JP5779749B2 - 鋳鉄材料の製造方法,鋳鉄材料及びダイカストマシン用スリーブ - Google Patents
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Description
このようなスリーブにおいては、従来から鋼の中では耐摩耗性に優れる、熱間用合金工具鋼(SKD材)が主に使用されてきた。しかしながら、本材料は、アルミニウム合金溶湯に対する耐溶損性に劣るため、アルミニウム溶湯との接触で溶損し、耐久性が悪いという問題があった。そこで、最近は本製品の内面に、ガス拡散やイオン窒化などによる表面窒化処理を施す場合が多い。しかし、この場合も、被膜の厚みが数ミクロンと非常に薄いため、アルミニウム合金溶湯に対する耐溶損性の大幅な効果は得られていない。さらに、SKD材の内面にサイアロンセラミックスや硼化物系サーメットをライニングしたスリーブも開発されている(例えば、特開2002−120056号公報参照)。しかしながら、いずれも耐溶損性および耐保温性には優れるものの、材料の強度と靭性に劣り、作業性に苦慮している。また、SKD材のスリーブに比較して価格が飛躍的に高くなる欠点がある。
本発明は上記の点に鑑みて為されたもので、安価で、強度と靭性に優れ、耐摩耗性に加えて、特に、耐溶損性の向上を図った鋳鉄材料の製造方法,鋳鉄材料及びダイカストマシン用スリーブを提供することを目的とする。
好ましくは、C:2.5〜3.8質量%、Si:0.8〜3.0質量%、Mn:0.2〜0.8質量%、P:0.05質量%以下、Co:7.0〜12.0質量%、Mg:0.05質量%以下である。また、好ましくは、硬さがHRC45以上である。
即ち、必要に応じ、上記熱処理により、基地組織が焼戻しマルテンサイト,微細パーライトの少なくともいずれかの組織からなる鋳鉄材料にする構成としている。
変態温度Ac1が、840℃に満たないと、基地組織がアルミニウムの溶湯温度で変態して、硬さが低下するという不具合がある。
保持温度が、900℃に満たないと、組成によっては、基地組織が完全にオーステナイト組織に変態せず、焼入れ処理が行われないという不具合があり、1100℃を超えると、組織が成長し、合金強度が低下するという不具合がある。
これにより、焼戻しをするので、焼入れ処理によるひずみを軽減し、材料の衝撃特性を緩和させ、耐溶損性を向上させることができる。
この場合、保持温度が、300℃に満たないと十分にひずみを除去することが出来ず、衝撃特性も向上しないという不具合があり、500℃を超えると、硬さが著しく低下するという不具合がある。
本発明の実施の形態に係る鋳鉄材料の製造方法は、C:2.0〜4.5質量%、Si:0.5〜3.0質量%、Mn:0.2〜1.0質量%、P:0.1質量%以下、Co:6.0〜15.0質量%、Mg:0.1質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成の溶湯を鋳込んで鋳造物を得、その後、該鋳造物をこれに熱処理を施して硬さがHRC45以上の鋳鉄材料にしている。
コバルトが、6.0質量%に満たないと耐溶損性に劣るという不具合があり、15.0質量%を超えると、耐溶損性は低下しさらに、材料コストが高くなるという不具合がある。
好ましくは、C:2.5〜3.8質量%、Si:0.8〜3.0質量%、Mn:0.2〜0.8質量%、P:0.05質量%以下、Co:7.0〜12.0質量%、Mg:0.05質量%以下である。また、好ましくは、硬さがHRC45以上である。
即ち、熱処理により、基地組織が焼戻しマルテンサイト、微細パーライトの少なくともいずれかの組織からなる鋳鉄材料にする構成としている。
これにより、焼戻しをするので、焼入れ処理によるひずみを軽減し、材料の衝撃特性を緩和させ、耐溶損性を向上させることができる。
この場合、保持温度が、300℃に満たないと十分にひずみを除去することが出来ず、衝撃特性も向上しないという不具合があり、500℃を超えると、硬さが著しく低下するという不具合がある。
実施例として、コバルトの添加量を8,10,12質量%と変化させた球状黒鉛鋳鉄溶湯を試験用鋳型に鋳込んで鋳造物を得、その後、この鋳造物をこれに熱処理を施して硬さがHRC45以上の鋳鉄材料にしたものを作成した。
図2には、実施例の化学組成を示す。実施例に係る鋳込み直後の鋳造物(分析用チル試験片)を用いて発光分光分析装置で測定した。
この結果から、8%Coにおいて、Ac1温度は843℃、10%Coにおいて、Ac1温度は858℃、12%Coにおいて、Ac1温度は859℃であった。したがって、図4の10%Coにおいて、フェライトと微細パーライトが多くなった理由は、加熱温度が850℃では、本合金は完全なオーステナイト相に十分に変態していないためと考えられる。
また、図4の焼入れ組織からすると、950℃焼入れ材はマルテンサイト相が多くなり、硬さも向上すると考えられる。しかし実際に測定すると900℃焼入れ材の方が硬さは高かった。この理由は、マルテンサイト相の炭素の含有量やマルテンサイト相の大きさなどの影響があったものと考えられる。
溶損試験の結果より、溶損率は、硬さに依存するところも大きいが、合金中のフェライトやパーライト面積率なども影響することが分かった。また同じ微細パーライト組織でもフェライトが多く、調質され組織的に安定している8%Coの溶損率が小さくなることが分かった。
コバルト添加鋳鉄原料の溶解は、500kg高周波誘導炉を用いて鋼屑、加炭材、フェロマンガン、フェロシリコンそして電解コバルトなどを原料として350kg溶製した。溶解温度は1540℃とし、球状化処理を行った後、接種を行った。そして鋳型への鋳込み温度は約1480℃とした。
これにより、実施例に係るスリーブの組成は、8%Coとした。
次に、粗加工したスリーブの硬さの調整を行うために焼入れ、焼戻しの熱処理を行った。熱処理の条件は、930℃焼入れ、500℃焼戻しの条件で行った。焼入れは、水冷でなく油冷とした。焼戻し処理は、500℃で1hr保持した後空冷した。焼入れ焼戻し後の硬さはHRC48であった。
更に、通常利用しているSKDスリーブとの比較も行った、SKDスリーブは約30000ショットでクラックが多く発生し、溶損と熱衝撃により一部剥がれ落ちる現象が生じていた。これに対して、実施例に係る650tスリーブでは、32000ショット使用してもクラックはほとんど生じず、外観の傷やカケも無く、操業上のトラブルも全く問題なく利用された。
1 壁部
2 注湯口
3 開口
Claims (7)
- C:2.0〜4.5質量%、Si:0.5〜3.0質量%、Mn:0.2〜1.0質量%、P:0.1質量%以下、Co:6.0〜15.0質量%、Mg:0.1質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成の溶湯を鋳込んで鋳造物を得、その後、該鋳造物をこれに熱処理を施して硬さがHRC45以上の鋳鉄材料にすることを特徴とする鋳鉄材料の製造方法。
- 上記熱処理により、基地組織が焼戻しマルテンサイト、微細パーライトの少なくともいずれかの組織からなる鋳鉄材料にすることを特徴とする請求項1記載の鋳鉄材料の製造方法。
- 上記Coの含有量を調整して、変態温度Ac1が、840℃以上である鋳鉄材料にすることを特徴とする請求項2記載の鋳鉄材料の製造方法。
- 上記熱処理は、大気雰囲気の熱処理炉内において、上記鋳造物を900〜1100℃の温度範囲で1〜20時間保持し、その後、水冷又は油冷する焼入れ工程を備えて構成したことを特徴とする請求項3記載の鋳鉄材料の製造方法。
- 上記焼入れ工程後に、大気雰囲気の熱処理炉内において、上記鋳造物を300〜500℃の温度範囲において1〜20時間保持し、その後、空冷又は炉冷する焼戻し工程を備えて構成したことを特徴とする請求項4記載の鋳鉄材料の製造方法。
- 上記請求項1乃至5何れかに記載の鋳鉄材料の製造方法によって製造されることを特徴とする鋳鉄材料。
- 筒状の壁部を備え該壁部の後側に溶湯が供給される注湯口が形成され、該注湯口から供給された溶湯を内部を摺動するチップにより前側の開口から吐出させるダイカストマシン用スリーブにおいて、
上記請求項6記載の鋳鉄材料によって形成されることを特徴とするダイカストマシン用スリーブ。
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