JP5813472B2 - テトラシアノボレート塩の製造方法 - Google Patents
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本発明では、TCBのホウ素源として、一般式(1):B−(X−Y−R)3で表されるホウ素化合物を使用する。式(1)中、XはS又はOを表し、ホウ素に結合する3つのXは、互いに同一でも異なってもよい。好ましくは、XはOである。YはCO又はSO2を表し、Xに結合する3つのYは、互いに同一でも異なってもよい。Rは、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素、又は、ハロゲンを表す。Yに結合する3つのRは、互いに同一でも異なってもよく、2以上のRは結合していてもよい。
TCBのCN源としては、シアン化合物を用いる。上記シアン化合物としては、炭素数1〜20の鎖状、分枝状及び/又は環状の炭化水素基を有するシリルシアニド;炭素数1〜20の鎖状、分枝状及び/又は環状の炭化水素基を有するアンモニウムシアニド;金属シアニド等が挙げられる。上記シリルシアニドとしては、炭素数1〜20のアルキル基及び/又はアリール基を有するものがより好ましく、具体的には、トリメチルシリルシアニド、トリエチルシリルシアニド、トリイソプロピルシリルシアニド、エチルジメチルシリルシアニド、イソプロピルジメチルシリルシアニド、tert−ブチルジメチルシリルシアニド等のトリアルキルシリルシアニド;ジメチルフェニルシリルシアニド等のジアルキルアリールシリルシアニド;等が挙げられる。アンモニウムシアニドとしては、炭素数1〜10のアルキル基を有するアンモニウムシアニドが好ましく、例えば、テトラエチルアンモニウムシアニド、テトラブチルアンモニウムシアニド、トリエチルメチルアンモニウムシアニド等の第4級アンモニウムシアニド;トリエチルアンモニウムシアニド、トリブチルアンモニウムシアニド等の第3級アンモニウムシアニド;ジエチルアンモニウムシアニド等の第2級アンモニウムシアニド;等が挙げられる。金属シアニドとしては、例えば、銅シアニド(I)、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化リチウム等の1価の金属シアン化物、亜鉛シアニド等の2価の金属シアン化物が挙げられる。これらの中でも、アルキルシリルシアニドが好ましく、より好ましくはトリアルキルシリルシアニドである。さらに好ましくはトリメチルシリルシアニド(以下、TMSCNと略す場合がある。)である。上記シアン化合物は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るTCB塩には、カチオンの種類によって100℃以下で液体の状態をとるイオン性液体が含まれる。かかるイオン性液体は、イオン性の結合を持つ液体であるという特徴から、電気化学的、熱的安定性が高く、さらに、二酸化炭素等の特定のガスを選択的に吸収する性質を有することも知られており、本発明に係るTCB塩も同様の性質を有するものとなる。したがって、本発明に係るTCB塩は、一次電池、リチウム(イオン)二次電池、燃料電池等の充電及び放電機構を有する電池の他、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、太陽電池等の各種蓄電デバイス等の電気化学材料用途、熱的安定性が高いことを利用した、繰り返し利用可能な有機合成の反応溶媒や、機械可動部のシール剤や潤滑剤としての使用、電気化学特性と熱的安定性とを併せ持つことを利用したポリマーへの導電性付与剤としての使用、ガス吸収能を有することから二酸化炭素等のガス吸収剤としての使用が期待される。
Varian社製「Unity Plus」(400MHz)を用いて、1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを測定し、プロトンおよびカーボンのピーク強度に基づいて試料の構造を分析した。11B−NMRスペクトルの測定には、Bruker社製「Advance 400M」(400MHz)を使用した。
攪拌装置、温度計を備えた容量100mLのフラスコ内に、ホウ酸6.27g(102mmol)、無水酢酸36.90g(361mmol)を加え、得られた懸濁液を攪拌しながら80℃まで徐々に昇温し、懸濁液中の固体が完全に溶解するまで反応を続けた。反応溶液を氷浴で冷却し、析出した白色結晶を濾取し、無水エーテルで洗浄し、減圧下で乾燥することにより、トリアセチルオキシホウ素を得た(収量:9.70g、収率:51%)。
攪拌装置を備えた容量200mLの2つ口フラスコ内を窒素置換した後、ここに、合成例1で得られたトリアセチルオキシホウ素4.16g(22.2mmol)、トリエチルアンモニウムブロマイド4.26g(23.4mmol)、クロロベンゼン46.7gを加えた。混合溶液の攪拌下、室温で(25℃)、トリメチルシリルシアニド9.24g(93.1mmol)を滴下して加えた後、混合溶液を100℃に昇温し、32時間攪拌を続けた。その後、反応溶液の11B−NMRを測定して、トリエチルアンモニウムテトラシアノボレートが生成していることを確認した(収量:17.1mmol、収率:77%)。
1H-NMR(d6−DMSO)δ 8.83(s,1H),3.10(q,J=7.2Hz,6H),1.17(t,J=7.2Hz,9H)
13C-NMR(d6−DMSO)δ121.9(m),46.0(s),8.8(s)
11B-NMR(d6−DMSO)δ-38.5(s)
実験例1で得られたトリエチルアンモニウムテトラシアノボレート(17.1mmol)を含む溶液を減圧下蒸留して、溶媒や副生成物の含有量を低減させた後、ここに水酸化リチウム一水和物1.87g(44.5mmol)と水35.5gからなる水酸化リチウム水溶液を室温で徐々に滴下した。その後、室温で30分間攪拌を続け反応を完結させた。反応液を濃縮し副生したトリエチルアミンを完全に留去した後、150gの酢酸ブチルで2回抽出し、酢酸ブチル層の酢酸ブチルをエバポレーターにより留去して得られた固体を乾燥することで淡黄色固体(リチウムテトラシアノボレート1.62g(13.3mmol))を得た。
11B-NMR(d6−DMSO)δ-38.5(s)
実験例2で使用したホウ素化合物は、合成例1と同様の方法により、ホウ酸と対応する酸無水物より合成した(実験例3〜5でも同様)。
攪拌装置を備えた容量200mLの2つ口フラスコ内を窒素置換した後、トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ホウ素9.76g(21.3mmol)、トリエチルアンモニウムブロマイド4.07g(22.4mmol)、クロロベンゼン50.2gを加えた。混合溶液の攪拌下、室温で(25℃)、トリメチルシリルシアニド8.88g(89.5mmol)を滴下して加えた後、混合溶液を100℃に昇温し、24時間攪拌を続けた。その後、反応溶液の11B−NMRを測定して、トリエチルアンモニウムテトラシアノボレートが生成していることを確認した(収量:15.5mmol、収率:73%)。生成物の1H−NMR、13C−NMRおよび11B−NMRスペクトルは、実験例1のNMRスペクトルと一致していた。
攪拌装置を備えた容量100mLの2つ口フラスコ内を窒素置換した後、トリス(メタンスルホニルオキシ)ホウ素3.22g(10.9mmol)、トリエチルアンモニウムブロマイド2.08g(11.4mmol)、クロロベンゼン25.2gを加えた。混合溶液の攪拌下、室温で(25℃)、トリメチルシリルシアニド4.54g(45.8mmol)を滴下して加えた後、混合溶液を100℃に昇温し、40時間攪拌を続けた。その後、反応溶液の11B−NMRを測定して、トリエチルアンモニウムテトラシアノボレートが生成していることを確認した(収量:6.10mmol、収率:56%)。生成物の1H−NMR、13C−NMRおよび11B−NMRスペクトルは、実験例1のNMRスペクトルと一致していた。
攪拌装置を備えた容量100mLの2つ口フラスコ内を窒素置換した後、トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ホウ素5.13g(9.80mmol)、トリエチルアンモニウムブロマイド1.87g(10.3mmol)、クロロベンゼン25.0gを加えた。混合溶液の攪拌下、室温で(25℃)、トリメチルシリルシアニド4.08g(41.2mmol)を滴下して加えた後、混合溶液を120℃に昇温し、30時間攪拌を続けた。その後、反応溶液の11B−NMRを測定して、トリエチルアンモニウムテトラシアノボレートが生成していることを確認した(収量:4.73mmol、収率:48%)。生成物の1H−NMR、13C−NMRおよび11B−NMRスペクトルは、実験例1のNMRスペクトルと一致していた。
Claims (5)
- 一般式(1):B−(X−Y−R)3(式中、XはO、YはCO又はSO2、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は、ハロゲンを表し、Y及びRはそれぞれ互いに同一でも異なってもよく、2以上のRは結合していてもよい)で表されるホウ素化合物と、シアン化合物とを反応させることを特徴とするテトラシアノボレート塩の製造方法。
- 上記ホウ素化合物が、一般式(2):B−(X−CO−R)3(式中、XはO、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは互いに同一でも異なってもよく、R同士は結合していてもよい)で表されるホウ素化合物である請求項1に記載のテトラシアノボレート塩の製造方法。
- 上記反応を、有機又は無機カチオン塩の存在下で行う請求項1又は2に記載のテトラシアノボレート塩の製造方法。
- シアン化合物として、炭素数1〜20の鎖状、分枝状及び/又は環状の炭化水素基を有するシリルシアニドを用いる請求項1〜3のいずれかに記載のテトラシアノボレート塩の製造方法。
- 上記反応を、反応溶媒の存在下で行う請求項1〜4のいずれかに記載のテトラシアノボレート塩の製造方法。
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