JP5800937B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5800937B2
JP5800937B2 JP2014051550A JP2014051550A JP5800937B2 JP 5800937 B2 JP5800937 B2 JP 5800937B2 JP 2014051550 A JP2014051550 A JP 2014051550A JP 2014051550 A JP2014051550 A JP 2014051550A JP 5800937 B2 JP5800937 B2 JP 5800937B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil
frequency power
power supply
antenna
processing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014051550A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014150064A (ja
Inventor
山澤 陽平
陽平 山澤
一樹 傳寳
一樹 傳寳
山涌 純
山涌  純
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Electron Ltd
Original Assignee
Tokyo Electron Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Electron Ltd filed Critical Tokyo Electron Ltd
Priority to JP2014051550A priority Critical patent/JP5800937B2/ja
Publication of JP2014150064A publication Critical patent/JP2014150064A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5800937B2 publication Critical patent/JP5800937B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • Plasma Technology (AREA)

Description

本発明は、被処理基板にプラズマ処理を施す技術に係り、特に誘導結合型のプラズマ処理装置に関する。
半導体デバイスやFPD(Flat Panel Display)の製造プロセスにおけるエッチング、堆積、酸化、スパッタリング等の処理では、処理ガスに比較的低温で良好な反応を行わせるためにプラズマがよく利用されている。従来より、この種のプラズマ処理には、MHz領域の高周波放電によるプラズマが多く用いられている。高周波放電によるプラズマは、より具体的(装置的)なプラズマ生成法として、容量結合型プラズマと誘導結合型プラズマとに大別される。
一般に、誘導結合型のプラズマ処理装置は、処理容器の壁部の少なくとも一部(たとえば天井)を誘電体の窓で構成し、その誘電体窓の外に設けたコイル状のRFアンテナに高周波電力を供給する。処理容器は減圧可能な真空チャンバとして構成されており、チャンバ内の中央部に被処理基板(たとえば半導体ウエハ、ガラス基板等)が配置され、誘電体窓と基板との間に設定される処理空間に処理ガスが導入される。RFアンテナに流れるRF電流によって、磁力線が誘電体窓を貫通してチャンバ内の処理空間を通過するようなRF磁界がRFアンテナの周りに発生し、このRF磁界の時間的な変化によって処理空間内で方位角方向に誘導電界が発生する。そして、この誘導電界によって方位角方向に加速された電子が処理ガスの分子や原子と電離衝突を起こし、ドーナツ状のプラズマが生成される。
チャンバ内に大きな処理空間が設けられることによって、上記ドーナツ状のプラズマは効率よく四方(特に半径方向)に拡散し、基板上ではプラズマの密度がかなり均される。しかしながら、通常の同心円型コイルや渦巻き型コイルからなるRFアンテナにおいては、そのループ内にRF電源からのRF給電ラインと接続するRF入出力端を含むため、必然的に非軸対称のアンテナ構造を採らざるを得ず、このことが方位角方向でプラズマ密度の不均一性を生じる主な要因になっている。この問題点に対して、従来は、RFアンテナを直列接続の上下2段のコイルで構成し、上段コイルに設けるRF給電結線箇所(入出力端)を下段コイルの背後に隠してプラズマ側から電磁気的に見えないようにする技法が提案されている(特許文献1,2)。
特表2003−517197 特表2004−537830
しかしながら、上記のようにRFアンテナを直列接続の上下2段のコイルで構成する従来技術は、RFアンテナが複雑な構造で製作困難であることや、コイル長の倍増によってインピーダンスの増大や波長効果の発生を招くことが問題となっている。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、RFアンテナのコイル長を実質的に維持しつつプラズマ側からRFアンテナのRF入出力端が電流ループ上の特異点には見えないようにして、方位角方向におけるプラズマ密度分布の均一性を改善する誘導結合型のプラズマ処理装置を提供する。
本発明の第1の観点におけるプラズマ処理装置は、少なくとも一部が誘電体窓からなる真空排気可能な処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、前記被処理基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために、前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部とを具備し、前記RFアンテナが、互いに近接して平行に延び、コイル周回方向の同じ場所に切れ目がある第1および第2のコイル導体と、前記第1および第2のコイル導体の前記切れ目と隣接するそれぞれの一方のコイル端部を共通接続する第1の接続導体と、前記第1および第2のコイル導体の前記切れ目と隣接するそれぞれの他方のコイル端部を共通接続する第2の接続導体と、前記第1の接続導体から前記切れ目のギャップ内に延びて、前記高周波給電部からの第1の高周波給電ラインと接続する第3の接続導体と、前記第2の接続導体から前記切れ目のギャップ内に延びて、前記高周波給電部からの第2の高周波給電ラインと接続する第4の接続導体とを有し、前記第3の接続導体に前記第1の高周波給電ラインが接続される位置と前記第4の接続導体に前記第2の高周波給電ラインが接続される位置と前記RFアンテナの中心とがコイル半径方向で同一直線上に並んでいる。
上記第1の観点によるプラズマ処理装置においては、上記のような構成により、特に、RFアンテナが、互いに近接して平行に延び、コイル周回方向の同じ場所に切れ目がある第1および第2のコイル導体と、それら第1および第2のコイル導体の切れ目と隣接するそれぞれの一方のコイル端部を共通接続する第1の接続導体と、それら第1および第2のコイル導体の切れ目と隣接するそれぞれの他方のコイル端部を共通接続する第2の接続導体と、第1の接続導体から切れ目のギャップ内に延びて、高周波給電部からの第1の高周波給電ラインと接続する第3の接続導体と、第2の接続導体から切れ目のギャップ内に延びて、高周波給電部からの第2の高周波給電ラインと接続する第4の接続導体とを有し、第3の接続導体に第1の高周波給電ラインが接続される位置と第4の接続導体に第2の高周波給電ラインが接続される位置とRFアンテナの中心とがコイル半径方向で同一直線上に並んでいる構成により、プラズマ側からRFアンテナのRF給電結線箇所(RF入出力端)が電流ループ上の特異点には見え難くなり、方位角方向におけるプラズマ密度分布の均一性を改善することができる。
本発明の第2の観点におけるプラズマ処理装置は、少なくとも一部が誘電体窓からなる真空排気可能な処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、前記被処理基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために、前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部とを具備し、前記RFアンテナが、コイル周回方向に等間隔で複数の切れ目がある単巻または複巻のコイル導体を有し、前記複数の切れ目の1つを介して相対向する一対のコイル端部に前記高周波給電部からの一対の高周波給電ラインがそれぞれ接続され、前記複数の切れ目の残りの各々には、当該切れ目を介して相対向する一対のコイル端部の間に跨る架橋接続導体が設けられ、前記コイル導体は縦方向にも延びる縦型であり、前記架橋接続導体は前記コイル導体の上端部により形成されている。
上記第2の観点によるプラズマ処理装置においては、上記のような構成により、特に、RFアンテナが、コイル周回方向に等間隔で複数の切れ目がある単巻または複巻のコイル導体を有し、それら複数の切れ目の1つを介して相対向する一対のコイル端部に高周波給電部からの一対の高周波給電ラインがそれぞれ接続され、それら複数の切れ目の残りの各々には、当該切れ目を介して相対向する一対のコイル端部の間に跨る架橋接続導体が設けられ、コイル導体は縦方向にも延びる縦型であり、架橋接続導体はコイル導体の上端部により形成されている構成により、プラズマ側からRFアンテナのRF給電結線箇所(RF入出力端)が電流ループ上の特異点には見え難くなり、方位角方向におけるプラズマ密度分布の均一性を改善することができる。
本発明の第3の観点におけるプラズマ処理装置は、少なくとも一部が誘電体窓からなる真空排気可能な処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、前記被処理基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために、前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部とを具備し、前記RFアンテナが、コイル周回方向で切れ目がある単巻または複巻のコイル導体と、前記コイル導体の前記切れ目を介して相対向する一対のコイル端部から前記誘電体窓と遠くなる方向にコイル周回方向に対して一定の角度で斜めにかつ平行に延びる一対の接続導体とを有し、前記切れ目のギャップ幅が10mm以下であり、前記一対の接続導体に前記高周波給電部からの一対の高周波給電ラインがそれぞれ接続されている
上記第3の観点によるプラズマ処理装置においては、上記のような構成により、特に、RFアンテナが、コイル周回方向で切れ目がある単巻または複巻のコイル導体と、このコイル導体の切れ目を介して相対向する一対のコイル端部から誘電体窓と遠くなる方向にコイル周回方向に対して一定の角度で斜めにかつ平行に延びる一対の接続導体とを有し、切れ目のギャップ幅が10mm以下であり、それら一対の接続導体に高周波給電部からの一対の高周波給電ラインがそれぞれ接続される構成により、プラズマ側からRFアンテナのRF給電結線箇所(RF入出力端)が電流ループ上の特異点には見え難くなり、方位角方向におけるプラズマ密度分布の均一性を改善することができる。
本発明の第4の観点におけるプラズマ処理装置は、天井に誘電体窓を有する真空排気可能な処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、前記被処理基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために、前記誘電体窓の上に設けられるRFアンテナと、前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部とを具備し、前記RFアンテナが、一定の平面上で渦巻き状に延びる主コイル導体と、前記主コイル導体の周辺側のコイル端部より前記平面に対して一定の傾斜角で上昇しながら少なくとも半周に亘って渦巻き状に延びる補助コイル導体とを有し、前記主コイル導体の中心側のコイル端部に前記高周波給電部からの一対の高周波給電ラインが接続され、前記補助コイル導体の上端側のコイル端部に前記高周波給電部からの他方の高周波給電ラインが接続される。
上記第4の観点によるプラズマ処理装置においては、上記のような構成により、特に、RFアンテナが、一定の平面上で渦巻き状に延びる主コイル導体と、主コイル導体の周辺側のコイル端部より前記平面に対して一定の傾斜角で上昇しながら少なくとも半周に亘って渦巻き状に延びる補助コイル導体とを有し、主コイル導体の中心側のコイル端部に高周波給電部からの一対の高周波給電ラインが接続され、補助コイル導体の上端側のコイル端部に高周波給電部からの他方の高周波給電ラインが接続される構成により、プラズマ側からRFアンテナのRF給電結線箇所(RF入出力端)が電流ループ上の特異点には見え難くなり、方位角方向におけるプラズマ密度分布の均一性を改善することができる。
本発明の誘導結合型プラズマ処理装置によれば、上記のような構成により、RFアンテナのコイル長を実質的に維持しつつプラズマ側からRFアンテナのRF入出力端が電流ループ上の特異点には見えないようにして、方位角方向におけるプラズマ密度分布の均一性を改善することができる。
本発明の一実施形態における誘導結合型プラズマエッチング装置の構成を示す縦断面図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの基本構造を示す平面図である。 図2の実施例について電磁界シミュレーションで得られたドーナツ状プラズマ内の電流密度の方位角方向分布特性を示すプロット図である。 実施例において高周波給電ポイント間の距離間隔を種種選択する例を説明するための平面図である。 図4の実施例について電磁界シミュレーションで得られたドーナツ状プラズマ内の電流密度の方位角方向分布特性を示すプロット図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す平面図である。 図6の実施例について電磁界シミュレーションで得られたドーナツ状プラズマ内の電流密度の方位角方向分布特性を示すプロット図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す平面図である。 RFアンテナのコイルの断面構造を示す図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す平面図である。 図9の実施例について電磁界シミュレーションで得られたドーナツ状プラズマ内の電流密度の方位角方向分布特性を示すプロット図である。 図9の実施例の一変形例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す平面図である。 図9の実施例の別の変形例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す平面図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す斜視図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す斜視図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す斜視図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す斜視図である。 図16AのRFアンテナのコイル構造を別の角度(方角)から見た斜視図である。 図16Aおよび図16Bの実施例について電磁界シミュレーションで得られたドーナツ状プラズマ内の電流密度の方位角方向分布特性(r=80,120,170mm)を示すプロット図である。 図16Aおよび図16Bの実施例について電磁界シミュレーションで得られたドーナツ状プラズマ内の電流密度の方位角方向分布特性(r=230mm)を示すプロット図である。 比較例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す斜視図である。 図18の比較例について電磁界シミュレーションで得られたドーナツ状プラズマ内の電流密度の方位角方向分布特性(r=80,120,170mm)を示すプロット図である。 図18の比較例について電磁界シミュレーションで得られたドーナツ状プラズマ内の電流密度の方位角方向分布特性(r=230mm)を示すプロット図である。 一実施例におけるRFアンテナのコイルの構造を示す図である。
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1に、本発明の一実施形態における誘導結合型プラズマエッチング装置の構成を示す。この誘導結合型プラズマエッチング装置は、平面コイル形のRFアンテナを用いるタイプであり、たとえばアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属製の円筒型真空チャンバ(処理容器)10を有している。チャンバ10は、保安接地されている。
先ず、この誘導結合型プラズマエッチング装置においてプラズマ生成に関係しない各部の構成を説明する。
チャンバ10内の下部中央には、被処理基板としてたとえば半導体ウエハWを載置する円板状のサセプタ12が高周波電極を兼ねる基板保持台として水平に配置されている。このサセプタ12は、たとえばアルミニウムからなり、チャンバ10の底から垂直上方に延びる絶縁性の筒状支持部14に支持されている。
絶縁性筒状支持部14の外周に沿ってチャンバ10の底から垂直上方に延びる導電性の筒状支持部16とチャンバ10の内壁との間に環状の排気路18が形成され、この排気路18の上部または入口に環状のバッフル板20が取り付けられるとともに、底部に排気ポート22が設けられている。チャンバ10内のガスの流れをサセプタ12上の半導体ウエハWに対して軸対象に均一にするためには、排気ポート22を円周方向に等間隔で複数設ける構成が好ましい。各排気ポート22には排気管24を介して排気装置26が接続されている。排気装置26は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ10内のプラズマ処理空間を所望の真空度まで減圧することができる。チャンバ10の側壁の外には、半導体ウエハWの搬入出口27を開閉するゲートバルブ28が取り付けられている。
サセプタ12には、RFバイアス用の高周波電源30が整合器32および給電棒34を介して電気的に接続されている。この高周波電源30は、半導体ウエハWに引き込むイオンのエネルギーを制御するのに適した一定周波数(13.56MHz以下)の高周波RFLを可変のパワーで出力できるようになっている。整合器32は、高周波電源30側のインピーダンスと負荷(主にサセプタ、プラズマ、チャンバ)側のインピーダンスとの間で整合をとるためのリアクタンス可変の整合回路を収容している。その整合回路の中に自己バイアス生成用のブロッキングコンデンサが含まれている。
サセプタ12の上面には、半導体ウエハWを静電吸着力で保持するための静電チャック36が設けられ、静電チャック36の半径方向外側に半導体ウエハWの周囲を環状に囲むフォーカスリング38が設けられる。静電チャック36は導電膜からなる電極36aを一対の絶縁膜36b,36cの間に挟み込んだものであり、電極36aには高圧の直流電源40がスイッチ42および被覆線43を介して電気的に接続されている。直流電源40より印加される高圧の直流電圧により、静電力で半導体ウエハWを静電チャック36上に吸着保持することができる。
サセプタ12の内部には、たとえば円周方向に延びる環状の冷媒室44が設けられている。この冷媒室44には、チラーユニット(図示せず)より配管46,48を介して所定温度の冷媒たとえば冷却水が循環供給される。冷媒の温度によって静電チャック36上の半導体ウエハWの処理中の温度を制御できる。これと関連して、伝熱ガス供給部(図示せず)からの伝熱ガスたとえばHeガスが、ガス供給管50を介して静電チャック36の上面と半導体ウエハWの裏面との間に供給される。また、半導体ウエハWのローディング/アンローディングのためにサセプタ12を垂直方向に貫通して上下移動可能なリフトピンおよびその昇降機構(図示せず)等も設けられている。
次に、この誘導結合型プラズマエッチング装置においてプラズマ生成に関係する各部の構成を説明する。
チャンバ10の天井または天板はサセプタ12から比較的大きな距離間隔を隔てて設けられており、この天井にたとえば石英板からなる円形の誘電体窓52が気密に取り付けられている。この誘電体窓52の上には、チャンバ10内に誘導結合のプラズマを生成するためのRFアンテナ54を外部から電磁的に遮蔽して収容するアンテナ室56がチャンバ10と一体に設けられている。
この実施形態におけるRFアンテナ54は、コイル径の異なる複数(図示の例では3つ)の円形リングの(つまり周回方向で半径が変わらない)単巻きコイル54(1),54(2),54(3)を有している。これらのコイル54(1),54(2),54(3)は、誘電体窓52の上に水平に同心円状に取り付けられ、プラズマ生成用の高周波給電部56からの一対の高周波給電ライン58,60に対して電気的に並列接続されている。通常、各コイル54(1),54(2),54(3)は、チャンバ10またはサセプタ12とも同軸に配置される。
高周波給電部56は、高周波電源62および整合器64を有している。高周波電源62は、高周波放電によるプラズマの生成に適した一定周波数(13.56MHz以上)の高周波RFHを可変のパワーで出力できるようになっている。整合器64は、高周波電源62側のインピーダンスと負荷(主にRFアンテナ、プラズマ)側のインピーダンスとの間で整合をとるためのリアクタンス可変の整合回路を収容している。
チャンバ10内の処理空間に処理ガスを供給するための処理ガス供給部は、誘電体窓52より幾らか低い位置でチャンバ10の側壁の中(または外)に設けられる環状のマニホールドまたはバッファ部66と、円周方向に等間隔でバッファ部66からプラズマ生成空間に臨む多数の側壁ガス吐出孔68と、処理ガス供給源70からバッファ部66まで延びるガス供給管72とを有している。処理ガス供給源70は、流量制御器および開閉弁(図示せず)を含んでいる。
主制御部74は、たとえばマイクロコンピュータを含み、このプラズマエッチング装置内の各部たとえば排気装置26、高周波電源30,62、整合器32,64、静電チャック用のスイッチ42、処理ガス供給源70、チラーユニット(図示せず)、伝熱ガス供給部(図示せず)等の個々の動作および装置全体の動作(シーケンス)を制御する。
この誘導結合型プラズマエッチング装置において、エッチングを行なうには、先ずゲートバルブ28を開状態にして加工対象の半導体ウエハWをチャンバ10内に搬入して、静電チャック36の上に載置する。そして、ゲートバルブ28を閉めてから、処理ガス供給源70よりガス供給管72、バッファ部66および側壁ガス吐出孔68を介してエッチングガス(一般に混合ガス)を所定の流量および流量比でチャンバ10内に導入し、排気装置26によりチャンバ10内の圧力を設定値にする。さらに、高周波給電部56の高周波電源62をオンにしてプラズマ生成用の高周波RFHを所定のRFパワーで出力させ、整合器64,RF給電ライン58,60を介してRFアンテナ54の各コイル54(1),54(2),54(3)に高周波RFHの電流を供給する。一方、高周波電源30をオンにしてイオン引き込み制御用の高周波RFLを所定のRFパワーで出力させ、この高周波RFLを整合器32および給電棒34を介してサセプタ12に印加する。また、伝熱ガス供給部より静電チャック36と半導体ウエハWとの間の接触界面に伝熱ガス(Heガス)を供給するとともに、スイッチ42をオンにして静電チャック36の静電吸着力により伝熱ガスを上記接触界面に閉じ込める。
側壁ガス吐出孔68より吐出されたエッチングガスは、誘電体窓52の下の処理空間に拡散する。RFアンテナ54の各コイル54(1),54(2),54(3)を流れる高周波RFHの電流によってそれらのコイルの周りに発生する磁力線(磁束)が誘電体窓52を貫通してチャンバ10内の処理空間(プラズマ生成空間)を横切り、処理空間内で方位角方向の誘導電界が発生する。この誘導電界によって方位角方向に加速された電子がエッチングガスの分子や原子と電離衝突を起こし、ドーナツ状のプラズマが生成される。
このドーナツ状プラズマのラジカルやイオンは広い処理空間で四方に拡散し、ラジカルは等方的に降り注ぐようにして、イオンは直流バイアスに引っぱられるようにして、半導体ウエハWの上面(被処理面)に供給される。こうして半導体ウエハWの被処理面にプラズマの活性種が化学反応と物理反応をもたらし、被加工膜が所望のパターンにエッチングされる。
ここで「ドーナツ状のプラズマ」とは、チャンバ10の径方向内側(中心部)にプラズマが立たず径方向外側にのみプラズマが立つような厳密にリング状のプラズマに限定されず、むしろチャンバ10の径方向内側より径方向外側のプラズマの体積または密度が大きいことを意味する。また、処理ガスに用いるガスの種類やチャンバ10内の圧力の値等の条件によっては、ここで云う「ドーナツ状のプラズマ」にならない場合もある。
この誘導結合型プラズマエッチング装置においては、半導体ウエハW上のプラズマプロセス特性つまりエッチング特性(エッチングレート、選択比、エッチング形状等)の方位角方向の均一性を向上させるために、RFアンテナ54を構成している各コイル54(n)(n=1,2,3)の構造に特別な工夫がなされている。
図2に、この実施形態におけるRFアンテナ54のコイル54(n)の基本構造を示す。このコイル54(n)は、コイル周回方向で切れ目80を有する円形リングのコイル導体82からなる。このコイル導体82の切れ目80を介して相対向する一対のコイル端部82a,82bに、高周波給電部56からの一対の高周波給電ライン58,60が図のRF-In,RF-Outを接続点または給電ポイントとしてそれぞれ接続される。
このコイル54(n)の主たる特徴は、切れ目80のギャップ幅gを極端に狭く(好ましくは10mm以内に)している構成にある。
本発明者は、コイル54(n)のギャップ幅gとチャンバ10内に励起される電流の周回方向(方位角方向)の不均一性との相関関係を電磁界シミュレーションで検証した。すなわち、コイル54(n)のギャップ幅gをパラメータとし、パラメータの値を5mm,10mm,15mm,20mmの4通りに選んで、チャンバ10内に生成されるドーナツ状プラズマ中の深さ5mmの位置で半径120mmの円周上に励起される電流の密度(プラズマ密度に相当)Iを計算して最大値(Imax)が1となるように規格化してプロットしたところ、図3に示すような特性が得られた。
この電磁界シミュレーションでは、コイル54(n)の内径(半径)および外径(半径)をそれぞれ110mmおよび130mmに設定し、誘電体窓(石英板)52の厚さを10mmとし、この誘電体窓52の直下に厚さ5mmのイオンシースを挟んで表皮厚さ10mm相当のドーナツ状プラズマが誘導結合により生成されるモデルを仮定した。このドーナツ状のプラズマは、円盤形状の抵抗体で模擬し、この抵抗体の半径を250mm、抵抗率を100Ωcmに設定した。プラズマ生成用高周波RFHの周波数は13.56MHzとした。コイル54(n)におけるRF給電ポイントRF-In,RF-Outの距離間隔dは、ギャップ幅gに等しい値に設定した。
図3において、電流密度Iが落ち込んでいる箇所(約90度の位置)は、切れ目80の位置に対応している。図示のように、切れ目80のギャップ幅gが15mmのときは電流密度Iの最大値Imaxからの落ち込みが約20%で、ギャップ幅gが20mmのときは電流密度Iの最大値Imaxからの落ち込みが約23%であり、ギャップ幅gが20mmよりも大きいときは電流密度Iの落ち込みが更に大きくなることが推認される。一方で、切れ目80のギャップ幅gが5mm、10mmのときは電流密度Iの最大値Imaxからの落ち込みが一様に約15%に止まる。
このように、この誘導結合型プラズマエッチング装置において、チャンバ10内に生成されるドーナツ状プラズマ内のプラズマ密度の方位角方向の均一性をRFアンテナ54の構造によって改善するには、RFアンテナ54を構成するコイル54(n)の切れ目80のギャップ幅gを10mm以内にすればよい。
興味深いことであるが、切れ目80のギャップ幅gに関する上記の条件(g≦10mm)は、チャンバ10内に誘導結合により生成されるドーナツ状プラズマのスキンデプスδの条件(δ≦10mm)に対応する。衝突系のスキンデプスδcおよび無衝突系のスキンデプスδpはそれぞれ次の式(1),(2)で与えられる。
δc=(2πm/ω)1/2c[(e2e)/(ε0e)]-1/2 ・・(1)
δp=c[(e2e)/(ε0e)]-1/2 ・・(2)
ここで、πmは電子−中性子慣性変換衝突周波数、ωはプラズマ生成用高周波の角周波数、cは光の速度、eは電子質量、neは電子密度、ε0は自由空間の誘電率、meは電子質量である。
この実施例のコイル54(n)においては、切れ目80のギャップ幅gだけでなく、RF給電ポイントRF-In,RF-Outの距離間隔dも重要なファクタである。すなわち、図4に示すように、切れ目80のギャップ幅gは狭くても、RF給電ポイント間隔dが大きい場合も考えられる。
本発明者は、上記電磁界シミュレーションの一環として、パラメータを[g=5mm,d=5mm]、[g=20mm,d=20mm]、[g=5mm,d=20mm]の3通りに選び、他は上記と同じ条件でドーナツ状プラズマ内に励起される電流密度Iの方位角方向分布を計算で求めてプロットしたところ、図5に示すような結果が得られた。すなわち、[g=5mm,d=20mm]の場合は[g=20mm,d=20mm]の場合と殆ど同じで、切れ目80に対応する箇所での電流密度Iの落ち込みが約23%であった。
このように、チャンバ10内に生成されるドーナツ状プラズマ内のプラズマ密度の方位角方向の不均一性をRFアンテナ54の構造によって改善するには、コイル54(n)の切れ目80のギャップ幅gを狭く(10mm以内に)するだけでなく、RF給電ポイントRF-In,RF-Outの距離間隔dも同程度に(10mm以内に)狭くする必要がある。
図6に、コイル54(n)の更に好適な実施例を示す。この実施例の特徴は、コイル54(n)の切れ目80がコイル周回方向に対して所定の角度φ(たとえばφ=60°)で斜めに延びるように形成されている構成にある。この場合、RF給電ポイントRF-In,RF-Outは、コイル周回方向において互いに重なり合う位置関係、つまり円形コイル54(n)の中心OとRF給電ポイントRF-In,RF-Outの3者がコイル半径方向で同一直線上に並ぶような位置関係に設定されるのが最も好ましい。
コイル54(n)のリング形状が円形以外(たとえば矩形)の場合も含めると、切れ目80がコイル周回方向に対して斜めに形成される場合は、一方のコイル端部82aに一方の高周波給電ライン58が接続される位置(RF給電ポイント)RF-Inと他方のコイル端部82bに他方の高周波給電ライン60が接続される位置(RF給電ポイント)RF-Outとの間でコイル周回方向のギャップが存在しない関係が好ましく、両RF給電ポイントRF-In,RF-Outがコイル周回方向で重なり合う位置関係が最も好ましい。
本発明者が、上記電磁界シミュレーションの一環として、パラメータを[g=5mm,φ=90°]、[g=5mm,φ=60°]の2通りに選び、他は上記と同じ条件でドーナツ状プラズマ内に励起される電流密度Iの方位角方向分布を計算してプロットしたところ、図7に示すような結果が得られた。
ここで、[g=5mm,φ=60°]の条件は上記のように図6の実施例に相当し、[g=5mm,φ=90°]の条件は図2の実施例に相当する。すなわち、図2に示す実施例は、コイル54(n)の切れ目80がコイル周回方向に対して垂直にまっすぐ延びるように形成されており、φ=90°で定義される。
図7に示すように、コイル54(n)の切れ目80をコイル周回方向に対して斜めに形成する図6の実施例では、切れ目80の位置に対応する箇所で電流密度Iが落ち込むどころかむしろ増大し、全般的に方位角方向における電流密度Iの偏差は非常に小さく、約4%に改善されている。
図6の実施例において、切れ目80の位置に対応する箇所で電流密度Iが他よりも増大するのは、両RF給電ポイントRF-In,RF-Outがコイル周回方向において5mmだけ互いに通り越す位置関係に設定されたため、その区間でRF給電ポイントRF-Inに入った直後のコイル電流とRF給電ポイントRF-Outから出る直前のコイル電流とが同じ向きで重なり合うためである。したがって、両RF給電ポイントRF-In,RF-Outがコイル周回方向において互いに重なり合う位置に設定された場合は、方位角方向における電流密度Iの偏差(不均一性)は更に減少することが推認される。
図8Aに示す別の実施例は、コイル54(n)の切れ目80がコイル周回方向に対してコイル導体82の内周面から外周面に向かい、かつコイル導体82の上面から下面に向かって斜めに延びている構成が特徴的である。かかる構成により、プラズマ側からは切れ目80の箇所が一層見え難くなり、周回方向におけるコイル54(n)のコイル導体82の擬似的連続性が更に向上する。
なお、コイル54(n)のコイル導体82の断面形状は任意であり、たとえば図8Bに示すように三角、四角または円のいずれであってもよい。
図9に、コイル54(n)の切れ目に起因する特異点の存在を解消または抑制するのに有効な別の実施例を示す。この実施例におけるコイル54(n)は、互いに近接して平行に延び、コイル周回方向の同じ場所に切れ目84がある外側および内側のコイル導体86,88と、これらのコイル導体86,88の切れ目84と隣接するそれぞれの一方(図の左側)のコイル端部を共通接続する第1の接続導体90Lと、これらのコイル導体86,88の切れ目84と隣接するそれぞれの他方(図の右側)のコイル端部を共通接続する第2の接続導体90Rと、第1の接続導体90Lから切れ目84のギャップ内に延びて、高周波給電部56(図1)からの一方の高周波給電ライン58(図1)と接続する第3の接続導体92Lと、第2の接続導体88から切れ目84のギャップ内に延びて、高周波給電部56(図1)からの他方の高周波給電ライン60と接続する第4の接続導体92Rとを有している。
たとえば、内側のコイル導体88は、内半径が108mm、外半径113がmmである。外側のコイル導体86は、内半径が118mm、外半径が123mmである。両コイル導体86,88は、径方向で10mmの間隔を隔てて同心状に配置される。
ここで、第3の接続導体92Lに高周波給電ライン58が接続されるRF給電ポイントRF-Inと第4の接続導体92Rに高周波給電ライン60が接続されるRF給電ポイントRF-Outとがコイル周回方向において重なり合うような位置関係、つまり円形コイル54(n)の中心OとRF給電ポイントRF-In,RF-Outの3者がコイル半径方向で同一直線N上に並ぶような位置関係が最も好ましい。
本発明者が、上記電磁界シミュレーションの一環として、図9の実施例について上記と同様の条件でドーナツ状プラズマ内に励起される電流密度Iの方位角方向分布を計算してプロットしたところ、図10に示すような結果が得られた。図示のように、方位角方向における電流密度Iの偏差は非常に小さく、2%未満に改善されている。
この実施例の一変形例として、図11に示すように、一方のRF給電ポイントRF-Inと他方のRF給電ポイントRF-Outとがコイル周回方向において互いに通り越すような位置関係に設定する構成も可能である。もっとも、この場合は、RF給電ポイントRF-Inに入った直後のコイル電流とRF給電ポイントRF-Outから出る直前のコイル電流とが同じ向きで重なり合うため、切れ目84に対応する箇所で電流密度Iが他よりも幾らか増大する傾向がある。
この実施例の別の一変形例として、図12に示すように、一方のRF給電ポイントRF-Inと他方のRF給電ポイントRF-Outとがコイル周回方向においてギャップを介して離間するような位置関係も可能である。もっとも、この場合は、切れ目84に対応する箇所で電流密度Iが他よりも幾らか落ち込む傾向がある。
図13および図14に、コイル54(n)内に周回方向に等間隔で複数(図示の例は2つ)の切れ目80・・を設ける実施例を示す。この場合、1つの切れ目80が高周波給電ライン58,60と接続するための本来の切れ目であり、残りの切れ目80'はすべてダミーである。各ダミーの切れ目80'には、当該切れ目80'を介して相対向する一対のコイル端部の間に跨る架橋型の接続導体92が設けられる。
通常、誘導結合型においては、RFアンテナ(コイル)直下では径方向に不均一(ドーナツ状)にプラズマを生成し、それが拡散してサセプタ上または半導体ウエハの直上では均一なプラズマが得られるように設計される。周回方向(方位角方向)においても、拡散ドーナツ状プラズマ内の不均一性は半導体ウエハの直上で平滑化されるが、径方向に比べて平滑化に必要な距離が長い(円周に相当)ために、平滑化し難い傾向がある。
この点、この実施例のように、コイル54(n)内に不連続点(切れ目)を周回方向に等間隔で複数設けると、周回方向においてプラズマ密度の平滑化に必要な拡散距離が短くなる。たとえば、不連続点(切れ目)がN個(Nは2以上の自然数)あれば、拡散に必要な距離は円周の1/Nになり、平滑化しやすくなる。
なお、図14に示すように、コイル54(n)のコイル導体82が縦型であって、切れ目80,80'が縦方向に延びる構成も可能である。
図15に示す実施例は、コイル54(n)のコイル導体82の切れ目80を介して相対向する一対のコイル端部82a,82bから上方(誘電体窓52と遠くなる方向)にコイル周回方向に対して一定の角度(好ましくは45°〜70°)で斜めにかつ平行に延びる一対の接続導体94,96を有し、一方の接続導体94の先端部に一方の高周波給電ライン58を接続し、他方の接続導体96の先端部に一方の高周波給電ライン60を接続する構成を特徴とする。なお、切れ目80のギャップ幅は10mm以下のサイズが好ましい。
図16Aおよび図16Bに、RFアンテナ54を渦巻き型コイルで構成した場合の一実施例を示す。なお、図16Aおよび図16Bは、同一構造のRFアンテナ54を角度(方角)を変えて見た斜視図である。
この実施例においては、RFアンテナ54が、平面(たとえば誘電体窓52)上で互いに180度の位相をずらして渦巻き状に延びる第1および第2の主コイル導体100,102と、これら第1および第2の主コイル導体100,102のそれぞれの周辺側のコイル端部100e,102eより該平面に対して互いに180度の位相をずらして一定の傾斜角β(たとえばβ=1.5°〜2.5°)で上昇しながら渦巻き状(図示の例では半回転の渦巻き)に延びる第1および第2の補助コイル導体104,106とを有している。第1および第2の主コイル導体100,102のそれぞれの中心側のコイル端部には高周波給電部56(図1)からの一方の高周波給電ライン58が共通接続される。また、第1および第2の補助コイル導体104,106のそれぞれの上端側のコイル端部104u,106uに高周波給電部56(図1)からの他方の高周波給電ライン60(図1)が共通接続される。
一般に、渦巻き型コイルは、両高周波給電ポイントRF-In,RF-Outの位置がコイルの中心部と外周端部とに大きく離れて位置し、プラズマ側から見るとコイル端部102e,104eが突然に終端するような構造を採る。そこで、この実施例では、上記のようにプラズマ側から徐々に遠くなるように螺旋状に延びる補助コイル導体104,106をコイル端部102e,104eに接続することで、コイル外周部付近の周回方向におけるプラズマ密度分布の均一性を向上させるようにしている。
本発明者が、図16A(図16B)の実施例について、上記と同様の電磁界シミュレーションを実施し、半径r=8mm,120mm,170mm,230mmの円周上に励起される電流の密度(プラズマ密度に相当)Iを計算してプロットしたところ、図17Aおよび図17Bに示すような結果が得られた。 なお、この電磁界シミュレーションでは、RFアンテナ54の外径(半径)を230 mmに設定した。
また、比較例として、図18に示すように、主コイル導体100,102の端部100e,102eに補助コイル導体104,106を接続せずに他方の高周波給電ポイントRF-Outを設ける構成についても同様の電磁界シミュレーションを実施し、半径r=8mm,120mm,170mm,230mmの円周上に励起される電流の密度(プラズマ密度に相当)Iを計算してプロットしたところ、図19Aおよび図19Bに示すような結果が得られた。
r=8mm,120mm,170mmでの偏り(ばらつき)は実施例と比較例との間に差異はないが(図16A,図19A)、コイル外周部のr=230mmでの偏り(ばらつき)は著しく相違し、比較例の100%に対して実施例では37%に減少している(図16B,図19B)。
なお、図16A(図16B)の実施例では、一対の渦巻き型主コイル導体100,102と一対の渦巻き型補助コイル導体104,106とによってRFアンテナ54を構成した。しかし、単一の渦巻き型主コイル導体100と単一の渦巻型補助コイル導体104とによってRFアンテナ54を構成することも可能である。
図20に示す実施例は、コイル54(n)の構成に関して、第1および第2の実施例(図2〜図8A)の発展型であり、四方(a)、(b),(c),(d)のいずれの方向においても切れ目80のギャップが中心部のわずか1箇所110a,110b,110c,110dだけでしか素通りできない構造になっている。かかる構成により、プラズマ側からは切れ目80の箇所が殆ど見えなり、周回方向におけるコイル54(n)のコイル導体82の擬似的連続性が極限まで向上する。
上述した実施形態における誘導結合型プラズマエッチング装置の構成は一例であり、プラズマ生成機構の各部はもちろん、プラズマ生成に直接関係しない各部の構成も種種の変形が可能である。
たとえば、RFアンテナ54に対する高周波給電の一形態として、少なくとも1つの給電ライン上に、あるいは少なくとも1つの給電ライン(特に帰線の給電ライン60)と電気的に接地されている導電性の接地部材との間に、コンデンサを接続する構成も可能である。
また、RFアンテナの基本形態として、平面型以外のタイプたとえばドーム型等も可能である。また、RFアンテナを各一周内で半径が一定の同心円型コイルで構成する場合は、チャンバの天井以外の箇所に設置されるタイプも可能であり、たとえばチャンバの側壁の外に設置されるヘリカルタイプも可能である。
RFアンテナ54をコイル径の異なる複数の単巻きコイル54(1),54(2),54(3)で構成する場合、各単巻きコイル54(n)に個別の高周波給電部56(n)を接続する構成も可能である。また、各単巻きコイル54(n)に代えて複巻きコイルを用いることも可能である。矩形の被処理基板に対応して矩形のチャンバ構造、矩形のRFアンテナ構造も可能である。
処理ガス供給部においてチャンバ10内に天井から処理ガスを導入する構成も可能であり、サセプタ12に直流バイアス制御用の高周波RFLを印加しない形態も可能である。
さらに、本発明による誘導結合型のプラズマ処理装置またはプラズマ処理方法は、プラズマエッチングの技術分野に限定されず、プラズマCVD、プラズマ酸化、プラズマ窒化、スパッタリングなどの他のプラズマプロセスにも適用可能である。また、本発明における被処理基板は半導体ウエハに限るものではなく、フラットパネルディスプレイ用の各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等も可能である。
10 チャンバ
12 サセプタ
52 誘電体窓
54 RFアンテナ
54(1),54(2),54(3),54(n) コイル
58,60 高周波給電ライン
62 高周波電源
80 切れ目
82 コイル導体
84 切れ目
86,88 コイル導体

Claims (6)

  1. 少なくとも一部が誘電体窓からなる真空排気可能な処理容器と、
    前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、
    前記被処理基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
    前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために、前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、
    前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と
    を具備し、
    前記RFアンテナが、
    互いに近接して平行に延び、コイル周回方向の同じ場所に切れ目がある第1および第2のコイル導体と、
    前記第1および第2のコイル導体の前記切れ目と隣接するそれぞれの一方のコイル端部を共通接続する第1の接続導体と、
    前記第1および第2のコイル導体の前記切れ目と隣接するそれぞれの他方のコイル端部を共通接続する第2の接続導体と、
    前記第1の接続導体から前記切れ目のギャップ内に延びて、前記高周波給電部からの第1の高周波給電ラインと接続する第3の接続導体と、
    前記第2の接続導体から前記切れ目のギャップ内に延びて、前記高周波給電部からの第2の高周波給電ラインと接続する第4の接続導体と
    を有し、
    前記第3の接続導体に前記第1の高周波給電ラインが接続される位置と前記第4の接続導体に前記第2の高周波給電ラインが接続される位置と前記RFアンテナの中心とがコイル半径方向で同一直線上に並んでいる、
    プラズマ処理装置。
  2. 前記第1および第2のコイル導体は、互いに同心状に配置され、径方向で隣接している、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 少なくとも一部が誘電体窓からなる真空排気可能な処理容器と、
    前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、
    前記被処理基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
    前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために、前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、
    前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と
    を具備し、
    前記RFアンテナが、コイル周回方向に等間隔で複数の切れ目がある単巻または複巻のコイル導体を有し、
    前記複数の切れ目の1つを介して相対向する一対のコイル端部に前記高周波給電部からの一対の高周波給電ラインがそれぞれ接続され、
    前記複数の切れ目の残りの各々には、当該切れ目を介して相対向する一対のコイル端部の間に跨る架橋接続導体が設けられ、
    前記コイル導体は縦方向にも延びる縦型であり、前記架橋接続導体は前記コイル導体の上端部により形成されている、
    プラズマ処理装置。
  4. 少なくとも一部が誘電体窓からなる真空排気可能な処理容器と、
    前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、
    前記被処理基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
    前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために、前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、
    前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と
    を具備し、
    前記RFアンテナが、コイル周回方向で切れ目がある単巻または複巻のコイル導体と、前記コイル導体の前記切れ目を介して相対向する一対のコイル端部から前記誘電体窓と遠くなる方向にコイル周回方向に対して一定の角度で斜めにかつ平行に延びる一対の接続導体とを有し、
    前記切れ目のギャップ幅が10mm以下であり、
    前記一対の接続導体に前記高周波給電部からの一対の高周波給電ラインがそれぞれ接続されている
    プラズマ処理装置。
  5. 天井に誘電体窓を有する真空排気可能な処理容器と、
    前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、
    前記被処理基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
    前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために、前記誘電体窓の上に設けられるRFアンテナと、
    前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と
    を具備し、
    前記RFアンテナが、一定の平面上で渦巻き状に延びる主コイル導体と、前記主コイル導体の周辺側のコイル端部より前記平面に対して一定の傾斜角で上昇しながら少なくとも半周に亘って渦巻き状に延びる補助コイル導体とを有し、
    前記主コイル導体の中心側のコイル端部に前記高周波給電部からの一対の高周波給電ラインが接続され、
    前記補助コイル導体の上端側のコイル端部に前記高周波給電部からの他方の高周波給電ラインが接続されている、
    プラズマ処理装置。
  6. 前記RFアンテナが、前記平面上で互いに180度の位相をずらして渦巻き状に延びる第1および第2の主コイル導体と、前記第1および第2の主コイル導体のそれぞれの周辺側のコイル端部より前記平面に対して互いに180度の位相をずらして前記一定の傾斜角で上昇しながら少なくとも半周に亘って渦巻き状に延びる第1および第2の補助コイル導体とを有し、
    前記第1および第2の主コイル導体のそれぞれの中心側のコイル端部に前記高周波給電部からの一方の高周波給電ラインが共通接続され、
    前記第1および第2の補助コイル導体のそれぞれの上端側のコイル端部に前記高周波給電部からの他方の高周波給電ラインが共通接続されている
    請求項5に記載のプラズマ処理装置。
JP2014051550A 2014-03-14 2014-03-14 プラズマ処理装置 Expired - Fee Related JP5800937B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014051550A JP5800937B2 (ja) 2014-03-14 2014-03-14 プラズマ処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014051550A JP5800937B2 (ja) 2014-03-14 2014-03-14 プラズマ処理装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009246014A Division JP5554047B2 (ja) 2009-10-27 2009-10-27 プラズマ処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014150064A JP2014150064A (ja) 2014-08-21
JP5800937B2 true JP5800937B2 (ja) 2015-10-28

Family

ID=51572855

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014051550A Expired - Fee Related JP5800937B2 (ja) 2014-03-14 2014-03-14 プラズマ処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5800937B2 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0710055B1 (en) * 1994-10-31 1999-06-23 Applied Materials, Inc. Plasma reactors for processing semi-conductor wafers
US6660134B1 (en) * 1998-07-10 2003-12-09 Applied Materials, Inc. Feedthrough overlap coil
JP3462865B2 (ja) * 2001-07-10 2003-11-05 三菱重工業株式会社 給電アンテナ及び半導体製造装置
JP3787079B2 (ja) * 2001-09-11 2006-06-21 株式会社日立製作所 プラズマ処理装置
US7571697B2 (en) * 2001-09-14 2009-08-11 Lam Research Corporation Plasma processor coil
JP4111383B2 (ja) * 2002-11-27 2008-07-02 株式会社エフオーアイ プラズマ発生装置
KR100513163B1 (ko) * 2003-06-18 2005-09-08 삼성전자주식회사 Icp 안테나 및 이를 사용하는 플라즈마 발생장치
WO2006004281A1 (en) * 2004-03-30 2006-01-12 Adaptive Plasma Technology Corp. Plasma source coil and plasma chamber using the same
JP4657620B2 (ja) * 2004-04-13 2011-03-23 株式会社日立ハイテクノロジーズ プラズマ処理装置
WO2008065744A1 (fr) * 2006-11-28 2008-06-05 Samco Inc. Appareil de traitement au plasma

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014150064A (ja) 2014-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5554047B2 (ja) プラズマ処理装置
JP5554099B2 (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP5592098B2 (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP5723130B2 (ja) プラズマ処理装置
US9953811B2 (en) Plasma processing method
JP5851682B2 (ja) プラズマ処理装置
JP5800532B2 (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
US9218943B2 (en) Plasma processing apparatus and plasma processing method
US6417626B1 (en) Immersed inductively—coupled plasma source
JP5800937B2 (ja) プラズマ処理装置
JP6097317B2 (ja) プラズマ処理方法
JP6062461B2 (ja) プラズマ処理装置
JP2015159118A (ja) プラズマ処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150728

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150825

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5800937

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees