JP5806926B2 - マクロアゾ化合物、その前駆体および製造方法 - Google Patents
マクロアゾ化合物、その前駆体および製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5806926B2 JP5806926B2 JP2011283541A JP2011283541A JP5806926B2 JP 5806926 B2 JP5806926 B2 JP 5806926B2 JP 2011283541 A JP2011283541 A JP 2011283541A JP 2011283541 A JP2011283541 A JP 2011283541A JP 5806926 B2 JP5806926 B2 JP 5806926B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- compound
- formula
- general formula
- group
- reaction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
Description
化学的架橋は、共有結合により高分子鎖を結びつける架橋であり、通常、重合系に添加された多官能性化合物が架橋剤として作用することによりネットワーク構造が形成される。一方、物理的架橋は、共有結合よりも弱い可逆的な相互作用、例えば疎水相互作用、イオン相互作用、水素結合または配位相互作用により高分子鎖を結びつける架橋であり、直鎖状高分子鎖の局所的な規則構造、例えば、結晶構造やヘリックス(らせん)構造または高分子鎖と溶媒との相互作用によってネットワーク構造が形成される。
非結合型架橋剤を用いた架橋反応は、形成される架橋構造に応じて、例えば、次のようなタイプに分類される。
タイプA:芳香族ジアミンとの重縮合において、クラウンエーテル部位を有するジカルボン酸を非結合型架橋剤として機能させて、芳香族ジアミンのポリマー鎖セグメントがクラウンエーテル部位を糸通ししたネットワーク構造を形成する
タイプB:ポリロタキサンの環状部位同士を、塩化シアヌルのような多官能性試薬で結合させて、ロタキサン鎖同士が8の字架橋点により拘束されたネットワーク構造を形成する
タイプC:大環状部位と重合性官能基を有する環状マクロモノマーを非結合型架橋剤として機能させて、重合成長鎖が環状部位を糸通ししたネットワーク構造を形成する
タイプCの非結合型架橋剤として、糸通し可能な大きさの内孔を有する環状ポリエチレンオキシドにメタアクリルアミド部位のような重合性官能基を導入した環状マクロモノマー(非特許文献1参照)および重合性官能基を導入した環状ポリテトラヒドロフラン(非特許文献2参照)などが提案されている。
そこで、非特許文献1および非特許文献2に記載されているような環状マクロモノマーを用いなくても、環状高分子鎖を有するマクロアゾ化合物を重合開始剤として用いることにより、高分子末端に効率的に環状高分子鎖を付与させることができると同時に、重合過程で効率的に環状構造の糸通しが起こり、移動架橋を有するネットワーク高分子を合成できることが期待できる。
で表わされ、数平均分子量Mnが1,500〜4,000でありかつ重量平均分子量Mwが1,800〜5,000であることを特徴とするマクロアゾ化合物が提供される。
で表わされることを特徴とする上記のマクロアゾ化合物の前駆体が提供される。
一般式(II):
で表わされる化合物と、一般式(III):
で表わされる化合物とを反応させて、一般式(I):
で表わされ、数平均分子量Mnが1,500〜4,000でありかつ重量平均分子量Mwが1,800〜5,000である化合物を得る工程を含むことを特徴とするマクロアゾ化合物の製造方法が提供される。
で表わされることを特徴とする。
なお、以下の説明において、例えば、一般式(A)で表わされる化合物を「化合物(A)」とも表記する。
置換基Xは、OまたはNHであり、合成の容易性の点でOが好ましい。
置換基R1およびR2は、同一または異なって、CNまたは炭素数1〜4のアルキル基であり、そのアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルおよびsec−ブチルなどの直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、合成の容易性の点でメチル基およびCNが特に好ましい。
置換基Mは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、そのアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレンなどが挙げられ、これらの中でも、合成の容易性の点でエチレン基が特に好ましい。
一般式(1):
で表わされる化合物と無水酢酸とを反応させて、一般式(2):
で表わされる化合物を得る。
無水酢酸が化合物(1)1モルに対して3モル未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、無水酢酸が化合物(1)1モルに対して5モルを超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
反応温度は、通常、20〜150℃、好ましくは100〜140℃である。
反応温度が20℃未満である場合、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が150℃を超える場合、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は、通常、5〜24時間、好ましくは10〜15時間である。
反応時間が5時間未満である場合、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が24時間を超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。
また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
第1工程で得られた一般式(2)で表わされる化合物と2-メルカプトチアゾリンとを反応させて、一般式(3):
で表わされる化合物を得る。
上記のように、この反応においては、塩化チオニル、オキシ塩化リンなどの塩素化剤の存在下で、化合物(2)と2-メルカプトチアゾリンとを反応させるのが好ましい。
トリエチルアミンが化合物(2)1モルに対して2モル未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、トリエチルアミンが化合物(2)1モルに対して4モルを越える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
塩化チオニルが化合物(2)1モルに対して3モル未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、塩化チオニルが化合物(2)1モルに対して5モルを超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
その使用量は、原料化合物に対して5〜50倍容量程度である。
反応温度は、通常、20〜100℃、好ましくは60〜80℃である。
反応温度が20℃未満である場合、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が100℃を超える場合、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は、通常、1〜10時間、好ましくは3〜5時間である。
反応時間が1時間未満である場合、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が10時間を超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。
また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
2-メルカプトチアゾリンが化合物(2)1モルに対して2モル未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、2-メルカプトチアゾリンが化合物(2)1モルに対して2.5モルを超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
その使用量は、原料化合物に対して5〜100倍容量程度である。
反応温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜30℃である。
反応温度が5℃未満である場合、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が50℃を超える場合、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は、通常、1〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
反応時間が1時間未満である場合、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が30時間を超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。
また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
第2工程で得られた一般式(3)で表わされる化合物と、一般式(4):
で表わされる化合物とを反応させて、一般式(5):
で表わされる化合物を得る。
化合物(4)としては、アミノエチル末端ポリオキシエチレングリコール、アミノエチル末端ポリオキシトリメチレングリコール、アミノエチル末端ポリオキシテトラメチレングリコールが挙げられる。
溶媒としては、原料化合物および反応化合物に悪影響を与えず、留去し易いものであれば特に限定されず、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化溶媒などが挙げられる。
希釈倍率は、化合物(3)および化合物(4)の合計量の500〜1000倍容量程度である。
化合物(4)が化合物(3)1モルに対して0.95モル未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、化合物(4)が化合物(3)1モルに対して1.05モルを超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
反応温度は、通常、10〜30℃、好ましくは20〜25℃である。
反応温度が10℃未満である場合、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が30℃を超える場合、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は、通常、12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
反応時間が12時間未満である場合、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が72時間を超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。
また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
第3工程で得られた一般式(5)で表わされる化合物とアルカリとを反応させて、一般式(II):
で表わされる化合物を得る。
アルカリの使用量は、化合物(5)およびアルカリの種類により異なり、化学量論上、化合物(5)中の(CH3CO)基の1当量に対してアルカリ中の水酸基が1当量となるような量であればよく、好ましくは2〜25当量である。
アルカリ中の水酸基が化合物(5)中の(CH3CO)基の1当量に対して1当量未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、アルカリ中の水酸基が化合物(5)中の(CH3CO)基に対して20当量を超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
反応温度が40℃未満である場合、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が120℃を超える場合、目的化合物の収率が低下するおそれ、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は、通常、5〜48時間、好ましくは12〜24時間である。
反応時間が5時間未満である場合、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が48時間を超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。
また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
第4工程で得られた一般式(II)で表わされる化合物と、一般式(III):
で表わされる化合物とを反応させて、一般式(I)で表わされる化合物を得る。
化合物(III)の具体例としては、3,3'-アゾビス(3-シアノブタン酸)、3,3'-アゾビス(3-メチルブタン酸)、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、4,4'-アゾビス(4-メチルペンタン酸)、2,2'-アゾビス{2-メチル-N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピンアミジン}水和物などが挙げられる。
化合物(III)が化合物(II)1モルに対して0.45モル未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、化合物(III)が化合物(II)1モルに対して0.55モルを超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
縮合剤としては、特に限定されず従来エステル化反応に用いられているものを用いることができる。具体的には、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミドなどのカルボジイミド類;2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリドなどのアリールスルホニルクロリド類;2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルイミダゾリド、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルトリアゾリドなどのアリールスルホンアミド類;アゾジカルボン酸エステル;ハロゲン化有機スルホニル;ジフェニルホスホリルアジド、ジエトキシホスホニルクロリド、ジエトキシホスホニルアジド、無水プロピルホスホン酸、ジフェニルホスホニルクロリド;マグネシウムジメトキシド、マグネシウムジエトキシド、アルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリ-t-ブトキシドなどの金属アルコキシド;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属酸化物;リチウムアミドなどのアルカリ金属アミド;炭酸カリウム;塩化亜鉛、三塩化アルミニウム、オキシ塩化リン、テトラメチルアンモニウムクロリド、濃硫酸、五酸価ニリン、ポリリン酸、無水酢酸、カルボニルジイミダゾール、p-トルエンスルホニルクロリド、塩基性のイオン交換樹脂などが挙げられる。これらの中でも、入手し易さや合成の容易性の点で1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドの塩酸塩が特に好ましい。
縮合剤の使用量が化合物(II)1モルに対して1モル未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、縮合剤の使用量が化合物(II)1モルに対して4モルを超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
縮合助剤の使用量が化合物(II)1モルに対して0.01モル未満である場合、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、縮合助剤の使用量が化合物(II)1モルに対して0.5モルを超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
反応温度は、通常、5〜30℃、好ましくは20〜25℃である。
反応温度が5℃未満である場合、反応効率が低下するおそれがある。一方、反応温度が30℃を超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
また、反応時間は、通常、12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
反応時間が12時間未満である場合、反応が不十分となるおそれがある。一方、反応時間が72時間を超える場合、製造コストが高くなるおそれがある。
さらに、反応圧力は、特に限定されず、例えば大気圧下が挙げられる。
また、雰囲気は、特に限定されず、例えば空気中および窒素雰囲気が挙げられる。
実施例の各工程において得られた化合物を、以下の機器および条件で分析して同定し、またそれらの物性を評価した。
日本電子製EX−270型超伝導核磁気共鳴吸収装置を使用した。溶媒としては、重クロロホルムまたは重ジメチルスルホキシドを用いた。基準物質としては、テトラメチルシランを用いて、室温で測定した。
島津製作所製KOMPACT−2型マトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置を用いた。マトリックス及びイオン化助剤として、それぞれ、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸及びヨウ化ナトリウムを用いた。
試料溶液は、試料1mgをテトラヒドロフラン(THF)1mLに溶解させて調製した。マトリックス溶液はα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸17mgを1mLのTHFに溶解させて調製した。その後、マトリックス溶液と試料溶液を1:1の比で混合した。試料プレートに、0.1mmol/mLのヨウ化ナトリウム溶液0.5Lをスポットし、室温で数分間乾燥させてから、その上に、0.5〜1.0μLの試料/マトリックス混合溶液をスポットし、乾燥空気で溶媒を揮発させてから測定した。
日本分光製FT/IR4100型フーリエ変換赤外分光光度計を用いた。
試料を臭化カリウムとよく混合し、加圧器で直径5mm、厚み0.1〜0.2mm程度の円板型ペレットに成型してから測定した。
ヤナコ製CHNコーダMT−5型を使用した。
1回の測定につき、およそ2.5mgの試料を用いて、測定を最低2回行った。元素含有量は得られた値の平均値として求めた。
日本分光製PU−2080ポンプ及び東ソー製紫外・可視検出器UV−8020を用いた。カラムとしては、東ソー製TSKゲルG2500H/G3000Hを用いた。溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、1.0mL/minの流量で測定した。
ヤナコ製MP−S3型融点測定装置を使用した。
(第1工程)5-アセトキシイソフタル酸の合成
マグネチックスターラーを備え付けた100mLのナスフラスコに、化合物(1)としての5-ヒドロキシイソフタル酸(10.0g、55mmol)および無水酢酸(22.0g、215mmol)を加え、空気中、大気圧下、温度140℃で12時間加熱還流を行った。
その後、反応混合物を氷水に注いで冷却させ、析出した固体をろ過により集めた。得られた固体を蒸留水/エタノール=1/1(v/v)から再結晶させて、白色固体9.3gを得た。
下記の分析により、得られた白色固体が、化合物(2)としての5-アセトキシイソフタル酸であることを確認した。収率は76%であった。
8.35 (s, 1H), 7.90 (s, 2H), 2.32 (s, 3H)
IR (KBr) cm-1(図2参照)
3452, 1760, 1687, 1292, 1207
元素分析
分析値: C 53.47%, H 3.56%
C8H8O6としての計算値:C 53.38%, H 3.60%
ジムロート冷却器およびマグネチックスターラーを備え付けた200mLのナスフラスコに、第1工程で得られた化合物(2)としての5-アセトキシイソフタル酸(2.2g、10mmol)、塩素化剤としての塩化チオニル(3.6g、30mmol)、溶媒としてのベンゼン(40mL)および活性化剤としてのジメチルホルムアミド(DMF、1mL)を加え、空気中、大気圧下、温度80℃で3時間加熱還流を行った。放冷後、減圧下で溶媒を留去し、2-メルカプトチアゾリン(2.4g、20mmol)および溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF、70mL)を加え、さらに塩基としてのトリエチルアミン(4.1mL、30mmol)を滴下し、空気中、大気圧下、温度25℃で20時間撹拌した。
その後、反応混合物をジクロロメタンで約5倍容量に希釈し、5%水酸化ナトリウム水溶液および蒸留水で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残留物を約5mLのジクロロメタンに溶解させ、イソプロピルエーテルを添加することで晶析させ、黄色固体2.6gを得た。
下記の分析により、得られた黄色固体が、化合物(3)としての5-(アセトキシ)-1,3-フェニレン)ビス((2-チオキサチアゾリン-3-イル)メタインであることを確認した。収率は61%であった。
7.85 (s, 1H), 7.57 (s, 2H), 4.53 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 3.49 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 2.31 (s, 3H)
IR (KBr) cm-1(図4参照)
3469, 1722, 1707, 1282, 1209
元素分析
分析値: C 44.87%, H 3.36%, N 6.39%
C16H14N2O4S4としての計算値:C 45.06%, H 3.31%, N 6.57%
メカニカルスターラーおよびメタロールポンプを備え付けた3000mLの三つ口フラスコに、第2工程で得られた化合物(3)としての(5-(アセトキシ)-1,3-フェニレン)ビス((2-チオキサチアゾリン-3-イル)メタイン)(0.43g、1.0mmol)のジクロロメタン溶液(300mL)と、化合物(4)としてのアミノ基末端ポリエチレングリコール(ポリオキシエチレンジエチルアミン、Mn=1,000)(1.0g、1.0mmol)のジクロロメタン溶液(300mL)とを、空気中、大気圧下、温度25℃で12時間掛けてゆっくりと同時に滴下した。
得られた生成物を少量(約5mL)のジクロロメタンに溶解させ、ジエチルエーテルを注ぐことにより、多分子環化体を沈殿物として除去した。次いで、減圧下で溶媒を留去することで淡黄色粘性液体0.6gを得た。
下記の分析により、得られた淡黄色粘性液体が、化合物(5)としての環状ポリエチレングリコールであることを確認した。収率は50%であった。
8.23 (s, 1H), 7.79 (s, 2H), 7.64 (br, 2H), 2.31 (s, 3H)
MALDI-TOF MS (α-cyano-4-hydroxycinnamic acid, NaI)(図6参照)
ジムロート冷却器およびマグネチックスターラーを備え付けた200mLのナスフラスコに、第3工程で得られた化合物(5)としての環状ポリエチレングリコール(1.0g、0.84mmol)、アルカリとしての水酸化ナトリウム(0.7g、18mmol)および溶媒としてのメタノール(50mL)を加え、空気中、大気圧下、温度60℃で18時間加熱還流を行った。その後、減圧下で反応混合物から溶媒を留去し、ジクロロメタン50mLを加え、希塩酸(1%)および蒸留水で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去し、無色透明粘性液体0.9gを得た。
下記の分析により、得られた無色透明粘性液体が、化合物(II)としての環状ポリエチレングリコールであることを確認した。収率は93%であった。
7.81 (s, 1H), 7.51 (s, 2H), 7.41 (br, 2H)
MALDI-TOF MS (α-cyano-4-hydroxycinnamic acid, NaI)(図8参照)
マグネチックスターラーおよび塩化カルシウム管を備え付けた100mLのナスフラスコに、化合物(II)としての環状ポリエチレングリコール(0.9g、0.78mmol)、化合物(III)としての4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)(0.11g、0.39mmol)、溶媒としてのジクロロメタン(30mL)、縮合剤としての1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCI、0.29g、1.5mmol)および縮合助剤としての4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、10mg、0.08mmol)を加え、25℃で48時間攪拌した。
下記の分析により、得られた白色固体が、化合物(I)(一般式(I)におけるXがOであり、同一の炭素原子に結合するR1およびR2がそれぞれCNとメチル基の組み合わせであり、R3およびMがエチレン基であり、nが5〜100の整数である)に相当する環状マクロアゾ化合物(4,4'-アゾビス(3,5-ビス(シクロポリエチレングリコールカルバモイル)フェニル) 4-シアノペンタン酸)であることを確認した。収率は45%であった。
またGPC測定の結果から、Mn=2,600、Mw=2,800、Mw/Mn=1.06であった。
8.24 (s, 1H), 7.81 (s, 2H), 7.60 (br, 2H), 2.54‐2.94 (m, 4H), 1.78 (d, J = 20 Hz, 3H)
IR (KBr) cm-1(図10参照)
2869, 1762, 1661, 1108
GPC(図11参照)
重合開始剤として実施例1で得られたマクロアゾ化合物を用いて、アクリル酸ブチルの重合体を得、その物性を評価した。
直前に減圧蒸留によって精製したアクリル酸nブチル(1.0g、7.8mmol)に40mg(0.016mmol)のマクロアゾ開始剤(I)を溶解し、脱気封管後、100W水銀灯を15分照射したところ、反応系は固化し、有機溶媒に不溶で膨潤する無色透明ゴム状物質が得られた。
また、重合開始剤として環状マクロアゾ化合物の代わりに、従来のポリエチレングリコールユニットを有する高分子アゾ重合開始剤を用いて、同様に光照射したところ、有機溶媒に可溶な重合体(ポリエチレングリコールとポリアクリル酸nブチルとのブロック共重合体)が得られた。
3次元構造では架橋点が移動でき、ポリマー鎖セグメントの運動性が高くなるので、このようなネットワーク高分子は、良好な膨潤性や優れた耐衝撃性を有する材料として期待できる。例えば、衝撃に対して復元力を有し、優れた耐傷付き性を有する塗料材料などへの応用が期待できる。また、温度、pH、溶媒組成、磁場などの外部刺激に対して応答を示すスマートゲル(インテリジェントゲル)のような高機能性ソフトマテリアルなどへの応用も期待できる。
Claims (5)
- 一般式(I):
で表わされ、数平均分子量Mnが1,500〜4,000でありかつ重量平均分子量Mwが1,800〜5,000であることを特徴とするマクロアゾ化合物。 - 一般式(I)におけるXがOであり、同一の炭素原子に結合するR1およびR2がそれぞれCNとメチル基の組み合わせであり、R3がエチレン基であり、Mがエチレン基であり、nが5〜100の整数である請求項1に記載のマクロアゾ化合物。
- 一般式(II):
で表わされることを特徴とする請求項1または2に記載のマクロアゾ化合物の前駆体。 - 一般式(II)におけるR4がOHである請求項3に記載のマクロアゾ化合物の前駆体。
- 一般式(II):
で表わされる化合物と、一般式(III):
で表わされる化合物とを反応させて、一般式(I):
で表わされ、数平均分子量Mnが1,500〜4,000でありかつ重量平均分子量Mwが1,800〜5,000である化合物を得る工程を含むことを特徴とするマクロアゾ化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011283541A JP5806926B2 (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | マクロアゾ化合物、その前駆体および製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011283541A JP5806926B2 (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | マクロアゾ化合物、その前駆体および製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013133377A JP2013133377A (ja) | 2013-07-08 |
JP5806926B2 true JP5806926B2 (ja) | 2015-11-10 |
Family
ID=48910302
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011283541A Active JP5806926B2 (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | マクロアゾ化合物、その前駆体および製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5806926B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5670871B2 (ja) * | 2011-12-26 | 2015-02-18 | 積水化成品工業株式会社 | 環状マクロモノマー及びその製造方法 |
JP6155109B2 (ja) * | 2012-12-19 | 2017-06-28 | 積水化成品工業株式会社 | 高分子架橋体及びその製造方法 |
JP6155079B2 (ja) * | 2013-04-19 | 2017-06-28 | 積水化成品工業株式会社 | 高分子ゲル及びその製造方法 |
-
2011
- 2011-12-26 JP JP2011283541A patent/JP5806926B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013133377A (ja) | 2013-07-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS59191721A (ja) | ジアクリレ−ト化合物の製造方法 | |
JP5806926B2 (ja) | マクロアゾ化合物、その前駆体および製造方法 | |
WO2018058816A1 (zh) | 一种多噁唑啉基扩链剂的制备方法 | |
JP2008280402A (ja) | ポリ(シルアリーレンシロキサン)誘導体及びその共重合体並びにシリコーンゴム | |
JP2017043704A (ja) | カチオン性グリシジルポリマー | |
JP4225014B2 (ja) | ポリチオウレタンおよびその製造方法 | |
JP5446109B2 (ja) | ヒドロキシ安息香酸誘導体及び重合性化合物の製造方法 | |
JP5670871B2 (ja) | 環状マクロモノマー及びその製造方法 | |
CA2859134A1 (en) | Substituted phenacyl molecules and photoresponsive polymers | |
US5250639A (en) | Polyaniline derivatives and their production process | |
JPH0834768A (ja) | 新規なジメタクリレート | |
JP4977099B2 (ja) | ラジカル重合性基含有環状ポリスルフィドおよびその製造方法並びにその重合体 | |
JP6726521B2 (ja) | 光学活性基を有する置換ポリアセチレン及びその製造方法 | |
Qiao et al. | Synthesis and shape memory behavior study of hyperbranched poly (urethane-tetrazole) | |
KR101836967B1 (ko) | 자가치유 폴리에테르 화합물 및 이의 제조방법 | |
JPH07145232A (ja) | 導電性高分子及びその製造方法 | |
US4142037A (en) | Readily curable fluorocarbon ether bibenzoxazole polymers | |
CN116333195B (zh) | 一种四臂星形荧光聚(甲基)丙烯酸酯及其制备方法 | |
JP2612524B2 (ja) | ポリアニリン誘導体およびその製造方法 | |
JPH02215836A (ja) | 高分子電解質 | |
JP4021272B2 (ja) | グリセリン酸重合体 | |
JP3006225B2 (ja) | ポリ(メタ)アクリル酸エステルおよびその製造方法 | |
JP3043779B2 (ja) | エチレン重合体及びその製造方法 | |
JP4517224B2 (ja) | 芳香族ポリアミドの製造方法 | |
JP6120318B2 (ja) | ポリ(メチン)、並びに、金属塩複合体及び2次電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140609 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150518 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150526 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150630 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150901 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150907 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5806926 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |