以下、図面を参照して、本発明の実施形態の水処理システム100の概略構成について説明する。図1は、本実施形態の水処理システム100を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の水処理システム100は、空調機や冷凍機に組み込まれた熱交換器等の被冷却装置131を冷却するために、循環水W110(冷却水)を循環させるシステムである。循環水W110は、その節約を図る観点から、冷却塔110で冷却しながら循環して用いられる。本実施形態における冷却塔110は、いわゆる開放式冷却塔である。
本実施形態の水処理システム100は、主な構成として、冷却塔110と、被冷却装置131と、電気伝導率測定装置133と、水質検出手段としての酸化還元電位測定装置134と、薬剤供給手段としての薬剤供給装置150と、システム制御装置101と、を備える。また、水処理システム100は、循環水ラインL110と、補給水ラインL120と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、図1では、電気的な接続の経路を破線で示している。
冷却塔110は、被冷却装置131を冷却するための循環水W110を冷却する設備である。冷却塔110は、塔本体111と、散水部112と、貯留部116と、ルーバ118と、ファン120と、上部開口部121と、ファン駆動部122と、を備える。
塔本体111は、冷却塔110の外郭を形成する筐体である。塔本体111の上部には、複数の散水部112、ファン120、上部開口部121及びファン駆動部122が設けられている。塔本体111の下部には、貯留部116が設けられている。塔本体111の側部には、ルーバ118が設けられている。
散水部112は、被冷却装置131を冷却する循環水W110を冷却するために、循環水W110を散布する部位である。散水部112は、循環水回収ラインL112(後述)を介して被冷却装置131から回収された循環水W110を、塔本体111の内部に散布(散水)する。
散水部112は、上部水槽113と、散水口114とを備える。上部水槽113には、循環水回収ラインL112(循環水ラインL110)が接続されている。上部水槽113は、循環水回収ラインL112を介して被冷却装置131から回収された循環水W110を貯留する。散水口114は、上部水槽113に貯留された循環水W110を散布するために上部水槽113の下側に形成されたノズルからなる。
貯留部116は、散水部112から散布された循環水W110を貯留する部位である。貯留部116は、塔本体111の下部に設けられている。散水部112から下方に向けて散布された循環水W110は、塔本体111の内部を落下する過程において、温度の低い外気E1(後述)と熱交換することにより冷却される。貯留部116の底部には、循環水ラインL110の循環水供給ラインL111(後述)が接続される。貯留部116に貯留された循環水W110は、循環水供給ラインL111を介して被冷却装置131へ供給される。
ルーバ118は、塔本体111の内部へ外気(エア)E1を導入するための通気孔である。塔本体111の外部の外気E1は、ルーバ118を介して塔本体111の内部へ導入される。
上部開口部121は、塔本体111の上部に形成された開口部である。上部開口部121は、塔本体111の内部に位置する外気E1を塔本体111の外部に排出する。上部開口部121から排出されたエアを「排気E2」ともいう。
ファン120は、上部開口部121に配置されている。ファン120は、ファン駆動部122の回転軸(符号略)と連結されている。ファン120は、回転することにより内部に負圧を発生させ、ルーバ118から塔本体111の内部へ外気E1を導入すると共に、塔本体111の内部に導入された外気E1を、上部開口部121を介して塔本体111の外部に排出させる。
ファン駆動部122は、ファン120を回転させる駆動源である。ファン駆動部122は、モータ(不図示)により構成される。ファン駆動部122は、ファン120の上方に配置されている。ファン駆動部122は、システム制御装置101と電気的に接続されている。ファン駆動部122の運転(駆動及び停止)、回転速度の調整(変速)等は、システム制御装置101からの駆動信号により制御される。
循環水ラインL110は、冷却塔110と被冷却装置131との間で循環水W110を循環させるラインである。循環水ラインL110は、貯留部116に貯留された循環水W110を冷却塔110から被冷却装置131へ供給する循環水供給ラインL111と、循環水W110を被冷却装置131から冷却塔110の散水部112へ回収する循環水回収ラインL112と、から構成される。
循環水供給ラインL111は、冷却塔110の貯留部116と被冷却装置131との間を接続するラインである。循環水供給ラインL111は、貯留部116に貯留された循環水W110を被冷却装置131に供給することができる。
循環水供給ラインL111の途中には、循環水ポンプ132が接続されている。循環水ポンプ132は、循環水ラインL110(循環水供給ラインL111、循環水回収ラインL112)の上流側から下流側へ向けて、循環水W110を送り出すことができる。循環水ポンプ132は、システム制御装置101と電気的に接続されている。循環水ポンプ132の運転(駆動及び停止)は、システム制御装置101からの駆動信号により制御される。
循環水供給ラインL111の接続部J112には、測定ラインL113の上流側の端部が接続されている。また、循環水供給ラインL111の接続部J114には、第2温度センサ136が接続されている。第2温度センサ136は、冷却塔110の貯留部116から送り出された循環水W110の温度(以下、「出口温度TP2」という)を測定する温度測定装置である。第2温度センサ136は、システム制御装置101と電気的に接続されている。第2温度センサ136で測定された循環水W110の出口温度TP2は、システム制御装置101へ送信される。
循環水回収ラインL112は、被冷却装置131と冷却塔110の散水部112との間を接続するラインである。循環水回収ラインL112は、被冷却装置131において熱交換により加温された循環水W110を、冷却塔110の散水部112へ回収することができる。循環水回収ラインL112の下流側は、分岐部J111において複数のラインに分岐している。分岐したラインは、複数の散水部112にそれぞれ接続されている。
また、循環水回収ラインL112の接続部J115には、第1温度センサ135が接続されている。第1温度センサ135は、冷却塔110の散水部112へ回収される循環水W110の温度(以下、「入口温度TP1」という)を測定する温度測定装置である。第1温度センサ135は、システム制御装置101と電気的に接続されている。第1温度センサ135で測定された循環水W110の入口温度TP1は、システム制御装置101へ送信される。
被冷却装置131は、循環水W110による冷却が必要な熱交換器等の各種装置である。被冷却装置131は、例えば、各種の化学プラントのターボ冷凍機や吸収冷凍機、建築物の空調用冷却機、食品工場の冷水製造機や真空冷却機等である。被冷却装置131は、内部に循環水流路(不図示)を備える。
被冷却装置131において、循環水流路の一方の端部には、循環水供給ラインL111の下流側の端部が接続されている。また、被冷却装置131において、循環水流路の他方の端部には、循環水回収ラインL112の上流側の端部が接続されている。従って、循環水流路は、循環水供給ラインL111及び循環水回収ラインL112と共に、冷却塔110の塔本体111と被冷却装置131との間で循環水W110を循環させるための循環経路を形成する。
電気伝導率測定装置133は、循環水W110の電気伝導率を測定する装置である。電気伝導率測定装置133は、測定ラインL113を介して、接続部J112において循環水ラインL110に接続されている。また、電気伝導率測定装置133は、システム制御装置101と電気的に接続されている。電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率は、システム制御装置101へ検出信号として送信される。電気伝導率測定装置133は、所定の時間間隔(又はリアルタイム)で電気伝導率を測定し、システム制御装置101へ送信する。
酸化還元電位測定装置134は、循環水W110のORP値を測定することにより、後述する薬剤(酸化型のスライムコントロール剤)の供給濃度を間接的に検出する水質検出手段である。本実施形態の水処理システム100では、後述するように、酸化還元電位測定装置134で測定された循環水W110のORP値に基づいて、薬剤の供給又は停止を制御している。酸化還元電位測定装置134は、測定ラインL113を介して、接続部J112において循環水ラインL110に接続されている。また、酸化還元電位測定装置134は、システム制御装置101と電気的に接続されている。酸化還元電位測定装置134で測定されたORP値は、システム制御装置101へ検出信号として送信される。酸化還元電位測定装置134は、所定の時間間隔(又はリアルタイム)でORP値を測定し、システム制御装置101へ送信する。
薬剤供給装置150は、冷却塔110の貯留部116に貯留された循環水W110に薬剤を供給する設備である。薬剤供給装置150は、薬剤タンク151と、薬剤供給ポンプ152と、を備える。薬剤タンク151は、循環水W110の水質を改善するための薬剤として、酸化型のスライムコントロール剤を貯留する容器である。スライムコントロール剤は、循環水W110中での菌類や藻類等の微生物の繁殖を抑制するための薬剤である。酸化型のスライムコントロール剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム等のハロゲン系酸化剤や過酸化水素等の酸素系酸化剤が使用される。薬剤供給ポンプ152は、薬剤供給ラインL130を介して、冷却塔110の貯留部116と接続されている。薬剤供給ポンプ152は、薬剤タンク151に貯留された薬剤を、薬剤供給ラインL130を介して、冷却塔110の貯留部116へ送り出すことができる。また、薬剤供給ポンプ152は、システム制御装置101と電気的に接続されている。薬剤供給ポンプ152の運転(駆動及び停止)は、システム制御装置101からの駆動信号により制御される。
また、冷却塔110には、補給水ラインL120が接続されている。補給水ラインL120は、補給水W121を冷却塔110の貯留部116へ補給するラインである。補給水ラインL120の上流側は、水道水や工業用水等の原水W120の供給源(図示せず)に接続された第1補給水ラインL121となっている。一方、補給水ラインL120の下流側は、接続部J121において、第2補給水ラインL122及び第3補給水ラインL123に分岐している。第1補給水ラインL121には、上流側から順に、原水ポンプ141及び原水バルブ142が設けられている。
原水ポンプ141は、補給水ラインL120の上流側から下流側へ向けて、原水W120を送り出すことができる。原水ポンプ141は、システム制御装置101と電気的に接続されている。原水ポンプ141の運転(駆動及び停止)は、システム制御装置101からの駆動信号により制御される。
原水バルブ142は、原水ポンプ141の吐出側において、補給水ラインL120を開閉することができる。原水バルブ142は、システム制御装置101と電気的に接続されている(図示せず)。原水バルブ142における弁体の開閉は、システム制御装置101からの駆動信号により制御される。
第2補給水ラインL122の下流側の端部は、冷却塔110の塔本体111に接続されている。第2補給水ラインL122の途中には、補給水バルブ143が設けられている。補給水バルブ143は、第2補給水ラインL122を開閉することにより、貯留部116に対して補給水W121を強制的に供給する給水設備である。補給水バルブ143は、システム制御装置101と電気的に接続されている。補給水バルブ143における弁体の開閉は、システム制御装置101からの駆動信号により制御される。
第3補給水ラインL123の下流側の端部は、冷却塔110の塔本体111に接続されている。第3補給水ラインL123の下流側の端部には、給水栓144が設けられている。給水栓144は、貯留部116に貯留される循環水W110の水位(すなわち、水量)を管理するボールタップ式の給水設備である。給水栓144において、貯留部116に貯留される循環水W110の水位が低下すると、ボールタップが作動し、第3補給水ラインL123を流通する補給水W121が貯留部116に補給される。
排水ラインL140は、貯留部116の底部に接続され、下方に延びている。排水ラインL140は、後述する第1及び第2ブロー処理において、冷却塔110の貯留部116に貯留された循環水W110を、水処理システム100の系外に強制的に排出するラインである。排水ラインL140の途中には、排水バルブ145が設けられている。排水バルブ145は、排水ラインL140を開閉することができる。排水バルブ145は、システム制御装置101と電気的に接続されている。排水バルブ145における弁体の開閉は、システム制御装置101からの駆動信号により制御される。
なお、冷却塔110には、上述した循環水ラインL110、補給水ラインL120、薬剤供給ラインL130及び排水ラインL140のほかに、オーバーフローラインL150が接続されている。オーバーフローラインL150は、補給水バルブ143を開放して補給水W121を強制的に供給した場合に、冷却塔110の貯留部116から溢れた循環水W110を、水処理システム100の系外に排出するラインである。すなわち、オーバーフローラインL150は、後述する第1及び第2ブロー処理において、排水バルブ145の開閉制御に替えて、補給水バルブ143を開閉制御することにより、冷却塔110の貯留部116に貯留された循環水W110を、水処理システム100の系外に強制的に排出するラインとして機能する。
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態の水処理システム100の制御に係る機能について説明する。図2は、本実施形態の水処理システム100の制御に係る機能ブロック図である。図3は、プロセス実行部162が実行する各プロセスと薬剤の供給との関係を示すタイムチャートである。
システム制御装置101は、本実施形態の水処理システム100における各部の動作を制御する。図2に示すように、システム制御装置101は、例えば、ファン駆動部122、循環水ポンプ132、原水ポンプ141、補給水バルブ143、排水バルブ145及び薬剤供給ポンプ152に電気的に接続される。
また、システム制御装置101は、水処理システム100の各測定装置と電気的に接続され、これら測定装置から測定情報を受信する。例えば、システム制御装置101は、電気伝導率測定装置133と電気的に接続され、電気伝導率測定装置133において測定された循環水W110の電気伝導率ECを検出信号として受信する。また、システム制御装置101は、酸化還元電位測定装置134と電気的に接続され、酸化還元電位測定装置134において測定された循環水W110のORP値Q0を検出信号として受信する。
また、システム制御装置101は、第1温度センサ135及び第2温度センサ136と電気的に接続されている。システム制御装置101は、第1温度センサ135で測定された循環水W110の入口温度TP1及び第2温度センサ136で測定された循環水W110の出口温度TP2を検出信号として受信する。
システム制御装置101において、受信した電気伝導率EC、ORP値Q0、循環水W110の入口温度TP1及び出口温度TP2は、メモリ103(後述)に記憶される。また、電気伝導率EC、ORP値Q0、入口温度TP1及び出口温度TP2は、所定の時間間隔(又はリアルタイム)で最新の値に順次更新される。なお、電気伝導率ECについては、後述する第3時間帯T3の計時を開始したときの値(EC1)及び計時が終了したときの値(EC2)がメモリ103に保持される。
システム制御装置101は、制御部102と、メモリ103と、を備える。制御部102は、計時手段としての計時部161と、プロセス実行手段としてのプロセス実行部162と、プロセス制御手段としてのプロセス制御部163と、濃縮度判定部164と、ブロー処理制御部165と、を有する。制御部102における計時部161、プロセス実行部162、プロセス制御部163、濃縮度判定部164及びブロー処理制御部165の機能は、CPU及び内部メモリ含むマイクロプロセッサ(不図示)により実現される。
計時部161は、第1時間帯T1及び第2時間帯T2を計時する。第1時間帯T1は、薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116への薬剤の供給時間である。第2時間帯T2は、薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116へ薬剤の供給を停止する待機時間である。
また、計時部161は、ブロー処理において、必要に応じて第3時間帯T3、第4時間帯T4及び第5時間帯T5を計時する。第3時間帯T3は、電気伝導率ECの変化を観察する際の待機時間である。第4時間帯T4は、ブロー処理の実施時間である。第5時間帯T5は、ブロー処理を実施しない待機時間である。
プロセス実行部162は、後述するプロセス制御部163の制御により、計時部161による第1時間帯T1の計時を開始させると共に、第1時間帯T1内において薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116に薬剤を供給させる薬剤供給開始プロセスP1を実行する。
また、プロセス実行部162は、プロセス制御部163の制御により、計時部161による第2時間帯T2の計時を開始させると共に、第2時間帯T2内において薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116への薬剤の供給を停止させる薬剤供給停止プロセスP2を実行する。
プロセス制御部163は、酸化還元電位測定装置134で検出された循環水W110のORP値Q0が、薬剤の供給を開始させる水質の上限閾値である薬剤供給開始ORP値Q1未満である場合には、プロセス実行部162に薬剤供給開始プロセスP1を実行させる。また、プロセス制御部163は、計時部161において第1時間帯T1の計時が終了した場合には、プロセス実行部162に薬剤供給停止プロセスP2を実行させる。更に、プロセス制御部163は、計時部161において第2時間帯T2の計時が終了し、且つ酸化還元電位測定装置134で検出された循環水W110のORP値Q0が薬剤の供給を停止させる水質の下限閾値である薬剤供給停止ORP値Q2未満の場合には、プロセス実行部162に薬剤供給開始プロセスP1を再び実行させる。
また、プロセス制御部163は、薬剤供給開始プロセスP1の実行中に、酸化還元電位測定装置134で検出された循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上となった場合には、プロセス実行部162による薬剤供給開始プロセスP1の実行を停止させる。
ここで、プロセス制御部163によるプロセスの切り替え制御について、図3を参照しながら説明する。図3の(a)は、薬注の開始(ON)、停止(OFF)のタイミングを示している。ON状態の期間は、第1時間帯T1を示す。この期間では、薬剤供給開始プロセスP1が実行される。OFF状態の期間は、第2時間帯T2を示す。この期間では、薬剤供給停止プロセスP2が実行される。
また、図3の(b)は、ORP値の変化の一例を模式的に示したグラフである。横軸は時間(t)、縦軸はORP値(Q)を示している。プロセス制御部163は、図3に示すように、酸化還元電位測定装置134で検出された循環水W110のORP値Q0が薬剤供給開始ORP値Q1未満になった場合には、プロセス実行部162に薬剤供給開始プロセスP1を実行させる。この薬剤供給開始プロセスP1は、第1時間帯T1の期間実行される。プロセス制御部163は、第1時間帯T1の間に、循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上となった場合には、プロセス実行部162による薬剤供給開始プロセスP1の実行を停止させる。
プロセス制御部163は、薬剤供給開始プロセスP1を実行させてから、第1時間帯T1が経過すると、プロセス実行部162に薬剤供給停止プロセスP2を実行させる。すなわち、プロセス制御部163は、薬剤供給開始プロセスP1から薬剤供給停止プロセスP2への切り替え制御を実行する。
プロセス制御部163は、第2時間帯T2の間に、循環水W110のORP値Q0を定期的に取得して、水質の変化状態を監視する。そして、ORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上となった場合には、その時点でプロセス実行部162に薬剤供給開始プロセスP1の実行を停止させる。この場合、プロセス制御部163は、プロセスの切り替え制御を実行しない。
一方、プロセス制御部163は、薬剤供給停止プロセスP2を実行させた後、第2時間帯T2が経過した時点で、循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2未満であれば、プロセス実行部162に薬剤供給開始プロセスP1を実行させる。すなわち、プロセス制御部163は、薬剤供給停止プロセスP2から薬剤供給開始プロセスP1への切り替え制御を実行する。
上述したように、プロセス制御部163は、第1時間帯T1では、プロセス実行部162に薬剤供給開始プロセスP1を実行させて薬注を行い、第2時間帯T2では、プロセス実行部162に薬剤供給停止プロセスP2を実行させて薬注を一時的に停止させる。プロセス制御部163は、水処理システム100の運転中において、循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上となるまで、薬剤供給開始プロセスP1と薬剤供給停止プロセスP2とを切り替える制御を繰り返し実行する。
なお、第1時間帯T1及び第2時間帯T2は、薬剤供給ポンプ152の容量、循環水ラインL110の経路長により適宜に設定される。また、薬剤供給開始ORP値Q1及び薬剤供給停止ORP値Q2についても、循環水W110において維持すべき水質(例えば、循環水W110中の生菌数が所定値以下となる薬剤濃度)により適宜に設定される。
再び図2に戻ってシステム制御装置101の構成について説明する。
濃縮度判定部164は、電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率ECが所定の閾値以上であるか否かを判定する。所定の閾値としては、例えば、循環水W110の濃縮度が高まることにより、被冷却装置131でスケール付着や腐食等の障害が発生するのを防止できる上限の電気伝導率が設定される。
ブロー処理制御部165は、冷却塔110における循環水W110の入口温度TP1と出口温度TP2との温度差、及び濃縮度判定部164の判定結果に基づいて、第1ブロー処理及び第2ブロー処理の切り替えを制御する。第1ブロー処理とは、通常のブロー処理である。第2ブロー処理とは、電気伝導率測定装置133に故障等の不具合が発生した場合のバックアップのためのブロー処理である。これらのブロー処理については後述する。
メモリ103は、水処理システム100の制御に必要な制御プログラムや各種データ等を記憶する。具体的には、メモリ103には、水処理システム100の制御に必要な各種機能を動作させる制御プログラム、電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率EC、酸化還元電位測定装置134で測定されたORP値Q0、各種閾値や各種計算値等が、それぞれに割り当てられた所定の記憶エリアに記憶される。
次に、本実施形態の水処理システム100において、薬剤供給装置150から循環水ラインL110へ薬剤を供給する場合の動作を、図4を参照しながら説明する。図4は、水処理システム100の制御部102が、薬剤供給装置150から循環水ラインL110への薬剤の供給を制御する場合の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの制御は、メモリ103に記憶された制御プログラムに基づいて、制御部102により実行される。また、図4に示すフローチャートの処理は、水処理システム100の運転中において、繰り返し実行される。
ステップST101において、プロセス制御部163は、循環水W110のORP値Q0を取得する。
ステップST102において、プロセス制御部163は、取得したORP値Q0が、薬剤の供給を開始させる水質の上限閾値である薬剤供給開始ORP値Q1未満か否かを判定する。このステップST102において、プロセス制御部163が、ORP値Q0<薬剤供給開始ORP値Q1である(YES)と判定した場合には、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、プロセス制御部163が、ORP値Q0≧薬剤供給開始ORP値Q1である(NO)と判定した場合には、処理は再びステップST101に戻る。
ステップST102(YES判定)から移行したステップST103において、プロセス制御部163は、プロセス実行部162に薬剤供給開始プロセスP1を実行させる。プロセス実行部162は、計時部161による第1時間帯T1の計時を開始させると共に、第1時間帯T1内において薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116へ薬剤を供給させる(薬剤供給開始プロセスP1)。
薬剤供給開始プロセスP1が実行されることにより、冷却塔110の貯留部116に薬剤供給装置150から薬剤が供給される。冷却塔110の貯留部116に供給された薬剤は、循環水W110と共に、循環水ラインL110を介して冷却塔110の塔本体111と被冷却装置131との間を循環する。
ステップST104において、プロセス制御部163は、循環水W110のORP測定値Q0を取得する。
ステップST105において、プロセス制御部163は、循環水W110のORP値Q0が、薬剤の供給を停止させる水質の下限閾値である薬剤供給停止ORP値Q2以上か否かを判定する。このステップST105において、プロセス制御部163が、ORP値Q0≧薬剤供給停止ORP値Q2である(YES)と判定した場合には、処理はステップST106へ移行する。また、ステップST105において、プロセス制御部163が、ORP値Q0<薬剤供給停止ORP値Q2である(NO)と判定した場合には、処理はステップST107へ移行する。
ステップST105(YES判定)から移行したステップST106において、プロセス制御部163は、プロセス実行部162に薬剤供給開始プロセスP1の実行を停止させる。プロセス実行部162は、薬剤供給開始プロセスP1の実行を停止させるため、計時部161による第1時間帯T1の計時を終了(リセット)すると共に、薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116への薬剤の供給を停止させる。ステップST106において、プロセス制御部163が薬剤供給開始プロセスP1を停止させた後、処理は再びステップST101に戻る。
一方、ステップST105(NO判定)から移行したステップST107において、プロセス制御部163は、計時部161における第1時間帯T1の計時が終了したか否かを判定する。このステップST107において、プロセス制御部163が、第1時間帯T1の計時が終了した(YES)と判定した場合には、処理はステップST108へ移行する。また、ステップST107において、プロセス制御部163が、第1時間帯T1の計時が終了していない(NO)と判定した場合には、処理はステップST104へ戻る。
ステップST107(YES判定)から移行したステップST108において、プロセス制御部163は、プロセス実行部162に薬剤供給停止プロセスP2を実行させる。プロセス実行部162は、計時部161による第2時間帯T2の計時を開始させると共に、第2時間帯T2内において薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116への薬剤の供給を停止させる(薬剤供給停止プロセスP2)。
ステップST109において、プロセス制御部163は、循環水W110のORP測定値Q0を取得する。
ステップST110において、プロセス制御部163は、循環水W110のORP値Q0が、薬剤供給停止ORP値Q2以上か否かを判定する。このステップST110において、プロセス制御部163が、ORP値Q0≧薬剤供給停止ORP値Q2である(YES)と判定した場合には、処理はステップST111へ移行する。また、ステップST110において、プロセス制御部163が、ORP値Q0<薬剤供給停止ORP値Q2である(NO)と判定した場合には、処理はステップST112へ移行する。
ステップST110(YES判定)から移行したステップST111において、プロセス制御部163は、プロセス実行部162に薬剤供給停止プロセスP2の実行を停止させる。プロセス実行部162は、薬剤供給停止プロセスP2の実行を停止させるため、計時部161による第2時間帯T2の計時を終了(リセット)する。なお、すでに薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116への薬剤の供給は停止しているため、薬剤供給装置150の制御(薬剤供給ポンプ152の停止)は行わない。プロセス制御部163がプロセス実行部162に薬剤供給停止プロセスP2の実行を停止させた後、処理は再びステップST101に戻る。
一方、ステップST110(NO判定)から移行したステップST112において、プロセス制御部163は、計時部161における第2時間帯T2の計時が終了したか否かを判定する。このステップST112において、プロセス制御部163が第2時間帯T2の計時が終了した(YES)と判定した場合には、処理はステップST103に戻る。また、ステップST112において、プロセス制御部163が、第2時間帯T2の計時が終了していない(NO)と判定した場合には、処理はステップST109へ戻る。
次に、本実施形態の水処理システム100において、循環水W110のブロー処理を実行する場合の動作について説明する。まず、ブロー処理の概略について説明する。
循環水W110は、冷却塔110で冷却される際にその一部が蒸発する。水処理システム100の運転中において、冷却塔110では、循環水W110の蒸発が繰り返される。このため、循環水W110の濃縮度は、徐々に高くなる。循環水W110の濃縮度が高くなると、循環水W110に含まれる腐食性イオンやスケール発生因子等の不純物の濃縮度も高くなる。循環水W110の濃縮度が所定の閾値以上に高くなると、被冷却装置131においてスケール付着や腐食等の障害が発生する可能性が高くなる。
これを防止するため、水処理システム100の運転中は、循環水W110の濃縮度を常に監視する必要がある。通常、循環水W110の濃縮度が高くなると、電気伝導率も高くなる。従って、循環水W110の電気伝導率ECを定期的に測定することにより、循環水W110の濃縮度を間接的に判定することができる。ブロー処理制御部165は、濃縮度判定部164において、電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率ECが所定の閾値以上であると判定された場合に、後述するブロー処理を実行する。
ブロー処理では、循環水W110の排水及び補給を、同時又は連続して実施する。循環水W110を排水する場合、次のいずれかの方法によって行われる。
(強制排水ブロー)
ブロー処理制御部165は、排水バルブ145を開状態として、冷却塔110の貯留部116に貯留された循環水W110の一部を排水ラインL140から外部に排出する。循環水W110の一部が排出されると、貯留部116の水位が低下するため、給水栓144のボールタップが作動し、新たな補給水W121が第3補給水ラインL123を通じて補給される。なお、この強制排水ブローを実施する場合には、補給水バルブ143は閉状態のままとし、開閉操作は行わない。
(強制補水ブロー)
ブロー処理制御部165は、補給水バルブ143を開状態として、第2補給水ラインL122を通じて新たな補給水W121を貯留部116に強制的に補給する。補給水W121が補給されると、貯留部116の水位が上昇するため、溢れた循環水W110がオーバーフローラインL150から外部に排出される。なお、この強制補水ブローを実施する場合には、排水バルブ145は閉状態のままとし、開閉操作は行わない。
ブロー処理時に新たに補給される補給水W121は、濃縮の進んだ循環水W110よりも電気伝導率が低いため、循環水W110の電気伝導率を全体的に下げることができる。上記ブロー処理は、水処理システム100の運転中に定期的に実施される通常のブロー処理である。本実施形態では、このブロー処理を「第1ブロー処理」という。
一方、電気伝導率測定装置133に故障等の不具合が発生した場合(又はシステム制御装置101との間で断線が発生した場合)には、正しい電気伝導率ECが検出されなくなり、検出される値が常に零又は固定値になることが考えられる。このような場合には、循環水W110の濃縮度が高いにもかかわらずブロー処理が実施されないため、被冷却装置131に不具合が発生するおそれがある。
そこで、本実施形態の水処理システム100では、循環水W110の入口温度TP1と出口温度TP2との温度差が所定値以上ある条件下で、電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率ECが所定値以上変化していない場合には、電気伝導率測定装置133に故障等の不具合が発生したと判断し、循環水ポンプ132が運転されている間、間欠的なブロー処理を実行するようにしている。このようなブロー処理は、電気伝導率測定装置133に故障等の不具合が発生した場合に実施されるバックアップのためのブロー処理である。本実施形態では、このブロー処理を「第2ブロー処理」という。
以下、循環水W110のブロー処理を実行する場合の動作を、図5〜図7を参照しながら説明する。図5は、水処理システム100の制御部102がブロー処理を実行する場合の全体的な処理手順を示すフローチャートである。図6は、水処理システム100の制御部102が第1ブロー処理を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図7は、水処理システム100の制御部102が第2ブロー処理を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
まず、水処理システム100の制御部102がブロー処理を実行する場合の全体的な処理手順を、図5を参照しながら説明する。図5に示すフローチャートの処理は、水処理システム100の運転中において、繰り返し実行される。
ステップST201において、ブロー処理制御部165は、循環水ポンプ132の運転中で且つブロー処理の停止中か否かを判定する。ブロー処理制御部165は、補給水バルブ143及び排水バルブ145が共に閉状態の場合には、ブロー処理の停止中と判断し、補給水バルブ143及び排水バルブ145のいずれかが開状態の場合には、ブロー処理の実行中と判断する。このステップST201において、ブロー処理制御部165が、循環水ポンプ132の運転中で且つブロー処理の停止中(YES)と判定した場合には、処理はステップST202へ移行する。また、ステップST201において、ブロー処理制御部165が循環水ポンプ132の運転中で且つブロー処理の停止中でない(NO)と判定した場合には、処理は再びステップST201に戻る。
ステップST201(YES判定)から移行したステップST202において、ブロー処理制御部165は、第1温度センサ135から循環水W110の入口温度TP1を、また第2温度センサ136から循環水W110の出口温度TP2を取得する。
ステップST203において、ブロー処理制御部165は、入口温度TP1と出口温度TP2との温度差が所定値以上か否かを判定する。このステップST203において、ブロー処理制御部165が、入口温度TP1と出口温度TP2との温度差が所定値以上(YES)と判定した場合には、処理はステップST204へ移行する。また、ステップST203において、ブロー処理制御部165が入口温度TP1と出口温度TP2との温度差が所定値未満(NO)と判定した場合には、処理は再びステップST201に戻る。
このように、入口温度TP1と出口温度TP2との温度差が所定値以上ある場合には、循環水W110の蒸発が進み、濃縮度が高くなっていると考えられるため、ブロー処理の実施を判定するステップへ移行する。一方、入口温度TP1と出口温度TP2との温度差が所定値未満の場合には、循環水W110の濃縮度が比較的低いと考えられるため、ブロー処理の実施を判定するステップへは移行せずに、濃縮度が高くなっていると考えられる状態になるまで待機する。
ステップST203(YES判定)から移行したステップST204において、ブロー処理制御部165は、電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率ECを、電気伝導率EC1として取得する。
ステップST205において、ブロー処理制御部165は、計時部161による第3時間帯T3の計時を開始させる。
ステップST206において、ブロー処理制御部165は、計時部161における第3時間帯T3の計時が終了したか否かを判定する。このステップST206において、ブロー処理制御部165が、第3時間帯T3の計時が終了した(YES)と判定した場合には、処理はステップST207へ移行する。また、ステップST206において、ブロー処理制御部165が、第3時間帯T3の計時が終了していない(NO)と判定した場合には、処理はステップST206へ戻る。
ステップST206(YES判定)から移行したステップST207において、ブロー処理制御部165は、電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率ECを、電気伝導率EC2として取得する。
ステップST208において、ブロー処理制御部165は、電気伝導率EC1とEC2との差が所定値以上(EC2−EC1≧所定値)か否かを判定する。このステップST208において、ブロー処理制御部165が、電気伝導率EC1とEC2との差は所定値以上(YES)と判定した場合には、処理はステップST209へ移行する。また、ステップST208において、ブロー処理制御部165が、電気伝導率EC1とEC2との差は所定値未満(NO)と判定した場合には、処理はステップST210へ移行する。
このように、電気伝導率EC1とEC2との差が所定値以上であれば、循環水W110の濃縮の進行を反映して電気伝導率測定装置133が正常に動作していると考えられるため、通常のブロー処理を実行するステップへ移行する。一方、電気伝導率EC1とEC2との差が所定値未満であれば、電気伝導率測定装置133に故障等の不具合が発生して、例えば、検出された値が常に零又は固定値になっていると考えられるため、バックアップのためのブロー処理を実行するステップへ移行する。
ステップST208から移行したステップST209において、ブロー処理制御部165は、後述する第1ブロー処理を実行する。一方、ステップST208から移行したステップST210において、ブロー処理制御部165は、後述する第2ブロー処理を実行する。
次に、水処理システム100の制御部102が第1ブロー処理を実行する場合の処理手順を、図6を参照しながら説明する。図6に示すフローチャートの処理は、図5のステップST209におけるサブルーチンとして実行される。
ステップST301において、ブロー処理制御部165は、循環水ポンプ132の運転中か否かを判定する。このステップST301において、ブロー処理制御部165が、循環水ポンプ132の運転中(YES)と判定した場合には、処理はステップST302へ移行する。また、ステップST301において、ブロー処理制御部165が循環水ポンプ132の運転中でない(NO)と判定した場合には、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201に戻る)。
ステップST301(YES判定)から移行したステップST302において、ブロー処理制御部165は、電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率ECを、電気伝導率EC3として取得する。
ステップST303において、ブロー処理制御部165は、電気伝導率EC3とブロー処理を開始する上限閾値である電気伝導率ECth1とを比較し、電気伝導率EC3が電気伝導率ECth1以上か否かを判定する。このステップST303において、ブロー処理制御部165が、電気伝導率EC3は電気伝導率ECth1以上(YES)と判定した場合には、処理はステップST304へ移行する。また、ステップST303において、ブロー処理制御部165が電気伝導率EC3は電気伝導率ECth1未満(NO)であると判定した場合には、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201に戻る)。
ステップST303から移行したステップST304において、ブロー処理制御部165は、ブロー処理(循環水W110の排水及び補給)を開始する。
ステップST305において、ブロー処理制御部165は、循環水ポンプ132の運転中か否かを判定する。このステップST305において、ブロー処理制御部165が、循環水ポンプ132の運転中(YES)と判定した場合には、処理はステップST306へ移行する。また、ステップST305において、ブロー処理制御部165が、循環水ポンプ132の運転中でない(NO)と判定した場合には、ステップST308へ移行する。
循環水ポンプ132の運転が停止すると、循環水W110が循環しなくなる。このため、ブロー処理を開始した後に循環水ポンプ132の運転が停止した場合には、ステップST108へ移行して、ブロー処理を終了する。
ステップST305から移行したステップST306において、ブロー処理制御部165は、電気伝導率測定装置133で測定された電気伝導率ECを、電気伝導率EC4として取得する。
ステップST307において、ブロー処理制御部165は、電気伝導率EC4とブロー処理を終了する下限閾値である電気伝導率ECth2とを比較し、電気伝導率EC4が電気伝導率ECth2未満か否かを判定する。このステップST307において、ブロー処理制御部165が、電気伝導率EC4は電気伝導率ECth2未満(YES)であると判定した場合には、処理はステップST308へ移行する。また、ステップST307において、ブロー処理制御部165が、電気伝導率EC4は電気伝導率ECth2以上(NO)であると判定した場合には、処理はステップST304へ戻る。
このように、ブロー処理の開始後に取得した電気伝導率EC4が電気伝導率ECth2未満の場合には、循環水W110の濃縮度が十分に低くなったと考えられるため、ブロー処理を終了するステップへ移行する。一方、電気伝導率EC4は電気伝導率ECth2以上の場合には、循環水W110の濃縮度が未だ高いと考えられるため、ブロー処理を継続するステップへ移行する。
ステップST305(NO判定)又はステップST307から移行したステップST308において、ブロー処理制御部165は、ブロー処理を終了する。これにより、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201に戻る)。
次に、水処理システム100の制御部102が第2ブロー処理を実行する場合の処理手順を、図7を参照しながら説明する。図7に示すフローチャートの処理は、図5のステップST210におけるサブルーチンとして実行される。
ステップST401において、ブロー処理制御部165は、循環水ポンプ132の運転中か否かを判定する。このステップST401において、ブロー処理制御部165が、循環水ポンプ132の運転中(YES)と判定した場合には、処理はステップST402へ移行する。また、ステップST401において、ブロー処理制御部165が、循環水ポンプ132の運転中でない(NO)と判定した場合には、処理はステップST405へ移行する。
ステップST401(YES判定)から移行したステップST402において、ブロー処理制御部165は、ブロー処理(循環水W110の排水及び補給)を開始する。
ステップST403において、ブロー処理制御部165は、計時部161による第4時間帯T4の計時を開始させる。
ステップST404において、ブロー処理制御部165は、計時部161における第4時間帯T4の計時が終了したか否かを判定する。このステップST404において、ブロー処理制御部165が、第4時間帯T4の計時が終了した(YES)と判定した場合には、処理はステップST406へ移行する。また、ステップST404において、ブロー処理制御部165が、第4時間帯T4の計時が終了していない(NO)と判定した場合には、処理はステップST401へ戻る。
一方、ステップST401(NO判定)から移行したステップST405において、ブロー処理制御部165は、計時部161による第4時間帯T4の計時及びブロー処理を終了した後、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201に戻る)。
上述したように、循環水ポンプ132の運転が停止すると、循環水W110が循環しなくなる。このため、ブロー処理を開始した後に循環水ポンプ132の運転が停止した場合には、ステップST405へ移行して、第4時間帯T4の計時及びブロー処理を終了する。
ステップST404(YES判定)から移行したステップST406において、ブロー処理制御部165は、ブロー処理を終了する。
ステップST407において、ブロー処理制御部165は、循環水ポンプ132の運転中か否かを判定する。このステップST407において、ブロー処理制御部165が、循環水ポンプ132の運転中(YES)と判定した場合には、処理はステップST408へ移行する。また、ステップST407において、ブロー処理制御部165が、循環水ポンプ132の運転中でない(NO)と判定した場合には、処理はステップST410へ移行する。
ステップST407(YES判定)から移行したステップST408において、ブロー処理制御部165は、計時部161による第5時間帯T5の計時を開始させる。
ステップST409において、ブロー処理制御部165は、計時部161における第5時間帯T5の計時が終了したか否かを判定する。このステップST409において、ブロー処理制御部165が、第5時間帯T5の計時が終了した(YES)と判定した場合には、処理はステップST401へ戻る。また、ステップST409において、ブロー処理制御部165が、第5時間帯T5の計時が終了していない(NO)と判定した場合には、処理はステップST406へ戻る。
ステップST407(NO判定)から移行したステップST410において、ブロー処理制御部165は、計時部161による第5時間帯T5の計時を終了し、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201に戻る)。
上述したバックアップのための第2ブロー処理では、第4時間帯T4において、ブロー処理が実行される。また、第5時間帯T5において、ブロー処理の実行が停止される。このように、第2ブロー処理においては、循環水ポンプ132の運転が停止するまで、間欠的にブロー処理が実施される。
上述した本実施形態の水処理システム100によれば、例えば、次のような効果を奏する。
本実施形態の水処理システム100は、循環水W110のORP値Q0が薬剤供給開始ORP値Q1未満である場合には、第1時間帯T1内に薬剤供給開始プロセスP1を実行させ、また、第1時間帯T1が経過した場合には、第2時間帯T2内に薬剤供給停止プロセスP2を実行させ、更に、第2時間帯T2が経過し且つ循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2未満の場合には、再び第1時間帯T1内に薬剤供給開始プロセスP1を実行させるプロセス制御部163を備える。
上述した第1時間帯T1の薬剤供給開始プロセスP1において循環水ラインL110に供給された薬剤は、第2時間帯T2の薬剤供給停止プロセスP2において循環水ラインL110に拡散する。その結果、第2時間帯T2が経過した時点における循環水W110のORP値には、供給された薬剤の効果が反映される。
このため、第2時間帯T2が経過した時点において、ORP値Q0が薬剤供給開始ORP値Q1未満であれば薬剤供給開始プロセスP1を実行させて薬剤の供給を続け、ORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上であれば薬剤の供給を停止することにより、薬剤の過剰な供給を抑制しつつ、循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上となるように制御することができる。
このように、本実施形態の水処理システム100では、循環水W110のORP値Q0に基づいて、薬剤供給開始プロセスP1と薬剤供給停止プロセスP2とを交互に繰り返し実行させるようにしたので、循環水ラインL110の経路が長い場合でも、薬剤の過剰な供給を抑制しつつ、循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上となるように制御することができる。
従って、本実施形態の水処理システム100によれば、薬剤の過剰な供給を抑制することができる。その結果、循環水W110中の薬剤濃度を適正範囲に維持することができる。
また、本実施形態の水処理システム100において、プロセス制御部163は、第1時間帯T1内に、循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上となった場合には、薬剤供給開始プロセスP1の実行を停止させて、薬剤の供給を停止させる。
このように、薬剤供給開始プロセスP1の実行中であっても、循環水W110のORP値Q0が薬剤供給停止ORP値Q2以上となった場合には、薬剤供給開始プロセスP1の実行を停止させるため、薬剤の過剰な供給をより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の水処理システム100において、ブロー処理制御部165は、循環水W110の冷却塔110における入口温度TP1と出口温度TP2との差が所定値以上あり、且つ第3時間帯T3の前後における電気伝導率EC1とEC2との差が所定値未満であると判定した場合には、バックアップのための第2ブロー処理を実施する。
そのため、電気伝導率測定装置133に故障等の不具合が発生し、検出される電気伝導率ECが常に零又は固定値になった場合でも、確実にブロー処理を実施させることができる。従って、濃縮度の高い循環水W110が被冷却装置131に供給され、被冷却装置131にスケール付着や腐食等の障害が発生することを抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態では、薬剤として酸化型のスライムコントロール剤を使用する場合の水質検出手段として、循環水W110の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定装置134を用いた例について説明した。これに限らず、水質検出手段は、循環水W110に供給される薬剤に応じて適宜に選択される。例えば、薬剤として酸化型以外のスライムコントロール剤、防食剤、スケール防止剤等を使用する場合には、薬剤に配合したトレーサー物質の循環水W110中の濃度を測定することにより、薬剤の供給濃度を間接的に検出することができる。トレーサー物質としては、例えば、塩化リチウム等のリチウム塩、ピレンスルホン酸等の蛍光化合物、特定波長に吸収を持つ色素等が利用可能である。これらのトレーサー物質を検出するための水質検出手段としては、それぞれイオン電極式のリチウムイオン濃度測定装置、蛍光強度測定装置、透過光強度測定装置が挙げられる。
なお、酸化型以外のスライムコントロール剤、防食剤及びスケール防止剤は、種々の公知物質を使用することができる。酸化型以外のスライムコントロール剤としては、イソチアゾリン系化合物、カルバメート系化合物等が例示される。また、防食剤としては、ケイ酸塩、亜鉛塩、モリブデン塩、ベンゾトリアゾール誘導体等が例示される。更に、スケール防止剤としては、カルボン酸系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ホスホン酸系キレート剤、カルボン酸系キレート剤等が例示される。
本実施形態では、薬剤を薬剤供給装置150から冷却塔110の貯留部116へ供給する例について説明した。これに限らず、薬剤を循環水ラインL110へ直接供給するように構成してもよい。すなわち、薬剤を最終的に循環水ラインL110へ供給することができれば、薬剤を供給する位置は、冷却塔110(散水部112、貯留部116)及び循環水ラインL110(循環水供給ラインL111、循環水回収ラインL112)のどこであってもよい。
本実施形態において第2ブロー処理が実行された際に、水処理システム100の管理者に対して、電気伝導率測定装置133に故障等の不具合が発生したことを警報等により通知してもよい。
本実施形態においては、冷却塔110を開放式冷却塔として構成した例について示したが、これに限らず、冷却塔110を密閉式冷却塔として構成してもよい。