JP5775845B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ニュートラル制御にかかる自動変速機の制御装置に関するものである。
トルクコンバータを有する自動変速機を搭載した車両では、Dレンジ又はRレンジといった走行レンジが選択されている場合、アクセルペダル開度がゼロであったとしても、所定のトルク(いわゆるクリープトルク)が車両に発生する。このクリープトルクにより、アクセル操作をしなくてもブレーキ操作のみで車庫入れや渋滞時に微速走行させることができ、坂道での発進時にブレーキを解除しても車両の後退を抑制することができ、かかる所定条件下での運転操作性を向上させている。
クリープトルクの発生時には、ブレーキを踏み込むことにより車両を停止保持するが、この停止保持中であってもエンジンからのクリープトルクは発生しており、クリープトルクは車両走行に用いられないため、エンジンには車両走行に寄与しない駆動負荷がかかる。このような状況において、エンジンの駆動負荷を抑制し、燃費を向上させるニュートラル制御が知られている。
ニュートラル制御は、走行レンジが選択され、車両が停止状態であって、アクセルペダル開度がゼロであり、ブレーキ操作がされている等の条件が同時に成立した場合に実施され、自動変速機のクラッチ(動力伝達を遮断可能な係合要素)を開放してニュートラル状態にするものである。
しかしながら、登坂路でニュートラル制御を実施するとブレーキ力が十分に加えられていない場合に車両がずり下がるおそれがある。このため、登坂路ではニュートラル制御の実施を解除する技術が特許文献1等に開示されている。
特許文献1の技術では、ニュートラル制御の実施判定に用いる登坂路の検知デバイスとして加速度センサを用いるが、この加速度センサにより検出されたデータそのもの(以下、生データという)は、エンジン等の駆動系の振動の影響を受けるのでそのまま使用せず、生データを処理したデータ(以下、真の加速度データという)を、登坂路の勾配に対応するデータとして用いている。この真の加速度データは、生データの検出時に対して約1秒の遅れ時間を有する。
特許文献1の技術では、加速度センサにより検出された真の加速度データを用いて、車両が停止している路面勾配の判定(以下、勾配判定という)を行なう。この技術では、登坂路に停車した直後の真の加速度データは登坂路判定閾値のレベルよりも下であるが、該停車から一定時間経過後に真の加速度データが、真の路面勾配に対応し登坂路判定閾値のレベルよりも上になる場合があることに着目し、停車直後に真の加速度データが登坂路判定閾値のレベルよりも下であれば、即座にニュートラル制御を行なう準備としてクラッチを徐々に開放するとともに、並行して一定時間経過後に行なわれる勾配判定に応じて、クラッチの開放を継続する、或いは、クラッチを締結状態に復帰する。
特開2004−190764号公報
しかしながら、特許文献1のような制御では、以下の(I)或いは(II)の課題がある。
(I)車両が停車した路面の勾配が急な登りの場合は、勾配を考慮しないニュートラル制御のクラッチ開放を行なった場合、車両ずり下がりのおそれがある。
(II)勾配を判定する真の加速度データを得るためには、所定時間(遅れ時間)がかかるため、ニュートラル制御の実施が遅延する。
また、走行レンジ選択時に登坂路で停車した場合であっても、ブレーキ力が大きければ、車両はずり下がることなく停止保持される。よって、かかる場合にはニュートラル制御の実施は有効である。一方、走行レンジ選択時に登坂路で停車した場合、ブレーキ力が小さければ、車両がずり下がるおそれがある。よって、かかる場合には、ニュートラル制御の実施の解除、すなわち自動変速機のクラッチの開放を回避して、クリープトルクを発生することが望ましい。しかしながら、特許文献1の技術では、登坂路に停車すると、ブレーキ力にかかわらずニュートラル制御の実施が一律に解除されてしまう。
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたものであり、道路が登坂路であるか否かを速やかに判定し、平坦路又は降坂路での停車時には直ちにニュートラル制御を実施し、登坂路ではブレーキ力に応じて適切にクラッチの接合圧を調整して燃費を向上させることができるようにした、自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の自動変速機の制御装置は、エンジンの出力を車両の駆動輪に伝達すると共に前記出力伝達を断接可能なクラッチ(係合要素)を有する自動変速機の制御装置であって、前記自動変速機のシフトレンジを検出するシフトレンジ検出手段と、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車両のブレーキ操作の有無を検出するブレーキ操作検出手段と、前記車両の走行路面の勾配角を検出する路面勾配角検出手段と、前記路面勾配角検出手段により検出された検出角情報を平滑化処理した処理角情報にする処理手段と、前記路面勾配角検出手段及び前記処理手段からの情報に基づいて前記走行路面が登坂路であるか否かを判定する登坂路判定手段と、前記シフトレンジ検出手段,前記車速検出手段,及び前記ブレーキ操作検出手段の各検出情報と前記登坂路判定手段による判定情報とに基づいて、前記シフトレンジが走行レンジであって、前記車両が停止状態であり、前記ブレーキ操作が有るという制御条件が成立した場合に、前記走行路面が登坂路でないと判定されれば、前記クラッチを開放状態にするニュートラル制御を実施し、前記走行路面が登坂路であると判定されれば、前記ニュートラル制御を実施しない制御手段と、前記ブレーキ操作によるブレーキ力を検出するブレーキ力検出手段とを備え、前記登坂路判定手段は、前記制御条件が成立してから前記処理手段による平滑化処理が完了するまでは、直近の前記検出角情報に基づいて、路面が登坂路であるか否かを判定し、前記処理手段による処理の完了以後は、前記処理角情報に基づいて、路面が登坂路であるか否かを判定し、前記制御手段は、前記制御条件が成立し前記走行路面が登坂路であると判定されると、前記制御条件が成立してから前記処理手段による平滑化処理が完了するまでは、直近の前記検出角情報と前記ブレーキ力とに基づき、前記処理手段による処理の完了以後は、前記処理角情報と前記ブレーキ力とに基づき、それぞれ前記クラッチの接合圧制御を実施し、前記制御条件が成立しないと、前記クラッチを締結状態にすることを特徴としている。
また、前記登坂路判定手段は、前記車速検出手段の検出車速が判定基準車速以下の低速
状態に低下したら前記判定を実施することが好ましい。
(2)前記制御手段による前記接合圧制御は、前記登坂路判定手段による判定に用いられた検出角情報又は処理角情報にかかる勾配角が大きくなるにしたがって前記クラッチの接合圧を上昇させ、前記ブレーキ力が大きくなるにしたがって前記クラッチの接合圧を低下させることが好ましい
)前記路面勾配角検出手段は、前記車両の前後方向加速度を検出する前後加速度センサを備え、前記車両の停止時には、車両前後方向加速度と勾配角との対応関係に基づいて、前記前後加速度センサにより検出された前後方向加速度から前記検出角情報を検出し、前記車両の走行時には、車両前後方向加速度及びブレーキ力と勾配角との対応関係に基づいて、前記前後加速度センサにより検出された前後方向加速度と前記ブレーキ力検出手段により検出されたブレーキ力とから前記検出角情報を検出することが好ましい。
したがって、本発明の自動変速機の制御装置によれば、登坂路判定手段が、制御条件が成立してから処理手段による平滑化処理が完了するまでは、路面勾配角検出手段により検出された直近の検出角情報に基づいて登坂路であるか否かを判定するため、制御条件が成立した場合に、処理手段による平滑化処理に要する時間(いわば遅れ時間)を待つことなく登坂路を判定することができ、この登坂路判定で否定判定されれば、つまり、車両が平坦路或いは降坂路に停止した状態であれば、クラッチを開放状態にするニュートラル制御を実施する。よって、上記の遅れ時間分を待つことなく登坂路判定を行なうことにより、平坦路或いは降坂路での停車時に直ちにニュートラル制御を実施することができる。
従来技術のように平滑化処理にかかる遅れ時間経過後の加速度データを用いるものに対して、本発明の自動変速機の制御装置は、平滑化処理にかかる遅れ時間を待つことがないためニュートラル制御の実施が遅延することがない。
一方、登坂路判定で肯定判定されれば、つまり、車両が登坂路に停止した状態であれば、ニュートラル制御を実施せず、検出角情報又は処理角情報とブレーキ力検出手段により検出されたブレーキ力とに基づいて、自動変速機のクラッチの接合圧制御を実施するため、走行路面の勾配角及びブレーキ力に応じて適切にクラッチの接合圧を調整し、車両のずり下がりを防止しつつ、接合圧の発生源であるオイルポンプ等の駆動負荷を抑制することにより、燃費を向上させることができる。
車両が登坂路に停止した状態であれば、勾配を考慮せずにニュートラル制御のクラッチ開放を行なう従来技術では車両ずり下がりのおそれがあるが、本発明の自動変速機の制御装置は、勾配角及びブレーキ力を考慮して車両のずり下がりを防止することができる。
制御手段は、制御条件が成立し走行路面が登坂路であると判定されると、処理手段による平滑化処理が完了するまでは検出角情報とブレーキ力とに基づき、この平滑化処理の完了以後は処理角情報とブレーキ力とに基づき、それぞれクラッチの接合圧制御を実施する。よって、車両が登坂路に停止した場合に、例えば、平滑化処理が完了するまでクラッチを一律に締結状態に制御し、平滑化処理が完了するとクラッチの接合圧を低下させる技術に比較して、本発明は、平滑化処理が完了するまでの接合圧を低くすることができ、燃費の向上を図ることができる。また、平滑化処理の完了時の接合圧変化を小さくすることができるため、接合圧変動によるショックを抑制することができる。
本発明の一実施形態にかかる自動変速機の制御装置及びこの装置が装備される車両の要部構成図である。 本発明の一実施形態にかかる自動変速機の制御装置による勾配角の検出を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる自動変速機の制御装置による制御条件の判定を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる自動変速機の制御装置により実施される制御を示すフローチャートである。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、本発明のクラッチは、動力伝達を遮断可能な係合要素を意味する。
〔一実施形態〕
本実施形態にかかる自動変速機の制御装置は、自動車等の車両に装備されるものである。
[1.駆動系,動力伝達系及びセンサ類の構成]
まず、車両の要部構成を示す図1を参照して、駆動系及び動力伝達系の構成を説明する。
本実施形態にかかる車両は、車両の駆動源であるエンジン1と、このエンジン1の出力伝達方向順に、トルクコンバータ3と、自動変速機4と、動力伝達機構5と、駆動輪6とを備えている。
エンジン1には、出力回転により駆動されるオイルポンプ2が接続されている。
オイルポンプ2は、自動変速機4等の作動油(一般にATF;Automatic Transmission Fluid)を圧送するものであり、後述する接合圧調整機構10に油路を介して接続される。
トルクコンバータ3は、エンジン1の出力軸1aに接続されたポンプインペラ3aと、自動変速機4の入力軸41に接続されたタービンランナー3bとを有し、ポンプインペラ3aを介して入力されたエンジン1の出力を、タービンランナー3bに伝達し、自動変速機4に伝達するものである。
自動変速機4は、入力軸41と出力軸42との間に、動力伝達(出力伝達)を断接可能な発進クラッチ(クラッチ)43と、無段変速機構とを有する。この無段変速機構は、プライマリプーリ44と、セカンダリプーリ45と、これらのプーリ44,45に掛け回されたベルト46とを有し、各プーリ44,45へのベルト46の巻き付き径(プーリの有効半径)が調整されて、変速比を変更するものである。なお、本実施形態では、無段変速機構がベルト式のものを説明するが、これに換えて、チェーン式又はトロイダル式の無段変速機を用いてもよい。
発進クラッチ43は、エンジン1側と無段変速機構側との間の動力伝達経路を切換える遊星歯車43aと、前進クラッチ43bと、後進ブレーキ43cとを有する。クラッチ43b及びブレーキ43cは、接合圧調整機構10から供給される作動油により、それぞれの接合圧を調整される。
接合圧調整機構10は、ソレノイドバルブやドレイン等を有して構成され、発進クラッチ43の接合圧を調整するものである。この接合圧調整機構10は、オイルポンプ2により圧送された作動油の一部を、後述するATCU(制御手段,Automatic Transmission Control Unit)20からの指示信号に応じて調圧し、この調圧された作動油を前進クラッチ43bのピストン室(図示略)又は後進ブレーキ43cのピストン室(図示略)に供給し、クラッチ43b及びブレーキ43cのそれぞれに接合圧を作用させる。
前進クラッチ43bは、ドライブ(D)レンジ等の前進走行レンジが選択される走行時に接合圧が上昇され締結される。前進クラッチ43bが締結すると、自動変速機4の入力軸41とプライマリプーリ44の入力軸44aとが同方向に回転する。一方、後進ブレーキ43cは、リバース(R)レンジ(後進走行レンジ)が選択される後進走行時に接合圧が上昇され締結される。後進ブレーキ43cが締結すると、自動変速機4の入力軸41とプライマリプーリ44の入力軸44aとが逆方向に回転する。
RレンジやDレンジといった走行レンジが選択される車両走行時には、クラッチ43b及びブレーキ43cの締結は互いに排他的に行なわれ、前進クラッチ43bが締結されれば後進ブレーキ43cは開放され、前進クラッチ43bが開放されれば後進ブレーキ43cは締結される。一方、パーキング(P)レンジやニュートラル(N)レンジの非走行レンジ選択時と、後述するニュートラル制御の実施時とには、クラッチ43b及びブレーキ43cの何れも接合圧が低下され開放される。
自動変速機4の出力軸42には、ディファレンシャルやドライブシャフト等を有する動力伝達機構5を介して駆動輪6が連結されている。
車両の各車輪(駆動輪6を含む)には、図示しないブレーキ機構が付設されている。各ブレーキ機構は、運転者のブレーキペダル(図示略)の踏力に応じたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ(図示略)にブレーキ液路を介して接続されており、このブレーキ液圧に応じたブレーキ力を車両に発生する。
次に、図1を参照して、センサ類の構成を説明する。
シフトレンジセンサ(シフトレンジ検出手段)31は、運転者によるシフトレバー操作により設定された自動変速機4のシフトレンジを検出する。例えば、シフトレンジの切替えに伴って接点が切り替えられ、ニュートラル及びパーキングレンジ以外でのエンジン始動用スタータモータの起動を阻止するためのインヒビタスイッチを、シフトレンジセンサ31として用いることができる。シフトレンジセンサ31により検出された各シフトレンジP,R,N,Dの情報(検出情報)は、ATCU20に伝達される。
車速センサ32は、車両の車速Vを検出する。この車速センサ32としては、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ、或いは自動変速機4の出力軸42の回転速度を検出する回転速度センサを用いることができる。車速センサ32により検出された車速Vの情報(検出情報)は、ATCU20に伝達される。
ブレーキスイッチ(ブレーキ操作検出手段)33は、車両のブレーキ操作の有無を検出する。このスイッチ33が、ONであればブレーキペダルの踏込み操作がされており、OFFであればブレーキペダルの踏込み操作がされていない。ブレーキスイッチ33により検出されたON/OFF信号(検出情報)はATCU20に伝達される。
マスタシリンダ圧センサ(ブレーキ力検出手段)34は、運転者のブレーキペダルの踏力に応じたブレーキ液圧を検出する。つまり、ブレーキ液圧が大きくなるにしたがって車輪への制動力は大きくなり、ブレーキ液圧はブレーキ力に対応するものであるため、マスタシリンダ圧センサ34は、ブレーキ操作によるブレーキ力Bfを検出するものである。マスタシリンダ圧センサ34により検出されたブレーキ力Bfの情報(検出情報)はATCU20に伝達される。
加速度(G)センサ(前後加速度センサ)35は、車両の前後方向加速度(以下、単に加速度という)Aを検出する。このセンサ35は、車両の加速時、或いは、車両が登坂路で停止している場合に正の加速度Aを検出し、車両の減速時、或いは、車両が降坂路で停止している場合に負の加速度(減速度)Aを検出する。加速度センサ35により検出された加速度Aの情報は、ATCU20に伝達される。
[2.制御系の構成]
[2.1ATCUの概要構成]
車両には、自動変速機4に関する広汎なシステムを制御するATCU20が備えられている。このATCU20は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される電子制御装置である。
ATCU20は、自動変速機4に関する広汎なシステムを制御するが、本実施形態では、上記のセンサ類31,32,33,34,35により検出された情報に基づいて実施する制御にかかる構成を説明する。この制御には、詳細を後述するニュートラル制御及び接合圧制御が含まれる。
ATCU20は、制御を実施する機能ブロックとして、メモリ21aを有する勾配角検出部21と、制御条件判定部22と、処理部(処理手段)23と、登坂路判定部(登坂路判定手段)24と、接合圧演算部25とを有する。
[2.1.1勾配角検出部の構成]
〈路面勾配角検出手段〉
勾配角検出部21は、加速度センサ35により検出された加速度Aの情報と、マスタシリンダ圧センサ34により検出されたブレーキ力Bfの情報とを用いて、車両の走行路面の勾配角θpを検出する。したがって、加速度センサ35とマスタシリンダ圧センサ34と勾配角検出部21とから、路面勾配角検出手段が構成される。
なお、走行路面とは、車両の走行時の路面はもちろん、停車時の路面をも含むものである。また、勾配角θpとは、走行路面の車両前後方向の傾斜角を意味する。
〈勾配角検出の前提〉
勾配角検出部21による勾配角θpの検出は、ブレーキスイッチ33がON且つ車速センサ32により検出された車速Vが所定車速(判定基準車速)VTH以下である場合に開始され、ブレーキスイッチ33がOFF又は車速Vが所定車速VTHよりも高い場合に終了される。ここでいう所定車速VTHは、例えば10km/hといった停車が間近の低車速であるか否かの判定閾値として予め設定される。
また、勾配角検出部21による勾配角θpの検出は、所定の検出周期で逐次実施される。勾配角検出部21は、所定の検出周期で検出された勾配角θpを累積的にメモリ21aにメモリする。
勾配角検出部21は、停車時マップと走行時マップとを有し、車両の停止時と車両の走行時とで異なるパラメータ及びマップを用いて勾配角θpを検出する。
〈車両の停止時における勾配角検出原理〉
車両の停止時、即ち車速センサ32により検出された車速Vがゼロの場合には、車両の前後方向加速度と走行路面の勾配角との対応関係が予め設定された停車時マップと、加速度センサ35により検出された加速度(以下、加速度値又は検出加速度値ともいう)Aの情報とを用いて、勾配角θpを検出する。
平坦路であれば、加速度センサ35は加速度を検出しないが、走行路面に勾配があると重力に反応し、登り勾配(登坂路)では正の加速度値が、下り勾配(降坂路)では負の加速度値が検出される。
また、例えば、急な勾配の登坂路(勾配角の大きい登坂路)に停車した場合には、緩やかな勾配の登坂路(勾配角の小さい登坂路)に停車した場合よりも、検出加速度値は大きくなる。このような特性を有する、勾配角と検出加速度値(車両前後方向加速度)との対応関係を予め実験的又は経験的に設定したものを、停車時マップとして用いる。
したがって、勾配角検出部21は、停車時には、停車時マップから検出加速度値Aに対応する勾配角を読出し、勾配角θpを検出する。
〈車両の走行時における勾配角検出原理〉
車両の走行時、即ち車速センサ32により検出された車速Vがゼロでない場合には、加速度値Aの情報に加え、マスタシリンダ圧センサにより検出されたブレーキ力Bfの情報と、車両の前後方向加速度及びブレーキ力と勾配角との対応関係が予め設定された走行時マップとを用いて、勾配角θpを検出する。
車両走行中に、例えば、所定勾配の登坂路で大きいブレーキ力が作用される場合には、同勾配の登坂路で小さいブレーキ力が作用される場合よりも、検出加速度値は小さくなる。また、所定のブレーキ力が作用する急な勾配の登坂路では、同ブレーキ力が作用する緩やかな勾配の登坂路よりも、検出加速度値は大きくなる。かかる特性を有する、車両の前後方向加速度(車両前後方向加速度)及びブレーキ力と勾配角との対応関係を予め実験的又は経験的に設定したものを、走行時マップとして用いる。
したがって、勾配検出部21は、車両走行時には、走行時マップから検出加速度値A及びブレーキ力Bfに対応する勾配角を読出し、勾配角θpを検出する。
[2.1.2制御条件判定部の構成]
制御条件判定部22は、ATCU20により実施される制御の実施条件(以下、制御条件という)を判定する。ATCU20は、制御条件が成立すれば制御を開始し、制御条件が成立しなければ制御を解除する。
なお、この制御条件の判定は、勾配角θpの検出と同様に、ブレーキスイッチ33がON且つ車速Vが所定車速(判定基準車速)VTH以下である場合に開始され、ブレーキスイッチ33がOFF又は車速Vが所定車速VTHよりも高い場合に終了される。
制御条件は、以下の(1)〜(3)の何れもの条件が満たされる場合に成立し、(1)〜(3)の何れか1つの条件でも満たされなければ成立しない。
(1)シフトレンジセンサ31により検出されたシフトレンジが前進走行レンジであること。
(2)車速センサ32により検出された車速がゼロ(車両が停止状態)であること。
(3)ブレーキスイッチ33がONである(車両のブレーキ操作が有る)こと。
したがって、制御条件判定部22は、上記の(1)〜(3)の条件を判定し、制御条件を判定する。
[2.1.3処理部の構成]
処理部23は、勾配角検出部21により検出された勾配角θpの情報(検出角情報)を平滑化処理した処理角θtの情報(処理角情報)にする。
かかる勾配角θpは、加速度センサ35により検出された加速度Aの情報を用いて検出されたものであり、車両の駆動系の振動やブレーキ力に起因する停車時のノーズダイブ等による外乱成分が走行路面の実際の勾配角に合わされたものとなってしまうおそれがある。このため、処理部23は、勾配角θpの情報を平滑化処理し、安定した勾配角θpの情報として処理角θtを求める処理を行なう。
処理部23による平滑化処理としては、メモリ21aにメモリされた最新(直近)の勾配角θpと、この勾配角θpの直前(一周期前)の検出周期でメモリされた勾配角θpとの差分が所定値以下になれば、勾配角θpは安定したものとする処理を採用することができる。この所定値は、勾配角θpが収束し安定したことを判定する閾値であり、安定時には無視することのできる勾配角θpの変動閾値が予め設定される。
なお、処理部23による平滑化処理は、これに限らず、例えば1秒といった所定時間の勾配角θpの移動平均を演算する等のローパスフィルタ処理を採用してもよい。
[2.1.4登坂路判定部の構成]
登坂路判定部24は、路面勾配角検出手段及び処理部23からの情報に基づいて、車両の走行路面が登坂路であるか否かを判定する。この判定(以下、登坂路判定という)は、制御条件判定部22により制御条件の成立が判定されていることを前提としている。
具体的には、登坂路判定部24は、路面勾配角検出手段及び処理部23からの情報にかかる勾配角θが正であれば(θ>0)、車両の走行路面が登坂路であると判定し、勾配角θが正でなければ(θ≦0)、車両の走行路面が登坂路でない、即ち平坦路又は降坂路であると判定する。なお、勾配角θがゼロ付近の幅を持った領域を平坦路として、登坂路判定閾値θ0(正の微小値)を設定し、勾配角θがこの閾値θ0以上であれば(θ≧θ0)、登坂路であると判定してもよい。
登坂路判定では、処理部23による平滑化処理の完了前と完了以後とで、異なる情報を用いる。以下、登坂路判定部24による登坂路判定を、判定時別に説明する。
〈平滑化処理の完了前の登坂路判定〉
処理部23による平滑化処理の完了前には、路面勾配角検出手段により検出された最新(直近)の勾配角θpの情報が勾配角θとして用いられる。
例えば、登坂路での停車直後には車両のノーズダイブ等により勾配角θpが安定収束していない期間には、処理部23による平滑化処理が完了しておらず、登坂路判定部23は、平滑化処理された処理角θtの情報が得られるまでの暫定的なものとして、勾配角θpを勾配角θとして登坂路判定を行なう。
〈平滑化処理の完了以後の登坂路判定〉
処理部23による平滑化処理の完了以後には、処理部23により平滑化処理された処理角θtの情報が勾配角θとして用いられる。
例えば、登坂路で停車後に勾配角θpが安定収束し、処理部23による平滑化処理が完了する場合には、この平滑化処理の完了時に、登坂路判定部23は、暫定的なものとして勾配角θとして用いられた勾配角θpを平滑化処理された処理角θtに置換し、この処理角θtを勾配角θとして登坂路判定を行なう。
[2.1.5接合圧演算部の構成]
接合圧演算部25は、上述の登坂路判定で用いた勾配角θと、車両のブレーキ力Bとに基づいて、前進クラッチ43bの接合圧PCを演算する。この演算は、所定の演算周期で逐次実施され、マスタシリンダ圧センサ34により検出されたブレーキ力Bfがブレーキ力Bとして用いられる。ただし、ブレーキ力Bfに変更がない場合、即ち直前(一周期前)に検出されたブレーキ力Bfと最新のブレーキ力Bfとが同値である場合には、この周期には接合圧を演算せず、最新の演算結果を維持する。
なお、接合圧演算部25により演算される接合圧PCは、前進クラッチ43bが完全締結状態のクリープトルクが上限ではあるが、ブレーキ力Bfを考慮して、車両を停止保持することができる前進クラッチ43bの目標接合圧を意味する。
接合圧演算部25による演算は、制御条件判定部22により制御条件の成立が判定され、且つ、登坂路判定部24により車両の走行路面が登坂路であると判定されていることを前提としている。
接合圧演算部25は、シフトレンジセンサ31によりDレンジ等の前進走行レンジが検出される場合には前進クラッチ43の接合圧PCを演算する。以下、前進走行レンジ選択時の前進クラッチ43bの接合圧演算を説明する。この場合、後進ブレーキ43cは、Dレンジ選択時には開放状態にされたままであり、接合圧は演算されない。
接合圧演算部25は、登坂路判定に用いられた勾配角θが大きくなるにしたがって大きくなる接合圧PCを演算し、車両のブレーキ力Bが大きくなるにしたがって小さくなる接合圧PCを演算する。
また、接合圧演算部25は、接合圧マップを有する。以下、接合圧マップを説明する。
登坂路での停車時には、走行路面の勾配角が大きくなるにしたがって車両をずり下げる力が大きくなるため、車両を停止保持するには、走行路面の勾配角が大きくなるにしたがって大きな抗力を要する。この抗力は、ブレーキ力Bに対応するものと、前進クラッチ43bの接合圧により駆動輪6に伝達されるクリープトルクに対応するものとを合わせたものである。もちろん前進クラッチ43bが開放状態であれば、クリープトルクが発生されないため、抗力はブレーキ力Bに対応するものである。かかる特性を有する、勾配角及びブレーキ力と接合圧との対応関係が予め実験的又は経験的に設定したものが、接合圧マップである。
登坂路での停車時には、ブレーキ力が大きければ車両のずり下がりは発生しないため、接合圧マップには、前進クラッチ43bを開放状態にする接合圧も設定されている。
つまり、接合圧演算部25は、接合圧マップから勾配角θ及びブレーキ力Bに対応する接合圧を読出すことにより、接合圧PCを演算する。この演算は、所定の演算周期で逐次実施される。よって、マスタシリンダ圧センサ34により検出されるブレーキ力Bfが変動すると、これにともなって、接合圧演算部25により演算される接合圧PCも変動する。
[3.ATCUにより実施される制御]
ATCU20は、上記のセンサ類31,32,33,34,35からの情報と、上記の機能ブロック21,22,23,24,25からの判定情報等の情報とに基づいて、ニュートラル制御と接合圧制御とを実施する。これらの制御は、制御条件判定部22により制御条件の成立が判定されれば開始され、制御条件が成立しないと判定されれば解除(終了)される。
[3.1ニュートラル制御]
ニュートラル制御は、発進クラッチ43を開放状態にする制御である。
具体的には、ATCU20が、接合圧調整機構10に前進クラッチ43b及び後進ブレーキ43cの何れもの接合圧を低下させ開放状態にする制御指示信号を出力し、発進クラッチ43を開放状態にするニュートラル制御を実施する。
このニュートラル制御は、登坂路判定部24により走行路面が登坂路でない、即ち平坦路又は降坂路であると判定された場合に実施される。一方、登坂路判定部24により走行路面が登坂路であると判定された場合には、ニュートラル制御を実施されず、以下の接合圧制御が実施される。
[3.2接合圧制御]
接合圧制御は、発進クラッチ43の接合圧を制御するものである。つまり、ATCU20は、接合圧演算部25により演算された接合圧PCの制御指示信号を接合圧調整機構10に出力し、発進クラッチ43bの接合圧を制御する。この制御は、前進走行レンジ選択時に実施される。
したがって、ATCU20は、処理部23による平滑化処理の完了前には、メモリ21aにメモリされた最新(直近)の勾配角θpの情報と、マスタシリンダ圧センサ34により検出されたブレーキ力Bfの情報とに基づき、平滑化処理の完了以後には、処理部23により平滑化処理された勾配角θtの情報と、マスタシリンダ圧センサ34により検出されたブレーキ力Bfの情報とに基づき、クラッチ43の接合圧制御を実施する。
例えば、車両が登坂路で停車した状態であってもブレーキ力Bfが大きければ、接合圧演算部25により演算される接合圧PCが前進クラッチ43bを開放状態にする接合圧となり、ATCU20は、実質的にニュートラル制御と同様、前進クラッチ43b及び後進ブレーキ43cを開放状態にする制御を行なう。
[作用・効果]
本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置は上述のように構成されるため、ATCU20により、所定の周期毎に図2〜図4に示すフローが行なわれる。なお、図2及び図3のフローは並行して行なわれる。また、図4のフローが行なわれる場合には、図2及び図3のフローも並行して行なわれる。
図2に示すフローは、勾配角検出部21による走行路面の勾配角θpの検出を示すものであり、ブレーキスイッチ33がON且つ車速センサ32により検出された車速Vが所定車速(判定基準車速)VTH以下であることをトリガーに開始される。
ステップA10では、加速度センサ35により検出された加速度Aと、マスタシリンダ圧センサにより検出されたブレーキ力Bfとを読込む。
ステップA20では、ステップA10で読込んだ加速度Aとブレーキ力Bfとに基づき、前述の通り停車時マップと走行時マップとを参照して、勾配角θpを検出する。
ステップA30では、ステップ20で検出された勾配角θpをメモリ21aにメモリする。
そして、今回の検出周期を終了(リターン)する。
図3に示すフローは、制御条件判定部22による制御条件の判定を示すものであり、図2に示す勾配角θpの検出と同様に、ブレーキスイッチ33がON且つ車速Vが所定車速(判定基準車速)VTH以下であることをトリガーに開始される。
ステップB10では、シフトレンジセンサ31により検出されたシフトレンジが前進走行レンジであるか否かを判定する。このシフトレンジが前進走行レンジであればステップB20へ移行し、シフトレンジが前進走行レンジでなければステップB50へ移行する。
ステップB20では、車速センサ32により検出された車速Vがゼロであるか否かを判定する。車速VがゼロであればステップB30へ移行し、車速VがゼロでなければステップB50へ移行する。
ステップB30では、ブレーキスイッチ33がONであるか否かを判定する。ブレーキスイッチ33がONであればステップB40へ移行し、ブレーキスイッチ33がOFFであればステップB50へ移行する。
これらのステップB10〜B30の何れもが肯定(YES)判定された場合に制御条件が成立し、ステップB10〜B30の何れかでも否定(NO)判定された場合には制御条件が成立しない。以下のステップB40及びB50では、制御条件が成立すると1にセットされ、制御条件が成立しないと0にセットされるフラグF1を用いる。
ステップB40では、フラグF1を1にセットする。そして、今回の判定周期を終了(リターン)する。
また、ステップB50は、フラグF1を0にセットする。そして、今回の判定周期を終了(リターン)する。
図4に示すフローは、ATCU20が実施する制御を示すものであり、制御条件が成立すると、つまりフラグF1が1にセットされると開始される。なお、本フローでは、処理部23による平滑化処理の完了前までは0にセットされ、平滑化処理の完了以後は1にセットされるフラグF2を用いる。なお、このフラグF2の初期値は0にセットされる。
ステップC1では、フラグF2が1であるか否かを判定する。フラグF2が1であればステップC10へ移行し、フラグF2が0であればステップC2へ移行する。
ステップC2では、処理部23による勾配角θpの平滑化処理が完了したか否かを判定する。平滑化処理の完了以後であればステップC3へ移行し、平滑化処理の完了前であればステップC5へ移行する。
ステップC3では、登坂路判定部24による登坂路判定、及び接合圧演算部25による接合圧演算に用いられる勾配角θに勾配角θtを代入する。そして、ステップC4でフラグF2を1にセットし、ステップC10へ移行する。
ステップC5では、登坂路判定及び接合圧演算に用いられる勾配角θに勾配角θpを代入する。そして、ステップC6でフラグF2を0にセットし、ステップC10へ移行する。
ステップC10では、勾配角θが正であるか否かを判定する。このステップC10は、登坂路判定部24による登坂路判定を行なうステップである。勾配角θが正であればステップC20へ移行し、勾配角θが正でなければステップC100へ移行する。
ステップC20では、マスタシリンダ圧センサ34により検出されたブレーキ力Bfを読込む。そして、ステップC30へ移行する。
ステップC30では、直前(一周期前)の周期のステップC20で読込んだブレーキ力Bfと今回の周期のステップC20で読込んだブレーキ力Bfとを比較し、ブレーキ力Bfに変更があるか否かを判定する。ブレーキ力Bfに変更があればステップC40へ移行し、ブレーキ力Bfに変更がなければステップC60へ移行する。なお、初回の制御周期であれば、ステップC40へ移行する。
ステップC40では、接合圧演算部25の接合圧演算に用いる車両のブレーキ力Bに今回の制御周期のブレーキ力Bfを代入する。そして、ステップC50へ移行する。
ステップC50では、勾配角θとブレーキ力Bとに基づいて発進クラッチ43の接合圧PCを演算する。そして、ステップC60へ移行する。
ステップC60では、接合圧調整機構10に接合圧PCの制御指示信号を出力する。そして、ステップC70へ移行する。
また、ステップC100では、ニュートラル制御を実施する。つまり、ATCU20は、発進クラッチ43を開放状態にすべく、接合圧調整機構10に接合圧の低下を指示する制御指示信号を出力する。そして、ステップC70へ移行する。
ステップC70では、制御条件の成立にかかるフラグF1を読込み、ステップC80へ移行する。
ステップC80では、フラグF1が0であるか否か、すなわち、制御条件が成立しているか否かを判定する。フラグF1が0であればステップC90へ移行し、フラグF1が1であれば今回の制御周期を終了(リターン)する。
ステップC90では、ATCU20により実施される制御(接合圧制御又はニュートラル制御)を解除(終了)する。そして、今回の制御周期を終了(リターン)する。
したがって、本発明の自動変速機の制御装置は、登坂路判定部24が、制御条件が成立してから処理部による平滑化処理の完了前までは、路面勾配角検出手段により検出された直前の勾配角θpの情報に基づいて登坂路判定を行なうため、制御条件が成立した場合に、処理部23による平滑化処理に要する時間(いわば遅れ時間)を待つことなく登坂路を判定することができる。この登坂路判定で否定判定されれば、つまり、平坦路或いは降坂路に車両が停止状態であれば、発進クラッチ43を開放状態にするニュートラル制御を実施するため、上記の遅れ時間分を待つことなく登坂路判定を行なうことにより、平坦路或いは降坂路での停車時に直ちにニュートラル制御を実施することができる。
従来技術のように平滑化処理にかかる遅れ時間経過後の加速度データを用いるものに対して、本発明の自動変速機の制御装置は、平滑化処理にかかる遅れ時間を待つことがないためニュートラル制御の実施が遅延することがない。
一方、登坂路判定で肯定判定されれば、つまり、車両が登坂路に停止した状態であれば、ニュートラル制御を実施せず、勾配角θpの情報又は処理角θtの情報とマスタシリンダ圧センサ34により検出されたブレーキ力Bfとに基づいて、自動変速機4の前進クラッチ43bの接合圧制御を実施するため、走行路面の勾配角θ(勾配角θp又は処理角θt)及びブレーキ力Bに応じて適切に前進クラッチ43bの接合圧PCを調整し、車両のずり下がりを防止しつつ、接合圧PCの発生源であるオイルポンプ2の駆動負荷を抑制することにより、燃費を向上させることができる。
車両が登坂路に停止した状態であれば、勾配を考慮せずにニュートラル制御のクラッチ開放を行なう従来技術では車両ずり下がりのおそれがあるが、本発明の自動変速機の制御装置は、勾配角θ及びブレーキ力Bを考慮して車両のずり下がりを防止することができる。
ATCU20は、制御条件が成立し走行路面が登坂路であると判定されると、処理部23による平滑化処理の完了前までは勾配角θpの情報とブレーキ力Bfとに基づき、この平滑化処理の完了以後は処理角θtの情報とブレーキ力Bfとに基づいて、前進クラッチ43bの接合圧制御を実施する。よって、車両が登坂路に停止した場合に、例えば平滑化処理が完了するとクラッチの接合圧を低下させる技術に比較して、本発明は、平滑化処理が完了するまでの接合圧を低くすることができ、燃費の向上を図ることができる。また、平滑化処理の完了時の接合圧変化を小さくすることができるため、接合圧変動によるショックを抑制することができる。
ATCU20による接合圧制御では、勾配角θが大きくなるにしたがって前進クラッチ43bの接合圧を上昇させ、ブレーキ力Bが大きくなるにしたがって前進クラッチ43bの接合圧を低下させるため、勾配角及びブレーキ力のそれぞれに応じて適切に接合圧PCを設定することができる。
ATCU20は、前進走行レンジ選択時に制御条件が成立しないと、発進クラッチ43bを締結状態にするため、ニュートラル制御の実施中に、仮に車両が停止状態からずり下がったとしても、該停止状態が解除されるため制御条件が成立しなくなり、発進クラッチ43bは締結状態にされる。よって、クリープトルクが発生され、車両のずり下がりを防止或いは抑制することができる。
処理部23による平滑化処理前の車両走行時には、加速度Aの情報に加えて、ブレーキ力Bfの情報に基づいて勾配角θpを検出するため、勾配角θpを精度よく検出することができる。
例えば、登坂路で車両が停車状態であってもブレーキ力Bfが大きければ、即ち、接合圧演算部25により演算された接合圧PCが前進クラッチ43bを開放状態にする接合圧であれば、ATCU20は、実質的にニュートラル制御と同様、前進クラッチ43b及び後進ブレーキ43cを開放状態にする制御を行なうため、登坂路において車両がずり下がらない状況では、エンジン1の負荷を抑制して燃費を向上させることができる。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上述の実施形態では、自動変速機が無段変速機構を有するものを示したが、無段変速機構に替えて、有段変速機構(いわゆるステップAT)を用いてもよい。この場合、ニュートラル制御は、発進クラッチを開放状態にする制御に限らず、有段変速機構の所要のギヤ段を達成するクラッチ或いはブレーキを制御し、有段変速機構の動力伝達を遮断する制御としてもよい。
また、上述の実施形態では、クラッチが、自動変速機とエンジンとの間に介装される発進クラッチである場合を示したが、クラッチは、これに限らず、自動変速機と駆動輪との間に介装されるものでもよい。例えば、クラッチに替えて、遊星歯車機構等による変速機能を追加した副変速機を用いてもよい。
また、前進走行レンジの選択時にニュートラル制御及び接合圧制御を実施するものを示したが、後進走行レンジの選択時にもニュートラル制御及び接合圧制御を実施してもよい。この場合、降坂路に車両が停車状態であって、ブレーキ操作がされていると、接合圧制御が実施される。これによれば、さらに燃費を向上させることができる。
また、エンジン駆動のオイルポンプを用いるものを示したが、これに限らず、バッテリ駆動の電動ポンプを用いてもよい。この場合、ニュートラル制御及び接合圧制御を実施することにより、電動ポンプの駆動負荷を抑制し電力消費を抑制して、燃費を向上させることができる。
また、制御条件には、上記の(1)〜(3)の条件に加えて、アクセル操作がされていない(アクセル開度がゼロ)であることやスロットル開度がゼロであることを条件に加えてもよい。
本発明の自動変速機の制御装置は、駆動源からの動力伝達を断接可能なクラッチを備えた自動車に有効であるほか、駆動源からの動力伝達を断接可能なクラッチを備えた種々の車両に用いることができる。
1 エンジン
1a 出力軸
2 オイルポンプ
3 トルクコンバータ
3a ポンプインペラ
3b タービンランナー
4 自動変速機
5 動力伝達機構
6 駆動輪
10 クラッチ圧調整機構
20 ATCU(制御手段,Automatic Transmission Control Unit)
21 勾配角検出部
21a メモリ
22 制御条件判定部
23 処理部(処理手段)
24 登坂路判定部(登坂路判定手段)
25 クラッチ圧演算部
31 シフトレンジセンサ(シフトレンジ検出手段)
32 車速センサ(車速検出手段)
33 ブレーキスイッチ(ブレーキ操作検出手段)
34 マスタシリンダ圧センサ(ブレーキ力検出手段)
35 加速度センサ
41 入力軸
42 出力軸
43 発進クラッチ(クラッチ)
43a 遊星歯車
43b 前進クラッチ
43c 後進ブレーキ
44 プライマリプーリ
44a 入力軸
45 セカンダリプーリ
46 ベルト

Claims (3)

  1. エンジンの出力を車両の駆動輪に伝達すると共に前記出力伝達を断接可能なクラッチを有する自動変速機の制御装置であって、
    前記自動変速機のシフトレンジを検出するシフトレンジ検出手段と、
    前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
    前記車両のブレーキ操作の有無を検出するブレーキ操作検出手段と、
    前記車両の走行路面の勾配角を検出する路面勾配角検出手段と、
    前記路面勾配角検出手段により検出された検出角情報を平滑化処理した処理角情報にする処理手段と、
    前記路面勾配角検出手段及び前記処理手段からの情報に基づいて前記走行路面が登坂路であるか否かを判定する登坂路判定手段と、
    前記シフトレンジ検出手段,前記車速検出手段,及び前記ブレーキ操作検出手段の各検出情報と前記登坂路判定手段による判定情報とに基づいて、前記シフトレンジが走行レンジであって、前記車両が停止状態であり、前記ブレーキ操作が有るという制御条件が成立した場合に、前記走行路面が登坂路でないと判定されれば、前記クラッチを開放状態にするニュートラル制御を実施し、前記走行路面が登坂路であると判定されれば、前記ニュートラル制御を実施しない制御手段と、
    前記ブレーキ操作によるブレーキ力を検出するブレーキ力検出手段とを備え、
    前記登坂路判定手段は、前記制御条件が成立してから前記処理手段による平滑化処理が完了するまでは、直近の前記検出角情報に基づいて、路面が登坂路であるか否かを判定し、前記処理手段による処理の完了以後は、前記処理角情報に基づいて、路面が登坂路であるか否かを判定し、
    前記制御手段は、
    前記制御条件が成立し前記走行路面が登坂路であると判定されると、前記制御条件が成立してから前記処理手段による平滑化処理が完了するまでは、直近の前記検出角情報と前記ブレーキ力とに基づき、前記処理手段による処理の完了以後は、前記処理角情報と前記ブレーキ力とに基づき、それぞれ前記クラッチの接合圧制御を実施し、
    前記制御条件が成立しないと、前記クラッチを締結状態にする
    ことを特徴とする、自動変速機の制御装置。
  2. 前記制御手段による前記接合圧制御は、
    前記登坂路判定手段による判定に用いられた検出角情報又は処理角情報にかかる勾配角が大きくなるにしたがって前記クラッチの接合圧を上昇させ、
    前記ブレーキ力が大きくなるにしたがって前記クラッチの接合圧を低下させる
    ことを特徴とする、請求項1記載の自動変速機の制御装置
  3. 前記路面勾配角検出手段は、
    前記車両の前後方向加速度を検出する前後加速度センサを備え、
    前記車両の停止時には、車両前後方向加速度と勾配角との対応関係に基づいて、前記前後加速度センサにより検出された前後方向加速度から前記検出角情報を検出し、
    前記車両の走行時には、車両前後方向加速度及びブレーキ力と勾配角との対応関係に基づいて、前記前後加速度センサにより検出された前後方向加速度と前記ブレーキ力検出手段により検出されたブレーキ力とから前記検出角情報を検出する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の自動変速機の制御装置。
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