JP5798573B2 - 親水性増粘剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、親水性増粘剤及びその製造方法に関する。
親水性増粘剤として、キサンタンガム、グアーガム等に代表される天然物系増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等に代表される半合成物系増粘剤、及び、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド等に代表される合成物系増粘剤が広く使用されている。
カルボキシビニルポリマー等のカルボキシル基含有親水性重合体は、少量の使用で優れた増粘性を示すことから、化粧品、トイレタリーをはじめ種々の産業分野において有用な増粘剤、分散剤又は乳化安定剤等として好適に使用されている。カルボキシビニルポリマーは、カルボキシル基及びビニル基を有するアクリル酸等の水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体であり、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の油溶性架橋剤により架橋されている場合もある。
従来、親水性増粘剤に用いられるカルボキシル基含有親水性重合体は、有機溶媒を用いた沈殿重合法により製造されることが多い。沈殿重合法では、重合の進行に伴って有機溶媒に不溶となって析出してくるポリマー粒子が回収される。回収されたポリマー粒子が増粘剤として用いられる。一方、吸水性樹脂の製造方法において、逆相懸濁重合の採用が検討されている(特許文献1)。
特開平3−227301号公報 特開平4−218582号公報 特開平1−149805号公報
一般に、親水性増粘剤として用いられるポリマー粒子の増粘特性は、ポリマー粒子のサイズ及び形状、並びに、ポリマーの架橋度及び分子量等の性状と密接に関連している。したがって、所望の増粘特性を有するためには、これらの性状を精密に制御することが必要とされる。
しかし、沈殿重合法では、得られるポリマー粒子の性状が有機溶媒に対するポリマーの溶解性の影響を大きく受けることから、ポリマーの性状を任意に制御することは非常に困難である。そのため、沈殿重合法により製造される従来のカルボキシル基含有親水性重合体を用いた親水性増粘剤の場合、増粘特性等の性能を、要求特性の異なる多様な用途それぞれに応じて適正化する上で制約が多いという問題があった。
そこで、本発明は、少量の使用で優れた増粘性を示し、しかも各種の用途に適するように増粘特性を容易に調整することが可能な親水性増粘剤を提供することを目的とする。
本発明は、水溶性架橋剤により架橋された、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である架橋重合体に関する。水及び1.0質量%の当該架橋重合体からなるpH6.8〜7.0の水性液の25℃における平衡コンプライアンスは、5.2×10−4〜1.0×10−1(1/Pa)であり、且つ、水及び0.2質量%の当該架橋重合体からなるpH6.8〜7.0の水性液の25℃における粘度は、200mPa・s以上である。当該架橋重合体がカルボン酸塩又はスルホン酸塩に由来するモノマー単位を含む場合、それぞれ対応するカルボン酸又はスルホン酸に由来するモノマー単位の質量をそれぞれのモノマー単位の質量とみなして、上記水性液における架橋重合体の濃度(質量%)が計算される。また、本発明は、係る架橋重合体を含有する親水性増粘剤を提供する。
本発明者らの知見によれば、架橋重合体及び水からなる水性液の平衡コンプライアンス及び粘度が同時に上記特定の範囲内にあることにより、少量の使用で十分に高い増粘性を得ることができる。加えて、本発明に係る架橋重合体は、水溶性架橋剤により架橋されていることから、懸濁重合法により容易に製造することができる。懸濁重合法によれば、攪拌速度等の重合条件を変化させることにより、所望の粒子径、架橋度、分子量等の性状を有するポリマー粒子として架橋重合体を得ることができる。したがって、各種の用途に適するように増粘特性を容易に調整することが可能である。
水溶性架橋剤は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル及び水溶性ショ糖アリルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。特に、水溶性架橋剤は水溶性ショ糖アリルエーテルを含むことがより好ましい。水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度は、1.8〜4.0であることが好ましい。
水溶性エチレン性不飽和単量体は、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びに、N,N−ジメチルアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。
別の側面において、本発明は、水溶性エチレン性不飽和単量体を、水溶性ショ糖アリルエーテルの存在下で逆相懸濁重合法により重合させて、水溶性ショ糖アリルエーテルにより架橋された、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である架橋重合体を生成させる工程を含む、架橋重合体を含有する親水性増粘剤の製造方法に関する。
本発明に係る製造方法によれば、少量の使用で優れた増粘性を示し、しかも各種の用途に適するように増粘特性を容易に調整することが可能な親水性増粘剤を製造することができる。
本発明によれば、少量の使用で優れた増粘性を示し、しかも各種の用途に適するように増粘特性を容易に調整することが可能な親水性増粘剤を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る架橋重合体は、1種又は2種以上の水溶性エチレン性不飽和単量体から構成される重合体であり、水溶性架橋剤によって架橋されている。係る架橋重合体は、通常、ポリマー粒子の状態で親水性増粘剤として用いられる。このポリマー粒子が水、又は水を含む水性液に加えられたときに粒子状の膨潤ゲルが形成され、水性液が増粘する。
本実施形態に係る当該架橋重合体及び水からなる水性液であって、当該架橋重合体の濃度が1.0質量%で、pH6.8〜7.0である水性液の25℃における平衡コンプライアンスは、好ましくは5.2×10−4〜1.0×10−1(1/Pa)である。また、当該架橋重合体の濃度が0.2質量%で、pH6.8〜7.0である水性液の25℃における粘度は、好ましくは200mPa・s以上である。前記粘度は、100000mPa・s以下であることがより好ましい。上記の平衡コンプライアンス値および0.2質量%濃度での増粘性を併せ持つことが、当該架橋重合体の特色である。
平衡コンプライアンスは軟らかさの指標であり、平衡コンプライアンスの値が大きいほど、架橋重合体と水との混合液が軟らかいと言える。一般的には、平衡コンプライアンスを弾性係数の逆数と考えることができる。平衡コンプライアンスが小さいと、親水性増粘剤としてのなめらかさが損なわれて増粘効果が低下する傾向がある。係る観点から、平衡コンプライアンスは、より好ましくは5.5×10−4以上である。平衡コンプライアンスが大きすぎると、増粘効果が小さくなる傾向がある。係る観点から、平衡コンプライアンスは、より好ましくは1.0×10−1以下である。平衡コンプライアンスの上限及び下限は、1.00×10−2、4.93×10−3、5.60×10−4、9.80×10−4、3.00×10−3、5.50×10−3、1.10×10−3、又は5.20×10−3であってもよい。
架橋重合体を含む水性液の粘度は、増粘性の指標であり、その値が大きい程、架橋重合体による増粘効果が大きい。当該架橋重合体は、0.2質量%と極めて小さい濃度から粘度が増加し始めて、増粘剤として一般的に使用される0.5質量%程度の少量の添加で良好な増粘性を示す。一方、粘度の値が大き過ぎると、水性液の粘度の安定性が低下して粘度の経時変化が大きくなる傾向があるとともに、水性液を調製する際に継粉が生じ易く、水性液の扱いが非常に不便なものとなり易い等、実用上の問題がある。係る観点から、0.2質量%の水性液の粘度は、より好ましくは300〜50000mPa・sである。0.2質量%の水性液の粘度の上限及び下限は、4000mPa・s、1500mPa・s、600mPa・s、900mPa・s、800mPa・s、750mPa・s、1200mPa・s、又は1600mPa・sであってもよい。
平衡コンプライアンス又は粘度を測定する際、架橋重合体を含む水性液のpHは、必要に応じてpH調整剤を用いて、6.8〜7.0に調整される。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア及び有機アミン類が挙げられる。
水溶性エチレン性不飽和単量体は、特に限定されるものではないが、好ましくは、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びに、N,N−ジメチルアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である。これらの中でも、十分な増粘性を得やすいこと等の観点から、カルボキシル基を有する単量体、すなわち、アクリル酸及びその塩、並びに、メタクリル酸及びその塩が好ましい。
水溶性架橋剤は、好ましくは、重合性不飽和基及び/又は反応性官能基を2個以上有する化合物である。反応性官能基は、水溶性エチレン性不飽和単量体が有するカルボキシル基等の官能基と反応して、架橋構造を形成し得る官能基である。その具体例としては、グリシジル基がある。2個以上のグリシジル基を有する水溶性架橋剤の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテルがある。2個以上の重合性不飽和基を有する水溶性架橋剤の例としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート及び水溶性ショ糖アリルエーテルがある。
通常、ショ糖アリルエーテルは、アルカリ触媒下で、臭化アリル等を用いてショ糖をアリルエーテル化する方法により合成される。このときのエーテル化の程度に応じて、油溶性又は水溶性のショ糖アリルエーテルが得られる。エーテル化度5.0〜8.0の高置換度の油溶性(疎水性)ショ糖アリルエーテルは、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等と同様に、有機溶媒を使用した沈殿重合法によるカルボキシビニルポリマーの架橋剤として広く使用されている。一方、本実施形態で架橋剤として用いられる水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度は、1.8〜4.0程度である。このエーテル化度は、ショ糖に対するアリルエーテル基のモル比の平均値である。エーテル化度は、例えば、ショ糖アリルエーテル中に残存する水酸基を、ピリジン中で無水酢酸と反応させ、このとき消費される無水酢酸の量から算出することができる。ショ糖アリルエーテルのエーテル化度は、その化学構造から最大で8.0である。
水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度が低いと、架橋反応に関わる官能基であるアリル基が不足して、架橋反応が効果的に進行し難くなる傾向がある。水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度が高いと、水に対する溶解性が低下するため、水相中においてショ糖アリルエーテルと水溶性エチレン性不飽和単量体との架橋反応が進行し難くなる傾向がある。係る観点から、水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度は、好ましくは2.0〜3.5、より好ましくは2.2〜3.2である。
水溶性ショ糖アリルエーテルは、例えば、ショ糖水溶液に触媒の水酸化ナトリウムを加え、ショ糖をアルカリショ糖に転化した後、臭化アリルを滴下してエーテル化を行う方法により得ることができる。このとき、臭化アリルの量を、ショ糖に対して2〜6倍モルの、好ましくは2〜5倍モルの範囲に調整することにより、効率的に水溶性ショ糖アリルエーテルを得ることができる。エーテル化の反応温度は、例えば80℃程度である。通常、臭化アリルの滴下後3時間程度で反応が完結する。反応液から分離した水相にアルコールを添加し、析出する塩類を濾別した後、余分なアルコールと水分を留去させることにより、水溶性ショ糖アリルエーテルを回収することができる。
架橋重合体を得る際に用いられる水溶性架橋剤の量は、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して好ましくは0.01〜2.0質量%、より好ましくは0.02〜1.0質量%、さらに好ましくは0.05〜1.0質量%である。水溶性架橋剤の量が少ないと架橋反応が十分に進行し難くなる傾向がある。水溶性架橋剤の量が多すぎると、架橋過多となり適度な膨潤性を有するポリマー粒子が得られ難くなる傾向がある。水溶性エチレン不飽和単量体としてアクリル酸塩及びメタクリル酸塩等のカルボン酸塩、又は2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸塩等のスルホン酸塩を用いる場合、上記の水溶性架橋剤の比率は、それぞれ対応するカルボン酸又はスルホン酸の質量を基準として計算される。
本実施形態に係る架橋重合体は、例えば、水溶性エチレン性不飽和単量体を、水溶性架橋剤の存在下で懸濁重合法により重合させる工程を含む方法により得ることができる。懸濁重合法のなかでも、水溶性エチレン性不飽和単量体、水溶性架橋剤及び水を含む水相の液滴を疎水性溶媒中に分散させながら重合反応を行う逆相懸濁重合法が好ましい。
逆相懸濁重合に用いられる疎水性溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素から選ばれる石油系炭化水素溶媒が用いられる。脂肪族炭化水素としては、n−ペンタン、n−ヘキサン及びn−ヘプタン等が挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン及びキシレン等が挙げられる。特に、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン及びトルエンから選ばれる少なくとも1種の疎水性溶媒が、工業的な汎用溶媒として好適に使用される。疎水性溶媒の比率は、水溶性エチレン性不飽和単量体等を含む水相100質量部に対して、例えば100〜200質量部である。
水溶性エチレン性不飽和単量体等を含む水相、又は前記疎水性溶媒は、界面活性剤及びラジカル開始剤等の他の成分を含んでいてもよい。
界面活性剤は、主に重合中の懸濁状態を安定化させるために用いられる。界面活性剤は、逆相懸濁重合において通常用いられるものであれば特に限定されない。好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、変性ポリエチレンワックス、変性ポリプロピレンワックス、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロースエーテル(ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩から選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤が用いられる。
界面活性剤の量は、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。界面活性剤の量が少ないと重合の際の懸濁状態の安定性に問題が生じる可能性があり、界面活性剤の量が多いと経済的に不利となる傾向がある。
ラジカル開始剤は、通常のラジカル重合に用いられるものであれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及びアゾ系開始剤などが好適に使用される。例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩をラジカル開始剤として用いることができる。
ラジカル開始剤の量は、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.02〜0.2質量%である。ラジカル開始剤の量が少ないと重合反応が進行し難くなったり、反応に長時間が必要となったりする傾向がある。ラジカル開始剤の量が多すぎると、急激な重合反応が起こる可能性があることから、工程の管理が困難になる傾向がある。
逆相懸濁重合の際、水溶性エチレン性不飽和単量体等を含む液滴のサイズは、得られるポリマー粒子のサイズと密接な関係がある。反応容器及び製造スケール等の条件により異なるが、例えば2Lのフラスコを反応容器として用いた場合、攪拌速度600〜1000回転/分の条件で逆相懸濁重合を行うことにより、本発明の目的に適したサイズのポリマー粒子を得ることができる可能性が高い。また、添加する水溶性架橋剤の量により、架橋重合体の分子量及び架橋度を調整させることができる。このように、重合反応時の撹拌速度及び水溶性架橋剤の添加量を調整し、ポリマー粒子のサイズ、分子量及び架橋度を制御することで、親水性増粘剤としての特性をそれぞれの用途に応じて容易に適性化させることができる。
重合反応のその他の諸条件、例えばラジカル開始剤の量、重合反応温度、反応時間等も適宜調整される。重合反応温度は、例えば50〜80℃であり、反応時間は、例えば30分〜3時間である。例えば2Lのフラスコを反応容器として用いる場合、その浴温を60℃に調整して重合反応を開始させることができる。この場合、重合反応の開始は、反応容器内の温度が重合熱で70数℃に上昇することから確認できる。その後、30分〜3時間程度の熟成反応を行うことで、通常は重合反応が完結する。熟成反応時間が、それより短いと反応が充分に完了せず、残存する水溶性エチレン性不飽和単量体が多くなることがある。熟成反応後、浴温を上昇させて反応容器内の水及び石油系炭化水素溶媒を留去させることで、生成物を取得することができる。
既述したように、従来の有機溶媒を用いたカルボキシビニルポリマーの沈殿重合の反応では、重合の進行に伴い高分子量化したポリマーの析出が起こる。一旦析出したポリマー粒子中では、それ以上の反応がほとんど進まないものと考えられる。このため、沈殿重合法では、ショ糖のアリルエーテル化度を高くして油溶性とすることにより、有機溶媒に対する溶解性を保ちながら、より効果的に架橋反応を進行させる必要があった。
一方、逆相懸濁重合法の場合、水溶性架橋剤を用いることにより、重合反応中に高分子量化したポリマーの析出が起こることなく、反応終了まで均一な状態が保たれる。そのため、従来の油溶性ショ糖アリルエーテルに比べて架橋点の少ない低置換度の水溶性ショ糖アリルエーテルを用いたときであっても、効果的に架橋反応が進むものと考えられる。
アクリル酸等の酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体から構成された従来の架橋重合体の粒子は、水に分散させ、水酸化ナトリウム等のアルカリで中和して膨潤ゲルを形成させた後、親水性増粘剤として種々の用途に使用されている。すなわち、親水性増粘剤としての架橋重合体を用いるためには、分散及び中和を含む複雑な工程が必要とされる。しかも、分散工程ではゲルが継粉にならないように注意深く撹拌しながらポリマー粒子を添加する必要があり、扱い易い増粘剤とは言い難い。
予めアルカリによりカルボキシル基が中和されており、中和工程を必要としない増粘剤も、これまでに提案されている(特許文献2、3)。しかし、これらの増粘剤は、カルボキシビニルポリマーを先ず製造し、その後、溶媒中での中和および濃縮分離工程等を経て製品化したものであり、製造方法が煩雑であることから、実用的には問題が多い。またこのカルボキシビニルポリマーは、有機溶媒からポリマーを析出させる従来の沈殿重合法であり、本実施形態のようにポリマー粒子の性状が十分に制御されたものではない。
これに対して、本実施形態のように、酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体を予めアルカリで中和してから逆相懸濁重合法に用いることにより、分散及び中和の工程が不要となり、増粘のためにそのまま製品に添加することが可能な親水性増粘剤を、重合工程から得ることができる。また、生成物の粉体流動性が優れることから作業性も良く、増粘剤を製品に直接添加して溶解させるだけで所望の粘度が得られるなど、使い勝手に優れており、その工業的な利点はきわめて大きいと言える。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
製造例1(水溶性ショ糖アリルエーテルの合成)
撹拌機、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた1Lの四つ口セパラブルフラスコにイオン交換水86gと水酸化ナトリウム40g(1モル)を加え、水酸化ナトリウムをイオン交換水に溶解させた。さらにショ糖68.4g(0.2モル)を添加して、80℃で90分間、撹拌しながら反応させてアルカリショ糖水溶液を得た。このアルカリショ糖水溶液に対して、エーテル化反応に伴う急激な発熱を制御しながら、臭化アリル121g(1モル)を2時間かけて滴下した。その後、反応液を80℃で3時間熟成してエーテル化反応を完結させた。冷却後、セパラブルフラスコから取り出した反応液にイオン交換水400gを添加し、不要な油分を分離することで、粗ショ糖アリルエーテル水溶液700gを得た。さらに塩酸を加えてpHを7に調整した後、ロータリーエバポレーターを用いてこの水溶液を240gまで濃縮した。副成物の臭化ナトリウム等の塩類は、エタノール200gを添加し、析出させてから濾別することで水溶液から除いた。次いでロータリーエバポレーターを用いて水溶液から余分な水分を留去させることで、精製された水溶性ショ糖アリルエーテル88gを取得した。この水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度は、2.8であった。
製造例2(油溶性ショ糖アリルエーテルの合成)
撹拌機、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた1Lの四つ口セパラブルフラスコにイオン交換水96gと水酸化ナトリウム96g(2.4モル)を加え、水酸化ナトリウムをイオン交換水に溶解させた。さらにショ糖68.4g(0.2モル)を添加して、80℃で90分間、撹拌しながら反応させてアルカリショ糖水溶液を得た。このアルカリショ糖水溶液に対して、エーテル化反応に伴う急激な発熱を制御しながら、臭化アリル290g(2.4モル)を2時間かけて滴下した。その後、反応液を80℃で3時間熟成してエーテル化反応を完結させた。冷却後、セパラブルフラスコから取り出した反応液にイオン交換水400gを添加して不要な水溶性成分を油分から分離し、油溶性の粗ショ糖アリルエーテルを得た。次いでイオン交換水250gを加えて、ロータリーエバポレーターにより、副成した揮発成分を加えた水と共に留去させた。さらにn−ヘキサン120gとイオン交換水40gを添加し、再度、水溶性の不純物を分液することで取り除いた。分液した油相からn−ヘキサンをロータリーエバポレーターで留去させて、精製された油溶性ショ糖アリルエーテル110gを取得した。この油溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度は、6.5であった。
実施例1
500mL三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液90gを加え、外部よりフラスコを冷却しながら30質量%の水酸化ナトリウム水溶液94gを滴下して水溶液を中和した。さらにイオン交換水56g、架橋剤として製造例1で得られた低置換度の水溶性ショ糖アリルエーテル0.09g(アクリル酸水溶液に対して0.1質量%)、開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(和光純薬工業株式会社製 V−50)0.064gを加えて水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を調製した。これとは別に、撹拌機、還流冷却管、滴下ロート、窒素ガス導入管を取り付けた2Lの四つ口セパラブルフラスコにn−ヘプタン330gを加え、さらに界面活性剤としてショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製 S−370)2.7gを分散及び溶解させた。そこに、先に調製した水溶性エチレン不飽和単量体水溶液を加え、攪拌速度1000回転/分で攪拌しながら、系内を窒素置換すると共に浴温を60℃に保持して、1時間、逆相懸濁重合法により重合を行った。重合終了後、水およびn−ヘプタンを留去して架橋重合体の粉体103gを得た。
実施例2
製造例1で得られた水溶性ショ糖アリルエーテルの添加量を0.35g(アクリル酸水溶液に対して0.4質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体102gを得た。
実施例3
製造例1で得られた水溶性ショ糖アリルエーテルの添加量を0.35g(アクリル酸水溶液に対して0.4質量%)に変更し、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(和光純薬工業株式会社製 V−50)の添加量を0.036gに変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体102gを得た。
実施例4
製造例1で得られた水溶性ショ糖アリルエーテルの添加量を0.7g(アクリル酸水溶液に対して0.8質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体100gを得た。
実施例5
重合の際の撹拌速度を800回転/分に変更したこと以外は実施例3と同様の操作により、架橋重合体の粉体103gを得た。
実施例6
重合の際の撹拌速度を600回転/分に変更したこと以外は実施例3と同様の操作により、架橋重合体の粉体104gを得た。
参考例7
架橋剤を水溶性のN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.09g(アクリル酸水溶液に対して0.1質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体100gを得た。
参考例8
架橋剤を水溶性のエチレングリコールジグリシジルエーテル0.35g(アクリル酸水溶液に対して0.4質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体101gを得た。
比較例1
500mL三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液90gを加え、外部よりフラスコを冷却しながら30質量%の水酸化ナトリウム水溶液94gを滴下して水溶液を中和した。さらにイオン交換水56g、架橋剤として油溶性のペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.26g(アクリル酸水溶液に対して0.3質量%)、開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(和光純薬工業株式会社製 V−50)0.064gを加えて水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を調製した。これとは別に、撹拌機、還流冷却管、滴下ロート、窒素ガス導入管を取り付けた2Lの四つ口セパラブルフラスコにn−ヘプタン330gを加え、さらに界面活性剤としてショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製 S−370)2.7gを分散及び溶解させた。そこに、先に調製した水溶性エチレン不飽和単量体水溶液を加え、撹拌速度1000回転/分で攪拌しながら、系内を窒素置換すると共に浴温を60℃に保持して、1時間重合を行った。重合終了後、水およびn−ヘプタンを留去して、架橋重合体の粉体102gを得た。
比較例2
架橋剤を油溶性のペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.52g(アクリル酸水溶液に対して0.6質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体101gを得た。
比較例3
架橋剤を製造例2で得られた油溶性のショ糖アリルエーテル0.35g(アクリル酸水溶液に対して0.4質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体101gを得た。
比較例4
架橋剤を製造例2で得られた油溶性のショ糖アリルエーテル0.87g(アクリル酸水溶液に対して1.0質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体103gを得た。
比較例5
架橋剤を水溶性のエチレングリコールジグリシジルエーテル1.93g(アクリル酸水溶液に対して2.1質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体102gを得た。
比較例6
架橋剤を水溶性のN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.005g(アクリル酸水溶液に対して0.006質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、架橋重合体の粉体100gを得た。
膨潤ゲルのゲルサイズの測定
各架橋重合体をそれぞれ水に加え、0.05質量%の濃度で膨潤ゲルを含むゲルサイズ測定用の水性液を調製した。架橋重合体がアクリル酸塩、メタクリル酸塩又は2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸塩に由来するモノマー単位を含む場合、それぞれ対応するアクリル酸、メタクリル酸又は2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸に由来するモノマー単位の質量をそれぞれのモノマー単位の質量とみなして、架橋重合体(膨潤ゲル)の質量%を計算した。各水性液のpHは6.8〜7.0であった。得られた水性液に関して、粒子径分布測定装置(株式会社島津製作所製 SALD2000 フローセル使用)を用いたレーザー回折・散乱法により、膨潤ゲルの粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布から求められる平均の粒子径を膨潤ゲルのサイズとした。
架橋重合体を含む水性液の粘度
各架橋重合体をそれぞれ水に加え、0.5質量%又は0.2質量%の濃度で膨潤ゲルを含む水性液を調製した。架橋重合体がアクリル酸塩、メタクリル酸塩又は2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸塩に由来するモノマー単位を含む場合、それぞれ対応するアクリル酸、メタクリル酸又は2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸に由来するモノマー単位の質量をそれぞれのモノマー単位の質量とみなして、架橋重合体(膨潤ゲル)の質量%を計算した。各水性液のpHは6.8〜7.0であった。得られた水性液の粘度を、粘度計(芝浦システム株式会社製 ビスメトロンVS−1H)を用いて、温度25℃、ローターNO.6(20回転/分)の条件下に測定し、測定開始から1分間後の粘度の値を読み取った。
平衡コンプライアンス
各架橋重合体をそれぞれ水に加え、1.0質量%の濃度で膨潤ゲルを含む水性液を調製した。架橋重合体がアクリル酸塩、メタクリル酸塩又は2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸塩に由来するモノマー単位を含む場合、それぞれ対応するアクリル酸、メタクリル酸又は2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸に由来するモノマー単位の質量をそれぞれのモノマー単位の質量とみなして、架橋重合体(膨潤ゲル)の質量%を計算した。各水性液のpHは6.8〜7.0であった。得られた水性液に関して、レオメーター(TAインスツルメント製、AR−2000ex)を用いて25℃、40mmパラレルプレート、ギャップ間距離500または1000μm、印加応力0.01〜10Paの条件下でクリープ測定を行い、歪み公差2%以下の平衡に達した時点のコンプライアンスを平衡コンプライアンスとした。ギャップ間距離、印加応力などの条件は、それぞれのサンプル液に適した条件となるように適宜調製される。平衡コンプライアンスは、測定可能な範囲であれば、測定条件によらず一定の値を示す物性値である。
表1に、各実施例及び比較例に関して、架橋剤の種類、重合の際の攪拌速度、膨潤ゲルのサイズ、重合体を加えた水性サンプル液の粘度及び平衡コンプライアンスを示す。
表1に示されるように、1.0質量%の水性液の平衡コンプライアンスが5.2×10−4〜1.0×10−1(1/Pa)の範囲内にあり、且つ、0.2質量%の水性液の粘度が200mPa・s以上である実施例の架橋重合体によれば、0.5質量%のような少量の使用でも十分な増粘効果が得られることが確認された。1.0質量%の水性液の平衡コンプライアンスが5.2×10−4(1/Pa)より小さい比較例5の架橋重合体の場合、膨潤ゲルの軟らかさが小さく、そのゲルがあまり膨潤しないため、架橋重合体が水に添加されたときに硬く滑らかさのない水性液となった。また、0.2質量%のように極めて低い濃度での水性液の粘度は200mPa・sより低く、ほとんど増粘性を示さず、本発明の架橋重合体とは特性が大きく異なっていた。1.0質量%の水性液の平衡コンプライアンスが1.0×10−1(1/Pa)より大きい比較例6の架橋重合体の場合、膨潤ゲルが軟らか過ぎるために、0.2質量%の水性液の粘度は200mPa・s以上であるものの、増粘剤として一般的に使用される0.5質量%における水性液の粘度が低く、増粘効果が充分でなかった。
以下、実験結果に関してより詳細に検討する。
実施例1、2及び4においては、架橋剤の水溶性ショ糖アリルエーテルの量を水溶性エチレン性不飽和単量体(アクリル酸)に対して0.1質量%、0.4質量%又は0.8質量%とした。その結果、架橋重合体の膨潤ゲルのサイズがそれぞれ140μm、100μm又は80μmとなった。また、実施例1、2及び4の0.5質量%水性液の粘度は、それぞれ8950mPa・s、16700mPa・s及び25000mPa・sであった。架橋剤添加量の増加にともなって生成するポリマー中の架橋点が多くなり、架橋重合体の膨潤ゲルの構造がしっかりしてくる為、膨潤ゲルのサイズが小さくなり、増粘効果が大きくなったと考えられる。実施例1、2及び4の平衡コンプライアンスは、それぞれ1.00×10−2、4.93×10−3及び9.80×10−4であり、架橋剤添加量の増加に伴って小さくなった。すなわち、架橋剤の量を変えることにより、膨潤ゲルの架橋構造を変えて、その増粘効果の程度を調整することができる。
実施例5及び6においては、重合反応時の撹拌速度を実施例4の1000回転/分から800回転/分又は600回転/分に変更した。その他は同じ条件の実施例4と比較すると、膨潤ゲルのサイズが80μmからそれぞれ150μm又は250μmまで大きくなった。これは撹拌による機械的なせん断速度が小さくなったため、重合時の液滴径が大きくなったことが要因と考えられる。実施例4、5及び6の0.5質量%水性液の粘度は、それぞれ25000mPa・s、19000mPa・s及び14800mPa・sであった。すなわち、同じ架橋剤量の仕込み条件(同じ架橋度)で比較すると、膨潤ゲルのサイズが小さくなる程、増粘効果が大きくなった。これは、膨潤ゲルのサイズが小さいほど水性液中でのゲル同士の接触面積が大きくなるためと考えられる。即ち、製造時の機械的な運転条件により、膨潤ゲルのサイズを変えて、その増粘効果の程度を調整することができる。平衡コンプライアンスは、実施例4が9.80×10−4であったのに対して、実施例5及び6ではそれぞれ3.00×10−3及び5.50×10−3であった。すなわち、平衡コンプライアンスが膨潤ゲルのサイズに比例して大きくなる傾向、すなわち水性液が軟らかくなる傾向が認められた。
参考例7では、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して0.1質量%の水溶性のN,N’−メチレンビスアクリルアミドを、参考例8では、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して0.4質量%の水溶性のエチレングリコールジグリシジルエーテルを、架橋剤として用いた。その結果、それぞれの架橋重合体の膨潤ゲルのサイズが100μm又は150μmとなり、0.5質量%水性液の粘度が22400mPa・s又は15000mPa・sとなった。
このように、本発明に係る架橋重合体を増粘剤として用いる場合、水溶性エチレン性不飽和単量体に対する水溶性架橋剤等の仕込み条件、及び撹拌速度等の運転条件を組み合わせることにより、任意に増粘効果及び膨潤ゲルのサイズを制御することができる。
一般的に親水性増粘剤により増粘された製品は、その粘度の大きさで粘性特性を評価している。ただし、増粘された製品の粘性体としての触感は、その粘度と共に膨潤ゲルのサイズの影響を受ける。増粘された製品は、同じ粘度で比較すると、膨潤ゲルのサイズが小さい程ベタつく触感があり、大きくなる程さらっとした触感を有する。これは、膨潤ゲルのサイズが小さい程、水溶液中でのゲル同士の接触面積が大きくなり、その粘着性が増大するためと考えられる。
比較例1〜4では、有機溶媒を用いた沈殿重合法によりカルボキシビニルポリマーを製造する際に使用される油溶性(疎水性)の架橋剤を用いた。それ以外の条件は、実施例と同じ逆相懸濁法の条件で重合反応を実施した。しかし、使用した油溶性架橋剤では架橋反応が十分に進まず、曳糸性のある粘稠液となってしまい、十分な増粘効果を発揮する親水性増粘剤を得ることはできなかった。これは、油溶性の架橋剤を用いた逆相懸濁重合では、アクリル酸塩を含む水性の液滴内に油溶性架橋剤が入れないことから、ポリマーの架橋反応に有効に関与することが出来なかったことに起因すると考えられる。
比較例5では、水溶性架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルを水溶性エチレン性不飽和単量体に対して2.1質量%用いた。平衡コンプライアンスは5.00×10−4と低く、架橋重合体による増粘効果は低いものであった。これは、架橋重合体の主鎖中の架橋点が過多であることから、膨潤ゲルの軟らかさが小さいことに起因すると考えられる。
比較例6では、水溶性架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミドを水溶性エチレン性不飽和単量体に対して0.006質量%用いた。平衡コンプライアンスは2.00×10−1と高く、架橋重合体による増粘効果は低いものであった。これは、架橋重合体の主鎖中の架橋点が少ないため、架橋重合体の膨潤ゲルの構造が弱いためであると考えられる。
本発明による親水性増粘剤は、化粧料、トイレタリー等の種々の産業分野における水性製品の増粘又はレオロジー調整のために好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. 水溶性架橋剤により架橋された、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である架橋重合体であって、
    前記水溶性架橋剤が、エーテル化度が1.8〜4.0である水溶性ショ糖アリルエーテルを含み、
    前記水溶性エチレン性不飽和単量体が、アクリル酸及びその塩、並びにメタクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含み、
    水及び1.0質量%の当該架橋重合体からなるpH6.8〜7.0の水性液の25℃における平衡コンプライアンスが、5.2×10−4〜1.0×10−1(1/Pa)であり、且つ、水及び0.2質量%の当該架橋重合体からなるpH6.8〜7.0の水性液の25℃における粘度が、200mPa・s以上である、架橋重合体。
  2. 請求項に記載の架橋重合体を含有する親水性増粘剤。
  3. 水溶性エチレン性不飽和単量体を、水溶性ショ糖アリルエーテルの存在下で逆相懸濁重合法により重合させて、前記水溶性ショ糖アリルエーテルにより架橋された、前記水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である架橋重合体を生成させる工程を含み、
    前記水溶性ショ糖アリルエーテルのエーテル化度が1.8〜4.0であり、
    前記水溶性エチレン性不飽和単量体が、アクリル酸及びその塩、並びにメタクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む、前記架橋重合体を含有する親水性増粘剤の製造方法。
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