JP5757204B2 - 放射化コンクリートの処理方法 - Google Patents
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Description
非特許文献1の放射化コンクリートの処理方法では、コンクリートを硝酸などの酸性の処理液で溶解・加熱し、処理液中に抽出された金属(Co、Eu、Fe、Alなど)を回収している。
すなわち、従来の2段階中和法における一段目の沈殿では、微量の目的核種(Co、Eu)が鉄分主体とされる沈殿に混入することから、目的性能を発揮しないおそれがあった。また、脱水性が悪く、処理装置スペースが過大になるという問題があった。
また、一段目の上澄みをさらに高いpH7程度で処理する際にも、目的核種が沈殿せず、そのまま液中に溜まってしまう欠点があることから、液中に残存した目的核種を回収するためにさらにプロセスが必要となるおそれがあり、さらなるコスト増加の懸念があった。
さらにまた、中和時で硝酸液のpH値を4や7で管理するのが非常に難しく、このpH管理にかかる手間と費用が増大しており、その点で改良の余地があった。
また、本発明の他の目的は、プロセスコストを抑えることができるうえ、pH管理にかかる手間と費用を低減することができる放射化コンクリートの処理方法を提供することである。
さらに、本発明に係る放射化コンクリートの処理方法では、硝酸液による中和工程を1回で行う方法となるので、除去作業を効率的に行うことができ、従来のように2段階の中和方法に比べてプロセスコストの低減を図ることができる。そのうえ、2段階の中和方法においてpH管理が難しい一段目のpH4程度の管理が無くなるので、pH管理を容易に行うことができ、これによりコストの低減を図ることができるという効果を奏する。
しかも、従来の2段階の中和方法では一段目の沈殿物の脱水性が悪く、固液分離には多大な施設コストが必要であるが、本発明では、脱水性にも優れており、簡単な構造の設備で対応することが可能である。
さらに、本発明の放射化コンクリートの処理方法では、一段階の中和工程とすることで、プロセスコストを抑えることができるうえ、従来の2段階中和法のように管理の難しいpH値が4程度のpH管理が不要となるので、pH管理にかかる手間と費用を低減することができるという効果を奏する。
図1に示すように、粉砕工程2では、粉砕機を用いて放射化コンクリート1を例えば8mm以下の粒径となるように粉砕する。このとき、例えばロールクラッシャーなどの粉砕機を用いて、表面積を極力大きくした粉砕物Sが得られるように放射化コンクリート1を薄片状に粉砕することが望ましい。そして、篩などで粉砕物Sの粒径が8mm以下であることを確認し、8mm以上のものに対しては、再度粉砕工程2を行い8mm以下にする。なお、粉砕物Sは、粒径が8mm以下であれば、それぞれの粒径が不揃いであってもよい。
次に、粉砕工程2で得られた粉砕物Sを硝酸液M1に浸す抽出工程3を実施した後、その硝酸液M1をアルカリ領域まで一気に上昇させ、粉砕物Sに含まれるコバルト、ユーロピウムの目的核種K1、及び非目的核種K2の成分からなる金属塩(沈殿物T1)を沈殿させる中和工程4を行う。硝酸液M1の濃度は、30重量%以上70重量%以下のものを使用する。この硝酸液M1をpH7〜12のアルカリ領域まで任意の時間で一気に上昇させることで、目的核種K1と非目的核種K2の成分とが共沈して抽出される。この中和過程において、非目的核種K2のFeやAlなどが水酸化物となり沈殿し、目的核種K1のCoおよびEuが水酸化物となり共に共沈する。ここで、粉砕物Sを硝酸液M1に浸す抽出時間は、例えば骨材の大きさや材質等で異なるが12〜48時間である。そして、中和後の硝酸中和液M2には少なくとも目的核種K1は残存しない状態となり、この硝酸液M2を適宜処理する。
続いて、中和工程4で得られた沈殿物T1を硝酸中和液から分離し、水W1で洗浄する洗浄工程5を行う。
具体的には、硝酸中和液を遠心分離装置、フィルターろ過装置などの固液分離装置に導入し、固液分離する。それ沈殿に水W1を供給して沈殿物T1を洗浄する。これにより、沈殿物T1に保持された水分中に高濃度で溶け込んでいる中和塩(例えば、硝酸ナトリウムや硝酸アンモニウム)を沈殿物T1より取り除くことができる。このとき、洗い水中には、CoおよびEuが再溶解することはない。なお、この水W1は、例えば40〜90℃の熱水を使用することで、より確実な洗浄を行うことが可能である。
次に、洗浄工程5で洗浄した洗浄後沈殿物T2の中で高濃度を占める鉄分に関しては、さらに塩酸に溶かした後、エーテル抽出によって洗浄後沈殿物T2中の非目的核種K2を回収するエーテル抽出工程6を行う。これにより、塩酸中には元の硝酸に含まれていた目的核種K1の100%が存在し、鉄分のみをほぼ100%排除することができる。
続いて、エーテル抽出工程6後の沈殿した目的核種K1のCoとEuの水酸化物および非目的核種K2のAlなどの水酸化物をこれら成分が混在した状態の抽出後沈殿物T3に対して、乾燥させ固形化させて回収する回収工程7を行う。なお、これらの回収された水酸化物を、金属成分乾燥工程(図示省略)に送り、乾燥処理した後に、放射性廃棄物として処分する。このとき、乾燥した固形分には上記洗浄工程5によって中和塩が取り除かれているので、中和塩が少ない状態で処分されることになる。
また、洗浄工程5などで中和塩が溶け込んで高塩水となった処理液W2は、希釈して放流する。
図1に示すように、中和工程4において、粉砕工程2で得られた粉砕物Sを浸す抽出工程3を経た硝酸液M1をpH7〜12のアルカリ領域まで一気に上昇させることで、硝酸液M1の非目的核種K2のFeやAlなどが水酸化物となり沈殿するとともに、目的核種K1のCoおよびEuが水酸化物となり共沈する。
つまり、抽出液に含まれる目的核種K1と非目的核種K2の成分とが共沈するので、確実にかつ効率的に沈殿・除去を行うことができる。そして、中和後の硝酸中和液M2には少なくとも目的核種K1は残存しない状態となり、この硝酸中和液M2を一般廃液として適宜処理することができる。
さらに、硝酸液M1による中和工程4を1回で行う方法となるので、除去作業を効率的に行うことができ、従来のように2段階の中和方法に比べてプロセスコストの低減を図ることができる。そのうえ、2段階の中和方法においてpH管理が難しい一段目のpH4程度の管理が無くなるので、pH管理を容易に行うことができ、これによりコストの低減を図ることができるという効果を奏する。
しかも、従来の2段階の中和方法では一段目の沈殿物の脱水性が悪く、固液分離には多大な施設コストが必要であるが、本実施の形態では、脱水性にも優れており、簡単な構造の設備で対応することが可能である。
さらに、一段階の中和工程4とすることで、プロセスコストを抑えることができるうえ、従来の2段階中和法のように管理の難しいpH値が4程度のpH管理が不要となるので、pH管理にかかる手間と費用を低減することができるという効果を奏する。
例えば、本実施の形態では洗浄工程5の後にエーテル抽出工程6を行ってから、その抽出後沈殿物T3を回収しているが、このような処理工程に制限されることはなく、図2に示すようにエーテル抽出工程6を省略することも可能である。この場合、洗浄工程5で洗浄した洗浄後沈殿物T2に対して、乾燥させ固形化させて回収する回収工程7を行う方法となる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
2 粉砕工程
3 HNO3抽出工程
4 中和工程
5 洗浄工程
6 エーテル抽出工程
7 回収工程
K1 目的核種
K2 非目的核種
M1 硝酸液
M2 硝酸中和液
S 粉砕物
T1 沈殿物
T2 洗浄後沈殿物
T3 抽出後沈殿物
W1 水
W2 処理液
Claims (3)
- 放射化コンクリートを粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程で得られた粉砕物を硝酸液に浸し、該硝酸液をpH7〜12のアルカリ領域まで一気に上昇させ、前記粉砕物に含まれるコバルト、ユーロピウムの目的核種、及び鉄、アルミニウムの非目的核種の成分からなる金属塩を沈殿させる中和工程と、
前記中和工程で得られた沈殿物を硝酸中和液から分離し、水で洗浄する洗浄工程と、
を有することを特徴とする放射化コンクリートの処理方法。 - 前記洗浄工程で洗浄した沈殿物を塩酸に溶かした後、エーテル抽出によって沈殿した前記目的核種のコバルトとユーロピウムの水酸化物および前記非目的核種の鉄やアルミニウムの水酸化物をこれら成分が混在した状態の抽出後沈殿物に対して、乾燥させ固形化させて回収することを特徴とする請求項1に記載の放射化コンクリートの処理方法。
- 前記洗浄工程で使用する水は、熱水であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射化コンクリートの処理方法。
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