JP5760415B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Description

本発明は、発光層に濃度勾配を掛け、発光層を厚くした有機EL素子に関する。
本発明の有機EL素子は、大面積パネル化の性能均一性が非常に高い。特に白色素子における色安定性が非常に良好な素子を簡便に得られるものである。
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、ELDと略記する)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子ともいう)や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)が挙げられる。無機EL素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、従来実用に供されてきた主要な光源、例えば、発光ダイオードや冷陰極管と異なり、面光源であることも大きな特徴である。この特性を有効に活用できる用途として、照明用光源や様々なディスプレイのバックライトがある。特に近年、需要の増加が著しい液晶フルカラーディスプレイのバックライトとして用いることも好適である。
更に近年では、環境意識の高まりから低消費電力の観点から照明用途の有機EL素子としては、量子効率の高い燐光タイプが望まれている。しかしながら現状では、燐光の青材料は非常にTが大きく高電圧駆動・短寿命である等の課題がある。
一方有機エレクトロルミネッセンス素子をこのような照明用光源、或いはディスプレイのバックライトとして用いる場合には、白色、若しくは、所謂電球色(以下、総合して白色と称す)を呈する光源として用いることになる。有機エレクトロルミネッセンス素子で白色発光を得るには、一つの素子中に発光波長の異なる複数の発光ドーパントを調整し、混色により白色を得る方法、多色の発光画素、例えば、青・緑・赤の三色を塗りわけ同時に発光させ、混色して白色を得る方法、色変換色素を用いて白色を得る方法(例えば、青発光材料と色変換蛍光色素の組み合わせ)などがある。
しかしながら、低コスト、高生産性、簡便な駆動方法など、照明用光源、バックライトに求められる様々な要求から判断すると、一つの素子中に発光波長の異なる複数の発光ドーパントを調整し、混色により白色を得る方法がこれらの用途には有効であり、近年、研究開発が意欲的に進められている。
上述の方法により白色光を得る方法について更に詳細に述べれば、素子中に補色の関係にある二色の発光ドーパント、例えば、青色発光ドーパントと黄色発光ドーパントを用い混色して白色を得る方法、青・緑・赤の三色の発光ドーパントを用い、混色して白色を得る方法が挙げられる。
例えば、効率の高い青、緑、赤の三色の蛍光体を発光材料としてドープすることによって、白色の有機エレクトロルミネッセンス素子を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
また、白色発光を呈する有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光色の異なる層を各々別個の層にするのではなく、2色以上の発光ドーパントを1層中に共存させ、高発光エネルギーの発光ドーパントから相対的に効率の低い発光ドーパントへのエネルギー移動により、多色を発光させる方式がある。この方式は、有機層数を削減できること、また発光ドーパントの使用量を減少できることから、白色発光の有機EL素子を得るにあたり有力な方法の一つである。例えば、特許文献3には、陽極から赤色発光層及び青色発光層が順次設けられてなり、かつ赤色発光層は少なくとも一つの緑色発光ドーパントを含有することを特徴とする有機電界発光素子が開示されている。
ところで、近年、蛍光材料に対し、より高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる燐光発光ドーパントの開発が精力的に進められている(例えば、特許文献4、非特許文献1、2参照。)。従来の蛍光材料からの発光は、励起一重項からの発光であり、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため、発光性励起種の生成確率は25%であるのに対し、励起三重項からの発光を利用する燐光発光ドーパントの場合には、励起子生成比率と一重項励起子から三重項励起子への内部変換により、内部量子効率の上限が100%となるため、蛍光発光ドーパントの場合に比べ、原理的に発光効率が最大4倍となる。
しかしながら、燐光発光ドーパントを用いて、2色以上の発光ドーパントを1層に共存させ、高発光エネルギーの発光ドーパントから相対的に効率の低いドーパントにエネルギー移動により多色を発光させることにより、白色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ようとした場合、発光色の異なる複数層を積層して白色を得る場合に比し比較的色度の駆動条件、環境に対する安定性を確保するのが容易ではあるが、駆動条件やデバイスの駆動経時、或いは保存経時に対する色度の安定性が必ずしも十分なレベルにはないことが判ってきた。とりわけ照明用光源用途においては、発光色の安定性に対する要求は厳しく、有機エレクトロルミネッセンス素子を照明光源用途に実用化するには、如何に色度の安定性を確保するかが重要な課題となっている。
例えば、特許文献5には、発光層中で発光材濃度を変化させることで電荷移動を容易とし低電圧化、高発光効率化する手法が開示されている、また特許文献6にも同様の手法が開示されているが、青色に発光する燐光発光材料を使用した白色素子での構成例は開示されておらず、特に色度安定性に関する記載もない。特許文献7には、青燐光ドーパントの濃度勾配記載はあるが、白色素子、及び白色素子における色度安定性についての記載は全くなく、燐光発光材料のHOMO準位との関係についても記載はない。
特開平6−207170号公報 特開2004−235168号公報 国際公開第2004/077886号パンフレット 米国特許第6,097,147号明細書 特許第3786023号公報 特許第4181795号公報 特表2010−515255号公報
M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154頁(1998年) M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、一つは燐光発光層への注入を改善し、低電圧駆動を実現する事、もう一つは発光波長の異なる複数の燐光発光ドーパントを有し、白色発光を呈する有機エレクトロルミネッセンス素子において、ドーパント濃度の変動に対する性能安定性に優れた白色燐光発光有機エレクトロルミネッセンス素子と、それを用いた照明装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも陽極及び陰極からなる一対の電極と前記電極間に配置された発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
該発光層に
(A)発光のλmaxが300〜480nmにある少なくとも1種の燐光発光ドーパントを含有し、
(B)該ドーパントは、下記一般式(A)〜(D)から選ばれる少なくとも1つの部分構造を有し、
(C)該発光層は少なくともホスト化合物と該燐光発光ドーパントを含有し、発光層内での該燐光発光ドーパントの濃度は膜厚方向において一定ではなく、該陽極側端部において高濃度になっており、かつ、該陽極側端部において35質量%以上、100質量%未満であり、
(D)該発光層の膜厚が、70nm以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005760415
〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
Figure 0005760415
〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rc、Rb 、Rc は各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
Figure 0005760415
〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
Figure 0005760415
〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
.前記発光層の陽極側の界面から厚みで20nm部分を除外した部分の、前記燐光発光ドーパントの平均の濃度が5〜30質量%であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記燐光発光ドーパントの最高電子占有準位が5.3eVより浅いことを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記発光層のホスト化合物の最高電子占有準位が前記燐光発光ドーパントより0.2eV以上深いことを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.発光色が、CIE1931表色系において規定される各色温度での黒体輻射線上からy値乖離で0.1以下であることを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記電極の少なくとも一方が銀ナノ粒子または銀ナノワイヤを含有してなる透明電極であることを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記電極の少なくとも一方が外径3.5nm未満のカーボンナノチューブを含有してなる透明電極であることを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明により、燐光発光層への注入を改善し、低電圧駆動を実現でき、更に白色発光を呈する有機エレクトロルミネッセンス素子において、ドーパント濃度の変動に対する性能安定性に優れた白色燐光発光有機エレクトロルミネッセンス素子と、それを用いた照明装置を提供することができた。
本発明の有機EL素子を組み込んだ照明装置の一例を示す概略図である。 本発明の有機EL素子を組み込んだ照明装置の一例を示す断面図である。
以下、本発明の白色燐光発光有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、本発明の有機EL素子ともいう)の各構成要素の詳細について、順次説明する。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の白色色度》
本発明における白色素子としての好ましい色度は、相関色温度が2500K〜7000K、かつCIE1931表色系において、各色温度での黒体輻射線上からy値乖離が0.1以下である。
本発明の有機EL素子や該素子に係る化合物の発光色は、例えば「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果を、CIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
《有機EL素子の層構成》
次に、本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
本発明の有機EL素子においては、発光層ユニットは、本発明で規定する要件を満たす構成を有する発光層を少なくとも1層有していれば、何層でもよいが、好ましくは本発明の規定を満たす要件を有する発光層1層のみからなるものである。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。本発明に係る発光層は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
発光層の膜厚の総和は、従来に比べ厚い事が特徴である。本発明の発光層は、後述する発光ドーパントの最高電子占有準位設計と大胆なドーパント濃度傾斜構造とにより注入特性を高め、キャリア移動度を良好に設計する事により、低電圧駆動を確保し、従来に比べ厚い発光層設計を実現する事が可能とし、高性能と高安定性を両立させたことが特徴である。本発明の発光層の膜厚は少なくとも70nm以上であり、好ましくは80nm以上、より好ましくは100nm以上500nm未満である。
発光層を形成する方法としては、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。
本発明においては、発光層中に、発光λmaxが300nm〜480nmにある少なくとも1種の燐光発光ドーパントを含有し、該ドーパントは、前記一般式(A)〜(D)から選ばれる少なくとも1つの部分構造を有し、該発光層は少なくともホスト化合物と該燐光発光ドーパントを含有し、該発光層内での該燐光発光ドーパントの濃度は一定ではないことを特徴とし、更に前記燐光発光ドーパントが前記発光層の陽極側において高濃度に含有されており、中央又は陰極側へ向けて低濃度となるように濃度分布をもって含有されていることを特徴とする。
本発明の有機EL素子においては、発光層は二層以上有していてもよいが、前記記載の発光層一層のみからなることが好ましい。
本発明の白色素子においては、発光層は複数のリン光発光ドーパントを有しているが、少なくとも、発光λmaxが300nm〜480nmの波長域にある燐光発光ドーパント(燐光発光ドーパントA)及び発光λmaxが580nm以上の波長域にある燐光発光ドーパント(燐光発光ドーパントB)を有している。
前記燐光発光ドーパントA及びBを含有する発光層には、更に500nm以上580nm未満の波長域に最大発光強度を有する少なくとも一種の燐光発光ドーパントCを有することが、演色性を高める上で好ましい。該発光層における、燐光発光ドーパントAと燐光発光ドーパントBないしCとのモル濃度比率は、燐光発光ドーパントAが燐光発光ドーパントBまたはCの10倍以上であることが好適な白色発光を得る上で好ましい。
次に、前記発光λmaxが300nm〜480nmにある燐光発光ドーパントAの前記発光層内における濃度分布について説明する。
本発明においては、燐光発光ドーパントAは、前記発光層の陽極側において高濃度に含有されることが好ましく、中央から陰極側へ向けて低濃度となるように濃度分布をもって存在する。発光層の陽極側端部から発光層中央部までの部分の燐光発光ドーパントAの平均含有量が、陰極側端部から発光層中央部までの平均含有量より多ければよいが、好ましくは陽極側端部が最も高濃度で、陽極側端部から陰極側端部へかけて単調に減少していくのが好ましい態様である。単調に減少するとは、陽極側から陰極に向けて発光ドーパントAの濃度が増える領域が存在しないことをいい、一定に減少しても良いし、減少係数が変動しても良いし、有る領域は一定であっても良く何れも良好な態様である。
本発明において、キャリアの注入に影響する領域は発光層の陽極及び陰極界面から20nm以内の領域と考えるが、より厳密には各10nmの領域の濃度を高め、且つコントロールすることが重要である。
該発光層における陽極側端部の燐光発光ドーパントAの含有量としては、35質量%以上、100質量%未満であることが好ましい。より好ましくは40質量%以上、90質量%未満、特に好ましくは50質量%以上、80質量%未満である。35質量%未満であると電力効率が低下し、また駆動経時における色度安定性も劣る傾向にある。100質量%であると、膜質がやや悪く接着性、デバイスの保存経時がやや劣る傾向にある。
一方端部から20nm部分を除いた発光層の燐光発光ドーパント濃度は、5〜30質量%である事が好ましく、より好ましくは10〜25質量%である。この領域に発光中心をもってくる事により、非常に良好な性能を得られる。
本発明の構成の発光層により、電力効率に優れ、かつ色度の対駆動電圧、対駆動経時、また対デバイス保存での安定性に優れた白色燐光発光有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。本発明の効果をもたらす作用機構については、必ずしも解明されている訳ではなく、推測の域を出ないが、燐光発光層、特に青発光を呈する燐光発光層はエネルギーギャップが大きく、電子または正孔等の電荷の発光層への注入に大きな障壁があることが予想される。本発明の構成はこの電荷の発光層への注入を改善しているものと期待されるが、どのような材料との組み合わせにおいても本発明の効果が得られるわけではなく、特に本発明の燐光発光ドーパントA、更にはホスト化合物との組み合わせにおいて顕著な効果が得られることを見出した。
例えば、特許第3786023号には、発光層中で発光材濃度を変化させることで電荷移動を容易とし低電圧化、高発光効率化する手法が開示されている、また特許第4181795号にも同様の手法が開示されているが、青色に発光する燐光発光材料を使用した白色素子での構成例は開示されておらず、特に色度安定性に関する本発明の効果を予見できるものではない。更には、本発明の燐光材料との組み合わせにおける格段の効果を予見できるものではない。特表2010−515255号公報には、青燐光ドーパントの濃度勾配記載はあるが、白色素子、及び白色素子における色度安定性についての記載はなく、また本発明における燐光発光材料のHOMO準位との関係における格段の効果を予見できるものではない。
〈ドーパント分布測定法記載〉
ドーパントの深さ方向の分布を計測する方法はいくつかあるが、特定の元素がある場合、動的二次イオン質量分析法が好ましい。D−SIMSは膜内の元素の量を高感度で分析可能でかつ深さ方向の元素の濃度変化を追うことができる。二次イオン質量分析法については、例えば、日本表面科学会「二次イオン質量分析法(表面科学技術選書)」(丸善)等を参考にすることができる。
動的二次イオン質量分析法は、10−8Pa程度の高真空下で一次イオンと呼ばれるイオンビームを試料表面に照射しスパッタリングを行う。それにより放出された構成粒子の中で二次イオンを質量分析することにより表面に存在する元素を分析する方法である。表面をスパッタし、削り取っていくので破壊分析ではあるが、表面からμm以上の深さまでの元素の濃度変化を分析することが可能である。
一次イオンとしては、例えばCs、O 等の金属イオン種が好ましいが、どのイオン種を用いるのが好ましいかは測定対象元素によって使い分けられる。
化合物そのものを計測したい場合は飛行時間型二次イオン質量分析(ToF−SIMS)法が好ましい。この場合、有機層をななめに削り取り、削り取った斜め断面部分について、化合物から得られるフラグメントイオンの分布を計測することにより、ドーパント化合物の深さ方向の分布を知ることができる。斜めに削る方法としては電子顕微鏡の試料作製に用いるウルトラミクロトームを用いる方法、ダイプラウインテス製サイカスNN型などの精密斜め切削装置を用いる方法が挙げられる。ToF−SIMS法については、例えば、日本表面科学会「二次イオン質量分析法(表面科学技術選書)」(丸善)等を参考にすることができる。ToF−SIMS法は、10−8Pa程度の高真空下で一次イオンと呼ばれるイオンビームを試料表面に照射しスパッタリングを行う。一次イオンビームを非常に低電流とし、かつパルス状にすることにより、非常に穏やかなスパッタリングがおこり、それにより放出された二次イオンを質量分析することにより表面に存在する化合物分析する方法である。一次イオンを走査しながら測定することにより、スパッタリングで放出された二次イオンの分布を計測することができる。一次イオンとしては、例えばGa、In、Bi、Au金属イオン種やそのクラスターイオンが好ましいが、どのイオン種を用いるのが好ましいかは測定対象元素によって使い分けられる。
例えば、蒸着法により形成するとき、発光ドーパントの濃度勾配は他の共蒸着成分との蒸着比をかえることで形成するが、形成後、上記の方法により深さ方向のスパッタリングを行うことで深さ方向の分布を測定することができる。
〔ホスト化合物〕
次に、発光層に含まれるホスト化合物、発光ドーパント(発光ホスト化合物、発光ドーパント化合物ともいう)について説明する。
本発明の有機EL素子の発光層に含まれるホスト化合物とは、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が、0.1未満の化合物であることが好ましく、更に好ましくは燐光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20質量%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、ホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。
本発明に用いられる発光ホスト化合物としては、構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、または、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
本発明に係る発光層に用いられる発光ホスト化合物としては、前記一般式(a)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005760415
式中、Xは、NR′、O、S、CR′R″またはSiR′R″を表す。R′、R″は、各々水素原子または置換基を表す。Arは芳香族環を表す。nは0から8の整数を表す。
一般式(a)におけるXにおいて、R′、R″で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(a)において、好ましいXはNR′またはOであり、R′としては芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が特に好ましい。
一般式(a)において、Arで表される芳香族環としては、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が挙げられる。また、該芳香族環は単環でもよく、縮合環でもよく、更に未置換でも、後述するような置換基を有していてもよい。
一般式(a)において、Arで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
一般式(a)において、Arで表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
上記の中でも、一般式(a)において、Arで表される芳香族環として好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、特に好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環である。上記の中でも、置換基を有するベンゼン環が好ましく、特に好ましくは、カルバゾリル基を有するベンゼン環が好ましい。
また、一般式(a)において、Arで表される芳香族環としては、下記に示すような、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様であり、3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。尚、これらの環は更に、置換基を有していてもよい。
また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。尚、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
ここで、一般式(a)において、Arで表される芳香族環が有してもよい置換基は、R′、R″で、各々表される置換基と同義である。
また、一般式(a)において、nは0〜8の整数を表すが、0〜2であることが好ましく、特にXがO、Sである場合には1または2であることが好ましい。
以下に、一般式(a)で表される発光ホスト化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005760415
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また、本発明に用いるホスト化合物は、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ、発光の長波長化を防ぎ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
従来公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が好適である。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
本発明においては、複数の発光層を有する場合には、ホスト化合物は発光層ごとに異なっていてもよいが、同一の化合物であることが優れた駆動寿命特性が得られることから好ましい。
また、前記ホスト化合物は、その最低励起3重項エネルギー(T1)が、2.7eVより大きいことがより高い発光効率を得られることから好ましい。本発明でいう最低励起3重項エネルギーとは、ホスト化合物を溶媒に溶解し、液体窒素温度において観測した燐光発光スペクトルの最低振動バンド間遷移に対応する発光バンドのピークエネルギーを言う。
本発明においては、ガラス転移点が90℃以上の化合物が好ましく、更には130℃以上の化合物が優れた駆動寿命特性を得られることから好ましい。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
本発明の有機EL素子においては、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は、一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は、正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすい為、中間層材料、ホスト材料は、移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
また本発明の発光層のホスト化合物の最高電子占有準位は後述の燐光発光ドーパントより0.2eV以上深い事が好ましく、より好ましくは0.4eV以上深い事が好ましい。この電位差により効率良く注入と発光を両立する事が可能となる。
〔発光ドーパント〕
次いで、本発明に係る発光ドーパントについて説明する。
本発明に係る発光ドーパントとしては、燐光発光ドーパント(以下、燐光発光体、燐光性化合物、燐光発光性化合物ともいう)を用いることを特徴とする。
本発明では発光λmaxが300〜480nmにある少なくとも1種の燐光発光ドーパントを含有し、該ドーパントは、下記一般式(A)〜(D)から選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する。
(一般式(A)〜(D)で表される部分構造)
本発明においては、前記燐光発光ドーパントAが、前記一般式(A)〜(D)から選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する。
前記一般式(A)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
また、前記一般式(B)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rc、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
また、前記一般式(C)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
また、前記一般式(D)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
一般式(A)〜(D)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Raで表される脂肪族基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)が挙げられ、芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、アズレニル基、アントラニル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、o−テルフェニル基、m−テルフェニル基、p−テルフェニル基、アセナフテニル基、コロネニル基、フルオレニル基、ペリレニル基等を挙げることができ、これらの基はそれぞれ置換基を有していてもよい。複素環基としては、例えば、ピロリル基、インドリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドリジニル基、キノリニル基、カルバゾリル基、インドリニル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、チアジアジニル基、オキサジアゾリル基、ベンゾキノリニル基、チアジアゾリル基、ピロロチアゾリル基、ピロロピリダジニル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、クロマニル基等を挙げることができ、これらの基はそれぞれ置換基を有していてもよい。
一般式(A)〜(D)において、Rb、Rc、Rb、Rcが表す置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
一般式(A)〜(D)において、A1は芳香族環、芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、該芳香族環としてはベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられ、該芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
一般式(A)〜(D)の構造は部分構造であり、それ自身が完成構造の発光ドーパントとなるには、中心金属の価数に対応した配位子が必要である。具体的には、ハロゲン(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、フタラジニル基等)、一般式(A)〜(D)の金属を除いた部分構造等が挙げられる。
一般式(A)〜(D)において、MはIr、Ptを表し、特にIrが好ましい。また一般式(A)〜(D)の部分構造3個で完成構造となるトリス体が好ましい。
以下、本発明に係る発光ドーパントの前記一般式(A)〜(D)の部分構造を持つ化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
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式D−100〜D−143中、MはIrまたはPtを表わし、かつY及びYは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル又はt−ブチルを意味する。Yは、有利にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル又はt−ブチルを意味する。また式D−100〜D−143の異性体化合物も挙げられる。
更に、本発明においては、前記発光ドーパントのイオン化ポテンシャルエネルギーが5.3eVより小さいものであることが高効率かつ色度の安定性を良好にする上で好ましい。即ち、燐光発光ドーパントAの最高電子占有準位が、5.3eVより浅いことが好ましい。
なお、燐光発光ドーパントAの最高電子占有準位(HOMO)レベル(またはイオン化ポテンシャルとも呼ぶ)は、例えば紫外光電子分光法(UPS)等を用いることで求めることができる。即ち、これらの化合物の単体膜を、ガラス基板上に成膜した薄膜のUPSを測定することでHOMOレベルを測定することができる。
例えばアルバック−ファイ(株)製ESCA 5600 UPS(ultraviolet photoemission spectroscopy)にて測定される値を用いることができる。
本発明の白色素子においては、発光λmaxが300nm〜480nm以外の波長の燐光発光体を併用することが出来、これらの組合せにより白色の発光層を形成する事が可能である。
(燐光発光体)
本発明に係る燐光発光体は、前記燐光発光ドーパントも含め、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は、例えば、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係る燐光発光体は、任意の溶媒のいずれかにおいても、上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光体の発光の原理としては、2タイプが挙げられ、一つのタイプはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光体に移動させることで燐光発光体からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つのタイプは、燐光発光体がキャリアトラップとなり、燐光発光体上でキャリアの再結合が生じ、燐光発光体からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光体の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
燐光発光体は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係る燐光発光体としては、好ましくは元素の周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明に係る、燐光発光ドーパントのうち燐光発光ドーパントAについては前述したが、燐光発光ドーパントB、また、燐光発光ドーパントCとして用いられる化合物の具体例を以下に示す。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
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《中間層》
本発明の有機EL素子においては、複数の発光層を有する場合には、発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域ともいう)を設けてもよい。
非発光性の中間層の膜厚としては、1〜50nmの範囲にあるのが好ましく、更には3〜10nmの範囲にあることが、隣接発光層間のエネルギー移動など相互作用を抑制し、かつ有機EL素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないということから好ましい。
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
非発光性の中間層は、非発光各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す)を含有することにより、発光層と非発光層との層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。更に、非ドープ発光層に各発光層に含まれるホスト化合物と同一の物理的特性または同一の分子構造を有するホスト材料を用いることにより、従来の有機EL素子作製の大きな問題点である素子作製の煩雑さをも併せて解消することが出来る。
また、正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は、後述する阻止層、すなわち正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様として挙げられる。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設けることができ、陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設ける層のことで、例えば、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)としては、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。また、特表2003−519432号公報に記載される材料を使用することも好ましい。
陰極バッファー層(電子注入層)としては、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、使用する素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子に設ける正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、更には、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)、特表2003−519432号公報に記載されているような、いわゆるp型半導体的性質を有するとされる正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。正孔輸送層の膜厚については、特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は、発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用いることもより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に適用する支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度が、0.01g/(m・24h・atm)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1992に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3g/(m・24h)以下、水蒸気透過度が、10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/(m・24h)以下であることが、更に好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものも好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
《封止》
本発明の有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、酸素透過度10−3g/(m・24h)以下、水蒸気透過度10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。また、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/(m・24h)以下であることが、更に好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に、該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相および液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等があげられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物および過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために、保護膜あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
また本発明においては、少なくとも一方の電極として、例えば、金属(銀)ナノ粒子また、銀ナノワイヤを含有するストライプ状、或いはメッシュ状、或いはランダムな網目状の光不透過の導電部と透過性窓部からなる補助電極に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有し、更に、好ましくは親水性のポリマーバインダーを含有する導電性ポリマー層を積層した構成を有する透明電極を用いることができる。塗布により形成できるため製造上のメリットがある。
補助電極、また導電性ポリマー層の厚みはそれぞれ0.2〜2.0μmの範囲である。
ストライプ状、或いはメッシュ状、或いはランダムな網目状の導電部の形成には蒸着、スパッタ、めっき等により導電体層(金属層:金属材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等が挙げられる。)を形成し、公知のフォトリソ法を用いてエッチングする方法、また、金属微粒子(ナノ粒子)を含有するインクを、スクリーン印刷、グラビア印刷等、またインクジェット方式などの各種印刷法により印刷する方法等が利用できる。例えば銀ナノ粒子を用いたインクを用いる。
金属微粒子を含有するインクを各種印刷法により所望の形状に印刷する方法は簡便であり、異物も少なく、特殊な化学処理も必要としないため好ましい。
金属微粒子含有インキは公知のものを利用できる。金属微粒子としては、例えば、銀、金、銅、パラジウム、白金、アルミニウム及びニッケルなどのいずれかを含有する金属微粒子、または、この金属を含む合金の微粒子を上げることができる。
これらの金属微粒子には、分散性を向上させるために表面に有機物などの被膜(コーティング材)がコーティングされている。
導電性微粒子の粒径は0.1μm以下のナノ粒子であることが好ましく、1nm以上1μm以下であることが好ましい。1μmをこえると金属細線パターン部の凹凸が大きく、リークに不利になる。0.1μm以下とすることで低温の焼成でも粒子間の融着が進み、高い導電性が得られる。
0.1μm以下の金属微粒子を用いるには、有機保護コロイドで被覆した状態で使用することが好ましい。この有機保護コロイドとしては、低温焼成をおこなうため、分解温度あるいは沸点が70〜250℃の範囲のものを用いるものである。
有機保護コロイドとしては、炭素数3〜18の炭化水素類を用いるのが好ましい。
上記のような条件満たす有機保護コロイドとしては、特に限定されるものではないが、オクチルアミン(沸点178〜179℃)、6−メチル−2−ヘプチルアミン(沸点154〜156℃)、ジブチルアミン(沸点160〜162℃)、ヘキシルアミン(沸点130〜132℃)、ジプロピルアミン(沸点105℃)、ジイソプロピルアミン(沸点83〜84℃)、ブチルアミン(沸点76〜78℃)、ステアリン酸(沸点232℃;19.95hPa)、パルミチン酸(沸点271.4℃;133hPa)、ミリスチン酸(沸点250℃;133hPa)、ラウリン酸(沸点131℃;1.3hPa)、オクタン酸(沸点238℃)、ヘキサン酸(沸点206℃)、酪酸(沸点162〜165℃)、オクタデカジエン酸(229〜230℃)などを例示することができる。
また有機保護コロイドによる金属ナノ粒子の被覆量は、特に限定されるものではないが、金属ナノ粒子100質量部に対して1〜40質量部の範囲に設定するのが望ましい。
分散媒についても、低温焼成をおこなうため、分解温度あるいは沸点が70〜250℃の範囲の炭素数3〜18の炭化水素類を用いるのが好ましく、特に限定されるものではないが、ミスチルアルコール(沸点167℃;20hPa)、ラウリルアルコール(沸点258〜265℃)、ウンデカノール(沸点129〜131℃;16hPa)、デカノール(沸点220〜235℃)、ノナノール(沸点214〜216℃)、オクタノール(沸点188〜198℃)などを例示することができ、これらを一種単独で用いる他、二種以上を併用することもできるものである。
これらの中でも、分散媒としてデカノールを用いることが特に好ましい。分散媒としてデカノールを用いることによって、スクリーン印刷等で描画するのに適した銀ペーストを得ることができるものである。
上記の有機保護コロイドで覆われた金属ナノ粒子、銀フィラー、分散媒を配合して混合することによって、銀ペーストを調製することができるものである。金属ナノ粒子を被覆する有機保護コロイドはバインダーとしての役割も果たすので、バインダーを配合することは不要であり金属ナノ粒子、銀フィラー、分散媒の3成分のみで銀ペーストを調製することができるものである。
そしてこのようにして調製した銀ペーストは、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディッピング、アップリケーター塗布、スピンコート塗布など従来公知の方法で基板等の表面に塗布することができる。
(ランダムな網目構造)
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
別な方法としては、例えば、特表2009−505358号公報に記載のような、金属ナノワイヤを含有する塗布液を塗布乾燥することで、金属ナノワイヤのランダムな網目構造を形成させる方法を利用できる。
金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする繊維状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの短径を有する多数の繊維状構造体を意味する。
金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均短径には特に制限はないが、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。金属ナノワイヤの平均短径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、短径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
金属ナノワイヤに用いられる金属としては銅、鉄、コバルト、金、銀等を用いることができるが、導電性の観点から銀が好ましい。また、金属は単一で用いてもよいが、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、主成分となる金属と1種類以上の他の金属を任意の割合で含んでもよい。
金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,p.833〜837、Chem.Mater.,2002,14,p.4736〜4745、金ナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、銅ナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、コバルトナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した銀ナノワイヤの製造方法は、水溶液中で簡便に銀ナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、好ましく適用することができる。
導電性ポリマー含有層
《導電性ポリマー》
導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含んで成る導電性ポリマーである。こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述するポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
《π共役系導電性高分子》
本発明に用いるπ共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点から、ポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンであることが最も好ましい。
〔π共役系導電性高分子前駆体モノマー〕
前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にも、その主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−カルボキシルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
《ポリアニオン》
ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にFを有するポリアニオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、導電性ポリマー含有層を塗布、乾燥することによって形成した後に、100℃以上200℃以下の温度で5分以上の加熱処理を施した場合、この塗布膜の洗浄耐性や溶媒耐性が著しく向上することから、より好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、バインダー樹脂との相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリアニオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有さないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/または重合触媒の存在下で、酸化重合またはラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/または重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有しない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
こうした導電性ポリマーは市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す)が、H.C.Starck社からCLEVIOSシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PASS483095、560598として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした剤も好ましく用いることができる。
第2のドーパントとして水溶性有機化合物を含有してもよい。本発明で用いることができる水溶性有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。
前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、ヒドロキシ基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物等が挙げられる。前記ヒドロキシ基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、等が挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
《親水性のポリマーバインダー》
本発明においては、導電性ポリマー含有層に親水性のポリマーバインダーを併用することで、透過率を低下させずに膜厚をアップすることが可能となり、表面に付着した異物等を埋め込むことで電極間の短絡を抑制可能となり、好ましい実施形態である。本発明に用いる親水性のポリマーバインダーとは、水系溶媒(後述)に溶解、あるいは、分散できるポリマーでれば特に制限はなく、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等を挙げることができる。具体的な化合物としては、例えば、ポリエステル系樹脂としてバイロナールMD1200、MD1400、MD1480(以上、東洋紡社製)を挙げることができる。
本発明に係る親水性のポリマーバインダーとしては、後述する架橋剤と反応する基を有する化合物であれば、より強固な膜を形成することから、より好ましい。こうした親水性のポリマーバインダーとしては、架橋剤と反応する基としては架橋剤によって異なるが、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基等を挙げることができる。中でも、側鎖にヒドロキシ基を有することが最も好ましい。
本発明に係る親水性のポリマーバインダーの具体的な化合物としては、ポリビニルアルコールPVA−203、PVA−224、PVA−420(以上、クレハ社製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH−06、60SH−50、60SH−4000、90SH−100(以上、信越化学工業社製)、メチルセルロースSM−100(信越化学工業社製)、酢酸セルロースL−20、L−40、L−70(以上、ダイセル化学工業社製)、カルボキシメチルセルロースCMC−1160(ダイセル化学工業社製)、ヒドロキシエチルセルロースSP−200、SP−600(以上、ダイセル化学工業社製)、アクリル酸アルキル共重合体ジュリマーAT−210、AT−510(以上、東亞合成社製)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート等を挙げることができる。
中でも、親水性のポリマーバインダーが上記ポリマー(A)を一定量含む場合、第2ドーパントを利用しなくても、この化合物を利用することで導電性ポリマー含有層の導電性を向上させることが可能で、さらに、導電性ポリマーとの相溶性も良好で高い透明性と平滑性が達成できる。さらに、ポリアニオンがスルホ基を有する場合は、上記ポリマー(A)であれば、スルホ基が効果的に脱水触媒として働き、架橋剤等の追加の剤を利用しなくても、緻密な架橋層を形成できることからより好ましい実施形態である。
ポリマー(A)の主たる共重合成分は、下記(a1)から(a3)で表されるモノマーであり、共重合成分の50mol%以上の成分が下記(a1)から(a3)のいずれか、あるいは、下記(a1)から(a3)の成分の合計が50mol%以上ある共重合ポリマーである。下記(a1)から(a3)の成分の合計が80mol%以上であることがより好ましく、さらに、下記(a1)から(a3)いずれか単独のモノマーから形成されたホモポリマーであってもよく、また、好ましい実施形態である。
Figure 0005760415
式中、X〜Xは水素原子またはメチル基、R〜Rはそれぞれ、炭素数5以下のアルキレン基を示す。p、m、nは構成率(mol%)を表し、50≦p+m+n≦100である。
ポリマー(A)においては、水系溶媒に可溶である範囲において、他のモノマー成分が共重合されていてもかまわないが、親水性の高いモノマー成分であることがより好ましい。また、ポリマー(A)は数平均分子量において、1000以下の含有量が0〜5%以下であることが好ましい。
このポリマー(A)の数平均分子量において、1000以下の含有量が0〜5%以下とする方法としては、再沈殿法、分取GPC、リビング重合による単分散のポリマーを合成等により、低分子量成分を除去する、または低分子量成分の生成を抑制する方法を用いることができる。再沈殿法は、ポリマーが溶解可能な溶媒へ溶解し、ポリマーを溶解した溶媒より溶解性の低い溶媒中へ滴下することにより、ポリマーを析出させ、モノマー、触媒、オリゴマー等の低分子量成分を除去する方法である。また、分取GPCは、例えばリサイクル分取GPCLC−9100(日本分析工業社製)、ポリスチレンゲルカラムで、ポリマーを溶解した溶液をカラムに通すことにより分子量で分けることができ、所望の低分子量をカットすることができる方法である。リビング重合は、開始種の生成が経時で変化せず、また停止反応等の副反応が少なく、分子量の揃ったポリマーが得られる。分子量はモノマーの添加量により調整できるため、例えば分子量を2万のポリマーを合成すれば、低分子量体の生成を抑制することができる。生産適正から、再沈殿法、リビング重合が好ましい。
本発明の親水性のポリマーバインダーの数平均分子量、重量平均分子量の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行なうことができる。分子量分布は(重量平均分子量/数平均分子量)の比で表すことができる。使用する溶媒は、親水性のポリマーバインダーが溶解すれば特に制限はなく、THF、DMF、CHClが好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、さらに好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
本発明に係るポリマー(A)の分子量は3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、さらに好ましくは5000〜100000の範囲内である。ポリマー(A)の分子量分布は1.01〜1.30が好ましく、より好ましくは1.01〜1.25である。
数平均分子量1000以下の含有量はGPCにより得られた分布において、数平均分子量1000以下の面積を積算し、分布全体の面積で割ることで割合を換算した。
リビングラジカル重合溶剤は、反応条件化で不活性であり、モノマー、生成するポリマーを溶解できれば特に制限はないが、アルコール系溶媒と水の混合溶媒が好ましい。リビングラジカル重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
〔導電性ポリマー含有層の形成〕
導電性ポリマー含有層は、例えば、π共役系導電性高分子成分とポリアニオン成分とを含んで成る導電性ポリマーと、親水性のポリマーバインダーと溶媒とを少なくとも含んでなる塗布液を塗布、乾燥することで形成することができる。
溶媒としては、水系溶媒を好ましく用いることができる。ここで、水系溶媒とは、50質量%以上が水である溶媒を表す。もちろん、他の溶媒を含有しない純水であってもよい。水系溶媒の水以外の成分は、水に相溶する溶剤であれば特に制限はないが、アルコール系の溶媒を好ましく用いることができ、中でも、沸点が比較的水に近いイソプロピルアルコールを用いることが形成する膜の平滑性等には有利である。
塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法等を用いることができる。
導電性ポリマー含有層の乾燥膜厚は、30〜2000nmであることが好ましい。本発明に係る導電層は100nm未満領域では導電性の低下が大きくなることから100nm以上であることがより好ましく、リーク防止効果をより高める視点からは200nm以上であることがさらに好ましい。また、高い透過率を維持する視点から1000nm以下であることがより好ましい。
塗布した後、溶媒を揮発させるために、適宜乾燥処理を施す。乾燥処理の条件として特に制限はないが、基板や導電性ポリマー含有層が損傷しない範囲の温度で乾燥処理することが好ましい。例えば、80〜150℃で10秒から10分の乾燥処理をすることができる。
さらに、ポリアニオンがスルホ基を有し、親水性のポリマーバインダーとして上記ポリマー(A)を含む場合は、水酸基の脱水反応による層の架橋を促進する目的で、追加の加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の条件に制約はないが、基板や導電性ポリマー含有層が損傷しない範囲の温度で乾燥処理することが好ましい。例えば、80〜150℃で2分から120分の乾燥処理をすることができる。また、40℃〜100℃程度の比較的低温で10〜200時間程度の長時間の処理を施しても良い。
また、別の電極としては、特許第3665969に記載のカーボンナノチューブを含む透明で導電性を有するカーボンナノチューブ含有コーティングを、一方の透明電極として用いることができる。
この電極コーティングは、少なくともカーボンナノチューブと溶媒とを含有する第1の分散体を基材の表面に塗布し、第1の分散体の溶媒を除去して、カーボンナノチューブを三次元網目構造にし、さらに、この上に少なくとも樹脂と溶媒とを含有する第2の分散体を塗布して、第2の分散体をカーボンナノチューブの三次元網目構造の中に浸透させたカーボンナノチューブコーティングである。
カーボンナノチューブは公知であり、従来通りの意味を有するが、カーボンナノチューブとしては、直線および湾曲多層カーボンナノチューブ(MWNT)、直線および湾曲二層カーボンナノチューブ(DWNT)、および直線および湾曲単層カーボンナノチューブ(SWNT)、ならびにこれらのカーボンナノチューブ形態の種々の組成物、ならびに、米国特許第6,333,016号およびWO01/92381号に記載されるようなカーボンナノチューブ製造中に含まれる一般的な副産物を含む。
好ましい実施形態では、カーボンナノチューブは外径が3.5nm未満である。別の好ましい実施形態では、本発明のカーボンナノチューブの外径は3.0nm未満である。別の好ましい実施形態では、本発明のカーボンナノチューブの外径は約0.5から約2.5nmである。別の好ましい実施形態では、カーボンナノチューブの外径は約0.5から約1.5nmである。別の好ましい実施形態では、カーボンナノチューブの外径は約0.5から約1.0nmである。アスペクト比は10から2000の間となりうる。
好ましい実施形態では、カーボンナノチューブは単層SWNT含有材料を含む。SWNTは、炭素ターゲットのレーザーアブレーション、炭化水素の分解、2つのグラファイト電極間でのアークの発生などの多数の方法によって生成可能である。例えば、ベテューヌら(Bethune et al.)に付与された米国特許第5,424,054号には、炭素蒸気をコバルト触媒と接触させることによる単層カーボンナノチューブの生成方法が記載されている。炭素蒸気は、非晶質炭素、グラファイト、活性炭、脱色炭、またはそれらの混合物であってよい固体炭素の電気アーク加熱によって発生する。炭素の別の加熱方法としては、例えば、レーザー加熱、電子ビーム加熱、および高周波誘導加熱が挙げられる。また、例えば、高温レーザーでグラファイト棒と遷移金属を同時に気化させることによる単層カーボンナノチューブの生成方法が知られている。また、例えば、少量の遷移金属を含有するグラファイト棒を約1200℃のオーブン中レーザーで気化することによる単層カーボンナノチューブの生成方法が知られており、単層カーボンナノチューブは、70%を超える収率で生成すると報告されている。記載内容全体を本明細書に援用する米国特許第6,221,330号は、気体炭素供給原料と非担持触媒を使用する単層カーボンナノチューブの生成方法を開示している。
SWNTは、非常に可撓性が高く、自然に凝集してカーボンナノチューブのロープを形成する。コーティングまたはフィルム中にSWNTのロープが形成されることによって、非常に少ない含有量で導電性が非常に高くなり、このため優れた透明性が得られ低ヘイズ(曇価)となる。
これらの電極コーティングは、少ないカーボンナノチューブ含有量で優れた導電性および透明性が得られる。好ましい実施形態では、コーティング中カーボンナノチューブは、約0.001から約1質量%存在する。更に好ましくは、前記フィルム中にカーボンナノチューブは約0.01から約0.1%存在し、このため優れた透明性が得られ低ヘイズとなる。
本コーティングの表面抵抗は1010Ω/□未満であれば許容され、好ましくは10Ω/□未満であり、さらに、透明性の低視認性コーティングは通常10Ω/□未満、好ましくは10Ω/□未満である。従って好ましくは、コーティングの表面抵抗は約10−2から100Ω/□の範囲内である。また、本発明のコーティングの体積抵抗は約10−2Ω・cmから約1010Ω・cmの範囲内である。体積抵抗は、ASTM D4496−87およびASTM D257−99で規定される。
この電極コーティングは、優れた透明性および低ヘイズを示す。例えば、全光透過率が少なくとも約60%であり、可視光のヘイズ値が約2.0%以下である。好ましい実施形態では、本発明のフィルムのヘイズ値は0.5%以下である。
好ましい実施形態では、コーティングの全光透過率は約85%以上、更に好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。別の好ましい実施形態では、ヘイズ値は1%未満、好ましくは0.5%未満である。
全光透過率は、波長が1×10−2cm未満の電磁スペクトルのフィルムを透過するエネルギーのパーセント値を意味し、したがって必然的に可視光の波長を含んでいる。
本発明のコーティングの厚さは、中程度の厚さから非常に薄い厚さまでの範囲をとる。
例えば、本発明のフィルムは、約0.5nmから約100μmの間の厚さとなりうる。
本発明のコーティングは樹脂ポリマー材料を含む。ポリマー材料は、広範囲の天然または合成のポリマー樹脂から選択することができる。個別のポリマーは、所望の用途における強度、構造、および設計の必要性に応じて選択することができる。好ましい実施形態では、ポリマー材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性ポリマー、エラストマー、導電性ポリマー、セラミックハイブリッドポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む。別の好ましい実施形態では、ポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ゼラチン、キチン、ポリペプチド、多糖類、ポリヌクレオチド、およびそれらの混合物からなる群より選択される材料を含む。別の好ましい実施形態では、ポリマー材料は、セラミック複合ポリマー、ホスフィンオキシド、およびカルコゲニドからなる群より選択される材料を含む。
コーティングは容易に形成可能であり、アセトン、水、エーテル、およびアルコールなどの溶媒中でのカーボンナノチューブ単独の分散体として基板に適用することができる。溶媒を風乾、加熱、減圧などの通常方法で除去して、所望のカーボンナノチューブのフィルムを形成することができる。コーティングは、吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パッド印刷、他の種類の印刷、またはロールコーティングなどの他の公知の方法で適用することができる。
ポリマーと適切な量で混合したカーボンナノチューブを含む本発明のコーティングは容易に合成可能である。従来の混合および加工方法を使用して実施可能であり、例えば限定するものではないが、従来の押出成形、マルチダイ押出成形、加圧積層などが挙げられ、カーボンナノチューブをポリマーに導入するために使用可能な他の方法も挙げられる。
カーボンナノチューブは、ポリマー材料全体に実質的に均一に分散する場合もあるが、外面から材料の中央部に向かって、または一方の面からもう一方の面までなどで量の増加または減少(例えば濃度)の勾配がある状態で存在してもよい。あるいは、カーボンナノチューブは外部スキン層または内部層として分散してもよく、この場合には内部積層構造が形成される。
好ましい形態では、多層構造は、カーボンナノチューブ含有層とカーボンナノチューブ非含有層の交互の層を有する。
本発明の分散体は、可塑剤、軟化剤、充填剤、補強剤、加工助剤、安定剤、酸化防止剤、分散剤、バインダー、架橋剤、着色剤、UV吸収剤、または電荷調整剤などの物質をさらに任意に含むことができる。
これらの分散体は、別の導電性の有機材料、無機材料、あるいははこれらの材料の組み合わせをさらに含むことができる。導電性有機材料としては、バッキーボール、カーボンブラック、フラーレン、外径が約3.5nmを超えるカーボンナノチューブ、ならびにそれらの組み合わせおよび混合物を含む粒子を挙げることができる。導電性材料としては、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、フッ素ドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ならびにそれらの組み合わせおよび混合物が挙げられる。好ましい分散体は、流体、ゼラチン、イオン性化合物、半導体、固体、界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせおよび混合物も含むことができる。
《陰極》
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スロット型コータ法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などが挙げられる。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面または、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、いずれかの層間、もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でも良いが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは、所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であっても良い。
また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
《表示装置》
本発明の有機EL素子を適用した表示装置について説明する。
本発明の有機EL素子は、多色または白色の表示装置に用いられる。多色または白色の表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スロット型コータ法等で膜を形成できる。発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また、作製順序を逆にして陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層ユニット(上記の発光層A、B及びCの少なくとも3層を有し、各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい)、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色または白色の表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
《照明装置》
本発明の有機EL素子を適用した照明装置について説明する。
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
本発明に用いられる白色有機エレクトロルミネッセンス素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよい。発光層に用いる発光ドーパントとしては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルタ)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る白金錯体、また公知の発光ドーパントの中から任意のものを選択して組み合わせて、また本発明係る光取り出し及び/または集光シートと組み合わせて、白色化すればよい。
このように、本発明の白色の有機EL素子は、CF(カラーフィルタ)と組み合わせて、また、CF(カラーフィルタ)パターンに合わせ素子及び駆動トランジスタ回路を配置することで、請求項7に記載されるように有機エレクトロルミネッセンス素子から取り出される白色光をバックライトとして、青色フィルタ、緑色フィルタ、赤色フィルタを介して青色光、緑色光、赤色光を得ることで、低駆動電圧で長寿命のフルカラーの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイができ、好ましい。
《本発明の有機EL素子を適用した産業分野》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルタや光拡散板、光取り出しフィルムなどと組み合わせた各種表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子の特徴を活かして、以下に示すような様々な照明器具や発光表示体等への適用が可能である。
〔商品展示・ディスプレイ用〕
商品展示・ディスプレイ用としては、店舗の商品ディスプレイ、冷凍・冷蔵ショーケース、博物館・美術館・展示会場などの展示品のライトアップ、自動販売機、遊戯台、交通広告などがある。
店舗の商品ディスプレイは店舗自体の装飾的なディスプレイやショーケース、POPやサインなどがある。店舗の中でも高級ブランドショップや貴金属、ファッション系、高級飲食店など、そのブランドイメージを重視するような店舗では照明が与える店舗イメージへの影響は非常に大きいことから、強い拘りをもって照明が選択されている分野である。有機ELを用いることによって、今までは直接光源が見えないよう建築物の構造に工夫を凝らすことで雰囲気を作り出していた間接照明の分野で光源・機器分のスペースが省略でき複雑な構造が不要になったり、インテリアやサインなどで拡散光を作り出す際に光源の形が透けて見えないために必要な光源と拡散板の間のスペースが省略できるなど、施工性があがることがあげられる。また、店舗のイメージを変える際のツールとしても、ディスプレイ棚、床、什器として組み込むなどスペースを取らず、軽量な光源であるという特徴を活かし、デザイン自由度があり、施工性がよく、手軽に採用できるという利点がある。
冷凍・冷蔵ショーケースはスーパーやコンビニエンスストアなどに置かれ、野菜や果物、鮮魚、精肉などの鮮食品を“美しさ”や“鮮度”にあふれる商品として、より見やすく、鮮やかに、取りやすくするために照明設備も重要な部品の1つである。有機EL光源を用いることによって、低温発光のため冷却機能への影響が小さく、薄型であるので光源スペースを大幅に削減ことができることから収納スペースを拡大でき、スマートなデザインで食品を選びやすく、取りやすくすることができる。また、食品の良さが判りやすい色光で消費者に自然とアピールすることができ、売上に貢献できる。
博物館・美術館・展示会場などでの展示品のライトアップでは、展示物への視認や日焼けなどの観点から使用条件に適した光源を選ぶ必要があり、退色防止型で紫外線比率の低いで蛍光ランプが開発されている。有機EL光源は紫外線を含まないこと、発熱量が低いことから展示物に悪影響がなく、面光源で均一に光ることによりグレアがなく、高い演色性によって展示物のありのままを忠実に鑑賞することができる。また、大きな光源器具を必要としないため、視界に余計な機材の出っ張りが入ることなく、展示物だけに注目することができる。またショーなど大規模な展示会場においては、注目を集める大型電飾装飾もその軽量・薄型という特徴から比較的簡易に組み立てることができる。
自動販売機では、押しボタン、商品サンプル、販売機前面のポスター部に光源が使われている。機器全体の大きさに対し、取り込みたい追加機能の為のスペースと収納スペースの取り合いとなっていることから、薄く光源のスペースをとらない有機ELの利点が活かせる分野であり、特に取り出し口上のポスタースペースでニーズが高い。また、近年は販売と共に当たり/はずれなどゲーム性を持たせた機器も多く見られ、前面のポスターに部分に画素コントロール機能を持たせた光源(動画ディスプレイ)を搭載することで更にメリットを活かすことができる。
遊戯台にはパチンコ・パチスロなどがある。これら遊戯台では、利用者にアミューズメント性(ゲーム性・ギャンブル性など)を体感し、楽しんでいただくことが最も重要。光源を薄くする事で1台の機器の厚みを低減できる薄さのメリットもあるが、自動販売機同様、画素コントロール機能を持たせた光源(動画ディスプレイ)を搭載することで更にメリットを活かすことができる。
交通広告には公共スペースにあるポスターや看板、電車・バスなどの社内のポスターや画面、車体に張られている広告などがある。特にポスターや看板は蛍光灯をバックライトを用いたボックスタイプのものがあり、有機ELに変えることでボックス自体を薄く、軽量にすることができる。
また、吊り下げ看板についてはボックスを薄くすることで、埃、ゴミの蓄積がなくなることや鳥による糞害の防止にもなる。
〔インテリア・家具・建築材料用の組み込み照明〕
建築関係では、床・壁・天井などと照明とを融合して一体化したものは「建築化照明」と呼ばれる。「建築化照明」の代表的なものとしては、その方式により、コーニス照明、トロファ照明、コーブ照明、光天井、ルーバ天井などがある。これらは照明光源が天井・壁・床に組み込まれ、照明としての存在や気配を消し、建築素材自体が光を発することを求めている。
有機EL素子を用いた光源は、「建築化照明」に対して、その薄さ、軽さ、色調整、デザイン可変性から最も適した光源であり、さらにインテリア、家具、什器にまで適用が可能である。従来は店舗や美術館のみで用いられてきたこのような建築化照明を、有機EL光源の展開によって一般住宅にまで広げることができ、新たな需要を発掘することができる。
商業施設においては、半地下店舗、アーケードの天井などに有機EL光源を採用し、照明の明るさや色温度を変化させることで、天候や昼夜に左右されない最適な商業空間を構築することができる。
インテリア・什器・家具の一例としては、机や椅子、食器棚・靴箱・ロッカーなどの収納、洗面化粧台、仏壇・祭壇、ベッドライト、フットライト、手すり、ドア、障子・襖などが挙げられるが、それに限定されるものではない。
一方で、有機EL光源に透明な電極を用い消灯/発光させることで、透明/不透明を切り替えることもできる。それによって、あらゆる窓、ドア、カーテンやブラインド、パーテーションとしての利用も可能となる。
〔自動車用照明、発光表示体〕
自動車用としては、外部の照明器具や発光表示体、車内の照明器具や発光表示体などに、有機EL素子が利用できる。前者は、前部に(小分類)ヘッドランプ、補助灯、車幅灯、フォッグランプ、方向指示灯など、後部にはリアコンビネーションランプとしてストップランプ、車幅灯、バック灯、方向指示灯、およびナンバープレート灯などがある。特に、有機EL素子を用いてリアコンビネーションランプを1枚で形成し、後部に貼り付けることによって、後部ランプのためのスペースを削減して、トランクルームを広くすることが可能となる。また、雨や霧で見通しが悪い時には、車幅灯やストップランプの面積を広くして、視認性を高めることもできる。一方、ホイールを有機EL素子で発光させることによって、側面からの視認性を高めることもできる。さらには、ボデイ全体を有機EL素子で形成して発光させ、ボデイカラーやデザインに新たな発想を盛り込むことが可能となる。
後者の車内の照明器具や発光表示体としては、室内灯、マップライト、ドア下部の乗降ライト、メーター類表示、カーナビゲーションディスプレイ、警告灯などがある。特に、有機EL素子の透明性を活かして、昼間はサンルーフとし、夜間は発光させて面光源の穏やかな室内灯とすることもできる。またタクシーなどでは、前部座席の背面に有機EL素子からなる照明器具を貼り付けることによって、ドライバーの運転に支障なく、かつ室内空間を犠牲にすることなく、顧客が利用しやすい手元照明システムを構築できる。
〔公共交通機関〕
電車、地下鉄、バス、航空機、船舶などの公共交通機関における車内の照明や表示体において、本発明の有機ELは、その特徴を活かすことができる。
航空機には多くの照明器具が搭載されているが、機体内部に搭載されている、客室照明、貨物室照明、操縦室照明などのうち特に客室の間接照明については有機EL照明のメリットが充分発揮される。
客室照明には蛍光灯や電球が使われているが、これらは天井や側面に反射した間接照明が使われており、客室に落ち着いた雰囲気を与えると共に万が一のトラブルの際にも割れてガラス破片が客席に降りかからないような工夫がされている。
有機EL光源を用いれば、その薄さから間接照明が作りやすくなり、また直接照明にした場合でも割れて破片が飛び散る危険がなく、拡散光で落ち着いた雰囲気をつくることもできる。
また、航空機には電力消費量や機体軽量化が重要である面から考えても、消費電力が小さく、軽量な有機EL光源は好ましい。このようなメリットは、お客様を照らすだけでなく、手荷物収納内の照明でも発揮され、荷物の取り残しの低減に貢献することもできる。
公共交通機関に付属する駅やバス停、空港などの施設にも、顧客を誘導するための表示や照明が利用できる。また、夜間、屋外のバス停などにおいては、バス待ちの人を検出して照明を明るくし、防犯に寄与することもできる。
〔OA機器用光源〕
OA機器用光源としては、読み取り用センサーが搭載されているファクシミリ、複写機、スキャナ、プリンタ、それらの複合機などがあげられる。
読み取り用センサーは等倍光学系と組合せる密着型センサー(CIS)と縮小光学系と組み合わせる縮小型センサー(CCDリニア)とに分かれる。
CISについてはメーカーによっては定義が異なり、センサ・ロッドレンズアレイ・LED基盤をモジュール化したものをCISと呼ぶ場合や、モジュール化したものをCISM(コンタクトイメージセンサモジュール)と呼びモジュールの中に入っているセンサチップをCISと呼ぶ場合もある。それらの光源にはLED、キセノン、CCFLランプ、LDなどが使われている。
OA機器としては、更なる小型化、低電圧駆動の要望があり、有機ELの厚みがなく、低発熱量・低電圧で駆動可能であるという特徴は、それらの要望にこたえることが可能である。
〔産業用検査システム〕
製造会社では、かつては目視による検品工程に多くの工数と人力をかけていたが、それを、撮影画像を利用し欠品判定することで自動化をはかっている。CCDカメラでとらえた対象物の画像をデジタル信号に変換し、種々の演算処理を行なうことで、対象物の面積、長さ、個数、位置などの特徴を抽出し、設定された基準をもとに判定結果を出力するものが、その画像撮影の為に光源が必要。このような検査システムはパッケージや形状サイズ検査、マイクロ部品の検査などでも利用される。
画像センサー用に使用される照明光源には、蛍光灯、LED、ハロゲンなどがある。その中でも、透明容器やリードフレームなどを背景から照らすバックライトとしては面状に均一な光が必要。
また、シートの汚れ検出には直線状に均一な光でシートの幅方向前面を照らせる光が必要であるなど、検査する物品により光源への要求がことなる。
この分野に有機EL光源を採用することによって、例えば、ボトリングの工程などではボトル周囲360度全方位に照明を配置し、一度に照明し撮影することも可能となり、短時間での検品が可能となる。また検査機器内で光源自体に取られるスペースを大幅に小さくすることができる。また、面光源であることで、光反射により撮影画像が判定しにくくなることによる検知ミスを回避可能である。
〔農産物栽培用光源〕
植物工場とは『環境制御や自動化などハイテクを利用した植物の周年生産システム』である。植物栽培の環境をコンピューターにより制御することで、天候に左右されることなく、人手を必要とせずに作物を自動的に生産する技術。今後の世界の人口増、環境問題を考えると、農業にハイテクを導入することで、安定な食糧生産につながるいわゆる農業の工業化が必要になる。最近はLED、LDが、植物栽培の光源としての可能性が高まってきた。従来からよく使われている高圧ナトリウムランプなどの光源は赤色光と青色光のスペクトルバランスが悪く、また多量の熱放射が空調負荷を大きくし、植物との距離を十分にとる必要があるために、施設が大型化する欠点がある。
有機EL光源は光源の厚みがなく、多くの棚を設置でき、また発熱量が少ないことから植物に近接させことで高効率であり栽培量を増やすことができる。
また、一般家庭においても省スペースのメリットを活かし、キッチンなど室内の狭い場所に家庭菜園を作ることができ、庭やベランダ、屋上などの屋外スペースのみで可能であった家庭菜園の概念を変えて、広く人々が楽しむことを可能とする。
〔避難用照明〕
消防法や建築基準法で規定されている防災照明設備は、建築物火災に際して非難の為の出口や経路を示す誘導灯と、避難経路の明るさを確保し、迅速な避難を担保する非常灯とがある。
FA・民生用に用いられるシグナルや誘導灯・非常灯などは、見やすいことが前提となるが、その為の大型化は設置場所によっては建物と不釣合いになり、建築化やデザイナーから指摘されることが多かった。その対策として、1目でわかる表示のプクトグラフ化や、光源で誘目効果を高める対処が取られている。従来誘導灯の光源には、蛍光ランプが用いられることが多いが、最近ではLEDを使用した誘導灯も出てきている。
これらの誘導灯に有機EL光源を用いることで、輝度班、角度特性による輝度低下がなく、視認性を向上でき、低電力で、薄型であるために特別な工事の必要がなく設置が容易で、従来の蛍光灯を使うタイプに比べ交換の必要がなく、メンテナンスを容易することができる。また発熱も少ない為発光面の色焼けも少ない。したがって、避難経路の床、階段の手すり、防火扉など、多くの場所に設置して安全性を高めることができる。また現在、蛍光灯で問題視されている水銀の問題もなく、割れにくく、安全性に優れている。更に省スペース薄型設計で美観を損ねることなく、誘目効果を高めることができる光源と言える。
〔撮影用照明〕
写真館やスタジオ、照明写真ボックスなどで使われる光源には、ハロゲン、タングステン、ストロボ、蛍光灯などが用いられている。これらの光源を被写体に直接直線的に当て陰影を強くつける、もしくは光を拡散させ、あまり陰影のない柔らかな光をつくるという、大きくは2つの光の種類を色々な角度から組み合わせて1つの絵がつくられている。光を拡散させるためには、光源と被写体の間にディフューザーを挟むこと、または他の面(レフ板など)に当てた反射光を用いるなどの方法がある。
有機EL光源は拡散光であり、この後者に対応する光を、ディフューザーを用いることなく発光することができる。その際には、既存光源で必要な光源とディフューザーの間の空間が不用になることや、レフ板などで光の向きを微妙な角度で調整し、細かな陰影を調整していたものをフレキシブルタイプの有機EL自体を曲げることで実施することができるなどのメリットがある。
撮影で利用される光源には、演色性が求められることがある。太陽光線で見たときとの色の見え方の差が大きいと演色性が悪く、その差が少なければ演色性が良いと評価される。一般家庭で使用されている蛍光灯はその波長特性から撮影には好ましいとは言えず、光があたっている部分が緑色に偏る傾向がある。肌やメイキャップ、髪、着物、宝石などの色は、そのもの自体の色で写ることが求められる場合が多く、演色性はライトにとって重要なファクターの1つである。有機EL光源は演色性に優れ、前述のような色の忠実さが求められる撮影に好ましい。この特徴は印刷・染色関連など色を忠実に評価したい場所でも同様に活かされる。
有機EL光源のような面光源をスタジオの天井一面に配置することによって、子供やペットの撮影などでは子供やペットを室内で自由に遊ばせておき、自由・自然な表情を光源移動のわずらわしさなく、自然な色で撮影することができる。
〔家電製品〕
家電製品には細部の見易さ、作業のしやすさ、デザインの為、光源がつけられている場合が多い。一例を挙げると、ミシン、電子レンジ、食器洗浄乾燥機、冷蔵庫、AV機器などは、従来から光源が付いているが、新しいものでは洗濯乾燥機は横型モデルで取り残しが増えたことから光源が付けられるようになった。既存のものには白熱電球やLEDがつけられている場合が多い。今後、掃除機の先端に照明を設置して家具などの影の部分の清掃状況を確認したり、シェーバーに特定波長光の光源を設置して、髭剃り状況を確認したりするなど、色々と展開が考えられる。
このような家電製品は、全体を軽量・小型化し、更に収納スペースが大きいことが求められ、光源部分はできるだけスペースをとらずに全体を照明できることが求められる。有機ELの薄い面光源はその要望に充分こたえることができる。
〔遊技施設〕
スケートリンクの氷の下に有機ELを用いた照明を配置することによって、上からのスポットライトとは異なる演出が可能である。有機ELは発光温度が低いので特に有利である。また、スケーターの位置を検知して、その動きに合わせて発光させるようなことも可能である。スポットライトとの組み合わせ効果や、音楽のリズムに連動させた発光などもショーアップに有効である。
プラネタリウムにおいては、従来のような下からの投影ではなく、ドーム全体に有機ELの微細ピクセルを配置して、ドームそのものが星々を発光する方式が可能であり、投影機のないプラネタリウムが実現できる。
〔イルミネーション用照明〕
一般的にイルミネーションというと樹木へのイルミネーションのことを指していることが大半であったが、近年環境保護の観点から家屋や門、垣根などの造形物への装飾に移行する事例も数多くなっている。これは点光源を多数利用、ライン状に装飾したものが主流であり、LEDの出現により一層広がりを見せると見られている。
この分野に有機EL照明を用いることによって、今までは点光源をつなげることでの表現のみであったものが、同じ樹木へのイルミネーションにおいても、葉形の照明をつけることや、樹木に巻きつけ樹木全体を光らせる、また逆に定型面モジュールとして点光源同様につなぎ合わせ、様々な色に光らせるカクテルパレットとして用いて全体として文字や絵を映し出すなどのバリエーションが出せ、より一層照明による演出効果を高めることが可能となる。
〔持ち物・衣服につける照明〕
夜間屋外の歩行や運動で自動車・バイクなどから認識されやすくする目的で、自分の持ち物や靴、衣服に添付し、ヘッドライトの光を反射することで歩行者の安全を守る反射材製品(反射シートなど)が販売、利用されている。
ガラスビーズタイプの場合、細かなガラスビーズが表面に存在し入ってきた光がこのレンズの役目で光源の方向に再帰反射し、車からヘッドライトの光があたるとドライバーの目の位置に光が帰っていき強く輝いて見える。プリズムタイプの場合も機能は同じだがレンズの構造がことなる。ガラスビーズタイプとプリズムタイプの特長は、ガラスビーズタイプは、斜めからの光に対して高い反射効果があり、プリズムタイプは正面からの光に対しては、ガラスビーズタイプより反射するが、斜めからの光には比較的反射効果が低いことがある。また、貼り付ける場所によって、素材と接着方法を選ぶこともできる。従来の場合はいずれにしても、歩行者を認識させるためには、光が当たることが必要であり、設置場所なども、下に向いたヘッドライトができるだけ早く当たり認識してもらうために足に貼り付けるなどの工夫が必要であった。
これらの代替に有機EL光源を用いることで、ヘッドライトがあたる範囲になる前から、運転者に歩行者を認識させることができ、より安全を確保できる。また他の光源に対しては軽量で薄くシート状にできる点からも、シールのメリットを維持したままで効果をあげることができる。これらは人間だけでなく、ペットの衣服などにも利用できる。また、歩くことで発電して衣服などを発光させることも、低消費電力の有機ELであれば可能である。特に、人物特定用衣服に応用することもでき、例えば徘徊者の早期保護に役立てることもできる。ダイビング用のウェットスーツを発光させることによって、ダイバーの所在確認や、鮫などから身を守ることにも可能性がある。もちろん、ショーなどでの舞台衣装、ウェデイングドレスなどにも利用できる。
〔通信用光源〕
有機EL素子を用いた発光体は、可視光を使って簡単なメッセージや情報などを送る「可視光タグ」にも有効に活用できる。すなわち、極めて短時間の明滅による信号を発光させることによって、それを受信する側に多量の情報を送ることができる。
発光体が信号を発光させていても、極めて短時間であることから、人間の視覚上は単なる照明として認識される。道路、店舗、展示場、ホテル、アミューズメントパークなど、場所毎に設置された照明が、それぞれ場所特有の情報信号を発信して、必要な情報を受信者に提供できる。また有機ELの場合は、1つの発光体中に波長の異なる複数の発光ドーパントを組み込んでおいて、異なる波長ごとに異なる信号を発生させることによって、1つの発光体が複数の異なる情報を提供することもできる。この場合も、発光波長や色調が安定している有機ELは優位である。
音声、電波、赤外光などによる情報提供と異なり、「可視光タグ」は照明設備として一緒に組み込めるので、煩雑な追加設置工事なども不要である。
〔医療用光源〕
現在はハロゲンランプなどが使用されている内視鏡や、ワイヤーを挿入して手術する腹腔手術用の照明などに有機ELを利用することによって、小型、軽量化、用途拡大に貢献する。特に近年注目されている、体内検査や治療に用いられる内視鏡カプセル(飲む内視鏡)などにも利用が可能で、期待されている。
〔その他〕
さらに本発明の有機EL素子を組み込んだ発光体は、色調を容易に選択でき、蛍光灯のような明滅がなく、低消費電力で色調が安定しているので、特開2001−269105号公報に示されるような害虫防除装置として、特開2001−286373号公報に示されるような鏡用の照明として、特開2003−288995号公報に示されるような浴室照明システムとして、特開2004−321074号公報に示される植物育成用人工光源として、特開2004−354232号公報に示されるような水質汚れ測定装置の発光体として、特開2004−358063号公報に示されるような光感受性薬剤を用いた治療用被着体として、特開2005−322602号公報に示されるような医療用無影灯として、有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。尚、以下で用いた化合物の構造については実施例最後にまとめて示した。
なお、下記記載のBD−1〜BD−6の発光極大波長は、いずれも480nm以下にあり、GD−1の発光極大波長は500nm以上〜580nm未満の範囲にあり、RD−1の発光極大波長は580nm以上の領域にあった。
実施例1
《有機EL素子の作製》
〔有機EL素子1−1の作製〕
陽極として30mm×30mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を110nmの厚さで成膜した支持基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った後、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量、充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、20nmの正孔注入層を設けた。次いで、α−NPDを同様にして蒸着し20nmの正孔輸送層を設けた。
次いで、化合物BD−2、及び化合物M−1を、化合物BD−2が20%で蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ80nmの燐光発光層を形成した。
その後、化合物M−2を膜厚30nmに蒸着して電子輸送層を形成し、更にKFを厚さ2nm形成した。更に、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成した。
次いで、上記素子の非発光面をガラスケースで覆い、図1、図2に示す構成からなる有機EL素子を作製した。(比較:均一低濃度)
図1は有機EL素子の概略図を示し、有機EL素子101は、ガラスカバー102で覆われている。尚、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。図2は有機EL素子の断面図を示し、図2において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極付きガラス基板を示す。尚、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
〔有機EL素子1−2の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を22%(+10%)にした以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子1−3の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を18%(−10%)にした以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子2−1の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を60%にした以外は同様にして作製した。(比較:均一高濃度)
〔有機EL素子2−2の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を66%(+10%)にした以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子2−3の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を54%(−10%)にした以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子3−1の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を60%からスタートし30%まで、−1.5%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.75%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、全体として厚さ40nmの発光層を形成した以外は同様にして作製した。(比較:濃度勾配薄い)
〔有機EL素子3−2の作製〕
有機EL素子3−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を66%(+10%)からスタートし30%まで、−1.8%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.75%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着した以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子3−3の作製〕
有機EL素子3−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を54%(−10%)からスタートし30%まで、−1.2%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.75%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着した以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子4−1の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を60%からスタートし30%まで、−1.5%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.25%/nmの割合で減少させながら60nm蒸着し、全体として厚さ80nmの発光層を形成した以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子4−2の作製〕
有機EL素子4−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を66%(+10%)からスタートし30%まで、−1.8%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.25%/nmの割合で減少させながら60nm蒸着した以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子4−3の作製〕
有機EL素子4−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を54%(−10%)からスタートし30%まで、−1.2%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.25%/nmの割合で減少させながら60nm蒸着した以外は同様にして作製した。
〔有機EL素子5−1の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を60%からスタートし30%まで、−1.5%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.15%/nmの割合で減少させながら100nm蒸着し、全体として厚さ120nmの発光層を形成した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子5−2の作製〕
有機EL素子5−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を66%(+10%)からスタートし30%まで、−1.8%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.15%/nmの割合で減少させながら100nm蒸着した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子5−3の作製〕
有機EL素子5−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を54%(−10%)からスタートし30%まで、−1.2%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.15%/nmの割合で減少させながら100nm蒸着した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子6−1の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を40%からスタートし30%まで、−0.5%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.25%/nmの割合で減少させながら60nm蒸着し、全体として厚さ80nmの発光層を形成した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子6−2の作製〕
有機EL素子6−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を44%(+10%)からスタートし30%まで、−0.7%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.25%/nmの割合で減少させながら60nm蒸着した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子6−3の作製〕
有機EL素子6−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を36%(−10%)からスタートし30%まで、−0.3%/nmの割合で減少させながら20nm蒸着し、その後30%から15%まで、−0.25%/nmの割合で減少させながら60nm蒸着した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子7−1の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を100%の層を10nm蒸着し、その後8%の層を40nm蒸着し、全体として厚さ50nmの発光層を形成した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子7−2の作製〕
有機EL素子7−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を100%の層を10nm蒸着し、その後9%の層を40nm蒸着した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子7−3の作製〕
有機EL素子7−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を100%の層を10nm蒸着し、その後7%の層を40nm蒸着した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子8−1の作製〕
有機EL素子1−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を100%からスタートし8%まで、−2.3%/nmの割合で減少させながら40nm蒸着形成した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子8−2の作製〕
有機EL素子8−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を90%からスタートし8%まで、−2.05%/nmの割合で減少させながら40nm蒸着形成した以外は同様にして作製。
〔有機EL素子8−3の作製〕
有機EL素子6−1と同様にして、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2のドープ濃度を80%からスタートし8%まで、−1.8%/nmの割合で減少させながら40nm蒸着形成した以外は同様にして作製。
作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。
《有機EL素子の評価》
〔電力効率の測定〕
分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各有機EL素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/mにおける電力効率を求めた。なお、表には、有機EL素子1の電力効率を100とした際の相対値で表示した。
〔駆動寿命の測定〕
正面輝度3000cd/mを初期輝度として連続駆動時の輝度変動を測定し、その輝度半減時間を駆動寿命として求めた。なお、表には、有機EL素子1の駆動寿命を100とした際の相対値で表示した。
〔色度変動幅の測定〕
色度変動幅は、正面輝度300cd/m〜1500cd/mにおけるCIE1931、x、y値の変動最大距離ΔEを下式で求めた。
ΔE=(Δx+Δy1/2
Figure 0005760415
尚、「Δ効率」とは、ドープ濃度を変化した3者間での効率の差を見ている。
表1に示されるように、本発明の素子構成を有する有機EL素子は、発光層内の青燐光発光化合物(BD)の濃度ラチチュードが広く生産安定性が良好であり、実用性が高いばかりか、電力効率、寿命の観点でも共に改善されている。
実施例2
《有機EL素子の作製》
〔有機EL素子9−1,9−2,9−3の作製〕
発光層に用いる材料をBD−2に代えてBD−3とした以外は有機EL素子4−1,4−2,4−3と同様にして有機EL素子9−1,9−2,9−3を作製した。
〔有機EL素子10−1,10−2,10−3の作製〕
発光層に用いる材料をBD−2に代えてBD−4とした以外は有機EL素子4−1,4−2,4−3と同様にして有機EL素子10−1,10−2,10−3を作製した。
〔有機EL素子11−1,11−2,11−3の作製〕
発光層に用いる材料をBD−2に代えてBD−5とした以外は有機EL素子4−1,4−2,4−3と同様にして有機EL素子11−1,11−2,11−3を作製した。
〔有機EL素子12−1,12−2,12−3の作製〕
発光層に用いる材料をBD−2に代えてBD−6とした以外は有機EL素子4−1,4−2,4−3と同様にして有機EL素子12−1,12−2,12−3を作製した。
〔有機EL素子13−1,13−2,13−3の作製〕
発光層に用いる材料をBD−2に代えてBD−1とした以外は有機EL素子4−1,4−2,4−3と同様にして有機EL素子13−1,13−2,13−3を作製した。(比較)
実施例1と同様の評価を行った結果を示す。
Figure 0005760415
「Δ効率」はドープ濃度を変化した3者間での効率の差である。
表2に示されるように、本発明の分子構造を有する青燐光発光化合物については発光層内の青燐光発光化合物(BD)の濃度ラチチュードが広く、生産安定性が良好であり、実用性が高いばかりか、電力効率、寿命の観点でも共に改善されている。
実施例3
〔透明導電体B−1の作製〕
SWCNT:Carbon Solutionsによって供給されたP3 swcnt製品を、両面にガスバリア層を設けた厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、目標付量が30mg/mとなるように、スピンコーターを用いて塗布し、乾燥させ、透明導電体B−1を作製し、プラズマエッチングによりパターニングした。次いで下記導電性ポリマー液P−1を、グラビア塗布機Kプリンティングプルーファー(松尾産業株式会社製)に、印刷パターン辺長20mm・パターン間隔10mmの正方形タイル状パターンを形成した版を取り付け、CNT塗布層の上に乾燥膜厚が150nmとなるように印刷回数を調整してグラビア印刷を行い、正方形タイル状の導電性ポリマー層パターンを形成し、110℃で30分加熱した。
〔透明導電体B−2の作製〕
金属繊維として、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法を参考に、ポリビニルピロリドンK30(分子量5万;ISP社製)を利用して、平均短径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤを濾別、水洗処理した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH−50(信越化学工業社製;水酸基価700mg/g)を銀に対し25質量%加えた水溶液に再分散し、銀ナノワイヤ分散液(AG−1)を調製した。この銀ナノワイヤ分散液を、両面にガスバリア層を設けた厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、銀ナノワイヤの目付け量が50mg/mとなるように、銀ナノワイヤ分散液を、スピンコーターを用いて塗布し、乾燥させた。続いて、銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施し透明導電体B−2を作製した。
下記の方法で調製した導電性ポリマー液P−1を、グラビア塗布機Kプリンティングプルーファー(松尾産業株式会社製)に、印刷パターン辺長20mm・パターン間隔10mmの正方形タイル状パターンを形成した版を取り付け、銀ナノワイヤ塗布層の上に乾燥膜厚が300nmとなるように印刷回数を調整してグラビア印刷を行い、正方形タイル状の導電性ポリマー層パターンを形成し、110℃で30分加熱した。さらに、得られたフィルムの導電性ポリマー層のない部分の銀ナノワイヤ塗布層を、下記の方法で調製した銀エッチング液BF−1に10秒間浸漬し、さらに超音波洗浄機US−10PS(SND社製)を用いて、水中で10分間超音波洗浄を行い除去したのち、水洗、乾燥させて、透明導電フィルムTCF−1を作製した。
〈銀エッチング液BF−1の調製〉
エチレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム 60g
エチレンジアミン4酢酸 2g
メタ重亜硫酸ナトリウム 15g
チオ硫酸アンモニウム 70g
マレイン酸 5g
純水で1Lに仕上げ、硫酸またはアンモニア水でpHを5.5に調整し、銀エッチング液BF−1を調製した。
(導電性ポリマー液P−1の調製)
(ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)の合成)
50ml三口フラスコに2−ブロモイソブチリルブロミド(7.3g、35mmol)とトリエチルアミン(2.48g、35mmol)及びTHF(20ml)を加え、アイスバスにより内温を0℃に保持した。この溶液内にオリゴエチレングリコール(10g、23mmol、エチレングリコールユニット7〜8、Laporte Specialties社製)の33%THF溶液30mlを滴下した。30分攪拌後、溶液を室温にし、更に4時間攪拌した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧除去後、残渣をジエチルエーテルに溶解し、分駅ロートに移した。水を加えエーテル層を3回洗浄後、エーテル層をMgSOにより乾燥させた。エーテルをロータリーエバポレーターにより減圧留去し、開始剤1を8.2g(収率73%)得た。
開始剤1(500mg、1.02mmol)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(4.64g、40mmol、東京化成社製)、50:50v/v%メタノール/水混合溶媒5mlをシュレンク管に投入し、減圧下液体窒素に10分間シュレンク管を浸した。シュレンク管を液体窒素から出し、5分後に窒素置換を行なった。この操作を3回行なった後、窒素下で、ビピリジン(400mg、2.56mmol)、CuBr(147mg、1.02mmol)を加え、20℃で攪拌した。30分後、ろ紙とシリカを敷いた4cm桐山ロート上に反応溶液を滴下し、減圧で反応溶液を回収した。ロータリーエバポレーターにより溶媒を減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量13100、分子量分布1.17、数平均分子量<1000の含量0%、の水溶性バインダー樹脂1を2.60g(収率84%)得た。
構造、分子量は各々1H−NMR(400MHz、日本電子社製)、GPC(Waters2695、Waters社製)で測定した。
〈GPC測定条件〉
装置:Wagers2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414 (Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
得られた水溶性バインダー樹脂1を純水に溶解し、固形分50%の水溶性バインダー樹脂1水溶液を調製した。
次いで、下記のようにして導電性ポリマー液P−1を調製した。
(導電性ポリマー液P−1)
水溶性バインダー樹脂1水溶液(固形分50%水溶液) 0.14g
PEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%)(H.C.Starck社製) 1.59g
《有機EL素子の作製》
〔有機EL素子14−1,14−2,14−3の作製〕
実施例1、2において用いた支持体及び透明導電体をガラス+ITOからB−1に代え、次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAを蒸着することなしに直接、蒸着速度0.1nm/秒でα−NPDを蒸着し70nmの正孔輸送層を設けた以外は、有機EL素子3−1,3−2,3−3と同様にして有機EL素子14−1,14−2,14−3を作製した。(比較)
〔有機EL素子15−1,15−2,15−3の作製〕
支持体及び透明導電体をガラス+ITOからB−1に代え、次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAを蒸着することなしに直接、蒸着速度0.1nm/秒でα−NPDを蒸着し70nmの正孔輸送層を設けた以外は、有機EL素子1−1,1−2,1−3と同様にして有機EL素子15−1,15−2,15−3を作製した。
〔有機EL素子16−1,16−2,16−3の作製〕
支持体及び透明導電体をガラス+ITOからB−1に代え、次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAを蒸着することなしに直接、蒸着速度0.1nm/秒でα−NPDを蒸着し70nmの正孔輸送層を設けた以外は、有機EL素子4−1,4−2,4−3と同様にして有機EL素子16−1,16−2,16−3を作製した。
〔有機EL素子17−1,17−2,17−3の作製〕
支持体及び透明導電体をガラス+ITOからB−2に代え、次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAを蒸着することなしに直接、蒸着速度0.1nm/秒でα−NPDを蒸着し70nmの正孔輸送層を設けた以外は、有機EL素子3−1,3−2,3−3と同様にして有機EL素子17−1,17−2,17−3を作製した。(比較)
〔有機EL素子18−1,18−2,18−3の作製〕
支持体及び透明導電体をガラス+ITOからB−2に代え、次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAを蒸着することなしに直接、蒸着速度0.1nm/秒でα−NPDを蒸着し70nmの正孔輸送層を設けた以外は、有機EL素子1−1,1−2,1−3と同様にして有機EL素子18−1,18−2,18−3を作製した。(比較)
〔有機EL素子19−1,19−2,19−3の作製〕
支持体及び透明導電体をガラス+ITOからB−2に代え、次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAを蒸着することなしに直接、蒸着速度0.1nm/秒でα−NPDを蒸着し70nmの正孔輸送層を設けた以外は、有機EL素子4−1,4−2,4−3と同様にして有機EL素子19−1,19−2,19−3を作製した。
Figure 0005760415
上記において、「Δ効率」はドープ濃度を変化した3者間での効率の差である。
表3に示されるように、本発明の素子構成においては、ITO代替透明導電膜として期待されるCNTやAgナノワイヤ(AgNW)との組合せにおいて、性能が公知の素子構成に対し大幅に向上する。
実施例4
実施例3のB−2の基材及び透明導電フィルムの上に、実施例3の有機EL素子16−1と同様に、正孔輸送層まで設けた。
次いで化合物BD−2、化合物RD−1、化合物GD−1及び化合物M−1を、化合物BD−2を有機EL素子3−1と同様にして、化合物RD−1、GD−1は正面色度がx=0.45±0.03、y=0.42±0.03(CIE1931)になるようにそれぞれ最適な濃度で、蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ40nmの燐光発光層を形成した以外は、実施例17−1と同様にして素子20−1を作製した。
有機EL素子20−2及び20−3は、20−1からBDの量のみを±10%し作製した。
これらと同様にして、実施例3の19−1も正面色度がx=0.45±0.03、y=0.42±0.03(CIE1931)になるように化合物RD−1、GD−1をそれぞれ最適な濃度で、蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ80nmの燐光発光層を形成し素子21−1を作製した。この素子21−1からBDの量のみを±10%し、素子21−1〜21−3を作成した。
下記において、「Δ効率」はドープ濃度を変化した3者間での効率の差である。また「△E」は白色「正面色度がx=0.45±0.03、y=0.42±0.03(CIE1931)」に合わせた基準ドープ量の素子18−1及び19−1からBDの陽極側量のみ±10%変化した素子を作製し1000cdで発光させた時の3者間の最大発光色度差である。
Figure 0005760415
表4に示されるように、本発明素子構成を有する白燐光有機EL素子は、電力効率・高い相対寿命を有するのみならず、BD添加量のバラつきによる性能変動・特に色変動の観点で非常に良好であり、白色照明に供する有機EL素子の実用性の観点大きく性能向上できるものである。
以上において、用いた化合物の構造を以下に示す。
Figure 0005760415
Figure 0005760415
Figure 0005760415
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤

Claims (7)

  1. 少なくとも陽極及び陰極からなる一対の電極と前記電極間に配置された発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    該発光層に
    (A)発光のλmaxが300〜480nmにある少なくとも1種の燐光発光ドーパントを含有し、
    (B)該ドーパントは、下記一般式(A)〜(D)から選ばれる少なくとも1つの部分構造を有し、
    (C)該発光層は少なくともホスト化合物と該燐光発光ドーパントを含有し、発光層内での該燐光発光ドーパントの濃度は膜厚方向において一定ではなく、該陽極側端部において高濃度になっており、かつ、該陽極側端部において35質量%以上、100質量%未満であり、
    (D)該発光層の膜厚が、70nm以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005760415
    〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
    Figure 0005760415
    〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rc、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
    Figure 0005760415
    〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
    Figure 0005760415
    〔式中、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。〕
  2. 前記発光層の陽極側の界面から厚みで20nm部分を除外した部分の、前記燐光発光ドーパントの平均の濃度が5〜30質量%であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記燐光発光ドーパントの最高電子占有準位が5.3eVより浅いことを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記発光層のホスト化合物の最高電子占有準位が前記燐光発光ドーパントより0.2eV以上深いことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 発光色が、CIE1931表色系において規定される各色温度での黒体輻射線上からy値乖離で0.1以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記電極の少なくとも一方が銀ナノ粒子または銀ナノワイヤを含有してなる透明電極であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記電極の少なくとも一方が外径3.5nm未満のカーボンナノチューブを含有してなる透明電極であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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