JP5811213B2 - プロペラシャフトの製造方法 - Google Patents

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本発明は、車両の駆動力伝達軸部に使用されるプロペラシャフトの製造方法に関する。
従来のプロペラシャフトとして、例えば、特開2007−177955号公報(特許文献1)および特開2009−107415号公報(特許文献2)に記載されているものが知られている。このプロペラシャフトは、パワーユニットに連結されるトランスミッションと車輪に連結されるディファレンシャルギヤとの間に配置され、トランスミッションの出力をディファレンシャルギヤへ伝達する。ここで路面からの衝撃や車両の運転状態などにより、トランスミッションとディファレンシャルギヤとの相対位置が変化する。そのため、特にそれらの車両前後方向の相対変位を吸収するために、プロペラシャフトは、雄スプラインを有する第1シャフトと、雌スプラインを有する第2シャフトとに分割して形成され、雄スプラインと雌スプラインとが軸方向(車両前後方向)にスライドできるように構成されている。
このようなプロペラシャフトにおいては、雄スプラインと雌スプラインとのスライド抵抗が大きいことから、車両の加減速時などにトランスミッションとディファレンシャルとが相対移動することにより、スティックスリップという現象が生じることがある。スティックスリップとは、第1シャフトの雄スプラインと第2シャフトの雌スプラインとが、軸方向に断続的に相対移動する現象である。
そこで、このスティックスリップの発生を低減するために、特許文献1には、ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」ともいう。)などの固体潤滑被膜を雄スプラインと雌スプラインとの摺動面にコーティングすることが記載されている。
このDLC膜は、例えば、特開2009−35584号公報(特許文献3)に記載されているような、真空蒸着法などのPVD法やプラズマCVD法などの種々の公知の成膜方法を用いて、基材の表面に形成される。これらの成膜方法のうちで、成膜条件の管理が容易であることから、直流プラズマCVD法が一般的によく用いられている。
特開2007−177955号公報 特開2009−107415号公報 特開2009−35584号公報
ところで、上記のDLC膜を、例えば直流プラズマCVD法を用いて成膜する場合、処理炉として用いられるプラズマ反応室の大きさにより、一度にDLC膜を成膜できる基材の個数が制限される。そのため、プロペラシャフトのスプライン部の表面にDLC膜を成膜する場合には、基材となる第1シャフトまたは第2シャフトの体積が大きいことから、一度に処理炉内に入る個数が非常に少なく、コスト高の原因となっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スティックスリップの発生を低減するために施される表面処理のコストを低減し得るようにしたプロペラシャフトの製造方法を提供することを解決すべき課題とするものである。
上記課題を解決する請求項1に係る発明の構成上の特徴は、
一端にヨークを有する第1シャフトと、
該第1シャフトの他端にスライド可能に連結された第2シャフトと、
前記第1シャフトと前記第2シャフトとの連結部分に配置され、前記第1シャフトに対する前記第2シャフトのスライド性を向上させるための表面処理が施された表面処理部材と、を備え、
前記表面処理部材は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトとは別体の基材からなるとともに、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの連結部分に配置され、
前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方は、第1スプラインを有し、
前記表面処理部材は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方に固定され、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方の前記第1スプラインにスライド可能に嵌合すると共に前記表面処理が施された第2スプラインを有するプロペラシャフトの製造方法であって、
前記第2スプラインを形成した前記基材を準備し、
前記基材の固体潤滑被膜を形成する部位以外の部位表面にマスキングをし、
前記基材を処理炉に収納して前記処理炉内で前記基材の表面に前記固体潤滑被膜を形成することにより前記表面処理部材を形成した後、
前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトとの他方と、を接合連結し、
前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方と、を軸方向の端面同士を摩擦圧接により接合し、
前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方との摩擦圧接により接合される側の軸方向端部は、摩擦圧接前において、製品完成時の外径よりも大径となった膨出部を有し、該膨出部は、摩擦圧接後に施されるバリ取り加工時に、摩擦圧接により生成したバリと共に除去する、ことである。
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項に記載のプロペラシャフトの製造方法において、前記第1シャフトと前記第2シャフトは、前記第1スプラインと前記第2スプラインとを嵌合することにより連結する、ことである。
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または2に記載のプロペラシャフトの製造方法において、前記固体潤滑被膜は、前記基材の表面にPVD法またはCVD法により形成する、ことである。
そして、一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、
一端にヨークを有する第1シャフトと、
該第1シャフトの他端にスライド可能に連結された第2シャフトと、
前記第1シャフトと前記第2シャフトとの連結部分に配置され、前記第1シャフトに対する前記第2シャフトのスライド性を向上させるための表面処理が施された表面処理部材と、を備え、
前記表面処理部材は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトとは別体の基材に表面処理が施されたものからなるとともに、前記表面処理が施された後に、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの連結部分に配置されていることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記表面処理部材は、前記表面処理として、前記基材の表面にPVD法またはCVD法により形成された固体潤滑被膜を有することである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方は、第1スプラインを有し、前記表面処理部材は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方に固定され、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方の前記第1スプラインにスライド可能に嵌合すると共に前記表面処理が施された第2スプラインを有し、前記第1シャフトと前記第2シャフトは、前記第1スプラインと前記第2スプラインとを嵌合することにより連結されていることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方とは、軸方向の端面同士が摩擦圧接により接合されていることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方との摩擦圧接により接合される側の軸方向端部は、摩擦圧接前において、製品完成時の外径よりも大径となった膨出部を有し、該膨出部は、摩擦圧接後に施されるバリ取り加工時に、摩擦圧接により生成したバリと共に除去されることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方とは、圧入により固定されていることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記表面処理部材は、前記第2スプラインに対して内外周反対面に第3スプラインを有し、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方は、第4スプラインを有し、前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方とは、前記第3スプラインと前記第4スプラインとを嵌合することにより固定されていることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記第1シャフトと前記第2シャフトは、前記第1シャフトに設けられた第5スプラインと前記第2シャフトに設けられた第6スプラインとを嵌合することにより連結され、前記表面処理部材は、前記表面処理が施された面を少なくとも一方に有してプレート状に形成され、前記第5スプラインおよび前記第6スプラインの何れか一方の摺動面に他方の面が接着され、前記表面処理が施された前記一方の面が前記第5スプラインおよび前記第6スプラインの他方の摺動面に対してスライドすることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記表面処理部材は、前記雄スプラインおよび前記雌スプラインの何れか一方の摺動面の正トルク負荷面に接着されていることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記第1シャフトは、雄スプラインを有し、前記第2シャフトは、雄スプラインを有し、前記表面処理部材は、長尺状に形成されて、前記雄スプラインおよび前記雌スプラインの互いに対向する対向面間に、トルク伝達可能に配置されていることである。
一参考実施形態に係る発明の構成上の特徴は、プロペラシャフトにおいて、前記表面処理部材の長尺方向に直交する方向の断面形状は、円形、矩形または異形の何れかにされていることである。
一参考実施形態に係る発明によれば、表面処理部材は、第1シャフトおよび第2シャフトとは別体の基材に表面処理が施されたものからなるとともに、表面処理が施された後に、第1シャフトと第2シャフトとの連結部分に配置されている。即ち、本発明のプロペラシャフトは、表面処理部材が、第1シャフトおよび第2シャフトとは別体の部材で形成されており、スティックスリップの発生を低減するために施される表面処理が、表面処理部材のみに対して施される。
そのため、表面処理部材を、表面処理が必要な最小限の大きさや形状に設定することにより、表面処理部材の体積を小さくすることができるので、表面処理部材の表面に、例えばDLC膜などの固体潤滑被膜を形成する表面処理を施す際に、処理炉内により多くの基材を入れることが可能となる。これにより、一度に、より多くの表面処理部材に表面処理を施すことができるので、処理効率が向上し、表面処理コストを大幅に低減することができる。したがって、本発明によれば、プロペラシャフトのスライド部に発生するスティックスリップを、安価に抑制することができる。
一参考実施形態に係る発明によれば、表面処理部材は、スライド性を向上させるために、基材の表面にPVD法またはCVD法により形成された固体潤滑被膜を有する。本発明の表面処理部材は、表面部に形成された固体潤滑被膜により、第1シャフトと第2シャフトとのスライド連結部分に発生するスティックスリップを低減する。この表面処理部材は、上記のように、表面処理が必要な最小限の大きさや形状に設定することにより、基材の体積を小さくすることができる。そのため、PVD法やCVD法により基材の表面に固体潤滑被膜を形成する際には、処理炉内により多くの基材を入れることが可能となるので、一度に、より多くの基材に固体潤滑被膜を効率良く形成することができ、表面処理コストを大幅に低減することができる。したがって、本発明は、スティックスリップの発生を低減するために施される表面処理のコストを低減し得るようにしたプロペラシャフトを、有利に実現することができる。
なお、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの従来より公知の方法を採用することができる。また、CVD法としては、熱CVD法、高周波プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、直流プラズマCVD法などの従来より公知の方法を採用することができる。
一参考実施形態に係る発明によれば、第1シャフトおよび第2シャフトの一方は、第1スプラインを有し、表面処理部材は、第1シャフトおよび第2シャフトの他方に固定され、第1シャフトおよび第2シャフトの一方の第1スプラインにスライド可能に嵌合すると共に表面処理が施された第2スプラインを有し、第1シャフトと第2シャフトは、第1スプラインと第2スプラインとを嵌合することにより連結されている。そのため、表面処理部材の大きさを、第2スプラインの長さにほぼ相当する大きさに小さくすることができるので、表面処理の処理効率が向上し、表面処理コストの大幅な低減が可能となる。
一参考実施形態に係る発明によれば、表面処理部材と第1シャフトおよび第2シャフトの他方とは、軸方向の端面同士が摩擦圧接により接合されている。これにより、表面処理部材と第1シャフトまたは第2シャフトとを強固に結合することができる。また、摩擦圧接の条件を適切に管理することにより、表面処理部材の軸線と第1シャフトまたは第2シャフトの軸線を、比較的容易に一致させることができる。
一参考実施形態に係る発明によれば、表面処理部材と第1シャフトおよび第2シャフトの他方との摩擦圧接により接合される側の軸方向端部は、摩擦圧接前において、製品完成時の外径よりも大径となった膨出部を有し、膨出部は、摩擦圧接後に施されるバリ取り加工時に、摩擦圧接により生成したバリと共に除去される。これにより、表面処理部材と第1シャフトまたは第2シャフトとの摩擦圧接による接合部の外周形状が、製品完成時の所定形状(所定寸法)に加工形成される。このようにすることで、摩擦圧接時における、表面処理部材と第1シャフトまたは第2シャフトとの大きな摩擦圧接面を確保することができるので、表面処理部材と第1シャフトまたは第2シャフトとを、より強固に接合させることができる。
一参考実施形態に係る発明によれば、表面処理部材と第1シャフトおよび第2シャフトの他方とは、圧入により固定されている。これにより、表面処理部材と第1シャフトまたは第2シャフトとを強固に固定し、一体化させることができる。この場合、表面処理部材は、第1シャフトまたは第2シャフトに対して軸方向に圧入されて固定されるため、表面処理部材の軸線と第1シャフトの軸線を、容易に一致させることができる。
一参考実施形態に係る発明によれば、表面処理部材は、第2スプラインに対して内外周反対面に第3スプラインを有し、第1シャフトおよび第2シャフトの他方は、第4スプラインを有し、表面処理部材と第1シャフトおよび第2シャフトの他方とは、第3スプラインと第4スプラインとを嵌合することにより固定されている。即ち、本発明では、表面処理部材と第1シャフトおよび第2シャフトの他方とが、圧入とともに、スプライン嵌合により固定されているので、表面処理部材と第1シャフトおよび第2シャフトの他方とを、トルク伝達時にも位置ずれすることなく、強固に固定することができる。
一参考実施形態に係る発明によれば、第1シャフトと第2シャフトは、第1シャフトに設けられた第5スプラインと第2シャフトに設けられた第6スプラインとを嵌合することにより連結され、表面処理部材は、表面処理が施された面を少なくとも一方に有してプレート状に形成され、第5スプラインおよび第6スプラインの何れか一方の摺動面に他方の面が接着され、表面処理が施された一方の面が第5スプラインおよび第6スプラインの他方の摺動面に対してスライドする。
即ち、本発明では、表面処理部材を、第5スプラインおよび第6スプラインの摺動面にほぼ相当する大きさのプレート状に形成すればよいため、表面処理部材を極めて小さくすることができる。そのため、例えばDLC膜などの固体潤滑被膜を基材の表面に成膜する表面処理を施す際の処理効率をより一層向上させることができるので、表面処理コストや物流コストの大幅な低減をより一層有利に達成することができる。
一参考実施形態に係る発明によれば、表面処理部材は、第5スプラインおよび第6スプラインの何れか一方の摺動面の正トルク負荷面に接着されている。プロペラシャフトの正回転時に発生するスティックスリップは、第5スプラインと第6スプラインとの摺動面の正トルク負荷面に発生し易い。そのため、第5スプラインおよび第6スプラインの何れか一方の摺動面の正トルク負荷面に、表面処理部材を配設することにより、スティックスリップの発生を効果的に低減することができる。
なお、表面処理部材は、第5スプラインまたは第6スプラインの正トルク負荷面の必ずしも全面に亘って配設する必要はない。例えば、正トルク負荷面の外周端縁部を除いた中央部のみに配設したり、正トルク負荷面に複数の表面処理部材を部分的に配設したりしてもよい。
一参考実施形態に係る発明によれば、第1シャフトは、第7スプラインを有し、第2シャフトは、第8スプラインを有し、表面処理部材は、長尺状に形成されて、第7スプラインおよび第8スプラインの互いに対向する対向面間に、トルク伝達可能に配置されている。そのため、表面処理部材の厚みを適宜設定することにより、第7スプラインおよび第8スプラインの互いに対向する対向面間の適正な隙間寸法を確保することができる。また、その対向面間に表面処理部材を配置することによって、プロペラシャフトの曲げ剛性の低下や耐久性の低下を防止することができる。
一参考実施形態に係る発明によれば、表面処理部材の長尺方向に直交する方向の断面形状は、円形、矩形または異形の何れかにされている。これにより、第7スプラインおよび第8スプラインの対向面間の空間形状に合わせて、表面処理部材の断面形状を選択することができるので、表面処理部材の形状の選択自由度が向上する。
実施形態1に係る製造方法により製造されたプロペラシャフトの一部を断面で示す正面図である。 実施形態1において第1シャフトと表面処理部材とを摩擦圧接により接合する状態を示す説明図である。 実施形態1において摩擦圧接により一体化された第1シャフトと表面処理部材の一部を断面で示す正面図である。 (a)は参考例1において第1シャフトと表面処理部材とを圧入固定する状態を示す説明図であり、(b)は(a)のA−A線矢視部分断面図であり、(c)は(a)のB−B線矢視部分断面図である。 参考例1において圧入により一体化された第1シャフトと表面処理部材の一部を断面で示す正面図である。 参考例2に係るプロペラシャフトの一部を断面で示す正面図である。 図6のC−C線に相当する部分に配置された表面処理部材の斜視図である。 参考例3に係るプロペラシャフトの要部の断面図である。 参考例4に係るプロペラシャフトの要部の断面図である。 参考例5に係るプロペラシャフトの要部の断面図である。
以下、本発明のプロペラシャフトの製造方法を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔実施形態1〕
実施形態1のプロペラシャフトの製造方法について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、実施形態1に係る製造方法により製造されたプロペラシャフト1の一部を断面で示す正面図である。図1において、軸中心より上方のうち左側部分を断面図として示す。図2は、第1シャフトと表面処理部材とを摩擦圧接により接合する状態を示す説明図である。図3は、摩擦圧接により一体化された第1シャフトと表面処理部材の一部を断面で示す正面図である。なお、以下の説明において、特に断らない限り、左とは図1の左を意味し、右とは図1の右を意味する。
プロペラシャフト1は、エンジンからディファレンシャル装置へ動力を伝達するためのシャフトである。このプロペラシャフト1には、駆動方式によって異なるが、フロントプロペラシャフトとリアプロペラシャフトがある。これらは、何れも、エンジンとディファレンシャル装置との間を連結しており、車両前後方向に延びるように配置されている。
本実施形態のプロペラシャフト1は、図1に示すように、第1シャフト10と、雌スプラインである第1スプライン23を有し、第1シャフト10に対して軸方向にスライド可能に配置された第2シャフト20と、雄スプラインである第2スプライン31を有し、第1シャフト10に固定された表面処理部材30とを備えている。
第1シャフト10は、ユニバーサルジョイントのヨークを構成する第1ジョイント部11と、第1ジョイント部11の底部(右端)に一体形成されシャフト軸に同軸状に配置された円筒状の円筒部12とからなる。円筒部12の第1ジョイント部11側端部(左端部)の外周面には、シール部14が設けられている。シール部14は、円筒部12の外周面に設けられたリング状の凹溝13と、凹溝13に嵌入されるシールゴム(図示せず)とにより構成される。
第2シャフト20は、軸方向中央部に位置する第1チューブ部21と、第1チューブ部21の左端面に結合連結された第2チューブ部22と、第1スプライン23と、第1チューブ部21の右端面に結合連結された第2ジョイント部24と、から構成されている。
第1チューブ部21は、円筒状に形成され、軸方向中央部に両端部よりも大径の大径部を有する。第2チューブ部22は、円筒状に形成され、その右側端面が、これと同径に形成された第1チューブ部21の左側端面に摩擦圧接により接合連結されている。第2チューブ部22の右側端部22aを除く左側の大部分は、右側端部22aの外周面よりも小径の小径筒部22bとなっている。小径筒部22bの外周面は、軸方向に亘って同径となるように形成されている。小径筒部22bの軸方向のほぼ中央部には、バランスウエイト部22cが形成されている。
この小径筒部22bの左端部は、第1シャフト10の円筒部12の外周面に設けられたシール部14に嵌合されている。つまり、小径筒部22bは、その内周面がシール部14に配置されたシールゴムの外周面に当接した状態に配置されている。これにより、第1シャフト10と第2シャフト20とが軸方向にスライドした場合に、シールゴムが第1シャフト10の円筒部12の内周面を摺動することにより、シール機能を発揮する。
第1スプライン23は、第2チューブ部22の小径筒部22bの内周面に一体に形成されている。この第1スプライン23は、小径筒部22bの内周面の軸方向中央部から右側端寄りに形成されている。第1スプライン23の軸方向の形成範囲は、表面処理部材30の外周面に設けられた第2スプライン31の軸方向の形成範囲W1よりも長くされている。
第2ジョイント部24は、ユニバーサルジョイントのヨークを構成し、第1チューブ部21の右端面に摩擦圧接により接合連結されている。
表面処理部材30は、第1シャフト10の円筒部12と同径の内径を有する円筒状に形成され、その左端面が円筒部12の右端面と摩擦圧接により接合連結されている。表面処理部材30の左側端部を除く右側の大部分の外周面には、第2スプライン31が一体に形成されている。なお、表面処理部材30における第2スプライン31の軸方向の形成範囲は、W1であり、第1スプライン23の軸方向の形成範囲よりも短くされている。第2スプライン31の歯先外径は、第1スプライン23の歯元内径と同程度であり、第2スプライン31の歯元内径は、第1スプライン23の歯先外径と同程度である。そして、この第2スプライン31は、第1スプライン23に対して軸方向にスライド可能に嵌合するように配置されている。これにより、第1シャフト10と第2シャフト20は、第2スプライン31と第1スプライン23とが嵌合されていることにより、軸方向にスライド可能に連結されている。
表面処理部材30の第2スプライン31の表面部には、第1スプライン23とのスライド時に発生し易いスティックスリップを低減するために、従来より公知の直流プラズマCVD法によりDLC膜(固体潤滑被膜)32が形成されている。本実施形態の場合、DLC膜32の形成は、表面処理部材30が第1シャフト10と摩擦圧接により接合連結される前に、第1シャフト10とは別体の単独の基材に対して行われる。
本実施形態では、先ず、表面処理部材30としての、第2スプライン31を形成した所定形状の基材を準備する。ここで準備する基材は、図2に示すように、表面処理終了後に第1シャフト10に摩擦圧接により接合連結される側の軸方向端部に、製品完成時の外径よりも大径となる膨出部30aを有する。また、表面処理部材30に接合連結される第1シャフト10の軸方向端部にも、同様の膨出部12aが設けられている。即ち、基材(表面処理部材30)および第1シャフト10の両方の軸方向端部に、製品完成時の外径よりも大径となった膨出部30a、12aが設けられている。なお、これら膨出部30a、12aは、摩擦圧接後に施されるバリ取り加工時において、摩擦圧接により生成したバリと共に除去される。
次に、準備した基材の、DLC膜32を形成する部位(第2スプライン31の摺動面)以外の部位表面にマスキングをし、処理炉として用いられるプラズマ反応室内に基材を収納する。このとき、表面処理を施す基材は、第1シャフト10とほぼ同じ大きさであるので、表面処理部材30と第1シャフト10が接合連結されて一体化されたものに比べて、ほぼ半分の大きさになっている。そのため、従来の約2倍となる多数の基材を、プラズマ反応室内に収納することができるので、一度に、より多くの基材に表面処理を施すことが可能となる。
その後、プラズマ反応室内を所定の圧力およびガス雰囲気とした状態で、プラズマ反応室内に設けた陽極と陰極の間に、数百ボルトの電圧を印加して直流放電を所定時間持続させることにより化学蒸着処理を行う。これにより、基材の第2スプライン31の表面に、膜厚5±4μm程度のDLC膜32が形成される。
このようにして、表面処理部材30の表面処理が終了した後、図2に示すように、表面処理部材30と第1シャフト10とを、公知の摩擦圧接機を用いて摩擦圧接することにより、それらの軸方向端面同士が接合連結される。このとき、表面処理部材30と第1シャフト10との摩擦圧接による接合部には、径方向外方に突出したバリが生成するので、摩擦圧接終了後に旋削加工などによるバリ取り加工を施す(図3の破線部分)。このバリ取り加工において、表面処理部材30および第1シャフト10の軸方向端部にそれぞれ設けられている膨出部30a、12aが、摩擦圧接により生成したバリと共に除去される。
以上のように構成された本実施形態の製造方法により製造されたプロペラシャフト1によれば、表面処理部材30は、第1シャフト10および第2シャフト20とは別体の部材で形成されており、スティックスリップの発生を低減するために施される表面処理を、表面処理部材30のみに対して施すようにしている。そのため、表面処理部材30の体積を小さくすることができるので、表面処理部材30の表面処理を施す際に、処理炉内により多くの基材を入れることが可能となる。これにより、一度に、より多くの表面処理部材30に表面処理を施すことができるので、処理効率が向上し、表面処理コストを大幅に低減することができる。
特に、本実施形態では、表面処理部材30に施される表面処理は、表面にDLC膜32を形成すべき基材を、処理炉としてのプラズマ反応室内に収納して行う直流プラズマCVD法を採用しているため、より多くの基材をプラズマ反応室内に収納することができる。そのため、一度に、より多くの基材にDLC膜32を効率良く形成することができるので、表面処理コストの大幅な低減をより有利に達成することができる。
また、本実施形態では、第1シャフト10と第2シャフト20が、表面処理部材30に設けられた第2スプライン31と第2シャフトに設けられた第1スプライン23とを嵌合することにより連結されているので、表面処理部材30の大きさを、第2スプライン31の長さにほぼ相当する大きさに小さくすることができる。これにより、表面処理の処理効率が向上し、表面処理コストの大幅な低減が可能となる。
また、本実施形態では、表面処理部材30と第1シャフト30は、軸方向の端面同士が摩擦圧接により接合されているので、表面処理部材30と第1シャフト10とを強固に結合することができる。また、摩擦圧接の条件を適切に管理することにより、表面処理部材30の軸線と第1シャフト10の軸線を、比較的容易に一致させることができる。
また、本実施形態では、表面処理部材30および第1シャフト10の摩擦圧接により接合される側の軸方向端部は、摩擦圧接前において、製品完成時の外径よりも大径となった膨出部32、15を有し、膨出部32、15は、摩擦圧接後に施されるバリ取り加工時に、摩擦圧接により生成したバリと共に除去される。このようにすることで、摩擦圧接時における、表面処理部材30および第1シャフト10の大きな摩擦圧接面を確保することができるので、表面処理部材30と第1シャフト10とを、より強固に接合させることができる。
なお、本実施形態では、表面処理部材30は、第1シャフト10と連結されているが、第2シャフト20と連結するように構成することも可能である。また、本実施形態では、第2シャフト20に雌スプラインである第1スプライン23を設け、表面処理部材30に雄スプラインである第2スプライン31を設けているが、これら雄雌が逆になるように構成することも可能である。
参考例1
参考例1のプロペラシャフトについて、図4および図5を参照して説明する。図4(a)は、参考例1において第1シャフトと表面処理部材とを圧入固定する状態を示す説明図であり、(b)は、(a)のA−A線矢視部分断面図であり、(c)は、(a)のB−B線矢視部分断面図である。図5は、参考例1において圧入により一体化された第1シャフトと表面処理部材の一部を断面で示す正面図である。
参考例1のプロペラシャフトは、実施形態1では、表面処理部材30と第1シャフト10は、軸方向の端面同士が摩擦圧接により接合されているのに対して、参考例1では、表面処理部材30Aと第1シャフト10Aが、軸方向に圧入固定されている点で異なる。よって、実施形態1と同じ構成や部材については、同じ符号を用い、詳しい説明は省略する。以下、異なる点を中心に説明する。
参考例1の第1シャフト10Aは、ユニバーサルジョイントのヨークを構成する第1ジョイント部11Aと、第1ジョイント部11Aの底部(右端)に一体形成されシャフト軸に同軸状に配置された円筒状の円筒部12Aとからなる。
第1ジョイント部11Aは、実施形態1の第1ジョイント部11と同一のものである。そして、円筒部12Aの左側端部は、実施形態1の円筒部12と同様に、凹溝13Aやシールゴム(図示せず)よりなるシール部14Aが設けられている。この円筒部12Aは、実施形態1の円筒部12よりも軸方向長さが長くされている。即ち、円筒部12Aは、実施形態1において、円筒部12の右側端面に接合連結された表面処理部材30の軸方向長さの分だけ長くされている。よって、第1シャフト10Aの軸方向長さは、実施形態1において、摩擦圧接により接合連結された状態の第1シャフト10および表面処理部材30の軸方向長さとほぼ一致している。
円筒部12Aの軸方向ほぼ中央から右端に至る部分には、表面処理部材30Aの装着部16Aが形成されている。この装着部16Aは、円筒部12Aの左側部分の内径と同じ内径を有し、その外径は左側部分の外径よりも小さい。装着部16Aの外周面には、図4(b)に示すように、雄スプラインである第4スプライン17Aが設けられている。
表面処理部材30Aは、円筒部12Aの装着部16Aの軸方向長さとほぼ同じ長さの円筒状に形成されている。表面処理部材30Aの内周面には、図4(c)に示すように、雌スプラインである第3スプライン33Aが設けられている。第3スプライン33Aの歯先外径は、第4スプライン17Aの歯元内径よりも僅かに小さくされ、第3スプライン33Aの歯元内径は、第4スプライン17Aの歯先外径よりも僅かに小さくされている。これにより、図4(a)に示すように、表面処理部材30Aが、円筒部12Aの装着部16Aの外周側に軸方向に圧入されると、第3スプライン33Aと第4スプライン17Aが嵌合し、表面処理部材30Aと円筒部12Aは、軸方向および周方向の相対移動が強固に規制される。
また、表面処理部材30Aの外周面には、表実施形態1と同様の第2スプライン31Aが、軸方向全長に亘って設けられている。この第2スプライン31Aの表面には、実施形態1の第2スプライン31の表面に施された表面処理と同様の表面処理が施されることにより、膜厚5±4μm程度のDLC膜32Aが形成されている。この第2スプライン31Aは、表実施形態1の場合と同様に、第2シャフト(図示せず)に設けられた第1スプライン(図示せず)と嵌合される。これにより、第1シャフト10Aと第2シャフトは、第2スプライン31Aと第1スプラインとが嵌合されることによって、軸方向にスライド可能に連結される。
以上のように構成された参考例1のプロペラシャフトによれば、表面処理部材30Aと第1シャフト10とは、軸方向に圧入固定されているので、表面処理部材30Aと第1シャフト10Aとを強固に固定し、一体化させることができる。この場合、表面処理部材30Aは、第1シャフト10に対して軸方向に圧入されて固定されるため、表面処理部材30Aの軸線と第1シャフト10の軸線を、容易に一致させることができる。
また、参考例1では、表面処理部材30Aは、第2スプライン31に対して内外周反対面に第3スプライン33Aを有し、第1シャフト10は、第4スプライン17Aを有し、表面処理部材30Aと第1シャフト10とは、第3スプライン33Aと第4スプライン17Aとを嵌合することにより固定されている。そのため、表面処理部材30と第1シャフト10とが、圧入とともに、スプライン嵌合により固定されているので、表面処理部材30Aと第1シャフト10とを、トルク伝達時にも位置ずれすることなく、強固に固定することができる。
なお、参考例1では、第3スプライン33Aと嵌合する第4スプライン17Aを、第1シャフト10に設けているが、第4スプライン17Aを第2シャフト20に設けるようにしてもよい。また、第3スプライン33Aは、表面処理部材30Aの外周面に設けられた第2スプライン31と反対側の内周面に設けられているが、第2スプライン31が、表面処理部材30Aの内周面に設けられている場合には、第3スプライン33Aは、表面処理部材30Aの外周面に設けられる。
る。
参考例2
参考例2のプロペラシャフト2について、図6および図7を参照して説明する。図6は、参考例2に係るプロペラシャフトの一部を断面で示す正面図である。図7は、図6のC−C線に相当する部分に配置された表面処理部材の斜視図である。
参考例2のプロペラシャフト2は、図6および図7に示すように、第5スプライン15Bを有する第1シャフト10Bと、第6スプライン23Bを有する第2シャフト20Bと、プレート状に形成され、第1シャフト10Bと第2シャフト20Bの摺動面に配置された表面処理部材30Bとを備えている。
第1シャフト10Bは、実施形態1の場合と同様に、第1ジョイント部11Bと、円筒部12Bとからなる。第1ジョイント部11Bは、実施形態1の第1ジョイント11と同様に構成されている。円筒部12Bは、参考例1の円筒部12Aと軸方向長さがほぼ同じである。円筒部12Bの第1ジョイント部11B側端部(左端部)の外周面には、実施形態1の場合と同様に、凹溝およびシールゴム(共に図示せず)からなるシール部14Bが設けられている。
そして、円筒部12Bの軸方向ほぼ中央から右端に至る部分の外周面には、実施形態1の表面処理部材30の外周面に設けられた第2スプライン31と同様の構造の第5スプライン15Bが設けられている。但し、第5スプライン15Bの表面には、第2スプライン31の表面に形成されているDLC膜32は形成されていない。なお、第1シャフト10Bにおける第5スプライン15Bの軸方向の形成範囲は、W2であり、第6スプライン23Bの軸方向の形成範囲よりも短くされている。
第2シャフト20Bは、実施形態1の第2シャフト20と同様に構成されたものであり、第1チューブ部21Bと、第2チューブ部22Bと、第6スプライン23Bと、第2ジョイント部24Bとからなる。なお、参考例2の第6スプライン23Bは、実施形態1の第1スプライン23に相当する。この第6スプライン23Bの歯先外径は、第5スプライン15Bの歯元内径と同程度であり、第6スプライン23Bの歯元内径は、第5スプライン15Bの歯先外径と同程度である。そして、この第6スプライン23Bは、第5スプライン15Bに対して軸方向にスライド可能に嵌合するように配置されている。これにより、第1シャフト10Bと第2シャフト20Bは、第5スプライン15Bと第6スプライン23Bとが嵌合されていることにより、軸方向にスライド可能に連結されている。
なお、第2シャフト20Bの第6スプライン23B以外の構成は、実施形態1と同じであるため、説明を省略する。
表面処理部材30Bは、所定の厚み(約0.01〜0.2mm)のプレート状に形成されている。表面処理部材30Bの一方の面には、実施形態1の表面処理部材30に施された表面処理と同様の表面処理が施されている。即ち、表面処理部材30Bの一方の面の表面には、膜厚5±4μm程度のDLC膜32Bが形成されている。この表面処理部材30Bは、第5スプライン15Bと第6スプライン23Bとの摺動面に配設されている。
参考例2では、図7に示すように、第5スプライン15Bのそれぞれの歯の正回転方向前方側となる正トルク負荷面16Bに、表面処理部材30Bの他方の面(DLC膜32Bが形成されていない面)が接着剤により接着配置されている。この場合、表面処理部材30Bは、正トルク負荷面16Bよりも小さい大きさの矩形に形成されており、正トルク負荷面16Bの外周端縁部を除いた中央部のみに配設されている。これにより、表面処理部材30BのDLC膜32Bが形成された面(一方の面)は、第5スプライン15Bの正トルク負荷面16Bと対向する第6スプライン23Bの正トルク負荷面(図示せず)と対向している。これにより、第5スプライン15Bと第6スプライン23Bとの軸方向への良好な摺動性が確保される。
以上のように構成された参考例2のプロペラシャフト2によれば、表面処理部材30Bは、プレート状に形成され、第5スプライン15Bと第6スプライン23Bとの摺動面に配設されている。そのため、表面処理部材30Bを、第5スプライン15Bおよび第6スプライン23Bの摺動面にほぼ相当する大きさのプレート状に形成すればよいため、表面処理部材30Bを極めて小さくすることができる。そのため、基材の表面にDLC膜32Bを形成する表面処理を施す際の処理効率をより一層向上させることができるので、表面処理コストや物流コストの大幅な低減をより一層有利に達成することができる。
また、参考例2では、表面処理部材30Bは、第5スプライン15Bの摺動面の正トルク負荷面16Bに接着配置されているので、第5スプライン15Bと第6スプライン23Bとの摺動面の正トルク負荷面に発生し易いスティックスリップを効果的に低減することができる。
なお、参考例2では、表面処理部材30Bは、第5スプライン15Bの摺動面に接着配置されているが、第6スプライン23Bの摺動面に表面処理部材30Bを接着配置するようにしてもよい。
参考例3
参考例3のプロペラシャフトについて、図8を参照して説明する。図8は、参考例3に係るプロペラシャフトの要部(図6のC−C線に相当する部分)の断面図である。
参考例3のプロペラシャフトは、参考例2では、プレート状に形成された表面処理部材30Bが、第5スプライン15Bと第6スプライン23Bとの摺動面に接着配置されているのに対して、参考例3では、丸棒状に形成された表面処理部材30Cが、第1シャフト(図示せず)に設けられた第7スプライン15Cと第2シャフト(図示せず)に設けられた第8スプライン23Cの互いに対向する対向面間に、トルク伝達可能に配置されている点で異なる。以下、異なる点を説明する。
参考例3では、第7スプライン15Cと第8スプライン23Cは、それぞれの凸41C、51C部同士および凹42C、52C部同士が径方向に対向するように配置されている。凹部42C、52Cは、底部側から開口側に向かうにつれて幅が徐々に広がっている。これにより、それぞれの凹部42C、52C同士が対向する部分には、断面がほぼ六角形で軸方向に延びる空間部40Cが形成されている。空間部40Cを区画する二つの凹部42C、52Cにおいて、凹部42C、52Cのほぼ平行な状態で互いに対向する底面43C、53C間の距離は、凹部42C、52Cの平行な状態で互いに対向する側面(トルク伝達面)44C、54C間の距離よりも長くなっている。
そして、それぞれの空間部40Cには、断面が円形で、第7スプライン15Cおよび第8スプライン23Cの軸方向長さとほぼ同じ長さに形成された長尺状の表面処理部材30Cが配設されている。この場合、表面処理部材30Cは、空間部40Cを区画する凹部42C、52Cの平行な状態で互いに対向する側面44C、54Cに外周面が接触した状態に配置されている。この表面処理部材30Cの表面には、実施形態1の表面処理部材30に施された表面処理と同様の表面処理が施されることにより、膜厚5±4μm程度のDLC膜32Cが形成されている。
以上のように構成された参考例3のプロペラシャフトによれば、表面処理部材30Cは、第7スプライン15Cおよび第8スプライン23Cの互いに対向する凹部42C、52Cの側面44C、54C(トルク伝達面)間に、トルク伝達可能に配置されている。そのため、表面処理部材30Cの直径を適宜設定することにより、第7スプライン15Cおよび第8スプライン23Cの互いに対向するトルク伝達面44C、54C間の適正な寸法を確保することができる。また、トルク伝達面44C、54Cにより区画形成される空間部40Cに表面処理部材30Cを配置することによって、プロペラシャフトの曲げ剛性の低下や耐久性の低下を防止することができる。
参考例4
図9は、参考例4に係るプロペラシャフトの要部断面図である。参考例4は、参考例3で用いられた断面が円形の表面処理部材30Cに代えて、断面が矩形の表面処理部材30Dを用いるものである。この参考例4では、第7スプライン15Dと第8スプライン23Dは、それぞれの凸部41D、51Dと凹部42D、52Dが径方向に対向し、且つ凸部41D、51Dが凹部42D、52D内に所定距離を隔てて進入した状態に配置されている。この場合、凸部41D、51Dの頂面45D、55Dと凹部42D、52Dの底面43D、53Dが所定距離を隔てて対向し、周方向において隣り合う凸部41D、52Dの側面(トルク伝達面)44D、54D同士が所定距離を隔てて対向している。
そして、周方向において隣り合う凸部41D、51Dの側面(トルク伝達面)44D、54D同士の間に形成されたそれぞれの空間部40Dには、断面が矩形で、第7スプライン15Dおよび第8スプライン23Dの軸方向長さとほぼ同じ長さに形成された長尺状の表面処理部材30Dが配設されている。
以上のように構成された参考例4の場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
参考例5
図10は、参考例5に係るプロペラシャフトの要部断面図である。参考例5は、参考例4で用いられた断面が矩形の表面処理部材30Dに代えて、断面が凹形状の表面処理部材30Eを用いるものである。この表面処理部材30Eは、所定の厚みを有し、参考例4の表面処理部材30Dと同じ長さに形成されている。この表面処理部材30Eは、周方向において隣り合う凸部41E、51Eの側面(トルク伝達面)44E、54E同士の間に形成された空間部40Eと、凸部41E、51Eの頂面45E、55Eと凹部42E、52Eの底面43E、53Eとの間に形成された空間部40Fとに跨って配置されている。
以上のように構成された参考例5の場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
1、2:プロペラシャフト、 10、10A、10B:第1シャフト、 11、11A、11B:第1ジョイント、 12、12A、12B:円筒部、 13、13A:凹溝、 14、14A、14B:シール部、 15:膨出部、 15B:第5スプライン、 15C、15D:第7スプライン、 16A:装着部、 16B:正トルク負荷面、 17A:第4スプライン、 20、23B:第2シャフト、 21、21B:第1チューブ部、 22、22B:第2チューブ部、 22a:右側端部、 22b:小径筒部、 23:第1スプライン、 23B:第6スプライン、 23C、23D:第8スプライン、 24、24B:第2ジョイント部、 30、30A、30B、30C、30D、30E:表面処理部材、 31、31A:第2スプライン、 32、32A、32B、32C:DLC膜(固体潤滑被膜)、 33:第3スプライン、 40C、40D、40E、40F:空間部、 41C、41D、41E:凸部、 42C、42D、42E:凹部、 43C、43D、43E:底面、 44C、44D:側面(トルク伝達面)、 45D、45E:頂面 51C、51D、51E:凸部、 52C、52D、52E:凹部、 53C、53D、53E:底面、 54C、54D:側面(トルク伝達面)、 55D、55E:頂面。

Claims (3)

  1. 一端にヨークを有する第1シャフトと、
    該第1シャフトの他端にスライド可能に連結された第2シャフトと、
    前記第1シャフトと前記第2シャフトとの連結部分に配置され、前記第1シャフトに対する前記第2シャフトのスライド性を向上させるための表面処理が施された表面処理部材と、を備え、
    前記表面処理部材は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトとは別体の基材からなるとともに、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの連結部分に配置され、
    前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方は、第1スプラインを有し、
    前記表面処理部材は、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方に固定され、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの一方の前記第1スプラインにスライド可能に嵌合すると共に前記表面処理が施された第2スプラインを有するプロペラシャフトの製造方法であって、
    前記第2スプラインを形成した前記基材を準備し、
    前記基材の固体潤滑被膜を形成する部位以外の部位表面にマスキングをし、
    前記基材を処理炉に収納して前記処理炉内で前記基材の表面に前記固体潤滑被膜を形成することにより前記表面処理部材を形成した後、
    前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトとの他方と、を接合連結し、
    前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方と、を軸方向の端面同士を摩擦圧接により接合し、
    前記表面処理部材と前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの他方との摩擦圧接により接合される側の軸方向端部は、摩擦圧接前において、製品完成時の外径よりも大径となった膨出部を有し、
    該膨出部は、摩擦圧接後に施されるバリ取り加工時に、摩擦圧接により生成したバリと共に除去する、ことを特徴とするプロペラシャフトの製造方法。
  2. 請求項において、
    前記第1シャフトと前記第2シャフトは、前記第1スプラインと前記第2スプラインとを嵌合することにより連結する、ことを特徴とするプロペラシャフトの製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記固体潤滑被膜は、前記基材の表面にPVD法またはCVD法により形成する、ことを特徴とするプロペラシャフトの製造方法。
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