JP5802393B2 - 液体食品の殺菌装置および液体食品の製造方法 - Google Patents
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Description
液体食品の加熱殺菌の手段としては、プレート式熱交換器、シェル&チューブタイプの熱交換器に代表されるように、熱媒と液体食品とが直接接触せずに、金属等の熱媒伝導体を介して、熱媒の熱を液体食品に伝導して加熱する、所謂間接加熱式加熱殺菌装置と、高温の蒸気に、殺菌対象の液体食品を直接流し込み、混合することによって、液体食品を加熱殺菌する所謂直接加熱式殺菌装置に大別される。
図3に示すように、直接加熱式殺菌装置70は、液体食品71が流通しうる中空円柱形の殺菌装置本体部72と、上記殺菌装置本体部72の上端部内方に配設され、殺菌対象の液体食品71を上記殺菌装置本体部72内に供給する液体食品供給部73とを備えている。
また、上記殺菌装置本体部72の上端部近傍には、上記殺菌装置本体部72の内部の空気を排出する空気排出用スリーブ部86が上記殺菌装置本体部72の径方向外方に突出して配設されている。
図4に示すように、上記貯留送出部75は、円形の底面部76と、上記底面部76の外周縁部に延設されると共に、上方に向かって次第に拡開して形成された立ち上がり部78とから形成され、上記立ち上がり部78の上端部に形成されたフランジ部79と上記殺菌装置本体部72の内壁上端部に設けられた段部80とが互いに係合することによって、上記殺菌装置本体部72の上端部内方に固定されている。
加えて、上記送出孔部81、81..のテーパー部82、82においては、更に流速が減じられるため、特に、液体食品71がパルプを含有する場合には、十分な対流が起こらず、結果的に上記テーパー部82、82において上記送出孔部81、81..を塞ぐようにパルプが沈殿してしまうことから、上記送出孔部81、81..への液体食品71のスムーズな導入が困難となり、殺菌装置70の稼動時間の経過と共に、上記送出孔部81、81..に目詰まりが発生する。
以上のように、図3に示す従来の殺菌装置10にあっては、現状連続稼働が可能な時間は10時間以内に留まっており、この時間を越えた場合は、都度分解清掃が必要となるため、液体食品71の加熱殺菌効率が低下すると共に、清掃等に要するメンテナンスコストが増大するという不具合を有していた。
更に、上記貯留送出部に所定量が貯留された場合、貯留された液体食品には、常に対流が発生する。また、夫々の送出孔部にかかる液圧がより均等になる。
従って、パルプ入りの液体食品であっても、迅速且つ確実に加熱殺菌処理を行うことができる。
従って、パルプを含有する液体食品であっても、貯留送出部の目詰まりが発生し難く、長時間の連続運転が可能な液体食品の殺菌装置を提供することができる。
また、請求項1の発明にあっては、上記送出孔部は、上記突部の基端部の外周に沿って、夫々所定間隔寸法離間して複数配置されていることから、夫々の送出孔部にかかる液圧がより均等となり、各送出孔部から均一に液体食品が送出される。従って、送出孔部の一部に液体食品が偏ることによる目詰まりが発生し難くなる。
図1に示すように、本実施例に係る液体食品の殺菌装置10は、液体食品11を流通させて殺菌する殺菌装置本体部12と、殺菌前の液体食品11を上記殺菌装置本体部12内に供給する液体食品供給部13とを備えている。
また、上記突部20の頂点は、上記液体食品注入管路部15の中心軸の直下に配置される。
また、上記送出孔部18、18..は、上記突部20の基端部21の外周に沿って、夫々所定間隔寸法離間して7箇所配置されている。
図1は、本実施例に係る液体食品の殺菌装置全体の軸方向断面図であり、図2は図1の殺菌装置における液体食品供給部の拡大断面図である。
上記殺菌装置本体部12の上面部22は、内部を透視しうる透明な合成樹脂、若しくはガラス等から形成された窓部(図1には図示せず)を備えている。
また、上記殺菌装置本体部12の上端部近傍には、上記殺菌装置本体部12の内部の空気を排出する空気排出用スリーブ部24が上記殺菌装置本体部12の径方向外方に突出して配設されている。
また、上記殺菌装置本体部12の下端部近傍には、殺菌用の高温蒸気を送入する加熱蒸気送入部14が径方向外方に突出して配設されている。
また、上記立ち上がり部25には、上記殺菌装置本体部12内と上記貯留送出部の圧力を一定に保持するための通気口28、28が設けられている。
図1に示すように、液体食品11は、上記液体食品供給部13の液体食品注入管路部15を介して、貯留送出部16内に供給され、上記貯留送出部16の突部20の側面に沿って流れ落ち、上記貯留送出部16内の空間30に所定量貯留される。
なお、貯留送出部16内の圧力と殺菌装置本体部12内の圧力は、上記貯留送出部16の立ち上がり部25に設けられた通気口28、28を通して均一に調節されているため、貯留された液体食品11には特段の圧力はかからず、自重による自由落下によって、上記送出孔部18、18..から、上記殺菌装置本体部12の内部に流れ落ちる。
従って、上記貯留送出部16内に貯留された液体食品11内には、絶えず上下方向に回転する対流が発生するため、液体食品11にパルプが含有されている場合でも、上記パルプが激しく動くことから、上記送出孔部18、18..からスムーズに送出され易くなる。
その結果、殺菌装置10を長時間に亘って稼動させた場合にも、上記送出孔部18の目詰まりが発生し難くなり、貯留送出部16の空間30が液体食品11により満たされてしまうことがない。従って、より長時間の連続運転が可能となる。
加熱殺菌が終了した液体食品11は、上記殺菌装置本体部12から液体食品送出部31までの間で加熱殺菌処理後送出され、殺菌温度が保持された状態で、冷却工程等(図1、図2には図示せず)の次工程に送られる。
更に、突部の形状は、全体錐形であれば、突部の表面に、適宜溝部等の形状を形成することもできる。
トマトジュース(スラッジボリューム値:20、RI値5.0、pH値4.5)は、原料タンク内での初期温度を20℃に設定し、殺菌装置に導入する前に、予め加熱二重管等で予備加熱して80℃±5℃まで昇温する。
また、殺菌装置での加熱後の昇温温度は146.5℃±2℃となるように、あらかじめ殺菌装置本体部に送入する高温蒸気の温度、送入量等を調整する。
貯留送出部の形状は、図1及び図2に示す本実施例に係る貯留送出部16と同様の形状であり、送出孔部18は全7箇所に形成されている。
また、対比例としての従来形状の貯留送出部は、図3及び図4に示す貯留送出部75の形状と同様であり、送出孔部81は全7箇所に形成されている。
なお、貯留送出部の形状以外の構成については、本実施例の構成と従来例の構成との差異はない。
殺菌装置を連続的に稼働させ、所定時間毎に、貯留送出部の送出孔部に発生する目詰まり状況を殺菌装置上端部に設けられた窓部から目視によって確認した。
確認結果を下表1に示す。
上記表1の通り、本実施例に係る構成の殺菌装置の場合、20時間連続稼働後においても、目詰まりの発生は前7箇所中2箇所に留まり、液面高さの変化も実験開始から5%以内であり、稼動には何らの支障も発生しなかった。
従って、本実施例の構成によって、従来と比較して少なくとも2倍以上の連続稼働時間が確保できることが確認された。
なお、実施例の20時間稼動後及び比較例の10時間稼動後の状態は共に目詰まり発生の送出孔部の数は一致しているが、液面の高さは、実施例の構成の場合が30%であるのに対し、従来例の場合は75%に達している。
これは、目詰まりが発生していない送出孔部においても、パルプが蓄積した状態となっており、液体食品が流れ難くなっているためと考えられる。
なお、上記スラッジボリューム値とは、液体10mlを長さ105mmの遠心沈殿管内に封入し、回転半径14.5cm、回転数3000回/分、時間10分の条件で遠心分離した際に、液体全体に対する沈殿物の割合を示す値である。
11 液体食品
12 殺菌装置本体部
13 液体食品供給部
14 加熱蒸気送入部
15 液体食品注入管路部
16 貯留送出部
17 貯留送出部の底面部
18 送出孔部
19 液体食品注入管路部の下端部
20 突部
21 突部の基端部
22 殺菌装置本体部の上面部
24 空気排出用スリーブ部
25 貯留送出部の立ち上がり部
26 貯留送出部のフランジ部
27 殺菌装置本体部の段部
28 貯留送出部の通気孔
30 貯留送出部の空間
31 液体食品送出部
70 殺菌装置
71 液体食品
72 殺菌装置本体部
73 液体食品供給部
74 液体食品注入管路部
75 貯留送出部
76 貯留送出部の底面部
77 殺菌装置本体部の上面部
78 立ち上がり部
79 フランジ部
80 殺菌装置本体部の段部
81 貯留送出部内の送出孔部
82 送入孔部のテーパー部
83 加熱蒸気送入部
84 液体食品送出部
85 貯留送出部の空間
86 空気排出用スリーブ部
Claims (6)
- 液体食品を流通させて殺菌する殺菌装置本体部と、殺菌前の液体食品を上記殺菌装置本体部内に供給する液体食品供給部とを備える液体食品の殺菌装置であって、
上記殺菌装置本体部は、上記殺菌装置本体部内に高温の蒸気を送入する加熱蒸気送入部を備えると共に、
上記液体食品供給部は、上記殺菌装置本体部の上端部内方に配置され、前工程から送出された殺菌前の液体食品を殺菌装置本体部に注入する液体食品注入管路部と、上記液体食品注入管路部の下方に配置され、上記液体食品注入管路部から供給される液体食品を、所定量貯留すると共に、上記殺菌装置本体部内に送出しうる容器状の貯留送出部とを備え、
上記貯留送出部の底面部には、上記殺菌装置本体部内に上記液体食品を送出する複数の送出孔部が形成されると共に、上記液体食品注入管路部の下端部と対向する位置において、上記液体食品注入管路部に向かって突出する錐形の突部が形成され、
上記送出孔部は、上記突部の基端部の外周に沿って、夫々所定間隔寸法離間して複数配置されていることを特徴とする液体食品の殺菌装置。 - 上記液体食品注入管路部は細円筒形に形成され、上記突部は円錐形に形成されると共に、上記突部の頂点は、上記液体食品注入管路部の中心軸の直下に配置されることを特徴とする請求項1記載の液体食品の殺菌装置。
- 上記貯留送出部はフッ素系樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液体食品の殺菌装置。
- 液体食品の製造方法であって、上記請求項1から3の何れか1項の殺菌装置を用いて殺菌を行う加熱殺菌工程を備えることを特徴とする液体食品の製造方法。
- 上記液体食品は、10〜35の範囲のスラッジボリューム値を有することを特徴とする請求項4の液体食品の製造方法。
- 上記液体食品は、野菜汁、果実汁、若しくはその混合物を、容量比において50%以上を含むことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液体食品の製造方法。
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