JP5807095B2 - シールリング及びシール装置 - Google Patents

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本発明は、シールリング及びシール装置に関し、特に、プーリの直径を変えることにより変速を無段階に変化させる無段変速機(Continuously Variable Transmission、以下、「CVT」という。)に用いられるシールリング及びシール装置に関する。
油圧式CVTでは、油圧室の油圧により、プーリの溝幅を相関的に変化させ、プーリの直径を変えることにより変速を無段階に変化させている。通常、駆動用の軸に固定プーリが一体形成され、この軸に沿って往復動するハウジングに可動プーリが形成されている。可動プーリには油圧室が設けられ、油圧室の油圧を制御することにより、可動プーリが固定プーリに離接する。これにより、両プーリに形成される溝部の幅を増減して、プーリに巻き掛けられたベルトの回転半径を増減させ、動力を伝達して、変速比を変化させる。軸の外周面に形成される軸溝には、油圧室に油を満たし、油圧を生じさせるために、シールリングが装着される。
CVTでは、油圧室に最大約7MPaの油圧が生じるため、高油圧下で、優れた耐摩耗性及びシール性を有するシールリングが要求される。また、高速運転時の発熱による温度上昇や寒冷地での使用を考慮すると、シールリングには、−40℃〜150℃の温度領域での耐性が求められる。一般にシールリング材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)等のフッ素系樹脂にカーボン粉末やカーボンファイバー等の添加剤を充填した材料が用いられている。
前記CVTでは、エンジン停止時には、オイルポンプが停止するため、油圧が発生せず無負荷となる。従来のシールリングでは、油圧の発生している状態では、充分なシール性が得られるが、無負荷状態では、ハウジング内周面との密着性が失われ、油圧室の油が抜けてしまう。このような状態で、エンジンを再起動すると、油圧室に油が充填されるまでに時間を要する。また、油圧室に油が充填されていない状態で起動すると、CVTの回転部に焼き付きによる損傷が生じる恐れがある。そのため、油圧のない無負荷の状態においても油圧室からの油漏れを低減できるシールリングが求められている。
従来、CVT用のシールリングとしては、図1に示すように、断面略矩形で外周側に配置されるエンドレスタイプの樹脂リング7と、内周側に配置され、樹脂リングに拡張力を与えるOリング6から構成される組合せシールリングが用いられてきた。一般に、樹脂リング7の材料としては、充填剤を添加したPTFE樹脂等が用いられ、Oリング6の材料としては、ゴム状弾性体が用いられている。
このような従来の組合せシールリングでは、Oリング6と樹脂リング7を潰し込んで、溝底8とハウジング4の内面4aとの間の隙間に装着するため、その後、Oリング6と樹脂リング7が装着された軸3をハウジング4に挿入する際の組み付け抵抗が大きく、圧入装置を導入してハウジング4を組み付ける必要があった。そのため、製造コストが増加し、シールリングの組み付け不具合も検知できないという問題があった。
さらに、従来の樹脂リング7は合口を有していないため、軸溝9に挿入する際、軸ランド部3bまでリング外径を拡張して挿入する必要があった。このため、治具を用いて、樹脂リング7の外径を所定の外径まで縮径する必要があり、組み付けに時間を要していた。
また、このような組合せシールリングでは、摺動抵抗が高くなるため、特に、高油圧下において摺動摩耗が問題となっていた。
上述の課題に対し、より小さな力で容易にシール溝(軸溝)に装着できるエンドレスタイプのシールリングが提案されている。特許文献1には、樹脂のエンドレスタイプのシールリングに、環状体の内周側に軸方向に延びる複数の突条を設け、これらの突条の先端をシール溝の底に接触させる構成が示されている。前記構成を採用することにより、シール溝の溝縁を乗り越えさせる際に、環状体の内周側に設けた各突条を周方向に倒すように変形させ、エンドレスタイプのシールリングを小さな力で容易にシール溝に装着可能であると記載されている。
また、特許文献2には、ハウジングの内部を密封する軸の外径面に設けられたシール溝に装着され、外周部が、樹脂材料で形成され、内周部が弾性材料で形成されたシールリングにおいて、樹脂材料で形成された外周部を薄肉とするように、弾性材料で形成された内周部を、外周部の内側に食い込ませた構成が示されている。前記構成を採用することにより、拡径に対する変形抵抗が大きい外周部の断面積を小さくするとともに、扁平に変形して逃げやすい弾性材料で形成された内周部の断面積を大きくし、エンドレスタイプのシールリングを小さな力で容易にシール溝に装着可能であると記載されている。
上記特許文献に記載された構成を採用することにより、シール溝への装着が容易になる可能性が考えられる。しかしながら、上記の構成は、いずれもシールリングの内周面を溝底に接触させる設計であるため、軸をハウジングに挿入する際の組み付け抵抗が大きく、圧入装置を用いる必要がある。このような装着方法では、シールリングに破損や欠けが生じる可能性がある。また、上記特許文献のシールリングのように複雑な形状は一般に射出成形により形成される。射出成形用樹脂としては、一般に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)等が用いられる。しかし、これらの材料は従来のPTFE等フッ素系樹脂に比べ、硬く脆いため、上記のようにリング内周面が軸溝底と接触した構成を採用した場合には、シールリングを軸に装着する際にも、破損や欠けが生じる可能性がある。
特開2008−190643号公報 特開2008―190650号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、軸溝及びハウジングへの装着が容易で、摺動摩耗が小さく、油圧の発生しない無負荷の状態においても、ハウジング内周面との密着を維持し得るシールリング及びシール装置を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、ハウジングと相対移動する軸の外周面に形成される軸溝に装着され、外周側に配置され合口を有する樹脂リングと、樹脂リングの内周側に配置されるコイルエキスパンダを備えるシールリングにおいて、樹脂リングの受圧側面の内周側に、内周面に向かい軸方向幅が小さくなるように傾斜角度45°〜75°の傾斜面を設け、且つコイルエキスパンダの合口を閉じた自由状態の外径を、樹脂リングの合口を閉じた状態の外径を1として0.92〜0.98とすることにより、無負荷状態においても、ハウジング内周面との間の密着を維持でき、摺動摩耗を低く抑えられ、且つ軸溝及びハウジングに容易に装着できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明のシールリングは、ハウジングと相対移動する軸の外周面に形成される軸溝に装着されるシールリングであって、外周側に配置され合口を有する樹脂リングと、樹脂リングの内周側に配置されるコイルエキスパンダを備え、樹脂リングの受圧側面の内周側に、内周面に向かい軸方向幅が小さくなるように傾斜角度45°〜75°の傾斜面が設けられ、且つコイルエキスパンダの合口を閉じた自由状態の外径が、樹脂リングの合口を閉じた状態の外径を1として0.92〜0.98であることを特徴とする。
また、本発明のシール装置は、前記シールリングを備えるシール装置であって、コイルエキスパンダの合口を閉じた自由状態の外径が軸溝の外径より大きく、且つ軸の外径より小さく設定されていることを特徴とする。
本発明のシールリングによれば、油圧の発生しない無負荷の状態においても、内周側に配置されたコイルエキスパンダの拡張力により、外周側に配置された樹脂リングの外周面が、ハウジングの内周面と密着するため、油圧室からの油の漏れを防止できる。また、本発明のシールリングでは、樹脂リングが合口を有するため、軸溝への装着も容易である。さらに、本発明のシールリング及びシール装置では、軸溝への装着時に潰し込む必要がないため、シールリングを装着した軸を容易にハウジングに組み付けることができる。さらに、本発明のシールリングでは、高温高油圧下でもコイルエキスパンダによるハウジング内周面への押し付け力が均一に維持されるため、摺動摩耗量を低く抑えることができる。
また、本発明のシール装置では、樹脂リング及びコイルエキスパンダがリング溝の溝底に接触しないため、稼動時にコイルエキスパンダや樹脂リングが変形することなく、優れたシール性を維持できる。上記構成では、シールリングを軸溝に装着した状態で、樹脂リングの接触側面と軸溝壁面に適度な掛かり代があるため、軸をハウジングに挿入する際、かじりが生じることなく、優れた組付け性が得られる。さらに、上記構成のシール装置は、摺動抵抗が低く、高油圧下においても、摺動摩耗を抑制することができる。
従来のシールリングが装着された状態を示す断面図である。 本発明のシールリングが装着された状態を示す断面図である。 本発明の樹脂リングの合口形状の一例を示す斜視図である(ダブルアングル合口)。 本発明の樹脂リングの合口形状の他の一例を示す斜視図である(ダブルカット合口)。 本発明のコイルエキスパンダの一例を示す正面図である。 静的漏れ性能試験装置の概略を示す断面図である。
以下に本発明のシールリング及びシール装置について図面を参照して詳細に説明する。
図2に、本発明のシールリングの装着状態の一例を示す。シールリングは、ハウジング4の内周に設置される軸3の外周面に設けられた軸溝9に装着されている。そして、軸溝の溝底8側にはコイルエキスパンダ1が配置され、ハウジング4側には樹脂リング2が配置されている。樹脂リング2の受圧側面(軸溝壁面3aと接触する接触側面とは反対の側面)の内周側には内周面に向かい軸方向幅が小さくなるように傾斜面が設けられている。ここで、傾斜面の傾斜角度は45°〜75°に設定する。傾斜角度は、図2中のθであり、受圧側面外周側(傾斜していない面)の延長面と傾斜面とのなす角度である。また、コイルエキスパンダ1の自由時の外径、即ち、両合口を閉じた撓みのない状態での外径が、樹脂リング2の合口を閉じた状態の外径を1として0.92〜0.98となるようにする。前記構成のシールリングでは、コイルエキスパンダ1は樹脂リング2の受圧側面に設けられた傾斜面と軸溝の側面との間に配置し、コイルエキスパンダ1の張力により、樹脂リング2の外周面が、ハウジング4の内周面4aと密着し、無負荷状態においてもシール性能を発揮する。
前記傾斜角度が45°未満では、優れたシール性能が得られないのみならず、ハウジング内周面4aの公差による張力変化が大きくなるため、組付け作業者がハウジング4を組付ける感覚の変化が大きくなり、組付け性が低下する。また、高温下で樹脂リング2の樹脂が軟化した場合、傾斜角度が小さいと、コイルエキスパンダ1によるハウジング内周面への押し付け力が不安定になり、摺動摩耗量が増加する。一方、傾斜角度が75°より大きくても優れたシール性は得られない。さらに、この場合には、軸3にコイルエキスパンダ1及び樹脂リング2を装着した後、ハウジングを挿入する際に、コイルエキスパンダ1が樹脂リング2からはみ出しやすく、装着性に問題が生じる。また、傾斜角度が大きいと、高圧下でコイルエキスパンダ1が移動しやすくなるため、樹脂リング2のハウジング内周面4aに対する押し付け力が不安定になり、摺動摩耗量が増加する。シール性、装着(組み付け)性及び摺動特性を考慮すると、傾斜角度は55°〜65°とするのがより好ましい。
前記コイルエキスパンダ1の自由時の外径が、樹脂リング2の合口を閉じた状態の外径を1として0.92未満では、コイルエキスパンダ1の撓みが小さいため、シールリングがふらつきやすくなり、摺動摩耗量が増加する傾向があり、組み付けも困難となる。一方、コイルエキスパンダ1の自由時の外径が、樹脂リング2の合口を閉じた状態の外径を1として0.98を超えた場合には、組み付けが困難となる。摺動特性及び装着性を考慮すると、コイルエキスパンダ1の自由時の外径は、樹脂リング2の合口を閉じた状態の外径を1として0.94〜0.98とするのがより好ましい。
本発明の樹脂リング2は、合口を有し、装着性に優れるため、エンドレスタイプの樹脂リングとOリングから構成される従来のシールリングのように、軸溝への装着時に、シールリングを潰し込む必要はない。そのため、ハウジングへの軸の装着時に、圧入装置を使用する必要がなく、手作業で容易に装着できる。
樹脂リング2の合口形状は特に限定されず、直角(ストレート)合口、斜め(アングル)合口、段付き(ステップ)合口の他、図3に示すダブルアングル合口や図4に示すダブルカット合口等を採用することができる。合口隙間部への油の流通を遮断し、シール性を向上させるためには、ダブルアングル合口及びダブルカット合口が好ましい。
樹脂リング2の材料は、高油圧下での摺動に耐えうる材料であれば特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)等のフッ素系樹脂の他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)等が用いられる。一般に、これらの樹脂にカーボン粉末やカーボンファイバー等の添加剤を分散した材料が好ましく用いられる。
コイルエキスパンダ1の材料は特に限定されるものではないが、ピアノ線、ステンレス鋼、シリコンクロム鋼等を用いて製造するのが好しい。また、コイルエキスパンダ1の両端面1a,1bを固定して、外力により両端面1a,1bが離間しないようにすると、シールリングの組付け性がさらに向上する。両端部の固定方法は特に限定されないが、図5に示すように、コイルエキスパンダ1の内周に、丸線1cを挿入し、コイルエキスパンダ1の両端面1a,1bを圧着させるのが好ましい。
また、本発明のシール装置では、コイルエキスパンダ1の合口を閉じた自由状態の外径を軸溝の外径より大きく、且つ軸の外径より小さく設定するのが好ましい。この構成では、コイルエキスパンダ1は、前記傾斜面と軸溝壁面との間に装着され、溝底8に接触しない。そのため、稼働時にコイルエキスパンダ1や樹脂リング2が変形することなく、優れたシール性を維持できる。また、上記構成では、シールリングを軸溝に装着した状態で、樹脂リング2の接触側面と軸溝壁面3aに適度な掛かり代があるため、軸3をハウジング4に挿入する際、かじりが生じることなく、優れた組付け性が得られる。さらに、上記構成のシール装置では、摺動抵抗が低いため、運転時の摩耗を抑制できる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
30質量%のカーボン繊維を含有するPTFE樹脂を用いて樹脂リングを作製した。ここで、樹脂リングの外径(呼び径)は、130mm、厚み(径方向幅)は、2.8mm、幅(軸方向幅)は、3.1mmとした。得られた樹脂リングに、図3に示すダブルアングル合口を1箇所形成し、一方の側面(受圧側面)の内周側に内周面に向かい軸方向幅が小さくなるように傾斜角度θが45°の傾斜面を形成した。また、線径0.45mmのピアノ線を用いて、巻径Φ1.6mm、張力2Nのコイルエキスパンダを作製した。なお、この時、コイルエキスパンダの合口を閉じた自由状態での外径は、樹脂リングの合口を閉じた状態での外径を1とすると0.95であった。
(実施例2)
樹脂リングの斜面角度θを55°とした以外、実施例1と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
(実施例3)
樹脂リングの斜面角度θを60°とした以外、実施例1と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
(実施例4)
樹脂リングの斜面角度θを65°とした以外、実施例1と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
(実施例5)
樹脂リングの斜面角度θを75°とした以外、実施例1と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
(比較例1)
樹脂リングの斜面角度θを40°とした以外、実施例1と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
(比較例2)
樹脂リングの斜面角度θを80°とした以外、実施例1と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
(静止状態におけるオイル漏れ量の測定)
実施例1〜5並びに比較例1及び2のコイルエキスパンダ及び樹脂リングを、図2に示すように軸の外周面に設けた軸溝に装着し、図6に示す静的漏れ性能試験装置に設置した。実施例1については、樹脂リングの合口が、試験装置の中心線18に対して、上側及び下側となるように配置して、それぞれのオイル漏れ量を測定した。また、実施例2〜5並びに比較例1及び2については、試験装置の中心線18に対して合口を下側に配置したものについてオイル漏れ量を測定した。油圧室16に、165ccのオイルを充填し、室温下(オイル温度:25℃)、静止状態で、シールリングから漏れたオイルを排油溝から回収し、7日間の累積オイル漏れ量を測定した。また、参考として、コイルエキスパンダを用いず、実施例1と同様の樹脂リングのみ装着した構成(参考例1)及び内周側にOリング(1種A)を配置し、外周側に合口のない樹脂リングを配置し、Oリングの内周面を溝底部に接触させ、樹脂リングの外周面をハウジング内周面に接触させた構成(参考例2)についても同様に静的漏れ性能試験を行った。なお、シールリングを装着した軸の外径は、160mm、軸溝の外径は、145mmで、コイルエキスパンダの合口を閉じた自由状態での外径(155mm)は、軸の外径より小さく、軸溝の外径より大きく設定した。
静的漏れ量を測定した結果を表1に示す。実施例1では、合口を上側及び下側のいずれに配置した場合にも充分な静的シール性が得られることが確認された。一方、コイルエキスパンダを設置しない参考例1では、7日間の累積オイル漏れ量が、160ccとなり、無負荷状態では、充分なシール性を得られないことがわかった。また、実施例1〜5並びに比較例1及び2の結果より、樹脂リングの傾斜角度が45°〜75°の間で優れた静的シール性が得られることが確認された。なお、Oリングと合口のない樹脂リングから構成される比較例2のオイル漏れ量も実施例1〜5と同程度であった。
(摺動抵抗の測定)
実施例1〜5のコイルエキスパンダ及び樹脂リングを、軸の外周面に設けた軸溝に装着し、油圧1.5MPa、油温80℃において、ハウジングを10mm/sのストロークで往復動させた時の摺動抵抗を測定した。比較として、比較例1及び2並びに参考例1及び2についても、実施例1と同様に測定を行った。
摺動抵抗を測定した結果を表1に示す。Oリングと合口のない樹脂リングから構成される比較例2では、2000Nと非常に大きい摺動抵抗を示したが、実施例1〜5、比較例1及び2並びに参考例1の摺動抵抗に殆ど差異は認められなかった。
(高油圧下での摺動摩耗量の測定)
実施例1〜5のコイルエキスパンダ及び樹脂リングを、軸の外周面に設けた軸溝に装着し、油圧4.0MPa、油温150℃において、ハウジングを10mm/sのストロークで、累積200mm往復動した後の樹脂リングの摩耗量を測定した。比較として、比較例1及び2並びに参考例1及び2についても、実施例1と同様に測定を行った。
高油圧下での摺動摩耗量の測定結果を表1に示す。参考例2に比べ、実施例1〜5、比較例1及び2、並びに参考例1は、高油圧下での摺動摩耗量が非常に少なく、特に、傾斜角度が55°〜65°の実施例2〜4で、摺動摩耗量が少ないことが確認された。この傾斜角度では、熱により樹脂リングの樹脂が軟化してもコイルエキスパンダによるハウジング内周面への押し付け力が安定に維持され、さらに高油圧下でもコイルエキスパンダが所定の位置に維持され、コイルエキスパンダによるハウジング内周面への押し付け力が安定に維持されたことにより、摺動摩耗が抑えられたと考えられる。
Figure 0005807095
(実施例6)
樹脂リングの斜面角度θを50°とした以外、実施例1と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
(実施例7)
コイルエキスパンダの合口を閉じた自由状態での外径を、樹脂リングの合口を閉じた状態での外径を1として0.98とした以外、実施例6と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダ
を作製した。
(実施例8)
コイルエキスパンダの合口を閉じた自由状態での外径を、樹脂リングの合口を閉じた状態での外径を1として0.92とした以外、実施例6と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
(比較例3)
コイルエキスパンダの合口を閉じた自由状態での外径を、樹脂リングの合口を閉じた状態での外径を1として1.00とした以外、実施例6と同様に樹脂リング及びコイルエキスパンダを作製した。
比較例3では、コイルエキスパンダがはみ出して、適正な組み付けができなかったので、それ以外の実施例6〜8について、実施例1と同様に、静的漏れ量、摺動抵抗、及び高油圧下での摺動摩耗量を測定した。結果を表2に示す。いずれの実施例でも、静的オイル漏れ量及び高油圧下での摺動摩耗量ともに少なかったが、高油圧下での摺動摩耗量は、実施例6及び7で特に少なかった。これは、コイルエキスパンダの撓み量が最適化されることにより、高油圧下においても、シールリングがふらつくことなく、ハウジング内周面に対して安定した押し付け力が負荷されたためと考えられる。
Figure 0005807095
1 コイルエキスパンダ
2、7 樹脂リング
3 軸
4 ハウジング
6 Oリング

Claims (2)

  1. ハウジングの内周面に対向する軸の外周面に形成された軸溝に装着され、前記軸と前記ハウジングとの間におけるオイル漏れを防止可能なシールリングであって、
    前記軸溝の側面に対向する受圧側面と、前記軸溝の溝底に対向する内周面と、前記受圧側面と前記内周面とを接続し、前記受圧側面及び前記内周面に対して傾斜した傾斜面とを有する樹脂リングと、
    合口と、前記合口を接続する接続部とを有し、前記傾斜面と前記側面との間に前記溝底から離間して設けられるコイルエキスパンダと
    を具備するシールリング。
  2. 外周面と、前記外周面に形成された軸溝とを有する軸と、
    前記外周面に対向する内周面を有し、前記軸との間に加わる油圧に応じて前記軸に対して前記外周面に沿って相対移動可能なハウジングと、
    前記軸溝の側面に対向する受圧側面と、前記軸溝の溝底に対向する内周面と、前記受圧側面及び前記内周面を接続し、前記受圧側面及び前記内周面に対して傾斜した傾斜面とを有する樹脂リングと、
    合口と、前記合口を接続する接続部とを有し、前記傾斜面と前記側面との間に前記溝底から離間して設けられるコイルエキスパンダと
    を具備するシール装置。
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