JP5754315B2 - 樹脂微粒子及びトナーの製造方法、並びにこれらの製造装置 - Google Patents

樹脂微粒子及びトナーの製造方法、並びにこれらの製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂微粒子、及び、複写機、静電印刷、プリンタ、ファクシミリ、静電記録等における静電荷像を現像するためのトナーの製造方法、並びに、これらの製造装置に関する。
電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するために使用される現像剤は、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体に一旦付着され、次に、静電潜像担持体から転写紙等の記録媒体に転写された後、紙面に定着される。この場合、静電潜像担持体上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーとからなる二成分系現像剤、及びキャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
従来より、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等のトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し、微粉砕した、いわゆる粉砕型トナーが広く用いられている。
また、最近では、懸濁重合法、乳化重合凝集法によるトナー製造法により製造された重合型トナーが提案されている。
しかしながら、前記懸濁重合法及び前記乳化重合凝集法には、使用可能な樹脂の汎用性が低いという問題がある。
そこで、ポリマー溶解懸濁法と呼ばれる体積収縮を伴う方法により製造された重合型トナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記ポリマー溶解懸濁法は、トナー材料を低沸点有機溶媒などの揮発性溶剤に分散乃至溶解させ、これを分散剤の存在する水系媒体中で乳化し、液滴化した後に揮発性溶剤を除去するものである。前記ポリマー溶解懸濁法は、前記懸濁重合法及び前記乳化重合凝集法とは異なり、使用可能な樹脂の汎用性が高く、特に、透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
しかしながら、前記ポリマー溶解懸濁法においては、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているために、トナーの帯電特性を損なう分散剤がトナー表面に残存して環境安定性が損なわれるなどの不具合が発生することや、これを除去するために非常に大量の洗浄水を必要とするという問題がある。
そこで、水系媒体を用いないトナーの製造方法として、古くより噴霧造粒法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。前記噴霧造粒法は、トナー組成分の溶融液又はトナー組成液を溶解した液体を、様々なアトマイザーを用いて微粒子化して吐出し、乾燥させて粒子を得るため、水系媒体を用いることによる不具合は生じない。
しかしながら、従来の噴霧造粒法により得られる粒子は、比較的粗く大きなものであり、また、粒度分布も広いため、トナーそのものの特性を劣化させるという問題がある。
そこで、圧電パルスを利用してノズルから微小液滴を形成し、これを乾燥固化してトナーを製造するトナーの製造方法及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、前記トナーの製造方法及び製造装置にあっては、一つの圧電体を用いて一つのノズルからの液滴吐出しか行うことができず、単位時間当たりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題がある。
また、圧電パルスを音響レンズにより収束し、収束した音響パルスによりトナー組成物をノズルから固化部に吐出させて微小液滴を形成し、これを乾燥固化してトナーを製造するトナーの製造方法及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、前記トナーの製造方法及び製造装置であっても、一つの圧電体を用いて一つのノズルからの液滴吐出しか行うことができず、単位時間当たりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題がある。
そこで、複数の吐出孔(ノズル)が形成された薄膜に対向した振動面を圧電体の伸縮により振動させ、一定の周波数でトナー組成物流体の液滴を吐出させ、この液体を固化させてトナー粒子を製造するトナーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、前記トナー製造方法は、一つの圧電体に対して複数の吐出孔を設けた場合、圧電体の振動が各吐出孔にまで伝わる速度が圧電体からの距離により異なるため、各吐出孔から吐出される液滴にタイムラグが生じ、吐出孔間で吐出量が異なってしまうという問題がある。
そこで、液室に接続されている複数吐出孔が形成された薄膜を、この薄膜の周囲に配された電気機械変換手段で直接振動させ、トナー組成液を吐出して液滴化させ(膜振動型吐出手段)、この液滴を固化させてトナー粒子を製造するトナー粒子の製造方法及び製造装置が提案されている(例えば、特許文献6参照)。前記トナー粒子の製造方法及び製造装置によれば、吐出孔が形成された薄膜を直接振動させることができることから、粒度の単一分散性を有したトナーを得ることができる。
しかしながら、前記トナー粒子の製造方法及び製造装置のように、複数の吐出孔が形成された薄膜と平行な方向に波動を生じさせ、トナー組成液を吐出し、液滴化させる方法の場合、薄膜と平行な方向に振動速度分布ができることにより、吐出孔内のトナー組成液のメニスカスに加わる音圧、ひいてはトナー組成液の吐出速度に分布が生じる。その結果、メニスカスに加わる音圧が小さい箇所では吐出せず、また、吐出しても液滴間が合一しやすいため、単一分散性の液滴を吐出できる面積は、前記薄膜(吐出構造体、ノズルプレート)の面積に対して狭くなるという問題がある。単一分散性の液滴を吐出できる面積が狭いと、生産に必要な設備を広くしなければならないだけでなく、製造装置のエネルギー効率も低くなるため、前記面積の拡大が求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、複数の吐出孔から同時に液滴を吐出でき、複数の吐出孔から吐出した液滴が合一することなくそれぞれ均一な量で吐出でき、単位時間当たりに吐出できる液滴数が多く、汎用性及び単一分散性が高いトナーを効率よく製造できるトナーの製造方法及びその製造装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成手段と、前記液滴化したトナー組成液を固化させて粒子を形成する粒子形成手段と、を有することで、複数の吐出孔から同時に液滴を吐出でき、複数の吐出孔から吐出した液滴が合一することなくそれぞれ均一な量で吐出でき、単位時間当たりに吐出できる液滴数が多く、汎用性及び単一分散性が高いトナーを効率よく製造できることを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成手段と、前記液滴化したトナー組成液を固化させて粒子を形成する粒子形成手段と、を有することを特徴とするトナーの製造装置である。
<2> 液滴形成手段が、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔が形成された吐出構造体を有し、前記複数の吐出孔の形状が、前記複数の吐出孔の開口径がトナー組成液の吐出方向に向かって小さくなるテーパ形状であり、前記複数の吐出孔が、前記吐出構造体における位置によって異なるテーパ角を有する前記<1>に記載のトナーの製造装置である。
<3> 液滴形成手段が、振動を発生する振動発生体を更に有し、前記振動発生体が、吐出構造体の周囲に円環状に設けられた前記<2>に記載のトナーの製造装置である。
<4> 吐出構造体における、振動発生体側に位置する吐出孔のテーパ角が、中央部に位置する吐出孔のテーパ角よりも大きい前記<3>に記載のトナーの製造装置である。
<5> 液滴形成手段が、吐出孔が開孔されている液室と、前記液室内のトナー組成液に振動を付与する振動発生体とを有し、前記振動発生体により振動を付与された前記液室内の前記トナー組成液が液柱共鳴により圧力定在波を形成し、前記圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴化する手段である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<6> 粒子形成手段が、液滴化したトナー組成液及び固化された粒子の少なくともいずれかを搬送する搬送気流を内部に流通させる搬送気流流通路を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーの製造装置である。
<7> 搬送気流流通路が、液滴形成手段により吐出された液滴の吐出初速度の方向に対し略直交する方向の搬送気流が形成されるように設けられた前記<6>に記載のトナーの製造装置である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーの製造装置を用いてトナーを製造する方法であって、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化したトナー組成液を固化させ粒子を形成する粒子形成工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
<9> 液滴形成工程が、複数の吐出孔を有する吐出構造体の周囲に円環状に設けられた振動発生体が前記吐出構造体に振動を付与してトナー組成液を吐出して液滴化する工程である前記<8>に記載のトナーの製造方法である。
<10> 液滴形成工程が、複数の吐出孔を有する液室内のトナー組成液に振動を付与し、前記トナー組成液に液柱共鳴による圧力定在波を形成し、前記圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出する工程である前記<8>に記載のトナーの製造方法である。
<11> 粒子形成工程が、少なくとも吐出孔の吐出開口から2mmの範囲における液滴を、該液滴の吐出初速度の方向に対し略直交する方向の搬送気流により搬送する工程を更に含む前記<8>から<10>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<12> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーの製造装置を用いて製造されたことを特徴とするトナーである。
<13> 粒径分布(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.00〜1.10である前記<12>に記載のトナーである。
<14> 少なくとも樹脂を含有する樹脂組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成手段と、前記液滴化した樹脂組成液を固化させて粒子を形成する粒子形成手段と、を少なくとも有することを特徴とする樹脂微粒子の製造装置である。
<15> 前記<14>に記載の樹脂微粒子の製造装置を用いて樹脂微粒子を製造する方法であって、少なくとも樹脂を含有する樹脂組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化した樹脂組成液を固化させて粒子を形成する粒子形成工程と、を少なくとも有することを特徴とする樹脂微粒子の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、複数の吐出孔から同時に液滴を吐出でき、複数の吐出孔から吐出した液滴が合一することなくそれぞれ均一な量で吐出でき、単位時間当たりに吐出できる液滴数が多く、汎用性及び単一分散性が高いトナーを効率よく製造できるトナーの製造方法及びその製造装置を提供することができる。
図1は、本発明に係るトナーの製造装置の一例を示す概略断面図である。 図2は、図1の液滴形成ユニットにおける液滴吐出部の一例を示す断面図である。 図3は、図1の液滴形成ユニットを示すA−A’線断面図である。 図4Aは、液室における液柱共鳴現象の様子の一例を示す概略図である。 図4Bは、液室における液柱共鳴現象の様子の一例を示す概略図である。 図4Cは、液室における液柱共鳴現象の様子の一例を示す概略図である。 図4Dは、液室における液柱共鳴現象の様子の一例を示す概略図である。 図4Eは、液室における液柱共鳴現象の様子の一例を示す概略図である。 図5は、本発明に係るトナーの製造装置の一例を示す概略断面図である。 図6は、図5のトナーの製造装置の液滴吐出ユニットの一例を示す拡大図である。 図7は、図6を下側から見た底面図である。 図8は、液滴吐出ユニットの液滴吐出部の一例を示す拡大断面図である。 図9Aは、トナー組成液の吐出速度を均一にするための吐出孔の形状の一例を説明するための概略断面図である。 図9Bは、トナー組成液の吐出速度を均一にするための吐出孔の形状の一例を説明するための概略断面図である。 図9Cは、トナー組成液の吐出速度を均一にするための吐出孔の形状の一例を説明するための概略断面図である。 図10は、従来の液滴吐出部の一例を示す拡大断面図である。 図11は、液滴吐出ユニットを複数個配置した一例を示す概略断面図である。 図12Aは、液滴吐出ユニットによる液滴化の動作原理の一例を説明するための模式図である。 図12Bは、液滴吐出ユニットによる液滴化の動作原理の一例を説明するための模式図である。 図13は、基本振動モードの一例を説明するための図である。 図14は、2次振動モードの一例説明するための図である。 図15は、3次振動モードの一例を説明するための図である。 図16は、吐出構造体(薄膜、ノズルプレート)の中央部に凸部を形成した場合の一例を説明する図である。 図17は、実施例1〜4で用いた吐出構造体のテーパ角を説明するための概略底面図である。 図18Aは、液柱共鳴液室が片側固定端であり、N=1の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略説明図である。 図18Bは、液柱共鳴液室が両側固定端であり、N=2の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略説明図である。 図18Cは、液柱共鳴液室が両側開放端であり、N=2の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略説明図である。 図18Dは、液柱共鳴液室が片側固定端であり、N=3の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略説明図である。 図18Eは、液柱共鳴液室が両側固定端であり、N=4の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略説明図である。 図18Fは、液柱共鳴液室が両側開放端であり、N=4の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略説明図である。 図18Gは、液柱共鳴液室が片側固定端であり、N=5の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略説明図である。 図19は、実施例5〜9で用いた吐出構造体を説明するための概略断面図及び概略底面図である。 図20は、搬送気流の方向の一例を示す図である。 図21は、搬送気流の方向の別の一例を示す図である。 図22Aは、吐出孔から吐出されたトナー組成液の様子の一例を示す図である。 図22Bは、図22Aの破線部の拡大図である。
(樹脂微粒子の製造装置及び製造方法)
本発明の樹脂微粒子の製造装置は、液滴形成手段と、粒子形成手段と、を少なくとも有し、必要に応じて、更にその他の手段を有してなる。
本発明の樹脂微粒子の製造方法は、液滴形成工程と、粒子形成工程と、を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
前記液滴形成工程は、少なくとも樹脂を含有する樹脂組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する工程である。したがって、前記樹脂微粒子としては、少なくとも樹脂を含んでいればよく、必要に応じて更にその他の成分を含む。
以下、本願発明の樹脂微粒子の製造方法と製造装置について、樹脂微粒子の一形態であるトナーを例に挙げ、詳細に説明する。
本発明のトナーの製造装置は、液滴形成手段と、粒子形成手段と、を少なくとも有し、必要に応じて、更にその他の手段を有してなる。
本発明のトナーの製造方法は、液滴形成工程と、粒子形成工程と、を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。本発明の前記トナーの製造方法は、前記トナーの製造装置により好適に行われる。
以下、本発明のトナーの製造装置の説明と併せて、本発明のトナーの製造方法について詳細に説明する。
<液滴形成工程、液滴形成手段>
前記液滴形成工程は、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から、トナー組成液を均一な吐出速度で吐出して液滴化する工程であり、前記液滴形成手段により行われる。
前記液滴形成手段としては、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液室と、液滴吐出部とを有することが好ましい。
前記液滴形成手段の種類としては、液滴を形成することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、膜振動型の液滴形成手段、液柱共鳴型の液滴形成手段などが挙げられる。
<<膜振動型>>
前記膜振動型の液滴形成手段は、後述する複数の吐出孔を有する吐出構造体が膜である場合、後述する振動発生体より前記膜に振動を付与し、前記吐出孔からトナー組成液を吐出して液滴化する手段である。
−液室−
前記液室は、トナー組成液流路内に設けられ、後述するトナー組成液を貯留する。
前記液室の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円筒形状、角型形状、円錐台形状などが挙げられる。
前記液室の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、容器のみからなる単層構造、容器本体と表面層とからなる2重構造、積層構造などが挙げられる。
前記容器の材質と、前記トナー組成液と接する表面層の材質とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記トナー組成液と接する表面層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、セラミックス、プラスチック、シリコーンなどが挙げられる。これらの中でも、トナー組成液に溶解せず、かつトナー組成液の変性を起こさないものが好ましい。
前記液室の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−液滴吐出部−
前記液滴吐出部は、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔を有する吐出構造体と、振動発生体と、を少なくとも有し、必要に応じて、更にその他の部位を有する。前記液滴吐出部は、前記振動発生体により振動を付加して、前記互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔からトナー組成液を液滴状に均一な吐出速度で吐出する。
前記液滴吐出部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液室(「貯留部」と称することもある。)内に存在する液の共振現象を利用して液滴状にするものが好ましい。この場合、液室の共振周波数が、トナー組成液の共振周波数と重なると、トナー組成液に所望の振動を与えることができないため、液室内のトナー組成液の共振周波数が、液室の共振周波数よりも低いことが、液室内のトナー組成液の圧力が均等に昇圧され、均一な吐出速度で液滴形成できる点で、より好ましい。
−−吐出構造体−−
前記吐出構造体は、少なくともトナー組成液を吐出するために設けられた互いに異なる形状であるものを含む吐出孔を複数有し、必要に応じて、更にその他の部位を有する。
前記吐出構造体としては、前記液滴形成手段が膜振動型である場合は、振動の点で、薄膜やプレート(板)が好ましい。
前記吐出構造体の前記複数の吐出孔を有する面(前記吐出構造体における吐出孔の開口面を有する面)の面積としては、特に制限はなく、振動発生体により付加される振動の大きさなどに応じて適宜選択することができるが、1mm〜80mmが好ましく、3mm〜20mmより好ましい。前記面積が、1mm未満であると、後述する粒子形成手段において搬送気流流通路が設けられる場合、前記吐出構造体の全面積に占める吐出孔の面積が小さくなり、トナーの製造効率が悪くなることがあり、80mmを超えると、製造装置が大きくなりすぎることや、前記搬送気流流通路が設けられる場合に液滴の合一を防止する効果が得られにくくなることなどがある。
また、前記吐出構造体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属板が好ましい。
前記吐出構造体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜500μmが好ましい。
前記吐出構造体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液滴形成手段が膜振動型である場合は、均一に振動させる点で、円形が好ましい。また、前記吐出構造体の厚み方向の断面から見たとき、前記吐出構造体の前記複数の吐出孔を有する面の中心部が、液滴を吐出させる方向に凸形状に形成されていることが、液滴の吐出方向(進行方向)を制御できる点や、前記吐出構造体全体をより均一に振動させることができ、これにより均一に液滴を形成することができる点で好ましい。
また、前記液滴形成手段が膜振動型である場合、前記吐出構造体は、振動させられた際に、前記吐出構造体にたわみが発生するように設けられていることが好ましい。前記吐出構造体にたわみを発生させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記吐出構造体の最外周部に設けられたフレームと、接合部とを介して接合固定させる方法などが挙げられる。
前記接合部の部材の弾性率としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができるが、吐出孔における同心円状の均一な振動状態が得られ、液滴吐出状態が安定化し、均一な粒径分布のトナーを得ることができる点で、10Pa以上が好ましい。
前記接合部の部材として弾性率の高い材料を用いることで、前記吐出構造体の最外周部と吐出構造体をしっかりと固定することができる点で有利である。これにより、前記吐出構造体に振動が効率よく伝播される。特に、前記吐出構造体(膜)が、円形(膜)である場合に振動が効率よく伝播される点で好ましい。
前記弾性率は、例えば、超音波法により測定することができる。
前記吐出構造体と前記フレーム、及び/又は、前記吐出構造体と前記振動発生体とは、露出表面全体が、前記絶縁体の撥液膜又は前記絶縁体の接合部剤により電気的に絶縁されていることが好ましい。
前記撥液膜又は前記接合部剤に用いる材料としては、絶縁体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のエポキシ樹脂;SiOなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、特開2010−107904号公報に記載の、SiO膜上にパーフルオロアルキル基を有し、かつ末端にシロキサン結合アルキル基を有する化合物からなる撥液膜も好適に用いることができる。
−−−吐出孔−−−
前記吐出孔(「ノズル」、「貫通孔」と称することもある。)は、前記吐出構造体に複数形成されている。前記複数の吐出孔は、互いに異なる形状であるものを含む。
前記吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液滴形成手段が膜振動型である場合、1つの吐出構造体に形成された吐出孔の数が、2個〜3,000個が好ましい。
前記隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔(ピッチ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、均一な粒子を吐出させる点で、等間隔が好ましい。
前記吐出孔の吐出開口(吐出孔の吐出方向における端部)の開口径としては、特に制限はなく、目的とする吐出液滴の体積などに応じて適宜選択することができるが、3μm〜30μmが、吐出孔からトナー組成液の液滴を吐出(噴射)させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる点で好ましい。吐出液滴の体積は、ほぼ前記吐出孔の吐出開口の開口径により決まるため、例えば、固化したトナーの粒径を約6μmとする際には、前記吐出孔の開口径としては、8μm〜12μmが好ましい。
なお、前記吐出孔の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円や、四角形、六角形、八角形等の多角形又は正多角形であれば平均径を意味する。
前記吐出構造体における、前記複数の吐出孔の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液滴形成手段が膜振動型である場合は、前記吐出構造体の厚み方向に対して垂直な面における中心部(以下、「吐出構造体の中心部」と称することがある。)に設けられることが好ましい。
前記トナーの製造装置が、後述する振動発生体を前記吐出構造体の周囲に有する場合、前記複数の吐出孔と、前記振動発生体との最短距離としては、特に制限はなく、前記吐出構造体の面積や、前記振動発生体により付加される振動の大きさなどに応じて適宜選択することができるが、前記複数の吐出孔は、前記吐出構造体の振動変位が0でない位置に設けることが好ましい。振動変位が0の位置の吐出孔では、トナー組成液が、染み出しが生じることがある。
前記複数の吐出孔の形状としては、互いに異なる形状のものを含み、前記複数の吐出孔の間でトナー組成液を均一に吐出できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
このような吐出孔の形状としては、例えば、前記吐出孔の開口径が液滴(トナー組成液)の吐出方向に向かって小さくなるテーパ形状やラウンド形状が好ましい。前記吐出孔の形状がテーパ形状である場合、前記複数の吐出孔が、前記吐出構造体における位置によって異なるテーパ角を有することが好ましく、前記吐出孔の形状がラウンド形状である場合、前記複数の吐出孔が、前記吐出構造体における位置によって異なる曲率半径を有することが好ましい。このように、前記複数の吐出孔が、前記吐出構造体における位置によって異なるテーパ角や曲率半径を有することで、トナー組成液を均一に吐出できる。即ち、前記複数の吐出孔のテーパ角や曲率半径を、前記吐出構造体における位置によって変えることで、前記吐出構造体における前記吐出孔の位置による圧力損失を変え、前記複数の吐出孔における吐出速度を調整することができ、複数の吐出孔において均一な速度でトナー組成液を吐出させることができる。これにより、各吐出孔内で吐出液の速度が同様の分布を有し、トナーを精度よく加工できる点で好ましい。
ここで、前記テーパ角とは、吐出孔の開口面(吐出構造体の厚み方向に対して垂直な面)に対する垂線(開口軸)と、前記吐出構造体の厚み方向の断面における、前記吐出孔の断面形状の側面とのなす角度をいう。また、前記曲率半径は、吐出孔の開口面(吐出構造体の厚み方向に対して垂直な面)から、前記吐出構造体の厚み方向に向かうラウンド形状における曲率半径である。前記テーパ角及び曲率半径は、例えば、共焦点顕微鏡で観察して測定することができる。
前記吐出構造体に前記吐出孔を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電鋳による加工する方法、放電により加工する方法などが挙げられる。また、吐出孔を任意のテーパ角又は曲率半径に加工する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電鋳により加工する場合は、LIGAプロセス、放電により加工する場合は、電極で制御する方法などが挙げられる。
−−振動発生体−−
前記振動発生体としては、振動を発生させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これにより、前記吐出構造体に振動が付加され、前記吐出構造体における吐出孔内のトナー組成液が液滴状に吐出される。
前記振動発生体の具体例としては、圧電効果や、磁歪効果により機械的振動を発生させる超音波発生体などが挙げられる。これらの中でも、圧電効果により電気を機械的振動に変換できるものが、より高い周波数で効率よく振動を発生させることができる点で好ましく、例えば、圧電体などが挙げられる。
前記圧電体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。これらの中でも、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が振動制御性の点で好ましい。
前記振動発生体の配置としては、振動を前記トナー組成液に効率的に伝播することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液滴形成手段が膜振動型である場合は、前記吐出構造体の吐出孔が形成された領域の周囲に設けられることが好ましく、前記吐出構造体の吐出孔が形成された領域の周囲に円環状に設けられることがより好ましい。
前記振動発生体を、前記吐出構造体の吐出孔が形成された領域の周囲に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記振動発生体と、前記吐出構造体とを接合部を介して接合固定する方法などが挙げられる。この場合、前記振動発生体は、前記吐出構造体の最外周部に設けられたフレームに固定されていない領域(以下、「変形可能領域」と称することがある。)内の吐出孔が形成された領域の周囲に、円環状に設けられることが特に好ましい。
−液滴化−
次に、前記液滴形成工程において液滴形成手段が膜振動型の場合の、トナー組成液を液滴状にして周期的に吐出させるメカニズムについて説明する。
吐出構造体が膜である場合は、液室に臨む複数の吐出孔を有する吐出構造体(膜)に、振動発生体によって発生した振動を伝播させて、前記吐出構造体を周期的に振動させるため、比較的大面積(直径1mm以上)の領域に複数の吐出孔を配置でき、それら複数の吐出孔より液滴を周期的に、安定に形成して吐出することができる。
図12A及び図12Bに示すような単純円形膜である吐出構造体16の周辺部12Aを固定した場合、基本振動は周辺が節になり、図13に示すように、吐出構造体16の中心O(吐出構造体の中央部に位置する吐出孔)で振動変位ΔLが最大(ΔLmax)となり、最も外側の吐出孔(振動発生体側に位置する吐出孔)で振動変位ΔLが最小(ΔLmin)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。なお、ΔLminである吐出孔は、該吐出孔から吐出された液滴が、振動発生体に当たって付着しない範囲に設けることが好ましい。
また、図14に示すような2次振動モード、図15に示すような3次振動モード等のより高次のモードが存在することが知られている。これらのモードは、円形膜内に、同心円状に節を1乃至複数持ち、実質的に軸対称な変形形状である。また、図16に示すように、吐出構造体16の中心部を凸形状12Cとすることで液滴の進行方向を制御し、かつ振動振幅量をある程度調整することが可能である。
前記振動変位は、例えば、レーザードップラー振動計により測定することができる。
吐出構造体16が振動すると、円形膜(吐出構造体)の各位置に設けられた吐出孔近傍の液体には、吐出構造体の振動速度Vmに比例した音圧Pacが発生する。音圧は、媒質(トナー組成液)の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、音圧は、放射インピーダンスと吐出構造体の振動速度Vmの積で下記式(1)の方程式を用いて表される。
Pac(r,t)=Zr・Vm(r,t) ・・・式(1)
吐出構造体の振動速度Vmは時間とともに周期的に変動しているため時間(t)の関数であり、例えば、サイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、吐出構造体の各位置で振動方向の振動変位は異なっており、Vmは、吐出構造体上の位置座標の関数でもある。本発明で用いられる吐出構造体の振動形態は、軸対象である。したがって、実質的には半径(r)座標の関数となる。
各吐出孔内のトナー組成液には、振動により音圧Pac(r,t)と吐出孔のトナー組成液供給側の断面積Snとの積が力Fnとして加わる。力Fnは、下記式(2)で表される。
Fn=Pac(r,t)・Sn ・・・式(2)
なお、音圧Pacは、吐出孔のトナー組成液供給側の断面の全てにわたって一定ではないが、断面積が十分小さいとみなし、半径(r)座標の関数で近似している。また、添え字のnは、吐出構造体の中心からn番目の吐出孔であることを表す。上記式(2)より、Snを大きくするほど力Fnは大きくなり、また、Snを調整することで力Fnの大きさを均一化できることが分かる。実際には、この力Fnに対して局所損失と管路損失が生じ、差し引かれた合力がトナー組成液の吐出速度となるが、これら圧力損失を含めて前記吐出速度を調整することが可能である。
トナー組成液の吐出速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、8m/秒間〜20m/秒間が好ましく、12m/秒間〜16m/秒間がより好ましい。前記吐出速度が、8m/秒間未満であると、複数の吐出孔から吐出された液滴が合一することがあり、20m/秒間を超えると、サテライトが発生することや、トナー組成液の吐出孔からの染み出しが生じることがある。前記サテライトとは、主に形成される液滴のおよそ2分の1の直径の吐出液滴である。
前記吐出速度は、全ての吐出孔において均一であることが好ましい。しがって、振動変位ΔLが最大(ΔLmax)である吐出孔における吐出速度と、吐出構造体の振動変位ΔLが最小(ΔLmin)である吐出孔における吐出速度の比(ΔLminである吐出孔の吐出速度/ΔLmaxである吐出孔の吐出速度)としては、0.5〜1.0が好ましく、0.8〜1.0がより好ましい。
前記吐出速度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、吐出したトナー組成分散液にLEDの光を当て、前記吐出したトナー組成分散液を挟んでLEDに対向して設置したCCDカメラで撮影することによって観測し、このLEDの駆動周波数を液滴吐出部の振動数に同期する(振動発生体による振動発生のタイミングとLEDに電圧を印加し発光するタイミングを合わせる)ことで、トナー組成液の吐出孔からの吐出を確認できる。
図22Aに吐出孔(図示しない)から吐出されたトナー組成分散液の様子を、図22Bに図22Aの破線部の拡大図を示す。一定の振動により吐出孔から吐出されるトナー組成分散液の液柱に一定間隔の液柱のくびれpが生じる(以下、「液柱くびれ」と称することがある)。この液柱の先端部分で一定量の液滴に***することにより、一定の粒子径を有するトナー粒子が連続的に生成される(図22A)。この吐出した液柱くびれpと、振動数とから、吐出速度(m/秒間)=くびれ波長(μm)/振動数(kHz)という計算により見積ることができる。ここで、前記くびれ波長とは、図示しない吐出孔開口部から吐出されたトナー組成分散液からなる液柱に最初に現れる液柱くびれp(吐出開口部に最も近い液柱くびれp)までの最大長さを意味する。
複数の吐出孔の吐出される側の端部から、吐出孔の外部(気相)に周期的に吐出したトナー組成液は、前記複数の吐出孔の吐出される側の端部において、吐出孔の内部(液相)と、気相との表面張力差によって球体を形成するため、周期的に液滴状な吐出が起こる。
液滴化を可能とする吐出構造体の振動周波数としては、特に制限はなく、前記吐出構造体の面積などに応じて適宜選択することができるが、一般に20kHz〜2.0MHzなどの領域が用いられる。その中でも、50kHz〜500kHzの範囲が好ましい。20kHz以上の振動周期であれば、液体の励振によって、トナー組成液中の顔料やワックスなどの微粒子の分散が促進される。
前記音圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10kPa以上が、微粒子分散促進作用がより好適に発生する点で好ましい。また、トナー組成液の条件として、粘度20mPa・s以下、界面張力20mN/m〜75mN/mの領域において、サテライトの発生開始領域が同様であった点で、前記音圧は、500kPa以下であることが必要となる。その中でも、100kPa以下が好ましい。
<<液柱共鳴型>>
前記液柱共鳴型の液滴形成手段は、後述する複数の吐出孔が形成された吐出構造体が、液室を形成する一の壁面である場合、液室内の前記トナー組成液に、後述する振動発生体により振動を付与して液柱共鳴により圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴化する手段である。
前記「圧力定在波の腹となる領域」とは、液柱共鳴定在波の圧力波において振幅が大きく、圧力変動が大きい領域であり、かつ液滴を吐出するのに十分な大きさの圧力変動を有する領域である。そのような圧力定在波の腹となる領域としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/3波長が好ましく、±1/4波長がより好ましい。
前記吐出孔が、前記圧力定在波の腹となる領域に形成されていると、複数の吐出孔が開口されていても、それぞれの吐出孔からほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる点で好ましい。
−液室−
前記液柱共鳴型の場合、液室の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記膜振動型と同様の形状、構造、大きさなどが挙げられる。
また、液室の材質としても、前記膜振動型と同様のものなどが挙げられる。
前記液滴形成手段が液柱共鳴型の場合、前記液室(液柱共鳴液室)は、後述する液柱共鳴現象の原理に従い、前記振動発生体によって付与される振動により圧力定在波を形成することができる液室であり、該圧力定在波の腹となる領域に吐出孔が形成され、(液柱共鳴液室の長手方向の端部に)トナー組成液供給のための連通口を有してなり、必要に応じて、液柱共鳴液室の長手方向の片端乃至両端における、少なくとも一部に(該長手方向の軸と垂直な)反射壁面を有する。
ここで、「反射壁面」とは、液体の音波を反射させる程度に硬質な部材、例えば、アルミ、ステンレス等の金属部材、シリコーン等の部材などにより形成された壁面をいう。
図2に示すような、前記液柱共鳴液室の長手方向の両端の壁面間の長さLとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定されることが好ましい。また、図3に示すように、液柱共鳴液室の幅Wとしても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、前記液柱共鳴液室の長さLの2分の1より小さいことが好ましい。
前記液室の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液滴形成手段が液柱共鳴型の場合、操作性と生産性が両立できる点において、100個〜2,000個が好ましく、100個〜1,000個がより好ましく、100個〜400個が特に好ましい。
−液滴吐出部−
前記液滴吐出部は、吐出構造体と、振動発生体と、を少なくとも有し、必要に応じて、更にその他の部位を有する。前記液滴吐出部は、前記振動発生体により振動を付加して、前記互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔からトナー組成液を液滴状に均一な吐出速度で吐出する。
前記液滴吐出部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液室内に存在する液の共振現象を利用して液滴状にするものが好ましい。この場合、液室の共振周波数が、トナー組成液の共振周波数と重なると、トナー組成液に所望の振動を与えることができないため、液室内のトナー組成液の共振周波数が、液室の共振周波数よりも低いことが、液室内のトナー組成液の圧力が均等に昇圧され、均一な吐出速度で液滴形成できる点で、より好ましい。
−−吐出構造体−−
前記吐出構造体は、少なくともトナー組成液を吐出するために設けられた互いに異なる形状であるものを含む吐出孔を複数有し、必要に応じて、更にその他の部位を有する。
前記吐出構造体としては、前記液滴形成手段が液柱共鳴型である場合は、前記液柱共鳴液室を形成する一の壁面などが挙げられる。
前記吐出構造体の前記複数の吐出孔を有する面(前記吐出構造体における吐出孔の開口面を有する面)の面積、厚み、形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記膜振動型と同様のものなどが挙げられる。
前記吐出構造体の材質としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記膜振動型と同様のものなどが挙げられるが、後述する液柱共鳴原理に基づいて液柱共鳴液室内のトナー組成液に圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴化するため、前記吐出構造体は、トナー組成液の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されたフレームがそれぞれ接合されて形成されたものであることが好ましい。そのような材質としては、金属やセラミックス、シリコーンなどが挙げられる。
前記吐出構造体は、露出表面全体に後述する絶縁体の撥液膜が形成されていてもよい。
前記撥液膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記膜振動型と同様のものなどが挙げられる。
−−−吐出孔−−−
前記吐出孔は、前記吐出構造体に複数形成されている。前記複数の吐出孔は、互いに異なる形状であるものを含む。
前記吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記液滴形成手段が液柱共鳴型である場合、1つの液柱共鳴液室に形成された吐出孔の個数としては、1つでも構わないが、複数個配置することが生産性の観点から好ましく、2個〜100個が好ましく、4個〜60個がより好ましく、4個〜20個が特に好ましい。1つの液柱共鳴液室に形成された吐出孔の個数が、100個を超えると、100個の吐出孔から所望のトナー組成液の液滴を形成させる場合に、前記振動発生体に与える電圧を高く設定する必要が生じ、前記振動発生体の挙動が不安定となることがある。また、4個〜20個の場合、圧力定在波が安定し、かつ生産性が保たれる。
更に、前記液滴形成手段が、液柱共鳴型である場合、前記圧力定在波の腹となる領域の少なくとも1つに対して形成された吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1個〜20個が好ましく、4個〜15個がより好ましく、4個〜10個が特に好ましい。前記吐出孔の個数は多いほど生産性が高くなるが、20個を超えると、吐出孔が密集しすぎ、吐出した液滴が合体して粗大な粒子となって画質に悪影響を及ぼすことがある。
前記隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔(ピッチ)、前記吐出孔の吐出開口(吐出孔の吐出方向における端部)の開口径としては、特に制限はなく、目的とする吐出液滴の体積などに応じて適宜選択することができるが、前記膜振動型と同様のピッチ、開口径が好ましい。
前記液滴形成手段が液柱共鳴型である場合、前記吐出構造体における、前記複数の吐出孔の位置としては、前記圧力定在波の腹となる領域に形成されたものであれば、特に制限はなく、前記液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さL、液柱共鳴液室の幅Wなどに応じて適宜選択することができる。
前記液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、前記液柱共鳴液室の端部に最も近い吐出孔の中心部との距離Leとの距離比(Le/L)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.6より大きいことが好ましい。
前記複数の吐出孔の形状としては、互いに異なる形状のものを含み、前記複数の吐出孔の間でトナー組成液を均一に吐出できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記膜振動型と同様の形状が好ましい。
−−振動発生体−−
前記振動発生体としては、振動を発生させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記膜振動型と同様のものなどが挙げられる。
前記液滴形成手段が液柱共鳴型である場合、前記振動発生体の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数の吐出孔が形成された前記液柱共鳴液室の一の壁面(長手方向の面)と対面する壁に形成されていることが好ましい。
また、前記振動発生体は、弾性板に貼りあわせた形態であることが好ましく、該弾性板は、振動発生体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を形成することが好ましい。
更に、前記振動発生体は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されることが好ましい。また、液柱共鳴液室の配置にあわせて、弾性板を介してブロック状の圧電体等の振動発生体を配置することが、それぞれの液柱共鳴液室を個別制御できる観点から好ましい。
−液滴化−
次に、前記液滴形成工程において液滴形成手段が液柱共鳴型の場合の、トナー組成液を液滴状にして周期的に吐出させるメカニズムについて説明する。
液柱共鳴液室内のトナー組成液の音速をcとし、振動発生体から媒質であるトナー組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは、下記式(3)の関係にある。
λ=c/f ・・・式(3)
図2は、液滴吐出部の一例を示す断面図である。図2の液柱共鳴液室12において固定端側のフレームの端部54から液共通供給路52側の端部55までの長さをLとし、更に液共通供給路52側のフレームの端部の高さをh1(=約80μm)とし、連通口の高さをh2(=約40μm)とする。
液共通供給路52側の端部が閉じている固定端と等価であるとした両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、次の式(4)で表現される。
L=(N/4)λ ・・・式(4)
(但し、Nは偶数を表す。)
なお、固定端と等価である場合とは、ある端において圧力の逃げ部がないとみなすことができる場合であり、例えば、ある端において反射壁面の高さが、トナー組成液供給のための連通口の高さの2倍以上である場合や、ある端において反射壁面の面積が、トナー組成液供給のための連通口の開口部の面積の2倍以上である場合などを指す。
また、両端が完全に開いている両側開放端の場合、乃至両側開放端と等価である場合にも上記式(4)が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式(4)のNが奇数で表現される。なお、両側開放端の場合は、Lが波長の4分の1の偶数倍、片側固定端の場合は、Lが波長の4分の1の奇数倍に相当する。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式(3)と上記式(4)より、下記式(5)が導かれる。
f=N×c/(4L) ・・・式(5)
(但し、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さ、cはトナー組成液の音波の速度、Nは整数を表す。)
したがって、本発明のトナーの製造方法において、前記トナー組成液に対して、上記式(5)が成立する周波数fの振動を付与することが好ましい。しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式(6)、式(7)に示すように、式(5)に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
図18A〜Gに、N=1、2、3、4、及び5の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。
本来は疎密波(縦波)であるが、図18A〜Gのように表記することが一般的である。図18A〜Gにおいて、実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。
例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図18Aからわかるように、速度分布の場合閉口端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となる。
液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出孔の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなる端であり、逆に圧力は極大となる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口若しくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図18A〜Gのような形態の共鳴定在波を生じるが、吐出孔数、吐出孔の開口位置によっても定在波パターンは変動し、上記式より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れるが、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。
例えば、液体の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmであり、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記式(4)より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。
他の例では、液体の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmと、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記式(4)より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれ、同じ構造を有する液柱共鳴液室であっても、より高次の共鳴を利用することができる。
また、吐出孔15の開口数、開口配置位置、吐出孔の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。
例えば、吐出孔15の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室12の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液共通供給路52側に存在する吐出孔15の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出構造体の厚さによる吐出孔の体積が変動したりすると、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生体に電圧を与えたとき、振動発生体17が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液共通供給路52側の端部55に最も近い吐出孔15の中心部までの距離をLeとしたとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式(6)及び式(7)で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生体を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・式(6)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・式(7)
(但し、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さ、Leは液供給路側の端部に最も近い吐出孔までの距離、cはトナー組成液の音波の速度、Nは整数を表す。)
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図2の液柱共鳴液室12において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室12の一部に配置された吐出孔15において連続的に液滴吐出が発生するのである。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置に吐出孔15を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点で好ましい。
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出部内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について当該様子を示す図4A〜Eを用いて説明する。
なお、図4A〜Eにおいて、液柱共鳴液室内に記した実線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。
また、図4A〜Eにおいて、液柱共鳴液室内に記した点線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を+とし、負圧は−とする。
また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。
更に、図4A〜Eにおいて、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路52と液柱共鳴液室12とが連通する開口の高さ(図2に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図2に示す高さh1)が好ましくは約2倍以上であるため、液柱共鳴液室12はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
図4Aは、液滴吐出時の液柱共鳴液室12内の圧力波形と速度波形を示している。また、図4Bは、液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの図4A及びBに示すように、液柱共鳴液室12における吐出孔15が設けられている液柱共鳴液室内での圧力は極大となっている。その後、図4Cに示すように、吐出孔15付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴23が吐出される。
そして、図4Dに示すように、吐出孔15付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室12へのトナー組成液10の充填が始まる。その後、図4Eに示すように、吐出孔15付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、トナー組成液10の充填が終了する。そして、再び、図4Aに示すように、液柱共鳴液室12の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出孔15から液滴23が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には振動発生体の高周波駆動によって液柱共鳴による圧力定在波が発生し、また圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による圧力定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出孔15が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴23が吐出孔15から連続的に吐出される。
なお、前記液柱共鳴型の場合の吐出速度は、前記膜振動型と同様であることが好ましく、前記液柱共鳴型の場合の吐出速度の測定方法も、前記膜振動型と同様の方法で測定することができる。
<<トナー組成液>>
前記トナー組成液は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有し、更に必要に応じて、磁性体、ワックス、流動性向上剤等のその他の成分を含有するトナー材料を、有機溶剤に分散乃至溶解させることが好ましい。
前記トナー組成液としては、従来の電子写真用トナーと同じものも使用できる。即ち、樹脂を各種有機溶剤に溶解し、着色剤を分散、かつ、離型剤を分散又は溶解したトナー組成液を微小液滴として、乾燥固化させることで、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。また、上記材料を熱溶融混練し得られた混練物を各種溶媒に溶解乃至分散した液を、微小液滴として乾燥固化させることで、目的のトナーを得ることも可能である。
前記トナー組成液の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5Pa・s〜15mPa・sが好ましく、0.5Pa・s〜1.5mPa・sがより好ましい。前記粘度が、15mPa・sを超えると、粘性抵抗が大きく吐出しないことがある。
前記トナー組成液の粘度は、例えば、円錐平板型回転粘度計により測定することができる。
−樹脂−
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン単量体、アクリル単量体、メタクリル単量体等からなるビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記着色剤のトナーに対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
また、前記着色剤として顔料を用いる場合は、顔料分散性の点で、樹脂との相溶性が高い顔料分散剤を含むことが好ましい。前記顔料分散剤の市販品としては、例えば、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(以上、味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)などが挙げられる。
前記分散剤の着色剤に対する添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤に対して、1質量%〜200質量%が好ましく、5質量%〜80質量%がより好ましい。前記添加量が、1質量%未満であると、分散能が低くなることがあり、200質量%を超えると、帯電性が低下することがある。
また、着色剤を分散させるための分散剤のトナーに対するとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜10質量%の割合で配合することが好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%を超えると、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPCを用いた測定におけるスチレン換算重量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000が更に好ましく、5,000〜30,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、500未満であると、極性が高くなって、着色剤の分散性が低下することがあり、100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなって、着色剤の分散性が低下することがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチの形態で用いることもできる。マスターバッチの製造又はマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、変性ポリエステル樹脂、又は未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の樹脂;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチ用の樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以下がより好ましい。前記酸価が、30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。なお、前記酸価は、JIS K0070に記載の方法により測定することができる。
前記マスターバッチ用の樹脂のアミン価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜100が好ましく、10〜50がより好ましい。前記アミン価が、1未満又は100を超えると、顔料分散性が不十分となることがある。なお、前記アミン価は、JIS K7237に記載の方法により測定することができる。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。
また、前記マスターバッチは、フラッシング法を用いて製造してもよい。前記フラッシング法とは、着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法である。この場合、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がない。
なお、混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
前記マスターバッチの別添した樹脂に対する使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜20質量%が好ましい。
−有機溶剤−
前記有機溶剤としては、樹脂及び着色剤が分散乃至溶解可能な有機溶剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等のエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−磁性体−
前記磁性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Fe、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が好ましい。
また、前記磁性体として、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。前記異種元素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウムなどが挙げられる。これらの中でも、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムが特に好ましい。
前記異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
前記磁性体の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂に対して、10質量%〜200質量%が好ましく、20質量%〜150質量%がより好ましい。
また、前記磁性体の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜2μmが好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましい。
前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
また、前記磁性体の磁気特性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力が20エルステッド〜150エルステッド、飽和磁化が50emu/g〜200emu/g、残留磁化が2emu/g〜20emu/gが好ましい。
なお、前記磁性体としては、着色剤としても使用することができる。
−ワックス−
前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
更に、前記ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
これらの中でも、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基等の官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸等のビニルモノマーでグラフト変性したワックスが好ましい。
前記ワックスの樹脂に対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましい。
<粒子形成工程、粒子形成手段>
前記粒子形成工程は、前記液滴形成工程において液滴化した液滴(トナー組成液)を固化させ粒子を形成する工程であり、粒子形成手段により行われる。前記粒子形成工程は、前記液滴形成工程で吐出された液滴を、搬送気流により搬送する工程を更に含むことが好ましい。前記搬送する工程は、搬送気流流通路により好適に行われる。
前記搬送する工程は、前記液滴形成工程で吐出された液滴を搬送することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも吐出孔の吐出開口から2mmの範囲における液滴を搬送することが好ましく、吐出開口から1.5mmの範囲における液滴を搬送することがより好ましく、吐出開口から1.0mmの範囲における液滴を搬送することが更に好ましく、吐出開口から0.5mmの範囲における液滴を搬送することが特に好ましい。前記液滴の搬送が、吐出孔の吐出開口から2mmの範囲を超えてから行われると、液滴が合一することがある。
前記粒子形成手段は、前記液滴化したトナー組成液を固化させて粒子を形成する手段である。前記粒子形成手段は、粒子を形成することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乾燥部、前記搬送気流流通路、捕集部等の部材を有することが好ましい。
<<乾燥部>>
前記乾燥部は、液滴中の有機溶剤を加熱等により除去する部材である。
<<搬送気流流通路>>
前記搬送気流流通路は、内部に搬送気流を流通させる部材である。これにより、液滴化したトナー組成液及び固化された粒子の少なくともいずれかを、該搬送気流により搬送することができる。
前記搬送気流流通路を形成する部材としては、内部に搬送気流を流通させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シュラウド(さや部又は覆い部)などが挙げられる。
前記搬送気流流通路は、前記液滴形成手段の外部、特に、液滴が吐出される吐出孔周辺に、該吐出孔からの液滴の吐出を妨げないように設けられることが好ましい。なお、本発明において、液滴形成手段の外部とは、前記吐出孔の外部(気相)を意味する。
前記搬送気流流通路の内部に気体の流れを作ることによって、液滴化したトナー組成液及び固化された粒子の少なくともいずれかの周囲に搬送気流を流通させ、この搬送気流により、吐出されたトナー組成液及び固化された粒子の少なくともいずれかからなる群の群速度を増加させるように、また、トナー組成液及び固化された粒子の少なくともいずれかの吐出初速度が速い場合には、逆に速度を減速させるようにすることができる。
前記搬送気流流通路の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宣選択することができる。前記搬送気流流通路は、前記搬送気流の方向が、前記液滴形成手段により吐出された液滴の吐出初速度の方向に対して平行な方向に流通するように設けられていてもよく、前記搬送気流の方向が、前記吐出した液滴の方向を変化させる方向に流通するように設けられていてもよい。
前記吐出した液滴の方向を変化させる方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記液滴形成手段により吐出された液滴の吐出初速度の方向に対して略直交する方向などが挙げられる。
これらの中でも、前記搬送気流流通路は、前記搬送気流の方向が、前記吐出した液滴の方向を変化させる方向に流通するように設けられていることが、吐出速度のうち前後の液滴方向の成分が均一になる、即ち単分散の液滴になる点で好ましく、前記搬送気流の方向が、前記液滴形成手段により吐出された液滴の吐出初速度の方向に対して略直交する方向に流通するように設けられていることがより好ましい。また、このとき、前記搬送する工程で記載のとおり、少なくとも吐出孔の吐出開口から2mmの範囲における液滴が、該液滴の吐出初速度の方向に対し略直交する方向の搬送気流により搬送されることが特に好ましい。
これにより、得られるトナー群は、合一物が極めて少なく、歩留等を含む生産性を向上させることができる。また、前記粒子形成手段が前記搬送気流流通路を有すると、吐出されたトナー組成液が固化するまでの乾燥工程中に互いに衝突することによる合着を効率よく防止することができる点で好ましい。
前記搬送気流に用いられる気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気や、窒素等の不燃性気体などが挙げられる。また、前記搬送気流に用いられる気体の温度は、適宜調整可能であり、生産時において変動のないことが望ましい。
前記搬送気流の気流速度としては、特に制限はなく、液滴の吐出速度、吐出孔の開口径、該搬送気流の液滴吐出方向に対する角度など応じて適宜選択することができる。
前記気流速度は、レギュレータにより気流の圧力を調整することで調整することができる。
前記乾燥部や搬送気流により乾燥されたトナーは、更に二次乾燥されてもよい。有機溶剤がトナー中に残留すると、耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく、加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者及び周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため充分な乾燥を実施する必要がある。そのため、二次乾燥を行うことでトナー組成液中の有機溶剤を充分に乾燥させることができる点で有利である。
前記二次乾燥を行う方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動床乾燥法、真空乾燥法などが挙げられる。
このようにして得られたトナーは、更に外添剤が添加されてもよい。
前記外添剤としては、特に制限はなく、流動性や現像性、帯電性を補助する目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機微粒子、高分子系微粒子などが挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましい。
前記無機微粒子としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。
前記BET法による比表面積としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができるが、20m/g〜500m/gが好ましい。
前記無機微粒子のトナー粒子に対する添加量としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜2質量%がより好ましい。
前記高分子系微粒子としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。
前記外添剤は、表面処理剤により、表面処理を行うことで、疎水性を上げ、高湿度下においても外添剤自身の劣化を防止することができる。
前記表面処理剤としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記外添剤を添加する場合には、特に制限はなく、一般の粉体の混合機を適宜選択して使用することができるが、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いることができる。このとき、混合機は、ジャケット等を装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。前記外添剤に印加する負荷の履歴を変えるためには、途中又は漸次外添剤を添加してもよいし、混合機の回転数、転動速度、時間、温度等を変化させてもよい。また、前記外添剤に強い負荷を印加した後、弱い負荷を印加してもよいし、その逆でもよい。
次に、本発明のトナーの製造装置について、図面を参照して説明する。図1は、液柱共鳴型の液滴形成手段を有する本発明のトナーの製造装置の一例を示す概略断面図であり、図5は、膜振動型の液滴形成手段を有する本発明のトナーの製造装置の一例を示す概略断面図である。
トナーの製造装置(1及び200)は、トナー組成液10を複数の均一な開口径の吐出孔15から周期的に吐出し、気相中で液滴化する液滴吐出ユニット2と、液滴吐出ユニット2が上方に配置され、液滴吐出ユニット2から吐出される液滴化されたトナー組成液の液滴23を固化してトナー粒子Tを形成する粒子形成手段としての粒子形成部3と、粒子形成部3で形成されたトナー粒子Tを除電する除電装置43(図1では図示していない)と、トナー粒子Tを捕集するトナー捕集部4と、トナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tが気流路42(図1では図示していない)及びチューブ7を介して移送され、移送されたトナー粒子Tを貯留するトナー貯留手段としてのトナー貯留部5と、トナー組成液10を収容する原料収容部6と、原料収容部6内から液滴吐出ユニット2に対してトナー組成液10を送液する送液管(配管)8と、稼動時などにトナー組成液10を圧送供給するためのポンプ100とを備えている。
また、原料収容部6からのトナー組成液10は、液滴吐出ユニット2による液滴化現象により自給的に液滴吐出ユニット2に供給されるが、装置稼働時等には上述したように補助的にポンプ100を用いて液供給を行うようにされている。なお、トナー組成液10は、少なくとも樹脂及び着色剤を溶剤に溶解乃至分散したトナー組成液を用いている。また、循環系を構築することが最も好ましい。
−膜振動型−
以下、円環状振動発生体を用いた、液室及び吐出構造体を備える液滴吐出ユニット(液滴形成手段が膜振動型の場合)について、図6〜図9Bを参照して説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
図6は、図5のトナーの製造装置の液滴吐出ユニット2の拡大図であり、図7は、図6を下側から見た底面図であり、図8は、液滴吐出ユニットの液滴吐出部の拡大断面図である。
液滴吐出ユニット2は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液10を供給する液供給チューブ(液供給孔)20と、トナー組成液10の気泡を排出する気泡排出チューブ(排出孔)21と、トナー組成液10を液滴化して吐出させる液滴吐出部11と、この液滴吐出部11にトナー組成液10を供給する液室24を形成したフレーム(液室部材)14とを備えている。液滴吐出ユニット2は、フレーム14に取り付けた支持部材19によって液滴吐出ユニット2が粒子形成部3の天面部3Aに設置保持されている。
液滴吐出部11は、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔(ノズル、貫通孔)15が形成された吐出構造体(薄膜、ノズルプレート、吐出板)16と、この吐出構造体16を振動させる円環状の振動発生体(電気機械変換手段)17とからなる。
吐出構造体16は、最外周部(図8の斜線を施して示す領域)を、吐出構造体接合部13aを介してフレーム14に接合固定している。また、吐出構造体16は、振動発生体17と振動発生体接合部13bを介して接合固定している。
ここで、吐出孔15の形状は、図9Aのようにトナー組成液10の吐出方向に向かって開口径が小さくなるテーパ形状、図9Bのように、トナー組成液10の吐出方向に向かって開口径が小さくなるテーパ形状と、吐出孔の吐出方向の先端部がストレート部からなる形状、図9Cのように、トナー組成液10の吐出方向に向かって曲率半径を有するラウンド形状のいずれであってもよい。
複数の吐出孔15のテーパ角は、「θ」、複数の吐出孔15の曲率半径は、「R」で表される。ここで、「n」は整数であり、n=1のとき、吐出構造体16の中心の吐出孔15のテーパ角又は曲率半径を表し、吐出構造体16の中心の吐出孔15から離れるにしたがってnの数が大きくなることが好ましい。
nの数としては、特に制限はなく、吐出構造体の面積などに応じて適宜選択することができるが、nの数が大きいほど好ましい。nの数が大きいと、複数の吐出孔15において細かくテーパ角又は曲率半径を設定することができ、複数の吐出孔15全体において、均一な吐出速度で液滴を吐出させることができる点で好ましい。
複数の吐出孔は、互いに異なる形状であるものを含んでいれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、振動発生体側に位置する吐出孔のテーパ角(θn>1)又は曲率半径(Rn>1)が、中央部に位置する吐出孔のテーパ角(θ)又は曲率半径(R)よりも大きいことが好ましい。即ち、吐出構造体16の振動変位がΔLminに近いほどテーパ角又は曲率半径が大きい方が好ましい。例えば、複数の吐出孔15が図7に示すように設けられる場合、各吐出孔のテーパ角としては、θを有する吐出孔を中心として同心正六角形状にnの数が大きくなるものとすることが好ましい。このとき、テーパ角は、nの数が大きくなるにしたがって、連続的に大きくなってもよく、段階的に大きくなってもよい。曲率半径についても同様である。
テーパ角としては、特に制限はなく、吐出構造体の面積や、吐出構造体における吐出孔の位置、振動発生体により付加される振動の大きさなどに応じて適宜選択することができるが、5°〜60°が好ましく、10°〜30°がより好ましい。
前記曲率半径としては、特に制限はなく、吐出構造体の面積や、吐出構造体における吐出孔の位置、振動発生体により付加される振動の大きさなどに応じて適宜選択することができるが、40μm〜100μmが好ましく、40μm〜80μmがより好ましい。
振動発生体17は、この吐出構造体16の変形可能領域16A(フレーム14に固定されていない領域)内の吐出孔15を設けた領域の周囲に設けられている。この振動発生体17にはリード線50を通じて駆動回路(駆動信号発生源)51から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が印加され、例えば、たわみ振動が発生する。
液滴吐出部11は、液室24に臨む複数の吐出孔15を有する吐出構造体16の変形可能領域16A内の吐出孔15を設けた領域の周囲に円環状の振動発生体17が配されていることによって、例えば、図10に示すように振動発生体17Aが吐出構造体16の周囲を保持してなる場合に比べて、相対的に吐出構造体16の変位量が大きくなり、この大きな変位量が得られる比較的大面積(直径1mm以上)の領域に複数の吐出孔15を配置することができ、これらの複数の吐出孔15より、一度に多くの液滴を安定的に形成して吐出することができるようになる。
図5では、液滴吐出ユニット2が1個配置されている例で図示しているが、図11に示すように、複数個の液滴吐出ユニット2を、粒子形成部3の天面部3Aに並べて配置することが好ましい。その中でも、前記液滴吐出ユニット2の個数が、100個〜1,000個(図11では4個のみ図示)配置することが、制御性の点で好ましい。この場合、各液滴吐出ユニット2には配管(送液管)8Aを原料収容部6(共通液溜め)に通じさせてトナー組成液10を供給するようにする。これによって、一度により多くの液滴を吐出させることができて、生産効率の向上を図ることができる。
図5において、液滴吐出ユニット2から吐出され液滴化したトナー組成液の液滴23は、粒子形成部3内で、重力によって下方に搬送される際に乾燥固化されトナー粒子Tを形成する。このとき、重力によってのみではなく、液滴吐出ユニット2の外側に、粒子形成部3の上方から下方に向かって搬送気流40を発生させ、搬送気流40によって液滴23を搬送することが、吐出された液滴間の合一を防止し、より単一分散性の高いトナーを得ることができる点で好ましい。これらの搬送気流を発生させることによって、吐出された液滴23が空気抵抗によって減速されることを抑制でき、液滴23を連続的に吐出したときに、前に液滴23が乾燥する前に空気抵抗によって減速し、後に吐出された液滴23が前に吐出された液滴23に追い付くことで、液滴23同士が合着して一体となり、液滴23の粒径が大きくなることを抑制することができる。
乾燥固化されたトナー粒子Tは、除電装置43で除電された後、トナー捕集部4で捕集され、気流路形成部材41内で気流路42及びチューブ7を介して移送され、トナー貯留部5で貯留される。
−液柱共鳴型−
次に、液滴形成手段が液柱共鳴型である場合について、図2を参照して説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
図2は、図1のトナーの製造装置の吐出孔15を有する液滴吐出部11の拡大断面図である。液滴吐出部11は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液10を内部に貯留し、液柱共鳴液室12内の固定端側のフレームの端部54から液共通供給路52側の端部55までの長さが、長さLに相当する。振動発生体17は、液滴吐出部11の吐出孔15が設けられている壁面とは反対側の壁面に弾性板56に貼りあわせた形態で、振動発生体17がトナー組成液10に接液しないように液柱共鳴液室12の壁の一部を形成した状態で設けられている。
複数の吐出孔15の形状は、図2及び図4A〜Eにおいて簡略化して示しているが、図9A及び図9Bに示すようなテーパ形状を有するものである。
液滴形成手段が液柱共鳴型である場合、テーパ角θ又は曲率半径Rを前記膜振動型の場合と同様に定義した場合、n=1は、前記液柱共鳴による圧力定在波の振幅が極大となる位置の吐出孔を表し、前記液柱共鳴による圧力定在波の振幅が極大となる位置の吐出孔から離れるにしたがってnの数が大きくなることが好ましい。
nの数としては、特に制限はなく、吐出構造体の面積などに応じて適宜選択することができるが、nの数が大きいほど好ましい。nの数が大きいと、複数の吐出孔15において細かくテーパ角又は曲率半径を設定することができ、複数の吐出孔15全体において、均一な吐出速度で液滴を吐出させることができる点で好ましい。
複数の吐出孔は、互いに異なる形状であるものを含んでいれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧力定在波の振幅が極小となる位置の吐出孔のテーパ角(θn>1)が、前記液柱共鳴による圧力定在波の腹に相当する吐出孔のテーパ角(θ)よりも大きいことが好ましい。例えば、複数の吐出孔15が図4Cに示すように設けられる場合、各吐出孔15のテーパ角としては、前記液柱共鳴による圧力定在波の振幅が極大(圧力が最大)である位置に相当する吐出孔のテーパ角がθであり、該θを有する吐出孔15を中心として、固定端側のフレームの端部54方向、及び液共通供給路52方向に向かってnの数が大きくなるものとすることが好ましい。このとき、テーパ角は、nの数が大きくなるにしたがって、連続的に大きくなってもよく、段階的に大きくなってもよい。曲率半径についても同様である。
テーパ角としては、特に制限はなく、吐出構造体の面積や、吐出構造体における吐出孔の位置、振動発生体により付加される振動の大きさなどに応じて適宜選択することができるが、5°〜60°が好ましく、10°〜30°がより好ましい。
前記曲率半径としては、特に制限はなく、吐出構造体の面積や、吐出構造体における吐出孔の位置、振動発生体により付加される振動の大きさなどに応じて適宜選択することができるが、40μm〜100μmが好ましく、40μm〜80μmがより好ましい。
図1において、液滴吐出ユニット2から吐出され液滴化したトナー組成液の液滴23は、粒子形成部3内で、重力によって下方に搬送される際に乾燥固化されトナー粒子Tを形成する。このとき、重力によってのみではなく、搬送気流40によって液滴23を搬送することが、吐出された液滴間の合一を防止し、より単一分散性の高いトナーを得ることができる点で好ましい。搬送気流流通路の方向及び搬送気流40の方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、吐出された液滴の吐出初速度の方向に対して平行な方向であってもよく、吐出した液滴23の方向を変化させる方向であってもよい。
図2は、搬送気流流通路53が吐出された液滴23の吐出初速度の方向に対して平行な方向に設けられた一例を示す図であり、この態様によれば、粒子形成部3の下方に向かって搬送気流40が発生する。
図20は、搬送気流流通路53が吐出された液滴23の吐出初速度の方向に対して略直
交する方向に設けられた一例を示す図である。図20における搬送気流流通路53の方向
は、粒子形成部3における気相への方向である。
また、図21は、搬送気流流通路53が、第1の搬送気流流通路53−1と、第1の搬送気流流通路53−1に連通するとともに粒子形成部3の気相へとつながる第2の搬送気流流通路53−2とからなり、第1の搬送気流流通路53−1の方向は液滴吐出方向に対して略直交する方向であり、第2の搬送気流流通路53−1は第1の搬送気流流通路53−1の方向と略直交する方向でかつ液滴吐出方向と同じ方向である。
これらの搬送気流を発生させることによって、吐出された液滴23が空気抵抗によって減速されることを抑制でき、液滴23を連続的に吐出したときに、液滴23が乾燥する前に空気抵抗によって減速し、後に吐出された液滴23が前に吐出された液滴23に追い付くことで、液滴23同士が合着して一体となり、液滴23の粒径が大きくなることを抑制することができる。乾燥固化されたトナー粒子Tは、トナー捕集部4で捕集され、トナー貯留部5で貯留される。
<トナー>
本発明の前記トナーの製造方法及び製造装置により、トナー組成液が液滴化され、前記液滴化されたトナー組成液が固化され粒子化されることにより製造されたトナーは、粒度分布が単分散なものが得られる点で有利である。
前記トナー粒子の粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.00〜1.15が好ましく、1.00〜1.07がより好ましい。前記粒度分布は、1.15を超えると、粒子系のばらつきが大きく、各粒子間の帯電性が不均一になり、地肌汚れ等の異常画像を生じるほか、粒状度等の画質低下が生じることがある。
また、前記トナー粒子の重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜20μmが好ましく、3μm〜10μmがより好ましい。前記質量平均粒子が、1μm未満であると、強帯電を帯びた微粉粒子が多くなり、キャリアに強固に付着するなどしてキャリアの帯電サイトを奪い現像性の低下、つまりは異常画像の発生を引き起こすばかりでなく、吸引することで人体にも影響を及ぼすことがある。
前記トナーの粒度分布の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)で測定する方法などが挙げられる。
本発明のトナーの製造方法及び製造装置は、複数の吐出孔から同時に液滴を均一な速度で吐出でき、したがって、複数の吐出孔から吐出した液滴が合一することなくそれぞれ均一な量で吐出でき、単位時間当たりに吐出できる液滴数が多ため、トナーを効率よく生産することができる。
また、本発明の前記トナーの製造方法及び製造装置により得られたトナーは、汎用性が高く、トナーの単一分散性が高いため、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するための現像剤に好適に利用可能である。該現像剤は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できるが、例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体などが好適に使用可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<着色剤分散液の調製>
攪拌羽根を有するミキサーを用いて、カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)17質量部、顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)3質量部、及び酢酸エチル80質量部を一次分散させた。得られた一次分散液を、ダイノーミル(NPM−PILOT、ウィリー・エ・バッコーフェン社製)を用いて、二次分散させて、粒径が5μm以上の凝集体を完全に除去し、着色剤分散液を調製した。
<ワックス分散液の調製>
次に、攪拌羽根を有するミキサーを用いて、カルナバワックス18質量部、ワックス分散剤2質量部、及び酢酸エチル80質量部を一次分散させた。なお、ワックス分散剤としては、ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを用いた。得られた一次分散液を攪拌しながら80℃まで加熱してカルナバワックスを溶解させた後、室温まで冷却して最大径が3μm以下となるようにカルナバワックスを析出させた。更に、ダイノーミルを用いて二次分散させ、最大径が1μm以下になるようワックス分散液を調製した。
<トナー組成分散液の調製>
次に、攪拌羽根を有するミキサーを用いて、結着樹脂としてのポリエステル樹脂100質量部、前記着色剤分散液30質量部、前記ワックス分散液30質量部、及び酢酸エチル840質量部を、10分間攪拌し、均一に分散させ、トナー組成液(分散液)を調製した。なお、溶媒希釈により顔料やワックス粒子が凝集することはなかった。
<トナーの作製>
次に、得られたトナー組成分散液500mLを、液滴形成手段が図6に示す膜振動型である、図5に示すトナーの製造装置の液滴吐出部11の複数の吐出孔(ノズル)15に供給した。
使用した吐出構造体(薄膜、ノズルプレート)16は、外径20.0mm、厚み40μmのニッケル板に、吐出孔における吐出される側(気相側)の端部で真円形状の吐出開口径(直径)10μmの吐出孔15を、電鋳による加工で作製した。
吐出孔は、吐出構造体の厚み方向に対して垂直な面(吐出孔の開口面)の中心(吐出構造体の中心)に該開口面に対する垂線(開口軸)を引き、この垂線を中心として、該開口面方向に直径3mmの範囲に、21個の吐出孔を設けた。各吐出孔間の距離は、吐出孔の中心部間の最短間隔が約100μmピッチとなるようにし、図17において四角形(実線)で囲んだ領域内の黒丸で示す吐出孔15のように、吐出構造体の中心に位置する吐出孔を中心として、中心対称となるように一列に設けた。
なお、本願発明は、図17の黒丸及び灰色丸で示す吐出孔15のように、吐出構造体16の中心に同心正六角形状に複数の吐出孔15を設けることが好ましいが、本実施例では、トナー組成液の吐出を観察しやすくするために、便宜上一列に吐出孔15を設けた。本発明のトナーの製造装置では、吐出孔及び該吐出孔を設ける範囲が小さく、トナー組成液の共振周波数や振動の伝播には影響を及ぼさないため、吐出孔を一列で設けた場合と、同心正六角形状に設けた場合とで、結果は実質同一である。
各吐出孔は、トナー組成液の吐出方向に向かって開口径が小さくなるテーパ形状とした。即ち、吐出構造体の中心に位置する吐出孔のテーパ角と、該中心の吐出孔の両側の1個目から3個目までのテーパ角とをθ=13°とし、4個目から6個目までのテーパ角をθ=15°とし、7個目から9個目までのテーパ角をθ=17°とし、10個目のテーパ角をθ=19°とした。ここで、テーパ角とは、前記垂線(開口軸)に対して吐出孔の側面がなす角度をいう。
なお、吐出構造体16の中心に同心正六角形状に複数の吐出孔15を設けた場合は、図17における各破線で囲む正六角形の領域内の吐出孔は、それぞれ同じテーパ角を有する。
更に、吐出構造体の露出表面全体にRFスパッタによってSiO膜を形成し、前記SiO膜上に、フッ素系化合物(オプツール、ダイキン工業株式会社製)を蒸着して撥液膜を形成した。撥液膜の膜厚は、非接触式膜厚測定装置(エリプソメーター、溝尻光学株式会社製)を用いて測定したところ、50nmであった。また、撥液膜の接触角は、接触角計(DM500、協和界面科学株式会社製)を用いて測定したところ、前記トナー組成分散液の接触角が58°であった。
図8において、振動発生体17は、内径4mm、直径15mm、厚さ2.0mmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であり、吐出構造体16との接合面13b、及び吐出構造体16とSUS304で作製したフレーム14との接合面13aは共に、エポキシ樹脂(弾性率1.3×10Pa)を用い、加熱条件170℃×5分間で接合した。
トナー組成分散液を調製後、以下に示すトナー作製条件で、液滴を吐出させた後、前記液滴を粒子形成部3で乾燥固化することにより、トナー母体粒子を作製した。なお、実施例1では、粒子形成部に搬送気流流通路を有さない装置を用いた。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :125.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :43.5V
なお、「吐出孔振動数」とは、図6で図示される電気的駆動装置51による振動手段17への入力振動周波数である。
吐出の様子は、液滴化したトナー組成分散液にLEDの光を当て、前記液滴を挟んでLEDに対向して設置したCCDカメラで撮影することによって観測した。このLEDの駆動周波数を液滴吐出部11の振動数に同期することで、トナー組成液の吐出孔からの吐出を確認できた。21個の吐出孔のうち、21個全ての吐出孔から吐出していた。
この吐出した液柱くびれと振動数とから吐出速度を、吐出速度(m/秒間)=くびれ波長(μm)/振動数(kHz)という計算により見積ることができる。
最大の吐出速度は中心の吐出孔から6個目の吐出孔であり、16.5m/秒間、最小の吐出速度は中心の吐出孔から9個目の吐出孔であり、14.1m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.85となった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で1.35g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.13g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒径分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で下記に示す測定方法で測定したところ、重量平均粒径(D4)は、7.19μm、個数平均粒径(Dn)は、5.8μmであり、D4/Dnは、1.24であった。
−トナーの粒度分布の測定方法−
フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用した測定方法に関して以下に説明する。
トナー、トナー粒子、及び外添剤の粒度分布は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)を用いて測定した。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cmの水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10mL中にノニオン系界面活性剤(コンタミノンN;和光純薬工業株式会社製)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器(UH−50;STM社製)で20kHz、50W/10cmの条件で1分間分散処理を行い、更に、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4,000個/10−3cm〜8,000個/10−3cm(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定した。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させた。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影された。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。
約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06μm〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行った。
<外添処理>
乾燥固化したトナー母体粒子は、サイクロン捕集した後、疎水性シリカ(H2000;クラリアントジャパン社製)1.0質量%を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて外添処理を行い、トナーを作製した。
<キャリアの作製>
被覆層材料としてのシリコーン樹脂をトルエンに分散させて、被覆層分散液を調製した後、加温状態にて、芯材(平均粒径50μmの球形フェライト粒子)にスプレーコートし、焼成し、冷却後、被覆層の平均厚み0.2μmのキャリアを作製した。
<現像剤の作製>
得られたトナー4質量部に対し、上記キャリア96質量部を混合して二成分現像剤を作製した。
(実施例2)
実施例1において、粒子形成部に搬送気流流通路を有する装置を用い、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と同じ方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :125.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :43.5V
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。実施例1と同様に21個の吐出孔のうち、21個全ての吐出孔から吐出していた。
最大の吐出速度は中心の吐出孔から6個目の吐出孔であり、16.5m/秒間、最小の吐出速度は中心の吐出孔から9個目の吐出孔であり、14.1m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.85となった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で1.35g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.13g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒径分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で下記に示す測定方法で測定したところ、重量平均粒径(D4)は、5.6μm、個数平均粒径(Dn)は、5.3μmであり、D4/Dnは、1.06であった。
(実施例3)
実施例2において、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と略直交する方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :125.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :37.5V
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。実施例1と同様に21個の吐出孔のうち、21個全ての吐出孔から吐出していた。
最大の吐出速度は中心の吐出孔から6個目の吐出孔であり、16.7m/秒間、最小の吐出速度は中心の吐出孔から9個目の吐出孔であり、14.7m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.88であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で1.39g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.13g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、5.41μm、個数平均粒径(Dn)は、5.2μmであり、D4/Dnは、1.04であった。
(実施例4)
実施例2において、吐出孔の形状とトナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
各吐出孔の形状は、トナー組成液の吐出方向に向かって開口径が小さくなるラウンド形状とした。即ち、吐出構造体の中心に位置する吐出孔の曲率半径と、該中心の吐出孔の両側の1個目から3個目までの曲率半径とをR=80μmとし、4個目から6個目までの曲率半径をR=60μmとし、7個目から9個目までの曲率半径をR=45μmとし、10個目の曲率半径をR=40μmとした。ここで、曲率半径は、吐出孔の開口面(吐出構造体の厚み方向に対して垂直な面)から、前記吐出構造体の厚み方向に向かうラウンド形状における曲率半径である。
なお、吐出構造体16の中心に同心正六角形状に複数の吐出孔15を設けた場合は、図17における各破線で囲む正六角形の領域内の吐出孔は、それぞれ同じ曲率半径を有する。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と略直交する方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :120.2kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :36.0V
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。実施例1と同様に21個の吐出孔のうち、21個全ての吐出孔から吐出していた。
最大の吐出速度は中心の吐出孔から6個目の吐出孔であり、14.0m/秒間、最小の吐出速度は中心の吐出孔から9個目の吐出孔であり、12.35m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.88であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で1.39g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.12g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、5.36μm、個数平均粒径(Dn)は、5.1μmであり、D4/Dnは、1.05であった。
(比較例1)
実施例1において、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :122.4kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :45.0V
吐出孔形状 :テーパ形状(テーパ角:全て15°)
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。21個の吐出孔のうち、吐出構造体の中心付近の13個の吐出孔から吐出していた。吐出のくびれ波長は吐出孔の位置に対して分布ができていた。
最大の吐出速度は中心の吐出孔であり、21.6m/秒間、最小の吐出速度は中心の吐出孔から6個目の吐出孔であり、6.3m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.29であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で0.97g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.09g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、9.31μm、個数平均粒径(Dn)は、6.7μmであり、D4/Dnは、1.39であった。
(比較例2)
実施例2において、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と同じ方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :122.4kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :45.0V
吐出孔形状 :テーパ形状(テーパ角:全て15°)
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。21個の吐出孔のうち、吐出構造体の中心付近の13個の吐出孔から吐出していた。吐出のくびれ波長は吐出孔の位置に対して分布ができていた。
最大の吐出速度は中心の吐出孔であり、21.6m/秒間、最小の吐出速度は中心の吐出孔から6個目の吐出孔であり、6.3m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.29であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で0.97g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.09g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、7.1μm、個数平均粒径(Dn)は、6.0μmであり、D4/Dnは、1.18であった。
(比較例3)
実施例2において、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と同じ方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :115.9kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :37.5V
吐出孔形状 :ラウンド形状(曲率半径:全て40μm)
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。21個の吐出孔のうち、中心付近の15個の吐出孔から吐出していた。吐出のくびれ波長は吐出孔の位置に対して分布ができていた。
最大の吐出速度は中心の吐出孔であり、15.9m/秒間、最小の吐出速度は中心の吐出孔から7個目の吐出孔であり、7.3m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.46であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で1.03g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.10g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、6.8μm、個数平均粒径(Dn)は、5.6μmであり、D4/Dnは、1.21であった。
(実施例5)
実施例1において、液滴形成工程、粒子形成工程を、液滴形成手段が図19に示す液柱共鳴型である、図1に示すトナーの製造装置に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。なお、実施例5では、粒子形成部に搬送気流流通路を有さない装置を用いた。
図19は、実施例5に用いた液滴形成手段を示す図である。液柱共鳴液室12内の固定端側のフレームの端部54に吐出孔15が24個開口するとともに、液柱共鳴液室12の液共通供給路(図示しない)側の端部55に反射壁を設けた場合の定在波の一例である。端部54の近傍に吐出孔15が設けられているため、端部54側は、やや緩めの固定端であり、液共通供給路側の端部55側は、固定端のN=2の共鳴モードの定在波とみなすことができる。なお、駆動周波数は共鳴周波数である420kHzとした。図19の液柱共鳴液室12内の実線は速度定在波、点線は圧力定在波を表す。
液柱共鳴液室12の長手方向の両端の壁面間の長さLは1.85mm、液柱共鳴液室の幅W(Lに垂直方向の長さ)は各0.12mmとし、液柱共鳴液室12の吐出孔の設けられた壁面以外の全ての壁面を含むフレームをステンレスパンチングにより作製し、吐出孔の設けられた吐出構造体をこのフレームに接合部材で貼り合わせた。
使用した吐出構造体は、厚み40μmのニッケル板に、吐出孔における吐出される側(気相側)の端部で真円形状の吐出開口径(直径)8.2μmの吐出孔15を、電鋳による加工で作製した。
吐出孔は、図19に示すように、吐出構造体の固定端側のフレームの端部54から長手方向に0.6μmまでの範囲に長手方向に13列の千鳥配列で24個設けた。各吐出孔間の距離は、吐出孔の中心部間の最短間隔が約100μmピッチとなるようにした。
なお、実施例5においては、吐出孔の配置がトナー組成液の共振周波数や振動の伝播に影響を及ぼす可能性があることから、効率のよい条件として、吐出孔を液柱共鳴の長手方向に13列に設ける複数列配置で実施した。
各吐出孔は、トナー組成液の吐出方向に向かって開口径が小さくなるテーパ形状とした。即ち、固定端側(端部54側)のフレームの端部における吐出孔を1列目とし、1列目から3列目までの全ての吐出孔のテーパ角をθ=20°とし、4列目から5列目までのテーパ角をθ=18°とし、6列目から8列目までのテーパ角をθ=16°とし、9列目から11列目までのテーパ角をθ=14°とし、の12列目から13列目のテーパ角をθ=12°とした。ここで、テーパ角とは、前記垂線(開口軸)に対して吐出孔の側面がなす角度をいう。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :420.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :15.6V
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラを用い、CCDカメラの焦点をずらしながら吐出孔の列ごとに観測した。24個の吐出孔のうち、24個全ての吐出孔から吐出していた。
最大の吐出速度は16.4m/秒間、最小の吐出速度は14.7m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.90であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で4.72g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.45g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、6.55μm、個数平均粒径(Dn)は、5.5μmであり、D4/Dnは、1.19であった。
(実施例6)
実施例5において、粒子形成部に搬送気流流通路を有する装置を用い、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と同じ方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :420.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :15.6V
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラを用い、CCDカメラの焦点をずらしながら吐出孔の列ごとに観測した。24個の吐出孔のうち、24個全ての吐出孔から吐出していた。
最大の吐出速度は16.4m/秒間、最小の吐出速度は14.7m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.90であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で4.72g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.45g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、5.41μm、個数平均粒径(Dn)は、5.2μmであり、D4/Dnは、1.04であった。
(実施例7)
実施例6において、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例6と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と略直交する方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :420.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :15.6V
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。24個の吐出孔のうち、24個全ての吐出孔から吐出していた。
最大の吐出速度は16.3m/秒間、最小の吐出速度は14.5m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.89であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で4.70g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.45g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、5.1μm、個数平均粒径(Dn)は、5.0μmであり、D4/Dnは、1.02であった。
(実施例8)
実施例6において、吐出孔の形状とトナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例6と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
各吐出孔は、トナー組成液の吐出方向に向かって曲率半径が小さくなるラウンド形状とした。即ち、固定端側(端部54側)のフレームの端部における吐出孔を1列目とし、1列目から3列目までの全ての吐出孔の曲率半径をR=40μmとし、4列目から5列目までの曲率半径をR=45μmとし、6列目から8列目までの曲率半径をR=50°とし、9列目から11列目までの曲率半径をR=60°とし、の12列目から13列目のテーパ角をR=80°とした。ここで、曲率半径は、吐出孔の開口面(吐出構造体の厚み方向に対して垂直な面)から、前記吐出構造体の厚み方向に向かうラウンド形状における曲率半径である。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と略直交する
方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :420.3kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :15.2V
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。24個の吐出孔のうち、24個全ての吐出孔から吐出していた。
最大の吐出速度は16.0m/秒間、最小の吐出速度は14.1m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.88であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で4.69g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.45g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、5.2μm、個数平均粒径(Dn)は、5.1μmであり、D4/Dnは、1.02であった。
(実施例9)
実施例6のトナー母体粒子の作製において、トナー組成液に代えて、下記樹脂組成液調製工程で調製した樹脂組成液を用い、液滴形成工程及び粒子形成工程を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例6と同様の方法で樹脂微粒子を作製した。
<樹脂組成液調製工程>
攪拌羽根を有するミキサーを用いて、結着樹脂としてのポリエステル樹脂110質量部及び酢酸エチル890質量部を、10分間攪拌し、均一に分散させ、樹脂組成液を調製した。
<液滴形成工程、粒子形成工程>
実施例6において、トナー作製条件を下記に示す樹脂微粒子作製条件に変えたこと以外は、実施例6と同様にして、樹脂微粒子を作製した。
−樹脂微粒子作製条件−
樹脂組成液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と略直交する方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :421.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :15.8V
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。24個の吐出孔のうち、24個全ての吐出孔から吐出していた。
最大の吐出速度は16.2m/秒間、最小の吐出速度は14.5m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.90であった。
吐出量は、組成液基準で4.73g/分間であった。乾燥後の粒子基準では、約0.45g/分間であった。
乾燥固化した樹脂微粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、5.1μm、個数平均粒径(Dn)は、5.0μmであり、D4/Dnは、1.02であった。
(比較例4)
実施例5において、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、トナー及び現像剤を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度の方向と略直交する方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :423.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :16.0V
吐出孔形状 :ラウンド形状(曲率半径:全て40μm)
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。24個の吐出孔のうち、24個全ての吐出孔から吐出していた。吐出のくびれ波長は吐出孔の位置に対して分布ができていた。
最大の吐出速度は21.9m/秒間、最小の吐出速度は7.3m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.33であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で4.36g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.42g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、7.22μm、個数平均粒径(Dn)は、5.6μmであり、D4/Dnは、1.29であった。
(比較例5)
実施例7において、トナー作製条件を下記に示す条件に変えたこと以外は、実施例7と同様にして、トナー母体粒子を作製した。
−トナー作製条件−
トナー組成分散液比重 :ρ=1.19g/cm
搬送気流流量 :装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分間
搬送気流の方向 :吐出液滴の吐出初速度方向と略直交する方向
搬送気流速度 :15m/秒間
粒子形成部内温度 :27℃〜28℃
吐出孔振動数 :423.0kHz
PZTへの印加電圧Sin波p−p値 :16.0V
吐出孔形状 :ラウンド形状(曲率半径:全て40μm)
吐出の様子は、実施例1と同様にして、LEDとCCDカメラで観測した。24個の吐出孔のうち、24個全ての吐出孔から吐出していた。吐出のくびれ波長は吐出孔の位置に対して分布ができていた。
最大の吐出速度は21.9m/秒間、最小の吐出速度は7.3m/秒間となり、最小吐出速度/最大吐出速度は、0.33であった。
吐出量は、トナー組成分散液基準で4.36g/分間であった。乾燥後のトナー基準では、約0.41g/分間であった。
乾燥固化したトナー母体粒子は、軟X線照射による除電をして、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後1時間経過した後に捕集した粒子の粒度捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像解析装置(FPIA−2000;シスメックス株式会社製)で、実施例1と同様にして測定したところ、重量平均粒径(D4)は、5.8μm、個数平均粒径(Dn)は、5.2μmであり、D4/Dnは、1.12であった。
実施例1〜9及び比較例1〜5の結果を下記表1に示す。
実施例1〜9では、全ての吐出孔からトナー組成液が吐出したが、比較例1〜3ではそれぞれ13個又は15個の吐出孔からしか吐出しなかった。これは、実施例1〜9では、複数の吐出孔のテーパ角又は曲率半径を調整することにより、複数の吐出孔のトナー組成液供給側に加わる圧力を均一にしているのに対し、比較例1及び2では、複数の吐出孔のテーパ角が一定であり、比較例3では、複数の吐出孔が曲率半径が一定のラウンド形状であるため、吐出構造体における吐出孔の位置により加わる圧力に差があり、圧力の小さい振動発生体側の吐出孔では吐出に十分な圧力が得られなかったためと考えられる。
また、吐出構造体における振動発生体側の最小吐出速度と、吐出構造体における中心付近の最大吐出速度との比をとると、実施例1〜9は、比較例1〜5よりも1に近かった。これも、各吐出孔に加わる圧力が均一であることに起因すると考えられる。
重量平均粒径D4も、実施例1〜9は、比較例1〜5よりも小さい結果となった。これは、比較例1〜5では、吐出速度の小さい振動発生体側で液滴間の合一が頻繁に起こったのに対し、実施例1〜9では、液滴間の合一が少なかったことによるものと考えられる。粒子のバラつきの大きさの指標となるD4/Dnでも、同様の理由により実施例1〜9が、比較例1〜5に比べ小さくなっていた。また、トナーの製造装置が搬送気流流通路を有し、吐出された液滴が搬送気流により搬送された場合は、より1に近く、該搬送気流の方向が吐出液滴の吐出初速度の方向に対して略直交する方向である場合は、特に1に近かった。
捕集量については、実施例1〜4の膜振動型と比較して、実施例5〜9の液柱共鳴型の方が多かった。
本発明のトナーの製造方法及び製造装置は、複数の吐出孔から同時に液滴を吐出でき、複数の吐出孔から吐出した液滴が合一することなくそれぞれ均一な量で吐出でき、単位時間当たりに吐出できる液滴数が多ため、汎用性及び単一分散性が高いトナーを効率よく生産することができる。
また、本発明の前記トナーの製造方法及び製造装置により得られたトナーは、汎用性が高く、トナーの単一分散性が高いため、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像するための現像剤に好適に利用可能である。該現像剤は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できるが、例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体などが好適に使用可能である。
1、200 トナーの製造装置
2 液滴吐出ユニット
3 粒子形成部(溶媒除去部)
3A 粒子形成部の天面部
4 トナー捕集部
5 トナー貯留部
6 原料収容部
7 チューブ
8、8A 送液管(配管)
9 液戻り管
10 トナー組成液
11 液滴吐出部
12 液柱共鳴液室
12A 吐出構造体の周辺部
O、12C 吐出構造体の中心
13a 吐出構造体(薄膜、ノズルプレート、吐出板)接合部
13b 振動発生体接合部
14 フレーム(液室部材)
15 吐出孔(ノズル、貫通孔)
16 吐出構造体(薄膜、ノズルプレート、吐出板)
16A 吐出構造体の変形可能領域
17、17A 振動発生体(電気機械変換手段)
19 支持部材
20 液供給チューブ(液供給孔)
21 気泡排出チューブ(排出孔)
23 液滴
24 液室
40 搬送気流
41 気流路形成部材
42 気流路
43 除電装置
50 リード線
51 駆動回路(駆動信号発生源)
52 液共通供給路
53 搬送気流流通路
54 固定端側のフレームの端部
55 液共通供給路52側の端部
56 弾性板
100 ポンプ
T トナー粒子
特開平7−152202号公報 特開昭57−201248号公報 特許第3786034号公報 特許第3786035号公報 特開2008−276146号公報 特開2008−281915号公報

Claims (13)

  1. 少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成手段と、前記液滴化したトナー組成液を固化させて粒子を形成する粒子形成手段と、を有することを特徴とするトナーの製造装置。
  2. 液滴形成手段が、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔が形成された吐出構造体を有し、
    前記複数の吐出孔の形状が、前記複数の吐出孔の開口径がトナー組成液の吐出方向に向かって小さくなるテーパ形状であり、前記複数の吐出孔が、前記吐出構造体における位置によって異なるテーパ角を有する請求項1に記載のトナーの製造装置。
  3. 液滴形成手段が、振動を発生する振動発生体を更に有し、前記振動発生体が、吐出構造体の周囲に円環状に設けられた請求項2に記載のトナーの製造装置。
  4. 吐出構造体における、振動発生体側に位置する吐出孔のテーパ角が、中央部に位置する吐出孔のテーパ角よりも大きい請求項3に記載のトナーの製造装置。
  5. 液滴形成手段が、吐出孔が開孔されている液室と、前記液室内のトナー組成液に振動を付与する振動発生体とを有し、前記振動発生体により振動を付与された前記液室内の前記トナー組成液が液柱共鳴により圧力定在波を形成し、前記圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴化する手段である請求項1から2のいずれかに記載のトナーの製造装置。
  6. 粒子形成手段が、液滴化したトナー組成液及び固化された粒子の少なくともいずれかを搬送する搬送気流を内部に流通させる搬送気流流通路を有する請求項1から5のいずれかに記載のトナーの製造装置。
  7. 搬送気流流通路が、液滴形成手段により吐出された液滴の吐出初速度の方向に対し略直交する方向の搬送気流が形成されるように設けられた請求項6に記載のトナーの製造装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のトナーの製造装置を用いてトナーを製造する方法であって、
    少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化したトナー組成液を固化させ粒子を形成する粒子形成工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  9. 液滴形成工程が、複数の吐出孔を有する吐出構造体の周囲に円環状に設けられた振動発生体が前記吐出構造体に振動を付与してトナー組成液を吐出して液滴化する工程である請求項8に記載のトナーの製造方法。
  10. 液滴形成工程が、複数の吐出孔を有する液室内のトナー組成液に振動を付与し、前記トナー組成液に液柱共鳴による圧力定在波を形成し、前記圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出する工程である請求項8に記載のトナーの製造方法。
  11. 粒子形成工程が、少なくとも吐出孔の吐出開口から2mmの範囲における液滴を、該液滴の吐出初速度の方向に対し略直交する方向の搬送気流により搬送する工程を更に含む請求項8から10のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  12. 少なくとも樹脂を含有する樹脂組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成手段と、前記液滴化した樹脂組成液を固化させて粒子を形成する粒子形成手段と、を少なくとも有することを特徴とする樹脂微粒子の製造装置。
  13. 請求項12に記載の樹脂微粒子の製造装置を用いて樹脂微粒子を製造する方法であって、
    少なくとも樹脂を含有する樹脂組成液を、互いに異なる形状であるものを含む複数の吐出孔から均一な吐出速度で吐出して液滴化する液滴形成工程と、前記液滴化した樹脂組成液を固化させて粒子を形成する粒子形成工程と、を少なくとも有することを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
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