JP5740908B2 - 冷間鍛造後の急速加熱焼入れ性に優れた中炭素鋼板の焼入れ方法 - Google Patents
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C:0.30〜0.55%、
Si:0.05〜0.3%、
Mn:0.3〜1.5%、
P:0.005〜0.03%、
S:0.0001〜0.01%、
Al:0.005〜0.10%、
及び、N:0.001〜0.01%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、焼入れ前の鋼板の炭化物の平均円相当径が0.25μm以上0.65μm以下、炭化物の球状化率が60%以上90%未満である中炭素鋼板を、下記(A)式に規定する条件にて急速加熱焼入れ処理を施し、該焼入れ後の組織に含まれるマルテンサイトの面積率が99%以上となり、更にビッカース硬度を550Hv以上にすることを特徴とする中炭素鋼板の焼入れ方法。
B値>18000+24000×(D θ −0.2) 2.5 ・・・(A)式
ここで、
D θ ・・・炭化物の平均円相当径、
B値=1373×(logΣΔt+18)、
Δt=10 (ΔT+273)(log(0.02/3600)+18)/1373-18 、
ΔT・・・室温から加熱、冷却までの温度履歴を0.02秒単位で区切ったときの各時間における温度を意味する。
Cr:0.01〜0.3%、
Ni:0.01〜0.5%、
Cu:0.05〜0.5%、
Mo:0.001〜0.3%
の内の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の中炭素鋼板の焼入れ方法。
Nb:0.001〜0.3%、
Ti:0.001〜0.3%
V:0.001〜0.3%、
B:0.0001〜0.003%、
Ta:0.01〜0.3%、
W:0.01〜0.3%
の内の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の中炭素鋼板の焼入れ方法。
Cは、鋼板の焼入れ強度を確保するうえで重要な元素であり、0.30%以上添加し、所要の強度を確保する。0.30%未満では、焼入れ後に機械構造用高強度鋼板としての強度が得られないので、下限を0.30%とする。0.55%を超えると、破壊の起点となる炭化物の割合が増加し冷間鍛造性を低下せしめるため、上限を0.55%とする。好ましくは、0.35〜0.50%である。
Siは、脱酸剤として作用し、また、焼入れ性の向上に有効な元素である。0.05%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.05%とする。一方、0.3%を超えると、熱間圧延時のスケール疵に起因する表面性状の劣化を招くので、上限を0.3%とする。好ましくは、0.13〜0.26%である。
Mnは、脱酸剤として作用し、また、焼入れ性の向上に有効な元素である。0.3%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.3%とする。1.5%を超えると、焼入れ、焼戻し後の衝撃特性を助長するので、上限を1.5%とする。好ましくは、0.5〜1.3%である。
Pは、固溶強化元素であり、鋼板の強度に有効な元素である。過剰な含有は、靭性を阻害するので、上限を0.03%とする。0.005%未満に低減することは、精錬コストの上昇を招くので、下限を0.005%とする。好ましくは、0.007〜0.02%である。
Sは、不純物として含有され非金属介在物を形成し、加工性や、熱処理後の靭性を阻害する原因となるので、上限を0.01%とする。0.0001%未満に低減することは、精錬コストの大幅な上昇を招くので、下限を0.0001%とする。好ましくは、0.001〜0.008%である。
Alは、脱酸剤として作用し、また、Nの固定に有効な元素である。0.005%未満では、添加効果が十分に得られないので、下限を0.005%とする。0.10%を超えると、添加効果は飽和し、また、表面疵が発生し易くなるので、上限を0.10%とする。好ましくは、0.01〜0.05%である。
Nは、不純物として含有され窒化物を形成する元素である。湾曲型連続鋳造における鋳片曲げ矯正時に窒化物が析出すると、鋳片が割れることがあるので、上限を0.01%とする。少ないほど好ましいが、0.0010%未満に低減するのは、精錬コストの増加を招くので、下限を0.0010%とする。好ましくは、0.004〜0.007%である。
Crは、焼入れ性の向上に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果がないので、下限を0.01%とする。0.3%を超えると、急速加熱時に炭化物が溶解しにくくなるため、上限を0.3%とする。好ましくは、0.01〜0.1%である。
Niは、靭性の向上や、焼入れ性の向上に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果がないので、下限を0.01%とする。0.5%を超えると、添加効果は飽和するし、また、コスト増を招くので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.05〜0.5%である。
Cuは、焼入性の確保に有効な元素である。0.05%未満では、添加効果が不十分であるので、下限を0.05%とする。0.5%を超えると、硬くなり過ぎ、冷間加工性が劣化するので、上限を0.5%とする。好ましくは、0.08〜0.2%である。
Moは、焼入れ性の向上と、焼戻し軟化抵抗性の向上に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が小さいので、下限を0.001%とする。0.3%を超えると、添加効果は飽和するので、上限を0.3%とする。
Nbは、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や靭性改善に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果は充分に発現しないので、下限を0.001%とする。0.3%を超えると、添加効果が飽和するので、上限を0.3%とする。好ましくは、0.001〜0.1%である。
TiはN固定の観点から添加することができ、鋳片の脆化や材質の安定化に寄与するが0.3%を超えて添加しても効果が飽和し、また0.001%以下では効果が得られないので、その範囲を0.001〜0.3%とした。
Vは、Nbと同様に、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や靭性改善に有効な元素である。0.001%未満では、添加効果が小さいので、下限を0.001%とする。0.3%を超えると、炭化物が生成し焼入れ硬度が低下するので、上限を0.3%とする。好ましくは、0.01〜0.1%である。
Bは微量の添加で、焼入性を高めるのに有効な元素である。0.0001%未満では、添加効果がないので、下限を0.0001%とする。0.003%を超えると、鋳造性が低下し、また、B系化合物が生成して靭性が低下するので、上限を0.003%とする。好ましくは、0.0005〜0.002%である。
Taは、Nb、Vと同様に、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や靭性改善に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果が小さいので、下限を0.01%とする。0.3%を超えると、炭化物が生成し焼入れ硬度が低下するので、上限を0.3%とする。好ましくは、0.01〜0.1%である。
Wは、鋼板の強化に有効な元素である。0.01%未満では、添加効果が発現しないので、下限を0.01%とする。0.3%を超えると、加工性が低下するので、上限を0.3%にする。好ましくは、0.01〜0.1%である。
B値>18000+24000×(Dθ−0.2)2.5 ・・・(A)式
ここで、
Dθ・・・炭化物の平均円相当径
B値=1373×(logΣΔt+18)
Δt=10(ΔT+273)(log(0.02/3600)+18)/1373-18
ΔT・・・室温から加熱、冷却までの温度履歴を0.02秒単位で区切ったときの各時間における温度(℃)を意味する。
コイル内の温度分布を均一化させる目的に加え、窒素侵入による焼入れ性の低下を抑制するため、水素95%以上の雰囲気中で焼鈍する。焼鈍中の脱炭を抑制するため、400℃までの露点を−20℃未満とし、400℃超における露点を−40℃未満とした。
焼鈍後の冷間鍛造性(冷間加工性)の評価は板厚3tの焼鈍まま材を内曲げ半径2mmにて90°板長方向に曲げる条件にて実施し、外曲げ部に亀裂の発生が認められた場合に冷間鍛造性が劣位である“×”の評点を付けた。亀裂が発生しない場合は“○”の評点をつけた。
Claims (3)
- 質量%で、
C:0.30〜0.55%、
Si:0.05〜0.3%、
Mn:0.3〜1.5%、
P:0.005〜0.03%、
S:0.0001〜0.01%、
Al:0.005〜0.10%、
及び、N:0.001〜0.01%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、焼入れ前の鋼板の炭化物の平均円相当径が0.25μm以上0.65μm以下、炭化物の球状化率が60%以上90%未満である中炭素鋼板を、下記(A)式に規定する条件にて急速加熱焼入れ処理を施し、該焼入れ後の組織に含まれるマルテンサイトの面積率が99%以上となり、更にビッカース硬度を550Hv以上にすることを特徴とする中炭素鋼板の焼入れ方法。
B値>18000+24000×(D θ −0.2) 2.5 ・・・(A)式
ここで、
D θ ・・・炭化物の平均円相当径、
B値=1373×(logΣΔt+18)、
Δt=10 (ΔT+273)(log(0.02/3600)+18)/1373-18 、
ΔT・・・室温から加熱、冷却までの温度履歴を0.02秒単位で区切ったときの各時間における温度を意味する。 - 質量%で、さらに、
Cr:0.01〜0.3%、
Ni:0.01〜0.5%、
Cu:0.05〜0.5%、
Mo:0.001〜0.3%
の内の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の中炭素鋼板の焼入れ方法。 - 質量%で、さらに、
Nb:0.001〜0.3%、
Ti:0.001〜0.3%
V:0.001〜0.3%、
B:0.0001〜0.003%、
Ta:0.01〜0.3%、
W:0.01〜0.3%
の内の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の中炭素鋼板の焼入れ方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010235973A JP5740908B2 (ja) | 2010-10-20 | 2010-10-20 | 冷間鍛造後の急速加熱焼入れ性に優れた中炭素鋼板の焼入れ方法 |
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JP2010235973A JP5740908B2 (ja) | 2010-10-20 | 2010-10-20 | 冷間鍛造後の急速加熱焼入れ性に優れた中炭素鋼板の焼入れ方法 |
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JP2012087382A JP2012087382A (ja) | 2012-05-10 |
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JP2010235973A Active JP5740908B2 (ja) | 2010-10-20 | 2010-10-20 | 冷間鍛造後の急速加熱焼入れ性に優れた中炭素鋼板の焼入れ方法 |
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- 2010-10-20 JP JP2010235973A patent/JP5740908B2/ja active Active
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