JP5737502B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Description
そのため容器内面をフッ素処理する方法やポリエチレンとポリアミドをブレンドする方法によって、燃料の透過を抑制する試みがなされている(特許文献1〜3参照)。これらのうち、フッ素処理は加工工程が別工程となり、効率的ではない。またポリアミドとポリエチレンのブレンドに関しては、燃料の透過性として不十分である。これらの試みを改善するべく、特許文献4では、ポリエチレンにメタキシリレン基含有ポリアミドを配合するために、変性オレフィンを用いて分散させる試みがなされているが、マトリクスポリマーがポリエチレンである限り、やはり燃料透過性を充分に改善することはできていない。特に化石燃料の使用を減らすため、ガソリンにアルコール類を添加した燃料に関しては、ポリアミド6、メタキシリレン基含有ポリアミド類、エチレンビニルアルコール共重合体などのバリア性樹脂は、アルコールバリア性に劣る。ポリエチレン類はアルコールバリアに対して優れるが、ガソリン透過性に劣る。アルコールバリアとガソリンバリアに関して、よりバリア性を高めたバリア性樹脂が必要である。
(1)共重合ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂(B)10〜250質量部、変性ポリオレフィンおよび/またはスチレン系共重合体(C)0〜100質量部を含有するポリアミド樹脂組成物であって、前記共重合ポリアミド樹脂(A)が、デカンテレフタルアミド単位(a)とウンデカンアミド単位および/またはドデカンアミド単位(b)とを含み、前記デカンテレフタルアミド単位(a)の含有率が、前記単位(a)および前記単位(b)の合計100モル%に対して50〜98モル%であり、前記ウンデカンアミド単位および/またはドデカンアミド単位(b)の含有率が、前記単位(a)および前記単位(b)の合計100モル%に対して2〜50モル%であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)前記デカンテレフタルアミド単位(a)の含有率が、前記単位(a)および前記単位(b)の合計100モル%に対して75〜98モル%であり、前記ウンデカンアミド単位および/またはドデカンアミド単位(b)の含有率が、前記単位(a)および前記単位(b)の合計100モル%に対して2〜25モル%である前記(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)共重合ポリアミド樹脂(A)が、デカンテレフタルアミド単位(a)と、ウンデカンアミド単位および/またはドデカンアミド単位(b)と、アミノ基およびカルボキシル基を含有するその他の単位(c)とを含み、前記その他の単位(c)の含有率が、前記単位(a)、前記単位(b)および前記単位(c)の合計100モル%に対して0〜30モル%である前記(1)〜(2)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂(B)が、共重合ポリアミド樹脂(A)マトリクスに独立分散している構造をもった前記(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
銅化合物は、またヨウ化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウムのようなハロゲン化アルカリとの併用も効果的である。またその他の耐熱剤としては、抗酸化剤や酸化防止剤としてリン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト化合物、チオエーテル系化合物等も公知の範囲で使用することが好ましい。
(B)が、(A)のマトリクスに独立分散している構造にするためには、上記した条件で、ポリアミド樹脂組成物を作製することにより得られる。
なお、実施例に記載された測定値は、以下の方法によって測定したものである。
105℃で15時間減圧乾燥した試料(ポリアミド樹脂)をアルミニウム製パン(TA Instruments社製「品番900793.901」)に10mg量り取り、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製「品番900794.901」)で密封状態にした後、示差走査熱量計(TA Instruments製「DSCQ100」)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した後に上記パンを取出し、液体窒素に漬け込み、急冷させた。その後、液体窒素から上記パンを取出し、室温で30分間放置した後、再び、上記示差走査熱量計を用いて室温から20℃/分で350℃まで昇温し、その際の融解による吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。また、この2度目の昇温過程におけるガラス転移点以下のベースラインの延長線と、ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mLに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で測定した。
各試料を2mg秤量し、4mLのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/トリフルオロ酢酸ナトリウム10mM溶液に溶解させた後、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、得られた試料溶液について下記条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行い、数平均分子量を求めた。なお、分子量換算は標準ポリメチルメタクリレート換算とし、分子量1000以下のものはオリゴマーとして除いて算出した。
装置:TOSOH製「HLC−8220GPC」
カラム:TOSOH製「TSKgel SuperHM−H×2」、「TSKgel SuperH2000」
流速:0.25mL/分
濃度:0.05質量%
温度:40℃
検出器:RI
ISO−178に準じて測定した。
射出成形で作成した100×100×2mmtの平板をプレス成形で、厚み0.15mmにしたシート成形品を120mm×150mmのサイズにカットしたものを2枚切り出し、それぞれを合わせて3辺がシール幅10mmになるようにヒートシールして袋を作成した。得られた袋にイソオクタン/トルエン/エタノール=45/45/10容量%の燃料を60g充填し、口部をシール幅10mmになるようにヒートシールした。該燃料充填袋を50℃×65%RHに調整した防爆型高温高湿槽に240hr放置し、初期値と処理後の重量変化より燃料透過量を求めた。
射出成形によって作成した曲げ試験(ISO−178)で使用したサンプルと同じサンプルを下記(i)〜(iv)の処理を行ったあとにクラック発生を目視で確認した。クラック発生したものは×、クラック発生が認められなかったものは○とした。
(i) 90℃×48hr温水浸漬処理
(ii) 5%塩化カルシウム水溶液を浸漬したガーゼを試験片上において100℃×2hr処理
(iii) ガーゼを取り除き、室温×1hr放置
(iv) 前述(i)〜(iii)を10サイクル繰り返し
構造観察は、混練りで得られた樹脂組成物ペレットのクライオミクロトームで得た凍結切片を、RuO4で染色したものをTEM(透過型電子顕微鏡)で観察して実施した。マトリクス樹脂に、分散樹脂が均一に分散しているものを○とした。不均一な形状および分散スケールのものは×とした。ここでの均一な分散とは、分散形状が同一で、分散スケールに5倍以上の周期構造を含まないものを指す。不均一な形状および分散スケールとは、形状が類似形状でなく、周期構造に5倍以上のスケールサイズのものを含む分散構造を指す。また、染色によって染め分けができないものは測定不可とし、明確な相分離構造をとらないと判断した。測定不可と判断するまでには、TEM(透過型電子顕微鏡)の他に、SEM(走査型電子顕微鏡)、SPM(走査型プローブ顕微鏡(SPM)、位相顕微鏡、微分干渉顕微鏡を用い、構造観察を実施した。
<共重合ポリアミド樹脂(A)>
(A1:ポリアミド10T11)
デカメチレンジアミン8.26kg、テレフタル酸7.97kg、11−アミノウンデカン酸6.43kg、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端調整剤として酢酸40gおよびイオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加熱した上記溶解液を加圧反応缶に供給し、290℃に昇温して缶内圧を3MPaで維持するように水の一部を留出させることにより、低次縮合物を得た。次いで、この低次縮合物を、溶融状態を維持したまま直接二軸押出し機(スクリュー径37mm、L/D=60)に供給し、樹脂温度を330℃とし3箇所のベントから水を抜きながら溶融下で重縮合を進め、共重合ポリアミド樹脂(A1)を得た。得られた共重合ポリアミド樹脂(A1)は、デカンテレフタルアミド単位(10T)/ウンデカンアミド単位(11)=60/40(モル比)の組成で、融点250℃、相対粘度2.6、ガラス転移温度75℃であった。
上述した共重合ポリアミド樹脂(A1)の製造方法において、デカメチレンジアミンの量を11.01kgに変更し、テレフタル酸の量を10.62kgに変更し、11−アミノウンデカン酸の量を3.22kgに変更した以外は、上述した共重合ポリアミド樹脂(A1)の製造方法と同様にして、共重合ポリアミド樹脂(A2)を得た。得られた共重合ポリアミド樹脂(A2)は、デカンテレフタルアミド単位(10T)/ウンデカンアミド単位(11)=80/20(モル比)の組成で、融点289℃、相対粘度2.6、ガラス転移温度93℃であった。
上述した共重合ポリアミド樹脂(A2)の製造方法において、11−アミノウンデカン酸3.22kgをウンデカンラクタム2.93kgに変更した以外は、上述した共重合ポリアミド樹脂(A2)の製造方法と同様にして、共重合ポリアミド樹脂(A3)を得た。得られた共重合ポリアミド樹脂(A3)は、デカンテレフタルアミド単位(10T)/ドデカンアミド単位(12)=80/20(モル比)の組成で、融点288℃、相対粘度2.4、ガラス転移温度92℃であった。
A5:ポリアミド66;東レ社製「アミラン(登録商標)CM3001N」、相対粘度RV=2.8の66ナイロン、数平均分子量17900、融点265℃
なお、A4、A5は、本発明における(A)成分に該当しないが、下記する表では、比較しやすくするため、(A)成分の欄に記す。
B2:相対粘度が2.1のポリアミドMXD6(三菱ガス化学社製 MXナイロン S6001、メタキシレンジアミンとアジピン酸からなるポリアミド樹脂)
変性スチレン系重合体 C2:タフテックM1943(旭化成社製、マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)
安定剤:チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガノックスB1171」
離型剤:クラリアントジャパン社製「モンタン酸エステルワックスWE40」
上述した各原料(A)〜(C)の使用量(質量部)は表1〜2に示す通りとし、その他の添加剤の使用量については各実施例・比較例とも、安定剤が0.3質量部、離型剤が0.4質量部とし、これらを35φ二軸押出機(東芝機械社製)にて混合した。詳しくは、(A)〜(C)の原料は、あらかじめ混合してメインホッパーから投入し、シリンダ温度は、共重合ポリアミド樹脂(A)として「ポリアミド10T11(A1)」を用いた例では280℃、「ポリアミド10T11(A2)」および「ポリアミド10T12(A3)」を用いた例では300℃、これらを用いず、「ポリアミド6(A4)」、「ポリアミドMXD6(B1、B2)」を用いた例では260℃、「ポリアミド66(A5)」を用いた例では280℃に設定した。そして、押出機から吐出されたストランドを水槽で冷却した後、ストランドカッターでペレット化し、125℃で5時間乾燥することにより、ポリアミド樹脂組成物をペレットとして得た。
Claims (2)
- 共重合ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂(B)10〜250質量部、変性ポリオレフィンおよび/またはスチレン系共重合体(C)0〜100質量部を含有するポリアミド樹脂組成物であって、前記共重合ポリアミド樹脂(A)が、デカンテレフタルアミド単位(a)と、ウンデカンアミド単位および/またはドデカンアミド単位(b)と、アミノ基およびカルボキシル基を含有するその他の単位(c)とを含み、前記デカンテレフタルアミド単位(a)の含有率が、前記単位(a)および前記単位(b)の合計100モル%に対して50〜98モル%であり、前記ウンデカンアミド単位および/またはドデカンアミド単位(b)の含有率が、前記単位(a)および前記単位(b)の合計100モル%に対して2〜50モル%であり、前記その他の単位(c)の含有率が、前記単位(a)、前記単位(b)および前記単位(c)の合計100モル%に対して0〜30モル%であり、前記メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂(B)が、ジアミンの構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンであるジアミンと、ジカルボン酸の構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα、ω−直鎖脂肪族カルボン酸であるジカルボン酸からなるポリアミドであって、メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂(B)が、共重合ポリアミド樹脂(A)マトリクスに独立分散している構造をもったことを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- 前記デカンテレフタルアミド単位(a)の含有率が、前記単位(a)および前記単位(b)の合計100モル%に対して75〜98モル%であり、前記ウンデカンアミド単位および/またはドデカンアミド単位(b)の含有率が、前記単位(a)および前記単位(b)の合計100モル%に対して2〜25モル%である請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
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