JP5777343B2 - 面発光レーザとその製造方法 - Google Patents
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Description
この2次元フォトニック結晶面発光レーザは、半導体と空気や誘電体などの媒質で2次元周期的に屈折率を変化させた構造が、活性層近傍に配置された構造になっている。
キャリアの注入によって活性層で発生した光は、2次元フォトニック結晶で規定する波長で帰還・増幅し発振する。
さらに、2次元フォトニック結晶で1次回折し垂直方向に光が取り出される。
フォトニック結晶面発光レーザの光の回折効果の強さは、クラッド層によって閉じ込められている光と、2次元フォトニック結晶層との重なりであるΓPhCとに比例する。
ΓPhCを向上させるには、光強度の強い活性層近傍に2次元フォトニック結晶層を配置することが望ましい。
しかし、このような構造のもとでは、以下のような課題を有している。
2次元フォトニック結晶層をアンドープの半導体で構成した場合、p型クラッド層からアンドープの層を介して活性層にホールを注入することになる。
ホールは電子より移動度が低いため、2次元フォトニック結晶層の厚さに伴い活性層へのホールの注入効率が低下する。
また、光の取り出しを良くするために2次元フォトニック結晶層を厚くすると、p型クラッド層と活性層の距離がより長くなり、ホールの注入効率低下がより問題になる。
特に窒化物半導体でその影響が大きい。窒化物半導体では、電気抵抗の低いp型にするためにMgを1019cm-3程度ドーピングする。
波長400nm帯の光の吸収係数を比較すると、アンドープのGaNの吸収係数は数cm-1であるが、Mgを19乗ドーピングしたp−GaNは吸収係数が約100cm-1と非常に大きい。
そのため、キャリアの注入効率を維持しつつ、光吸収を抑えることができないという課題を有している。
なお、上記では窒化物半導体を例に挙げて説明したが、他の材料系においても同様の課題が生じる。
また、本発明の面発光レーザの製造方法は、n型電極と、p型電極と、前記n型電極と前記p型電極との間に配置された半導体からなる活性層と、前記p型電極と前記活性層との間に配置された半導体からなる2次元フォトニック結晶層と、を含む面発光レーザの製造方法であって、半導体からなる活性層を形成する工程と、前記活性層の上に、半導体からなる2次元フォトニック結晶層を形成する工程と、前記2次元フォトニック結晶層の上に、p型クラッド層を介してp型電極を形成する工程と、前記活性層の前記2次元フォトニック結晶層の側とは反対側に、n型クラッド層を介してn型電極を形成する工程と、を有し、前記2次元フォトニック結晶層を形成する工程は、前記活性層の上に、前記2次元フォトニック結晶層の母材となる母材層を形成する工程と、前記母材層に、前記活性層の面内方向に周期的に配列した空孔を形成する工程と、前記空孔が形成された前記母材層を、ドーパントを供給しながら前記母材層の媒質がマストランスポートを起こす温度で熱処理をして、前記空孔を残しつつ、前記空孔の側壁に、前記p型電極から前記活性層へのホール注入経路として機能する、導電性を備えた側壁部材を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本実施形態のフォトニック結晶面発光レーザは、基板上に、活性層と、該活性層の近傍に設けられ面内方向に共振モードを有する2次元フォトニック結晶層と、を含む複数の半導体層が積層されて構成されている。
これらの構成を図を用いて説明すると、図1において、101は基板、102はn型クラッド層、103はn側ガイド層、104は活性層、105は2次元フォトニック結晶層、106は電子ブロック層である。
107はp型クラッド層、108はp型コンタクト層、109はn電極、110はp電極である。2次元フォトニック結晶層105中の105aは高屈折率媒質、105bは低屈折率媒質、105cは側壁部材である。
すなわち、基板101の上に、n型クラッド層102、n側ガイド層103、活性層104、2次元フォトニック結晶層105、電子ブロック層106、p型クラッド層107、p型コンタクト層108が、この順に設けられている。
また、通電するための電極として、n電極109を基板101の裏面に備え、p電極110をp型コンタクト層108の表面に備える。
フォトニック結晶面発光レーザ100は、電極間に電圧を印加して通電することで、活性層104はキャリアが注入されて発光する。
活性層104で発生した光はn型クラッド層102とp型クラッド層107で閉じ込められる。閉じ込められた光の一部は2次元フォトニック結晶層105で共振し増幅する。
そして、増幅した光が2次元フォトニック結晶層105で垂直に回折することでレーザ光として取り出される。
本実施形態の2次元フォトニック結晶層105は、ΓPhCを大きくするために活性層の近傍に設けられる。
具体的には、p型クラッド層107と活性層104の間に設けられる。また、2次元フォトニック結晶層105はp型クラッド層107の一部または全体にまたがっていても良い。
2次元フォトニック結晶層105は、高屈折率媒質105aと低屈折率媒質105bと側壁部材105cを備える。
高屈折率媒質105aと低屈折率媒質105bは、基板面内方向に周期的に配列される。
そして、側壁部材105cは基板面内方向に高屈折率媒質105aと低屈折率媒質105bの間に設けられる。
側壁部材105cは、ドーパントを供給しながら高屈折率媒質105aをマストランスポートさせることで形成する。
側壁部材105cは導電性を備え、p型クラッド層107から供給されるホールの通り道となる。
通電によりp型クラッド層107から供給されるホールは、側壁部材105cを経由して活性層104に注入される。
従って、2次元フォトニック結晶層105の厚さに依存せずホールの注入効率を一定にすることができる。
側壁部材105cはホールを十分に注入出来る程度に不純物がドーピングされていれば良い。
具体的にはキャリア濃度が1×1017cm3以上あればキャリアの注入経路として機能する。
より抵抗率を低くし、キャリアを注入しやすくするためには、5×1017cm3以上である。
より好ましくは1×1018cm3以上である。p型の不純物としてMg、Zn、Be等を含有する。
窒化物半導体でアクセプタとしてドーピングするMgの活性化率は数%程度である。
Mgの活性化率を約5%とすると、Mgのドーピング濃度は2×1018cm3以上であることが好ましい。
より好ましくは1×1019cm3以上である。さらに好ましくは2×1019cm3以上である。
高屈折率媒質105aは光吸収の観点からアンドープが好ましいが、光吸収が問題にならない範囲であればドーピングされていても良い。
例えば、高屈折率媒質105a全体に1017〜1018cm3程度にドーピングや、高屈折率媒質105aのp型クラッド層107側に高濃度でドーピングがされていても良い。
従って、高屈折率媒質105aと側壁部材105cの体積比に比例して2次元フォトニック結晶層105の光の吸収係数も変化する。
光の吸収を最小限に抑えるために、側壁部材105cの体積は高屈折率媒質105aの体積以下にすることが望ましい。
側壁部材105cの体積をVc、高屈折率媒質105aの体積をVaとすると、Vc/Va≦1が好ましい。より好ましくはVc/Va≦0.5である。さらに好ましくはVc/Va≦0.25である。
まず、図2(a)に示すように、基板101上に、MOCVD装置やMBE装置などで活性層104までの構造のデバイス構造と、2次元フォトニック結晶層の母材となる半導体層205とを積層する。
次に、製膜装置から基板を取り出し電子線リソグラフィーやフォトリソグラフィーとRIEやICPなどのドライエッチング装置を用いて、半導体層に図2(b)の様な半導体層205を母材とした高屈折率媒質105aと空孔205cを形成する。
次に、p型不純物となるドーパントを供給しながら半導体層205がマストランスポートを起こす温度で熱処理をして、図2(c)のように高屈折率媒質105aの側壁に側壁部材105cを形成する。
熱エネルギーを与えることで高屈折率媒質105aの原子は結合が切れて表面を自由に拡散する。
熱処理条件と空孔205cの形状を制御することで、空孔205cを埋めることなく高屈折率媒質105aの側壁に原子をマストランスポートさせることができる。
そして、ドーパントを取り込み再付着するので、高屈折率媒質105aの側壁に高屈折率媒質105aより低抵抗な側壁部材105cを形成することができる。空孔205の幅は側壁部材105cの基板面内方向の厚さの分だけ細くなり、空気で構成される低屈折率媒質105bになる(図2(d))。
また、マストランスポート後、低屈折率媒質105b内にSiO2、SiNなどの誘電体を形成しても良い。
熱処理工程は専用の装置を用いても良いが、MOCVD装置やMBE装置などでも実施できる。
その際、側壁部材105cを形成する熱処理工程とその上の層の再成長する工程を同じ装置で実施出来る。
装置の基板温度と原料の制御のみで済むため、プロセス工程を増やさなくて済む。
空孔205cの深さ/幅の比であるアスペクト比は1以上であることが望ましい。
空孔205cが浅い場合、マストランスポートによって空孔205cが埋まってしまうためである。
半導体層205を構成しているV族原子は熱処理中に気相中に脱離し易いので、熱処理中のガス雰囲気は、V族原子を含むガス雰囲気中で行う。
例えば、窒化物半導体ではNH3やジメチルヒドラジンなどを含むガス雰囲気である。
表面を拡散する原子の量と原子の拡散距離は熱処理温度に依存している。
例えば、成長温度で熱処理した場合、表面での原子のマイグレーションが盛んであり拡散距離も十分に長い。
従って、数μmサイズの凹凸構造をマストランスポートで形状変化させることが可能である。
フォトニック結晶105の周期は100nm〜数100nmで、側壁部材105cは基板面内方向に数十nm〜百数十nmの厚さで形成出来ればよい。
従って、熱処理温度を成長温度より1割〜2割程度低くしても、空孔205cのサイズに対して原子の拡散距離は十分であるので、マストランスポートを用いて側壁部材105cを形成することができる。
空孔の形状は円形、深さ240nm、直径は孔上部が90nm、底部が35nmである。この構造の試料を熱処理してマストランスポートで形状変化をさせた。
GaNの成長温度である約1000℃より150℃低い熱処理温度である。空孔上部から中腹にかけての直径は約50nmになり、熱処理前より細くなる。
GaN自身が空孔内部にマストランスポートし、GaN側壁に側壁部材105cが形成されたと言える。
マストランスポートで空孔の形状が変化し、直径は約55nm、深さ約170nmになった。空孔の径が細くなったことから側壁部材105cが形成されたと言える。
さらに、空孔上部がGaNで塞がれていた。GaNの成長温度付近での熱処理であるためマストランスポートされる原子の量が多い。そのため、空孔内部の形状が大きく変化する。
また、Ga原子の拡散距離も長いためか、空孔上部でGaが付着しやすい傾向にある。
成長温度より1割〜2割程度低めの温度で熱処理をした場合、マストランスポートされる原子の量が少なくなり、形状変化がゆっくり進む。
従って熱処理時間を制御することで、側壁部材105cの基板面内方向の厚さを制御することができる。
熱処理中はドーパント以外にIII族原料を供給して熱処理を行っても良い。但し、供給量が多すぎると空孔205cが埋まってしまうため、半導体層205積層時のIII族供給量より少なくすることが望ましい。
本発明のフォトニック結晶面発光レーザは、半導体で構成できる波長域であれば特に限定はされないが、窒化物半導体においては緑色などの長波長領域のフォトニック結晶面発光レーザで特に効果が大きい。
フォトニック結晶での光の垂直方向へ回折量はΓPhCや2次元フォトニック結晶層の厚さで決まる。
2次元フォトニック結晶層の厚さについて述べると、2次元フォトニック結晶層の厚さdがλ/2nまでは、光の取り出しは比例して増加する。ここで、λは発光波長、nは2次元フォトニック結晶層の屈折率である。
λ/2n以降は2次元フォトニック結晶層の厚さによる干渉が発生するがほぼ一定値になる。
つまり、フォトニック結晶面発光レーザで光出力を向上するためには2次元フォトニック結晶層の厚さをλ/2n程度まで厚くすることが望ましい。
光の取り出しを大きくするために2次元フォトニック結晶層の厚さをλ/2nにする場合、発光波長λが長くなると、λ/2nもその分大きくなる。
従って、光出力を大きくする場合、紫や青で発光するフォトニク結晶面発光レーザと比べて緑領域やそれより長波長のフォトニック結晶面発光レーザでは2次元フォトニック結晶層はより厚くなる。
つまり、キャリアの注入効率とドーパントによる光吸収のトレードオフの問題がより深刻になる。
なお、以上の実施形態の説明では、窒化物半導体を中心に説明したが、本発明は他の材料にも適用することができる。
[実施例1]
実施例1として、本発明の実施形態におけるフォトニック結晶面発光レーザの具体的な構成例について、図4を用いて説明する。
本実施例では、発光波長400nmの紫色フォトニック結晶面発光レーザを作成した。
その作成に際し、2次元フォトニック結晶層の母材にGaNを用い、GaNの成長温度より約150℃低い850℃で熱処理し側壁部材405cを形成した。
本実施においては、図4に示すように、基板401としてn−GaN基板を用いる。
次に、MOCVD装置で以下の層を順に形成する。始めに、結晶性向上のためのバッファ層411としてn−GaNを2μm成長させる。
続いて、n型クラッド層402としてn−Al0.07Ga0.93Nを800nm、n側ガイド層403としてGaNを100nm成長させる。
その上に、活性層404として3周期のIn0.10Ga0.90N/GaNの多重量子井戸を成長させる。
井戸層であるIn0.10Ga0.90Nの厚さは2.5nmであり、また障壁層であるGaNの厚さは7.5nmで発光波長は400nmである。
そして、活性層404の上に、2次元フォトニック結晶層105の母材となるGaN(405)を120nm成長させる。
まず、基板をMOCVD装置から取り出し、プラズマCVDで表面にSiO2を形成する。
次に、レジストを塗布し、フォトック結晶のパターンを電子線リソグラフィーで描画する。
パターンは円形のパターンを正方格子状に配置し、直径は80nm、格子間隔は160nmで描画する。
現像後、レジストをマスクとしてCF4ガスを用いたICPでSiO2をエッチングする。
SiO2にフォトニック結晶のパターンが形成されるので、今度はSiO2をハードマスクとして、Cl2ガスを用いたICPでGaN(405)を100nmエッチングする。
エッチング後、SiO2マスクを除去することによりGaN(405)に高屈折率媒質としてGaNからなる凸部405aと空孔が形成される。
まず、基板を再びMOCVD装置にセットする。p型不純物としてCp2Mgを供給しながらN2とNH3の混合ガス雰囲気で基板を850℃まで加熱し、昇温後30分間保持する。
Cp2Mgの供給量はp−GaN(405c)にMgが2×1018cm-3ドーピングできる供給量に調整する。
熱処理によって凸部405aのGaNが分解し、Ga原子が凸部405aの側壁へ輸送される。
そして、気相中の窒素とMgを取り込み側壁部材405cとして、凸部405aより低抵抗でp型の導電性のp−GaNが形成される。
空孔は狭くなり直径60nmになる。また空孔の底にも原子がマストランスポートされ20nm浅くなる。
2次元フォトニック結晶層105の空孔上部が塞がれ、GaN(凸部405a)とp−GaN(405c)と深さが80nmの空気で構成される2次元フォトニック結晶層105が出来る。
残りの層として、電子のオーバーフローを防ぐ電子ブロック層406としてp−Al0.20Ga0.80Nを20nm、p型クラッド層407としてp−Al0.05Ga0.95Nを500nm、電極形成のためのコンタクト層408としてp−GaNを100nm順に成長させる。
基板をMOCVD装置から取り出し、n型GaN基板401の裏面にn電極409とp−GaN(408)の表面にNi/Auからなるp電極410を形成することで、フォトニック結晶面発光レーザが完成する。
実施例2として、本発明の実施形態におけるフォトニック結晶面発光レーザの実施例1とは異なる構成例について、図5を用いて説明する。
本実施例では、発光波長450nmの青色フォトニック結晶面発光レーザを作成した。
その作成に際し、2次元フォトニック結晶層の母材にGaN/p−GaNの2層構造を用い、GaNの成長温度より約150℃ほど低い850℃で熱処理をして側壁部材105cを形成した。
本実施においては、図5に示すように、実施例1と同様にして以下の層を成長させる。
基板501としてn−GaN基板を用い、バッファ層511としてn−GaNを2μm、n型クラッド層502としてn−Al0.05Ga0.95Nを500nm、n側ガイド層503としてGaNを120nm成長させる。
その上に、活性層504として3周期のIn0.20Ga0.80N/GaNの多重量子井戸を成長させる。
井戸層であるIn0.20Ga0.80Nの厚さは2.5nmであり、また障壁層であるGaNの厚さは7.5nmで発光波長は450nmである。
活性層504の上に、2次元フォトニック結晶層105として厚さ110nmのGaN(5051)と厚さ30nmでMgを3×1019cm-3ドーピングしたp−GaN(5052)の2層構造505を成長させる。
円形のパターンを正方格子状に配置し、直径は100nm、格子間隔は180nmで描画する。
SiO2をマスクとしてICPでGaN/p−GaNの2層構造505を110nmエッチングすることで、高屈折率媒質としてGaN/p−GaNの2層構造505を母材とする凸部505aと空孔が形成される。
p型不純物としてCp2Mgを供給しながらN2とNH3の混合ガス雰囲気で850℃まで加熱し30分間保持する。
Cp2Mgの供給量はp−GaN(505c)にMgが2×1019cm-3ドーピングできる供給量に調整する。
凸部505aのGaNが分解し、Ga原子が凸部505aの側壁へ輸送される。そして、気相中の窒素とMgを取り込み側壁部材505cとして、凸部505aより低抵抗でドーピング濃度が2×1019cm-3のp−GaNが形成される。
空孔は狭くなり直径70nmになる。また空孔の底にも原子がマストランスポートされ20nm浅くなる。
リフトオフすると空孔がSiO2(505b)で埋め込まれた2次元フォトニック結晶層105が形成される。
これにより、前記空孔に前記高屈折率媒質よりも屈折率が低く、空気より屈折率の高い高屈折率媒質を形成することができる。
その後、MOCVD装置で基板を1000℃まで加熱し、III族原料であるトリメチルガリウムを供給することでp−GaN(512)を50nm成長させ、2次元フォトニック結晶層を覆う。
これにより、上記高屈折率媒質の上部側は、側壁部材よりも低抵抗の部材で構成することができる。
残りの層として、電子のオーバーフローを防ぐ電子ブロック層としてp−Al0.20Ga0.80N(506)を20nm、p型クラッド層としてp−Al0.05Ga0.95N(507)を500nm、電極形成のためのコンタクト層としてp−GaN(508)を100nm、この順に成長させる。
基板をMOCVD装置から取り出し、n型GaN基板501の裏面にn電極509とp−GaN(508)の表面にNi/Auからなるp電極510を形成することで、フォトニック結晶面発光レーザが完成する。
実施例3として、本発明の実施形態におけるフォトニック結晶面発光レーザの上記各実施例とは異なる構成例について、図6を用いて説明する。
本実施例では、発光波長530nmの緑色フォトニック結晶面発光レーザを作成した。
本実施例では、2次元フォトニック結晶層の母材にIn0.05Ga0.95Nを用い、GaNの成長温度付近である1025℃で熱処理をし、側壁部材の形成と同時に空孔をマストランスポートで塞いで2次元フォトニック結晶層を形成する。
2次元フォトニック結晶層の厚さをλ/2n程度である110nmで設計する。本実施例では、図6に示すように、実施例1と同様にして以下の層を成長させる。
基板601としてn−GaN基板を用い、バッファ層611としてn−GaNを2μm、n型クラッド層602としてn−Al0.04Ga0.96Nを500nm、n側ガイド層603としてGaNを120nm成長させる。
その上に、活性層604として3周期のIn0.35Ga0.65N/GaNの多重量子井戸を成長させる。
井戸層であるInGaNの厚さは2.5nm、障壁層であるGaNの厚さは7.5nmで発光波長は530nmである。
活性層604の上に2次元フォトニック結晶層105の母材となるIn0.05Ga0.95N(605)を160nm成長させる。
円形のパターンを正方格子状に配置し、直径は110nm、格子間隔は220nmで描画する。
SiO2をマスクとしてICPでIn0.05Ga0.95N(605)を140nmエッチングすることで、高屈折率媒質としてIn0.05Ga0.95N(605)を母材とする凸部605aと空孔が形成される。
Cp2Mgの供給量はp−In0.05Ga0.95N(605c)にMgが2×1019cm-3ドーピングできる供給量に調整する。
In0.05Ga0.95N(605)を1000℃以上の高温で熱処理するとInが脱離してしまうため、TMInも供給しながら熱処理を行う。GaNの成長温度付近で熱処理をするので、空孔への原子の流れ込みと、凸部605a上部に原子の集中が生じる。
その結果、凸部605aの側壁に側壁部材605cとして凸部605aより低抵抗なp型の導電性のp−In0.05Ga0.95Nが形成される。
また、空孔上部に厚さ30nmのp−In0.05Ga0.95Nが形成され空孔は塞がれる。空孔の直径は40nm細くなり70nmになる。
また、空孔の底に原子がマストランスポートされ20nm浅くなり、深さ110nmになり、成長温度付近の熱処理でのマストランスポートにより2次元フォトニック結晶層105が出来る。
基板をMOCVD装置から取り出し、n型GaN基板601の裏面にn電極609とp−GaN(608)の表面にNi/Auからなるp電極610を形成することで、緑色発光するフォトニック結晶面発光レーザが完成する。
101:基板
102:n型クラッッド層
103:n側ガイド層
104:活性層
105:2次元フォトニック結晶層
105a:高屈折率媒質
105b:低屈折率媒質
105c:側壁部材
106:電子ブロック層
107:p型クラッド層
108:p型コンタクト層
109:n電極
110:p電極
Claims (11)
- n型電極と、p型電極と、前記n型電極と前記p型電極との間に配置された半導体からなる活性層と、前記p型電極と前記活性層との間に配置された半導体からなる2次元フォトニック結晶層と、を含む面発光レーザであって、
前記2次元フォトニック結晶層は、
前記活性層の面内方向に、低屈折率媒質と前記低屈折率媒質よりも高屈折率の高屈折率媒質とが周期的に配列され、
前記低屈折率媒質と前記高屈折率媒質との間に、前記p型電極から前記活性層へのホール注入経路として機能する、導電性を備えた側壁部材が配置されて構成されていることを特徴とする面発光レーザ。 - 前記側壁部材の抵抗率は、前記高屈折率媒質よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ。
- 前記側壁部材の体積は、前記高屈折率媒質の体積以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の面発光レーザ。
- 前記高屈折率媒質の前記p型電極側は、前記側壁部材よりも抵抗率が低い部材で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の面発光レーザ。
- 前記高屈折率媒質は、前記p型電極側の方が前記n型電極側よりも抵抗率が低いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の面発光レーザ。
- 前記側壁部材は、Mg、Zn、Beの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の面発光レーザ。
- 前記側壁部材は、Mgを2×1018cm−3以上の濃度で含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の面発光レーザ。
- n型電極と、p型電極と、前記n型電極と前記p型電極との間に配置された半導体からなる活性層と、前記p型電極と前記活性層との間に配置された半導体からなる2次元フォトニック結晶層と、を含む面発光レーザの製造方法であって、
半導体からなる活性層を形成する工程と、
前記活性層の上に、半導体からなる2次元フォトニック結晶層を形成する工程と、
前記2次元フォトニック結晶層の上に、p型クラッド層を介してp型電極を形成する工程と、
前記活性層の前記2次元フォトニック結晶層の側とは反対側に、n型クラッド層を介してn型電極を形成する工程と、を有し、
前記2次元フォトニック結晶層を形成する工程は、
前記活性層の上に、前記2次元フォトニック結晶層の母材となる母材層を形成する工程と、
前記母材層に、前記活性層の面内方向に周期的に配列した空孔を形成する工程と、前記空孔が形成された前記母材層を、ドーパントを供給しながら前記母材層の媒質がマストランスポートを起こす温度で熱処理をして、前記空孔を残しつつ、前記空孔の側壁に、前記p型電極から前記活性層へのホール注入経路として機能する、導電性を備えた側壁部材を形成する工程と、を有することを特徴とする面発光レーザの製造方法。 - 前記2次元フォトニック結晶層を形成する工程は、前記側壁部材を形成する工程の後に、前記母材層の媒質よりも屈折率が低く、空気より屈折率が高い媒質を前記空孔に形成する工程を有することを特徴とする請求項8に記載の面発光レ−ザの製造方法。
- 前記空孔の深さ/幅の比であるアスペクト比は、1以上であることを特徴とする請求項8または9に記載の面発光レーザの製造方法。
- 前記2次元フォトニック結晶層が窒化物半導体で構成され、前記熱処理の熱処理温度が850℃以上であることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の面発光レーザの製造方法。
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