本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、物品の着脱を行うための搬送テーブルを、左右隣り合わせて配設され且つ前後動し得る2台の搬送テーブルを以て構成することを基本として、搬送テーブルに対する物品の着脱作業を能率よく行うことを可能として生産性向上に寄与でき、又、物品の着脱作業の安全性向上にも寄与する物品搬送装置の提供を課題とするものである。又、該物品搬送装置の主要部の構成を応用することによって、搬送テーブルに対するワークの着脱作業を能率よく行うことを可能として生産性向上に寄与でき、又、ワークの着脱作業の安全性向上にも寄与する工作機械の提供を課題とするものである。
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る物品搬送装置の第1の態様は、前後方向に往復移動できる2台の搬送テーブルが、該前後方向と直交する左右方向で見て左右隣り合わせて配設されると共に、選択された該搬送テーブル上に載置されてなる物品を物品導入側から物品処理部に向けて搬送する搬送フレームが配設されてなり、前記2台の搬送テーブルは、夫々が、後退位置と前進位置との間で前記前後方向で移動できると共に、該2台の搬送テーブルの該前後移動は交互に行われるようになされており、前記搬送フレームは、支柱部材の上部に、押圧部が上下動し得る昇降押圧手段を具える可動張り出し部材が設けられており、前記前進位置にある、前記搬送テーブルの内の何れか一方は、前記物品導入側に位置する前記搬送フレームの前記支柱部材の側方部に導入される如くなされており、該導入された状態で、前記搬送フレームが該搬送テーブルと共に前記物品処理部に向けて移動可能となされており、前記可動張り出し部材は、前記前進位置にある前記搬送テーブル上の物品を該搬送テーブルのテーブル上面に向けて前記昇降押圧手段が押圧できるベース位置と、前記後退位置にある前記搬送テーブル上の物品を該テーブル上面に向けて前記昇降押圧手段が押圧できる張り出し位置との間で前後方向に移動可能となされていることを特徴とするものである。
本発明に係る物品搬送装置の第2の態様は、前後方向に往復移動できる2台の搬送テーブルが、該前後方向と直交する左右方向で見て左右隣り合わせて配設されると共に、選択された該搬送テーブル上に載置されてなる物品を物品導入側から物品処理部に向けて搬送する搬送門形フレームが配設されてなり、前記2台の搬送テーブルは、夫々が、後退位置と前進位置との間で前記前後方向で移動できると共に、該2台の搬送テーブルの該前後移動は交互に行われるようになされており、前記搬送門形フレームは、前記左右方向で所要間隔を隔てて立設された左右の支柱部材を具えており、前記左右の支柱部材の上部相互を連結するように、押圧部が上下動し得る昇降押圧手段を具える可動張り出し部材が設けられている。又、前記前進位置にある、前記搬送テーブルの内の何れか一方は、前記物品導入側に位置する前記搬送門形フレームの前記左右の支柱部材の間に導入される如くなされており、該導入された状態で、前記搬送門形フレームが該搬送テーブルと共に前記物品処理部に向けて移動可能となされている。又、前記可動張り出し部材は、前記前進位置にある前記搬送テーブル上の物品を該搬送テーブルのテーブル上面に向けて前記昇降押圧手段が押圧できるベース位置と、前記後退位置にある前記搬送テーブル上の物品を該テーブル上面に向けて前記昇降押圧手段が押圧できる張り出し位置との間で前後方向に移動可能となされていることを特徴とするものである。
本発明に係る物品搬送装置の第3の態様は、前記第2の態様に係る物品搬送装置において、前記搬送テーブルが前記後退位置を呈し且つ前記テーブル上面に物品が所要に位置決めされて載置された状態で、前記可動張り出し部材が前記張り出し位置を呈する如くなされ、該張り出し位置で前記押圧部が下降して、該押圧部が該搬送テーブル上の物品を該テーブル上面に向けて仮クランプ押圧力で押圧した仮クランプ状態を呈する如くなされ、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材とが同期して前方向に移動でき、該可動張り出し部材が前記ベース位置に戻ったときに前記搬送テーブルが前記前進位置を呈する如くなされている。そして、該前進位置を呈した状態で、前記昇降押圧手段が、前記搬送テーブル上の物品を、前記仮クランプ押圧力と同等かそれよりも大きい押圧力である本クランプ押圧力で押圧した本クランプ状態を呈する如くなされると共に、該本クランプ状態で、物品が載置されてなる前記搬送テーブルと前記搬送門形フレームとが一体となって前記物品処理部に向けて移動する如くなされ、前記物品処理部における物品の所要の処理が完了した後、前記搬送門形フレームが該搬送テーブルと共に前記物品導入側に戻る如くなされ、その後に該搬送テーブルが前記後退位置に戻る如くなされている。又、該搬送テーブルとは別の搬送テーブルのテーブル上面に物品が所要に位置決めされて載置され且つ前記昇降押圧手段によって前記仮クランプ状態とされ、該別の搬送テーブルが前進して前記前進位置を呈する如くなされ、該前進位置を呈した状態で、該別の搬送テーブルが、前記導入側に位置する前記搬送門形フレームの左右の支柱部材の間に導入されるようになされると共に、その後に前記昇降押圧手段が前記本クランプ状態を呈する如くなされ、該本クランプ状態で、前記物品処理部に向けての前記移動と、前記物品処理部における物品の所要の処理が行われる如くなされており、又、前記物品処理部における物品の所要の処理が完了した後、前記搬送門形フレームが該搬送テーブルと共に前記物品導入側に戻る如くなされ、その後に該搬送テーブルが前記後退位置に戻る如くなされていることを特徴とするものである。
本発明に係る物品搬送装置の第4の態様は、前記第2の態様に係る物品搬送装置において、前記搬送テーブルが前記後退位置を呈し且つ前記テーブル上面に物品が所要に位置決めされて載置された状態で、前記可動張り出し部材が前記張り出し位置を呈する如くなされ、該張り出し位置で前記押圧部が下降して、該押圧部が該搬送テーブル上の物品を該テーブル上面に向けて仮クランプ押圧力で押圧した仮クランプ状態を呈する如くなされ、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材とが同期して前方向に移動でき、該可動張り出し部材が前記ベース位置に戻ったときに該搬送テーブルが前記前進位置を呈する如くなされている。そして、該前進位置を呈した状態で、前記昇降押圧手段が、前記搬送テーブル上の物品を、前記仮クランプ押圧力と同等かそれよりも大きい押圧力である本クランプ押圧力で押圧した本クランプ状態を呈する如くなされると共に、該本クランプ状態で、物品が載置されてなる前記搬送テーブルと前記搬送門形フレームとが一体となって前記物品処理部に向けて移動する如くなされている。又、前記物品処理部における物品の所要の処理が完了した後、前記搬送門形フレームが前記搬送テーブルと共に前記物品導入側に戻る如くなされており、このように戻った状態で、前記昇降押圧手段が前記仮クランプ状態を呈する如くなされ、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材とが同期して後方向に移動し、該搬送テーブルが前記後退位置を呈した状態で、前記昇降押圧手段が上昇して前記仮クランプ状態が解除され、該解除された状態で且つ前記可動張り出し部材が前記張り出し位置を呈した状態で、前記搬送門形フレームが左右方向で所要に移動して停止状態を呈する如くなされ、このように停止した状態で、前記搬送テーブルとは別の搬送テーブル上に位置決めされて載置された物品を前記押圧部が下降して仮クランプ状態を呈する如くなされ、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材とが同期して前方向に移動でき、該可動張り出し部材が前記ベース位置に戻ったときに前記搬送テーブルが前記前進位置を呈する如くなされており、該前進位置を呈した状態で、前記搬送テーブルが、該物品導入側に位置する前記搬送門形フレームの左右の支柱部材の間に導入されるようになされると共に、前記昇降押圧手段が前記本クランプ状態を呈する如くなされ、該本クランプ状態で、前記物品処理部に向けての前記移動と、前記物品処理部における物品の所要の処理が行われる如くなされており、又、前記搬送門形フレームが該搬送テーブルと共に前記物品導入側に戻り、その後に該搬送テーブルが前記後退位置に戻る如くなされていることを特徴とするものである。
本発明に係る物品搬送装置の第5の態様は、前記第1、2、3、4の態様に係る物品搬送装置において、前後動駆動装置を挾んで、前記2台の搬送テ−ブルが左右隣り合わせて配設されており、該前後動駆動装置の左右の駆動側面部の夫々に、左右の係合連結部が突出可能に設けられており、該左右の係合連結部を、前記左右の搬送テ−ブルの、該駆動側面部に向き合う側面部に設けられた係合被連結部に係合可能となされており、該係合連結部と該係合被連結部とが係合状態に連結された状態で、該係合連結部が前記可動張り出し部材と同期して前進又は後退できることを特徴とするものである。
本発明に係る物品搬送装置の第6の態様は、前記第1、2、3、4の態様に係る物品搬送装置において、前記可動張り出し部材に、前記左右の搬送テ−ブルの夫々に設けられている被保着部に係合状態で連結されると共に該係合状態の解除によって該連結が外れるようになされた係合保着部材が設けられており、前記可動張り出し部材が前記ベ−ス位置にある状態と前記張り出し位置にある状態で、前記係合保着部材が、前記前進位置又は前記後退位置にある前記搬送テ−ブルの前記被保着部に係合状態で連結可能となされると共に、該係合状態が解除されて該連結が外れた状態となる如くなされており、前記係合保着部材が前記被保着部に連結された状態で、前記可動張り出し部材の前後方向での移動によって前記搬送テ−ブルが該可動張り出し部材と同期して移動するようになされていることを特徴とするものである。
本発明に係る物品搬送装置の第7の態様は、前記第1、2、3、4の態様に係る物品搬送装置において、前記可動張り出し部材に、前記左右の搬送テ−ブルの夫々に設けられている被保着部に係合状態で連結されると共に該係合状態の解除によって該連結が外れるようになされた係合保着部材が、上下動可能に設けられており、前記可動張り出し部材が前記ベ−ス位置にある状態と前記張り出し位置にある状態で、前記係合保着部材が下降状態を呈することができ、該下降状態で、前記係合保着部材が、前記前進位置又は前記後退位置にある前記搬送テ−ブルの前記被保着部に係合状態で連結可能となされると共に、該係合状態が解除されて該連結が外れた状態で前記係合保着部材が上昇状態を呈し得るものとなされており、前記係合保着部材が前記被保着部に連結された状態で、前記可動張り出し部材の前後方向での移動によって前記搬送テ−ブルが該可動張り出し部材と同期して移動するようになされていることを特徴とするものである。
本発明に係る物品搬送装置の第8の態様は、前記第7の態様に係る物品搬送装置において、前記係合保着部材は、前記可動張り出し部材に設けられて上下方向で伸縮し得る昇降シリンダのロッドに取り付けられることにより該昇降シリンダの伸縮に応じて上下動できる、軸線が上下方向である保着筒体に付設されており、該保着筒体の内部には、上下方向に延長する回動軸が挿通され、該回動軸が正逆回動可能となされており、該回動軸の下端部分には、前記左右の搬送テーブルの夫々の前縁部で垂下する、前記被保着部としての係合軸を嵌め入れるための嵌入凹部が設けられてなる係合保着部材が固設されており、前記昇降シリンダの伸長によって前記保着筒体が下降し、該下降状態で前記回動軸が正方向に回動することにより、該嵌入凹部に該係合軸が嵌まり合って前記係合保着部材と該係合軸とが係合状態に連結される一方、前記下降状態で前記回動軸が逆方向に回動することにより、前記嵌入凹部から前記係合軸が外れる如くなされており、該係合保着部材と該係合軸との係合が外れた状態で、前記昇降シリンダが縮小して前記保着筒体が上昇でき、これにより、前記係合保着部材が上昇することを特徴とするものである。
本発明に係る工作機械の第1の態様は、前後方向に往復移動できる2台の搬送テーブルが、該前後方向と直交する左右方向で見て左右隣り合わせて配設されると共に、選択された該搬送テーブル上に載置されてなるワークをワーク導入側から機械加工部に向けて搬送する搬送フレームとが配設されてなり、前記2台の搬送テーブルは、夫々が、後退位置と前進位置との間で前記前後方向で移動できると共に、該2台の搬送テーブルの該前後移動は交互に行われるようになされており、前記搬送フレームは、支柱部材の上部に、押圧部が上下動し得る昇降押圧手段を具える可動張り出し部材が設けられており、前記前進位置を呈した状態にある、前記搬送テーブルの内の何れか一方は、前記ワーク導入側に位置する前記搬送フレームの前記支柱部材の側方部に導入される如くなされており、該導入された状態で、前記搬送フレームが該搬送テーブルと共に前記機械加工部に向けて移動可能となされており、前記可動張り出し部材は、前記前進位置にある前記搬送テーブル上のワークを該搬送テーブルのテーブル上面に向けて前記昇降押圧手段が押圧できるベース位置と、前記後退位置にある前記搬送テーブル上のワークを該テーブル上面に向けて前記昇降押圧手段が押圧できる張り出し位置との間で前後方向に移動可能となされていることを特徴とするものである。
本発明に係る工作機械の第2の態様は、前後方向に往復移動できる2台の搬送テーブルが、該前後方向と直交する左右方向で見て左右隣り合わせて配設されると共に、選択された該搬送テーブル上に載置されてなるワークをワーク導入側から機械加工部に向けて搬送する搬送門形フレームとが配設されてなり、前記2台の搬送テーブルは、夫々が、後退位置と前進位置との間で前記前後方向で移動できると共に、該2台の搬送テーブルの該前後移動は交互に行われるようになされており、前記搬送門形フレームは、前記左右方向で所要間隔を隔てて立設された左右の支柱部材を具えており、前記左右の支柱部材の上部相互を連結するように、押圧部が上下動し得る昇降押圧手段を具える可動張り出し部材が設けられている。又、前記前進位置を呈した状態にある、前記搬送テーブルの内の何れか一方は、前記ワーク導入側に位置する前記搬送門形フレームの前記左右の支柱部材の間に導入される如くなされており、該導入された状態で、前記搬送門形フレームが該搬送テーブルと共に前記機械加工部に向けて移動可能となされている。又、前記可動張り出し部材は、前記前進位置にある前記搬送テーブル上のワークを該搬送テーブルのテーブル上面に向けて前記昇降押圧手段が押圧できるベース位置と、前記後退位置にある前記搬送テーブル上のワークを該テーブル上面に向けて前記昇降押圧手段が押圧できる張り出し位置との間で前後方向に移動可能となされていることを特徴とするものである。
本発明に係る工作機械の第3の態様は、前記第2の態様に係る工作機械において、前記搬送テーブルが前記後退位置を呈し且つ前記テーブル上面にワークが所要に位置決めされて載置された状態で、前記可動張り出し部材が前記張り出し位置を呈する如くなされ、該張り出し位置で前記押圧部が下降して、該押圧部が該搬送テーブル上のワークを該テーブル上面に向けて仮クランプ押圧力で押圧した仮クランプ状態を呈する如くなされ、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材とが同期して前方向に移動でき、該可動張り出し部材が前記ベース位置に戻ったときに該搬送テーブルが前記前進位置を呈する如くなされている。そして、該前進位置を呈した状態で、前記昇降押圧手段が、前記搬送テーブル上のワークを、前記仮クランプ押圧力と同等かそれよりも大きい押圧力である本クランプ押圧力で押圧した本クランプ状態を呈する如くなされると共に、該本クランプ状態で、ワークが載置されてなる前記搬送テーブルと前記搬送門形フレームとが一体となって前記機械加工部に向けて移動する如くなされ、前記機械加工部におけるワークの所要の機械加工が完了した後、前記搬送門形フレームが前記搬送テーブルと共に前記ワーク導入側に戻る如くなされている。又、前記ワーク導入側に戻った後に、前記ワークが載置された状態にある前記搬送テーブルが前記後退位置を呈する如くなされており、該搬送テーブルとは別の搬送テーブルのテーブル上面にワークが所要に位置決めされて載置され且つ前記昇降押圧手段によって前記仮クランプ状態とされ、該別の搬送テーブルが前進して前記前進位置を呈する如くなされ、該前進位置を呈した状態で、前記ワーク導入側に位置する前記搬送門形フレームの左右の支柱部材の間に導入されるようになされると共に、その後に前記昇降押圧手段が前記本クランプ状態を呈する如くなされ、該本クランプ状態で、前記機械加工部に向けての前記移動と、前記機械加工部におけるワークの所要の機械加工が行われる如くなされており、又、該機械加工が完了した後、前記搬送門形フレームが該搬送テーブルと共に前記ワーク導入側に戻る如くなされ、その後に該搬送テーブルが前記後退位置に戻る如くなされていることを特徴とするものである。
本発明に係る工作機械の第4の態様は、前記第2の態様に係る工作機械において、前記搬送テーブルが前記後退位置を呈し且つ前記テーブル上面にワークが所要に位置決めされて載置された状態で、前記可動張り出し部材が前記張り出し位置を呈する如くなされ、該張り出し位置で前記押圧部が下降して、該押圧部が該搬送テーブル上のワークを該テーブル上面に向けて仮クランプ押圧力で押圧した仮クランプ状態を呈する如くなされ、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材とが同期して前方向に移動でき、該可動張り出し部材が前記ベース位置に戻ったときに該搬送テーブルが前記前進位置を呈する如くなされており、該前進位置を呈した状態で、前記昇降押圧手段が、前記搬送テーブル上の物品を、前記仮クランプ押圧力と同等かそれよりも大きい押圧力である本クランプ押圧力で押圧した本クランプ状態を呈する如くなされると共に、該本クランプ状態で、物品が載置されてなる前記搬送テーブルと前記搬送門形フレームとが一体となって前記機械加工部に向けて移動する如くなされている。そして、該機械加工部におけるワークの所要の機械加工が完了した後、前記本クランプ状態又は仮クランプ状態で、前記搬送門形フレームが前記搬送テーブルと共に前記ワーク導入側に戻る如くなされており、このように戻った状態で、前記昇降押圧手段が前記仮クランプ状態を呈する如くなされ、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材とが同期して後方向に移動し、該搬送テーブルが前記後退位置を呈した状態で、前記昇降押圧手段が上昇して前記仮クランプ状態が解除され、該解除された状態で且つ前記可動張り出し部材が前記張り出し位置を呈した状態で、前記搬送門形フレームが左右方向で所要に移動して停止状態を呈する如くなされ、このように停止した状態で、前記搬送テーブルとは別の搬送テーブル上に位置決めされて載置されたワークを前記押圧部が下降して仮クランプ状態を呈する如くなされ、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材とが同期して前方向に移動でき、該可動張り出し部材が前記ベース位置に戻ったときに前記搬送テーブルが前記前進位置を呈する如くなされており、該前進位置を呈した状態で、前記搬送テーブルが、該ワーク導入側に位置する前記搬送門形フレームの左右の支柱部材の間に導入されるようになされると共に、前記昇降押圧手段が前記本クランプ状態を呈する如くなされ、該本クランプ状態で、前記機械加工部に向けての前記移動と、前記機械加工部におけるワークの所要の機械加工が行われる如くなされており、又、該機械加工が完了した後、前記搬送門形フレームが該搬送テーブルと共に前記ワーク導入側に戻る如くなされ、その後に該搬送テーブルが前記後退位置に戻る如くなされていることを特徴とするものである。
本発明に係る工作機械の第5の態様は、前記第1、2、3、4の態様に係る工作機械において、前後動駆動装置を挾んで、前記2台の搬送テ−ブルが左右隣り合わせて配設されており、該前後動駆動装置の左右の駆動側面部の夫々に、左右の係合連結部が突出可能に設けられており、該左右の係合連結部を、前記左右の搬送テ−ブルの、該駆動側面部に向き合う側面部に設けられた係合被連結部に係合可能となされており、該係合連結部と該係合被連結部とが係合状態に連結された状態で、該係合連結部が前記可動張り出し部材と同期して前進又は後退できることを特徴とするものである。
本発明に係る工作機械の第6の態様は、前記第1、2、3、4の態様に係る工作機械において、前記可動張り出し部材に、前記左右の搬送テ−ブルの夫々に設けられている被保着部に係合状態で連結されると共に該係合状態の解除によって該連結が外れるようになされた係合保着部材が設けられており、前記可動張り出し部材が前記ベ−ス位置にある状態と前記張り出し位置にある状態で、前記係合保着部材が、前記前進位置又は前記後退位置にある前記搬送テ−ブルの前記被保着部に係合状態で連結可能となされると共に、該係合状態が解除されて該連結が外れた状態となる如くなされており、前記係合保着部材が前記被保着部に連結された状態で、前記可動張り出し部材の前後方向での移動によって前記搬送テ−ブルが該可動張り出し部材と同期して移動するようになされていることを特徴とするものである。
本発明に係る工作機械の第7の態様は、前記第1、2、3、4の態様に係る工作機械において、前記可動張り出し部材に、前記左右の搬送テ−ブルの夫々に設けられている被保着部に係合状態で連結されると共に該係合状態の解除によって該連結が外れるようになされた係合保着部材が、上下動可能に設けられており、前記可動張り出し部材が前記ベ−ス位置にある状態と前記張り出し位置にある状態で、前記係合保着部材が下降状態を呈することができ、該下降状態で、前記係合保着部材が、前記前進位置又は前記後退位置にある前記搬送テ−ブルの前記被保着部に係合状態で連結可能となされると共に、該係合状態が解除されて該連結が外れた状態で前記係合保着部材が上昇状態を呈し得るものとなされており、前記係合保着部材が前記被保着部に連結された状態で、前記可動張り出し部材の前後方向での移動によって前記搬送テ−ブルが該可動張り出し部材と同期して移動するようになされていることを特徴とするものである。
本発明に係る工作機械の第8の態様は、前記第1、2、3、4の態様に係る工作機械において、前記係合保着部材は、前記可動張り出し部材に設けられて上下方向で伸縮し得る昇降シリンダのロッドに取り付けられることにより該昇降シリンダの伸縮に応じて上下動できる、軸線が上下方向である保着筒体に付設されており、該保着筒体の内部には、上下方向に延長する回動軸が挿通され、該回動軸が、90度の角度範囲で正逆回動可能となされており、該回動軸の下端部分には、前記左右の搬送テーブルの夫々の前縁部で垂下する、前記被保着部としての係合軸を嵌め入れるための嵌入凹部が設けられてなる係合保着部材が固設されており、前記昇降シリンダの伸長によって前記保着筒体が下降し、該下降状態で前記回動軸が正方向に90度回動することにより、該嵌入凹部に該係合軸が嵌まり合って前記係合保着部材と該係合軸とが係合状態に連結される一方、前記下降状態で前記回動軸が逆方向に90度回動することにより、前記嵌入凹部から前記係合軸が外れる如くなされており、該係合保着部材と該係合軸との係合が外れた状態で、前記昇降シリンダが縮小して前記保着筒体が上昇でき、これにより、前記係合保着部材が上昇することを特徴とするものである。
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る物品搬送装置や工作機械は、前後方向に往復移動できる2台の搬送テーブルが左右隣り合わせて配設されると共に、選択された搬送テーブル上に載置されてなる物品(ワーク等)を物品導入側から物品処理部(機械加工部等)に向けて搬送する搬送門形フレ−ムが配設されており、該2台の搬送テーブルは、夫々が、後退位置と前進位置との間で前記前後方向で移動できると共に該前後移動は交互に行われるようになされている。又、該搬送門形フレ−ムには昇降押圧手段を備える可動張り出し部材がベース位置と張り出し位置との間で前後方向に移動可能となされている。
従って本発明によるときは、ワーク等の物品の搬送やワークの所要の機械加工を連続して効率的に行うことができる。又、ワーク等の物品の着脱を行うための搬送テーブルを、左右隣り合わせて配設された2台の搬送テーブルを以て構成するため、搬送テーブルに対してワーク等の物品の着脱作業を行う作業者の動きを左右方向の直線的なものとなし得、しかも該2台の搬送テーブルに対する物品の交互着脱作業のための作業者の移動距離を短距離(例えば1m〜1.5m程度)となし得る。かかることから、作業者の動きの無駄を排除でき、生産性向上を期し得る。又、該第1、第2の搬送テーブルが後退位置においてワーク等の物品の着脱作業を行い得ることから、上方が開放した空間で安全且つ能率的に該着脱作業を行うことができる。
(2) 本発明のより好ましい態様は、前記可動張り出し部材が張り出し位置において、前記昇降押圧手段が、後退位置にある搬送テーブル上の物品をテーブル上面に向けて仮クランプ押圧力で押圧し、その後、該仮クランプ状態で、前記搬送テーブルと前記可動張り出し部材が同期して前方向に移動でき、該可動張り出し部材が前記ベース位置に戻ったときに、前記昇降押圧手段が、該搬送テーブル上の物品を、前記仮クランプ押圧力と同等かそれよりも大きい押圧力である本クランプ押圧力で押圧する如くなされている。
このように、テーブル上面に所要に位置決めして載置された物品を仮クランプ状態にして前進させるときは、該物品を何もクランプしない場合に比し、該物品の該位置決めされた状態が搬送テーブルの前進時の振動等によって崩れる恐れを回避でき、該物品を前記物品導入側に、より正確に導入できる。これによって、前記機械加工部等としての物品処理部での処理精度をより向上させ得る。
そして該より好ましい態様においては、前記張り出し位置におけるクランプ押圧力を、比較的小さい押圧力である仮クランプ押圧力に設定しているため、物品の位置決めされた状態を崩さない範囲で押圧力を小さくしながら、張り出し状態にある前記可動張り出し部材が過大な曲げ作用を受けにくくなし得、従って、該可動張り出し部材を損傷されにくくなし得る。
又、前記ベース位置においては、前記搬送テーブル上の物品(ワーク等)に本クランプ押圧力が付与されるため、該物品が、所要に位置決めされた状態のまま、搬送テーブル上に安定的に固定されることとなり、該固定された安定状態で、該物品に機械加工等の所要の処理を施すことができる。
(3) 本発明に係る物品搬送装置及び工作機械が、「前記可動張り出し部材が前記張り出し位置を呈した状態で前記搬送門形フレ−ムが左右方向で所要に移動して停止状態を呈する構成」を含む場合は、前記物品の処理効率の向上、ワークの機械加工効率の向上を期し得ることとなる。
(4) 前記可動張り出し部材に、前記左右の搬送テーブルの被保着部に係合状態で連結される一方該係合状態の解除によって連結状態が外れるようになされた係合保着部材が設けられるときは、該係合保着部材が前記被保着部に連結された状態においては、前記可動張り出し部材の前後方向での移動によって前記搬送テーブルを該可動張り出し部材と同期して移動させることができる。
かかることから、可動張り出し部材と搬送テーブルの前後方向での同期移動を、複雑な制御回路等を必要とすることなく簡易に達成できることとなり、物品搬送装置や工作機械の製造コストの低減を期し得ることとなる。
このように構成する場合、前記係合保着部材を上下動可能に構成するときは、前記係合保着部材が、その係合状態が解除されて前記連結が外れた状態では上昇状態を呈し得るため、前記搬送門形フレ−ムが前記搬送テーブル上の物品を物品導入側に導入して該物品に所要の処理を施したり、前記ワークをワーク導入側に移動させて該ワークに所要の機械加工を施す際、該係合保着部材が障害となるのを防止できる。
特に、前記係合保着部材を、前記可動張り出し部材に設けられて上下方向で伸縮し得る昇降シリンダの伸縮に応じて上下動し得る保着筒体に付設することとし、該保着筒体の内部に、上下方向に延長する回動軸を挿通し、該回動軸を、回動操作部による回動操作によって正逆回動可能に構成する場合は、前記係合保着部材を上下動可動とする構成を簡易且つ確実なものとなし得る。
図1〜5において本発明に係る物品搬送装置1は工作機械1aとして応用されており、前後動駆動装置2(図1)を挾んで、前後方向F1に往復移動できる2台の搬送テーブル(本実施例においては、第1の搬送テーブル3、第2の搬送テーブル4とする)が、該前後方向F1と直交する左右方向F2で見て左右隣り合わせて配設されると共に、選択された搬送テーブルをワーク導入側6a,6b(後述する物品導入側6の一種)から機械加工部7a(後述する物品処理部7の一種)に向けて搬送する搬送門形フレーム9が配設されている。
該第1、第2の搬送テーブル3,4上にはワークW1(後述する物品Wの一種)が所要に位置決めされて載置されるものとなされており、該搬送門形フレーム9は、該ワーク導入側6aから該機械加工部7aに向けて延長するレール5にガイドされて、前記左右方向F2で往復移動できる。本実施例において前記ワーク導入側6aは、前記第1の搬送テーブル3に載置されたワークW1を導入させる導入側であり、又前記ワーク導入側6bは、前記第2の搬送テーブル4に載置されたワークW1を導入させる導入側である。又、第1の搬送テーブル3と第2の搬送テーブル4を左右隣り合わせて配設するとは、両テーブル3,4を、後述する後退位置に存する状態で左右隣り合った状態となるように配設することを意味している。
該第1、第2の搬送テーブル3,4は、例えば平面視で正方形板状を呈しており、その四隅部分は隅切され、その前縁部3a,4aは前記左右方向に延長している。そして該第1、第2の搬送テーブル3,4は夫々、図5に示すように、後退位置10と前進位置11との間で、レール8にガイドされて前記前後方向F1で移動できると共に、該前後移動は交互に行われるようになされている。なお説明の便宜上、該第1、第2の搬送テーブル3,4を、四隅部分が隅切りされていない状態、即ち、平面視で正方形を呈するものとして図示することもある。
又、該第1、第2の搬送テーブル3,4は、本実施例においては、前記のように正方形板状を呈しており、その一辺長さが750mmに設定され、該第1、第2の搬送テーブル3,4の左右方向での中心間距離L1(図4)は1100mm程度に設定されている。該第1、第2の搬送テーブル3,4上には比較的大きなワークを設置でき、例えば、80mm角〜800mm角で高さが230mmまでのワークW1を載置できる。
そして、該第1、第2の搬送テーブル3,4の選択された前後移動は、前記前後動駆動装置2(図1)の選択的な前後動駆動によって行われる。該選択された前後動駆動は、例えば、図3(A)(B)に示すように、該前後動駆動装置2の左右の駆動側面部200,201で側方に突出可能の左右の係合連結部(例えば軸部として構成されている)202,203を、前記第1、第2の搬送テーブル3,4の、向き合う側面部205,206に設けられた係合部(例えば凹部として構成されている)207,209に、選択的に係合状態に連結させて行うことができる。
前記搬送門形フレーム9は、本実施例においては図1に示すように、左右方向F2で所要間隔を隔てて(例えば1650mm程度の間隔を隔てて)立設された左右の支柱部材12,13を具えており、該左右の支柱部材12,13の上部相互が、水平な横架フレーム15で連結されてなり、該横架フレーム15の中央部分には、図2に示すように、後端開放のU字状欠切部41が設けられている。換言すれば、該左右の支柱部材12,13は、左右の支柱部12a,13aの上部の夫々に、前記左右方向F2で見て向き合う方向に張り出す張出し部65,66が突設されてなり、前記搬送門形フレ−ム9は、全体として、正面視で門形状を呈している。本実施例においては、図2に示すように、該左右の張出し部65,66の前側の部分相互が継ぎ部34で連結された構成となっており、前記U字状欠切部41の幅は160mm程度に設定されている。そして本実施例においては、該左右の支柱部材12,13の下端64,68相互が連結フレーム14で連結されている。又、該連結フレーム14の左右方向の中央部には、垂直軸線回りで強制回転せしめられる、割出し装置を具備する円板状の回転テーブル18が設けられており、該回転テーブル18上には、前記搬送テーブル3,4を支持する矩形板状のテーブル支持板24が固定されている。
又図1に示すように、前記左右の張出し部65,66相互(即ち、左右の支柱部材の上部相互)を連結するように、下端に押圧部16が設けられて上下動し得る昇降押圧手段17を具える可動張り出し部材19が設けられている。そして図8に示すように、該可動張り出し部材19が後述のベース位置22にある状態で、前記昇降押圧手段17が前記U字状切欠部41(図2)において上下方向に延長するようになされている。
又図5、図9に示すように、前記前進位置11を呈した状態にある、前記第1、第2の搬送テーブル3,4の何れか一方、例えば第1の搬送テーブル3が、前記ワーク導入側6aに位置する前記搬送門形フレーム9の左右の支柱部材12,13の間30(図1)に導入される如くなされている。この第1、第2の搬送テーブル3,4の、左右の支柱部材12,13の間30への導入は、前記第1、第2の搬送テーブル3,4の側縁部3b,4b(図1)が前後方向を向いた状態で、該第1、第2の搬送テーブル3,4がレール8,8から前記テーブル支持板24に乗り移ることによって行われる。図6は、該乗り移り始めの状態を示している。
該導入された状態で前記搬送門形フレーム9は、図9に矢印で示すように、前記連結フレーム14が前記レール5にガイドされて該搬送テーブルと共に前記機械加工部7aに向けて移動する。該機械加工部7aに移動した状態は、図4に一点鎖線で示されている。該機械加工部7aは本実施例においては、数値制御装置内蔵の両頭フライス盤20を以て構成されており、前記ワークW1の対向する二面のみ或いは該ワークW1の周方向の4面をフライス加工できる。
前記可動張り出し部材19は、図5に示すように、前記前進位置11にある第1の搬送テーブル3上のワークW1を該第1の搬送テーブル3のテーブル上面21に向けて前記昇降押圧手段17が押圧できるベース位置22と、前記後退位置10にある前記搬送テーブル3上のワークW1を該テーブル上面21に向けて前記昇降押圧手段17が押圧できる張り出し位置23との間で前後方向で移動可能となされている。該前後方向の移動は、図1に示すように、例えばラックとピニオンを具える機構31によって行うことができる。
そして該昇降押圧手段17は、本実施例においては図1、図5に示すように、油圧シリンダ25のロッド下端に連結された押圧ロッド26が、該油圧シリンダ25の伸縮によって上下動可能となされており、該押圧ロッド26の下端に連結されてなる前記押圧部16が、前記第1、第2の搬送テーブル3,4のテーブル上面21に載置されている前記ワークW1を該テーブル上面21に所要の押圧力で押圧できる。該押圧ロッド26はその軸線L2(図5)回りに旋回できる。そしてこの押圧状態で、図5に示すように、該押圧ロッド26の軸線L2と前記第1のテーブル3の平面視での中心42が合致する。本実施例においては、該押圧力の大きさは、後述する仮クランプ押圧力と本クランプ押圧力と旋回クランプ押圧力の3種類に設定されており、仮クランプ押圧力、旋回クランプ押圧力、本クランプ押圧力の順に大きく設定されている。
該仮クランプ押圧力と旋回クランプ押圧力と本クランプ押圧力の大きさを、機械加工が施されるワークの材質との関係で例示すれば次のようである。ワークが鉄製である場合、仮クランプ押圧力を300〜500kgf程度に、旋回クランプ押圧力を1200kgf程度に、本クランプ押圧力を3000〜8000kgf程度に夫々設定できる。又、ワークがアルミニウム製や樹脂製の場合は、仮クランプ押圧力を100kgf程度に、旋回クランプ押圧力を300〜400kgf程度に、本クランプ押圧力を500〜1500kgf程度に設定できる。
以下、前記工作機械1aの構成をその動作と共により詳しく説明する。図7に示すように、前記第1の搬送テーブル3が前記後退位置10を呈し且つ前記テーブル上面21にワークW1が所要に位置決めされて載置された状態で、前記可動張り出し部材19が前記張り出し位置23を呈する如くなされる。そして該張り出し位置23で、前記昇降押圧手段17の前記押圧部16が下降し、該押圧部16が、該搬送テーブル3上のワークW1を前記テーブル上面21に向けて仮クランプ押圧力で押圧した仮クランプ状態27が得られる如くなされている。該仮クランプ押圧力は、該ワークW1が例えば鉄製であるときは、前記したように300〜500kgf程度に設定される。
ここで、前記テーブル上面21に載置されたワークW1の位置決め要領を図1、図4に基づいて説明する。図1において符号40で示すものは、左右方向F2で移動し得る可動位置決め装置であって、第1の搬送テーブル3の上面21と第2の搬送テーブル4のテーブル上面21でのワークW1の位置決めを行うことができる。該可動位置決め装置40は、図4に示すL字状の位置決め片31を、前後方向で伸縮し得る伸縮ロッド32の先端33に具えている。そして、載置されたワークW1に合わせて、前記可動位置決め装置40の左右移動量と、該伸縮ロッド32の前後移動量を所要に設定し、該位置決め片31の入隅部分35に前記ワークW1の角部分36を当接させると、該ワークW1の平面視での中心42と前記第1のテーブル3(又は前記第2のテーブル4)の平面視での中心43を略合致させることができる。該可動位置決め装置40がこのように左右動して、前記第1、第2の搬送テーブル3,4のテーブル上面21に載置されたワークW1の所要の位置決めを行うため、1台の可動位置決め装置40によって、第1、第2の搬送テーブル3,4に関してのワークW1の位置決めを作業性よく行うことができる。
そして前記仮クランプ状態27で、図7に矢印で示すように、前記第1の搬送テーブル3と前記可動張り出し部材19とが同期して前進でき、図8に示すように該可動張り出し部材19が前記ベース位置22に戻ったときに、図8〜9に示すように、前記搬送テーブル3が前記前進位置11を呈する如くなされている。
本発明においては、このように、テーブル上面21に位置決めして載置されたワークW1を仮クランプ状態27にして前進させるため、前記可動位置決め装置30によって位置決めされた状態が第1の搬送テーブル3の前進時の振動等によって崩れる恐れがなく、該ワークW1を前記ワーク導入側6aに正確に導入できる。これによって、前記機械加工部7aでの精度のよい機械加工が可能となる。なお、前記張り出し位置23におけるクランプ押圧力を、前記本クランプ押圧力ではなく仮クランプ押圧力に設定しているのは、ワークの位置決めされた状態を崩さない範囲で押圧力を小さくしながら、張り出し状態にある前記可動張り出し部材19が過大な曲げ作用を受けて損傷されにくいようにするためである。
前記第1の搬送テーブル3が前記前進位置11を呈した状態で、該第1の搬送テーブル3は、前記回転テーブル18にクランプされることによって該回転テーブル18に安定的に固定される。その後、図8に示すように、前記昇降押圧手段17が、前記第1の搬送テーブル3上のワークW1を、前記仮クランプ押圧力よりも大きい本クランプ押圧力で押圧した本クランプ状態29を呈する如くなされる。該本クランプ押圧力は3000〜8000kgf程度に設定される。このように本クランプ状態29とすることにより該ワークW1を第1の搬送テーブル3上に安定的に固定でき、該固定された安定状態で機械加工を施すことができる。
該本クランプ状態29で、図9に矢印で示すように、ワークW1が載置されてなる前記第1の搬送テーブル3と前記搬送門形フレーム9とが一体となって前記機械加工部7aに向けて移動し、図9に示すように、該機械加工部7aで、該ワークW1に対して所要の機械加工(本実施例においてはフライス加工)が施される。
本実施例においては、前記搬送門形フレーム9が前記機械加工部7aに向けて早送りされる。該機械加工部7aにおいては、該搬送門形フレーム9が所要の送り速度で移動する如くなされ、図10に示すように、前記両頭フライス盤20の前後のフライス32,33が前進して前記ワークW1の対向する前後の二面35,36に所要のフライス加工が施される。
対向する左右の2面37,39に対してもフライス加工を施す場合は、図11に示すように、前記前後の2面に対するフライス加工が完了して前後のフライス32,33が後退した後、前記旋回クランプ状態45で前記回転テーブル18を90度回転させる(図11(A))。本実施例においては、前記のように、前記押圧ロッド26の軸線L1と前記第1、第2の搬送テーブル3,4の平面視での中心42(図5),43(図16)が合致しているため、該押圧ロッド26は、前記回転テーブル18の回転に追随してその軸線回りに回転できる。ワークW1がこのように90度回転した後、前記旋回クランプ状態45(図11(A))から前記本クランプ状態29(図11(B))に戻り、前記対向する左右の面37,39に対しても所要のフライス加工が施される。
該ワークW1の所要の機械加工が完了した後、該本クランプ状態29で、図12に示すように、前記搬送門形フレーム9が前記第1の搬送テーブル3のワーク導入側6aに早戻りする如くなされる。このようにワーク導入側6aに戻った状態で、本実施例においては、前記昇降押圧手段17の押圧状態が、前記本クランプ状態29(図11(B))から前記仮クランプ状態27(図12)に変わる。又、前記第1の搬送テーブル3の前記回転テーブル18に対するクランプ状態が解除される。その後、該仮クランプ状態27で、図12〜13に矢印で示すように、前記搬送テーブル3と前記可動張り出し部材19とが同期して後退する。
このように仮クランプ状態にして該搬送テーブル3と該可動張り出し部材19とを同期状態で後退させることにより、前記テーブル上面21にワークW1が前記位置決めして載置されたそのままの状態で、該ワークW1が載置されてなる前記第1の搬送テーブル3を前記後退位置10にまで後退させ得ることとなる。その結果、前記フライス加工が適切に行われていないことが該後退位置10における寸法測定によって判明した場合や、加工面に傷が生じていることが判明した場合等、加工後の状態に異常が発見された場合は、そのままの仮クランプ状態で再度加工工程に戻すことができ、これによって再加工を能率化できることとなる。
該第1の搬送テーブル3が前記後退位置10を呈した状態で、加工状態に特に異常が発見されない場合は、図14に示すように、前記押圧具16が最上昇状態を呈して前記仮クランプ状態が解除される。その後、該第1の搬送テーブル3上の加工済みのワークW1が取り外され、該第2の搬送テーブル4上に、新たなワークW1が位置決めされて載置される。そしてこの状態で、図14、図15に示すように、前記搬送門形フレーム9が右方向に所要に移動して停止状態を呈する如くなされる。その後、図16に示すように、別の搬送テーブル(第2の搬送テーブル4)上に位置決めされて載置されたワークW1を前記押圧具16が下降して仮クランプ状態27を呈する如くなされる。該仮クランプ状態27で、図16に矢印で示すように、前記第2の搬送テーブル4と前記可動張り出し部材19とが同期して前進できる。該可動張り出し部材19が前記ベース位置22に戻ったときに、図17〜18に示すように、前記搬送テーブル4が前記前進位置11を呈する如くなされている。
該前進位置11を呈した状態で、前記第2の搬送テーブル4が、該ワーク導入側6b(このワーク導入側6bは、前記第1の搬送テーブル3に対するワーク導入側6aから、右方向に位置ずれしている)に位置する前記搬送門形フレーム9の、前記左右の支柱部材12,13の間30(図1)に導入されるようになされている。
そして、このように導入された状態で、前記と同様にして該第2の搬送テーブル4が前記回転テーブル18にクランプされ、前記押圧具16が図18に示すように本クランプ状態29を呈する如くなされ、該本クランプ状態29で、前記機械加工部7aに向けての移動と、前記ワーク導入側6bへの戻りと、該第2の搬送テーブル4の後退が行われるようになされている。
より具体的には、本クランプ状態29で、図18に矢印で示すように、ワークW1が載置されてなる前記第2の搬送テーブル4と前記搬送門形フレーム9とが一体となって前記機械加工部7aに向けて移動し、図19に示すように、該機械加工部7aにおいて、該ワークW1に対して所要の機械加工(本実施例においてはフライス加工)が施される。該ワークW1の所要の機械加工が完了した後、図20に示すように、前記搬送門形フレーム9が前記第2の搬送テーブル4のワーク導入側6bに戻る如くなされる。このようにワーク導入側6bに戻った状態で、前記と同様にして前記第2の搬送テーブル4のクランプ状態が解除され、本実施例においては、前記昇降押圧手段17の押圧状態が、前記本クランプ状態29から前記仮クランプ状態27に変わる。そして該仮クランプ状態27で、図20〜21に矢印で示すように、前記第2の搬送テーブル4と前記可動張り出し部材19とが同期して後退する。該第2の搬送テーブル4が前記後退位置10を呈した状態で、ワークW1の加工状態に特に異常が発見されない場合は、図22に示すように、前記押圧具16が上昇して前記仮クランプ状態が解除され、その後、該第2の搬送テーブル4上の加工済みのワークW1が取り外され、該第2の搬送テーブル4上に、新たなワークW1が位置決めされて載置される。
この状態で、図22、図23に示すように、前記搬送門形フレーム9が左方向に所要に移動してワーク導入側6aで停止状態を呈する如くなされる。そしてこの状態で、図24に示すように、別の搬送テーブル(第1の搬送テーブル3)上に位置決めされて載置されたワークW1を前記昇降押圧手段17の押圧部16が下降して仮クランプ状態27を呈する如くなされ、該仮クランプ状態27で、図24に矢印で示すように、前記第1の搬送テーブル3と前記可動張り出し部材19とが同期して前進できる。
図25は前進位置11を示している。これ以降は、前記と同様の工程を繰り返す。これによって、第1、第2の搬送テーブル3,4に対して交互にワークW1の着脱作業を行いながら、順次、前記機械加工部7aで該ワークW1に所要のフライス加工を施し、加工が完了したワークW1を前記後退位置10に戻すことができる。そして、該第1、第2の搬送テーブル3,4に対して交互にワークの着脱作業を行う際、作業者は、少しの距離(例えば1m程度)を左右方向で往復移動するだけでよく、作業性がよい。然も、該第1、第2の搬送テーブル3,4が後退位置10においてワークW1の着脱作業を行い得ることから、上方が開放した空間で安全且つ能率的にワークの着脱作業を行うことができる。
図26〜28は、本発明に係る物品搬送装置1の他の実施例を示すものであり、前記可動張り出し部材19を、前記ベ−ス位置22(図26)と前記張り出し位置23(図32)との間で前後移動可能とする手段が、駆動ネジ軸60とこれに螺合するネジ筒部材61とを用いてなる直線運動装置62を以て構成されている。又、前記第1、2の搬送テ−ブル3,4の内の選択された搬送テ−ブルに前後移動を行わせるための前後動駆動装置2が、保着装置63(図35)を具えて構成されている。
以下、該物品搬送装置1の構成をより具体的に説明するが、実施例1で説明したところと重複する構成については適宜簡略に説明する。図26において該物品搬送装置1は工作機械1aとして応用されており、実施例1におけると同様に、前後方向F1で往復移動できる第1の搬送テ−ブル3と第2の搬送テ−ブル4が、該前後方向F1と直交する左右方向F2で見て左右隣り合わせて配設されている。又、選択された該搬送テ−ブルを前記ワ−ク導入側6a,6b(物品導入側6の一種)から機械加工部7a(物品処理部7の一種)に向けて搬送する搬送門形フレ−ム9が配設されている。
該第1、第2の搬送テ−ブル3,4は、夫々が、図33に示すように、後退位置10と前進位置11との間で前記前後方向F1で移動できると共に該往復移動は交互に行われるようになされている。そして実施例1におけると同様に、前記ワ−ク導入側6a(図26)は前記第1の搬送テ−ブル3に対してのものであり、前記ワ−ク導入側6b(図51)は前記第2の搬送テ−ブル4に対してのものである。又、第1の搬送テ−ブル3と第2の搬送テ−ブル4を左右隣り合わせて配設するとは、図26に示すように、両テ−ブル3,4を、前記後退位置10に存する状態で左右隣り合った状態となるように配設することを意味している。
又前記搬送門形フレ−ム9は、本実施例においては図26、図29に示すように、左右方向F2で所要間隔を置いて(例えば1650mm程度の間隔を置いて)立設された左右の支柱部材12,13を具えており、該左右の支柱部材12,13の上部相互を連結するように可動張り出し部材19が設けられている。該左右の支柱部材12,13は、左右の支柱部12a,13aの上端の夫々に、前記左右方向F2で見て向き合う方向に張り出す張出し部65,66が突設されてなり、前記搬送門形フレ−ム9は、全体として、正面視で門形状を呈している。本実施例においては該左右の張出し部65,66の先端67,69間は途切れており、その間の間隙70の幅は370mm程度に設定されている。そして図26、図29に示すように、該左右の支柱部材12,13の下端64,68相互は連結フレーム14で連結されている。かかる構成を有する搬送門形フレ−ム9は、前記ワーク導入側6aから前記機械加工部7aに向けて延長するレール5にガイドされて、左右方向で往復移動できる。そして、選択された搬送テ−ブルを前記ワ−ク導入側6a(図26),6b(図51)から前記機械加工部7aに向けて搬送し、前記機械加工部7aにおけるワークW1の所要の機械加工が完了した後、該搬送テ−ブルを前記ワ−ク導入側6a又は前記ワーク導入側6bに戻す。
そして図26、図29に示すように、前記連結フレーム14の左右方向の中央部には、垂直軸線回りで強制回転せしめられる、割出し装置を具備する円板状の回転テーブル18が設けられており、該回転テ−ブル18上には、前記第1、第2の搬送テーブル3,4を支持する第2のレール74,74が所要間隔をおいて配設される。
前記可動張り出し部材19は、前記左右の支柱部材12,13の上部相互を連結するように設けられており、本実施例においては図26〜29に示すように、前記左右の張出し部65,66の先側部分71,72の上面部73,75に跨がる状態で設けられ、前記前後方向F1で移動可能となされている。そして該可動張り出し部材19を構成する本体枠76に、前記昇降押圧手段17と前記保着装置63が設けられている。
前記左右の張出し部65,66の前記上面部73,75には、図26〜28に示すように、該張出し部65,66の前後方向F1に延長する矩形板状の台座板79,80が固定されている。そして図28に示すように、該台座板79,80の後端79a,80aは該張出し部65,66の後端65a,66aに合致し、該台座板79の前端79bは該張出し部65の前端65bと合致している。又、該台座板80の前端80aは、該張出し部66の前端66bから前方に突出している。又図27に示すように、該両台座板79,80の上面81,82は面一に形成されている。そして図26、図28に示すように、該上面81,82の夫々の内方側に位置させて、その前後端側の2箇所に摺動部材83,83が固設されて左右の摺動部材列85,86(図28)が設けられている。該左右の摺動部材列85,86を構成する夫々の摺動部材83は、図29,30に示すように、前後方向に延長する左右の案内レ−ル87,88に嵌まり合った状態と成り得、該左右の案内レ−ル87,88は、該左右の摺動部材列85,86に案内されて前後方向で往復移動できる。
該左右の案内レ−ル87,88は、図28に示すように、前記可動張り出し部材19の下端の左右部位に平行して固定されており、該左右の案内レ−ル87,88が前記摺動部材列85,86に対して前後方向F1で移動することによって該可動張り出し部19が前後方向F1で移動できる。
前記可動張り出し部材19を構成する前記本体枠76は、本実施例においては図27〜29に示すように、上下幅が156mmで、左右幅が74mm程度で、前後方向で見た全長が1840mm程度である前後の脚部材89,90相互が、上下の連結板91,92で連結されている。該上の連結板91は、図27〜28に示すように、その左右の端部分93,94が前記左右の脚部材89,90の上面95,96に当接した状態で該脚部材89,90に固定されており、該左右の脚部材89,90間において、その前後の部分に開口97,99が設けられている。該前後の開口97,99は、前記左右の脚部材89,90の内面100,101間の間隔に近い開口幅を有し且つ前後方向に長い矩形状開口として構成されている。
又前記下の連結板92は、図27に示すように、前記左右の脚部材89,90の内面100,101の下側部位102,102相互を連結しており、その前後の部分に、前記上の連結板91に設けられている前後の開口97,99と上下対向した状態で、略等しい形状、大きさの前後の開口103,105が設けられている。そして図30に示すように、前記左右の脚部材89,90の下面106,107には、前後方向に延長する如く前記案内レ−ル87,88が固定されている。然して、該案内レ−ル87,88の夫々が、前記左右の摺動部材列85,86(図28)に案内されて前後方向F1で往復移動できる。
かかる構成を有する可動張り出し部材19を前後移動させる前記直線運動装置62は、図26〜図30に示すように、前記機械加工部7aに近い側の前記張出し部66に設けられた前記台座板80上に配設されている。そして該直線運動装置62は、図28に示すように、前記の駆動ネジ軸(例えばボールネジ)60とネジ筒部材(例えばボ−ルネジナット)61とを具えて構成されており、該駆動ネジ軸60が、図28に示す脚部材90に近接状態でこれと平行して前後方向F1に延長されている。該駆動ネジ軸60の両端側の部分109,110は軸受111,114で支持されており、該駆動ネジ軸60の、前後方向で見た一端部分(図28においては前端部分)112が、サ−ボモ−タやステッピングモ−タ等の制御モ−タ113の出力軸115に連結されている。そして該駆動ネジ軸60に螺合する前記ネジ筒部材61が、前記機械加工部7aに近い側の脚部材(右の脚部材)90の外面116に固定されている。図28においては、該ネジ筒部材61が前記駆動ネジ軸60の基端側(前記制御モ−タ113に近い側)に位置した状態で、該右の脚部材90の前端寄り部位117に固定されている。
然して、図31(A)、図32に実線で示すベース位置22から、前記駆動ネジ軸60が該制御モ−タ113により正回転されることにより、前記可動張り出し部材19が図31(B)、図32に一点鎖線で示す前記張り出し位置23に向けて後退できる。そして該張り出し位置23から、前記ネジ軸60が該制御モ−タ113で逆回転されることにより、該可動張り出し部材19が図31(A)に示す前記ベ−ス位置22に向けて前進できる。
前記第1、第2の搬送テ−ブル3,4は、図26に示すように、実施例1におけると略同様の構成を有し、平面視で正方形板状を呈しており、その四隅部分は隅切りされ、その前縁部3a,4aは前記左右方向F2に延長している。そして該第1、第2の搬送テ−ブル3,4は夫々、図33(A)(B)に示すように、前記後退位置10と前記前進位置11との間で、第1のレ−ル78,78にガイドされて前記前後方向F1で移動できると共に、該前後移動は、前記のように交互に行われるようになされている。なお説明の便宜上、該第1、第2の搬送テーブル3,4を、四隅部分が隅切りされていない状態、即ち、平面視で正方形を呈するものとして図示することもある。
そして前記第1、第2の搬送テーブル3,4は、図33(B)に一点鎖線で示すように、前記第1のレール78,78から前記第2のレール74,74に移動することにより前記回転テ−ブル18上に乗り移ることができる。そのために、図33、図34に示すように、前記第1、第2の搬送テ−ブル3,4の下面側の左右に位置させて、前後方向F1で見て両端部位と中央部位に摺動部材119,119,119、119,119,119が設けられ、該左右の摺動部材119,119が、前後方向F1に延長する前記左右の第1のレ−ル78,78に案内される如くなされている。該左右の案内レ−ル78,78は、本実施例においては図34に示すように、左右の立壁120,120の上面に取り付けられている。
そして図33(A)に示すように、該左右の第1のレ−ル78,78の前端121,121は、夫々、小間隙を隔てて、前記回転テ−ブル18上に設けられた左右の第2の案内レ−ル74,74の後端124,124に連なる如くなされている。これによって前記のように、該第1、第2の搬送テ−ブル3,4は、該第1のレ−ル78,78から、回転テ−ブル18側の該第2のレ−ル74,74に乗り移ることができるのである。そして前記のように、該第1、第2の搬送テーブル3,4の選択された前後移動は、前記保着装置63によって行われる。
前記昇降押圧手段17は図27、29、30に示すように、油圧シリンダ25のロッド下端に連結された押圧ロッド26が該油圧シリンダ25の伸縮によって上下動可能となされている。該押圧ロッド26は、その軸線L2回りに旋回でき、該押圧ロッド26の下端に連結されてなる前記押圧部16が、前記第1、第2の搬送テ−ブル3,4のテ−ブル上面21に載置されている前記ワ−クW1を該テ−ブル上面21に所要に押圧できる。
そして該押圧状態で、図29に示すように、該押圧ロッド26の軸線L2と前記第1のテ−ブル3の平面視での中心42が合致する。本実施例においても実施例1におけると同様、該押圧力の大きさは、後述する仮クランプ押圧力と本クランプ押圧力と旋回クランプ押圧力の3種類に設定されており、仮クランプ押圧力、旋回クランプ押圧力、本クランプ押圧力の順に大きく設定されている。
該油圧シリンダ25は、本実施例においては図27に示すように、前記後の開口99の稍後ろ側に位置させて設けられており、図27、29、30に示すように、前記下の連結板92の下面の左右側123,123に固定されたL字状部材125,125(図30)を介して支持されてなる支持板部材126に、前記押圧ロッド26の軸線L2が垂直状態を呈する如く固設されている。これによって前記昇降押圧手段17は、前記可動張り出し部材19に固定された状態にあり、該可動張り出し部材19の前後移動に伴って前後移動できる。
前記保着装置63は、本実施例においては図26〜27、35〜37に示すように、前記後の開口99の稍前側に位置させて垂直状態で配設された固定板127に設けられている。該固定板127は、前記上の連結板91に設けられた上の取付片129と前記下の連結板92に設けられた下の取付片130に取り付けられている。該上の取付片129は、前記上の連結板91の上面131に前記後の開口99を左右方向で横切る如く固定されており、該下の取付片130は、前記下の連結板92の下面132に前記後の開口105を左右方向で横切る如く固定されている。前記固定板127は、図35に示すように、その後面133の上下方向の中間部分の上下部位135,136を前記上下の取付片129,130の前面137,139に当接させた状態で、該後面133を該前面137,139にボルト固定することによって取り付けられている。本実施例においては、該固定板127の取り付け状態をより安定化させるために、前記上下の取付片129,130の後面140,141相互が、図27、図36に示すように、補強連結板142により、前記後の開口99において連結されている。
そして図35〜38に示すように、前記固定板127の前面143の、左右方向で見て前記機械加工部7aに近い側の側部分145に、上下に長い昇降シリンダ(例えば油圧シリンダ)146の上下の端部147,149が、上下の突出固定片150,151を介して固定され、該昇降シリンダ146が、上下方向で伸縮可能となされている。又、前記固定板127の前面143の、反対側の側部分152に、上下方向に延長する如く支持レ−ル153が突設されている。又前記固定板127には、該支持レ−ル153に案内されて上下動し得る保着筒体155が設けられており、該保着筒体155の外周面の下端部分156は、L字状の連結部材157を介して、前記昇降シリンダ146のロッド159の下端160が連結されている。
然して、該昇降シリンダ146が伸長することにより、図35、図37に示すように、前記保着筒体155を前記支持レ−ル153に沿って下降させることができる一方、該昇降シリンダ146が縮小することにより、図36(A)、図38に示すように、前記保着筒体155を前記支持レ−ル153に沿って上昇させることができる。そして、該保着筒体155を前記支持レ−ル153に沿って昇降させるために、該保着筒体155には図36〜37に示すように、前記支持レ−ル153に案内されて上下動し得る摺動部材161,161が上下に設けられてなる昇降板162が固定されている。
前記保着筒体155は図35に示すように、円筒状の筒体163の内部に、上下方向に延長する回動軸165が挿通されており、該回動軸165は、前記保着筒体155の上端に設けられた回動操作部166による回動操作によって、例えば90度の角度範囲で正逆回動可能となされている。該回動操作部166は、例えば図36(B)に示すように、前記回動軸165の上端部分167に装着されたピニオン168と、該ピニオン168を挟むように配設されて該ピニオン167と噛み合うラック169,169を有した2本の往復動ラック部材170,171とを具えて構成されており、夫々の往復動ラック部材170,171をエアシリンダ172,173によって水平面内で往復動させることにより該ピニオン167を正逆回動させることができ、これによって、前記回動軸165を90度の角度範囲で正逆回動可能となされている。
又図35に示すように、前記回動軸165の下端部分175には、例えばフック状を呈する係合保着部材176の基部177が固定されている。該係合保着部材176は図39〜40に示すように、前記第1、第2の搬送テ−ブル3,4の前記前縁部3a,4aの中央部位に設けられた、被保着部179としての係合軸179aに嵌合状態で係合可能となされている。該係合軸179aは、本実施例においては図39(A)に示すように、前記前縁部3a,4aの左右方向の中央部位で設けられた欠切部180の頂部181で垂下する、例えば丸軸状に構成されている。
そして前記係合保着部材176が、前記ロッド159側に突出状態にある、図39(A)、図40(A)に示す初期状態182から、前記回動操作部166の回動操作によって正方向F3に90度回動することにより、図39(B)、図40(B)に示すように、該係合保着部材176の円弧状の嵌入凹部183に前記係合軸179aが嵌まり合い、これによって、前記係合保着部材176と前記係合軸179aとが連結されるようになされている。又、前記回動操作部166の回動操作によって、この係合状態185から前記回動軸165を逆方向F4に90度回動させることにより、図40(A)に示すように、前記係合保着部材176が前記係合軸179aから外れる。
以下、かかる構成を有する物品搬送装置1(工作機械1a)の構成をその動作と共に、より詳しく説明する。図41は、前記第1の搬送テーブル3が前記後退位置10を呈し且つ前記テーブル上面21にワークW1が所要に位置決めされて載置された状態で、前記可動張り出し部材19が張り出し位置23を呈した状態を示している。なお前記テーブル上面21に載置されたワークW1の位置決め要領は、図1、図4に基づいて説明したところと同様である。この張り出し位置23は、前記直線運動装置62を構成する前記駆動ネジ軸60の正回転に伴って前記ネジ筒部材61が、図31(B)に示すように、該駆動ネジ軸60の前端側186に位置することにより得られる。
そして前記保着筒体155は、図41に示すように、前記可動張り出し部材19が前記張り出し位置23に位置した状態においては、前記昇降シリンダ146の伸長によって下降状態にある。該保着筒体155の下降は、該可動張り出し部材19が張り出しのために後退を開始する直前から張り出し状態を呈するまでの間において行われればよい。
そして、該張り出し位置23で前記昇降押圧手段17の伸長によって前記押圧部16が下降し、該押圧部16が、該搬送テ−ブル3上のワークW1を前記テーブル上面21に向けて仮クランプ押圧力で押圧した仮クランプ状態27が得られる如くなされている。該仮クランプ押圧力は、該ワークW1が例えば鉄製であるときは、前記のように300〜500kgf程度に設定される。
又該張り出し位置23で、前記回動操作部166の回動操作によって前記回動軸165が正方向に90度回動されることにより、図39(B)、図40(B)に示すように、前記係合保着部材176の円弧状の嵌入凹部183に前記係合軸179aが嵌まり合うことによって、該係合保着部材176と該係合軸179a(被保着部179)とが係合状態となる。
その後、前記仮クランプ状態27で、図41に矢印で示すように前記可動張り出し部材19が前進すると、前記係合保着部材176が前記係合軸179aに連結されていることから、該前進に伴い、これと同期して前記第1の搬送テーブル3が前進でき、図42に示すように該可動張り出し部材19が前記ベース位置22に戻ったとき、前記第1の搬送テ−ブル3が前記前進位置11を呈する。
このように、テーブル上面21に位置決めして載置されたワークW1を仮クランプ状態27にして前進させるため、前記可動位置決め装置40によって位置決めされた状態が第1の搬送テーブル3の前進時の振動等によって崩れる恐れがなく、該ワークW1を正確に前記ワーク導入側6aに導入できる。
前記可動張り出し部材19が前記ベース位置22を呈した状態で、前記回動操作部166の逆方向の回動操作によって、前記係合保着部材176が前記係合軸179aから外れる。この外れた状態は、図40(A)で示したと同様の状態である。その後、図43に示すように、前記保着筒体155が、前記昇降シリンダ146の縮小によって上昇する。
前記可動張り出し部材19が該ベース位置22を呈した状態で、前記昇降押圧手段17が、前記搬送テ−ブル3上のワークW1を、前記仮クランプ押圧力よりも大きい本クランプ押圧力で押圧した本クランプ状態29を呈する如くなされる。該本クランプ押圧力は、例えば3000〜8000kgf程度に設定するのがよい。このように本クランプ状態29とすることにより該ワークW1を搬送テ−ブル3上に安定的に固定でき、実施例1で説明したところと同様に、該固定された安定状態で機械加工を施すことができる。
即ち、実施例1におけると同様に、該本クランプ状態29で、図44に矢印で示すように、ワークW1が載置されてなる前記搬送テ−ブル3と前記搬送門形フレ−ム9とが一体となって前記機械加工部7aに向けて移動し、図45に示すように、該機械加工部7aで、該ワークW1に対して所要の機械加工(本実施例においては、実施例1におけると同様のフライス加工)が施される。
そして、該ワークW1の所要の機械加工が完了した後、前記本クランプ状態29で、図46に示すように、前記搬送門形フレ−ム9が前記第1の搬送テーブル3のワーク導入側6aに早戻りする如くなされる。このようにワーク導入側6aに戻った状態で、本実施例においては、前記昇降押圧手段17の押圧状態は、前記本クランプ状態29(図44)から前記仮クランプ状態27(図46)に変わる。
その後、図47に示すように、前記昇降シリンダ146が伸長することにより前記保着筒体155が下降し、図40(B)に示すように、前記回動操作部166の正回転(図40(A)に示す矢印F3)によって、前記係合保着部材176の嵌入凹部183に前記係合軸179aが嵌まり合った状態となり、図47に一点鎖線で示すように、該係合保着部材176と該係合軸179aとが連結される。この状態で前記駆動ネジ軸60が正回転することによって、前記可動張り出し部材19が張り出し方向に移動する。この移動に伴い前記第1の搬送テーブル3が、該係合保着部材176を介して、該移動と同期して後退し、前記ネジ筒部材61が該駆動ネジ軸60の前端側に位置することにより、前記第1の搬送テーブル3は前記後退位置10を呈した状態となる。なお本実施例においては、このように第1の搬送テーブル3が後退する際、前記昇降押圧手段17の押圧状態が前記本クランプ状態29から前記仮クランプ状態27に変わり、該仮クランプ状態27で、該第1の搬送テーブル3が、図47に矢印で示すように後退する如くなされている。
このように、仮クランプ状態にして前記第1の搬送テーブル3を後退させるため、前記フライス加工が適切に行われていないことが該後退位置10における寸法測定によって判明した場合や、加工面に傷が生じていることが判明した場合等、加工後の状態に異常が発見されたときは、該第1の搬送テーブル3をそのままの仮クランプ状態で、前記駆動ネジ軸60の逆回転に伴う前記可動張り出し部材19の前進によって、再度加工工程戻すことができる。
前記第1の搬送テーブル3が前記後退位置10を呈した状態で、加工状態に特に異常が発見されないときは、図48に示すように、前記押圧具16が最上昇状態を呈して前記仮クランプ状態が解除される。又、前記回動操作部166の逆回動操作に伴う前記回動軸165の逆回転F4によって、図40(A)に示すように前記係合保着部材176が前記係合軸179aから外れる。その後、該第1の搬送テーブル3上の加工済みのワークW1が取り外され、該第2の搬送テーブル4上に、新たなワークW1が位置決めされて載置される。
そしてこの状態で、図48に矢印で示すように、前記搬送門形フレ−ム9が右方向に所要に移動して停止状態を呈する如くなされる。その後、図49に示すように、別の搬送テーブル(第2の搬送テーブル4)上に位置決めされて載置されたワークW1を前記押圧部16が下降して仮クランプ状態27を呈する如くなされる。又前記同様にして、前記係合保着部材176が正方向F3に90度回動して該係合保着部材176と前記係合軸179aとが連結される。該仮クランプ状態27で、図49に矢印で示すように、前記可動張り出し部19が、前記駆動ネジ軸60の逆回転によって前進するにつれ、これと同期して該第2の搬送テーブル4が前進する。そして該可動張り出し部材19が前記ベース位置22に戻ったときに、図50に示すように、前記搬送テーブル4が前記前進位置11を呈する如くなされている。
該前進位置11を呈した状態で、前記第2の搬送テーブル4が、該ワーク導入側6b(このワーク導入側6bは、前記第1の搬送テーブル3に対するワーク導入側6aから、右方向に位置ずれしている)に位置する前記搬送門形フレ−ム9の、前記左右の支柱部材12,13の間30(図26)に導入されるようになされている。
そして、このように導入された状態で前記昇降押圧手段17が、図50に示すように本クランプ状態29を呈する如くなされると共に、図43に示したと同様にして、前記係合保着部材176が逆方向に回動して該係合保着部材176と前記係合軸179aとの係合が外れ、前記保着筒体155が、前記昇降シリンダ146の縮小によって上昇するようになされている。該本クランプ状態29で、前記と同様にして、前記機械加工部7aに向けての前記搬送門形フレ−ム9の移動と、前記搬送門形フレ−ム9の前記ワーク導入側6bへの戻りと、前記可動張り出し部材19の後退に伴う前記第2の搬送テーブル4の前記後退が行われるようになされている。
図26に示すように該ワークW1の所要の機械加工が行われ、該機械加工が完了した後、図53に示すように、前記搬送門形フレ−ム9が前記第2の搬送テーブル4のワーク導入側6bに戻り、その後、図47に示したと同様にして、前記昇降シリンダ146の伸長によって前記保着筒体155が下降すると共に、前記係合保着部材176の正回転によって該係合保着部材176と前記係合軸179aとが係合状態に連結される。この状態で、前記可動張り出し部材19が図53、54に矢印で示すように後退するにつれ、これと同期して前記第2の搬送テーブル4が後退し、図55に示すように該第2の搬送テーブル4が後退位置10を呈した状態となる。ワークW1の下降状態に特に異常が発見されない場合は、前記と同様にして、前記昇降押圧手段17が上昇して前記仮クランプ状態27が解除され、その後、該第2の搬送テーブル4上の加工済みのワークW1が取り外され、該第2の搬送テーブル4上に新たなワークW1が位置決めされて載置される。
この状態で、図40(A)に示すように、前記係合保着部材176が逆方向F4に回動して該係合保着部材176と該係合軸179aとの連結状態が外れる。その後、図22〜23に示すと同様にして、前記搬送門形フレーム9が左方向に所要に移動してワーク導入側6aで停止状態を呈する如くなされる。そしてこの状態で、図24に示すと同様にして、別の搬送テーブル(第1の搬送テーブル3)上に位置決めされて載置されたワークW1を前記押圧部16が下降して仮クランプ状態27を呈する如くなされ、図24に矢印で示すと同様にして、前記第1の搬送テーブル3と前記可動張り出し部材19とが同期して前進できる。
且つ、前記係合保着部材176の正回転によって該係合保着部材176と前記係合軸179aとが係合状態に連結される。この状態で、図24に示すと同様にして、前記可動張り出し部材19が後退するにつれ、これと同期して第2の搬送テーブル4が前進し、図25に示すと同様にして該第1の搬送テーブル3が前進位置11を呈した状態となる。これ以降は、前記と同様の工程を繰り返す。これによって、第1、第2の搬送テーブル3,4に対して交互にワークW1の着脱作業を行いながら、順次、前記機械加工部7aで所要のフライス加工を施し、加工の完了したワークを前記後退位置10に戻すことができる。そして、該第1、第2の搬送テーブル3,4における交互のワークの着脱作業を行う際、作業者は、少しの距離(例えば1m程度)を左右方向で直線的に往復移動するだけでよく、作業性がよい。然も、該第1、第2の搬送テーブル3,4が後退位置10においてワークW1の着脱作業を行い得ることから、上方が開放した空間で安全且つ能率的にワークの着脱作業を行うことができる。
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
(1) 図56は、本発明に係る物品搬送装置1、工作機械1aのその他の実施例を示すものであり、前記搬送門形フレ−ム9が、1本の支柱部材2からなる搬送フレ−ム9aに変更されている。本実施例においては、押圧部16が上下動し得る昇降押圧手段17を具える可動張り出し部材19が、各種の公知手段によって、前記支柱部材2の上部190に前記前後方向F1で移動可能とされている。より具体的な一態様は、該可動張り出し部材19の端面19aの上下部位に、前後方向に延長する2本のガイドレール191,191が設けられると共に、該上下のガイドレール191,191に嵌まり合う摺動部材192,192が前記上部190の端面190aに設けられている。これによって、上下のガイドレール191,191が上下の摺動部材192,192に案内されて前後方向F1で往復移動でき、従って、前記可動張り出し部材19が前後方向F1で移動できる。該前後方向F1での移動は、例えば、図56に示すように、実施例2で示したと同様構成の、駆動ネジ軸60とネジ筒部材61とを具える直線運動装置62を用いて行わせることができる。
そして、前記前進位置11にある、前記第1、第2の搬送テーブル3,4の内の何れか一方は、図56に示すように、前記物品導入側6(ワーク導入側6a等)に位置する前記搬送フレーム9aの前記支柱部材2の側方部38に導入される如くなされ、該導入された状態で、前記と同様にして、該搬送フレーム9aが該搬送テーブルと共に前記物品処理部7(機械加工部7a等)に向けて移動可能となされている。又前記と同様にして、前記可動張り出し部材19は、前記前進位置11にある前記搬送テーブル上の物品W(ワークW1等)を該搬送テーブルのテーブル上面21に向けて前記昇降押圧手段17が押圧できるベース位置22と、前記後退位置10にある前記搬送テーブル上の物品W(W1)を該テーブル上面21に向けて前記昇降押圧手段17が押圧できる張り出し位置23との間で前後方向に移動可能となされている。
(2) 前記工作機械による機械加工は、前記したフライス加工には限られず、機械加工全般を指す。
(3) 本発明において、前記本クランプ押圧力とは、前記仮クランプ押圧力と同等の押圧力である場合を含む。例えば、アルミニウムや樹脂からなるワークに対して機械加工を施す場合は、軽切削となるために、前記本クランプ押圧力を、前記仮クランプ押圧力と同等に設定することがある。
(4) 前記前進位置11を呈した状態で、前記昇降押圧手段17が、前記搬送テーブル上の物品を、前記仮クランプ押圧力で押圧した状態のまま、物品Wが載置されてなる前記第1、第2の搬送テーブル3(4)と前記搬送フレーム9a又は前記搬送門形フレ−ム9とが一体となって前記物品処理部7に向けて移動する場合、例えば前記機械加工の直前等の物品処理の直前で、該仮クランプ押圧力からそれよりも大きいクランプ押圧力に切り替わることもある。
(5) 図1、図57において、符号47で示すものは、前記昇降押圧手段17の前記押圧ロッド26の左右に配設された補助押圧手段である。該補助押圧手段47,47は、例えば油圧シリンダ48の伸縮によって補助押圧部49,49が上下動できるように構成されており、前記横架フレーム15の下面部50(図57)に位置固定されて設けられている。該補助押圧手段は、前記可動張り出し部材19が前後動しても、これと共に前後動することはなく常時、定位置にある。
該補助押圧手段47,47は、ワークW1が、例えば図56に示すように左右方向で比較的長い場合に、該ワークW1のテーブル上面21に対する固定状態を安定化させてワークW1の位置ずれを防止し、これによって前記機械加工を精度よく行うためのものである。なお前記補助押圧部49,49は、前記回転テーブル18を回転させる際は上昇位置を呈するようになされている。かかる構成を有する補助押圧部49,49は実施例2に係る物品搬送装置1や工作機械1aに対しても応用され得る。
(6) 前記テーブル上面21でのワークW1の位置決めを行う手段としては、前記可動位置決め装置30の他、テーブル上面21に設けられた目印等であってもよい。
(7) 前記可動張り出し部材を、前記ベース位置22と前記張り出し位置23との間で前後動可能とする手段は、前記したラックとピニオンを具える機構や前記の直線運動装置62の他、例えば油圧シリンダやエアシリンダ等の伸縮作用を利用して構成することも可能である。その他、かかる前後動を可能とする各種の公知手段を採用できる。
(8) 前記搬送門形フレーム9が、左右の支柱部材12,13の上部相互を前記横架フレーム15で連結されて構成される場合において、前記昇降押圧手段による前記押圧部16の上下動のストロークが小さくて済む場合は、前記可動張り出し部材19を該横架フレーム15の下面側に設けることも可能である。
(9) 前記フライス加工を行う際、前記実施例においては前記搬送門形フレーム9を所要の送り速度で移動させる如く構成しているが、前記両頭フライス盤20が左右方向で移動する如く構成することもできる。
(10)前記実施例に係る搬送門形フレーム9においては、前記左右の支柱部材12,13の下端相互が連結フレーム14で連結されているが、該連結フレーム14が省略されることもある。この場合は、前記前進位置11を呈した状態にある前記搬送テーブルが該左右の支柱部材12,13の間に導入された後、該搬送テーブルと該搬送門形フレーム9とが同期して左右方向で移動する如く構成される。
(11)ワークW1等の物品が前記物品導入側6に戻った後、前記昇降押圧手段17が押圧しない状態で前記搬送テーブル3,4が前記後退位置10に後退することもある。
(12)前記搬送門形フレーム9を前記のように早送りさせたり早戻りさせることは必須ではない。
(13)前記回転テーブル18を、90度等の所要の割り出し角度で回転させる場合、この回転を行わせる場所は、前記搬送テーブル上に載置されている物品の大きさや、前記テーブル上面21の縁からの物品の張り出しの程度等を考慮して、前記レール8等と衝合しないように設定される。
(14)前記機械加工部7aにおける所要の機械加工が完了した後、通常は、本クランプ状態29のまま前記搬送テーブルが前記ワーク導入側に戻るが、このように戻る際においてテーブル上面21上における加工ワークの位置ずれが生ずる恐れがなければ、該機械加工が完了した後に、前記本クランプ状態29から仮クランプ状態27に戻ってもよい。又、クランプされないこともある。
(15)本発明に係る前記工作機械1aは、本発明に係る物品搬送装置1の下位概念として構成されているが、該物品搬送装置1は、左右隣り合わせて配設された2台の搬送テーブル3,4と、選択された搬送テーブル上に載置されてなる物品Wを、物品導入側6から物品処理部7に向けて搬送する搬送門形フレーム9とを具える如く構成されるものである。
該物品処理部7としては、所要の位置決め状態で搬送された物品Wに対して特定の部品を溶接やビス固定等によって取り付けるための物品処理部や、特定の部品を該物品Wに設けた凹部に嵌め入れる等の物品処理部の他、所要の位置決め状態で搬送された物品Wをロボット等に受け渡したり特定の場所に導入させる等の処理を行うための物品処理部や、特定の物理的又は化学的処理を施すための物品処理部等、各種の物品処理部を例示できる。そして、かかる物品処理部7に搬送される物品は、該物品処理部7における処理作業に合わせて設定された所要押圧力による本クランプ状態で搬送される。
そして該物品搬送装置にあっては、物品処理部7で所要の処理が施された後、物品(ワーク等)が前記物品導入側6に戻される場合と、戻されない場合がある。前記機械加工部7aを具備する前記工作機械1aは、加工された物品(ワーク)が物品導入側(ワーク導入側)に戻される場合の一例である。
かかる物品処理部7における物品処理を効率的に行うために、前記物品搬送装置1は、左右に隣り合わせて配設された2台の搬送テーブル3,4を有しており、該搬送テーブルに対して物品の着脱作業を行う作業者の動きを左右方向に直線的なものとし、その動きに無駄がないようにして生産性向上を達成できるようになされている。
そして該物品搬送装置1は、選択された搬送テーブルのテーブル上面21に物品Wが所要に位置決めされて載置され、該載置された状態で、前記可動張り出し部材19が前記張り出し位置23を呈する如くなされる。そして該張り出し位置23で、前記押圧具16が下降して、該搬送テーブル3,4上の物品5が前記テーブル上面21に向けて仮クランプ押圧力で押圧した仮クランプ状態を呈する如くなされており、それ以降は、前記工作機械1aに関して説明したところと同様の動作を行うように構成されている。
本発明に係る物品搬送装置1においても、前記補助押圧手段46,46を前記と同様にして設けることができる。
(16)前記前後動駆動装置2の左右の駆動側面部200,201に設けられる前記係合連結部202,203と、前記第1、第2の搬送テ−ブル3,4の前記側面部205,206に設けられている係合被連結部207,209との係合方式としては、該係合連結部202,203を、前記実施例で示したような軸部として構成し、該軸部としての係合連結部202,203が前記側面部205,206に設けた凹部としての係合被連結部207,209に挿入状態となって係合する構成のものの他、前記駆動側面部200,201に設けられている前記係合連結部202,203を回動可能に構成し、該係合連結部202,203がその回動によって前記係合被連結部207,209に引っ掛かって係合連結状態となる構成のものを含むものである。
その他、該係合連結部202,203が突出することによって前記係合被連結部207,209と係合状態となって該係合連結部202,203と該係合被連結部207,209とが係合状態に連結される構成のものであれば、例えば、孔部に軸状部が挿通状態と成るもの等、各種の公知手段を用いて構成できる。
(17)実施例2で示したように、前記左右の搬送テーブル3,4の前縁部3a,4a等としての被保着部179に前記係合保着部材176を係合状態に連結させる手段は、前記のように該係合保着部材176の前記嵌入凹部183に前記係合軸179aが嵌まり合うように連結する如く構成することの他、例えば、孔部としての被保着部に軸状の係合保着部材176を挿通状態としたり、その逆構成とするもの等、各種の公知手段を用いて構成できる。又、前記左右の搬送テーブル3,4に設けられる前記被保着部179は、前記した前縁部3a,4aに設けられるとは限られず側縁部3b,4bや底面部等、前記係合保着部材176との係合状態の連結を可能とする部位であれば、所要に設定できる。
(18)実施例2においては、前記係合保着部材176を上下動可能に設けているが、前記物品Wが載置された搬送テーブルが物品処理部7に向けて移動する際や、該物品処理部7における物品処理(機械加工等)の障害とならない限り、該係合保着部材176を上下動しないように設けることもできる。或いは、上下動させるにしても、そのストロークを小さく設定してよい場合もある。
(19)図58は、前記可動位置決め装置40の待機位置を、左右に位置する第1、第2の搬送テ−ブル3,4の間に位置させた場合を示すものであり、該可動位置決め位置40がこの待機位置から、矢印で示すように左方向や右方向に移動することにより、前記第1、第2の搬送テ−ブル3,4のテ−ブル上面21,21に載置されたワ−クW1の所要の位置決めを行い得るようになされている。このように構成する場合は、該ワ−クW1の位置決めのために行われる該可動位置決め装置40の移動範囲を極力小さくできるため、位置決め作業の効率化を達成できる場合がある。該構成は、例えば、テ−ブル上面21に載置するワ−クが比較的小さい場合に採用して好ましい。
(20)前記第1の搬送テーブル3が前記後退位置10を呈した状態で、該第1の搬送テーブル3上の加工済みのワークW1が取り外された後、図14においては、前記搬送門形フレ−ム9が右方向に移動して、第2の搬送テーブル4上に載置されているワークW1を前記昇降押圧手段17が下降して仮クランプ状態27で押圧する如くなされている。これとは異なり、第1の搬送テーブル3上の加工済みのワークW1が取り外された後、前記搬送門形フレ−ム9が前記右方向に移動することなく、前記可動張り出し部材19が前進して前記ベース位置22に戻り、その後に前記搬送門形フレ−ム9が右方向に所要に移動して、第2の搬送テーブルに対してのワーク導入側6bを形成し、この状態で、前記第1の搬送テーブル4上のワークを仮クランプ状態27で押圧するために前記可動張り出し部材19が後退するように構成することもできる。かかる構成は工作機械1aに対して応用されることの他、物品搬送装置1に対して応用できるものである。