JP5806099B2 - 燃料電池用セパレータの表面処理方法 - Google Patents

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本発明は、耐食性に優れた固体高分子形燃料電池用セパレータの表面処理方法に関するものである。
近年、地球環境保全の観点から、発電効率に優れ、CO2を排出しない燃料電池の開発が進められている。この燃料電池はH2とO2から電気化学反応によって電気を発生させるものであり、その基本構造は、電解質膜(イオン交換膜)、2つの電極(燃料極と空気極)、O2(空気)とH2の拡散層および2つのセパレータから構成されている。そして、使用される電解質膜の種類に応じて、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、アルカリ形燃料電池および固体高分子形燃料電池等に分類され、それぞれ開発が進められている。
これらの燃料電池のうち、固体高分子形燃料電池は、他の燃料電池に比べて、
(a) 発電温度が80℃程度であり、格段に低い温度で発電できる、
(b) 燃料電池本体の軽量化、小型化が可能である、
(c) 短時間で立上がり、燃料効率、出力密度が共に高い
等の利点を有している。そのため、固体高分子形燃料電池は、電気自動車の搭載用電源や、家庭用あるいは業務用の定置型発電機、携帯用の小型発電機としての利用が期待され、今日最も注目されている燃料電池である。
ここで、固体高分子形燃料電池とは、高分子膜を介してH2 とO2 から電気を取り出すものであり、図1に示すように、ガス拡散層2,3(たとえばカーボンペーパ等)およびセパレータ4,5によって膜−電極接合体1を挟み込み、これを単一の構成要素(いわゆる単セル)として、セパレータ4とセパレータ5との間に起電力を生じさせるものである。
上記の膜−電極接合体1は、MEA(Membrance-Electrode Assembly )と呼ばれており、高分子膜と白金系触媒を担持したカーボンブラック等の電極材料とを、高分子膜の表裏面で一体化したものであり、厚さは数10μm〜数100μmである。また、ガス拡散層2,3を、膜−電極接合体1と一体化し、単セルとする場合も多い。
さらに、固体高分子形燃料電池を実用に供する場合には、上記のような単セルを、直列に数十〜数百個とつないで、燃料電池スタックを構成して使用するのが一般的である。
また、セパレータ4,5には、
(A) 単セル間を隔てる隔壁
としての役割に加え、
(B) 発生した電子を運ぶ導電体、
(C) O2(空気)とH2が流れる空気流路、水素流路、
(D) 生成した水やガスを排出する排出路
としての機能が求められる。
従って、固体高分子形燃料電池には、耐久性や電気伝導性に優れたセパレータを使用する必要がある。
ここに、耐久性に関して述べると、電気自動車の搭載用電源として使用される場合には約5000時間が想定され、また家庭用の定置型発電機等として使用される場合には、約40000時間が想定される。従って、セパレータには、上記の耐久性を確保するために、長時間の発電に耐えられる耐食性が要求されることになる。というのは、腐食によって金属イオンが溶出すると電解質膜のプロトン伝導性が低下するからである。
一方、電気伝導性に関しては、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が極力低いことが望まれる。というのは、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が増大すると、固体高分子形燃料電池の発電効率が低下するからである。それ故、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が小さいほど、発電特性に優れていることになる。
現在までに、セパレータ4,5としては、グラファイトを用いた固体高分子形燃料電池が実用化されている。このグラファイトからなるセパレータ4,5は、接触抵抗が比較的低く、しかも腐食しないという利点がある。しかしながら、衝撃に弱いため、小型化が困難であり、しかも空気流路6や水素流路7を形成するための加工コストが高いという欠点がある。それ故、グラファイトからなるセパレータ4,5が有するこれらの欠点は、固体高分子形燃料電池の普及を妨げている。
そこで、セパレータ4,5の素材として、グラファイトに替えて金属素材を適用する試みがなされている。特に、耐久性向上の観点から、ステンレス鋼板や、チタンまたはチタン合金を素材とした板からなるセパレータ4,5の実用化に向けて、種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、ステンレス鋼またはチタン合金等の不動態皮膜を形成しやすい金属をセパレータとして用いる技術が開示されている。しかし、不動態皮膜の形成は、接触抵抗の上昇を招くことになって発電効率の低下につながる。このため、これらの金属素材は、グラファイト素材と比べて接触抵抗が大きい等の改善すべき問題点が指摘されていた。
また、特許文献2には、オーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304)等の金属セパレータの表面に金めっきを施すことにより、接触抵抗を低減し、高出力を確保する技術が開示されている。しかし、薄い金めっきではピンホールの発生防止が困難であり、逆に厚い金めっきではコストの問題が残っていた。
特開平8-180883号公報 特開平10-228914号公報
本発明は、上記した種々の問題点を解決し、実使用環境下において耐久性に優れる固体高分子形燃料電池用セパレータを得るための表面処理方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の目的を達成すべく、固体高分子形燃料電池用セパレータの素材であるステンレス鋼板に対して種々の表面処理方法の検討を行った。以下、本発明の解明経緯について説明する。
まず、ステンレス鋼板の表面に0.5μmのNiストライク処理を行った後、上層にNi3Sn2層を8μm程度形成することで、セパレータ使用環境下での耐久性が向上することが分かった。ここで、Niストライク処理は上層のNi3Sn2層の密着性を確保するために行われるものである。
しかしながら、上記した形成処理等では、例えば、板厚:50μmのステンレス鋼板を使用した場合、両面で17μm程度のコーティング処理が必要となり、結果的に板厚の増加率が34%程度となる。これを、数百ものセルをスタックして使用する燃料電池に使用した場合、全体の厚みが極めて大きく、また自動車等に使用すると搭載スペースが過大になって、搭載重量も大きくなるという問題が生じる。
上記の問題を解決するために、発明者らは、Ni3Sn2層の薄膜化を試みた。しかしながら、単にNi3Sn2層を薄膜化した場合には、Ni3Sn2層から素地に通ずる欠陥量が多くなる。その結果、上記の欠陥を通じて、耐食性の悪いNiストライク中間層が腐食してしまうため、その上層のNi3Sn2層が剥離してしまうという問題が発生することが分かった。
次に、発明者らは、Niストライク中間層を形成せずに、Ni3Sn2層を直接ステンレス鋼板に形成することを試みた。しかしながら、低Crステンレス鋼板の場合、Ni3Sn2層の密着性は確保できるものの、薄膜化により発生する素地に通じた欠陥によって、低Crステンレス鋼板自身が腐食する問題が発生した。
一方、高Crステンレス鋼板に、Niストライク中間層を形成せずに、直接Ni3Sn2層を形成した場合には、Ni3Sn2層の密着性が悪く、板表面から剥離してしまうという問題が発生した。
以上の検討を受け、発明者らは、高Crステンレス鋼板に対して、Ni3Sn2層の密着性を改善することができる表面処理方法そのものの検討を行った。
その結果、高Crステンレス鋼板において、Ni3Sn2層の密着性が悪い理由は、高Crステンレス鋼板の表面に存在するCr含有率の高い不動態皮膜による影響であることが究明された。
そこで、発明者らは、高Crステンレス鋼板の表面だけを低Cr化することで、Ni3Sn2層の密着性を確保できるのではないかと考えて、さらに検討を行った。その結果、高Crステンレス鋼板の素地表面に、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施すことによって、素地表面が効果的に低Cr化し、素地表面に直接形成したNi3Sn2層の剥離を防止できる高Crステンレス鋼板が得られることを知見した。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであって、要旨構成は次のとおりである。
1.Crを21質量%以上含有するステンレス鋼板の素地表面に対し、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施した後、直ちに、めっき法でNi3Sn2層の形成処理を、ステンレス鋼板の板厚増加率が1〜20%であるように行うことを特徴とする燃料電池用セパレータの表面処理方法。
2.前記アノード電解処理が、硫酸ナトリウム水溶液中でのアノード電解処理であることを特徴とする前記1に記載の燃料電池用セパレータの表面処理方法。
3.前記硫酸ナトリウム水溶液中でのアノード電解処理を、濃度:0.5〜2mol/Lの硫酸ナトリウム水溶液中にて、温度:60〜80℃、電流密度:3〜7A/dmおよび電解時間:30〜120秒の各条件下で行うことを特徴とする前記2に記載の燃料電池用セパレータの表面処理方法。
本発明によれば、耐食性に優れた燃料電池用セパレータを、効果的に薄く製造することができるので、コンパクトかつ低重量で、さらに耐久性にも優れた固体高分子形燃料電池を得ることができる。
燃料電池の基本構造を示す模式図である。 めっき皮膜の薄膜X線回折パターンを示したグラフである。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明において、基材として用いるステンレス鋼は、Crを21質量%以上含有する高Crステンレス鋼とする必要がある。Crが21質量%未満の低Crステンレス鋼では、Ni3Sn2層の薄膜化により発生する素地に通ずる欠陥を通して、耐食性の悪い低Crステンレス鋼が腐食してしまうからである。
また、基材として用いるステンレス鋼は、例えばSUS447J1(Cr:30質量%)、SUS445J1(Cr:22質量%)などを好適に使用することができる。特に、Crを30質量%程度含有するSUS447J1は、耐食性が高いため、厳しい耐食性が要求される環境下で使用される固体高分子形燃料電池用セパレータ基材としてとりわけ有利に適合する。
本発明では、Crを21質量%以上含有する高Crステンレス鋼板に、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施すことによって、高Crステンレス鋼板の素地表面のみを低Cr化することが重要である。すなわち、高Crステンレス鋼板の表面のみを低Cr化することで、Ni3Sn2層の剥離を防止できる高Crステンレス鋼板を得ることが可能となるのである。なお、本発明は、上記高Crステンレス鋼板のように、高Crステンレス鋼板に対して燃料電池用セパレータ向けの通常の加工を施した、いわゆる高Crステンレス鋼板の加工品を用いても、本発明の効果が得られる。
ここに、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施すことにより、Crステンレス鋼板の表面が効果的に低Cr化するのは、以下に示すクロム不動態皮膜の過不動態溶解反応により、脱クロム反応が起こるためと考えられる。
Cr2O3 + 5H2O → 2CrO4 2- + 10H+ + 6e-
ここで、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理としては、過不動態溶解反応によるアノード電解が行えればよく、水溶液の種類やpHは、特に限定されるものではないが、好適な例として硫酸ナトリウムがあげられる。
また、アノード電解処理の条件は、硫酸ナトリウム水溶液を用いた場合、溶液温度が60〜80℃、電流密度が3〜7A/dm2、電解時間が30〜120秒の範囲でそれぞれ設定することが好ましい。それぞれ、上記範囲とすることで、過不動態溶解反応が効果的に生じるからである。
上述した処理条件をそれぞれ満足することで、ステンレス鋼板の素地表面は、基材に比べて、30%程度以上Crの含有率が低下した低Cr層となる。好ましくは、50%以上のCr低下率である。
本発明では、基材に、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施した後、中間層形成処理を行うことなく、直ちにNi3Sn2層を形成処理する必要がある。かかる手順とすることで、耐食性の悪いNiストライク中間層を存在させず、耐食性に優れた固体高分子形燃料電池用セパレータを得ることができるのである。
Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施した基材の表面に、Ni3Sn2層を形成するには、従来公知のめっき方法で、適切な組成に調整しためっき浴中で電気めっきを施せばよい。なお、具体的なめっき浴の組成は、NiCl2・2H2O:0.15mol/L,SnCl2・2H2O:0.15mol/L,K2P2O7:0.45mol/L,グリシン:0.15mol/Lが例示される。
また、Ni3Sn2層の厚みは、耐食性の確保および燃料電池をスタックした時の搭載性の観点から、ステンレス鋼板の板厚の増加率で、1〜20%程度の範囲とすることが好ましい。なお、上記Ni3Sn2層の厚みは、めっき浴中の滞留時間、すなわち電解(めっき)時間で調整することができる。
ここに、以下に示すめっき浴組成、めっき条件で作製しためっき皮膜の薄膜X線回折パターンを図2に示す。なお、X線回折の測定はCu-Kα線を用い、入射角:5度で行った。
同図から明らかなように、表面にNi3Sn2からなる皮膜が形成されていることが分かる。
<めっき浴組成>
NiCl2・2H2O:0.15mol/L
SnCl2・2H2O:0.15mol/L
K2P2O7:0.45mol/L
グリシン:0.15mol/L
<めっき条件>
・pH:8.1,温度:60℃,電流密度:5A/dm2,電解(めっき)時間:120秒
なお、本発明において、上記で定めたもの以外であって、材料や使用設備、その運転条件等の製造方法は、燃料電池用セパレータの表面処理方法の常法に従えば良い。
〔実施例1〕
板厚:0.05mmのステンレス鋼板で、基材は、SUS447J1(Cr:30質量%)、SUS445J1(Cr:22質量%)およびSUS430(Cr:16質量%)を使用して、硫酸ナトリウム水溶液濃度:1mol/L、温度:70℃、電流密度:5A/dm2、電解時間:60秒のアノード電解処理を行った。ついで、Niストライク中間層を形成せずに、下記のめっき浴組成、めっき条件で、上記基材の素地表面に、厚み:1〜8μmのNi3Sn2層を形成したサンプルを作製し、下記の特性評価試験を実施した。なお、めっき層の厚みは、あらかじめ電解(めっき)時間と厚さの関係を調べておくことにより制御した。
得られた特性の評価結果を表1に示す。
<めっき浴組成>
NiCl2・2H2O:0.15mol/L
SnCl2・2H2O:0.15mol/L
K2P2O7:0.45mol/L
グリシン:0.15mol/L
<めっき条件>
・pH:8.1、温度:60℃、電流密度:5A/dm2
1)めっき密着性
セロテープ(登録商標)(「CT24」,ニチバン(株)製)を用い、指の腹で密着させた後、剥離した。
○:めっき剥離なし
×:めっき剥離あり
2)板厚増加率
以下の計算式によって板厚増加率を算出した。
板厚増加率(%)=[{(片面コーティング膜厚)×2}/ステンレス鋼板厚]×100
また、燃料電池スタック時のコンパクト性として、以下の基準で評価した。
○:板厚増加率 20%以下
△:板厚増加率 20%超
3)耐食性
試料を、温度:80℃、pH:3の硫酸水溶液中に浸漬し、参照電極に飽和KCl−Ag/AgClを用いて200mV/minの掃引速度で0〜1.2V(vs.SHE)のサイクリックボルタモグラム(電位−電流曲線)を5サイクル印加し、5サイクル目の電圧上昇時0.9Vでの電流密度の値でセパレータ環境での安定度を評価し、電流密度が小さいほどセパレータ使用環境下での耐食性に優れるとした。
5サイクル目の電圧上昇時0.9Vの電流密度の値
◎:電流密度 2μA/cm2以下
○:電流密度 2超〜5μA/cm2以下
×:電流密度 5μA/cm2
Figure 0005806099
同表より、SUS447J1(Cr:30質量%)、SUS445J1(Cr:22質量%)の高Crステンレス鋼板を使用し、Ni3Sn2層膜厚を1〜5μmの範囲としたものが、めっき密着性、板厚増加率、耐食性共に優れていることが分かった。また、SUS430(Cr:16質量%)の低Crステンレス鋼板を使用した場合は、めっき密着性に優れるものの、板厚増加率と耐食性を両立させることができないことが分かる。
なお、試料No.1のステンレス鋼板の素地表面は、オージェ電子分光法により測定した結果、基材に比べて、80%程度Crの含有率が低下した表面となっていた。
〔実施例2〕
比較例として、板厚:0.05mmのステンレス鋼板で、基材は、SUS447J1(Cr:30質量%),SUS445J1(Cr:22質量%)およびSUS430(Cr:16質量%)を使用して、塩酸濃度:3mol/L、温度:70℃、時間:60秒の酸洗処理を行った後、下記のめっき浴組成、めっき条件でNiストライク中間層を0.5μm形成した後、実施例1と同じ条件でNi3Sn2層を厚み:1〜8μm形成したサンプルを作製し、実施例1と同じ条件で特性評価を実施した。
得られた特性の評価結果を表2に示す。
<めっき浴組成>
・NiCl2・2H2O:1mol/L、塩酸:1mol/L
<めっき条件>
・温度:25℃、電流密度:10A/dm2
Figure 0005806099
同表より、Niストライク中間層を形成した場合はSUS447J1(Cr:30質量%)、SUS445J1(Cr:22質量%)、SUS430(Cr:16質量%)のいずれの鋼種を使用しても、めっき密着性に優れてはいるものの、板厚増加率と耐食性とを両立させることができていないことが分かる。
〔実施例3〕
比較例として、さらに板厚:0.05mmのステンレス鋼板で、基材は、SUS447J1(Cr:30質量%),SUS445J1(Cr:22質量%)およびSUS430(Cr:16質量%)を使用して、塩酸濃度:3mol/L、温度:70℃、時間:60秒の酸洗処理を行った後、Niストライク中間層を形成せず、直接に実施例1と同じ条件で、Ni3Sn2層を、厚み:1〜8μmの範囲で形成したサンプルを作製し、実施例1と同じ条件で特性評価を実施した。
得られた特性の評価結果を表3に示した。
Figure 0005806099
同表より、酸洗処理を行った後、Niストライク中間層なしで直接Ni3Sn2層を形成した場合、SUS447J1(Cr:30質量%)およびSUS445J1(Cr:22質量%)の高Crステンレス鋼板では、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施していないため、めっき密着性が不良であり、他方、SUS430(Cr:16質量%)の低Crステンレス鋼板を使用した場合は、めっき密着性に優れるものの、板厚増加率と耐食性を両立させることはできないことが分かる。なお、上記実施例では、ステンレス鋼板の例を示したが、ステンレス鋼板を加工した後に、本発明に従う処理を行っても、同等の効果が得られることを確認している。
また、本実施例では、クロム不働態皮膜のCr過不動態溶解反応によるアノード電解処理に好適な硫酸ナトリウム水溶液を用いたが、本発明は、過不動態溶解反応によるアノード電解が行えればよく、水溶液の種類やpHはこれに限定されるものではないのは、前述したとおりである。
本発明に従うことで、Crを21質量%以上含有するステンレス鋼板あるいはその加工品に、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施した後、中間層形成処理を行わず、直ちにNi3Sn2層を形成することで、めっき密着性や耐食性に優れ、板厚増加率が低く軽量かつコンパクトな固体高分子形燃料電池用のセパレータ材料を提供することができる。
1 膜−電極接合体
2,3 ガス拡散層
4,5 セパレータ
6 O(空気)流路
7 水素流路

Claims (3)

  1. Crを21質量%以上含有するステンレス鋼板の素地表面に対し、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施した後、直ちに、めっき法でNi3Sn2層の形成処理を、ステンレス鋼板の板厚増加率が1〜20%であるように行うことを特徴とする燃料電池用セパレータの表面処理方法。
  2. 前記アノード電解処理が、硫酸ナトリウム水溶液中でのアノード電解処理であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの表面処理方法。
  3. 前記硫酸ナトリウム水溶液中でのアノード電解処理を、濃度:0.5〜2mol/Lの硫酸ナトリウム水溶液中にて、温度:60〜80℃、電流密度:3〜7A/dmおよび電解時間:30〜120秒の各条件下で行うことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用セパレータの表面処理方法
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