JP5780987B2 - 車両用自動変速機 - Google Patents
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Description
すなわち、特許文献1に記載のものは、4組の遊星歯車組と、2個のブレーキおよび3個のクラッチとを備え、前進8速、後退1速を得るようにしている。
また、前進1速の変速比(ギヤ比)が4.7であるのに対し、後退のギヤ比が3.280と、これらギヤ比間での差が大きくなる結果、同じアクセル・ペダルの踏込量に対する駆動力差が大きくなるので、ドライバーが運転操作に違和感を持つといった問題がある。
入力軸と、
出力軸と、
サン・ギヤ、リング・ギヤおよびピニオン・キャリヤの3つの回転要素を備える第1遊星歯車組〜第4遊星歯車組と、
第1ブレーキ、第2ブレーキ、第1クラッチ〜第4クラッチの6個の摩擦締結要素と、
を備え、
第1遊星歯車組の3つの回転要素を、共通速度線図上で第1遊星歯車組の歯数比に対応する間隔に応じて並べ、この並び順に第1要素、第2要素、第3要素とし、
第2遊星歯車組の3つの回転要素を、共通速度線図上で第2遊星歯車組の歯数比に対応する間隔に応じて並べ、この並び順に第4要素、第5要素、第6要素とし、
第3遊星歯車組の3つの回転要素を、共通速度線図上で第3遊星歯車組の歯数比に対応する間隔に応じて並べ、この並び順に第7要素、第8要素、第9要素とし、
第4遊星歯車組の3つの回転要素を、共通速度線図上で第4遊星歯車組の歯数比に対応する間隔に応じて並べ、この並び順に第10要素、第11要素、第12要素とし、
入力軸を第2要素および第4要素に常時連結し、
出力軸を第11要素に常時連結し、
第2要素を第7要素に常時連結し、
第6要素を第12要素に常時連結し、
第9要素を第10要素に常時連結し、
第1要素を第1クラッチの締結により第5要素と連結可能とするとともに、第2クラッチの締結により第6要素に連結可能とし、
第3要素を第1ブレーキにより静止部に固定可能とし、
第8要素を第3クラッチの締結により第1要素に連結可能とするとともに、第4クラッチの締結により第11要素と連結可能とし、
第10要素を第2ブレーキの締結により静止部に固定可能とした、
ことを特徴とする。
この実施例1の車両用自動変速機は、入力軸1と、4組の遊星歯車組2〜5と、6つの摩擦締結要素(ブレーキやクラッチからなる)6〜11と、出力軸12と、を備えている。
一方、出力軸12は、入力軸1と同心軸上に配置され、図示しない終減速機、差動歯車組を介して左右の駆動輪に連結されている。
入力軸1は、第1遊星歯車組2のピニオン・キャリヤ24および第2遊星歯車組3のリング・ギヤ32に常時連結されている。
入力軸1と同心線上に配置された出力軸12は、第4遊星歯車組5のピニオン・キャリヤ54に常時連結されている。
第3遊星歯車組4のサン・ギヤ41は、第4遊星歯車組5のリング・ギヤ52に常時連結されている。
第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31は、第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51に常時連結されている。
一方、リング・ギヤ22は、セカンド・アンド・リバース・クラッチ8により第2遊星歯車組3のピニオン・キャリヤ34に、またロー・クラッチ9により第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31にそれぞれ連結可能である。
第3遊星歯車組4では、ピニオン・キャリヤ44がハイ・アンド・リバース・クラッチ10により第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22に、またインターメディエット・クラッチ11により第4遊星歯車組5のピニオン・キャリヤ54にそれぞれ連結可能である。
第2遊星歯車組3のリング・ギヤ32は本発明の第4要素に、そのピニオン・キャリヤ34は本発明の第5要素に、またそのサン・ギヤ31は本発明の第6要素に、それぞれ相当する。
第3遊星歯車組4のリング・ギヤ42は本発明の第7要素に、そのピニオン・キャリヤ44は本発明の第8要素に、またそのサン・ギヤ41は本発明の第9要素に、それぞれ相当する。
第4遊星歯車組5のリング・ギヤ52は本発明の第10要素に、そのピニオン・キャリヤ54は本発明の第11要素に、またそのサン・ギヤ51は本発明の第12要素に、それぞれ相当する。
すなわち、インターメディエット・アンド・ハイ・ブレーキ6およびロー・アンド・リバース・ブレーキ7には、油圧作動式の多板ブレーキを、またセカンド・アンド・リバース・クラッチ8〜インターメディエット・クラッチ11の4個のクラッチには、油圧作動式の多板クラッチを用いる。
なお、これらの摩擦締結要素は、図示しないコントローラにより電子制御される図示しないコントロール・バルブからの圧油の供給、抜きにより、それらの締結、解放が制御される。これらのコントローラやコントロール・バルブの構成および作用はよく知られているので、ここではそれらの説明は省略する。
図2中、横方向に各変速段を、また縦方向に摩擦締結要素、ギヤ比、レシオ・カバーレッジ(全変速比幅であり、前進1速のギヤ比を最高変速段のギヤ比で割った値)R/C、前進1速時のギヤ比に対する後退時のギヤ比の割合(Rev/1st)が、それぞれ記載してある。なお、同図中、○印は、この○印に相当する摩擦締結要素が締結状態にあることを、また空白はその摩擦締結要素が解放状態にあることを意味する。
すなわち、横軸上に、シングル・ピニオン・タイプの遊星歯車組の場合には、リング・ギヤ、ピニオン・キャリヤ、サン・ギヤ3つの回転要素の回転速度軸を、この順に(左右いずれの方向でもよい)、リング・ギヤおよびピニオン・キャリヤ間の大きさをこの遊星歯車組の歯数比αとした場合、ピニオン・キャリヤおよびサン・ギヤ間の大きさが1となる割合でそれぞれ離して配置したものである。
この場合、縦軸には、回転速度ゼロより上方にエンジンと同じ回転方向の回転速度をとり、回転速度ゼロより下方にエンジンと逆回転方向の回転速度をとるようにする。
共通速度線図にあっては、リング・ギヤ、ピニオン、サン・ギヤのそれぞれの噛み合い関係は歯と歯とが1対1で噛み合うリニアな関係となるので、各回転要素の回転速度を結ぶと直線関係となる。
なお、共通速度線図は、図中左側から右側へ向けて順に第1遊星歯車組2〜第4遊星歯車組5にそれぞれ対応し、各遊星歯車組ではリング・ギヤの回転速度軸、ピニオン・キャリヤの回転速度軸、サン・ギヤの回転軸の順に回転速度軸を配置している。
また、共通速度線図間で同じ速度となる回転要素同士間については、点線で結んである。また、共通速度線図にあっては、それらのリング・ギヤにはRを、またピニオン・キャリヤにはCを、またサン・ギヤにはSを付け、これらの記号に第1遊星歯車組2〜第4遊星歯車組5に応じてそれぞれ1〜4の添え字を付けてある。
第1速を得るには、ロー・アンド・リバース・ブレーキ7、ロー・クラッチ9、およびハイ・アンド・リバース・クラッチ10を締結する。
このとき、図3に示すように、エンジンからの駆動力は、第1遊星歯車組2のピニオン・キャリヤ24、第2遊星歯車組3のリング・ギヤ32、および第3遊星歯車組4のリング・ギヤ42にそれぞれ入力される。
そうすると、第3遊星歯車組4のサン・ギヤ41と第4遊星歯車組5のリング・ギヤ52とが常時連結されており、かつこのリング・ギヤ52がロー・アンド・リバース・ブレーキ7の締結により固定されているので、第3遊星歯車組4のサン・ギヤ41も固定される。
この結果、第3遊星歯車組4では、リング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転し、サン・ギヤ41が固定されて回転速度0であるので、そのピニオン・キャリヤ44は、リング・ギヤ42の回転速度とサン・ギヤ41の回転速度を結ぶ直線がピニオン・キャリヤ44の回転速度軸C3と交わる回転速度、すなわち前進方向に減速された回転数で駆動される。
このとき、ピニオン・キャリヤ44は、ハイ・アンド・リバース・クラッチ10の締結により第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22に連結されているので、このリング・ギヤ22をピニオン・キャリヤ44と同じ回転速度で回転させる。
一方、リング・ギヤ22は、これにロー・クラッチ9の締結により接続された第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31をリング・ギヤ22およびピニオン・キャリヤ44と同じ回転速度で回転させる。
サン・ギヤ31は第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51に常時連結しているので、サン・ギヤ51もそれらと同じ回転速度で回転させる。
第4遊星歯車組5のリング・ギヤ52がロー・アンド・リバース・ブレーキ7で固定されて回転速度が0であり、サン・ギヤ51が第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44と同じ減速回転速度で回転しているので、これらを結ぶ直線が第4遊星歯車組5のピニオン・キャリヤ54の回転速度軸C4と交わる位置での回転速度、すなわちサン・ギヤ51、サン・ギヤ31、サン・ギヤ51よりさらに遅い回転速度となる第1速(ギヤ比4.380)で、ピニオン・キャリヤ54およびこれに連結されている出力軸12が、回転駆動される。
なお、第1遊星歯車組2のサン・ギヤは増速回転され、第2遊星歯車組3のピニオン・キャリヤ34はサン・ギヤ31より早い減速回転速度で回転する。
そうすると、図4に示すように、第1速の場合と同様に、第3遊星歯車組4では、リング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転され、サン・ギヤ41がロー・アンド・リバース・ブレーキ7の締結によりリング・ギヤ52を介して固定され回転速度0となるので、ピニオン・キャリヤ44は減速回転する。
一方、セカンド・アンド・リバース・クラッチ8およびロー・クラッチ9の両方が締結されるので、第2遊星歯車組3では、リング・ギヤ31、リング・ギヤ32、およびピニオン・キャリヤ34が一体となって回転する。この場合、リング・ギヤ32にエンジンからの駆動力が入力されているので、第2遊星歯車組3は一体となって入力軸1と同じ回転速度で回転する。
この第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31は、第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51に常時連結されているので、サン・ギヤ51も入力軸1と同じ回転速度で回転する。
したがって、第4遊星歯車組5では、サン・ギヤ51が入力軸1と同じ回転速度で回転し、リング・ギヤ52が固定されて回転速度が0であるので、これらを結ぶ直線がピニオン・キャリヤ54の回転速度軸と交わる位置での回転速度、すなわち第1速より早い減速回転速度となる第2速(ギヤ比2.758)で、ピニオン・キャリヤ54およびこれに連結されている出力軸12が回転駆動される。
なお、第1遊星歯車組2では、リング・ギヤ22がセカンド・アンド・リバース・クラッチ8およびロー・クラッチ9の両方の締結により第2遊星歯車組3のピニオン・キャリヤ34およびサン・ギヤ31に連結されて入力軸1と同じ回転速度で回転しており、かつピニオン・キャリヤ24が入力軸1と同じ回転速度で回転しているので、そのサン・ギヤ21も入力軸1と同じ回転速度で回転する。
そうすると、図5に示すように、第1遊星歯車組2では、ピニオン・キャリヤ24にエンジンからの駆動力が入力され、サン・ギヤ21がインターメディエット・アンド・ハイ・ブレーキ6の締結により固定される。したがって、そのリング・ギヤ22は増速回転される。
増速されたリング・ギヤ22は、ロー・クラッチ9の締結により第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31およびこれに連結されている第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51を同じ増速回転速度で回転する。
第4遊星歯車組5では、サン・ギヤ51が増速され、リング・ギヤ52がロー・アンド・リバース・ブレーキ7の締結により固定されているので、これらを結ぶ直線がピニオン・キャリヤ54の回転速度軸と交わる位置での回転速度、すなわち第2速より早い減速回転速度となる第3速(ギヤ比2.069)で、そのピニオン・キャリヤ54およびこれに連結されている出力軸12が回転駆動される。
なお、第2遊星歯車組3では、リング・ギヤ32にエンジンからの駆動力が入力され、ロー・クラッチ9の締結により第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31が第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22に連結されてこれと同じ増速回転速度で回転するので、そのピニオン・キャリヤ34は第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31、したがって第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22より遅い増速回転速度で回転する。
また第3遊星歯車組4では、リング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転し、サン・ギヤ41がロー・アンド・リバース・ブレーキ7の締結により第4遊星歯車組5のリング・ギヤ52を介して固定されているので、そのピニオン・キャリヤ44は減速回転する。
そうすると、図6に示すように、第3遊星歯車組4では、第3速の場合と同様に、リング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転し、サン・ギヤ41がロー・アンド・リバース・ブレーキ7の締結により固定されているので、そのピニオン・キャリヤ44は減速回転する。
一方、第4遊星歯車組5では、ピニオン・キャリヤ54およびこれに連結されている出力軸12は、インターメディエット・クラッチ11の締結により第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44に連結されているので、このピニオン・キャリヤ44と同じ回転速度となり、第3速より早い減速回転速度となる第4速(ギヤ比1.588)で回転駆動される。
なお、第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51は、リング・ギヤ52がロー・アンド・リバース・ブレーキ7の締結により固定され、ピニオン・キャリヤ54が第4速の減速回転速度で回転しているので、そのサン・ギヤ51は増速回転する。
このサン・ギヤ51は、第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31に連結されているので、このサン・ギヤ31を同じ増速回転速度で増速する。したがって、第2遊星歯車組3では、サン・ギヤ31が増速回転し、リング・ギヤ32が入力軸1と同じ回転速度で回転するので、そのピニオン・キャリヤ34は、サン・ギヤ31より遅い増速回転速度で回転する。
また、第1遊星歯車組2では、このリング・ギヤ22がロー・クラッチ9の締結により第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31に連結されてこれと同じ増速回転速度で回転し、ピニオン・キャリヤ24が入力軸1と同じ回転速度で回転されるので、そのサン・ギヤ21はエンジンの駆動方向とは逆方向に増速回転する。
そうすると、図7に示すように、第1遊星歯車組2では、ピニオン・キャリヤ24が入力軸1により回転駆動され、サン・ギヤ21がインターメディエット・アンド・ハイ・ブレーキ6の締結で固定されるので、そのリング・ギヤ22は、増速回転する。
このリング・ギヤ22は、ロー・クラッチ9の締結により第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31およびこれに連結された第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51をリング・ギヤ22と同じ増速回転速度で回転する。
したがって、第2遊星歯車組3では、第4速と同様に、リング・ギヤ32が入力軸1と同じ回転速度で回転され、サン・ギヤ31が増速回転されるので、そのピニオン・キャリヤ34はサン・ギヤ31より遅い増速回転速度で回転する。
一方、第3遊星歯車組4では、このリング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転され、ピニオン・キャリヤ44がインターメディエット・クラッチ11の締結により第4遊星歯車組5のピニオン・キャリヤ54および出力軸12に連結されてこれらと同じ回転速度で回転し、かつそのサン・ギヤ41がこれと連結された第4遊星歯車組5のリング・ギヤ52と同じ回転速度で回転するので、出力軸12は第4速より早い減速回転速度となる第5速(ギヤ比1.201)で回転駆動される。
そうすると、図8に示すように、ロー・クラッチ9、ハイ・アンド・リバース・クラッチ10、およびインターメディエット・クラッチ11の締結により、第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22、第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31およびこれに連結されている第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51、第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44、第4遊星歯車組5のピニオン・キャリヤ54およびこれに連結されている出力軸12は、すべて同じ回転速度で回転する。この場合、第1遊星歯車組2のピニオン・キャリヤ24、第2遊星歯車組3のリング・ギヤ32、および第3遊星歯車組4のリング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転しているので、すべての回転要素が直結状態となる第6速(ギヤ比1.000)で出力軸12は駆動回転される。
そうすると、図9に示すように、第1遊星歯車組2では、ピニオン・キャリヤ24が入力軸1と同じ回転速度で回転され、サン・ギヤ21がインターメディエット・アンド・ハイ・ブレーキ6の締結で固定されて回転速度が0となるので、3速〜5速の場合と同様となり、そのリング・ギヤ22は増速回転する。
この増速回転するリング・ギヤ22はハイ・アンド・リバース・クラッチ10の締結により第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44をリング・ギヤ22と同じ増速回転速度で回転させる。
この結果、第3遊星歯車組4では、ピニオン・キャリヤ44が増速回転し、リング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転するので、そのサン・ギヤ41はさらなる増速回転速度で回転される。
このサン・ギヤ41は、これに連結されている第4遊星歯車組5のリング・ギヤ52をサン・ギヤ41と同じ増速回転速度で回転させる。
また、インターメディエット・クラッチ11の締結により第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44と第4遊星歯車組5のピニオン・キャリヤ54およびこれに連結された出力軸12とは一体回転させられるので、結局、ピニオン・キャリヤ54および出力軸12は、第6速より速い増速回転速度となる第7速(ギヤ比0.750)で回転駆動されることになる。
なお、第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51とれに連結されている第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31とは減速回転される。したがって、第2遊星歯車組3では、
リング・ギヤ32が入力軸1と同じ回転速度で回転するので、そのピニオン・キャリヤ34は、サン・ギヤ31より早い減速回転速度で回転する。
そうすると、図10に示すように、第1遊星歯車組2では、第7速の場合と同様に、ピニオン・キャリヤ24が入力軸1と同じ回転速度で回転し、サン・ギヤ21がインターメディエット・アンド・ハイ・ブレーキ6の締結で固定されて回転速度が0となるので、そのリング・ギヤ22は増速回転する。
リング・ギヤ22は、ロー・クラッチ9の締結により接続された第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31およびこれに連結された第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51と、ハイ・アンド・リバース・クラッチ10の締結により連結された第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44とを第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22と同じ増速回転速度で回転する。
第3遊星歯車組4では、リング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転し、ピニオン・キャリヤ44がリング・ギヤ22と同じ増速回転速度で回転するので、そのサン・ギヤ41およびこれに連結されている第4遊星歯車組のリング・ギヤ52は、さらなる高速の増速回転速度で回転する。
したがって、第4遊星歯車組5では、リング・ギヤ52が第3遊星歯車組4のサン・ギヤ41と同じで最も早い増速回転速度で回転し、サン・ギヤ51が第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22と同じ増速回転速度で回転されるので、そのピニオン・キャリヤ54はリング・ギヤ52とサン・ギヤ51との間の早さで第7速よりも早い増速回転速度となる第8速(ギヤ比0.590)で回転駆動される。
なお、第2遊星歯車組3ではリング・ギヤ32が入力軸1と同じ回転速度で回転し、サン・ギヤ31が第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22と同じ回転速度で回転するので、そのピニオン・キャリヤ34は、リング・ギヤ32とサン・ギヤ31との間の早さの増速回転速度で回転する。
そうすると、図11に示すように、第1遊星歯車組2では、第3速〜第5速、第7速、および第8速の場合と同様に、そのリング・ギヤ22が増速回転する。
このリング・ギヤ22は、セカンド・アンド・リバース・クラッチ8の締結により第2遊星歯車組3のピニオン・キャリヤ34と、ハイ・アンド・リバース・クラッチ10の締結により第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44とを、リング・ギヤ22と同じ増速回転速度で回転する。
第2遊星歯車組3では、リング・ギヤ32が入力軸1と同じ回転速度で回転し、ピニオン・キャリヤ34が増速回転するので、そのサン・ギヤ31は最高の速さの増速回転速度で回転する。
このサン・ギヤ31は、第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51に連結されるとともに、ハイ・アンド・リバース・クラッチ10の締結により第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44にも連結されているので、これらをサン・ギヤ31と同じ増速回転速度で回転する。
したがって、第3遊星歯車組4では、リング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転し、ピニオン・キャリヤ44が増速回転速度で回転するので、そのサン・ギヤ41は増速回転速度で回転する。
一方、第4遊星歯車組5では、サン・ギヤ51が第2遊星歯車組3のサン・ギヤ31に連結されて最高の増速回転速度で回転し、リング・ギヤ52が第3遊星歯車組4のサン・ギヤ41に接続されて増速回転速度で回転するので、そのピニオン・キャリヤ44およびこれに連結された出力軸12は、リング・ギヤ52とサン・ギヤ51との間で第8速よりも速い増速回転速度となる第9速(0.473)で回転駆動される。
そうすると、図12に示すように、第3遊星歯車組4では、リング・ギヤ42が入力軸1と同じ回転速度で回転し、サン・ギヤ41がロー・アンド・リバース・ブレーキ7の締結により第4遊星歯車組5のリング・ギヤ52を介して固定され、回転速度が0となるので、第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44は減速回転する。
このピニオン・キャリヤ44は、ハイアンド・リバース・ブレーキ10およびセカンド・アンド・リバース・クラッチ8の締結により第1遊星歯車組2のリング・ギヤ22および第2遊星歯車組3のピニオン・キャリヤ34に連結されて、これらをピニオン・キャリヤ44と同じ減速回転速度で回転する。
第2遊星歯車組3では、リング・ギヤ32が入力軸1と同じ回転速度で回転し、ピニオン・キャリヤ34が減速回転するので、そのサン・ギヤ31はエンジンの回転方向とは逆方向に減速回転する。
このサン・ギヤ31は、第4遊星歯車組5のサン・ギヤ51に連結されて同じ回転速度で逆方向の減速回転速度で回転させる。第4遊星歯車組5では、サン・ギヤ51が逆方向の減速回転速度で回転し、リング・ギヤ51がロー・アンド・リバース・ブレーキ7の締結により固定されて回転速度が0となっているので、そのピニオン・キャリヤ54およびこれに連結されている出力軸12は、エンジンの回転方向とは逆方向にサン・ギヤ51より遅い減速回転速度となるリバース比(ギヤ比−4.207、ただしマイナスは逆回転方向を表す)で回転駆動される。
なお、第1遊星歯車組2では、ピニオン・キャリヤ24が入力軸1と同じ回転速度で回転し、リング・ギヤ22が第2遊星歯車組3のピニオン・キャリヤ34および第3遊星歯車組4のピニオン・キャリヤ44と同じ減速回転速度で回転するので、そのサン・ギヤ21は増速回転する。
また、リバース比/1速比は、実施例1の自動変速機では、0.961となり、従来の自動変速機での同比(引用文献1では0.70)より大きくなって1により近い値になる。
実施例1の自動変速機4組の遊星歯車組2〜5と、2個のブレーキ6、7および4個のクラッチ8〜11からなる摩擦締結要素とを、図1のような連結関係とし、かつ図2の作動表に基づいて、摩擦締結要素を制御するようにしたので、各段に最適なギヤ比、および段間比を得ることが可能となる。
すなわち、前進9速を得ることができるので、車両の走行条件に適したギヤ比を選択するのが容易となる。
この場合、第1速を4.380などの大きなギヤ比に設定できるので、発進時など低速時における駆動力を確保でき、また、第9速を0.473などの小さなギヤ比に設定できるので、高速走行時はエンジンの回転速度を小さくして騒音の抑制や消費燃費の低減が可能となる。
2 第1遊星歯車装置
21 サン・ギヤ
22 リング・ギヤ
23 ピニオン
24 ピニオン・キャリヤ
3 第2遊星歯車装置
31 サン・ギヤ
32 リング・ギヤ
33 ピニオン
34 ピニオン・キャリヤ
4 第3遊星歯車装置
41 サン・ギヤ
42 リング・ギヤ
43 ピニオン
44 ピニオン・キャリヤ
5 第4遊星歯車装置
51 サン・ギヤ
52 リング・ギヤ
53 ピニオン
54 ピニオン・キャリヤ
6 ハインターメディエット・アンド・ハイ・ブレーキ(第1ブレーキ)
7 ロー・アンド・リバース・ブレーキ(第2ブレーキ)
8 セカンド・アンド・リバース・クラッチ(第1クラッチ)
9 ロー・・クラッチ(第2クラッチ)
10 ハイ・アンド・リバース・クラッチ(第3クラッチ)
11 インターメディエット・クラッチ(第4クラッチ)
12 出力軸
Claims (4)
- 入力軸と、
出力軸と、
サン・ギヤ、リング・ギヤおよびピニオン・キャリヤの3つの回転要素を備える第1遊星歯車組〜第4遊星歯車組と、
第1ブレーキ、第2ブレーキ、第1クラッチ〜第4クラッチの6個の摩擦締結要素と、
を備え、
前記第1遊星歯車組の3つの回転要素を、共通速度線図上で前記第1遊星歯車組の歯数比に対応する間隔に応じて並べ、この並び順に第1要素、第2要素、第3要素とし、
前記第2遊星歯車組の3つの回転要素を、前記共通速度線図上で前記第2遊星歯車組の歯数比に対応する間隔に応じて並べ、この並び順に第4要素、第5要素、第6要素とし、
前記第3遊星歯車組の3つの回転要素を、前記共通速度線図上で前記第3遊星歯車組の歯数比に対応する間隔に応じて並べ、この並び順に第7要素、第8要素、第9要素とし、
前記第4遊星歯車組の3つの回転要素を、前記共通速度線図上で前記第4遊星歯車組の歯数比に対応する間隔に応じて並べ、この並び順に第10要素、第11要素、第12要素とし、
前記入力軸を前記第2要素および前記第4要素に常時連結し、
前記出力軸を前記第11要素に常時連結し、
前記第2要素を前記第7要素に常時連結し、
前記第6要素を前記第12要素に常時連結し、
前記第9要素を前記第10要素に常時連結し、
前記第1要素を前記第1クラッチの締結により前記第5要素と連結可能とするとともに、前記第2クラッチの締結により前記第6要素に連結可能とし、
前記第3要素を前記第1ブレーキにより静止部に固定可能とし、
前記第8要素を前記第3クラッチの締結により前記第1要素に連結可能とするとともに、前記第4クラッチの締結により前記第11要素と連結可能とし、
前記第10要素を前記第2ブレーキの締結により前記静止部に固定可能とした、
ことを特徴とする車両用自動変速機。 - 請求項1に記載の車両用自動変速機において、
前記第1ブレーキは、第3速、第5速、および第7速〜第9速で締結し、
前記第2ブレーキは、第1速〜第4速および後退で締結し、
前記第1クラッチは、第2速、第9速、および後退で締結し、
前記第2クラッチは、第1速〜第6速、および第8速で締結し、
前記第3クラッチは、第1速、第6速〜第9速および後退で締結し、
前記第4クラッチは、第4速〜第7速で締結する、
ことを特徴とする車両用自動変速機。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両用自動変速機において、
前記第1遊星歯車組〜第4遊星歯車組は、それぞれの3つの回転要素がサン・ギヤ、リング・ギヤ、前記サン・ギヤおよび前記リング・ギヤの両方に噛み合う複数のピニオンを回転自在に支持するピニオン・キャリヤを有する・シングル・ピニオン・タイプである、
ことを特徴とする車両用自動変速機。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用自動変速機において、
前記第1要素、前記第4要素、前記第7要素および前記第10要素は、それぞれリング・ギヤであり、
前記第2要素、前記第5要素、前記第8要素および前記第11要素は、それぞれピニオン・キャリヤであり、
前記第3要素、前記第6要素、前記第9要素および前記第12要素は、それぞれサン・ギヤである、
ことを特徴とする車両用自動変速機。
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