JP5765627B2 - 耐久性に優れる被覆工具およびその製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、特許文献7のように中間皮膜を設けることは、密着性を確保するには有効である。しかし、工具の使用環境によっては、密着性を確保するための中間皮膜を設けたとしても、アークイオンプレーティング法で成膜した皮膜内部に存在するドロップレットや、スパッタリング法で成膜した皮膜内部に含有され易い空隙等の皮膜内部の欠陥が起点となって、破壊や損傷が突発的に発生する場合があるという課題があった。
硬質皮膜は、Siを含有することが好ましい。さらに、前記硬質皮膜は、Tiを含有することが好ましい。
硬質皮膜の断面組織は基材表面に対して垂直方向に成長した柱状粒子の集合からなり、該柱状粒子の平均幅が0.3μm以下であることが好ましい。
第2硬質皮膜の断面組織は基材表面に対して垂直方向に成長した柱状粒子の集合からなり、該柱状粒子の平均幅が0.3μm以下であることが好ましい。
さらに、硬質皮膜の被覆では、組成の異なる2種類のAlCr系ターゲットを用いて、中間皮膜直上の第1硬質皮膜と、該第1硬質皮膜直上の第2硬質皮膜を形成することが好ましい。そして、第2硬質皮膜の被覆では、金属成分としてSiを含んだAlCr系ターゲットを用いることが好ましい。
さらに、基材に印加する負圧のバイアス電圧を、−120V〜−140Vとすることが好ましい。
TiまたはTiの窒化物、炭化物、炭窒化物の皮膜はいずれも鋼や超硬合金との親和性および密着性に極めて優れ、且つ、AlCr系皮膜との密着性にも優れる。そのため、これらを、基材とAlCr系の窒化物または炭窒化物との間に設ける中間皮膜として最適である。
本発明の中間皮膜は、TiまたはTiの窒化物、炭化物、炭窒化物のいずれであっても良いが、中でもTiの窒化物は耐熱性に優れ、窒素を含有する硬質皮膜との密着性にも優れているので好ましい。
中間皮膜の膜厚は3nm以上および/または30nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、5nm以上および/20nm以下である。
本発明の中間皮膜の膜厚は、透過型電子顕微鏡による観察により評価することができる。さらに、マッピング等の組成分析を行うことで、基材と中間皮膜と硬質皮膜とのそれぞれの界面が明確となり、中間皮膜の膜厚をより正確に測定することができる。
中間皮膜の結晶粒子の平均幅の測定は、透過型電子顕微鏡を用いて、膜厚方向に対して垂直方向にある結晶粒子の幅から測定する。観測時の電子線の入射方向によって、結晶粒子の見え方が異なり、格子像の連続性およびコントラストの違いとして個々の結晶粒子を識別することができる。しかし、観察倍率が低いと、個々の結晶粒子を識別して結晶粒子の幅を正確に測定するのが困難となる。そのため、観察倍率は、格子像の連続性およびコントラストの差異を明確に確認できる倍率である、400万倍程度とする。そして、連続する50個以上の結晶粒子を測定することで、それらの測定値の平均値が収束していくことを確認したので、連続する50個の結晶粒子から中間皮膜の結晶粒子の平均幅を求めた。
ここで、本発明において、AlCr系の窒化物または炭窒化物は、金属成分の内、AlとCrの合計が原子%で70原子%以上の皮膜をいう。高い耐熱性と耐摩耗性が両立できるように、金属成分の内、AlとCrの合計が原子%で80%以上であることが好ましい。また、耐熱性が優れるAl含有量がCr含有量よりも多いほうが好ましい。
本発明の硬質皮膜の膜厚は1〜10μmであることが好ましい。薄すぎると耐久性が低下する。厚すぎると破壊が発生し易くなる。そして、基材との密着強度、表面の平滑性も考慮すれば、2μm以上および/または5μm以下がより好ましい。
硬質皮膜は、金属成分としてTiを含むことで、硬質皮膜の硬度が向上するため、工具の耐摩耗性が向上して好ましい。
硬質皮膜の柱状粒子の平均幅がこれよりも大きくなると、高負荷がかかる苛酷な使用環境下では、硬質皮膜の粒子の脱落が発生し易くなり、工具寿命が短くなる。
硬質皮膜の柱状粒子の幅は、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による断面観察から測定することができる。測定箇所は、皮膜表面から深さが0.5μmの位置とした。そして、連続する50個以上の柱状粒子の幅を観察することで、それらの幅の平均値が収束していくことを確認したので、連続する50個の柱状粒子から硬質皮膜の柱状粒子の平均幅を求めた。
この時、中間皮膜の直上の第1硬質皮膜は、金属成分の組成が(AlXCrYTiZ)[但し、原子%で、X+Y+Z=100、50<X<75、20≦Y<50、0<Z≦10]の窒化物または炭窒化物であることが好ましい。
AlCr系の窒化物または炭窒化物として、一定以上の耐摩耗性と耐熱性を両立させるためには、Alの含有量を50<X<75、Crの含有量を20≦Y<50とする。
Alの含有量がこれよりも少ないと耐熱性が低下する傾向にあり、これよりも多くなると耐摩耗性が低下する傾向にある。より好ましくは原子%で、55以上および/または70以下である。
Crの含有量が20≦Y<50の範囲を外れると耐摩耗性が低下する傾向にある。
そして、中間皮膜の直上の第1硬質皮膜では、Tiを10原子%以下含有することで、Tiを含む中間皮膜との密着性がより向上する。さらに、Tiを含有することで耐摩耗性もより高まる。これよりも多くなると、耐熱性が低下し易くなる。
AlCr系の窒化物または炭窒化物として、一定以上の耐摩耗性と耐熱性を両立させるために、第2硬質皮膜も、Alの含有量を50<X<75、Crの含有量を20≦Y<50とする。より好ましくは原子%で、55以上および/または70以下である。
そして、Siを10原子%以下含有することで、結晶粒子が微細化され硬質皮膜の硬度が向上するので、工具の耐摩耗性が向上する。そして、個々の結晶粒子が微細化されるので、結晶粒子の脱落による皮膜損傷が発生し難くなる。これよりも多くなると、硬質皮膜の靭性が低下する。表面側の硬質皮膜では、耐摩耗性と靭性が高いレベルで両立していることが好ましく、そのためには、Siの含有量は8原子%以下であることが好ましい。さらには、5原子%以下であることがより好ましい。
第2硬質皮膜は、耐摩耗性をより向上させるために、金属成分としてTiを10原子%以下含むことが好ましい。これよりも多くなると皮膜全体の耐熱性が低下する。より好ましくは5原子%以下である。
本発明者は、これらの配向強度が一定の関係にあるとき、硬質皮膜はより緻密で高硬度となり、工具の耐久性がより向上することを見出した。つまり、本発明の硬質皮膜の(111)の回折強度をI(111)、(200)の回折強度をI(200)、(220)の回折強度をI(220)としたとき、配向強度をI(111)>I(220)>I(200)とし、かつ、I(111)/I(220)>2.0とすることが好ましい。
これらの好ましい配向は、皮膜組成や成膜条件を調整することで得られる。特に、配向強度比の関係は成膜条件の影響を受けやすい傾向にある。
本発明例の中でも好ましい配向にするには、ターゲットへ投入する最大電力を制御して、中間皮膜の結晶粒子の平均幅を10nmより小さくすることが好ましい。より好ましくは5nm以下である。そして、硬質皮膜を第1硬質皮膜と第2硬質皮膜とで構成し、それぞれの成膜で、基材に印加する負圧のバイアス電圧を−120Vより大きくすることで得られ易い。より好ましくは−140Vである。
そして、上記の好ましい成膜条件であっても、第1硬質皮膜および第2硬質皮膜のAlの含有量をそれぞれ55原子%以上とし、さらに、それぞれの皮膜でTiおよび/またはSiを含有することが好ましい。
ターゲットへの投入電力を高くするためには、瞬間的に極めて高い電力を印加することができる、HPPMS(ハイパワーパルスマグネトロンスパッタ法)を使用することができる。
HPPMSを使用する場合、ターゲット表面での異常放電が発生し易くなる。そこで、平均出力を2kW程度として、20μs程度の極短時間の間でのみ高い電力を瞬間的に投入し、さらに、ターゲットへ投入する直流電流をパルス状に周期変化させることで異常放電を抑制することが好ましい。
そして、硬質皮膜の被覆では、AlCr系ターゲットを用いたスパッタリング法により、基材に印加する負圧のバイアス電圧を100〜140Vとする手法を用いることで、硬質皮膜が微細で緻密となり、AlCr系の窒化物または炭窒化物の硬度を30GPa以上にすることができる。
さらに、硬質皮膜の被覆では、組成の異なる2種類のAlCr系ターゲットを用いて、中間皮膜直上の第1硬質皮膜と、該第1硬質皮膜直上の第2硬質皮膜を形成することで、単層の硬質皮膜よりも密着性および耐摩耗性と耐熱性をより高めることができるので好ましい。そして、第2硬質皮膜の被覆では、金属成分としてSiを含有したAlCr系ターゲットを用いることで、皮膜表面の組織が微細化して耐摩耗性が向上し、さらに粒子の脱落も抑制され易いので好ましい。
中間皮膜用のスパッタ電源(カソード1)は、Tiターゲットを設置した。
第1硬質皮膜用のスパッタ電源(カソード2、3)には、Al65Cr35ターゲット
を2機設置した(化学式は原子による比率、以下同様)。
第2硬質皮膜用のスパッタ電源(カソード4、5)には、Al55Cr43Si2ターゲットを2機設置した。
なお、スパッタターゲットのサイズは縦500mm、横88mmである。
そして、バイアス電圧を−100V、アノード電圧を−90Vに設定し、カソード1にパルス状に電力を供給して、中間皮膜を被覆した。続いて、カソード2、3にそれぞれ4kWのスパッタ電力を供給して、第1硬質皮膜を被覆した。
続いて、カソード1の電力供給を停止させ、そして、カソード2の電力供給を継続した状態で、カソード4、5に夫々4kWのスパッタ電源を供給して、60分間保持し、第2硬質皮膜を被覆した。
なお、試料番号7では、パルスモジュラーを使用せずに通常のスパッタリング法で中間皮膜を被覆した。
続いて、一定流量のArガス295ml、Krガス200mlに変更し、容器内の圧力が580mPaになるようにN2ガスを導入した。第1硬質皮膜と第2硬質皮膜の成膜条件は上記の窒化物を被覆する場合と同じである。
まず、試料を切断し、エポキシ樹脂を用いてダミー基板を接着し、切断、Mo製補強リング接着、研磨、ディンプリング、Arイオンミーリングを行い断面TEM試料を作成した。最後にカーボン蒸着を施した。設備は日本電子株式会社製JEM−2010F型電界放射型透過電子顕微鏡を用い加速電圧を200kVとした。
図1に、試料番号2の硬質皮膜の柱状粒子の平均幅の測定事例を示す。硬質皮膜の柱状粒子の幅は、皮膜表面から深さ方向に0.5μmの位置に、基材表面に対して平行に直線を引いた時に接する柱状粒子の幅を測定した。50個の柱状粒子を測定して硬質皮膜の柱状粒子の平均幅とした。他の試料も同様の要領で測定した。
図4に、試料番号6の中間皮膜の観察写真の事例を示す。図5にはその模式図を示す。
他の試料も同様の要領で測定した。
図6に、本発明例である試料番号2のXRDプロファイルを示す。最も強い強度面は(200)、次いで(220)、(111)となっていることが確認される。
なお、同一条件で成膜したし試験片とボールエンドミルが同一の皮膜特性であることは確認済みである。
被削材:マルテンサイト系ステンレス鋼(HRC52)
工具回転数:20000回転/分
テーブル送り量:4000m/分
切り込み深さ:軸方向0.4mm、ピックフィード0.2
mm
加工方法:ドライ切削
寿命判定:最大摩耗幅が0.1mmに達するまでの切削長、但し10m未満切り捨て
比較例である試料番号3は、中間皮膜の膜厚が厚く、密着性が不十分で工具寿命が短くなった。
比較例である試料番号7、8は、中間皮膜の結晶粒子幅が十分に微細化されず、その直上で成長する硬質皮膜が緻密化せず密着性も悪いため、工具寿命が短くなった。
比較例である試料番号12は、硬質皮膜の被覆時に印加する負圧のバイアス電圧が低いため、硬質皮膜の柱状粒子が粗大で緻密化せず、皮膜強度が低く工具寿命が短くなった。
比較例である試料番号13は、中間皮膜を設けないため基材との密着性が極めて悪い。さらに、硬質皮膜の柱状粒子が粗大で、緻密化せず、切削初期で皮膜剥離が発生した。
試料番号2、7、13の組織形態を比較すると、中間皮膜の形態によって、その直上で成長する硬質皮膜の形態が変化していることが確認される。
本発明例である試料番号2では、硬質皮膜が緻密且つ微粒で、中間皮膜との界面および硬質皮膜中に空隙は見当たらない。一方、中間皮膜の結晶粒子幅が大きい試料番号7では、中間皮膜との界面から空隙が多く、硬質皮膜の柱状粒子が粗大化している。特に、中間皮膜が無い使用番号13では、空隙が多く柱状粒子の粗大化が著しい。
本発明例ではTiを主成分とする中間皮膜の直下、つまり基材表面側で母材中の炭素が外向拡散していることが確認される。一方、比較例ではTiを主成分とする中間皮膜を含むものの、炭素の外向拡散は確認できなかった。
本発明の製造方法で成膜した試料番号2では、中間皮膜を成膜する時のエネルギーが高いので、基材に含まれる炭素が外向拡散により界面で炭化物を成形し易く、該基材の表面近傍に炭素が濃化した領域を形成できることがわかる。
特に、硬質皮膜の柱状粒子の平均幅と、配向強度が好ましい条件を満たす試料番号15、17、18、19、22、23、24、27、28では切削距離が600m以上と極めて優れた工具寿命を示した。
そして、最後に仕上げ加工(ダイヤモンドペーストによる磨き+ヤマシタワークス社製のエアロラップ装置AERO LAP YT−300によるエアロラップ処理)を行うことで最終形状に整えた金型の作業面に、実施例1で評価した本発明例である試料番号2と、比較例である試料番号7の皮膜を被覆した。
そして、本発明皮膜の優れた耐摩耗性、耐酸化性、密着性を考慮すると、使用条件によっては、鉄系に限らず、Ni基合金、チタニウム、アルミニウム、ならびにそれらの合金の加工に使用される切削工具や塑性加工用金型、溶融金属に接して使用されるダイカストおよび鋳造に使用される金型、もしくは鋳抜きピンや、ダイカストの射出機に使用されるピストンリング等の鋳造用部材としても、転用が可能である。
Claims (16)
- 基材表面に皮膜を被覆した被覆工具であり、該皮膜は、硬度が30GPa以上であるAlCr系の窒化物または炭窒化物の硬質皮膜と、該硬質皮膜と基材との界面にある中間皮膜からなり、該中間皮膜は、膜厚が2〜40nm、結晶粒子の平均幅が40nm以下のTiまたはTiの窒化物、炭化物、炭窒化物の何れかからなることを特徴とする耐久性に優れる被覆工具。
- 中間皮膜は、Tiの窒化物であることを特徴とする請求項1に記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 硬質皮膜は、金属成分としてSiを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 硬質皮膜は、金属成分としてTiを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 硬質皮膜の断面組織は、基材表面に対して垂直方向に成長した柱状粒子の集合からなり、該柱状粒子の平均幅が0.3μm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 硬質皮膜は、中間皮膜直上の第1硬質皮膜と、該第1硬質皮膜直上の第2硬質皮膜からなり、該第1硬質皮膜は、金属成分の組成が(AlXCrYTiZ)[但し、原子%で、X+Y+Z=100、50<X<75、20≦Y<50、0<Z≦10]の窒化物または炭窒化物、該第2硬質皮膜は、金属成分の組成が(AlUCrVSiW)[但し、原子%でU+V+W=100、50<U<75、20≦V<50、0<W≦10]の窒化物または炭窒化物であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 第1硬質皮膜は、金属成分としてSiを10原子%以下含むことを特徴とする請求項6に記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 第2硬質皮膜は、金属成分としてTiを10原子%以下含むことを特徴とする請求項6または7に記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 第2硬質皮膜の断面組織は、基材表面に対して垂直方向に成長した柱状粒子の集合からなり、該柱状粒子の平均幅が0.3μm以下であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 硬質皮膜は、表面からのX線回折で立方晶B1構造の結晶構造を示し、その面指数のうち(111)に最大強度を示し、(111)の回折強度をI(111)、(200)の回折強度をI(200)、(220)の回折強度をI(220)としたとき、I(111)>I(220)>I(200)を満たし、かつI(111)/I(220)>2.0を満足することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 立方晶B1構造の格子定数が0.414nmより大きいことを特徴とする請求項10に記載の耐久性に優れる被覆工具。
- 基材表面に皮膜を被覆する被覆工具の製造方法であって、基材直上に、カソードの最大出力を0.1〜0.2MWでTiターゲットを用いたスパッタリング法により、膜厚が2〜40nm、結晶粒子の平均幅が40nm以下のTiまたはTiの窒化物、炭化物、炭窒化物の何れかからなる中間皮膜を形成し、次いで、該中間皮膜の直上に、基材に印加する負圧のバイアス電圧を−100〜−140Vで、AlCr系ターゲットを用いたスパッタリング法により、AlCr系の窒化物または炭窒化物からなる硬質皮膜を被覆することを特徴とする耐久性に優れる被覆工具の製造方法。
- 中間皮膜の被覆では、Tiの窒化物を形成すること特徴とする請求項12に記載の耐久性に優れる被覆工具の製造方法。
- 硬質皮膜の被覆では、組成の異なる2種類のAlCr系ターゲットを用いて、中間皮膜直上の第1硬質皮膜と、該第1硬質皮膜直上の第2硬質皮膜を形成することを特徴とする請求項12または13に記載の耐久性に優れる被覆工具の製造方法。
- 第2硬質皮膜の被覆では、金属成分としてSiを含んだAlCr系ターゲットを用いることを特徴とする請求項14に記載の耐久性に優れる被覆工具の製造方法。
- 硬質皮膜の被覆では、基材に印加する負圧のバイアス電圧を−120V〜−140Vとすることを特徴とする請求項12ないし15のいずれかに記載の耐久性に優れる被覆工具の製造方法。
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