JP5814800B2 - 神経変性疾患の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、神経変性疾患の検出方法と、該方法を実施するキットに関する。
認知症、運動失調症を含む神経変性疾患は、一般に進行性であり、脳神経細胞の不可逆的な変性を伴うことから、早期に診断し治療を開始することが重要である。神経変性疾患の診断は経験豊富な臨床医による臨床所見やMRIなどの脳画像診断から行われるが、専門医が少なく、容易に検査ができないことが医療上の大きな問題になっている。現時点では有効な血中バイオマーカーが確立されておらず、末梢血の血清学的検査方法を用いた診断法は確立されていない。簡便な血清学的な検査法が確立すれば医療への貢献は大きいと期待される。細胞の炎症・変性に伴う変動因子として、各種研究されているが、血清学的診断法により簡便に早期の診断及び病態のモニタリングが実施できるようになれば、早期治療が可能となり、医療上の意義は多大である。検査診断に有用な血中バイオマーカーの開発が切望されている。
従って、本発明の課題は、簡便な血清学的検査により、神経変性疾患を検出可能な新規バイオマーカーを提供することにある。
本発明は、
[1]多系統萎縮症を検出するために、男性被験者から採取した試料中のMMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比を測定する方法であって、MMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比の低下を多系統萎縮症の指標とする、前記方法、
[2]多系統萎縮症の重症度または筋萎縮性側索硬化症の重症度を検出するために、男性被験者から採取した試料中のMMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比を測定する方法であって、MMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比の低下を多系統萎縮症の重症度の指標とし、MMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比の低下を筋萎縮性側索硬化症の重症度の指標とする、前記方法、
[3]男性患者における多系統萎縮症若しくはその重症度、又は筋萎縮性側索硬化症の重症度を診断するキットであって、
(a)抗MMP−3抗体、
(b)試料中のMMP−3濃度と、多系統萎縮症若しくはその重症度又は筋萎縮性側索硬化症の重症度との相関を示す標準データ、
(c)取扱説明書
を含む、該キット、
[4]男性患者における多系統萎縮症若しくはその重症度、又は筋萎縮性側索硬化症の重症度を診断するキットであって、
(a)抗MMP−3抗体、及び、抗TIMP−1抗体、
(b)試料中のMMP−3/TIMP−1比と、多系統萎縮症若しくはその重症度又は筋萎縮性側索硬化症の重症度との相関を示す標準データ、
(c)取扱説明書
を含む、該キット、
に関する。
また、本明細書において、
[1]被験者から採取した試料中のMMP−3及び/又はTIMP−1を測定することを特徴とする、神経変性疾患の検出方法、
[2]MMP−3濃度、又は、MMP−3/TIMP−1比を指標として用いる、[1]の検出方法、
[3]被験者から採取した試料中のMMP−3及び/又はTIMP−1を測定する工程、及び
MMP−3濃度、及び/又は、MMP−3/TIMP−1比が健常者と比較して低値である場合に神経変性疾患であると判断する工程
を含む、神経変性疾患の検出方法、
[4]被験者から採取した試料中のMMP−3及び/又はTIMP−1を測定することを特徴とする、神経変性疾患の重症度の検出方法、
[5]MMP−3濃度、TIMP−1濃度、又は、MMP−3/TIMP−1比を指標として用いる、[4]の検出方法、
[6]神経変性疾患が多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)または筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)である、[1]〜[5]のいずれかの検出方法、
[7]神経変性疾患を診断するキットであって、
(a)抗MMP−3抗体、及び/又は、抗TIMP−1抗体、
(b)試料中のMMP−3濃度、TIMP−1濃度、又は、試料中のMMP−3/TIMP−1比の少なくともいずれか1つと、神経変性疾患との相関を示す標準データ、
(c)取扱説明書
を含む、該キット、
を開示する。
本発明方法によれば、簡便な血清学的検査により、神経変性疾患、特には、多系統萎縮症(MSA)又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)を検出することができる。また、本発明のキットは、本発明方法に用いることができる。
男性MSA患者群および男性対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 女性MSA患者群および女性対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 MSA患者群および対照群におけるTIMP−1測定結果を示すグラフである。 男性MSA患者群および男性対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。 女性MSA患者群および女性対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。 MSA患者を、小脳性失調の病態を示すMSA患者群(MSA−C)、MSA−Cからパーキンソン病様の病態を示すMSAへ移行した患者群(CP)、発症の初期よりパーキンソン病様の病態を示すMSA患者群(線条体黒質変性症:SND)に分類し、男性MSA患者群におけるMMP−3の測定結果を示すグラフである。 同分類に従って、女性MSA患者群におけるMMP−3の測定結果を示すグラフである。 同分類に従って、MSA患者群におけるTIMP−1の測定結果を示すグラフである。 同分類に従って、男性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。 同分類に従って、女性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。 男性MSA患者において、TIMP−1値とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 女性MSA患者において、TIMP−1値とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 MSA患者において、TIMP−1値とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 男性MSA患者において、TIMP−1値とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 女性MSA患者において、TIMP−1値とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 MSA患者において、TIMP−1値とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 男性MSA患者において、MMP−3値とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 女性MSA患者において、MMP−3値とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 MSA患者において、MMP−3値とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 男性MSA患者において、MMP−3値とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 女性MSA患者において、MMP−3値とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 MSA患者において、MMP−3値とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 男性MSA患者において、MMP−3値とUMSARSパートIIスコアとの関係を示すグラフである。 女性MSA患者において、MMP−3値とUMSARSパートIIスコアとの関係を示すグラフである。 MSA患者において、MMP−3値とUMSARSパートIIスコアとの関係を示すグラフである。 男性MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 女性MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とSARAスコアとの関係を示すグラフである。 男性MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 女性MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIスコアとの関係を示すグラフである。 男性MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIIスコアとの関係を示すグラフである。 女性MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIIスコアとの関係を示すグラフである。 MSA患者において、MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIIスコアとの関係を示すグラフである。 男性ALS患者群および男性対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 女性ALS患者群および女性対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 ALS患者群および対照群におけるTIMP−1測定結果を示すグラフである。 男性ALS患者群および男性対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。 女性ALS患者群および女性対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。 男性ALS患者において、MMP−3値とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 女性ALS患者において、MMP−3値とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 ALS患者において、MMP−3値とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 男性ALS患者において、TIMP−1値とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 女性ALS患者において、TIMP−1値とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 ALS患者において、TIMP−1値とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 男性ALS患者において、MMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 女性ALS患者において、MMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 ALS患者において、MMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−Rスコアとの関係を示すグラフである。 パーキンソン病(PD)患者群および対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 男性PD患者群および男性対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 女性PD患者群および女性対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 PD患者群および対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。 アルツハイマー病(AD)患者群および対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 男性AD患者群および男性対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 女性AD患者群および女性対照群におけるMMP−3測定結果を示すグラフである。 AD患者群および対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。 進行性核上性麻痺(PSP)患者群および対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を示すグラフである。
本発明の検出方法(以下、本発明方法と称する)では、被験者、特に、神経変性疾患が疑われる患者又は神経変性疾患患者から採取した試料中のMMP−3又はTIMP−1の少なくともいずれか一方を測定する。
本明細書において「MMP−3」とは、活性中心に亜鉛を保持するタンパク質分解酵素であるメタロプロテアーゼの中で、特に細胞外基質の分解に関与する一群の酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinases; MMPs)の1つであるマトリックスメタロプロテアーゼ−3(matrix metalloproteinase-3)を意味し、ストロメリシン1(stromelysin-1)とも称されるタンパク質である。マトリックスメタロプロテアーゼ類は、不活性なプロ体として産生され、酵素によりプロドメインが切り離されることにより活性化体となる。
また、本明細書において「TIMP−1」とは、活性化されたマトリックスメタロプロテアーゼ類の過剰な働きを抑制的に制御する一群のタンパク質因子であるメタロプロテアーゼ組織インヒビター(tissue inhibitors of metalloproteinase; TIMPs)の1つであるメタロプロテアーゼ組織インヒビター−1(tissue inhibitor of metalloproteinase-1)を意味する。TIMPsは、MMPsと1:1の複合体を形成して、その活性を抑制することが知られている。
MMP−3又はTIMP−1の測定方法それ自体は公知であり、タンパク質の各種の公知分析方法、例えば、抗体を用いる免疫学的分析方法、電気泳動等の生化学的分析方法により実施することができ、臨床検査用の自動分析機を使用することもできる。RNAアプタマーなど、抗体と類似の性質を有する物質を利用する分析方法も本発明の一部である。
例えば、後述する実施例で使用した市販のキット、例えば、MMP−3についてはHuman Total MMP-3 DuoSet ELISA Development System (R&D Systems, カタログ番号:DY513)を、TIMP−1についてはHuman TIMP-1 DuoSet ELISA Development System (R&D Systems, DY970))を使用して、測定することができる。
本発明方法で用いる試料としては、MMP−3又はTIMP−1の測定が可能である限り、特に限定されるものではなく、例えば、血液試料(例えば、抹消血、血漿、血清)、尿、リンパ液、脳脊髄液、その他の体液、好ましくは、血漿、血清、脳脊髄液を用いることができる。
本発明方法では、試料中のMMP−3濃度、又は、MMP−3/TIMP−1比の低下を、神経変性疾患、特には多系統萎縮症(MSA:multiple system atrophy)又は筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)の指標とする。具体的には、健常者と比較して、あるいは、被験者に対応する適当な母集団の正常値と比較して、低値を示す場合に、神経変性疾患であると判定することができる。本発明のこれらの指標は、特に男性患者において好適に使用することができる。
また、後述の参考例に示すとおり、これらの指標は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、進行性核上性麻痺(PSP)の各患者では、健常者と比較して有意差が認められず、MSA又はALSと、これらの神経変性疾患とを鑑別することができる。
また、本発明方法では、試料中のMMP−3濃度、TIMP−1濃度、又は、MMP−3/TIMP−1比により、神経変性疾患、特には多系統萎縮症(MSA)又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の重症度を判定することができる。
具体的には、MMP−3濃度、又は、MMP−3/TIMP−1比は、MSAの重症度と負の相関を示し、MSA患者の中でもこれらの指標が低値を示す患者では、MSAの重症度が高いと判定することができる。一方、TIMP−1濃度は、MSAの重症度と正の相関を示し、MSA患者の中でもこれらの指標が高値を示す患者では、MSAの重症度が高いと判定することができる。
また、MMP−3濃度、又は、MMP−3/TIMP−1比は、ALSの重症度との相関を示し、ALS患者の中でもこれらの指標が低値を示す患者では、ALSの重症度が高いと判定することができる。
本発明のキットは、本発明方法を実施するのに用いることができ、
(a)抗MMP−3抗体、及び/又は、抗TIMP−1抗体、
(b)試料中のMMP−3濃度、TIMP−1濃度、又は、試料中のMMP−3/TIMP−1比の少なくともいずれか1つと、神経変性疾患との相関を示す標準データ、
(c)取扱説明書
を含む。
本発明のキットに用いる前記抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれであることもできる。また、各抗原への特異的結合能を保持する抗体断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、又はFvとして、キットに用いることもできる。
更に、前記抗体は、そのままの状態でキットに用いることもできるし、利用する免疫学的手法に基づいて、それに適した形態、例えば、ラテックス凝集免疫測定法を利用するのであれば、ラテックス担体に固定した状態で、磁性粒子などを利用した高感度測定法を利用するのであれば、磁性粒子に固定した状態で、イムノクロマトグラフ法などの基板を利用する方法であれば、基板に固定した状態で、標識物質(例えば、酵素、蛍光物質、化学発光物質、放射性同位体、ビオチン、アビジン)による標識の必要があれば、標識化した状態で、キットに用いることもできる。
本発明のキットに含まれる前記標準データは、本発明における指標の少なくともいずれか1つと神経変性疾患との相関を示すものである限り、特に限定されるものではないが、例えば、判定用閾値、あるいは、判定用閾値を算出するためのオリジナルデータ又は統計処理データなどを挙げることができる。該標準データは、前記取扱説明書中に記載されても良いし、別にデータシートとして添付しても良い。また、添付される文書の形態は、紙、CD−ROM等の電子媒体、ホームページ等からのダウンロードも含まれる。
また、本発明のキットに含まれる前記取扱説明書は、各指標の少なくともいずれか1つと神経変性疾患との関係に言及するものであれば、特に限定するものではなく、前記言及に加え、例えば、本発明のキットを使用する免疫学的測定の実施手順に関する説明、得られた測定値に基づいて神経変性疾患又はその重症度を検出する手順に関する説明、キット自体の保存・取り扱いなどに関する注意事項などを含むことができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:多系統萎縮症(MSA)患者におけるMMP−3及びTIMP−1の測定》
被験者は、MSAと臨床診断された患者であり、対照群は、40歳以上の健康な成人とした。
MMP−3及びTIMP−1の測定は、市販のELISAキット(Human Total MMP-3 DuoSet ELISA Development System (R&D Systems, DY513), Human TIMP-1 DuoSet ELISA Development System (R&D Systems, DY970))を用いて、血漿試料により実施した。
測定結果および統計解析結果を以下に示す。(1)〜(4)はt検定、(5)〜(7)はSpearmanの順位相関分析によって解析した。
(1)MMP−3
男性MSA患者群および男性対照群におけるMMP−3測定結果を図1に、女性MSA患者群および女性対照群におけるMMP−3測定結果を図2に、それぞれ示す。図1及び図2における各バー(全5本)は、平均値、標準誤差範囲、標準偏差を示す(以下、同じ)。
また、図1及び図2におけるt検定結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図1(p=0.0029)〕
対照 (男性) 17 17.3ng/mL 7.3ng/mL
MSA(男性) 13 9.7ng/mL 5.6ng/mL

〔図2(p=0.4766)〕
対照 (女性) 19 7.2ng/mL 3.1ng/mL
MSA(女性) 21 8.2ng/mL 5.3ng/mL

図1に示すように、男性MSA患者群においてMMP−3が有意に低値であった(p=0.0029)。
(2)TIMP−1
MSA患者群および対照群におけるTIMP−1測定結果を図3に示す。
また、図3におけるt検定結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図3(p=0.2045)〕
対照 (全体) 36 89.7ng/mL 24.1ng/mL
MSA(全体) 34 82.8ng/mL 21.0ng/mL

図3に示すように、TIMP−1は、MSA患者群と対照群とで有意差は認められなかった。また、男女別の結果でも有意差は認められなかった(男性MSA患者群と男性対照群:p=0.5974)。
(3)MMP−3/TIMP−1比
男性MSA患者群および男性対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を図4に、女性MSA患者群および女性対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を図5に、それぞれ示す。
また、図4及び図5におけるt検定結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。なお、男性および女性を合わせた患者全体では、相関は認められなかった。

〔図4(p=0.0135)〕
対照 (男性) 17 0.20 0.094
MSA(男性) 13 0.12 0.068

〔図5(p=0.2316)〕
対照 (女性) 19 0.084 0.032
MSA(女性) 21 0.10 0.065

図4に示すように、男性MSA患者群においてMMP−3/TIMP−1比が有意に低値であった(p=0.0135)。
(4)MSA−CからMSA−Pへの移行
小脳性失調の病態を示すMSA患者群(MSA−C)、MSA−Cからパーキンソン病様の病態を示すMSA(MSA−P)へ移行した患者群(CP)、発症の初期よりパーキンソン病様の病態を示すMSA患者群(線条体黒質変性症:SND)に分けて、MMP−3、TIMP−1、MMP−3/TIMP−1比の測定結果を図6〜図10に示す。
図6は、男性MSA患者群におけるMMP−3の測定結果であり、図7は、女性MSA患者群におけるMMP−3の測定結果である。図8は、MSA患者群におけるTIMP−1の測定結果である。図9は、男性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比の測定結果であり、図10は、女性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比の測定結果である。
なお、図6〜図10において、記号「C」はMSA−C患者群を、記号「CP」はMSA−CからMSA−Pへ移行した患者群を、記号「SND」は発症の初期よりパーキンソン病様の病態を示すMSA患者群(線条体黒質変性症)を、それぞれ示す。
また、図6〜図10における有意差のあったt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図6(CP群と対照群:p=0.0033)〕
C (男性) 7 12.3 5.4
CP (男性) 4 5.6 3.2
対照 (男性) 17 17.3 7.3
SND(男性) 2 8.5 7.0

〔図7〕
C (女性) 11 7.2 3.8
CP (女性) 5 7.5 4.1
対照 (女性) 19 7.2 3.1
SND(女性) 5 11.1 8.7
いずれの病型でも有意差は認められなかった。

〔図8〕
C (全体) 18 75.8 16.7
CP (全体) 9 94.8 23.9
対照 (全体) 36 89.7 24.1
SND(全体) 7 85.6 22.2
いずれの病型でも有意差は認められなかった。

〔図9(CP群と対照群:p=0.0056)〕
C (男性) 7 0.16 0.053
CP (男性) 4 0.063 0.038
対照 (男性) 17 0.20 0.094
SND(男性) 2 0.12 0.10

〔図10〕
C (女性) 11 0.10 0.057
CP (女性) 5 0.095 0.079
対照 (女性) 19 0.085 0.032
SND(女性) 5 0.12 0.082
いずれの病型でも有意差は認められなかった。

図6及び図9に示すように、MSA−CからMSA−Pへ移行した男性患者群において、MMP−3、MMP−3/TIMP−1比が有意に低値であった(MMP−3:p=0.0033、MMP−3/TIMP−1比p=0.0056)。
(5)TIMP−1と重症度との相関
TIMP−1と重症度との相関関係をSpearmanの順位相関分析により解析した結果を以下に示す。重症度は、SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)又はUMSARS(Unified Multiple System Atrophy Rating Scale)により評価した(以下、同じ)。
男性MSA患者群におけるTIMP−1とSARAスコアとの関係を図11に、女性MSA患者群におけるTIMP−1とSARAスコアとの関係を図12に、男性および女性を合わせた患者全体におけるTIMP−1値とSARAスコアとの関係を図13に、それぞれ示す。
男性MSA患者群におけるTIMP−1とUMSARSパートIスコアとの関係を図14に、女性MSA患者群におけるTIMP−1とUMSARSパートIスコアとの関係を図15に、男性および女性を合わせた患者全体におけるTIMP−1値とUMSARSパートIスコアとの関係を図16に、それぞれ示す。
図11に示すデータ(TIMP−1とSARA、男性:14人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0218であった。
図12に示すデータ(TIMP−1とSARA、女性:18人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.3416であった。
図13に示すデータ(TIMP−1とSARA、全体:32人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0375であった
男性MSA患者及びMSA患者全体において、TIMP−1値とSARAスコアとは正の相関が認められた。
図14に示すデータ(TIMP−1とUMSARSパートI、男性:14人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0145であった。
図15に示すデータ(TIMP−1とUMSARSパートI、女性:17人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.6050であった。
図16に示すデータ(TIMP−1とUMSARSパートI、全体:31人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0720であった。
男性MSA患者において、TIMP−1値とUMSARSパートIスコアとは正の相関が認められた。
(6)MMP−3と重症度との相関
MMP−3と重症度との相関関係をSpearmanの順位相関分析により解析した結果を以下に示す。
男性MSA患者群におけるMMP−3値とSARAスコアとの関係を図17に、女性MSA患者群におけるMMP−3値とSARAスコアとの関係を図18に、男女を合わせたMSA患者全体におけるMMP−3値とSARAスコアとの関係を図19に、それぞれ示す。
男性MSA患者群におけるMMP−3値とUMSARSパートIスコアとの関係を図20に、女性MSA患者群におけるMMP−3値とUMSARSパートIスコアとの関係を図21に、男女を合わせた全体MSA患者群におけるMMP−3値とUMSARSパートIスコアとの関係を図22に、それぞれ示す。
男性MSA患者群におけるMMP−3値とUMSARSパートIIスコアとの関係を図23に、女性MSA患者群におけるMMP−3値とUMSARSパートIIスコアとの関係を図24に、男女を合わせたMSA患者全体におけるMMP−3値とUMSARSパートIIスコアとの関係を図25に、それぞれ示す。
図17に示すデータ(MMP−3とSARA、男性:14人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0024であった。
図18に示すデータ(MMP−3とSARA、女性:18人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.9035であった。
図19に示すデータ(MMP−3とSARA、全体:32人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.1693であった。
図20に示すデータ(MMP−3とUMSARSパートI、男性:14人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0020であった。
図21に示すデータ(MMP−3とUMSARSパートI、女性:17人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.3951であった。
図22に示すデータ(MMP−3とUMSARSパートI、全体:31人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0481であった。
図23に示すデータ(MMP−3とUMSARSパートII、男性:14人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0025であった。
図24に示すデータ(MMP−3とUMSARSパートII、女性:17人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.7631であった。
図25に示すデータ(MMP−3とUMSARSパートII、全体:31人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0696であった。
これらの結果が示すように、男性MSA患者では、MMP−3値に関して、SARAスコア、UMSARSパートI、UMSARSパートIIと負の相関が認められた。また、男女を合わせたMSA患者全体では、MMP−3値に関して、UMSARSパートIと負の相関が認められた。
(7)MMP−3/TIMP−1と重症度との相関
MMP−3/TIMP−1と重症度との相関関係を分散分析により解析した結果を以下に示す。
男性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比とSARAスコアとの関係を図26に、女性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比とSARAスコアとの関係を図27に、男女を合わせたMSA患者全体におけるMMP−3/TIMP−1比とSARAスコアとの関係を図28に、それぞれ示す。
男性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIスコアとの関係を図29に、女性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIスコアとの関係を図30に、男女を合わせたMSA患者全体におけるMMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIスコアとの関係を図31に、それぞれ示す。
男性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIIスコアとの関係を図32に、女性MSA患者群におけるMMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIIスコアとの関係を図33に、男女を合わせたMSA患者全体におけるMMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートIIスコアとの関係を図34に、それぞれ示す。
図26に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とSARA、男性:14人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0017であった。
図27に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とSARA、女性:18人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.8232であった。
図28に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とSARA、全体:32人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0682であった。
図29に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートI、男性:14人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0011であった。
図30に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートI、女性:17人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.6119であった。
図31に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートI、全体:31人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0367であった。
図32に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートII、男性:14人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0018であった。
図33に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートII、女性:17人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.6397であった。
図34に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とUMSARSパートII、全体:31人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0924であった。
これらの結果が示すように、男性MSA患者では、MMP−3/TIMP−1比に関して、SARAスコア、UMSARSパートI、UMSARSパートIIと負の相関が認められた。また、男女を合わせたMSA患者全体では、MMP−3/TIMP−1比に関して、UMSARSパートIと負の相関が認められた。
《実施例2:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者におけるMMP−3及びTIMP−1の測定》
被験者は、ALSと臨床診断された患者であり、対照群は、40歳以上の健康な成人とした。MMP−3及びTIMP−1の測定は、実施例1と同じ市販のELISAキットを用いて、血漿試料により実施した。
測定結果および統計解析結果を以下に示す。(1)〜(3)はt検定、(4)〜(6)はSpearmanの順位相関分析によって解析した。
(1)MMP−3
男性ALS患者群および男性対照群におけるMMP−3測定結果を図35に、女性ALS患者群および女性対照群におけるMMP−3測定結果を図36に、それぞれ示す。
また、図35及び図36におけるt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図35(p=0.2038)〕
ALS(男性) 19 13.7ng/mL 9.5ng/mL
対照 (男性) 17 17.3ng/mL 7.3ng/mL

〔図36(p=0.6393)〕
ALS(女性) 12 6.5ng/mL 4.8ng/mL
対照 (女性) 19 7.2ng/mL 3.1ng/mL

図35に示すように、有意差は認められなかったが、男性ALS患者ではMMP−3値が低値であった。
(2)TIMP−1
ALS患者群および対照群におけるTIMP−1測定結果を図37に示す。
また、図37におけるt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図37(p=0.8537)〕
ALS(全体) 31 90.8ng/mL 21.9ng/mL
対照 (全体) 36 89.7ng/mL 24.1ng/mL

図37に示すように、TIMP−1は、MSA患者群と対照群とで有意差は認められなかった。また、男女別の結果でも有意差は認められなかった(男性ALS患者群と男性対照群:p=0.7977、女性ALS患者群と女性対照群:p=0.7514)。
(3)MMP−3/TIMP−1比
男性ALS患者群および男性対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を図38に、女性ALS患者群および女性対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を図39に、それぞれ示す。
また、図38及び図39におけるt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図38(p=0.0521)〕
ALS(男性) 19 0.14 0.073
対照 (男性) 17 0.20 0.094

〔図39(p=0.5327)〕
ALS(女性) 12 0.074 0.051
対照 (女性) 19 0.084 0.032

図38に示すように、有意差は認められなかったが、男性ALS患者ではMMP−3/TIMP−1比が低値であった。
(4)MMP−3と重症度との相関
MMP−3と重症度との相関関係をSpearmanの順位相関分析により解析した結果を以下に示す。重症度は、ALS/FRS−R(ALS Functional Rating Scale-Revised)により評価した(以下、同じ)。
男性ALS患者群におけるMMP−3値とALS/FRS−Rスコアとの関係を図40に、女性ALS患者群におけるMMP−3値とALS/FRS−Rスコアとの関係を図41に、男女を合わせたALS患者全体におけるMMP−3値とALS/FRS−Rスコアとの関係を図42に、それぞれ示す。
図40に示すデータ(MMP−3とALS/FRS−R、男性:13人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0589であった。
図41に示すデータ(MMP−3とALS/FRS−R、女性:13人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.4158であった。
図42に示すデータ(MMP−3とALS/FRS−R、全体:26人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.6322であった。
図40に示すように、男性ALS患者では、MMP−3値とALS/FRS−Rスコアとの間に正の相関傾向が認められた。
(5)TIMP−1と重症度との相関
TIMP−1と重症度との相関関係をSpearmanの順位相関分析により解析した結果を以下に示す。
男性ALS患者群におけるTIMP−1値とALS/FRS−Rスコアとの関係を図43に、女性ALS患者群におけるTIMP−1値とALS/FRS−Rスコアとの関係を図44に、男性および女性を合わせた患者全体に関して、TIMP−1値とALS/FRS−Rスコアとの関係を図45に、それぞれ示す。
図43に示すデータ(TIMP−1とALS/FRS−R、男性:13人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.6106であった。
図44に示すデータ(TIMP−1とALS/FRS−R、女性:13人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.5456であった。
図45に示すデータ(TIMP−1とALS/FRS−R、全体:26人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.7884であった。
これらの結果が示すように、男性患者、女性患者にかかわらず、TIMP−1値とALS/FRS−Rスコアとの間に相関は認められなかった。
(6)MMP−3/TIMP−1と重症度との相関
MMP−3/TIMP−1と重症度との相関関係をSpearmanの順位相関分析により解析した結果を以下に示す。
男性ALS患者群におけるMMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−Rスコアとの関係を図46に、女性ALS患者群におけるMMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−Rスコアとの関係を図47に、男性および女性を合わせた患者全体に関して、MMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−Rスコアとの関係を図48に、それぞれ示す。
図46に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−R、男性:13人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.0462であった。
図47に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−R、女性:13人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.5584であった。
図48に示すデータ(MMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−R、全体:26人)をSpearmanの順位相関分析した結果、p=0.4887であった。
図46に示すように、男性ALS患者では、MMP−3/TIMP−1比とALS/FRS−Rスコアとの間に正の相関が認められた。
《参考例1:パーキンソン病(PD)患者におけるMMP−3及びTIMP−1の測定》
被験者は、PDと臨床診断された患者であり、対照群は、40歳以上の健康な成人とした。MMP−3及びTIMP−1の測定は、実施例1と同じ市販のELISAキットを用いて、血漿試料により実施した。
測定結果およびt検定による統計解析結果を以下に示す。
図49〜図51における各バー(全5本)は、平均値、標準誤差範囲、標準偏差を示す(以下、同じ)。
(1)MMP−3
男性および女性を合わせたPD患者群および対照群におけるMMP−3測定結果を図49に、男女別に、男性PD患者群および男性対照群におけるMMP−3測定結果を図50に、女性PD患者群および女性対照群におけるMMP−3測定結果を図51に、それぞれ示す。
また、図49〜図51におけるt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図49(p=0.7999)〕
対照(全体) 20 13.8ng/mL 8.6ng/mL
PD(全体) 20 14.5ng/mL 7.2ng/mL

〔図50(p=0.6704)〕
対照(男性) 10 17.9ng/mL 8.8ng/mL
PD(男性) 10 19.4ng/mL 6.4ng/mL

〔図51(p=0.9302)〕
対照(女性) 10 9.7ng/mL 6.4ng/mL
PD(女性) 10 9.5ng/mL 3.9ng/mL

MMP−3値に関して、患者全体、男性患者、女性患者のいずれにおいても、PD患者群と対照群とで有意差は認められなかった。
(2)MMP−3/TIMP−1比
男性および女性を合わせたPD患者群および対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を図52に示す。
また、図52におけるt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図52(p=0.3374)〕
PD(全体) 20 0.18 0.084
対照(全体) 20 0.15 0.097

MMP−3/TIMP−1比に関して、PD患者群と対照群とで有意差は認められなかった。
《参考例2:アルツハイマー病(AD)患者におけるMMP−3及びTIMP−1の測定》
被験者は、ADと臨床診断された患者であり、対照群は、40歳以上の健康な成人とした。MMP−3及びTIMP−1の測定は、実施例1と同じ市販のELISAキットを用いて、血漿試料により実施した。
測定結果およびt検定の結果(p値)、統計解析結果を以下に示す。
(1)MMP−3
男性および女性を合わせたAD患者群および対照群におけるMMP−3測定結果を図53に、男女別に、男性AD患者群および男性対照群におけるMMP−3測定結果を図54に、女性AD患者群および女性対照群におけるMMP−3測定結果を図55に、それぞれ示す。
また、図53〜図55におけるt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図53(p=0.3790)〕
対照(全体) 20 13.8ng/mL 8.6ng/mL
AD(全体) 13 16.6ng/mL 9.0ng/mL

〔図54(p=0.1230)〕
対照(男性) 10 17.9ng/mL 8.8ng/mL
AD(男性) 4 26.3ng/mL 7.7ng/mL

〔図55(p=0.3596)〕
対照(女性) 10 9.7ng/mL 6.4ng/mL
AD(女性) 9 12.3ng/mL 5.5ng/mL

MMP−3値に関して、患者全体、男性患者、女性患者のいずれにおいても、AD患者群と対照群とで有意差は認められなかった。
(2)MMP−3/TIMP−1比
男性および女性を合わせたAD患者群および対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を図56に示す。
また、図56におけるt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図56(p=0.3660)〕
AD(全体) 13 0.18 0.079
対照(全体) 20 0.15 0.097

MMP−3/TIMP−1比に関して、AD患者群と対照群とで有意差は認められなかった。
《参考例3:進行性核上性麻痺(PSP)患者におけるMMP−3及びTIMP−1の測定》
被験者は、PSPと臨床診断された患者であり、対照群は、40歳以上の健康な成人とした。MMP−3及びTIMP−1の測定は、実施例1と同じ市販のELISAキットを用いて、血漿試料により実施した。
測定結果およびt検定による統計解析結果を以下に示す。
男性および女性を合わせたPSP患者群および対照群におけるMMP−3/TIMP−1比を図57に示す。
また、図57におけるt検定の結果(p値)、標本数、平均値、標準偏差を以下に示す。

〔図57(p=0.6527)〕
対照 (全体) 20 0.15 0.097
PSP(全体) 14 0.13 0.095

MMP−3/TIMP−1比に関して、PSP患者群と対照群とで有意差は認められなかった。
本発明は、神経変性疾患の検出に利用することができる。

Claims (4)

  1. 多系統萎縮症を検出するために、男性被験者から採取した試料中のMMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比を測定する方法であって、MMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比の低下を多系統萎縮症の指標とする、前記方法。
  2. 多系統萎縮症の重症度または筋萎縮性側索硬化症の重症度を検出するために、男性被験者から採取した試料中のMMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比を測定する方法であって、MMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比の低下を多系統萎縮症の重症度の指標とし、MMP−3濃度又はMMP−3/TIMP−1比の低下を筋萎縮性側索硬化症の重症度の指標とする、前記方法。
  3. 男性患者における多系統萎縮症若しくはその重症度、又は筋萎縮性側索硬化症の重症度を診断するキットであって、
    (a)抗MMP−3抗体、
    (b)試料中のMMP−3濃度と、多系統萎縮症若しくはその重症度又は筋萎縮性側索硬化症の重症度との相関を示す標準データ、
    (c)取扱説明書
    を含む、該キット。
  4. 男性患者における多系統萎縮症若しくはその重症度、又は筋萎縮性側索硬化症の重症度を診断するキットであって、
    (a)抗MMP−3抗体、及び、抗TIMP−1抗体、
    (b)試料中のMMP−3/TIMP−1比と、多系統萎縮症若しくはその重症度又は筋萎縮性側索硬化症の重症度との相関を示す標準データ、
    (c)取扱説明書
    を含む、該キット。
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