JP5756651B2 - カンデサルタンシレキセチルを安定化した組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記カンデサルタン及びカンデサルタンシレキセチルなどのカンデサルタン誘導体は、製剤化の際の圧力、摩擦、熱などにより不安定化することが知られている(非特許文献1参照)。これらのカンデサルタン及びカンデサルタン誘導体の安定化を目的として、カンデサルタンシレキセチルなどの薬剤と、ポリエチレングリコール6000などの低融点油脂状物質とを含有する経口用医薬組成物が報告され、該組成物において温度安定性が向上することが開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、製剤化に際し、前記カンデサルタン及びカンデサルタン誘導体のさらなる温度安定性を実現する技術に加えて、優れた湿度安定性、及び光安定性を実現する技術が求められている。
<1> カンデサルタンシレキセチルと、マンニトール及び乳糖の少なくともいずれかの糖類とを含有し、
前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、水及び含水有機溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、圧縮成型してなることを特徴とする組成物である。
<2> カンデサルタンシレキセチルと、マンニトール及び乳糖の少なくともいずれかの糖類とポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースナトリウム及びデンプングリコール酸ナトリウムから選択される少なくとも1種の結合剤とを含有し、
前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、前記結合剤を溶解した水及び含水有機溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、圧縮成型してなることを特徴とする組成物である。
<3> 結合剤が、ポリビニルアルコールである前記<2>に記載の組成物である。
<4> 結合剤が、ポリビニルピロリドンである前記<2>に記載の組成物である。
<5> 結合剤の含有量が、0.001質量部〜5質量部である前記<2>から<4>のいずれかに記載の組成物である。
<6> 糖類が、マンニトールである前記<1>から<5>のいずれかに記載の組成物である。
<7> 糖類が、乳糖である前記<1>から<5>のいずれかに記載の組成物である。
<8> 糖類の含有量が、70質量%〜99.6質量%である前記<1>から<7>のいずれかに記載の組成物である。
<9> 空隙率が20%以上の錠剤である前記<1>から<8>のいずれかに記載の組成物である。
<10> カンデサルタンシレキセチルと、マンニトール及び乳糖の少なくともいずれかの糖類との混合物を、水及び含水有機溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、2kg/cm2〜160kg/cm2にて圧縮成型することを特徴とする組成物の製造方法である。
<11> カンデサルタンシレキセチルと、マンニトール及び乳糖の少なくともいずれかの糖類との混合物を、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースナトリウム及びデンプングリコール酸ナトリウムから選択される少なくとも1種の結合剤を溶解した水及び含水有機溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、2kg/cm2〜160kg/cm2にて圧縮成型することを特徴とする組成物の製造方法である。
<12> 結合剤が、ポリビニルアルコールである前記<11>に記載の組成物の製造方法である。
<13> 結合剤が、ポリビニルピロリドンである前記<11>に記載の組成物の製造方法である。
<14> 結合剤の含有量が、0.001質量部〜5質量部である前記<11>から<13>のいずれかに記載の組成物の製造方法である。
<15> 糖類が、マンニトールである前記<10>から<14>のいずれかに記載の組成物の製造方法である。
<16> 糖類が、乳糖である前記<10>から<14>のいずれかに記載の組成物の製造方法である。
<17> 糖類の含有量が、70質量%〜99.6質量%である前記<10>から<16>のいずれかに記載の組成物の製造方法である。
<18> 空隙率が20%以上の錠剤である前記<10>から<17>のいずれかに記載の組成物の製造方法である。
本発明の組成物は、少なくともカンデサルタンシレキセチル、及び糖類を含有し、前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、練合溶媒で練合して湿潤粉体とし、圧縮成型してなり、好ましくは結合剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含む。本発明の組成物は、結合剤を更に含有し、前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、前記結合剤を溶解した前記練合溶媒で練合して湿潤粉体とし、圧縮成型してなることが好ましい。
カンデサルタンシレキセチルは、カンデサルタンのプロドラッグである。
前記カンデサルタンの化学名は、2−ブチル−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}ベンズイミダゾール−7−カルボン酸であり、その構造式は下記構造式(1)の通りである。
前記カンデサルタンシレキセチルは、胃腸管から吸収される間に、急速かつ完全にカンデサルタンに加水分解される。前記カンデサルタンシレキセチルは、白色からオフホワイトの粉末であり、水及びメタノールにはほとんど不溶性である。前記カンデサルタンシレキセチルは、従来公知の方法により製造することができ、市販品を用いることができる。該市販品としては、例えば、candesartan cilexetil(Assia Chemical Industries Ltd.,Teva−Tech site製)などが挙げられる。
前記糖類としては、マンニトール及び乳糖の少なくともいずれかであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、服用感(味)の点で、マンニトールが好ましく、苛酷な条件下での経時的な錠剤物性の安定性の面で、乳糖がより好ましい。
前記糖類の前記組成物における含有量としては、70質量%〜99.6質量%が好ましく、76質量%〜99質量%がより好ましく、82質量%〜99質量%が特に好ましい。前記含有量が、70質量%未満であると、1錠あたりの大きさが小さすぎて取り扱いにくくなることがあり、99.6質量%を超えると、1錠あたりの質量及び大きさが大きすぎることがある。一方、前記含有量が、特に好ましい範囲であると、錠剤の大きさの点で有利である。
前記練合溶媒は、水及び含水有機溶媒のいずれかである。
前記含水有機溶媒における有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの製薬上許容される水溶性有機溶媒が挙げられる。前記練合溶媒における有機溶媒と水との配合比(有機溶媒/水の質量比)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜4が好ましく、0〜3がより好ましく、0.05〜0.2が特に好ましい。前記混合比が4を超えると、経済的に不利であるほか、結合剤の種類によっては沈殿を生ずるなどの不具合が生じる場合があり、また引火の危険性が増大することがある。一方、前記混合比が、特に好ましい範囲であると、成型後の錠剤物性が好適に保たれる点で有利である。
前記練合溶媒の添加量としては、前記カンデサルタンシレキセチルと、前記糖類と、前記結合剤との総量100質量部に対し、1質量部〜25質量部が好ましく、3質量部〜20質量部がより好ましい。
前記結合剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースナトリウム及びデンプングリコール酸ナトリウムから選択される少なくとも1種であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが好ましい。
前記結合剤の前記組成物における含有量としては、0質量%であってもよいが、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、より好ましい範囲であると、十分な錠剤の強度が維持でき、好適な錠剤物性が得られる点で有利である。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、通常、医薬組成物に用いることができる公知の成分を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記糖類以外の他の糖類、前記結合剤以外の他の結合剤、滑沢剤、崩壊剤、嬌味剤、香料などが挙げられる。
前記他の糖類としては、キシリトール、ソルビトールなどが挙げられる。前記他の結合剤としては、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。前記滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。前記崩壊剤としては、デンプン(トウモロコシデンプン等)、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウムなどが挙げられる。前記嬌味剤としては、例えば、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウムなどが挙げられる。前記香料としては、例えば、l-メントール、バニリン、オレンジ油などが挙げられる。
一実施形態において、本発明の組成物は、前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、前記練合溶媒及び前記結合剤を溶解した前記練合溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、圧縮成型してなる組成物である。これらの中でも、本発明の組成物は、圧縮成型してなる湿製錠剤であることが好ましく、該湿製錠剤は、後述する本発明の組成物の製造方法により製造することができる。
このようにして得られた組成物は、例えば、空隙率を測定することにより同定することができる。また、本発明の組成物は、空隙率が20%以上の錠剤であることが好ましく、空隙率が20%〜35%の錠剤であることがより好ましく、空隙率が20%〜30%の錠剤であることが特に好ましい。
ここで、前記「空隙率」は、例えば、水銀圧入細孔分布測定装置(オートポア、株式会社島津製作所製)を用いて下記式(1)に基づいて測定することができる。
ε(%)=Vm/Vs ・・・式(1)
ただし、式(1)中、εは、空隙率を示し、Vmは、組成物の細孔容積を示し、Vsは、組成物の体積を示す。
ここで、前記Vm及びVsは、それぞれ下記式(2)及び(3)より求める。
Vm=Wt/Ws ・・・式(2)
ただし、式(2)中、Wtは、圧入水銀量(cm3)を示し、Wsは、組成物質量(g)を示す。
Vs=Wm/Ld ・・・式(3)
ただし、式(3)中、Wmは、組成物の容積あたりの水銀質量(g)を示し、Ldは、水銀の密度(g/cm3)を示す。
また、他の実施形態において、本発明の組成物は、前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、前記練合溶媒及び前記結合剤を溶解した前記練合溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、湿式造粒してなる組成物(湿式造粒物)である。本発明の組成物は、必要に応じて製剤化助剤を加えて湿式造粒して、顆粒剤、細粒剤とすることができ、更にカプセルに充填してカプセル剤とすることができる。
前記湿潤粉体を湿式造粒する方法としては、特に制限なく、目的に応じて適宜公知の湿式造粒法を選択することができ、例えば、円筒造粒機、ペレッター等を使用する押出造粒法、スピードミル、パワーミル等を使用して湿潤捏和物を破砕する破砕造粒法、ミニマイザー、パワーニーダー、スピードミル、マルメライザー等を使用し、主として転動作用により造粒する転動造粒法、噴霧乾燥等の方法による流動層造粒法などが挙げられる。
なお、前記湿潤粉体は、後述する錬合工程により調製することができる。
更なる実施形態において、本発明の組成物は、前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、前記練合溶媒及び前記結合剤を溶解した前記練合溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、湿式造粒してなる組成物(湿式造粒物)を、さらに圧縮成型してなる組成物(湿製錠剤)である。
本発明の組成物の製造方法は、少なくとも練合工程と、圧縮成型工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択した、乾燥工程などのその他の工程を含む。
前記練合工程は、少なくとも前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類とを練合する工程である。
前記練合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができるが、カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、前記練合溶媒で練合して湿潤粉体とする方法が挙げられる。また、カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、前記結合剤を溶解した前記練合溶媒で練合して湿潤粉体とする方法が好ましい。
前記糖類及び前記結合剤の好ましい態様としては、本発明の組成物において記載したものを用いることができる。
前記圧縮成型工程は、前記練合工程において得られた湿潤粉体を、圧縮成型する工程である。
前記圧縮成型工程における充填加圧時の圧力としては、2kg/cm2〜160kg/cm2であり、5kg/cm2〜80kg/cm2が好ましく、5kg/cm2〜60kg/cm2がより好ましく、5kg/cm2〜40kg/cm2が特に好ましい。前記圧力が、2kg/cm2未満であると、良好な成型性が得られないことがあり、160kg/cm2を超えると、組成によっては、所望のカンデサルタンシレキセチルの環境安定性が得られないことがある。一方、前記圧力が、特に好ましい範囲であると、カンデサルタンシレキセチルの温度安定性、湿度安定性、及び光安定性の全てが向上する点で有利である。
圧縮成型して得られた組成物を乾燥する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の装置を用いた乾燥方法を適宜選択することができ、そのような装置としては、例えば、棚式乾燥機、ベルトコンベアを備えた通風乾燥機などが挙げられる。前記乾燥工程は、例えば、錠剤の成形中及び成形後など、複数回行ってもよい。
特開平8−19588号公報に開示される錠剤製造装置(1)及び特開平8−19589号公報に開示される錠剤製造装置(2)、並びに該錠剤製造装置を用いた本発明の組成物の製造方法について、以下に説明する。
特開平8−19588号公報に開示される錠剤製造装置(1)は、複数の充填穴を備えた第1テーブルと、複数のモールド穴を備えて第1テーブルに部分的に接触して相対移動する第2テーブルとを使用し、第1テーブルの充填穴に湿潤粉体を過分に供給し、充填穴に供給された湿潤粉体を第1テーブルの充填穴と第2テーブルのモールド穴とが重なる位置で充填ピンにより第2テーブルのモールド穴に加圧充填し、次いで両テーブルを相対移動させてモールド穴内の湿潤粉体を擦り切ることにより、錠剤を成形するようにしたものである。
特開平8−19589号公報に開示される錠剤製造装置(2)は、前記湿潤粉体を成形用穴に充填し、この成形用穴内の湿潤粉体の少なくとも一方の面を張り付き防止フィルムを介して成形用金型により錠剤の形に成形するようにしたものである。
図9は、成形装置213と、これに付属して配置された離型剤塗布装置214と張り付き防止フィルム送り装置215との位置関係を示している。成形装置213は、第2テーブル3の両側にそれぞれ配置された同じ構造の上部成形装置221と下部成形装置222とからなり、それぞれ成形用金型である上杵223及び下杵224を有する。上杵223及び下杵224の端面は面取り形状に形成されている。張り付きフィルム送り装置215もまた、第2テーブル3の両側に同じ構造のものが配置され、成形装置221,222のそれぞれの一方の側に配置されて、樹脂製又はゴム製のテープ状の張り付き防止フィルム225を巻かれてこれを送り出す送りリール226と、その反対側に配置されて、使用済みの張り付き防止フィルム225を巻取る巻取りリール227と、成形装置221,222の両側に配置されて、張り付き防止フィルム225に張力を与えるテンション装置228,229とを備えている。また、各送りリール226側のテンション装置228と各成形装置221,222との間には、張り付き防止フィルム225の第2テーブル3側の面に離型剤(滑沢剤とも言われ、張り付き防止用の物質)を塗布する離型剤塗布装置214が配置されている。なお、この離型剤塗布装置214は、張り付き防止フィルム225に前記湿潤粉体が付着するのを防止するためのものであり、使用する張り付き防止フィルム225が、ポリテトラフルオロエチレンなどの離型性に優れたものである場合には設ける必要はない。また、錠剤に離型剤が混入するのを嫌う場合にも設置されない。張り付き防止フィルム225としては、柔軟性があって切断しにくく、成形時に湿潤粉体が付着しにくく、医薬品の安定性等に影響せず、医薬品の包装材料として使用できるフィルムを用いるのが好ましい。例えば、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどのフィルムが用いられる。そのフィルムの厚みとしては、10μm〜30μmが好ましい。
ステーションDにおいては、図10(d)に示すように、モールド穴7内の湿潤粉体Pは、上部成形装置221の上杵223及び下部成形装置222の下杵224により、それぞれ張り付き防止フィルム225を介して上下から成形され、両面が上杵223及び下杵224の端面形状に沿って面取り成形されるとともに、上杵223及び下杵224に湿潤粉体Pが付着するのを防止する。この面取り成形は、錠剤の角をとって磨損や欠けを少なくするためのものであり、本明細書では、面取りとは平面による面取りのみならず、球面による丸み付けをも面取りに含めるものとする。
錠剤あたり、カンデサルタンシレキセチル4mg及びD−マンニトール154.88mgに、ポリビニルアルコール1.12mgを溶解した水−エタノール(75:25、質量比)混合溶媒17.12mgを加えて練合した。この練合物を特開平8−19589号公報に開示される前記錠剤製造装置を用い、30kg/cm2の圧力にて充填加圧することにより圧縮成型して製錠し、1錠あたり160.0mgの錠剤を得た。
作製した錠剤について、以下のように評価した。
<<カンデサルタンシレキセチルの類縁物質の測定>>
作製した錠剤について、カンデサルタンシレキセチルの類縁物質、即ち、カンデサルタンシレキセチルの分解物質の量を、以下のHPLC条件により測定した。また、カンデサルタンシレキセチルの類縁物質量(%)は、HPLCのカンデサルタンシレキセチル原薬に由来する全ピーク面積中の類縁物質のピーク面積の%で表した。
−試料溶液の調製−
得られた錠剤に、水4.0mlを加え、次いでアセトニトリル10.0mlを加えて溶解した後に、10分間の超音波処理を行い、遠心分離(3000rpm、10分間)、0.45μmフィルター(商品名:Millex−LH、ミリポア社製)を用いてろ過したものを、HPLCに呈する試料溶液とした。
−標準溶液の調製−
カンデサルタンシレキセチルの原薬10mgを精密に量り、アセトニトリル−水混液(3:2)を加え25mLとした。この溶液1mlを正確に量り、アセトニトリル−水混液(3:2)を加えて100mlとし、標準溶液とした。
−HPLC条件−
装置: 日立D7000
カラム: Inertsil ODS−4 3μm、4.6×150mm、30℃
注入量: 10μL
検出: UV 254nm
流量: 1.0mL/min
移動相A:アセトニトリル:水:酢酸=10:90:1(体積比)の溶液
移動相B:アセトニトリル:水:酢酸=90:10:1(体積比)の溶液
勾配スケジュール:
A B
0min〜30.0min 42%−> 0% 58%−>100%
30.0min〜32.5min 0% 100%
32.5min〜33.0min 0%−>42% 100%−> 58%
33.0min〜36.0min 42% 58%
収集時間:36min
得られた錠剤をシャーレに入れた開放条件において、下記表2に示す通りの条件下で0.5ヶ月間又は1ヶ月間保存した後、上記測定方法を用いてカンデサルタンシレキセチルの類縁物質量(%)を測定した。結果を表2に示す。
なお、表2中の「冷所」とは、約4℃、湿度成り行きの条件を示す。
得られた錠剤をシャーレに入れた開放条件において、キセノンランプ(キセノン光安定性試験機LTX−01、長野科学社製)を用い、照射量120万lux・hの条件下で露光した後、上記測定方法を用いてカンデサルタンシレキセチルの類縁物質を測定した。結果を表3に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコールに代えて参考例2の錠剤を作製した。
得られた錠剤について、実施例1と同様に上記評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
表1に表す通りの配合にて、直接打錠し、比較例2の錠剤を作製した。
得られた錠剤について、実施例1と同様に上記評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
実施例1の錠剤に代えて、先発製剤であるブロプレス(登録商標)錠4(武田薬品工業株式会社;1錠あたりカンデサルタンシレキセチル4mgを含有する)を比較例2の錠剤として用い、実施例1と同様に上記評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
また、前記ブロプレス(登録商標)錠4の添付文書より、該錠剤に使用されていることが想定される成分について、表1中、「*」にて示した。
特願平4−303988号公報に記載の実施例(本発明「A」:ポリエチレングリコール6000含有)及び比較例(対照「B」:ポリエチレングリコール6000非含有)と同様の処方により、比較例3及び4の錠剤を作製した。
具体的には、下記表1の処方に従い、カンデサルタンシレキセチルと、乳糖水和物と、トウモロコシデンプンと、ポリエチレングリコール6000(ただし、比較例4では、代わりに乳糖水和物を用いた)とをラボ用万能粉粒体処理装置(メカノミル、岡田精工株式会社製)を用いて混合し、ヒドロキシプロピルセルロースの水溶液をスプレーして流動層造粒乾燥機(パルビスミニベット、ヤマト科学株式会社製)を用いて造粒及び乾燥後、整粒機(コーミル、スクリーン径0.8mm、株式会社パウレック製)を用いて整粒し、カルボキシメチルセルロース及びステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、ロータリー打錠機(VIRGO、株式会社菊水製作所製)を用いて直径7.0mm、隅角平面の杵を用いて130mg/錠、圧力2,000kg/cm2で打錠し、硬度30N〜40Nの錠剤を得た。
得られた錠剤について、実施例1と同様に上記評価を実施した。結果を表2に示す。
実施例1において、各組成を表4−1及び表4−2に表す分量添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4〜9、13及び14、並びに、参考例3及び10〜12の錠剤を作製した。
得られた錠剤について、実施例1と同様に上記評価を実施した。結果を表5−1及び表5−2に示す。
また、参考例3、実施例6、8及び9の空隙率を、水銀圧入細孔分布測定装置(オートポア、株式会社島津製作所製)を用いて下記式(1)に基づいて測定した。
ε(%)=Vm/Vs ・・・式(1)
ただし、式(1)中、εは、空隙率を示し、Vmは、組成物の細孔容積を示し、Vsは、組成物の体積を示す。
その結果、参考例3、実施例6、8及び9の空隙率は、それぞれ29%、24%、24%及び25%であり、空隙率20%を超えるものであった。
また、表3の結果から、光安定性試験において、本発明組成物では、比較例1〜2に比べてカンデサルタンシレキセチルの類縁物質(分解物質)が顕著に少なく、カンデサルタンシレキセチルが極めて安定であることがわかった。
2 第1テーブル
3 第2テーブル
4 モータ
5 間欠割出装置
6 充填穴
7 モールド穴
8 充填加圧装置
9 充填ピン
10 充填受け部材
11 ホッパー
12 ホッパー受け部材
113,213 成形装置
114,215 離型剤塗布装置
215 張り付き防止フィルム送り装置
16 乾燥装置
17 取り出し装置
18 取り出しピン
19 コンベア
20 乾燥装置
30 スライドピン
31 レール
32 空気穴
33 モールド穴
121,221 上部成形装置
122,222 下部成形装置
123,223 上杵
124,224 下杵
225 張り付き防止フィルム
226 送りリール
227 巻取りリール
228,229 テンション装置
240 張り付き防止フィルム
241 送り装置
242 巻取りリール
243 送りリール
244 張り付き防止フィルム送り装置
Claims (11)
- カンデサルタンシレキセチルと、マンニトール及び乳糖の少なくともいずれかの糖類と、結合剤としてのポリビニルアルコールとを含有し、
前記糖類の含有量が、70質量%〜99.6質量%であり、
前記カンデサルタンシレキセチルと前記糖類との混合物を、前記結合剤を溶解した水及び含水有機溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、前記湿潤粉体を圧縮成型してなることを特徴とする組成物。 - 結合剤の含有量が、0.001質量部〜5質量部である請求項1に記載の組成物。
- 糖類が、乳糖である請求項1から2のいずれかに記載の組成物。
- 空隙率が20%以上の錠剤である請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
- 湿潤粉体が、トウモロコシデンプンを含有しない請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
- カンデサルタンシレキセチルと、マンニトール及び乳糖の少なくともいずれかの糖類との混合物を、結合剤としてのポリビニルアルコールを溶解した水及び含水有機溶媒のいずれかで練合して湿潤粉体とし、前記湿潤粉体を2kg/cm 2 〜160kg/cm 2 にて圧縮成型することを特徴とする組成物の製造方法。
- 結合剤の含有量が、0.001質量部〜5質量部である請求項6に記載の組成物の製造方法。
- 糖類が、乳糖である請求項6から7のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 糖類の含有量が、70質量%〜99.6質量%である請求項6から8のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 空隙率が20%以上の錠剤である請求項6から9のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 湿潤粉体が、トウモロコシデンプンを含有しない請求項6から10のいずれかに記載の組成物の製造方法。
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