施形態のいずれのゴムクローラにも適用することができる。
(その他の実施形態)
第1実施形態のゴムクローラ10では、クローラ周方向に間隔をあけて複数形成された支持部30のクローラ外周側に長ラグ16A及び短ラグ16Bをクローラ周方向に交互に形成する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、クローラ周方向に間隔をあけて複数配置された芯金20のクローラ外周側に長ラグ16Aと短ラグ16Bとがクローラ周方向に交互に配置される構成としてもよい。この構成により、芯金20の下側(クローラ外周側)のゴム部分の厚みが、長ラグ16Aまたは短ラグ16Bによって大幅に増すため、接地面上の障害物を長ラグ16Aまたは短ラグ16Bで踏んだとしても、障害物が補強層18に到達することがない、すなわち、補強層18の損傷を効果的に防止することができる。一方で、長ラグ16A及び短ラグ16Bのない部分、すなわち、支持部30の下側のゴム部分で障害物を踏んだ場合、この下側のゴム部分はクローラ内周側へ凹むような逃げ変形(弾性変形)をするため、障害物が食い込みにくく、該障害物による損傷をある程度防止することができる。なお、クローラ外周側から見た場合の、芯金20に対する長ラグ16Aと短ラグ16Bの位置関係は、ゴムクローラの仕様に応じて決定されるものである。また、上記したクローラ周方向に間隔をあけて複数配置された芯金20のクローラ外周側に長ラグ16Aと短ラグ16Bをクローラ周方向に交互に配置するラグ配置パターンは、第2〜第5実施形態のいずれのゴムクローラにも適用することができる。
前述した実施形態では、ゴム体12の中央線と芯金20の中央線CLとを一致させる構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、ゴム体12の中央線に対して芯金20の中央線CLがクローラ幅方向にずれていてもよい。
また、前述した実施形態では、ゴムクローラ10の引張応力の補強用に補強層18を埋設しているが、本発明はこの構成に限定されず、補強層18を用いずに、クローラ周方向に互いに隣接する芯金20同士を連結部材(例えば、リング状の連結部材など)で連結、又は、芯金に形成した連結部同士(例えば、フックとピンなど)を連結して無端状とした芯金連結体でゴムクローラ10の引張応力を補強する構成としてもよい。
さらに、前述した実施形態では、弾性体の一例としてのゴム材でゴム体12を形成しているが、本発明はこの構成に限定されず、弾性体の一例としてゴム材以外のエラストマーなどを用いてもよい。
またさらに、前述した実施形態では、芯金20を金属製としているが、本発明はこの構成に限定されず、ゴムクローラ10の仕様に対して十分な強度を備えるならば、芯金20を例えば、樹脂製としてもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。