JP5818419B2 - ブナシメジ子実体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体種菌を用いたブナシメジ子実体の製造方法に関する。
近年、きのこの人工的な栽培技術が開発され、種々のきのこの子実体(ホンシメジ、ハタケシメジ、ブナシメジ、エリンギ、シイタケ、エノキタケ等)が提供されるようになってきている。
通常、きのこの人工的な栽培は、ほだ木や固形培地にきのこの種菌を接種し、培養、生育等の工程を経て、子実体を収穫することにより行われる。きのこの種菌にはオガクズ等の培地を用いた固体種菌と液体培地を用いた液体種菌が存在する。近年、きのこの人工的な栽培は大型設備の工場システムで実施されるなど機械化が推進されてきている。しかしながら、商業的に大量かつ安定してきのこ子実体を製造するためには、使用する種菌を大量に培養する必要がある。従来、きのこの種菌には保存性がよく容易に輸送が可能である等の理由から固体種菌が用いられている。しかしながら、固体種菌のロット差に起因するきのこ子実体製造時の製造ムラのリスクや固体種菌を接種した際のあふれた種菌によるビンやコンテナの汚れに起因する深刻な設備の害菌・害虫汚染等を回避しやすいこと、種菌の製造時間の大幅な短縮が可能であり、かつスケールアップが容易なことなどから、液体種菌が有利とされ、その使用が増加してきている。液体種菌を大量に培養するための方法として、菌糸体より有用成分を得るための大量培養方法である液体深部培養法が検討され、培養条件等を厳密にコントロールするために機械的なかく拌、通気、温度管理を行うジャーファーメンターによる通気かく拌型発酵槽を用いた液体深部培養法が通用している(例えば、非特許文献1)。しかし、商業的規模でのきのこ子実体を栽培するためには大容量のジャーファーメンターを含む高価で大規模な培養設備の設置が必須である。
一方、ブナシメジの人工的な栽培は固体種菌を用いて行うことが一般的であり、商業的規模で行われている。近年、液体種菌を用いたブナシメジの栽培方法も試みられている(例えば、特許文献1、非特許文献2)。しかしながら、ブナシメジは液体培養を行うと菌糸生育が不安定になり、不揃いな菌糸塊状態となる。このため、そのまま栽培用培地に接種すると菌廻り不良が生じ、ブナシメジ子実体の発生誘導手段である菌かきも不十分となる。その結果、ブナシメジ子実体の発生不良が生じてしまう可能性が高い。また、不揃いな菌糸塊状態を避けるため、培養中の機械的なかく拌等による均一化も試みられている。しかしながら、培養中に菌糸を機械的に切断してしまうため、結果的にブナシメジ子実体の発生不良や形状の不安定化が起こり、商業的規模での製造はいまだ難しいものであり行われていない。
特開2003−158921号公報
醗酵協会誌、第24巻、第7号、293−304頁、1966年 特産情報、第24巻、第1号、44−47頁、2002年
上記の現状にかんがみ、本発明の目的は、大規模な商業製造における、安価でかつ効率のよい液体種菌を用いたブナシメジ子実体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、大規模な商業製造を行うための液体種菌を用いたブナシメジ子実体の製造方法を鋭意検討した結果、驚くべきことに、かく拌に気泡を用いる液体深部培養(無動力かく拌:エアバブリング)が、意外にもブナシメジ子実体を製造するための液体種菌製造に有用であることを見出した。また、当該培養において、培地中に低濃度の増粘剤を含有させることにより、ブナシメジの子実体形成能を有した状態でブナシメジ菌糸体を均一で、かつ効率よく安定的に大量培養することが可能であることを見出した。更に、これまで固体種菌において使用されてきた菌床栽培用培地の菌座をより高くし、菌座表面の中央部以外の場所に小さい穴をあけることで、安定した菌廻りが可能となり、菌かきによる発生誘導を効率よく行え、固体種菌を用いた場合より、種菌製造時間を含め、短期間かつ均一な商品価値の高い優良なブナシメジ子実体を製造することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明を概説すれば、
[1]増粘剤を含有する液体培地で、気泡を用いた培地のかく拌で液体深部培養を行った液体種菌を用いることを特徴とするブナシメジ子実体の製造方法、
[2]実質的に気泡を用いたかく拌によってのみ培地のかく拌を行う、[1]に記載の方法、
[3]増粘剤が、海藻抽出物、果実多糖類、種子多糖類、樹液多糖類、発酵多糖類、貯蔵性多糖類、動物性たんぱく質及びセルロース誘導体から選択される[1]に記載の方法、
[4]培地中の増粘剤の濃度が0.001〜0.1重量%である[1]の方法、
[5]ビン栽培である[1]の製造方法、
[6]菌座を高くした菌床栽培用培地を用いることを特徴とする[5]の製造方法、
[7]ビン中央部の周辺に2〜6箇所の接種孔を有する菌床栽培用培地を用いる[6]の製造方法、
に関する。
本発明により、液体種菌を用いた安価なブナシメジ子実体の大規模な商業的製造方法が提供される。
本発明の製造方法に用いる栽培ビン中の菌床栽培用培地の菌座位置を示す図である。
本発明に好適なブナシメジ菌株としては、リオフィラム ウルマリウムとして表示されている菌株、Hypsizygus marmoreusとして表示されている菌株等があり、例えばリオフィラム ウルマリウム M−8171(FERM BP−1415)、リオフィラム ウルマリウム K−0259(FERM P−12981)、リオフィラム ウルマリウム Lu1−172株(FERM BP−8354)、Lu1−173株(FERM BP−8355)、Lu1−174株(FERM BP−8356)、Lu1−181株(FERM BP−8357)及び子実体の製造に適したこれら変異株等が例示される。
本発明に好適なブナシメジ菌株は人工的な栽培が可能な菌株で、本発明に適用できる菌株であれば、上記菌株のみに何ら制限されるものではない。これらの菌株としては、市販の菌株、野生の子実体からの組織分離株、又は、選抜、交配、細胞融合、遺伝子組換え等、当業者にとって自明な方法により育種した株等を用いることができる。
本発明で用いることができる「ブナシメジ菌糸体」とは、上記ブナシメジの菌糸体であって、液体培地で培養が可能で、かつ、ブナシメジ子実体を製造するための液体種菌として用いることができれば、特に限定はない。
本願明細書において「気泡を用いる液体深部培養」とは、培養槽内に発生させた気泡により培養液の動き(流れ)を生じさせて培地のかく拌を実施する培養方法を指す。実質的に気泡を用いたかく拌によってのみ培地のかく拌を行う培養方法が好ましく、菌糸の切断が起こらない程度であれば、スターラー、プロペラ形状のファンのような装置による機械的なかく拌を含んでもよい。特に好ましくは、機械的なかく拌を伴わず、気泡を用いたかく拌によってのみ培地のかく拌を行う培養方法である。前記の培養方法に使用される培養槽にはかく拌や振とうのための機械的な動力を用いる装置を必要とせず、気泡を発生させる装置を備えていればよい。本発明においては、例えば日本応用きのこ学会誌、第8巻、第1号、1−11頁(2000)に記載の気泡塔型培養装置等を用いることができ、底面及び/又は側面から無菌的に気泡を発生できるような装置を付した培養槽を用いることができる。また、気泡が発生できる管等を直接培養槽に入れて行っても良い。培養槽における気泡の通気量としては、0.2〜0.8vvm(volume per volume per minute:単位体積あたりのガス通気量)が好ましく、好適には0.2〜0.6vvm、あるいは10〜50リットル/min(1分間に10〜50リットルの無菌エアを25〜83Lの液体培地中へ通気する量を示す)でもよく、好適には20〜40リットル/minである。気泡を用いて培地をかく拌することにより、液体培養において、安定した菌糸生育が可能となり、不揃いな菌糸塊状態を避けることができる。また、実質的に気泡によるかく拌によってのみ培地をかく拌することにより、培養中に菌糸を機械的に切断することによって生じる、ブナシメジ子実体の発生不良や形状の不安定化を避けることができる。
本発明で使用される培養槽は、所望の量の培養液を保持しうる容量を有し、かつ外部からの微生物の混入を防止しうる容器であればよい。好ましくは、保持された培地を加熱加圧殺菌しうる構造の培養槽が使用されるが、培養液を保持する培養槽そのものをオートクレーブ等で殺菌可能であれば、加圧殺菌のための機能は必要ない。また、無菌とした空気を容器内に導入する機能を有するか、そのための装置を付加できるものが好ましい。通常のジャーファーメンターを使用することもできるが、その場合、培養時に機械的なかく拌機能を使用する必要はない。本発明で使用される培養槽の大きさは、製造する液体種菌の量により適宜調整すればよい。本発明の液体種菌の製造において、連続又は単回培養のどちらで行ってもよく、好適には単回培養、すなわちブナシメジ子実体の製造を行う単位毎に使用する液体種菌を毎回培養することが好ましい。
本願明細書において使用する液体培地は、きのこの液体培養に通常使用されるもの、例えば炭素源、窒素源、無機塩などの栄養源を含有する液体培地が使用できる。例えば、ぶどう糖、麦芽糖、糖蜜、デキストリン、グリセリン、澱粉などの炭水化物などの炭素源、並びにペプトン、肉エキス、綿実粉、大豆粉、酵母エキス、カゼイン、コーン・スチープ・リカー、NZ−アミン、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどの窒素源、更にリン酸二カリウム、リン酸ナトリウム、食塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガンなどの無機塩が含有し、ブナシメジ菌糸体が培養可能な液体培地であればよい。例えば、PGY液体培地(グルコース2.0%、ポリペプトン0.2%、酵母エキス0.2%、KHPO0.05%及びMgSO・7HO0.05%)やSGMY液体培地(グルコース0.5%、酵母エキス0.2%、KHPO0.05%、KHPO0.03%及びMgSO・7HO0.05%、SH(微生物培養用栄養源、Bacterio−N、マルハニチロ社製)、マルトース0.2%)が好適に使用できる。
本発明による液体種菌の培養は、特に本発明を限定するものではないが、前述の液体培地に低濃度の増粘剤を添加し、ブナシメジの菌糸体を接種することにより実施される。培養温度や培養時間は、接種するブナシメジの菌糸体が増殖可能な温度及び時間とすることは当然のことである。なお、大量培養を行う場合は、まず初めにフラスコ等を用いたかく拌又は振とうによる少スケールでの前培養、例えば2〜200mLの液体培地にブナシメジの菌糸体を接種し、かく拌又は振とうによる前培養を行い、当該前培養物を用いて本培養(大量培養)を行う。この場合、本培養時に本発明の方法を用いることにより、効率よく安価で大量に液体種菌を製造することができる。
本願明細書において「増粘剤」とは液体に粘性をもたせる物質であれば、特に限定はなく、澱粉やゲル化剤などの増粘多糖類、例えば海藻抽出物、果実多糖類、種子多糖類、樹液多糖類、発酵多糖類、貯蔵性多糖類、動物性たんぱく質、セルロース誘導体などが挙げられ、更に詳細には、寒天、カラギーナン、アルギン酸、プロピレングリコール、ペクチン、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンド、サイリウム、大豆多糖類、タラガム、カシアガム、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、プルラン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)等から選択されるものが挙げられる。特に、安全性の観点から、食用添加物として使用されている増粘剤が好適である。これら増粘剤は、公知の方法で調製してもよく、市販品を用いても良い。本発明においては、これら増粘剤の1種類又は数種類を培地に混合して使用してもよい。
本願明細書において「低濃度」とは、培地がゲル状(固化した状態)やゾル状(ゼリー状もしくはゼリー状に近い状態)にならない増粘剤の濃度を示す。好適には増粘剤を除いた培地に対して、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.005〜0.08重量%、更に好ましくは0.01〜0.05重量%である。
本願明細書において「菌座」とは、栽培用培地上部の表面の菌接種部位をいう。例えばビン栽培用培地では、ビン開口部の露出した培地表面を菌座という。本発明においては、固体種菌を用いる場合の菌床栽培用培地(菌床栽培用固形培地、菌床栽培用培養基ともいう)よりも菌座を高くすることが好ましく、例えば、ビン栽培の場合、図1に示すように固体種菌を用いる場合、通常のビン栽培に使用されている市販の850mLビン又は1100mLのビン口(ビン淵)より15mm下を菌座とすることが推奨されている。本発明においては、菌座の位置は、ビン肩より上かつビン口より下であれば特に限定されないが、固体種菌を用いる場合の菌床栽培用培地の菌座より高くすることが好ましく、好適にはビン口より2〜10mm下、更に好ましくはビン口より5〜9mm下を菌座とすることが好ましい。
本発明による液体種菌を用いたブナシメジ子実体の製造方法は、特に本発明を限定するものではないが、一例として、例えば下記の工程で行うことができる。SGMY液体培地(組成:グルコース0.5%、酵母エキス0.2%、KHPO0.05%、KHPO0.03%及びMgSO・7HO0.05%、SH(微生物培養用栄養源、Bacterio−N、マルハニチロ社製)、マルトース0.2%)200mLにブナシメジの菌糸体を接種し、25℃で14日間振とう培養し、前培養物を調製する。次に、別途調製したSGMY液体培地160Lに低濃度の増粘多糖類、例えばジェランガム〔ケルコゲル(三栄源エフ・エフ・アイ社製)〕を、増粘剤を除いた培地に対して0.001〜0.04重量%になるように加え、本培養用の液体培地を調製する。この液体培地を培養槽に充てんし、118℃で35〜90分間高圧蒸気殺菌を行う。放冷開始直後に無菌エアによる通気を行い、培養槽内を陽圧とする。当該培地を冷却後、上記の前培養物の全量を接種し、培養温度25℃、通気量0.25vvm、内圧0.05MPa、無動力かく拌(エアバブリング)の培養条件で、6〜7日間培養を行い、液体種菌を調製する。
上記のように調製した液体種菌は適当な容器、例えばポリプロピレン製の丸型ビンなどへ無菌的に移し、菌床培地へ摂取するまでの間、3〜−1℃の範囲で制御された環境で保管してもよい。
次に、上記の液体種菌を用いて、例えば菌床栽培方法である、ビン栽培、袋栽培、箱栽培などでブナシメジ子実体を製造することが可能である。一例としてビン栽培による本発明の液体種菌を用いたブナシメジ子実体の製造方法について述べると、その方法とは菌床培地調製、ビン詰め、殺菌、種菌の接種、菌床培養、菌かき(饅頭かき)、芽出し、生育、収穫等の各工程からなる。例えば、特開平05−268942号公報記載の菌床栽培を行う際の種菌として、本発明の方法で培養した液体種菌を用いることができる。但し、本発明の製造方法に用いる菌床栽培用培地は、固体種菌を用いる場合の菌床栽培用培地や通常用いられている菌床栽培用培地よりも菌座を高くすることが好ましく、好適には菌座がビン口より2〜10mm下になるようにすることがよい。また、ビン中央部の穴(孔又は接種孔ともいう)は特に必要ではなく、ビン淵付近、すなわちビン中央部の周辺に口径3〜10mm程度、好ましくは5mm程度、深さ100〜200mm程度、好ましくは110〜150mm程度の小さい穴(孔又は接種孔ともいう)を1ビンあたり2〜6箇所、好ましくは4箇所あけた菌床栽培用培地を用いてもよい。
本発明の液体種菌を菌床栽培用培地に接種する際、850mLの広口培養ビン1ビン当り、例えばその約10〜20mLを無菌的に植え付ければよい。前記液体種菌を接種する方法としては、特殊な機械を用いてスプレー状に菌座及び接種孔にまんべんなく接種する必要はなく、液体種菌をそのまま菌座上に必要量を無菌的に添加するだけでよい。液体種菌を添加する菌座上の位置は菌座の中央部付近が好ましい。
本発明により、大規模なブナシメジ子実体の商業製造用の固体種菌と比較し、飛躍的に短時間でブナシメジ子実体の商業製造用の液体種菌を製造することができる。例えば、前記固体種菌を製造する場合、前培養後の液体菌糸もしくは固体菌糸を固形培地に接種する。その後、約30〜60日間、固形培地に菌糸を蔓延させる。得られた菌糸が蔓延した固形培地を固体種菌としてブナシメジ子実体の商業製造に使用する。これに対して、本発明の液体種菌の場合、前培養後の液体菌糸を本発明の液体培地に接種する。その後、約3〜7日間、好適には6〜7日間培養を行うことにより液体種菌を得ることができ、かつブナシメジ子実体の商業製造に使用することができる。
また、本発明の液体種菌を大規模なブナシメジ子実体の商業製造に用いることで、固体種菌のロット差に起因するブナシメジ子実体製造時の製造ムラを回避することができ、かつ優良なブナシメジ子実体を安定して製造することが可能である。
以上、ビン栽培方法について例を挙げて説明したが、本発明の方法で培養した液体種菌を用いたブナシメジの製造方法は、上記ビン栽培による菌床栽培での使用に限定されるものではない。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。
実施例1
SGMY液体培地(組成:グルコース0.5%、酵母エキス0.2%、KHPO0.05%、KHPO0.03%及びMgSO・7HO 0.05%、SH(微生物培養用栄養源、Bacterio−N、マルハニチロ社製)、マルトース0.2%)200mLにリオフィラム ウルマリウム Lu1−181株(FERM BP−8357)の菌糸体を接種し、25℃で14日間振とう培養(90〜110rpm)を行い、前培養物を調製した。
次に、別途調製したSGMY液体培地160Lに増粘多糖類であるジェランガム〔ケルコゲル(三栄源エフ・エフ・アイ社製)〕を増粘剤を除いた培地に対して0.04重量%となるように加え、本培養用の液体培地を調製した。培養槽は撹拌能力の無い、非第一種圧力容器を用いた。本培養用の液体培地を入れた培養槽を、118℃で35分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷開始直後に無菌エアによる通気を行い、培養槽内を陽圧とした。当該培地を冷却後、上記の前培養物の全量を接種し、培養温度25℃、通気量0.25vvm、内圧0.05MPa、無動力かく拌(エアバブリング)の培養条件で、6〜7日間培養を行い、液体種菌を調製した。
また、比較対象として、常法、すなわち次のようにしてリオフィラム ウルマリウム Lu1−181株(FERM BP−8357)の固体種菌を調製した。まず、ポリプロピレン製の広口培養ビン(850mL、信越農材製)に、鋸屑(スギ材)62g、コーンコブ30g、コメヌカ60g、マメカワ20g、フスマ20g、タカラクリーン(タカラバイオ社製)2.5g、水分含量63〜65%に設定し、良く混合し湿潤状態にしたものを圧詰した。圧詰物表面の中央に直径1cm程度、深さ130mmの接種孔部を開け、打栓した。その後、118℃で60分間高圧蒸気殺菌を行い、20℃まで放冷した。こうして得られた固形培地に対して、上記の前培養物を約10mL接種した。その後、暗所にて温度25℃、湿度55%の条件下で約60日間菌糸体を培養し、固形培地全体に菌糸を蔓延させ、固体種菌を調製した。
次に、本発明の液体種菌の子実体形成能の確認を行うために、以下のようにブナシメジ子実体の栽培を行った。
ポリプロピレン製の広口培養ビン(850mL、信越農材製)に、鋸屑(スギ材)62g、コーンコブ30g、コメヌカ60g、マメカワ20g、フスマ20g、タカラクリーン(タカラバイオ社製)2.5g、水分含量63〜65%に設定し、良く混合し湿潤状態にしたものを圧詰した。固体種菌用の菌床栽培用培地としては、圧詰物表面の中央に直径1cm程度、深さ130mmの接種孔部を開け、打栓した。液体種菌用菌床栽培用培地としては、固体種菌用の菌床栽培用培地の菌座(ビン口より約15mm)よりさらに約10mm程度上部(ビン口から約5mm)で圧詰し、ビン中央部から四方のビン淵付近の4箇所に口径5mm程度、深さ130mm程度の接種孔部を開け、打栓した。その後、118℃で60分間高圧蒸気殺菌を行い、20℃まで放冷したものをそれぞれ、固体種菌用の菌床栽培用培地(固体種菌用固形培地)、液体種菌用の菌床栽培用培地(液体種菌用固形培地)とした。同様の固形培地を各8本ずつ作製した。
液体種菌用固形培地には上記で調製した液体種菌を約10〜20mLずつ接種、固体種菌用固形培地には上記で調製した固体種菌を約10gずつ接種し、暗所にて温度25℃、湿度55%の条件下で約60日間菌糸体を培養し、固形培地全体に菌糸を蔓延させた。その後、キャップを外し、菌床面上部の菌かき(饅頭かき)を行い、次に水道水をビン口まで加えた後、約2時間静置、さらに反転脱水の為に約2時間倒置、その後、芽出し・生育工程に供した。
芽出し・生育工程は、室内1箇所連続照射で照度20ルクス、温度16℃、加湿はヒューミアイ100(鷺宮製作所製)の表示値として110%に制御し、炭酸ガス濃度は1000〜1500ppmの範囲に制御した芽出・生育室で行った。また、結露水を避けるため、ビン上部へ波板被覆・直上光無しとした。芽出し・生育工程開始9日間後、波板被覆を除去、11日後に直上光照射を開始した。約19日後、得られた成熟子実体を収穫し、液体種菌と固体種菌を用いた場合による生育日数と子実体の平均収量(g/ボトル)の比較を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005818419
表1から明らかなように、本発明の液体種菌を用いたブナシメジ子実体の製造方法は、固体種菌を用いた場合と同等の収量が得られることが明らかとなった。
本発明により、安価で効率のよい液体種菌を用いたブナシメジ子実体の製造方法が提供される。更に、液体種菌を用いたブナシメジ子実体の製造に有用な菌床栽培用培地も提供される。当該製造方法を用いることにより、通常、固体種菌の場合、30〜60日間要していた種菌製造時間を大幅に短縮することが可能となり、また固体種菌を用いたブナシメジ子実体製造時の製造ムラのリスクを回避できることから、ブナシメジ子実体の大規模な商業栽培において有用である。

Claims (5)

  1. 0.04重量%のジェランガムを含有する液体培地で、気泡を用いた培地のかく拌で液体深部培養を行った液体種菌を用いることを特徴とするブナシメジ子実体の製造方法。
  2. 実質的に気泡を用いたかく拌によってのみ培地のかく拌を行う、請求項1に記載の方法。
  3. ビン栽培である請求項1記載の製造方法。
  4. ビン口より2〜10mm下を菌座とした菌床栽培用培地を用いることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  5. ビン中央部の周辺に2〜6箇所の接種孔を有する菌床栽培用培地を用いる請求項記載の製造方法。
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