JP5767357B1 - マスクブランク用基板、マスクブランク及び転写用マスク、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

マスクブランク用基板、マスクブランク及び転写用マスク、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2光束干渉方式の欠陥検査装置を用いて基板の主表面の欠陥検査を行った場合でも、各基板間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差が生じることを抑制することのできるマスクブランク用基板を提供する。【解決手段】2つの主表面を有する基板からなるマスクブランク用基板であって、前記マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の前記主表面は、転写パターン形成領域内の前記主表面の表面形状を、白色干渉計を用いて2.8mm?2.1mmの測定領域を640?480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0?10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0?107nm4以下となる表面形状を有することを特徴とするマスクブランク用基板である。【選択図】図4

Description

本発明は、高感度の欠陥検査装置を用いた欠陥検査において、基板の表面粗さに起因する疑似欠陥の検出を抑制し、異物や傷などの致命欠陥の発見を容易にすることが可能なマスクブランク用基板、前記マスクブランク用基板から得られるマスクブランク、転写用マスク、並びに前記マスクブランク用基板、前記マスクブランク、及び前記転写用マスクの製造方法に関する。
一般に、半導体装置(半導体デバイス)の製造工程では、フォトリソグラフィ法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚ものフォトマスクと呼ばれている転写用マスクが使用される。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板主表面上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィ法が用いられている。
フォトリソグラフィ法による転写用マスクの製造には、ガラス基板等の透光性基板上に転写パターン(マスクパターン)を形成するための薄膜(例えば遮光膜など)を有するマスクブランクが用いられる。このマスクブランクを用いた転写用マスクの製造は、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施す描画工程と、描画後、前記レジスト膜を現像して所望のレジストパターンを形成する現像工程と、このレジストパターンをマスクとして前記薄膜をエッチングするエッチング工程と、残存するレジストパターンを剥離除去する工程とを有して行われている。上記現像工程では、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し所望のパターン描画を施した後に現像液を供給して、現像液に可溶なレジスト膜の部位を溶解し、レジストパターンを形成する。また、上記エッチング工程では、このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング又はウェットエッチングによって、レジストパターンの形成されていない薄膜が露出した部位を除去し、これにより所望のマスクパターンを透光性基板上に形成する。このようにして、転写用マスクを製造することができる。
また、転写用マスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光膜パターンを有するバイナリ型マスクのほかに、位相シフト型マスク(単に、位相シフトマスクともいう。)が知られている。この位相シフト型マスクは、透光性基板上に位相シフト膜を有する構造を有する。この位相シフト膜は、露光光に対して所定の位相差を生じさせるものであり、例えばモリブデンシリサイド化合物を含む材料等が用いられる。また、モリブデン等の金属のシリサイド化合物を含む材料を遮光膜として用いるバイナリ型マスクも用いられるようになってきている。本明細書では、これらのバイナリ型マスク及び位相シフト型マスクを総称して透過型マスクと称する。また、透過型マスクに使用される原版であるバイナリ型マスクブランク及び位相シフト型マスクブランクを総称して透過型マスクブランクと称す。
以上述べたように、リソグラフィー工程での微細化に対する要求が高まることにより、そのリソグラフィー工程での課題が顕著になりつつある。その1つが、リソグラフィー工程で用いられるマスクブランク用基板の欠陥情報に関する問題である。
マスクブランク用基板としては、近年のパターンの微細化に伴う欠陥品質の向上、及び転写用マスクに求められる光学的特性の観点から、より平滑性の高い基板が要求されている。
一般的な精密研磨ガラスの製造方法として、例えば特許文献1には、ガラス表面を、酸化セリウムを主材とする研磨材を用いて研磨したのち、コロイダルシリカを用いて仕上げ研磨することを特徴とする精密研磨ガラスの製造方法が記載されている。
フォトリソグラフィに用いられる転写用マスクの原版となるマスクブランクは、合成石英ガラスなどの基板上にスパッタ法によってパターン形成用の薄膜を形成することにより製造される。マスクブランクに用いられる基板は、主表面に欠陥が存在しない、あるいは欠陥が存在していても所定の個数以下であることが求められている。このため、基板の主表面に対し、特許文献2及び特許文献3に開示されているような欠陥検査装置を用いて欠陥検査を行い、主表面の欠陥の有無等を検査することが通常行われている。
特開昭64−40267号公報 特開2001−027611号公報 特開2002−328099号公報
マスクブランク用基板の主表面やマスクブランクの薄膜の表面に対して行う欠陥検査では、主に2つの検査方式が用いられている。そのうちの1つの検査方式は、特許文献1で開示されているような、互いに干渉性を有する2つの偏光ビームを基板の主表面に照射し、反射光との干渉等から欠陥の有無及びその欠陥の種類(凹欠陥、凸欠陥等)を判定する検査方式(2光束干渉方式)である。もう1つの検査方式は、特許文献2に開示されているような、コンフォーカル光学系にナイフエッジ等の空間フィルタを組み込んだ光学系によって、基板主表面における欠陥の有無及びその欠陥の種類(凹欠陥、凸欠陥等)を判定する検査方式(空間フィルタ方式)である。
2光束干渉方式による欠陥検査方法の例として、特許文献2に記載の欠陥検査装置を用いる方法が挙げられる。特許文献2に記載の2光束干渉方式による欠陥検査方法は、具体的には、次のとおりである。すなわち、2光束干渉方式による欠陥検査方法では、光源装置から放出された光ビームを干渉光学系により互いに干渉性を有する2本のサブビームに変換する。そして、これらサブビームにより欠陥検査すべき試料表面を走査する。試料表面に欠陥が存在する場合、2本のサブビームのうち一方のサブビームが欠陥部分を走査し他方のサブビームが欠陥と隣接する正常な部分を走査するので、これらサブビーム間に欠陥の高さ方向の大きさに対応した位相差が生ずる。そして、試料表面で反射したサブビーム同士を干渉光学系により合成することにより得られる干渉ビームの振幅と、サブビーム間の位相差との関係は、2本のサブビーム間の位相差が0からπ(1/4波長に相当する)まで変化すると、干渉ビームの振幅は、2本のサブビームの合計から0まで変化するという関係になる。この関係を用いるならば、干渉ビームの振幅すなわち輝度情報は正規の値からほぼ零まで変化するので、微小な欠陥に対して極めて高い検出感度を有する欠陥検出装置を実現することができる。しかも、複数の光ビームで試料表面を2次元的に走査すれば、欠陥検出を高速で行うことができる。
空間フィルタ方式による欠陥検査方法の例として、特許文献3に記載の欠陥検査装置を用いる方法が挙げられる。特許文献3に記載の空間フィルタ方式による欠陥検査方法は、具体的には、次のとおりである。すなわち、空間フィルタ方式の欠陥検査方法では、光源から発生した放射ビームを回折格子によりm×nのマトリックス状に配列された光ビームアレイに変換し、これら光ビームを対物レンズによりビームスポット状に集束して、欠陥検査すべき試料上にm行n列のマトリックス状の光スポットアレイを形成する。欠陥検査すべき試料は試料ステージ上に支持し、この試料ステージを回転移動及び回転軸線と直交する半径方向に沿う並進移動させる。これにより、検査すべき試料はm×n個の光スポットにより走査され、m×n個の光ビームにより構成される幅の広い帯状の光ビームにより試料表面をスキャンすることになる。この結果、試料表面を高速走査することができ、検査時間を大幅に短縮することが可能になる。さらに、空間フィルタ方式の欠陥検査方法において、光検出器は、2次元マトリックス状に配置されそれぞれ遮光部材により分離されている受光素子アレイを備えるので、この欠陥検査方法の光学系はコンフォーカル光学系を形成することになる。この結果、試料表面に存在する微小な段差や凹凸に起因するフレァ光が受光素子に入射することが回避され、試料表面上に形成した光スポットからの正反射光だけが各受光素子に入射することになる。したがって、フレァの影響が除去され、高い分解能の光学系を実現することができる。この結果、空間フィルタ方式の欠陥検査方法では、検査時間が大幅に短縮されるとともに極めて高い分解能の欠陥検査装置を実現することができる。
近年、転写用マスクに設けられる転写パターン(遮光膜がパターニングされる場合には「遮光膜パターン」という。)の微細化が進んできている。それに伴い、マスクブランク用基板の主表面に存在することが許容される欠陥のサイズの上限値が小さくなってきている。一般に、空間フィルタ方式の検査方式の方が基板主表面の欠陥に対する検出分解能が高い。このため、近年では、空間フィルタ方式の欠陥検査装置によって、基板の主表面に対する欠陥検査を行うことが増えてきている。
一方、空間フィルタ方式の欠陥検査装置は、2光束干渉方式の欠陥検査装置に比べて、検査に要する時間が長いという問題がある。このため、許容される欠陥サイズの上限値が比較的大きいマスクブランク用基板の欠陥検査においては、2光束干渉方式の欠陥検査装置が用いられる傾向がある。また、欠陥検査のスループットを上げるために、2段階の欠陥検査工程でマスクブランク用基板を選定することも行われている。この場合、先に、基板に対して2光束干渉方式の欠陥検査装置による1次欠陥検査を行って、比較的大きなサイズの欠陥がない基板のみを選定する。そして、1次欠陥検査の結果として選定された基板に対して空間フィルタ方式の欠陥検査装置による2次欠陥検査を行い、所定のサイズ以上の欠陥が存在しない基板をマスクブランク用基板として選定する。
また、一般的に、2光束干渉方式による欠陥検査方法は、例えば凸状の欠陥の場合、被測定表面上に存在するなだらかな丘状の欠陥の検出に優れている。一方、空間フィルタ方式の欠陥検査方法は、例えば凸状の欠陥の場合、急峻な側壁を有する欠陥の検出に優れている。高い歩留りで透過型の転写用マスクを製造するために、マスクブランク用基板、マスクブランク及び転写用マスクの主表面の欠陥検査のおいては、両方の方式の欠陥検査方法、すなわち2光束干渉方式及び空間フィルタ方式の欠陥検査方法を併用して欠陥検査を行うことが必要である。
一般的に、基板の欠陥検査において、欠陥検査装置が基板の主表面に欠陥が存在すると判定していても、その欠陥が存在すると判定された主表面の所定位置に実際には欠陥が存在していないという現象が発生することが知られている。このように誤って検出される欠陥は、疑似欠陥といわれている。疑似欠陥が検出される原因は、検査条件によってさまざまであるので、疑似欠陥の内容ごとに適切な解決策を講じるのが一般的である。
本発明者らは、異なる主表面形状を有する複数の基板において、基板の主表面に対して空間フィルタ方式の欠陥検査装置によって欠陥検査を行ったときは、各基板間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差は生じないが、2光束干渉方式の欠陥検査装置で欠陥検査を行ったときは、各基板間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差が生じる場合があることを突き止めた。このような現象が発生する基板に対して、2光束干渉方式の欠陥検査装置による欠陥検査を行うと、実際にはマスクブランク用基板として用いることができるような基板であっても、欠陥が多数存在する基板として不合格と誤判定されてしまうため、問題であった。なお、疑似欠陥との対比のため、本明細書では、実際に存在する欠陥のことを真欠陥という。
そこで、本発明は、2光束干渉方式の欠陥検査装置を用いて基板の主表面の欠陥検査を行った場合でも、各基板間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差が生じることを抑制することのできるマスクブランク用基板、及びその製造方法を得ることを目的とする。また、本発明は、2光束干渉方式の欠陥検査装置を用いて、マスクブランク又は転写用マスクの主表面の欠陥検査を行った場合でも、各マスクブランク又は転写用マスク間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差が生じることを抑制することのできるマスクブランク及び転写用マスク、並びにそれらの製造方法を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意努力し、検討した結果、2光束干渉方式の欠陥検査装置の検査光源波長に対し、所定の空間周波数(又は空間波長)成分の粗さが疑似欠陥を含む欠陥検出個数と関連していることを見出した。そこで、本発明者らは、基板主表面の表面上の粗さ(凹凸)成分のうち、2光束干渉方式の欠陥検査装置が疑似欠陥と誤判定してしまう粗さ成分の空間周波数を特定し、その空間周波数における振幅強度(パワースペクトル密度)を管理することで、2光束干渉方式の欠陥検査における疑似欠陥を含む欠陥検出個数を抑制することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記の構成1〜4であることを特徴とするマスクブランク用基板、下記の構成5であることを特徴とするマスクブランク及び下記の構成6であることを特徴とする転写用マスクである。また、本発明は、下記の構成7〜11であることを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法、下記の構成12であることを特徴とするマスクブランクの製造方法及び下記の構成13であることを特徴とする転写用マスクの製造方法である。
(構成1)
本発明の構成1は、2つの主表面を有する基板からなるマスクブランク用基板であって、前記マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の前記主表面は、転写パターン形成領域内の前記主表面の表面形状を、白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とするマスクブランク用基板である。
上記構成1によれば、マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の主表面が、転写パターン形成領域内の主表面の表面形状を、白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0×10nm以下となる表面形状を有することにより、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成2)
本発明の構成2は、前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて693μm×520μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数5.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、3.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする構成1記載のマスクブランク用基板である。
本発明の構成2によれば、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、より抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、より図ることができる。
(構成3)
本発明の構成3は、前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて140μm×105μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数2.0×10−1μm−1のパワースペクトル密度が、8.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする構成1又は2に記載のマスクブランク用基板である。
本発明の構成3によれば、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、さらに抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、さらに図ることができる。
(構成4)
本発明の構成4は、前記転写パターンが形成される側とは異なる側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域と同じ大きさの領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板である。
本発明の構成4によれば、前記転写パターンが形成される側とは異なる側の主表面においても、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成5)
本発明の構成5は、上述の構成1から4のいずれかに記載のマスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面に、前記転写パターン形成用の薄膜が設けられていることを特徴とするマスクブランクである。
本発明の構成5によれば、所定の表面形状の主表面を有する上述のマスクブランク用基板を用いることによって、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して、マスクブランクの転写パターン形成用の薄膜の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を抑制することができ、これによりマスクブランクに存在する致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成6)
本発明の構成6は、上述の構成5に記載のマスクブランクの前記薄膜に前記転写パターンが設けられていることを特徴とする転写用マスクである。
本発明の構成6によれば、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して、転写用マスクの欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を抑制することができ、これにより転写用マスクに存在する致命欠陥の顕在化を図ることができる。
(構成7)
本発明の構成7は、2つの主表面を有する基板からなるマスクブランク用基板の製造方法であって、前記マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側であり、かつ転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、2光束干渉を用いる方式により欠陥検査を行う欠陥検査工程を備え、前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法である。
本発明の構成7によれば、所定の表面形状のマスクブランク用基板を選択して、マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側であり、かつ転写パターン形成領域内の主表面に対し、2光束干渉を用いる方式により欠陥検査を行う欠陥検査工程を備えることにより、2光束干渉方式の欠陥検査の際の疑似欠陥の検出を抑制することができる。そのため、2光束干渉方式の欠陥検査を行った場合でも、致命欠陥の顕在化を図ることができるマスクブランク用基板を製造することができる。
(構成8)
本発明の構成8は、前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて693μm×520μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数5.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、3.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする構成7記載のマスクブランク用基板の製造方法である。
本発明の構成8によれば、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、より抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、より図ることができるマスクブランク用基板を製造することができる。
(構成9)
本発明の構成9は、前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて140μm×105μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数2.0×10−1μm−1のパワースペクトル密度が、8.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする構成7又は8に記載のマスクブランク用基板の製造方法である。
本発明の構成9によれば、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、さらに抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、さらに図ることができるマスクブランク用基板を製造することができる。
(構成10)
本発明の構成10は、前記欠陥検査工程の前に、研磨定盤の研磨パッド上を、研磨液を供給しつつ、前記基板を相対移動させることにより、前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面を研磨する研磨工程を備えることを特徴とする構成7から9のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法である。
本発明の構成10によれば、所定の研磨工程を備えることにより、マスクブランク用基板において所定の表面形状を得ることができるので、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を確実に抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を確実に図ることができるマスクブランク用基板を製造することができる。
(構成11)
本発明の構成11は、前記研磨液は、平均粒子径D50が100nm以下であるコロイダルシリカを含むことを特徴とする構成10記載のマスクブランク用基板の製造方法である。
本発明の構成11によれば、所定の研磨工程において、所定の研磨液を用いることにより、マスクブランク用基板において所定の表面形状をより確実に得ることができる。そのため、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、より確実に抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、より確実に図ることができるマスクブランク用基板を製造することができる。
(構成12)
本発明の構成12は、構成7から11のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法で製造された前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面に、パターン形成用の薄膜を設ける工程を備えていることを特徴とするマスクブランクの製造方法である。
本発明の構成12によれば、上述の製造方法によって製造されたマスクブランク用基板が所定の表面形状の主表面を有することができる。そのため、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して、マスクブランクの転写パターン形成用の薄膜の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を抑制することができ、これによりマスクブランクに存在する致命欠陥の顕在化を図ることができるマスクブランクを製造することができる。
(構成13)
本発明の構成13は、構成12記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの前記薄膜に前記転写パターンを形成する工程を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法である。
本発明の構成13によれば、転写用マスクが、所定の表面形状の主表面を有するマスクブランク用基板を用いて製造されるので、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して、転写用マスクの欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を抑制することができ、これにより転写用マスクに存在する致命欠陥の顕在化を図ることができる転写用マスクをを製造することができる。
本発明によれば、2光束干渉方式の欠陥検査装置を用いて基板の主表面の欠陥検査を行った場合でも、各基板間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差が生じることを抑制することのできるマスクブランク用基板、及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、2光束干渉方式の欠陥検査装置を用いて、マスクブランク又は転写用マスクの主表面の欠陥検査を行った場合でも、各マスクブランク又は転写用マスク間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差が生じることを抑制することのできるマスクブランク及び転写用マスク、並びにそれらの製造方法が提供される。本発明の転写用マスクは、透過型の転写用マスクとして用いることができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係るマスクブランク用基板を示す斜視図である。図1(b)は、本実施形態のマスクブランク用基板を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るマスクブランクの構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る転写用マスクの構成の一例を示す断面模式図である。 実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク用基板の主表面における2.8mm×2.1mmの領域を、白色干渉計により、ピクセル数640×480で、パワースペクトル密度測定した結果を示す図である。 実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク用基板の主表面における693μm×520μmの領域を、白色干渉計により、ピクセル数640×480で、パワースペクトル密度測定した結果を示す図である。 実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク用基板の主表面における140μm×105μmの領域を、白色干渉計により、ピクセル数640×480で、パワースペクトル密度測定した結果を示す図である。 研磨パッドの断面構成の模式図である。 両面研磨装置の構成図である。 研磨パッドの圧縮変形量の測定に用いる圧縮試験器の構成図である。 研磨パッドの圧縮変形量の測定方法を説明するための模式図である。
[マスクブランク用基板10]
まず、本発明の一実施形態に係るマスクブランク用基板10について以下に説明する。
図1(a)は、本実施形態のマスクブランク用基板10を示す斜視図である。図1(b)は、本実施形態のマスクブランク用基板10を示す断面模式図である。
マスクブランク用基板10(又は、単に基板10とも称す。)は、矩形状の板状体であり、2つの対向主表面2と、端面1とを有する。2つの対向主表面2は、この板状体の上面及び下面であり、互いに対向するように形成されている。また、2つの対向主表面2の少なくとも一方は、転写パターンが形成されるべき主表面である。
端面1は、この板状体の側面であり、対向主表面2の外縁に隣接する。端面1は、平面状の端面部分1d、及び曲面状の端面部分1fを有する。平面状の端面部分1dは、一方の対向主表面2の辺と、他方の対向主表面2の辺とを接続する面であり、側面部1a、及び面取斜面部1bを含む。側面部1aは、平面状の端面部分1dにおける、対向主表面2とほぼ垂直な部分(T面)である。面取斜面部1bは、側面部1aと対向主表面2との間における面取りされた部分(C面)であり、側面部1aと対向主表面2との間に形成される。
曲面状の端面部分1fは、基板10を平面視したときに、基板10の角部10a近傍に隣接する部分(R部)であり、側面部1c及び面取斜面部1eを含む。ここで、基板10を平面視するとは、例えば、対向主表面2に対して垂直な方向から、基板10を見ることである。また、基板10の角部10aとは、例えば、対向主表面2の外縁における、2辺の交点近傍である。2辺の交点とは、2辺のそれぞれの延長線の交点であってよい。本例において、曲面状の端面部分1fは、基板10の角部10aを丸めることにより、曲面状に形成されている。
本発明は、上述の課題を達成するために、少なくとも転写パターンが形成される側の主表面、即ち、後述するように透過型のマスクブランク50においては、パターン形成用薄膜(遮光膜51等)が形成される側の主表面が、特定の空間周波数領域における特定のパワースペクトル密度(Power Spectrum Density : PSD)を有していることを特徴とする。
以下、本発明のマスクブランク用基板10の主表面の表面形状を示すパラメーターであるパワースペクトル密度(Power Spectrum Density : PSD)及びその他の本発明のマスクブランク用基板10が満たしていることが好ましいパラメーターである表面粗さ(Rms)及び平坦度について説明する。
<パワースペクトル密度>
マスクブランク用基板10の表面を、例えば白色干渉計や、原子間力顕微鏡で測定して得られた前記基板主表面の凹凸をフーリエ変換することにより、前記凹凸を所定の空間周波数での振幅強度で表すことができる。これは、前記凹凸(つまり基板主表面の微細形状)の測定データを、所定の空間周波数の波の和として表す、つまり基板の表面形状を所定の空間周波数の波に分けていくものである。
このようなパワースペクトル解析は、前記基板の微細な表面形状を数値化することができる。Z(x,y)を前記表面形状における特定のx、y座標における高さのデータ(数値)とすると、そのフーリエ変換F(u,v)は下式(2)で与えられる。
ここで、Nx,Nyは、x方向とy方向のデータの数である。u=0、1、2・・・Nx−1、v=0、1、2・・・Ny−1であり、このとき空間周波数fは、下式(3)で与えられる。

(式(3)において、dはx方向の最小分解能であり、dはy方向の最小分解能である)
このときのパワースペクトル密度P(u,v)は下式(4)で与えられる。
このパワースペクトル解析は、基板の表面状態の変化を単純な高さの変化としてだけでなく、その空間周波数での変化として把握することができる点で優れており、原子レベルでの微視的な反応などが基板主表面に与える影響を解析する手法である。
そして、本発明のマスクブランク用基板10は、上記目的を達成するために、転写パターンが形成される側の主表面における2.8mm×2.1mmの領域を、白色干渉計にて、ピクセル数640×480で測定して得られる空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度(PSD)を、6.0×10nm以下とする。
基板の表面状態を測定するための装置として、白色干渉計は公知である。白色干渉計とは、例えば、可干渉性の少ない白色光を光源として、ミラウ型やマイケルソン型などの等光路干渉計を利用し、測定面に対応するCCD各画素の等光路位置(干渉強度が最大になる位置)を、干渉計対物レンズを垂直走査して見つける手法を用いた装置である。白色干渉計の例として、例えばZygo社製非接触表面形状測定機「NewView 7000 Series」を挙げることができる。
本明細書においては、前記2.8mm×2.1mmの領域は、マスクブランク用基板10の中心の領域とする。例えばマスクブランク用基板10の主表面が長方形の形状をしていれば、前記中心とは前記長方形の対角線の交点である。すなわち、前記交点と前記領域における中心(領域の中心も前記基板の中心と同様である)とが一致する。なお、パターン形成用薄膜(例えば、遮光膜51)等の薄膜の表面形状を測定する場合も同様である。
また、空間周波数1.0×10−2μm−1を観測する際に、白色干渉計で2.8mm×2.1mmの領域を、ピクセル数640×480で観測することにより、データの信頼性が高くなる。本発明においては、上述した各空間周波数の領域におけるPSDのデータは、信頼性が高いとした測定条件(測定視野等)で観測して得るものとする。
本発明のマスクブランク用基板10は、好ましくは、空間周波数1.0×10−2μm−1での観測に加え、前記転写パターンが形成される側の前記主表面が、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて693μm×520μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数5.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、3.0×10nm以下となる表面形状を有することが好ましい。この結果、データの信頼性がより高くなるので、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板10の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、より抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、より図ることができる。
本発明のマスクブランク用基板10は、好ましくは、空間周波数1.0×10−2μm−1及び5.0×10−2μm−1での観測に加え、前記転写パターンが形成される側の前記主表面が、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて140μm×105μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数2.0×10−1μm−1のパワースペクトル密度が、8.0×10nm以下となる表面形状を有するマスクブランク用基板10である。この結果、データの信頼性がさらに高くなるので、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板10の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、さらに抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、さらに図ることができる。
本発明のマスクブランク用基板10では、好ましくは、転写パターンが形成される側とは異なる側の前記主表面も、転写パターン形成領域内の主表面と同様に、所定の空間周波数において、所定のパワースペクトル密度の範囲であることが好ましい。例えば、本発明のマスクブランク用基板10は、前記転写パターンが形成される側とは異なる側の前記主表面が、前記転写パターン形成領域と同じ大きさの領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0×10nm以下となる表面形状を有することが好ましい。この結果、前記転写パターンが形成される側とは異なる側の主表面においても、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板10の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を図ることができる。
透過型の転写用マスク60を製造するために、マスクブランク用基板10、マスクブランク50及び転写用マスク60の主表面の欠陥検査を行うことが必要である。欠陥検査装置として、2光束干渉方式による欠陥検査方法、及び空間フィルタ方式による欠陥検査方法を挙げることができる。本発明のマスクブランク用基板10、マスクブランク50及び転写用マスク60は、それらの主表面の欠陥検査を、2光束干渉方式により測定する場合、各マスクブランク用基板10間、各マスクブランク50間及び各転写用マスク60間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差が生じることを抑制することができる。このため、本発明のマスクブランク用基板10、マスクブランク50及び転写用マスク60では、疑似欠陥を含む欠陥検出個数を低減しつつ、これにより検出し損なってはならない致命欠陥の検出を確実に行うことができる。これにより致命欠陥の顕著化が可能となり、致命欠陥が検出された場合にはそれを除去したり、あるいは致命欠陥上には後述する転写用マスク60において薄膜パターン(遮光膜パターン51a等の転写パターン)がくるようにマスク設計したりと、種々の手当てを施すことができる。
<表面粗さ(Rms)>
マスクブランク用基板10における代表的な表面粗さの指標であるRms(Root means square))は、二乗平均平方根粗さであり、平均線から測定曲線までの偏差の二乗を平均した値の平方根である。すなわちRmsは下式(1)で表される。

(式(1)において、lは基準長さであり、Zは平均線から測定曲線までの高さである。)
なお、Rmsは、前記マスクブランク用基板10の主表面の1μm×1μmの領域を原子間力顕微鏡で測定して得ることができる。
また、上述の二乗平均平方根粗さ(Rms)は、好ましくは、0.13nm未満、より好ましくは、0.12nm以下、さらに好ましくは、0.10nm以下である。なお、ここでの二乗平均平方根粗さは、基板主表面における1μm×1μmの四角形の内側領域に対する原子間力顕微鏡による測定結果から算出する場合の数値である。
<平坦度>
また、本実施形態のマスクブランク用基板10は、転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されていることが好ましい。ArFエキシマレーザー露光用の透過型マスクブランクに使用するマスクブランク用基板10の場合、基板の転写パターンが形成される側の主表面における132mm×132mmの四角形の内側領域、又は142mm×142mmの四角形の内側領域においては、平坦度が0.3μm以下であることが好ましく、特に好ましくは、0.2μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面も、同程度の平坦であることが必要である。
[マスクブランク用基板10の製造方法]
以上説明した本発明のマスクブランク用基板10は、次のようにして製造することができる。
本発明のマスクブランク用基板10の製造方法は、2つの主表面を有する基板からなるマスクブランク用基板10の製造方法であって、前記マスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側であり、かつ転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、2光束干渉を用いる方式により欠陥検査を行う欠陥検査工程を備える。また、前記マスクブランク用基板10の前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、白色干渉計を用いて、上述の所定の測定領域を所定のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される所定の空間周波数のパワースペクトル密度が、所定の値以下となる表面形状を有する。本発明のマスクブランク用基板10の製造方法が、2光束干渉を用いる方式による欠陥検査を行う欠陥検査工程を備えることにより、2光束干渉方式の欠陥検査の際の疑似欠陥の検出を抑制することができる。これにより致命欠陥の顕在化を図ることができるマスクブランク用基板10を製造することができる。
さらに具体的に、本発明のマスクブランク用基板10の製造方法について説明する。
ガラス基板の材料としては、例えば、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、低熱膨張ガラス(例えばSiO−TiO系ガラス)、β石英固溶体を析出させた結晶化ガラス等のガラス材料を用いることが可能である。ガラス基板の材料としては、合成石英ガラスを用いることが好ましい。
本発明のマスクブランク用基板10は、その転写パターンが形成される側の主表面を、所定の表面形状、すなわち白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度(PSD)が、6.0×10nm以下となる表面形状となるように表面加工することによって製造することができる。マスクブランク用基板10の表面加工方法は公知であり、本発明において特に制限なく採用することができる。
なお、マスクブランク用基板10の表面加工方法の例を示せば、磁気粘弾性流体研磨(Magneto Rheological Finishing : MRF)、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)、ガスクラスターイオンビームエッチング(Gas Cluster Ion Beam etching:GCIB)、及び局所プラズマエッチングを用いたドライケミカル平坦化法(Dry Chemical Planarization:DCP)などを挙げることができる。MRFは、磁性流体中に含有させた研磨砥粒を、被加工物(マスクブランク用基板10)に高速で接触させるとともに、接触部分の滞留時間をコントロールすることにより、局所的に研磨を行う局所加工方法である。CMPは、小径研磨パッド及び研磨剤(コロイダルシリカなどの研磨砥粒を含有)を用い、小径研磨パッドと被加工物(マスクブランク用基板10)との接触部分の滞留時間をコントロールすることにより、主に被加工物表面の凸部分を研磨加工する局所加工方法である。GCIBは、常温常圧で気体の反応性物質(ソースガス)を、真空装置内に断熱膨張させつつ噴出させてガスクラスターイオンを生成し、これにより電子照射してイオン化させることにより生成したガスクラスターイオンを、高電界で加速してガスクラスターイオンビームとし、これを被加工物に照射してエッチング加工する局所加工方法である。DCPは、局所的にプラズマエッチングし、凸度に応じてプラズマエッチング量をコントロールすることにより、局所的にドライエッチングを行う局所加工方法である。
マスクブランク用基板10の表面加工方法として、例えば次のような方法を用いることができる。
本発明のマスクブランク用基板10の製造方法では、欠陥検査工程の前に、表面加工方法として、研磨定盤の研磨パッド17上を、研磨液を供給しつつ、マスクブランク用基板10を相対移動させることにより、マスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面を研磨する研磨工程を備えることが好ましい。本発明のマスクブランク用基板10の製造方法が、所定の研磨工程を備えることにより、マスクブランク用基板10において所定の表面形状を得ることができるので、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板10の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を確実に抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を確実に図ることができるマスクブランク用基板10を製造することができる。
マスクブランク用基板10の表面加工方法として好ましい方法(「本表面加工方法」という。)は、次のとおりである。すなわち、まず、回転面に研磨パッド17を備える定盤に、マスクブランク用基板10をセットする。次に、研磨パッド17とマスクブランク用基板10との間にシリカ又はコロイダルシリカの研磨砥粒を含む研磨液を供給しつつ、研磨パッド17の研磨面に対して基板を相対移動させ、基板の主表面を研磨する。その際、研磨パッド17は、少なくとも、基材17Aと、基材17A上に形成され、表面に開孔を有する発泡した樹脂からなるナップ層17Bとからなり、研磨パッド17の圧縮変形量が330μm以下であり、ナップ層17Bを形成する樹脂の100%モジュラスが3MPa以上14MPa以下であることが好ましい。
このようなマスクブランク用基板10の表面加工方法によれば、研磨加工後の基板主表面のうねりの発生を抑制でき、その結果、高い平坦度の基板を製造することが可能となる。また、このような表面加工方法により、マスクブランク用基板10の主表面を、所定の空間周波数において、所定のパワースペクトル密度の範囲とすることができる。そのため、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板10の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、図ることができる。
図7は、本表面加工方法に使用される研磨パッド17の断面構成を示す模式図である。図7に示すとおり、研磨処理に用いられる研磨パッド17は、不織布や、PET樹脂等の樹脂フィルムなどからなる基材17Aと、この基材17A上に形成され、表面に開孔を有する発泡した樹脂からなるナップ層17Bとを有してなるものである。図示していないが、基材17Aとナップ層17Bとの間に緩衝層を備えることができる。緩衝層は、研磨パッド17全体で圧縮変形量を調整するために設けられるものであり、好ましくは発泡した樹脂である。
発泡樹脂層の内部には、発泡の跡であるポア18と呼ばれる空隙部分が存在する。なお、図7では、図示の便宜上、研磨パッド17の内部断面構造(特にナップ層17B)をあくまでもイメージとして描いたものであり、実際の内部構造を必ずしも正確に描いたものではない。
この研磨パッド17において、発泡した樹脂としては、例えば、合成樹脂中にガスを細かく分散させ、内部に細かな泡を無数に含む、発泡状又は多孔質形状に成形されたものを指し、固体である合成樹脂と気体との不均一分散系とも定義できる。この研磨パッド17において、発泡樹脂(ナップ層17B)としては、ウレタンが広く利用されている。発泡樹脂(ナップ層17B)がポリウレタン樹脂である場合は、ポリウレタン樹脂を構成する原料樹脂として、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系などの樹脂や、これらの樹脂をブレンドした樹脂を用いることができる。
基材17A及びナップ層17Bを備える研磨パッド17としては、スウェードタイプや、発泡ウレタンタイプが挙げられる。スウェードタイプ研磨パッド17は、基材17Aにポリウレタンをコート(積層)し、ポリウレタン内に発泡層を成長させ、表面部位を除去し発泡層に開口部を設けたものである。また、発泡ウレタンタイプの研磨パッド17は、発泡したウレタンのブロックをスライスしたもので、これを基材17Aと接合することによって、基材17A及び発泡樹脂層(ナップ層17B)を備える研磨パッド17とすることができる。発泡樹脂層が複数層である場合は、各発泡樹脂層どうしを接合する。上記ナップ層17Bの厚さは、例えば300μm〜1000μm程度であることが好ましい。また、上記ナップ層17Bのポアの開口径は、例えば40μm〜100μm程度であることが好ましい。
この研磨パッド17において、特徴的な構成は、研磨パッド17の圧縮変形量と、ナップ層17Bを形成する樹脂のモジュラスとの組合せを適正に選定したことである。つまり、この研磨パッド17においては、研磨パッド17の圧縮変形量が330μm以下であり、かつ、ナップ層17Bを形成する樹脂の100%モジュラスが3MPa以上14MPa以下であることが好ましい。
本発明において、研磨パッド17の圧縮変形量とは、図10に示すように、研磨パッド17(研磨布)の厚み方向に、F=100g/cmの荷重をかけたときの研磨パッド17の厚みをtとし、次いで、F=1120g/cmの荷重をかけたときの研磨パッド17の厚みをtとしたときに、圧縮変形量(μm)=t−tで表されるものである。また、圧縮率(%)=[(t−t)/t]×100で表される。この圧縮変形量の測定は、例えば図9に示すように、定盤上に研磨パッド17を載置し、研磨パッド17上部から圧子(φ10mm)をストロークスピード0.1mm/minで押圧する、圧縮試験器を用いて行う。
また、本発明において、樹脂モジュラスとは、樹脂自体の硬さを表す指標である。無発泡の樹脂フィルムを2倍に伸ばした際にかかる力(引張り応力)で表し、硬い樹脂ほど伸ばすのに力が必要なので数値が大きくなる。柔らかい樹脂ほど、数値が小さくなる。樹脂モジュラスの測定方法を以下に示す。
(1)樹指溶液を薄く引き延ばし熱風乾燥し、50μm程度の厚みの乾式フィルムを作製する。
(2)フィルム作製後しばらく養生する。
(3)測定部の長さ20mm、幅5mm、厚さ0.05mmの短冊状試料を、引っ張り速度300mm/分で引っ張る。
(4)100%伸長特(2倍延伸時)の張力を試料の初期断面積で割り、100%モジュラス(MPa表示)を求める。
(5)試料数n=7の平均値を求める。
樹脂モジュラスは、樹脂の系統(ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系などの樹脂の種類)ではなく、基本的にハードセグメントの含有量で決まる。詳しくは、ポリウレタンは、ソフトセグメントとハードセグメントとを有しミクロ相分離構造をとっているため、そのハードセグメントの割合(量)で樹脂の硬さは決まる。ハードセグメントは、イソシアネート及び低分子ジオールであり、樹脂(高分子)が強く凝集している箇所で、高分子=ソフトセグメントの動きが固定されている箇所である。ソフトセグメントは、高分子ポリオールであり、樹脂(高分子)が弱く凝集している箇所である。ソフトセグメントは、樹脂の系統(ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系などの樹脂の種類)と樹脂のブレンド比で調整できる。
なお、研磨工程に適用する研磨パッド17の圧縮変形量が330μm以下であることが好ましい。また、ナップ層17Bを形成する樹脂の100%モジュラスが3MPa以上14MPa以下であることが最適であることが好ましい。研磨パッド17の圧縮変形量が330μm超であると、例えばうねりPV値が10nm以上となり、うねりを抑制することができない。一方、ナップ層を形成する樹脂の100%モジュラスが3MPa未満であると、うねりを抑制することが困難である。また、100%モジュラスが14MPa超であると、うねりは抑制することができるものの、研磨後の基板主表面に傷欠陥が多く発生してしまうという問題がある。
本表面加工方法においては、研磨パッド17の圧縮変形量が、特に60μm以上300μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、75μm以上260μm以下である。また、ナップ層を形成する樹脂の100%モジュラスが、6MPa以上12MPa以下であることが特に好ましい。
上記特性を備えた研磨パッド17を使用して基板主表面の研磨加工を行うことにより、研磨加工後の基板主表面のうねりの発生を抑制でき、その結果、上述の転写用マスクにおいて、例えば30nm以下の平坦度を実現できるような高い平坦度の基板を製造することも可能となる。また、このような表面加工方法により、マスクブランク用基板10の主表面を、所定の空間周波数において、所定のパワースペクトル密度の範囲とすることができる。そのため、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板10の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、図ることができる。
本表面加工方法によるマスクブランク用基板10の製造方法では、上述の特性を備えた研磨パッド17を適用した研磨工程を行う。具体的には、回転面に研磨パッド17を備える定盤に、基板をセットし、前記研磨パッド17と前記基板との間にシリカ又はコロイダルシリカの研磨砥粒を含む研磨液を供給しつつ、前記研磨パッド17の研磨面に対して前記基板を相対移動させ、前記基板の主表面を研磨する研磨工程である。
このような研磨工程は、例えば図8に示すような遊星歯車方式の両面研磨装置を使用して行うことができる。図8に示す両面研磨装置は、太陽歯車12と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車13と、太陽歯車12及び内歯歯車13に噛み合い、太陽歯車12や内歯歯車13の回転に応じて公転及び自転するキャリア14と、このキャリア14に保持された被研磨加工物(マスクブランク用基板10)を挟持可能な研磨パッド17がそれぞれ貼着された上定盤15及び下定盤16と、上定盤15と下定盤16との間に研磨液を供給する研磨液供給部(図示せず)とを備えている。
このような両面研磨装置によって、研磨加工時には、キャリア14に保持された被研磨加工物、即ち基板10(ガラス基板)を上定盤15及び下定盤16とで挟持するとともに、上下定盤15,16の研磨パッド17と基板10との間に研磨液を供給しながら、太陽歯車12や内歯歯車13の回転に応じてキャリア14が公転及び自転することにより、基板10の上下両主表面が研磨加工される。このような両面研磨装置を用いることにより、基板10の両主表面を同時に研磨することが可能である。なお、基板10を、片面研磨装置で基板の両主表面を片面ずつ研磨することもできる。
本表面加工方法においては、例えば上記両面研磨装置を用いて、粗研磨工程、精密研磨工程、超精密研磨工程を行うことが望ましい。また、本発明では、超精密研磨工程において、上述の特性を有する研磨パッド17を適用することが好ましい。
使用する研磨剤の種類や粒子径は、基板材料や得ようとする平坦度に応じて適宜選定することができる。研磨剤としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、コロイダルシリカなどが挙げられる。研磨剤の粒子径は、数十nmから数μmである。本発明のマスクブランク用基板10の製造方法は、シリカ又はコロイダルシリカを含有する研磨液で基板を研磨する場合に最適な構成である。
マスクブランク用基板10の主表面におけるピット等の凹欠陥をできる限り少なくする観点から、本表面加工方法等において使用する研磨砥粒は、コロイダルシリカであることが好ましい。またコロイダルシリカを含有する研磨液は水を含み、さらに所定の添加剤(例えば、アルカリ化合物)を含むことが好ましい。添加剤は、粒子表面に被膜を形成するという機能の他、被研磨面の表面を保護して、被研磨面に対する研磨砥粒によるアタックを抑制することができるとの機能を有する。
研磨液に含まれる添加剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びプルランから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらのうちの2種類以上を混合して用いることもできる。洗浄性も考慮すると、研磨液に含まれる添加剤は、ヒドロキシエチルセルロースであることが最も好ましい。また、添加剤として研磨液に含まれるアルカリ化合物としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、及び水酸化テトラブチルアンモニウムなどを挙げることができる。添加剤として研磨液に含まれるアルカリ化合物は、アンモニアであることが好ましい。
粗研磨工程は、研削工程で形成された基板主表面の傷を除去し、研削工程で得られた平坦度を維持する目的として行われるもので、研磨砥粒の平均粒子径が約1〜3μmの比較的大きな研磨砥粒を用いて研磨する工程である。研磨砥粒の材質は、基板の材料に応じて適宜選択される。粗研磨工程で使用する研磨パッド17は、平坦度の維持の点から、硬質ポリシャを使用することが好ましい。
精密研磨工程は、傷等の表面欠陥がなく、基板の鏡面化を目的として行われるもので、研磨砥粒の平均粒子径が約1μm以下(例えば、10nm〜1μm)の比較的小さな研磨砥粒を用いて研磨する工程である。研磨砥粒の材質は、上述と同様に基板の材料に応じて適宜選択される。平均粒子径が小さく平滑な基板主表面が得られる点から酸化セリウムが好ましい。精密研磨工程で使用する研磨パッド17は、鏡面化の点から、軟質又は超軟質ポリシャを使用することが好ましい。
上記超精密研磨工程は、基板の更なる鏡面化(表面粗さの向上)を目的として行われるもので、研磨砥粒の平均粒子径が約500nm以下(例えば、10nm〜500nm)の非常に小さな研磨砥粒を用いて研磨する工程である。研磨砥粒の材質は、上述と同様に基板の材料に応じて適宜選択される。平均粒子径が小さく平滑な基板主表面が得られる点からシリカ又はコロイダルシリカが好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。超精密研磨工程で使用する研磨パッド17は、更なる鏡面化の点から、軟質又は超軟質ポリシャを使用することが好ましく、また本発明ではうねり低減及び所定の空間周波数を得るとの観点から、上述の圧縮変形量と100%モジュラスの値を備えた研磨パッド17を使用する。
本発明において、所定の研磨工程において用いる研磨液は、平均粒子径D50(全粒子の積算値50%の粒子寸法)が100nm以下であるコロイダルシリカを含むことが好ましい。所定の研磨液を用いることにより、マスクブランク用基板10において所定の表面形状をより確実に得ることができるので、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用してマスクブランク用基板10の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を、より確実に抑制することができ、これにより致命欠陥の顕在化を、より確実に図ることができるマスクブランク用基板10を製造することができる。
本表面加工方法においては、上述の研磨工程の後に、ガラス基板主表面の表面形態情報(例えば凹凸形状)を測定する表面形態情報測定工程と、前記表面形態情報測定工程で得られた測定結果に基づいて、所望の平坦度となるように前記主表面の場所ごとに加工条件を設定して局所加工する局所加工工程と、前記局所加工工程の後、所望の平滑度となるように仕上げ研磨する仕上げ研磨工程とを行うことが好ましい。局所加工工程で適用可能な局所加工については、上述で挙げられたものが適用可能である。
上記仕上げ研磨工程は、上述の局所加工工程において、ガラス基板主表面に面荒れや加工変質層が生じた場合、これらの除去を目的として行うものであり、ガラス基板主表面に除去が必要な面荒れや加工変質層が生じていない場合には、仕上げ研磨は特に行わなくてもよい。
この仕上げ研磨の方法としては、局所加工工程で得られた平坦度を維持しつつ、表面粗さが改善される研磨方法が好ましい。例えば、研磨パッド17などの研磨用工具面をガラス基板主表面と接触させて研磨液により精密研磨する方法や、ガラス基板主表面と研磨用工具面が直接接触することなく、両者の間に介在する加工液の作用で研磨を行う非接触研磨方法(例えば、フロートポリッシング法、EEM(Elastic Emission Machining)法)などが挙げられる。また、触媒基準エッチング(CARE(Catalyst-Referred Etching))を用いることもできる。
[マスクブランク50の製造方法]
本発明は、上述のマスクブランク用基板10の転写パターンが形成される側の主表面に、転写パターン形成用の薄膜が設けられていることを特徴とするマスクブランク50である。本発明のマスクブランク50によれば、所定の表面形状の主表面を有する上述のマスクブランク用基板10を用いることによって、2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して、マスクブランク50の転写パターン形成用の薄膜の欠陥検査をする際の疑似欠陥の検出を抑制することができ、これによりマスクブランク50に存在する致命欠陥の顕在化を図ることができる。
図2に、本発明のマスクブランク50(透過型マスクブランク50)の構成の一例を示す断面模式図を示す。本発明のマスクブランク50は、次のようにして製造することができる。すなわち、本発明のマスクブランク50は、上述のようにして製造したマスクブランク用基板10の前記転写パターンが形成される側の前記主表面に、パターン形成用薄膜(遮光膜51等)を設けることにより製造することができる。図2に示すマスクブランク50の例では、遮光膜51の表面にさらにエッチングマスク膜52が形成されている。
本発明のマスクブランク50は、例えば、以下の(1)〜(3)に示すマスクブランク50に適用することができる。
(1)遷移金属を含む材料からなる遮光膜51を備えたバイナリ型マスクブランク50
かかるバイナリ型マスクブランク50は、基板主表面上に遮光膜51(薄膜)を有する形態のものであり、この遮光膜51は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム、スズ、インジウム等の遷移金属単体あるいはその化合物を含む材料からなる。例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜51が挙げられる。
かかるバイナリ型マスクブランク50は、遮光膜51を、遮光層と表面反射防止層との2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。
また、遮光膜51の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
(2)ケイ素の化合物を含む材料、又は遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる光半透過膜を備えた位相シフトマスクブランク
かかる位相シフトマスクブランクとしては、基板主表面上に光半透過膜(薄膜)を有する形態のハーフトーン型位相シフトマスクブランクが挙げられる。このハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜をパターニングしてシフタ部を設けることによって、ハーフトーン型位相シフトマスクが作製される。かかる位相シフトマスクにおいては、光半透過膜を透過した光に基づき転写領域に形成される光半透過膜パターンによる被転写基板のパターン不良を防止するために、基板主表面上に光半透過膜とその上の遮光膜(遮光帯)とを有する形態とするものが挙げられる。また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、基板をエッチング等により掘り込んでシフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスク用やエンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。
前記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を生じさせるものである。この光半透過膜をパターニングした光半透過部と、光半透過膜が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過した光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることができる。この結果、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとすることができる。このようにして、光半透過部と光透過部との境界部のコントラスト即ち解像度を向上させることができる。
この光半透過膜は、例えば遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。また、光半透過膜は、ケイ素と窒素を含有する材料で形成してもよい。この場合、窒素含有量の比較的少ない低透過層と、窒素含有量が比較的多い高透過層との組合せが1組以上積層した構造を有する光半透過膜とすることが好ましい。
光半透過膜上に遮光膜を有する形態の場合、上記光半透過膜の材料が遷移金属及びケイ素を含むので、遮光膜の材料としては、光半透過膜に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
レベンソン型位相シフトマスクは、バイナリ型マスクブランク50と同様の構成のマスクブランクから作製されるため、パターン形成用の薄膜の構成については、バイナリ型マスクブランク50の遮光膜51と同様である。エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものではあるが、透過する露光光に生じさせる位相差が小さい膜(例えば、位相差が30度以下。好ましくは0度。)であり、この点が、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜とは異なる。この光半透過膜の材料は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素を含むが、各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率と所定の小さな位相差となるように調整される。
(3)遷移金属、遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる遮光膜51を備えたバイナリ型マスクブランク50
この遮光膜51(薄膜)は、遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料からなる。あるいは、この遮光膜51(薄膜)は、遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料からなる。あるいは、この遮光膜51は、遷移金属と、酸素、窒素及び/又はホウ素を主たる構成要素とする材料からなる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
特に、遮光膜51をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSiN等)と表面反射防止層(MoSiN等)との2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層(MoSiON等)を加えた3層構造がある。
また、遮光膜51の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
また、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜51上にエッチングマスク膜52を有する構成としてもよい。このエッチングマスク膜52は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜51のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)。特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。このとき、エッチングマスク膜52に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜51上にエッチングマスク膜52を残した状態で転写用マスク60を作製してもよい。
[転写用マスク60の製造方法]
本発明は、マスクブランク50の前記薄膜に転写パターンが設けられていることを特徴とする転写用マスク60である。図3は、本発明の転写用マスク60の構成の一例の断面模式図である。本発明の転写用マスク60は、本発明のマスクブランク50の製造方法によって製造されたマスクブランク50の薄膜に転写パターンを形成することによって、製造することができる。図3の例では、マスクブランク用基板10の主表面上に遮光膜パターン51a(転写パターン)が形成されている。薄膜への転写パターンの形成は、公知の方法を用いて行うことが可能である。
[半導体デバイスの製造方法]
上述の転写用マスク60及び所定の露光装置を使用したリソグラフィープロセスにより、半導体基板等の被転写体上に形成されたレジスト膜に、転写用マスク60の転写パターンに基づく回路パターン等の転写パターンを転写し、その他種々の工程を経ることで、半導体基板上に配線など種々のパターン等が形成された半導体デバイスを製造することができる。
なお、上述のマスクブランク用基板10、マスクブランク50に基準マークを形成し、この基準マークと、上述の高感度欠陥検査装置で検出された致命欠陥の位置を座標管理することができる。得られた致命欠陥の位置情報(欠陥データ)に基づいて、転写用マスク60を作製するときに、上述の欠陥データと被転写パターン(回路パターン)データとを元に、致命欠陥が存在している箇所に遮光膜パターン51a(転写パターン)が形成されるように描画データを補正して、欠陥を低減させることができる。
以下、実施例により、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限られるものではない。
[実施例1]
<マスクブランク用基板10の作製>
実施例1のマスクブランク用基板10として、大きさが152.4mm×152.4mm、厚さが6.35mmの合成石英ガラスを準備し、次のように粗研磨工程、精密研磨工程及び超精密研磨工程を実施した。
(1)粗研磨工程
端面を面取り加工し、両面ラッピング装置によって研削加工を終えた合成石英ガラス基板を、両面研磨装置に10枚セットし、以下の研磨条件で粗研磨工程を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:酸化セリウム(平均粒子径2〜3μm)+水
研磨パッド:硬質ポリシャ(ウレタンパッド)
上記粗研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板を洗浄槽に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
(2)精密研磨工程
上述の両面研磨装置を使用し、粗研磨工程を終えた上記10枚のガラス基板に対し、以下の研磨条件で精密研磨工程を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:酸化セリウム(平均粒子径1μm)+水
研磨パッド:軟質ポリシャ(ウレタンパッド)
上記精密研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板を洗浄槽に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
(3)超精密研磨工程
上述の両面研磨装置を使用し、精密研磨工程を終えた上記10枚のガラス基板に対し、以下の研磨条件で超精密研磨工程を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:水、コロイダルシリカ(平均粒子径D50:18nm)及び添加剤(ヒドロキシエチルセルロース及びアルカリ化合物[アンモニア])を含む研磨液。pH:10.5。
研磨パッド17:パッド構造がPET(基材17A)/ナップ層17B、圧縮変形量274μm、ナップ層17Bの100%モジュラスが3.0MPaである研磨パッド17を使用。
なお、研磨パッド17の基材17Aは、PET樹脂フィルムとし、ナップ層17Bはポリウレタン樹脂からなる。また、研磨パッド17の圧縮変形量、ナップ層17Bの100%モジュラスは前述の方法により測定した。上記超精密研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒(コロイダルシリカ)を除去するため、低濃度のケイフッ酸水溶液で洗浄後、純水によるリンスを行った。
以上のようにして、実施例1のマスクブランク用基板10を製造した。
<マスクブランク用基板10のパワースペクトル解析>
実施例1のマスクブランク用基板10の表面状態を、Zygo社製の白色干渉計である非接触表面形状測定機NewView7300にて測定し、パワースペクトル解析を行った。白色干渉計により、測定領域2.8mm×2.1mm、ピクセル数640×480を測定したパワースペクトル解析を行った。その結果を図4に示す。同様に、測定領域693μm×520μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図5に、測定領域140μm×105μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図6に示す。なお、図4〜6において、空間周波数の値を示す太線は、左から空間周波数1.0×10−2μm−1、5.0×10−2μm−1及び2.0×10−1μm−1を示す。
図4に示すように、実施例1のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数1.0×10−2におけるパワースペクトル密度が1.3×10nmであり、6.0×10nmより低かった。
図5に示すように、実施例1のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数5.0×10−2におけるパワースペクトル密度が3.2×10nmであり、3.0×10nmより低かった(図5)。
図6に示すように、実施例1のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数2.0×10−1におけるパワースペクトル密度が2.1×10nmであり、8.0×10nmより低かった。
<欠陥検査>
2光束干渉方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1320」)を使用して、上述のようにして製造された実施例1のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。この欠陥検査装置の検査感度条件は、ガラス基板の主表面上に散布した直径150nmのポリスチレンラテックス(PSL)粒子が検出できる感度とした。なお、PSL粒子は、その粒子同士が1mm以内で近接しあう確率が1%以下となるような特性を有するものである。さらに、この2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して、基板を90度回転させて、上述のようにして製造されたマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。最初の欠陥検査を「0度の欠陥検査」、基板を90度回転させての欠陥検査を「90度の欠陥検査」という。0度の欠陥検査結果と90度の欠陥検査結果とを比較することにより、疑似欠陥又は真欠陥であるかを判別した。
実施例1のマスクブランク用基板10を2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して測定したときに、0度の欠陥検査の真欠陥検出個数は1個、疑似欠陥検出個数は6個であった。また、90度の欠陥検査の真欠陥検出個数は2個、疑似欠陥検出個数は1個であった。
次に、空間フィルタ方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1350」)を使用して、上述のようにして製造された実施例1のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。この欠陥検査装置の検査感度条件は、ガラス基板の主表面上に散布した直径60nmのポリスチレンラテックス(PSL)粒子が検出できる感度とした。検出された欠陥が疑似欠陥と真欠陥のいずれであるかを判別する方法は、2光束干渉方式の欠陥検査装置の場合と同様の手法をとった。その結果、実施例1のマスクブランク用基板10を空間フィルタ方式の欠陥検査装置を使用して測定したときの真欠陥検出個数は6個、疑似欠陥検出個数は55個であった。
[実施例2]
<マスクブランク用基板10の作製>
実施例2のマスクブランク用基板10として、実施例1と同様に、大きさが152.4mm×152.4mm、厚さが6.35mmの合成石英ガラスを準備し、粗研磨工程、精密研磨工程及び超精密研磨工程を実施した。ただし、実施例2のマスクブランク用基板10において、超精密研磨工程の条件は、次のとおりである。
実施例2のマスクブランク用基板10に対する超精密研磨工程は、次のようにして行った。すなわち、上述の両面研磨装置を使用し、精密研磨工程を終えた上記10枚のガラス基板に対し、以下の研磨条件で超精密研磨工程を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:水、コロイダルシリカ(平均粒子径D50:20nm)及び添加剤(ヒドロキシエチルセルロース及びアルカリ化合物[アンモニア])を含む研磨液。pH:10.5。
研磨パッド17は実施例1と同じものを使用した。上記超精密研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒(コロイダルシリカ)を除去するため、低濃度のケイフッ酸水溶液で洗浄後、純水によるリンスを行った。
<マスクブランク用基板10のパワースペクトル解析>
実施例1と同様に、実施例2のマスクブランク用基板10のガラス基板の表面状態を白色干渉計にて測定し、パワースペクトル解析を行った。白色干渉計により、測定領域2.8mm×2.1mm、ピクセル数640×480を測定したパワースペクトル解析を行った。その結果を図4に示す。同様に、測定領域693μm×520μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図5に、測定領域140μm×105μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図6に示す。
図4に示すように、実施例2のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数1.0×10−2μm−1におけるパワースペクトル密度が2.4×10nmであり、6.0×10nmより低かった。
図5に示すように、実施例2のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数5.0×10−2μm−1におけるパワースペクトル密度が1.4×10nmであり、3.0×10nmより低かった(図5)。
図6に示すように、実施例2のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数2.0×10−1μm−1におけるパワースペクトル密度が3.9×10nmであり、8.0×10nmより低かった。
<欠陥検査>
実施例1と同様に、2光束干渉方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1320」)を使用して、上述のようにして製造された実施例2のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。実施例2のマスクブランク用基板10を2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して測定したときに、0度の欠陥検査の真欠陥検出個数は0個、疑似欠陥検出個数は9個であった。また、90度の欠陥検査の真欠陥検出個数は0個、疑似欠陥検出個数は16個であった。
次に、実施例1と同様に、空間フィルタ方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1350」)を使用して、上述のようにして製造された実施例2のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。その結果、実施例2のマスクブランク用基板10を空間フィルタ方式の欠陥検査装置を使用して測定したときの真欠陥検出個数は0個、疑似欠陥検出個数は59個であった。
[実施例3]
<マスクブランク用基板10の作製>
実施例3のマスクブランク用基板10として、実施例1と同様に、大きさが152.4mm×152.4mm、厚さが6.35mmの合成石英ガラスを準備し、粗研磨工程、精密研磨工程及び超精密研磨工程を実施した。ただし、実施例3のマスクブランク用基板10において、超精密研磨工程の条件は、次のとおりである。
実施例3のマスクブランク用基板10に対する超精密研磨工程は、次のようにして行った。すなわち、上述の両面研磨装置を使用し、精密研磨工程を終えた上記10枚のガラス基板に対し、以下の研磨条件で超精密研磨工程を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:水、コロイダルシリカ(平均粒子径D50:23nm)及び添加剤(ヒドロキシエチルセルロース及びアルカリ化合物[アンモニア])を含む研磨液。pH:10.5。
研磨パッド17は実施例1と同じものを使用した。上記超精密研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒(コロイダルシリカ)を除去するため、低濃度のケイフッ酸水溶液で洗浄後、純水によるリンスを行った。
<マスクブランク用基板10のパワースペクトル解析>
実施例1と同様に、実施例3のマスクブランク用基板10のガラス基板の表面状態を白色干渉計にて測定し、パワースペクトル解析を行った。白色干渉計により、測定領域2.8mm×2.1mm、ピクセル数640×480を測定したパワースペクトル解析を行った。その結果を図4に示す。同様に、測定領域693μm×520μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図5に、測定領域140μm×105μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図6に示す。
図4に示すように、実施例3のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数1.0×10−2μm−1におけるパワースペクトル密度が2.3×10nmであり、6.0×10nmより低かった。
図5に示すように、実施例3のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数5.0×10−2μm−1におけるパワースペクトル密度が1.0×10nmであり、3.0×10nmより低かった(図5)。
図6に示すように、実施例3のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数2.0×10−1μm−1におけるパワースペクトル密度が3.4×10nmであり、8.0×10nmより低かった。
<欠陥検査>
実施例1と同様に、2光束干渉方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1320」)を使用して、上述のようにして製造された実施例3のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。実施例3のマスクブランク用基板10を2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して測定したときに、0度の欠陥検査の真欠陥検出個数は0個、疑似欠陥検出個数は8個であった。また、90度の欠陥検査の真欠陥検出個数は0個、疑似欠陥検出個数は11個であった。
次に、実施例1と同様に、空間フィルタ方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1350」)を使用して、上述のようにして製造された実施例3のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。その結果、実施例3のマスクブランク用基板10を空間フィルタ方式の欠陥検査装置を使用して測定したときの真欠陥検出個数は5個、疑似欠陥検出個数は53個であった。
[実施例4]
<マスクブランク用基板10の作製>
実施例4のマスクブランク用基板10として、実施例1と同様に、大きさが152.4mm×152.4mm、厚さが6.35mmの合成石英ガラスを準備し、粗研磨工程、精密研磨工程及び超精密研磨工程を実施した。ただし、実施例4のマスクブランク用基板10において、超精密研磨工程の条件は、次のとおりである。
実施例4のマスクブランク用基板10に対する超精密研磨工程は、次のようにして行った。すなわち、上述の両面研磨装置を使用し、精密研磨工程を終えた上記10枚のガラス基板に対し、以下の研磨条件で超精密研磨工程を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:水、コロイダルシリカ(平均粒子径D50:80nm)及び添加剤(ヒドロキシエチルセルロース及びアルカリ化合物[アンモニア])を含む研磨液。pH:10.5。
研磨パッド17は実施例1と同じものを使用した。上記超精密研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒(コロイダルシリカ)を除去するため、低濃度のケイフッ酸水溶液で洗浄後、純水によるリンスを行った。
<マスクブランク用基板10のパワースペクトル解析>
実施例1と同様に、実施例4のマスクブランク用基板10のガラス基板の表面状態を白色干渉計にて測定し、パワースペクトル解析を行った。白色干渉計により、測定領域2.8mm×2.1mm、ピクセル数640×480を測定したパワースペクトル解析を行った。その結果を図4に示す。同様に、測定領域693μm×520μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図5に、測定領域140μm×105μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図6に示す。
図4に示すように、実施例4のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数1.0×10−2μm−1におけるパワースペクトル密度が4.6×10nmであり、6.0×10nmより低かった。
図5に示すように、実施例4のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数5.0×10−2μm−1におけるパワースペクトル密度が2.0×10nmであり、3.0×10nmより低かった(図5)。
図6に示すように、実施例4のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数2.0×10−1μm−1におけるパワースペクトル密度が7.2×10nmであり、8.0×10nmより低かった。
<欠陥検査>
実施例1と同様に、2光束干渉方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1320」)を使用して、上述のようにして製造された実施例4のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。実施例4のマスクブランク用基板10を2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して測定したときに、0度の欠陥検査の真欠陥検出個数は0個、疑似欠陥検出個数は27個であった。また、90度の欠陥検査の真欠陥検出個数は1個、疑似欠陥検出個数は34個であった。
次に、実施例1と同様に、空間フィルタ方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1350」)を使用して、上述のようにして製造された実施例4のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。その結果、実施例4のマスクブランク用基板10を空間フィルタ方式の欠陥検査装置を使用して測定したときの真欠陥検出個数は1個、疑似欠陥検出個数は114個であった。
[比較例1]
<マスクブランク用基板10の作製>
比較例1のマスクブランク用基板10として、実施例1と同様に、大きさが152.4mm×152.4mm、厚さが6.35mmの合成石英ガラスを準備し、粗研磨工程、精密研磨工程及び超精密研磨工程を実施した。ただし、比較例1のマスクブランク用基板10において、超精密研磨工程の条件は、次のとおりである。
比較例1のマスクブランク用基板10に対する超精密研磨工程は、次のようにして行った。すなわち、上述の両面研磨装置を使用し、精密研磨工程を終えた上記10枚のガラス基板に対し、以下の研磨条件で超精密研磨工程を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:水、コロイダルシリカ(平均粒子径D50:110nm)を含む研磨液。pH:10.5。
研磨パッド17は実施例1と同じものを使用した。上記超精密研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒(コロイダルシリカ)を除去するため、低濃度のケイフッ酸水溶液で洗浄後、純水によるリンスを行った。
<マスクブランク用基板10のパワースペクトル解析>
実施例1と同様に、比較例1のマスクブランク用基板10のガラス基板の表面状態を白色干渉計にて測定し、パワースペクトル解析を行った。白色干渉計により、測定領域2.8mm×2.1mm、ピクセル数640×480を測定したパワースペクトル解析を行った。その結果を図4に示す。同様に、測定領域693μm×520μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図5に、測定領域140μm×105μm(ピクセル数640×480)を測定したパワースペクトル解析の結果を図6に示す。
図4に示すように、比較例1のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数1.0×10−2μm−1におけるパワースペクトル密度が1.4×10nmであり、6.0×10nmより高かった。
図5に示すように、比較例1のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数5.0×10−2μm−1におけるパワースペクトル密度が8.1×10nmであり、3.0×10nmより高かった。
図6に示すように、比較例1のマスクブランク用基板10のパワースペクトル解析の結果、空間周波数2.0×10−1μm−1におけるパワースペクトル密度が1.6×10nmであり、8.0×10nmより高かった。
<欠陥検査>
実施例1と同様に、2光束干渉方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1320」)を使用して、上述のようにして製造された比較例1のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。比較例1のマスクブランク用基板10を2光束干渉方式の欠陥検査装置を使用して測定したときに、0度の欠陥検査の真欠陥検出個数は2個、疑似欠陥検出個数は1317個であった。また、90度の欠陥検査の真欠陥検出個数は2個、疑似欠陥検出個数は1067個であった。
次に、実施例1と同様に、空間フィルタ方式(検査光源波長488nm)の欠陥検査装置(レーザーテック社製「MAGICS M1350」)を使用して、上述のようにして製造された比較例1のマスクブランク用基板10主表面における132mm×132mmの領域を欠陥検査した。その結果、比較例1のマスクブランク用基板10を空間フィルタ方式の欠陥検査装置を使用して測定したときの真欠陥検出個数は5個、疑似欠陥検出個数は300個であった。
上述のように、2光束干渉方式の欠陥検査装置を用いた欠陥検査では、パワースペクトル解析による所定の空間周波数を有しない比較例1のマスクブランク用基板10において、疑似欠陥の検出個数が1317個(0度)及び1067個(90度)であり、実施例1〜4のマスクブランク用基板10と比べて桁違いに多かった。これに対して、パワースペクトル解析による所定の空間周波数を有する実施例1〜4のマスクブランク用基板10の場合には、疑似欠陥検出個数は最高でも34個(実施例4、90度)であった。したがって、パワースペクトル解析による所定の空間周波数を有するマスクブランク用基板10の場合には、各基板間で疑似欠陥の検出個数に顕著な差が生じることを抑制することができることが明らかとなった。
なお、空間フィルタ方式の欠陥検査装置を使用した場合の、比較例1の疑似欠陥の検出個数は、実施例1〜4と比べて最大でも6倍程度の相違だった。したがって、2光束干渉方式の欠陥検査装置を用いる場合には、実施例1〜4と、比較例1との疑似欠陥の検出個数の相違は、2光束干渉方式の欠陥検査装置を用いた場合と比べて、比較的小さいことが判明した。
[マスクブランク50の製造]
上述のようにして製造した実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク用基板10の薄膜が形成される側の主表面(一方の主表面)の表面形状を、表面形状解析装置(UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製))を用いて測定した(測定領域は、マスクブランク用基板10の中心を基準とした一辺が142mmの四角形の内側領域。以降、表面形状解析装置で測定している表面形状の測定領域は同じ。)。いずれのマスクブランク用基板10も、薄膜が形成される側の主表面(一方の主表面)の142mm四方の内側領域における平坦度は、0.2μm以下であり、表面形状は凸形状であった。
次に、実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク用基板10の主表面(一方の主表面)上に、遮光膜51をそれぞれ形成した。具体的には、マスクブランク用基板10の上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=13:87)を用い、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気(ガス圧 0.1Pa,ガス流量比 Ar:N=51:49)で、DC電源の電力を1.9kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、遮光膜51の下層であるMoSiN膜を47nmの厚さで形成した。続いて、同じモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲットを用い、アルゴンと窒素とヘリウムの混合ガス雰囲気(ガス圧 0.1Pa,ガス流量比 Ar:N:He=33:56:11)で、DC電源の電力を1.9kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、遮光膜51の上層であるMoSiN膜を13nmの厚さで形成した。
以上の工程により、実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク用基板10上にMoSiNからなる下層とMoSiNからなる上層の積層構造からなるArFエキシマレーザー(波長:193nm)用の遮光膜51をそれぞれ形成し、実施例1〜4及び比較例1の薄膜付基板を得た。なお、この遮光膜51は、ArFエキシマレーザーの露光光に対する光学濃度は3.0以上であった。
次に、実施例1〜4及び比較例1の薄膜付基板の遮光膜51(薄膜)の上に、クロム系材料からなるエッチングマスク膜52(CrN膜であり、膜厚が5nm。)を形成し、ガラス基板主表面上に遮光膜51とエッチングマスク膜52とが積層したマスクブランク50を製造した。このようにして実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク50を得ることができた。
[転写用マスク60の製造]
実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク50のエッチングマスク膜52上にレジスト膜をスピン塗布法によって形成した。次に、レジスト膜に所定のマスクパターンを描画露光し、現像処理等を行い、レジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクとし、エッチングガスにCl及びOの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、エッチングマスク膜52に所定のパターンを形成した。
続いて、レジスト膜を剥離し、所定のマスクパターンが形成されたエッチングマスク膜52をマスクとし、エッチングガスにSF及びHeの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、遮光膜51に所定のマスクパターンを形成した。さらに、エッチングガスにCl及びOの混合ガスを用いたドライエッチングを行い、エッチングマスク膜52を除去した。これらの工程により、ガラス基板主表面上に所定のマスクパターンが形成された遮光膜51を有する、実施例1〜4及び比較例1の転写用マスク60を作製した。
[半導体デバイスの製造]
次に、上述の実施例1〜4及び比較例1の転写用マスク60に対し、それぞれAIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。実施例1〜4の各転写用マスク60に対するシミュレーションの露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていることがわかった。これらの結果から、実施例1〜4の各転写用マスク60を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
一方、比較例1の転写用マスク60に対するシミュレーションの露光転写像を検証したところ、転写不良が複数個所で確認された。これは、マスクブランク用基板10、マスクブランク50、及び転写用マスク60における欠陥検査において、致命欠陥が疑似欠陥に埋もれて検出できなかったため、適正な描画補正、マスク修正が行われなかったことにより、転写用マスク60に致命欠陥が存在したことによるものである。この結果から、この比較例1の転写用マスク60を露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写した場合、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンに不良箇所が発生してしまうといえる。
10 マスクブランク用基板(基板)
12 太陽歯車
13 内歯歯車
14 キャリア
15 上定盤
16 下定盤
17 研磨パッド
17A 基材
17B ナップ層
18 ポア
50 マスクブランク(透過型マスクブランク)
51 遮光膜
51a 遮光膜パターン
52 エッチングマスク膜
60 転写用マスク(透過型マスク)

Claims (13)

  1. 2つの主表面を有する基板からなるマスクブランク用基板であって、
    前記マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側の前記主表面は、転写パターン形成領域内の前記主表面の表面形状を、白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とするマスクブランク用基板。
  2. 前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて693μm×520μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数5.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、3.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする請求項1記載のマスクブランク用基板。
  3. 前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて140μm×105μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数2.0×10−1μm−1のパワースペクトル密度が、8.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクブランク用基板。
  4. 前記転写パターンが形成される側とは異なる側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域と同じ大きさの領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク用基板。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面に、前記転写パターン形成用の薄膜が設けられていることを特徴とするマスクブランク。
  6. 請求項5に記載のマスクブランクの前記薄膜に前記転写パターンが設けられていることを特徴とする転写用マスク。
  7. 2つの主表面を有する基板からなるマスクブランク用基板の製造方法であって、
    前記マスクブランク用基板の転写パターンが形成される側であり、かつ転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、2光束干渉を用いる方式により欠陥検査を行う欠陥検査工程を備え、
    前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、白色干渉計を用いて2.8mm×2.1mmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数1.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、6.0×10nm以下となる表面形状を有する
    ことを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。
  8. 前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて693μm×520μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数5.0×10−2μm−1のパワースペクトル密度が、3.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする請求項7記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  9. 前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面は、前記転写パターン形成領域内の前記主表面に対し、前記白色干渉計を用いて140μm×105μmの測定領域を640×480のピクセル数の条件で測定した場合、その測定結果から算出される空間周波数2.0×10−1μm−1のパワースペクトル密度が、8.0×10nm以下となる表面形状を有することを特徴とする請求項7又は8に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  10. 前記欠陥検査工程の前に、研磨定盤の研磨パッド上を、研磨液を供給しつつ、前記基板を相対移動させることにより、前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面を研磨する研磨工程を備えることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  11. 前記研磨液は、平均粒子径D50が100nm以下であるコロイダルシリカを含むことを特徴とする請求項10記載のマスクブランク用基板の製造方法。
  12. 請求項7から11のいずれかに記載の前記マスクブランク用基板の製造方法で製造された前記マスクブランク用基板の前記転写パターンが形成される側の前記主表面に、パターン形成用の薄膜を設ける工程を備えていることを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  13. 請求項12記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの前記薄膜に前記転写パターンを形成する工程を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法。
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