以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(レンズ駆動装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の斜視図である。図2は、図1のE−E断面の断面図である。図3は、図1に示すレンズ駆動装置1の分解斜視図である。なお、以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
本形態のレンズ駆動装置1は、携帯電話、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるものであり、図1に示すように、全体として略四角柱状に形成されている。具体的には、レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、レンズ駆動装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
本形態では、Z方向(上下方向)が光軸方向とほぼ一致している。また、本形態のレンズ駆動装置1が搭載されるカメラでは、下側に図示を省略する撮像素子が配置されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
レンズ駆動装置1は、図1、図2に示すように、撮影用のレンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体2と、可動体2を光軸方向へ移動可能に保持する固定体3と、可動体2を光軸方向へ駆動するための駆動機構4とを備えている。また、レンズ駆動装置1は、図2、図3に示すように、可動体2と固定体3とを繋ぐ板バネ5、6を備えている。すなわち、可動体2は、板バネ5、6を介して固定体3に移動可能に保持されている。本形態では、板バネ5が可動体2の上端側に配置され、板バネ6が可動体2の下端側に配置されている。
可動体2は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ7を保持するスリーブ8を備えている。固定体3は、レンズ駆動装置1の側面の上端側部分を構成するカバー部材10と、レンズ駆動装置1の側面の下端側部分およびレンズ駆動装置1の下端面を構成するベース部材11と、板バネ5の一部が固定されるスペーサ12とを備えている。ベース部材11には、駆動機構4を構成する後述の駆動用コイル20へ電流を供給するための一対の給電端子13、14が固定されている。なお、図3では、レンズホルダ7の図示を省略している。
レンズホルダ7は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ7の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ8は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ8は、光軸方向から見たときの内周面の形状が略円形状となり、光軸方向から見たときの外周面の形状が略四角形状となる略筒状に形成されている。このスリーブ8は、その内周側でレンズホルダ7を保持している。スリーブ8の下端には、ベース部材11に形成される後述の基準面11cに当接して、光軸方向における可動体2の基準位置を決める突起部8aが下方向へ突出するように形成されている。突起部8aは、90°ピッチで4箇所に形成されている。
カバー部材10は、磁性を有する金属材料で形成されている。また、カバー部材10は、底部10aと筒部10bとを有する底付きの略四角筒状に形成されている。上側に配置される底部10aの中心には、貫通孔10cが形成されている。このカバー部材10は、可動体2および駆動機構4の外周側を覆っている。
ベース部材11は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。また、ベース部材11は、光軸方向から見たときの形状が略正方形となるブロック状に形成されている。このベース部材11は、カバー部材10の下端側に取り付けられている。ベース部材11の詳細な構成については後述する。
スペーサ12は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略正方形の扁平なブロック状に形成されている。また、スペーサ12は、枠状に形成されており、その中心には、貫通孔が形成されている。このスペーサ12は、カバー部材10の底部10aの下面に固定されている。
板バネ5は、スリーブ8の上端側に固定される円環状の可動体固定部と、スペーサ12に固定される4個の固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ4本の腕部とを備えている。この板バネ5は、その厚み方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ8およびスペーサ12に固定されている。
板バネ6は、互いに電気的に分離された2個のバネ片15、16によって構成されている。バネ片15、16は、導電性を有する金属材料によって形成されている。給電端子13、14は、導電性を有する金属材料によって形成されている。板バネ6および給電端子13、14の詳細な構成については後述する。
駆動機構4は、スリーブ8の外周側に巻回される2個の駆動用コイル20と、レンズ駆動装置1の4つの側面のそれぞれに沿って配置される駆動用磁石21とを備えている。2個の駆動用コイル20は、光軸方向に所定の間隔をあけた状態で、スリーブ8の外周面に巻回されている。本形態では、1本の導線がスリーブ8の外周面に巻回されることで2個の駆動用コイル20が形成されている。駆動用磁石21は、略矩形の板状に形成されている。駆動用磁石21は、駆動用コイル20の外周面に対向するようにカバー部材10の筒部10bの内側面に固定されている。本形態のカバー部材10は、磁気回路を形成するためのヨークの機能を果たしている。
(ベース部材、板バネおよび給電端子の構成)
図4は、図3に示すベース部材11、給電端子13、14およびバネ片15、16の組立状態の斜視図である。図5は、図3に示すベース部材11、給電端子13、14およびバネ片15、16の組立状態の平面図である。図6は、図3に示すベース部材11の平面図である。図7は、図3に示す給電端子13、14の斜視図である。図8(A)は、図3に示す給電端子13、14の正面図であり、図8(B)は、図8(A)のF方向から給電端子13と接続部材25との接続部分を示す拡大図である。図9は、図5のG−G断面におけるベース部材11および給電端子13の断面図である。
ベース部材11は、上述のように、光軸方向から見たときの形状が略正方形となるブロック状に形成されている。ベース部材11の中心には、貫通孔11aが形成されている。ベース部材11の上面の四隅には、バネ片15、16を構成する後述の固定体固定部15b、16bが固定されるバネ固定面11bが形成されている(図6参照)。また、ベース部材11の上面には、光軸方向における可動体2の基準位置を決めるための基準面11cが形成されている。ベース部材11の外周側部分には、上方向に向かって立ち上る外周壁11dが形成されている。また、ベース部材11には、給電端子13、14が圧入されて固定される2個の圧入部11eが形成されている(図6参照)。本形態のベース部材11は、給電端子13、14を保持する保持部材である。
バネ固定面11bは、光軸方向に直交する平面状に形成されている。バネ固定面11bには、後述の固定体固定部15b、16bを位置決めして固定するための突起11fが形成されている。突起11fは、略円柱状に形成されており、バネ固定面11bから上側へ突出している。この突起11fは、ベース部材11の四隅から若干、ずれた位置に配置されている。具体的には、図6に示すように、右前側に配置される突起11fは、ベース部材11の右前の隅から左側へずれた位置に配置され、左前側に配置される突起11fは、ベース部材11の左前の隅から右側へずれた位置に配置され、右後ろ側に配置される突起11fは、ベース部材11の右後ろの隅から左側へずれた位置に配置され、左後ろ側に配置される突起11fは、ベース部材11の左後ろの隅から右側へずれた位置に配置されている。
基準面11cは、光軸方向に直交する平面状に形成されている。また、基準面11cは、ベース部材11の上面の左右の両端側および前後の両端側の4箇所に形成されている。左右方向の両端側に形成される基準面11cは、前後方向の略中心位置に形成され、前後方向の両端側に形成される基準面11cは、左右方向の略中心位置に形成されている。本形態では、スリーブ8の突起部8aの下端面が基準面11cに当接しているときに、可動体2は、光軸方向の基準位置にある。なお、本形態では、駆動用コイル20に電流が供給されていないときに、突起部8aの下端面が基準面11cに当接するように、板バネ5が撓んだ状態で、スリーブ8およびスペーサ12に固定されている。
外周壁11dは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。この外周壁11dは、図2に示すように、カバー部材10の下端側部分の内周側に配置されている。また、外周壁11dは、Z方向とX方向とによって形成されるZX平面に平行な2個の外周壁部11gと、Y方向とZ方向とによって形成されるYZ平面に平行な2個の外周壁部11hとから構成されている。
外周壁部11hの前端側には、前後方向の所定の範囲で外周壁部11hの一部が切り欠かれた切欠き部11jが形成されている。切欠き部11jは、外周壁部11hの前端から後ろ側に向かって所定の範囲に形成されている。外周壁部11hの後端側には、前後方向の所定の範囲で外周壁部11hの一部が切り欠かれた切欠き部11kが形成されている。切欠き部11kは、外周壁部11hの後端から前側に向かって所定の範囲に形成されている。切欠き部11j、11kは、その底面がバネ固定面11bに対して同じ高さまたは下側に配置されるように形成されている。また、前後方向において、切欠き部11jが形成される範囲は、切欠き部11kが形成される範囲よりも広くなっている。
前側に配置される外周壁部11gには、この外周壁部11gの一部が左右方向の所定の範囲で切り欠かれた2個の切欠き部11mが形成されている。切欠き部11mは、前側に配置される外周壁部11gの左右両端よりも左右方向の内側へずれた位置から左右方向の内側に向かって所定の範囲に形成されている。切欠き部11mは、その底面がバネ固定面11bよりも上側に配置されるように形成されている。
2個の圧入部11eは、前側に配置される外周壁部11gに沿うように、外周壁部11gの後ろ側に形成されている。また、2個の圧入部11eは、光軸Lを通過するYZ平面に対して対称に形成されている。圧入部11eは、バネ固定面11bよりも下側へ窪む凹部によって構成されており、細い溝状に形成されている。本形態では、前側に配置される外周壁部11gの後面が圧入部11eの前側面となっている。
圧入部11eの左右方向の内側には、給電端子13、14の一部が配置される配置孔11p(図6参照)が光軸方向に貫通するように形成されている。光軸方向から見たときの配置孔11pの形状は、左右方向を長手方向とする長方形状となっている。また、2個の配置孔11pは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で形成されている。図6に示すように、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cは、光軸方向から見たときに、2個の配置孔11pの間を通過して、前側に配置される外周壁部11gまで延びるように形成されている。
バネ片15は、スリーブ8の下端側に固定される可動体固定部15aと、ベース部材11に固定される2個の固定体固定部15bと、可動体固定部15aと固定体固定部15bとを繋ぐ2本の腕部15cとを備えている。同様に、バネ片16は、スリーブ8の下端側に固定される可動体固定部16aと、ベース部材11に固定される2個の固定体固定部16bと、可動体固定部16aと固定体固定部16bとを繋ぐ2本の腕部16cとを備えている。また、バネ片15、16は、給電端子13、14が半田付けされて電気的に接続される接続部15d、16dを備えている。バネ片15、16は、その厚み方向と光軸方向とが略一致するように、スリーブ8およびベース部材11に固定されている。すなわち、バネ片15、16は、X方向とY方向とから形成されるXY平面に平行に配置されている。
可動体固定部15a、16aは、略円弧状に形成されている。可動体固定部15a、16aには、駆動用コイル20の両端部のそれぞれが接続されるコイル接続部15e、16eが形成されている。駆動用コイル20の一端側は、コイル接続部15eに半田付け等されて電気的に接続され、駆動用コイル20の他端側は、コイル接続部16eに半田付け等されて電気的に接続されている。
固定体固定部15b、16bは、バネ固定面11bに載置されている。固定体固定部15b、16bには、突起11fが挿通される挿通孔が形成されている。固定体固定部15b、16bは、突起11fに接着剤を塗布する接着によって、あるいは、突起11fを利用した溶着によって、バネ固定面11bに固定されている。腕部15c、16cは、バネ片15、16の所望のバネ特性を得ることができるように形成されている。具体的には、腕部15c、16cは、細長く形成されるとともに緩やかに湾曲している。
接続部15dは、略長方形状に形成されている。この接続部15dは、左前側でバネ固定面11bに固定される固定体固定部15bの左側に繋がるように形成されており、ベース部材11の左前の隅に配置されている。図5に示すように、左前側でバネ固定面11bに固定される固定体固定部15bには、腕部15cが右後ろ側から繋がっており、この腕部15cは、略後ろ方向へ延びている。
接続部16dは、略長方形状に形成されている。この接続部16dは、右前側でバネ固定面11bに固定される固定体固定部16bの右側に繋がるように形成されており、ベース部材11の右前の隅に配置されている。図5に示すように、右前側でバネ固定面11bに固定される固定体固定部16bには、腕部16cが後ろ側から繋がっており、この腕部16cは、略左方向へ延びている。
給電端子13、14は、図7に示すように、金属の平板が所定形状に折り曲げられることで形成されている。また、給電端子13、14は、互いに対称に形成されている。この給電端子13、14は、バネ片15、16が半田付けされて固定される半田付け部13a、14aと、外部コネクタや外部基板等の外部から駆動用コイル20に電流を供給するための外部機器(図示省略)に接続される端子部13b、14bと、ベース部材11の圧入部11eに圧入されて固定される固定部13c、14cと、固定部13c、14cを圧入部11eに圧入する際に加圧される加圧部13d、14dとを備えている。
固定部13c、14cは、細長い略長方形の平板状に形成されている。半田付け部13a、14aは、略正方形の平板状に形成されている。この半田付け部13a、14aは、固定部13c、14cの長手方向の一端側から固定部13c、14cの長手方向に直交する方向の一方へ突出しており、固定部13c、14cと同一平面上に配置されている。加圧部13d、14dは、略台形の平板状に形成されている。この加圧部13d、14dは、固定部13c、14cの長手方向の略中心位置から固定部13c、14cの長手方向に直交する方向の一方へ突出しており、固定部13c、14cと同一平面上に配置されている。
端子部13b、14bは、略長方形状の平板状に形成されている。この端子部13b、14bは、光軸方向から見たときに、固定部13c、14cの厚み方向において、固定部13c、14cからずれた位置に配置されており、端子部13b、14bと固定部13c、14cは、連結部13e、14eによって繋がれている。連結部13e、14eは、固定部13c、14cの長手方向の他端側から固定部13c、14cの長手方向に直交する方向の他方へ突出しており、固定部13c、14cに対して傾斜している。端子部13b、14bは、固定部13c、14cと略平行になっている。
給電端子13、14は、固定部13c、14cが2個の圧入部11eのそれぞれに圧入されて固定されることで、ベース部材11に固定されている。具体的には、固定部13c、14cとZX平面とが略平行になるように(すなわち、固定部13c、14cの厚み方向と前後方向とが略一致するように)、かつ、左右方向の外側に半田付け部13a、14aが配置され、左右方向の内側に端子部13b、14bが配置されるように、固定部13c、14cが圧入部11eに圧入されて固定されており、給電端子13、14は、光軸Lを通過するYZ平面に対して対称に配置されている。すなわち、給電端子13、14は、上下方向から見たときに、レンズ駆動装置1の前辺の両隅側に半田付け部13a、14aが配置され、レンズ駆動装置1の前辺の中心側に端子部13b、14bが配置されるように、対称に配置されている。
また、給電端子13、14は、半田付け部13a、14aおよび加圧部13d、14dが上側に配置され、端子部13b、14bが下側に配置されるように、ベース部材11に固定されている。さらに、給電端子13、14は、端子部13b、14bが固定部13c、14cよりも後ろ側に配置されるように(すなわち、レンズ駆動装置1の内側に配置されるように)、ベース部材11に固定されている。
本形態では、図9に示すように、前後方向(すなわち、固定部13c、14cの厚み方向)における配置孔11pの幅W1は、前後方向における固定部13c、14cの外側面(すなわち、前面)と前後方向における端子部13b、14bの外側面(すなわち、後面)との距離W2よりも広くなっている。連結部13e、14eおよび端子部13b、14bの上端側部分は、配置孔11pの中に配置されている。また、端子部13b、14bの下端側は、図1に示すように、レンズ駆動装置1の前面側で外部に露出している。図9に示すように、配置孔11pの後側面と端子部13b、14bの上端側部分との間には、比較的大きな隙間が形成されている。配置孔11pには、レンズ駆動装置1の内部へ塵埃が入り込むのを防止するための接着剤が充填されている。
半田付け部13aは、ベース部材11の左前の隅に配置されている。半田付け部13aの後面の下端側には、バネ片15の接続部15dの前端が当接した状態で、あるいは、やや隙間をあけた状態で、接続部15dが半田付けされて固定されている。半田付け部14aは、ベース部材11の右前の隅に配置されている。半田付け部14aの後面の下端側には、バネ片16の接続部16dの前端が当接した状態で、あるいは、やや隙間をあけた状態で、接続部16dが半田付けされて固定されている。なお、半田付け部13a、14aは、ZX平面と平行に配置され、接続部15d、16dは、XY平面と平行に配置されているため、半田付け部13a、14aと接続部15d、16dとがなす角度は、略直角になっている。
上述のように、外周壁部11hの前端側には、切欠き部11jが形成されている。すなわち、半田付け部13aと接続部15dとの接続部分、および、半田付け部14aと接続部16dとの接続部分の近傍には、切欠き部11jが形成されている。本形態では、切欠き部11jを利用して、半田付け部13aと接続部15dとの半田付け作業、および、半田付け部14aと接続部16dとの半田付け作業が行われる。なお、本形態では、切欠き部11j、11kを利用して、バネ固定面11bへの固定体固定部15b、16bの接着作業または溶着作業が行われる。
ベース部材11に固定される前の一対の給電端子13、14は、図8(A)の二点鎖線で示すように、接続部材25によって繋がっている。本形態では、接続部材25を摘んで、固定部13c、14cを上側から圧入部11eに差し込んだ後、給電端子13、14と接続部材25との境界部分で接続部材25を複数回折り曲げて、接続部材25を取り除く。圧入部11eに固定部13c、14cを差し込む際には、端子部13b、14bは、上側から配置孔11pに挿入される。その後、加圧部13d、14dの上端を上側から加圧して、固定部13c、14cを圧入部11eに圧入する。
また、固定部13c、14cを圧入部11eに圧入した後に、上側から配置孔11pに接着剤を充填する。配置孔11pの縁には、図6に示すように、ベース部材11の上面から下側へ窪む凹部11rが形成されており、この凹部11rを利用して、配置孔11pに接着剤が充填される。凹部11rは、左右方向における配置孔11pの外側かつ後ろ側へ広がるように形成されている。
給電端子13、14には、接続部材25が取り除かれた跡である除去部13f、14fが形成されている。除去部13f、14fは、固定部13c、14cから上側へ突出するように形成されている。また、除去部13f、14fは、左右方向における加圧部13d、14dの内側に形成されている。除去部13fと接続部材25との境界には、図8(B)に示すように、接続部材25を折り曲げやすくするための切欠き25aが形成されている。同様に、除去部14fと接続部材25との境界にも、接続部材25を折り曲げやすくするための切欠きが形成されている。
除去部13f、14fは、左右方向において、前側に配置される外周壁部11gの切欠き部11mと同じ位置に配置されている。すなわち、前側に配置される外周壁部11gの、除去部13f、14fの近傍には、切欠き部11mが形成されている。圧入部11eに固定部13c、14cを差し込んで、接続部材25を折り曲げるときには、切欠き部11mが利用される。給電端子13、14の、レンズ駆動装置1の前面側で外部に露出する端子部13b、14bの下端側と除去部13f、14fの上端側とを除いた部分の前面は、図4に示すように、前側に配置される外周壁部11gによって覆われている。
図5に示すように、バネ片16の腕部16cの、可動体固定部16aに近い部分は、給電端子13の端子部13bおよび連結部13eの上側に配置されており、光軸方向から見たときに、バネ片16の腕部16cの、可動体固定部16aに近い部分と、端子部13bおよび連結部13eとが重なっている。また、上述のように、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cは、光軸方向から見たときに、2個の配置孔11pの間を通過して、前側に配置される外周壁部11gまで延びるように形成されており、バネ片16の腕部16cは、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cよりも上側に配置されている。すなわち、光軸方向から見たときに、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cと腕部16cとが重なっている。基準面11cは、端子部13bおよび連結部13eよりも上側に配置されている。
本形態では、前側に配置される外周壁部11gは、固定部13c、14cに略平行な第1外周壁部であり、外周壁部11hは、第1外周壁部である外周壁部11gに略直交する第2外周壁部である。また、切欠き部11mは、第2の切欠き部である。また、給電端子14は、第1給電端子であり、給電端子13は、第2給電端子であり、バネ片16は、第1バネ片であり、バネ片15は、第2バネ片である。また、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cは、光軸方向から見たときに、第1バネ片であるバネ片16の腕部16cと重なる規制面である。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、給電端子13、14の端子部13b、14bは、光軸方向から見たときに、前後方向において、ベース部材11に固定される固定部13c、14cからずれた位置に配置されている。そのため、本形態では、固定部13c、14cに対する端子部13b、14bのずれ量を変えることで、前後方向において、ベース部材11に対する端子部13b、14bの相対位置を変えることが可能になる。
また、本形態では、前後方向における配置孔11pの幅W1は、前後方向における固定部13c、14cの外側面と端子部13b、14bの外側面との距離W2よりも広くなっているため、レンズ駆動装置1が搭載されるカメラによって端子部13b、14bの位置が変わっても、連結部13e、14eおよび端子部13b、14bの上端側部分を配置孔11pの中に配置することが可能になる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1が搭載されるカメラによって端子部13b、14bの位置が変わっても、給電端子13、14を保持するベース部材11をカメラごとに設計、製造する必要をなくすことが可能になる。
本形態では、光軸方向から見たときに、端子部13b、14bは、固定部13c、14cよりもレンズ駆動装置1の内側へずれている。そのため、固定部13c、14cに対する端子部13b、14bのずれ量が大きくなる場合であっても、レンズ駆動装置1の外周側に端子部13b、14bが突出するのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1をカメラに取り付ける際の端子部13b、14bの損傷を防止しやすくなる。
また、端子部13b、14bが固定部13c、14cよりもレンズ駆動装置1の外側へずれている場合には、固定部13c、14cと同一平面上に配置されている半田付け部13a、14aおよび固定部13c、14cが端子部13b、14bよりも内側に配置されるため、バネ片15、16の配置スペースが狭くなり、バネ片15、16の設計の自由度が低くなる。これに対して、本形態では、半田付け部13a、14aおよび固定部13c、14cが端子部13b、14bよりも外側に配置されるため、バネ片15、16の配置スペースを確保することが可能になり、その結果、バネ片15、16の設計の自由度を高めることが可能になる。
本形態では、配置孔11pに、レンズ駆動装置1の内部へ塵埃が入り込むのを防止するための接着剤が充填されている。そのため、前後方向における配置孔11pの幅W1が、前後方向における固定部13c、14cの外側面と端子部13b、14bの外側面との距離W2より広くなっていても、配置孔11pからレンズ駆動装置1の内部へ塵埃が入り込むのを防止することが可能になる。また、本形態では、配置孔11pの後側面と端子部13b、14bの上端側部分との間に、比較的大きな隙間が形成されているため、連結部13e、14eおよび端子部13b、14bの上端側部分が配置孔11pに配置されている状態であっても、比較的粘度の高い接着剤を配置孔11pに充填することが可能になる。
本形態では、ベース部材11に固定される前の一対の給電端子13、14は、接続部材25によって繋がっている。そのため、本形態では、組立前の一対の給電用端子13、14が別体になっている場合と比較して、組立時の給電用端子13、14の取扱いが容易になる。
本形態では、給電端子13の半田付け部13aとバネ片15の接続部15dとの接続部分は、ベース部材11の左前の隅に配置されており、左前側でバネ固定面11bに固定される固定体固定部15bに繋がる腕部15cから離れた位置に配置されている。また、給電端子14の半田付け部14aとバネ片16の接続部16dとの接続部分は、ベース部材11の右前の隅に配置されており、右前側でバネ固定面11bに固定される固定体固定部16bに繋がる腕部16cから離れた位置に配置されている。また、半田付け部13aと接続部15dとの接続部分、および、半田付け部14aと接続部16dとの接続部分は、可動体2から離れた位置に配置されている。
そのため、半田付け部13a、14aと接続部15d、16dとの半田付け作業をそれほど慎重に行わなくても、半田付け部13a、14aや接続部15d、16dに腕部15c、16cや可動体2が一緒に半田付けされるおそれはない。また、本形態では、腕部15c、16cや可動体2から離れたベース部材11の2つの隅において、半田付け部13a、14aと接続部15d、16dとを半田付けして固定しているため、半田付け部13a、14aと接続部15d、16dとの半田付けの面積を大きくすることができる。したがって、本形態では、給電端子13、14とバネ片15、16との半田付けを容易に行うことが可能になる。
また、本形態では、半田付け部13aと接続部15dとの接続部分の近傍、および、半田付け部14aと接続部16dとの接続部分の近傍に、切欠き部11jが形成されているため、半田付け部13aと接続部15dとの半田付け作業、および、半田付け部14aと接続部16dとの半田付け作業を行う際に、切欠き部11jを利用して、半田付け部13a、14aと接続部15d、16dとの接続部分に半田ごてを容易に近づけることが可能になる。したがって、本形態では、給電端子13、14とバネ片15、16との半田付けをより容易に行うことが可能になる。
本形態では、前側に配置される外周壁部11gに沿うように形成された圧入部11eに固定部13c、14cが圧入されて固定されている。また、本形態では、給電端子13、14の端子部13b、14bの下端側と除去部13f、14fの上端側とを除いた部分の前面は、前側に配置される外周壁部11gによって覆われており、この外周壁部11gによって保護されている。そのため、本形態では、ベース部材11に組み込まれた後の給電端子13、14が変形しにくくなる。また、本形態では、半田付け部13a、14aの前面が前側に配置される外周壁部11gによって覆われているため、金属材料で形成されるカバー部材10の下端側に半田付け部13a、14aが接触するのを防止することができる。
本形態では、圧入部11eに固定部13c、14cを圧入する際に加圧される加圧部13d、14dが給電端子13、14に形成されている。そのため、圧入部11eに固定部13c、14cを圧入する際に、半田付け部13a、14aを加圧する必要がない。したがって、本形態では、圧入部11eに固定部13c、14cを圧入する際の半田付け部13a、14aの変形を防止することが可能になる。また、本形態では、半田付け部13a、14aと端子部13b、14bとの間に加圧部13d、14dが形成されているため、固定部13c、14cを圧入部11eに均等に圧入することが可能になる。したがって、本形態では、左右方向における固定部13c、14cの圧入量を均等にすることが可能になる。
本形態では、光軸方向から見たときに、バネ片16の腕部16cの一部は、バネ片15に接続される給電端子13の端子部13bおよび連結部13eと重なっている。そのため、本形態では、光軸方向から見たときに、バネ片16の腕部16cの一部が端子部13bおよび連結部13eからずれている場合と比較して、前後左右方向において、レンズ駆動装置1を小型化することが可能になる。また、本形態では、光軸方向から見たときに、バネ片16の腕部16cは、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cと重なっており、基準面11cは、端子部13bおよび連結部13eよりも上側に配置されているため、仮に、腕部16cが下方向へ大きく撓んでも、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cによって、端子部13bおよび連結部13eと腕部16cとの接触を防止することが可能になる。したがって、本形態では、前後左右方向においてレンズ駆動装置1を小型化しても、バネ片16と給電端子13との短絡を防止することが可能になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、前後方向における配置孔11pの幅W1は、前後方向における固定部13c、14cの外側面と前後方向における端子部13b、14bの外側面との距離W2よりも広くなっている。この他にもたとえば、幅W1は、距離W2と略等しくても良い。すなわち、幅W1は、距離W2以上となっていれば良い。この場合であっても、上述した形態と同様に、レンズ駆動装置1が搭載されるカメラによって端子部13b、14bの位置が変わっても、給電端子13、14を保持するベース部材11をカメラごとに設計、製造する必要をなくすことが可能になる。
上述した形態では、連結部13e、14eおよび端子部13b、14bの上端側部分が配置孔11pの中に配置されている。この他にもたとえば、固定部13c、14cが配置孔11pの中に配置されても良い。なお、この場合には、給電端子13、14の、連結部13e、14eおよび端子部13b、14bとなる部分を配置孔11pに挿通した後に連結部13e、14eとなる部分を折り曲げれば、前後方向における配置孔11pの幅W1を、前後方向における固定部13c、14cの外側面と端子部13b、14bの外側面との距離W2より狭くすることも可能である。しかしながら、幅W1を距離W2よりも狭くすると、レンズ駆動装置1の組立作業が煩雑になる。また、幅W1を距離W2よりも狭くすると、連結部13e、14eおよび端子部13b、14bの配置位置が制限されるため、給電端子13、14の設計の自由度が低下する。
上述した形態では、端子部13b、14bは、光軸方向から見たときに、固定部13c、14cよりもレンズ駆動装置1の内側へずれている。この他にもたとえば、端子部13b、14bは、光軸方向から見たときに、固定部13c、14cよりもレンズ駆動装置1の外側へ(すなわち、前側へ)ずれても良い。また、上述した形態では、端子部13b、14bは、固定部13c、14cと略平行になっているが、端子部13b、14bは、固定部13c、14cに対して傾斜していても良い。この場合には、前後方向における配置孔11pの幅W1は、前後方向における固定部13c、14cの外側面と端子部13b、14bの外側面との最長距離以上となっている。
上述した形態では、給電端子13、14の、端子部13b、14bの下端側と除去部13f、14fの上端側とを除いた部分の前面は、前側に配置される外周壁部11gによって覆われている。この他にもたとえば、加圧部13d、14dが、左右方向において、前側に配置される外周壁部11gの切欠き部11mと同じ位置に配置されて、加圧部13d、14dの前面が、前側に配置される外周壁部11gによって覆われなくても良い。すなわち、前側に配置される外周壁部11gの、加圧部13d、14dの近傍に、切欠き部11mが形成されて、加圧部13d、14dの前面が、前側に配置される外周壁部11gによって覆われなくても良い。この場合には、前側に配置される外周壁部11gに沿うように圧入部11eが形成されていても、外周壁部11gに邪魔されることなく、加圧部13d、14dを加圧して圧入部11eに固定部13c、14cを圧入することが可能になる。
上述した形態では、給電端子13、14に、1個の半田付け部13a、14aと1個の加圧部13d、14dとが形成されている。この他にもたとえば、給電端子13、14に形成される半田付け部13a、14aや加圧部13d、14dの数は2個以上であっても良い。また、上述した形態では、加圧部13d、14dは、半田付け部13a、14aと端子部13b、14bとの間に形成されているが、端子部13b、14bの上側に加圧部13d、14dが形成されても良い。また、上述した形態では、給電端子13、14に加圧部13d、14dが形成されているが、給電端子13、14に加圧部13d、14dが形成されていなくても良い。
上述した形態では、給電端子13、14の半田付け部13a、14aは、固定部13c、14cと同一平面上に配置されている。この他にもたとえば、特許文献1に記載のレンズ駆動装置の給電端子と同様に、光軸方向から見たときの給電端子13、14の形状が略L形状となるように、半田付け部13a、14aが、固定部13c、14cに対して略直角に折れ曲がっていても良い。また、上述した形態では、ベース部材11に固定される前の一対の給電端子13、14は、接続部材25によって繋がっているが、組立前の一対の給電用端子13、14は、別体になっていても良い。この場合には、給電端子13、14には、除去部13f、14fは形成されない。
上述した形態では、板バネ6は、2個のバネ片15、16によって構成されている。この他にもたとえば、板バネ6は、互いに電気的に分離された3個以上のバネ片によって構成されても良い。この場合には、駆動用コイル20の両端部のそれぞれは、3個以上のバネ片のうちの異なる2個のバネ片のそれぞれに電気的に接続される。
上述した形態では、光軸方向から見たときに、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cとバネ片16の腕部16cとが重なっているが、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cと腕部16cとが重なっていなくても良い。また、上述した形態では、ベース部材11の前端側に形成される基準面11cが、光軸方向から見たときに、腕部16cと重なる規制面となっているが、光軸方向から見たときに、腕部16cと重なる規制面が、基準面11cと別個に形成されても良い。
上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略六角形状等の多角形状となるように形成されても良いし、略円形状や略楕円形状となるように形成されても良い。