JP5781019B2 - ロータリ式圧縮機 - Google Patents
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Description
したがって、シリンダーの内周面と、ロータリピストンの外周面と、一対の端板によって形成された空間が、偏芯回転するベーンによって、それぞれ体積が増減する一対の空間(以下、「圧縮室」と称す)に二分割されている。すなわち、体積が徐々に増加する位相において吸引された冷媒は、体積が徐々に減少する位相において圧縮される機構になっている。
このとき、前記中央貫通孔の内径は、一対のクランクシャフトの偏芯軸部の偏芯量を合計した値に略相当している(正確には、前記合計した値よりも僅かに大きい)。
前記(1)または(2)の場合、圧縮機は大型化し、高コストとなる。そこで、大型化による高コスト化を解消するために、前記(3)の方法が通常行われることになる。
しかしながら、前記のように仕切板に形成された中央貫通孔の内径は、クランクシャフトの偏芯軸部の偏芯量が大きくなると増大するため、前記(3)においては、内径の大きな中央貫通孔を経由して、隣接するシリンダーの圧縮室同士が連通して「漏れ流路」が発生し、圧縮効率が悪くなるという問題が生じていた。
特許文献1に記載の構成では、仕切板をクランクシャフトの小径側の偏芯軸部からしか通過させることができないので、組立が面倒であった。すなわち、仕切板と小径側の偏芯軸部を含む圧縮機構部との組立にあたっては、まず仕切板の中央貫通孔に小径側の偏芯軸部を貫通させたのち、その偏芯軸部に円環状のローリングピストンを嵌装し、ついでこのローリングピストンを嵌装した偏芯軸部を当該小径側のシリンダー室に組み込み、さらに大径側のシリンダーと前記小径側のシリンダーとで仕切板を挟んだ状態で、ボルトで両側の端板と一緒に、共締めする必要があった。そのため組立工程が多くなるという問題があった。
以下に、本発明の実施の形態1に係るロータリ式圧縮機について、図面を参照して説明する。
図1〜図4は本発明の実施の形態1に係るロータリ式圧縮機を模式的に説明するものであって、図1はロータリ式圧縮機の全体を示す側面視の断面図、図2はロータリ式圧縮機の圧縮機構部を示す側面視の部分断面図、図3はロータリ式圧縮機の圧縮機構部を示す平面視の部分断面図、図4はロータリ式圧縮機の仕切板を示す平面図である。なお、以上の各図は模式的に描かれたものであるから、本発明は図示された形態に限定されるものではない。
図1〜図4において、ロータリ圧縮機100は、密閉容器であるシェル101と、シェル101の内部に設置された駆動源である駆動部(以下、「モーター」と称す)102と、同じくシェル101の内部に設置された圧縮部103を備えている。以下、各部の構成をさらに詳しく説明する。
シェル101は、上部シェル101aと下部シェル101bを有する。上部シェル101aには、外部からモーター102に電力を供給するためのガラス端子104と、圧縮された冷媒をシェル101(圧縮機100)の外部に吐出するための吐出パイプ105が設けられている。
下部シェル101bには、モーター102と、圧縮部103を構成する第1圧縮機構部10aおよび第2圧縮機構部10bと、第1圧縮機構部10aおよび第2圧縮機構部10bにそれぞれ冷媒を導く第1吸入パイプ106aおよび第2吸入パイプ106bとが固定されている。第1吸入パイプ106aおよび第2吸入パイプ106bは、吸入マフラー107に接続され、吸入マフラー107内で冷媒の気液分離、及び冷媒中のゴミの除去が行われる。
なお、以下の説明において、第1圧縮機構部10aおよび第2圧縮機構部10bにおける同一の内容については、名称を形容する「第1、第2」および符号の添え字「a、b」の記載を省略する場合がある。
モーター102は、固定子102aと回転子102bを有しており、回転子102bはクランクシャフト50(これについては別途詳細に説明する)に取り付けられている。モーター102で発生した回転トルクはクランクシャフト50によって第1圧縮機構部10aおよび第2圧縮機構部10bに伝達される。
圧縮部103は、仕切板30を挟んで積層された第1圧縮機構部10aおよび第2圧縮機構部10bを有している。
第1圧縮機構部10aは、円環状の第1シリンダー11aと、第1シリンダー11aの内周部に配置され、第1シリンダー11aの内周面に当接しながら偏芯回転する円環状の第1ロータリピストン(以下、「第1ピストン」と称す)12aと、第1シリンダー11aに形成された第1ベーン溝13aに第1シリンダー11aの中心軸の方向に向かって進退自在に配置された第1ベーン14aと、第1ベーン14aを第1ピストン12aの外周に押し付ける第1バネ15aと、を具備している。このとき、第1ピストン12aの外周面は第1シリンダー11aの内周面に線状に当接し、偏芯回転に伴って、線状の当接位置が円周方向に移動する。
なお、第1シリンダー11aの内径と第2シリンダー11bの内径とは等しくなるように設計されている。
各圧縮機構部10の圧縮室は、各シリンダー室の空間をベーン14によって周方向に二分割することで形成される。すなわち、第1圧縮機構部10aでは、第1シリンダー11aの内周面、第1ピストン12aの外周面、第1端板20aの下面および仕切板30の上面とによって包囲された第1空間40aは、第1シリンダー11aの内周面と第1ピストン12aの外周面との当接(略線状に当接している)と、第1ベーン14aと第1ピストン12aの外周面との当接(略線状に当接している)とによって周方向で二分割されている。
第2圧縮機構部10bでは、同様に、第2シリンダー11bの内周面、第2ピストン12bの外周面、第2端板20bの上面および仕切板30の下面とによって包囲された第2空間40bは、第2シリンダー11bの内周面と第2ピストン12bの外周面との当接と、第2ベーン14bと第2ピストン12bの外周面との当接とによって周方向で二分割されている(図3参照)。
クランクシャフト50は、第1軸受挿入部52a、仕切板挿入部53、および第2軸受挿入部52bが同軸に配置され、第1軸受挿入部52aと仕切板挿入部53との間には一方に向かって偏芯した第1偏芯軸部51aが形成され、第2軸受挿入部52bと仕切板挿入部53との間には他方に向かって偏芯した第2偏芯軸部51bが形成されている。
このとき、第1偏芯軸部51aと第2偏芯軸部51bとは対向(偏芯方向が180°相違)し、各偏芯軸部51の中心軸はクランクシャフト50の軸芯に平行である。
また、第1軸受挿入部52aは第1端板20aの内周面に設けられた第1軸受25aに回転自在に支持され、第2軸受挿入部52bは第2端板20bの内周面に設けられた第2軸受25bに回転自在に支持され、仕切板挿入部53は仕切板30の中央に形成された中央貫通孔33を貫通している。
そして、第1偏芯軸部51aは第1ピストン12aの内周部を貫通し、第2偏芯軸部51bは第2ピストン12bの内周部を貫通しているから、クランクシャフト50の回転によって第1ピストン12aおよび第2ピストン12bは、一方が他方に対して180°位相が相違した状態で偏芯回転される(図3の(a)および(b)参照)。
このため、クランクシャフト50の回転によって、二分割されている第1空間40aの一方の空間は徐々に体積が増大し、二分割されている第1空間40aの他方の空間は徐々に体積が減少する。すなわち、前記一方の空間に相当する位置に第1吸込口(図示しない)が形成され、前記他方の空間に相当する位置に第1吐出口(図示しない)が形成されているから、冷媒は、第1吸込口から吸い込まれた後、圧縮されて第1吐出口から排出される。
図4に示すように、仕切板30は中央に中央貫通孔33が形成された略円盤である。仕切板30の形状は略ドーナツ形状で、放射方向(第1ベーン14aおよび第2ベーン14bが進退する方向と平行)の分割面34に沿って、第1分割仕切片31と第2分割仕切片32とに二分割された形状に形成されている。さらに、これら第1分割仕切片31と第2分割仕切片32とは、円周方向に仕切片どうしを連結するため、例えば組立用ボルト60aと60bとを備えている。その他、仕切片どうしを連結する手段としては、掛け金で引っ掛けるようにしてもよい。なお、分割面34は、第1分割仕切片31に形成された第1の平面と第2分割仕切片32に形成された第2の平面とが当接した面に相当するが、説明の便宜上、前記第1の平面と前記第2の平面とが当接した面の意味だけでなく、前記第1の平面および前記第2の平面のそれぞれを意味する場合がある。また、分割面34は当接する面が平面に限らず、互いに面接触する段付面を含むものとする。
このとき、クランクシャフト50の軸部である第1軸受挿入部52aと第2軸受挿入部52bとをそれぞれ異なる外径で設定し、かつ、第1偏芯軸部51aと第2偏芯軸部51bとをそれぞれ異なる外径で設定する。さらに、仕切板30の中央貫通孔33の内径はクランクシャフト50のいずれの偏芯軸部51a、51bの外径よりも小さく形成されている。すなわち、図2に示すように、クランクシャフト50の第1軸受挿入部52aの外径をd1、第2軸受挿入部52bの外径をd2、第1偏芯軸部51aの外径をdp1、第2偏芯軸部51bの外径をdp2、仕切板30の中央貫通孔33の内径をdmとすると、
d1≠d2、dp1≠dp2、dm<dp1、dp2
である。
なお、図示の例では、d1>d2、dp1>dp2、dm<dp2<dp1、となっている。
(1)第1端板20aにクランクシャフト50の第1軸受挿入部52aを挿入し、大径側の第1偏芯軸部51aとこれに嵌装された第1ピストン12aを第1シリンダー11aに組み込む。そして、組立用短尺ボルト71(図1参照)で第1端板20aと第1シリンダー11aとを締め付け固定する。ここまでの第1圧縮機構部10aの組立方法は前記特許文献1とほぼ同様である。
(2)分割された仕切板30の各分割仕切片31、32により、クランクシャフト50の仕切板挿入部53を包囲するように、各分割仕切片31、32を組立用ボルト60a、60bで連結する。これにより、クランクシャフト50の仕切板挿入部53は、仕切板30の中央貫通孔33の中を貫通した状態となる。
(3)小径側の第2偏芯軸部51bとこれに嵌装された第2ピストン12bを第2シリンダー11bに組み込む。
(4)そして、小径側の第2端板20bにクランクシャフト50の第2軸受挿入部52bを挿入し、さらに第1シリンダー11aと第2シリンダー11bとで仕切板30を挟んだ状態で、第2端板20bと第2シリンダー11bと第1シリンダー11aとを組立用長尺ボルト72(図1参照)で共締めする。
これらの数値限定は、実験結果から得られたものであり、後で述べるように、図5に示す年間運転効率のグラフに基づいて定めたものである。
以上は、圧縮部103が第1圧縮機構部10aと第2圧縮機構部10bとから形成され、クランクシャフト50の偏芯軸が小径側と大径側が一体構造のものを示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、クランクシャフト50の偏芯軸間が分割されており、組立時に仕切板30を設置した後にこれらを連結して圧縮機構を構成するものであってもよい。
また、図5から、0.86≦dp2/dp1≦0.94のときは、運転効率が101%超となっており、 0.92≦dp2/dp1≦0.93のときは、運転効率は101.5%超となっている。
以上の結果から、クランクシャフトの大径側偏芯軸径と小径側偏芯軸径との比(dp2/dp1)を最適化することにより、ローリングピストンと偏芯軸との摩擦損失を抑制でき、運転効率を向上させることがわかる。
Claims (3)
- 仕切板を挟んで積層された圧縮機構部をクランクシャフトにより駆動し、該クランクシャフトは両側の軸受でそれぞれ支持されるロータリ式圧縮機において、
前記クランクシャフトは、異なる外径で形成された2つの軸部と、異なる外径で形成された2つの偏芯軸部と、を有し、
前記仕切板は、前記クランクシャフトが貫通し前記偏芯軸部の外径のいずれよりも小さい内径の貫通孔を有し、前記クランクシャフトを包囲するように分割され、
前記クランクシャフトの小径側の軸部の外径は、大径側の軸部の外径の0.8倍以上0.9倍以下であり、
前記クランクシャフトの小径側の偏芯軸部の外径は、大径側の偏芯軸部の外径の0.86倍以上0.94倍以下である
ことを特徴とするロータリ式圧縮機。 - 前記クランクシャフトの小径側の軸部と小径側の偏芯軸部とが隣接して配置され、
前記クランクシャフトの大径側の軸部と大径側の偏芯軸部とが隣接して配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のロータリ式圧縮機。 - 前記クランクシャフトの小径側の偏芯軸部の外径は、大径側の偏芯軸部の外径の0.925倍である
ことを特徴とする請求項1または2記載のロータリ式圧縮機。
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