JP5731796B2 - 紙器用水性被覆剤組成物及び印刷物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紙器用水性被覆剤組成物に関し、より詳しくは、コート紙などの浸透性の低い紙基材を対象としたときに、組成物中に含まれている低級アルコールの量を極力少なくした中で、良好な乾燥性とレベリング性を有する紙器用水性オーバープリントニス組成物、及び、良好な乾燥性と印刷適性を有する紙器用水性グラビア印刷インキ組成物として適用が可能な紙器用水性被覆剤組成物及び印刷物の製造方法に関する。
菓子、ティッシュ、洗剤等の食品から家庭用品までの外装箱、酒類や飲料のマルチパック用パッケージ等には、美粧化のために水性インキがグラビア方式で印刷され、さらに、表面保護や光沢付与のために水性オーバープリントニスが塗工されている。
例えば、最近、缶ビールは、6缶パックとして陳列・販売される機会が非常に多くなっている。そして、特に目につくのがそれらのパッケージの印刷のきれいさである。ビール業界の市場シェア争いは熾烈を極め、最近では0.1%程度の差で売り上げランキングが入れ替わる可能性すらある。ビール業界に限ったことではないが、売り上げランキングのトップ企業には高いステイタスがあり、それが世間の信用や認知度にも結びつく。そこで、ビール業界では広告・宣伝への注力はもとより、お客様が製品を手に取ったときの印象が少しでも良くなるように、印刷業界を巻き込んで、缶やパッケージの印刷品質にまでこだわった販売戦略がとられている。
このような6缶パックの印刷用紙基材には、表面に炭酸カルシウムなどの無機粒子と樹脂等からなる塗工層を緻密に設けたコート紙が利用されている。コート紙は、表面が平滑で光沢があり、また、被覆剤組成物の浸透を抑制して歩留まり性を高めるという特徴を有するために、精緻で高濃度な印刷と高光沢の付与を可能にする。しかし、被覆剤組成物の印刷・塗工の際に、コート紙は非塗工紙と比較して乾燥性を低下させるという欠点がある。本来、紙基材中への浸透による乾燥が期待できるときは、水性被覆剤組成物の水性媒体が水だけでも良好な乾燥性が得られることも多い。ところが、コート紙を利用すると、浸透の抑制により乾燥が阻害される分、乾燥性が低下する。乾燥性は印刷物の生産効率に直結するファクターであり、特に大量に消費される缶ビール等のパッケージの印刷では極めて重要な性能となる。そこでコート紙を利用して、いかに乾燥性の低下をなくすかが大きな検討課題になっている。
また、コート紙の浸透を抑制する性能は、同時に被覆剤組成物の紙面での広がりも抑制することから、印刷物の場合に、シャドウ部(網点面積率の高い部分)では印刷抜けが生じたり、ハイライト部(網点面積率の低い部分)ではざらついた感じに見えるといった結果になる。そして、グラビア印刷方式では、この様な印刷抜けやざらつき感が顕著になりやすい。
グラビア印刷とは、円筒状の版材の表面に、画像部として“セル”と呼ばれる円筒状、格子状、ピラミッド状等の独立した微細な凹部を設け、その中に一度インキを充填し、ドクターブレードと呼ばれる板状の部材で凹部以外の部分に付着したインキを掻き取った後、版面に印刷基材を押圧し、セル内に残ったインキのみを印刷基材に転移させる印刷方式である。ここで、インキがセルから印刷基材に転移した後に広がらないと、インキは印刷基材上で点在することになり、印刷抜けやざらつき感が出る。したがって、インキの広がり性(レベリング性)は、印刷抜けやざらつき感をなくすために必要な性能と言える。なお、インキが広がりすぎると、今度はぼやけた感じになるため、レベリング性には適度な範囲が求められる。オーバープリントニスは着色されていないので、塗工抜けやざらつき感はあまり見られないが、塗膜表面に微細な凹凸が生じで光沢が損なわれる等の問題があり、レベリング性は同様に要求される。
以上のような水性のインキやオーバープリントニスの乾燥性やレベリング性を向上させるためには、低級アルコール成分を含有させるのが効果的であることが知られている。そこで、通常、これら水性のグラビアインキやオーバープリントニスがコート紙に印刷・塗工される際には、低級アルコールが40%程度と多量に含まれている(特許文献1参照)。
しかし、近年、自然環境の保護や労働環境の改善が強く求められるようになり、印刷業界においても、改正大気汚染防止法の施行により、2010年末までに業界全体で揮発性有機化合物(VOC)の排出量を3割削減することが義務つけられている。そして、グラビア印刷で規制対象となるのは、「グラビア印刷の用に供する乾燥施設の送風能力が27000m/時間以上」の場合であり、VOC排出濃度を、これまでの1300ppmC(ppmC=溶剤排出量×炭素数)から700ppmCまで削減する必要がある。
この対応手段としては、インキやオーバープリントニスのような水性被覆剤組成物中に含まれる低級アルコール量を低減する方法が最も基本的と言える。
しかしながら、これまで利用されてきた水性被覆剤組成物から、単に低級アルコールを低減しただけの場合、グラビアインキでは、印刷適性や乾燥性が低下し、オーバープリントニスでは、乾燥性やレベリング性が低下するという問題が発生していた。
特開2008−31276号公報
そこで、本発明では、水性被覆剤組成物中に含まれる低級アルコールの量を極力少なくして、コート紙などの浸透性の低い紙基材を対象としたときに、印刷適性、乾燥性が良好な紙器用水性グラビア印刷インキ、乾燥性、レベリング性が良好な紙器用水性オーバープリントニスとして適用できる紙器用水性被覆剤を提供することを目的とする。
上記のように、乾燥性は印刷物の生産効率に直結する極めて重要な性能である。そこで、特に浸透乾燥性があまり期待できないコート紙での印刷物の製造においては、従来、インキやオーバープリントニスの水性媒体として、蒸発乾燥性を向上させる低級アルコールが利用されている。さらに、低級アルコールには系の表面張力を低下させる機能があり、レベリング性が良好で浸透乾燥についても有利になるなど、多面にわたって利点がある。
しかしながら、その一方で、自然環境と作業環境の両面から、揮発性有機化合物の排出が厳しく規制されるようになり、印刷業界でも、有機溶剤の利用量を抑えた組成物の要望が強くなっている。ところが、このような場合、単純にアルコール含有量を減量すると、乾燥性の他にもレベリング性や印刷適性が低下することが知られている。
そこで、本発明者らは、まず、高固形分−低粘度化が可能で、系からの水性媒体の離脱を速めるエマルジョン型の水性樹脂を利用することとした。そして、固形分総量の多いインキやオーバープリントニスで印刷・塗工を行った結果、低級アルコールの含有量を抑えた中で、乾燥性を速くすることに成功した。
ところが、粒子状のエマルジョン型の水性樹脂の高固形分化は流動性の低下をもたらし、それに伴って、レベリング性や印刷適性の不良をまねくことになる。そこで、本発明者らは、さらにレベリング性や印刷適性の改善として、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを含有させると、特異的に効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)水性媒体及びエマルジョン型の水性樹脂を含有する紙器用水性被覆剤組成物であって、上記水性媒体は、水及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールからなり、上記2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの含有量が0.1〜2.5質量%であり、上記エマルジョン型の水性樹脂は、高分子乳化剤の存在下で、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体Aを主成分とするエチレン性不飽和単量体を乳化重合させてコア部を形成し、次いで、単独で重合したときに得られる重合体のガラス転移温度が−50℃以下であるエチレン性不飽和単量体Bを乳化重合させてシェル部を形成して得られる樹脂であり、更に、上記エマルジョン型の水性樹脂は、酸価が50〜70mgKOH/gであり、ガラス転移温度が40〜70℃であることを特徴とする紙器用水性被覆剤組成物に関する。
また、本発明は、(2)水性媒体及びエマルジョン型の水性樹脂を含有する紙器用水性被覆剤組成物であって、更に、着色剤、及び、アルカリ可溶型水溶性樹脂を含有し、上記水性媒体は、水、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び炭素数1〜4の低級アルコールからなるものであり、上記炭素数1〜4の低級アルコールの含有量が15〜30質量%であり、上記2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの含有量が0.1〜2.5質量%であり、上記エマルジョン型の水性樹脂は、酸価が25〜40mgKOH/gであり、ガラス転移温度が15〜60℃であることを特徴とする紙器用水性被覆剤組成物に関する。
た、本発明は、()上記エマルジョン型の水性樹脂は、高分子乳化剤の存在下、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体A及び単独で重合したときに得られる重合体のガラス転移温度が−50℃以下であるエチレン性不飽和単量体Bを主成分とする不飽和単量体混合物を乳化重合して得られる樹脂である上記()項に記載の紙器用水性被覆剤組成物に関する。
また、本発明は、()更に、体質顔料を含有する上記()項又は()項に記載の紙器用水性被覆剤組成物に関する。
また、本発明は、()紙基材に、上記()項〜()項のいずれか一項に記載の紙器用水性被覆剤組成物をグラビア印刷方式により被覆処理した後、上記(1)項記載の紙器用水性被覆剤組成物を塗工することを特徴とする紙器用印刷物の製造方法に関する。
以下、本発明の紙器用水性被覆剤組成物(水性被覆剤組成物と略記することがある)について具体的に説明する。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物は、水性媒体及びエマルジョン型の水性樹脂を必須成分として含有する。
上記水性媒体は、水及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールからなるか、又は、水、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び炭素数1〜4の低級アルコールからなるものである。
すなわち本発明の紙器用水性被覆剤組成物では、水性媒体は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを含有するものである。これにより、上記水性被覆剤組成物の乾燥性やレベリング性を向上させたり、また、上記水性被覆剤組成物をグラビア印刷方式で塗工するときの印刷適性を向上させることができる。
また、上記2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの含有量は、上記紙器用水性被覆剤組成物中0.1〜2.5質量%である。
上記含有量が0.1質量%未満であると、低級アルコールの含有量を抑えたときに、乾燥性やレベリング性が低下する。一方、2.5質量%を超えると、紙器用水性被覆剤組成物の経時安定性が低下する傾向がある。
上記炭素数1〜4の低級アルコールとしては、従来から紙器用水性被覆剤組成物に使用されているものであれば特に限定されず、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノールのいずれも利用することができる。
上記炭素数1〜4の低級アルコールの含有量は、上記紙器用水性被覆剤組成物中30質量%以下である。
本発明の水性被覆剤組成物は、上述したように、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを含有するため、揮発性有機化合物である上記低級アルコールの含有量をできるだけ少なくすることができ、かつ、印刷適性、乾燥性に優れたものとすることができる。
なお、本発明の水性被覆剤組成物を後述する紙器用グラビア印刷インキ組成物として使用する場合は、上記炭素数1〜4の低級アルコールの含有量は、上記水性被覆剤組成物中15〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。15質量%より少ないと印刷適性が低下するおそれがある。30質量%を超えると、VOC排出濃度が高くなるおそれがある。
上記水と2−エチル−1,3−ヘキサンジオールとからなる水性媒体は、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を紙器用オーバープリントニス組成物に利用する場合、好適に用いられる。なお、この場合、上記水性媒体は、更に炭素数1〜4の低級アルコールを紙器用オーバープリントニス組成物中30質量%以下で含有していてもよいが、該炭素数1〜4の低級アルコールの含有量は、極力少ないことが好ましい。
また、上記水と2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと炭素数1〜4の低級アルコールとからなる水性媒体は、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を紙器用グラビア印刷インキ組成物に利用する場合、好適に用いられる。
なお、通常、印刷インキの水性媒体で利用される、多価アルコールやその誘導体等のその他の有機溶媒については、本発明の効果を低下させない範囲で任意に含んでも良いが、もちろん、有機溶媒の大気中への放出を防止するという目的からは、極力、その他の有機溶媒を含まないことが望ましい。
次に、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を構成する水性樹脂について説明する。
上記水性樹脂は、エマルジョン型の水性樹脂である。
上記エマルジョン型の水性樹脂としては、具体的には、高分子乳化剤を用いて乳化重合して得られるスチレン−アクリル系水性樹脂、スチレン−マレイン酸系水性樹脂、スチレン−アクリル−マレイン酸系水性樹脂等を挙げることができる。
上記高分子乳化剤としては、カルボキシル基含有α,β−モノエチレン性不飽和単量体、疎水性の高い芳香環を有するエチレン性不飽和単量体A、及び、必要に応じて、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合して得られる酸価100〜200mgKOH/gの共重合樹脂を挙げることができる。
上記カルボキシル基含有α,β−モノエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル等を挙げることができる。
上記芳香環を有するエチレン性不飽和単量体Aとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、それらの誘導体等のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル等を挙げることができる。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記高分子乳化剤は、酸価が100〜200mgKOH/gであることが好ましい。100mgKOH/g未満であると、高分子乳化剤の水中での溶解性が低下するおそれがある。200mgKOH/gを超えると、得られる印刷物の耐水性が低下するおそれがある。
上記酸価は、150〜200mgKOH/gであることがより好ましい。
上記高分子乳化剤を水中に溶解又は分散するために使用する塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミン、アルカリ金属水酸化物等を挙げる事ができる。具体的には、上記有機アミンとしては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を挙げることができる。上記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。その中でも乾燥性を向上させるために、常温あるいはわずかの加温で容易に揮発するものが望ましい。
なかでも上記エマルジョン型の水性樹脂は、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を、紙器として印刷が施された後、印刷表面に塗工させる紙器用水性オーバープリントニス組成物として使用する場合、乾燥性付与や強靭な塗膜が得られる点より、上記高分子乳化剤の存在下で、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体Aを主成分とするエチレン性不飽和単量体を乳化重合させてコア部を形成し、次いで、単独で重合したときに得られる重合体のガラス転移温度が−50℃以下であるエチレン性不飽和単量体Bを重合させてシェル部を形成して得られる樹脂であり、酸価が50〜70mgKOH/gであり、ガラス転移温度が40〜70℃であることが好ましい。
上記芳香環を有するエチレン性不飽和単量体Aとしては、上述した高分子乳化剤の構成成分である芳香環を有するエチレン性不飽和単量体Aと同様のものを挙げることができる。
上記単独で重合したときに得られる重合体のガラス転移温度が−50℃以下であるエチレン性不飽和単量体Bとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、ブチルアクリレート等を挙げることができる。
この様なコア−シェル構造を有する水性樹脂は、例えば、下記の重合条件によりパワーフィード重合法を利用して得ることができる。
重合条件
(第一段階)
核(コア部)の形成
例えば、共重合成分として上記単量体A及び上記単量体Bを用いて、上記高分子乳化剤の存在下で、上記単量体Aの方が上記単量体Bの添加時間より長くなる様な添加速度で添加し、乳化重合させることにより上記単量体Aを主成分としたコア部を形成する。
(第二段階)
第一段階の反応終了後、形成させたコア部をシードとし、上記単量体Bを添加して、乳化重合を行うことにより、柔軟な膜を形成するソフトポリマーをコア部の表面に付着させ、上記単量体Bの重合物からなるシェル部を形成し、2層構造のエマルジョンを得る。尚、柔軟な膜を形成するソフトポリマーは、コア部表面に局在化するように重合させることが好ましい。
その他、上記コア−シェル構造を有する水性樹脂を製造する方法としては、シード重合法、コア−シェル重合法等の多段重合法が利用できる。
このような、剛性や皮膜強度に寄与するコア部と、成膜性や耐久性に寄与するシェル部との両方を有するエマルジョン型の水性樹脂を含有することにより、本発明の紙器用水性被覆剤組成物は、水性オーバープリントニス組成物として優れた性能を発揮する。
また、上記エマルジョン型の水性樹脂は、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を紙器用水性グラビア印刷インキ組成物として使用する場合、上記単量体Aと上記単量体Bとを主成分とするエチレン性不飽和単量体混合物を、上記高分子乳化剤の存在下で、乳化重合して得られた樹脂であることが好ましい。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物を紙器用水性グラビア印刷インキ組成物として使用する場合の上記エマルジョン型の水性樹脂は、酸価が25〜40mgKOH/gであることが好ましい。
上記エマルジョン型の水性樹脂の酸価が25mgKOH/gより小さいと、再溶解性が低下する傾向にあり、酸価が40mgKOH/gより大きいと、乾燥性が低下する傾向があり、好ましくない。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物を紙器用水性グラビア印刷インキ組成物として使用する場合の上記エマルジョン型の水性樹脂は、ガラス転移温度が15〜60℃であることが好ましい。
上記エマルジョン型の水性樹脂のガラス転移温度が15℃未満であると、得られる印刷物のブロッキング性が低下するおそれがある、60℃を超えると、得られる印刷物の耐摩性が低下するおそれがある。
なお、本発明において、ガラス転移温度、及び、酸価は、以下の方法により求めることができる。
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度は、下記のwoodの式により求めた理論ガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・・・・・・+Wx/Tgx
(式中、Tg1〜Tgxは共重合体を構成する単量体1、2、3、・・・、xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1〜Wxは単量体1、2、3、・・・、xのそれぞれの質量分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である)
<酸価>
共重合体1gを得るために理論上必要な各エチレン性不飽和単量体の量に対して、KOHの理論上の中和量を求め、その中和量の総和のmg数を共重合体の酸価(理論酸価)とみなす。
そして、上記エマルジョン型の水性樹脂のガラス転移温度とは、乳化重合に利用される全てのエチレン性不飽和単量体を、コア部、シェル部と分けずに1度に共重合した時に得られる共重合体のガラス転移温度を表す。
また、上記酸価は、高分子乳化剤に由来するものであり、例えば、酸価100mgKOH/gの高分子乳化剤が、水性樹脂の固形分比率として10質量%含まれているときの酸価は酸価10mgKOH/gとなる。
上記エマルジョン型の水性樹脂の含有量は、上記紙器用水性被覆剤組成物中固形分で10〜45質量%であることが好ましい。
また、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を紙器用水性オーバープリントニス組成物として使用する場合は、上記エマルジョン型の水性樹脂の含有量は、上記紙器用水性被覆剤組成物中固形分で20〜45質量%であることが好ましく、乾燥性の点から、固形分が高いほうがより好ましい。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物は、使用用途に応じて、任意成分を適宜含有していてもよい。上記任意成分としては、顔料、水溶性樹脂、界面活性剤、顔料分散剤、体質顔料、ワックス、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤、乾燥調整剤、光沢剤、架橋剤等、種々の添加剤を挙げることができる。
さらに、本発明の紙器用水性被覆剤組成物は、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物として使用する場合、着色剤とアルカリ可溶型水溶性樹脂とを含有することが好ましい。
ここで、利用可能な着色剤としては、特に限定されず、通常、水性印刷インキで使用される顔料が挙げられる。具体的に、無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料;炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク等の体質顔料等を挙げることができる。また、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。
また、顔料分散性向上の目的で顔料分散剤を含有しても良く、乾燥性や流動性の改善等の目的で体質顔料を含有していても良い。
上記体質顔料の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、沈降性硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。
上記体質顔料の含有量は、上記紙器用水性被覆剤組成物中15質量%以下であることが好ましい。15質量%を超えると、上記紙器用水性被覆剤組成物を水性グラビア印刷インキ組成物として使用した場合に、該インキ組成物の安定性が低下するおそれがある。
上記アルカリ可溶型水溶性樹脂としては、分子内にカルボキシル基等の酸基とエチレン性不飽和二重結合とを有する単量体を必須成分とするエチレン性不飽和単量体を重合させて得られる、塩基性化合物の存在下で、水中に可溶となるような樹脂であって、水性印刷インキで使用できる公知のものを挙げることができる。
具体的には、アクリル系、スチレン−アクリル系、スチレン−マレイン酸系、および、スチレン−アクリル−マレイン酸系等のアルカリ可溶型水溶性樹脂が例示できる。
これらのアルカリ可溶型水溶性樹脂は通常、塩基性化合物の存在下、水中に溶解させて水溶性樹脂ワニスとして使用する。
上記アルカリ可溶型水溶性樹脂の含有量は、通常、上記紙器用水性被覆剤組成物中に1〜15質量%であることが好ましい。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物は、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物として使用する場合、本発明の効果を低下させない範囲で、更に、他の水性バインダー樹脂ワニス、例えば、水性シェラックワニス、水性カゼインワニス、水性ロジンマレイン酸樹脂ワニス、水性ポリエステル樹脂ワニス、水溶性セルロースワニス等を含有していてもよい。
以上の構成材料を用いて、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を製造する方法を説明する。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物を紙器用水性オーバープリントニス組成物として使用する場合、上記水性被覆剤組成物を製造する方法としては、各構構成材料をディスパー等の攪拌装置で均一に攪拌することにより得る方法が挙げられる。
また、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を紙器用水性グラビア印刷インキ組成物として使用する場合、まず、着色剤、アルカリ可溶型水溶性樹脂、及び、必要に応じて添加する顔料分散剤等を混合し、通常のインキ製造装置(例えば、ボールミル、アトライター、サンドミル等)を用いて攪拌、混練り後、水性樹脂、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、必要に応じて、体質顔料分散物、ワックス、消泡剤等を添加混合して製造する方法が挙げられる。
上記体質顔料を添加する場合は、上記エマルジョン型の水性樹脂又は上記アルカリ可溶性水溶性樹脂等で、上記体質顔料を水性媒体中に分散させたものを使用することが好ましい。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物の塗布、印刷方法及び印刷物の製造方法の好ましい例について説明する。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物を高品位印刷用途として使用する方法として、コート紙等の紙基材に、上述した着色剤等を含有し、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物とした紙器用水性被覆剤組成物をグラビア印刷方式で被覆処理した後、上述した紙器用水性オーバープリントニス組成物とした紙器用水性被覆剤組成物を塗工する方法であることが好ましい。上記塗工は、グラビアやフレキソのロールコーター、バーコーター等の各種塗工手段を用いて行うとよい。
印刷物の製造効率を考慮すると、印刷及び塗工スピードは150m/分以上が好ましい。また、上述の印刷及び塗工スピードとするために、印刷後及び塗工後に、各種加熱乾燥装置を利用した乾燥工程を有していてもよい。
なお、印刷時、上記紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の粘度は、ザーンカップNo.3の流出秒数が15〜18秒程度であることが好ましい。
また、通常、上記紙器用水性グラビア印刷インキ組成物は、濃縮の状態で保存され、印刷時に希釈剤により希釈される。上記希釈は、希釈後の上記紙器用水性グラビア印刷インキ組成物中の炭素数1〜4の低級アルコールが所定の含有量となるように、水と炭素数1〜4の低級アルコールとの混合溶媒で行うことが好ましい。
更に、乾燥性やVOC排出量の観点から、印刷時の上記紙器用水性グラビア印刷インキ組成物中の固形分総量は、15〜25質量%であることが好ましい。
また、同様に、上記水性オーバープリントニス組成物についても、塗工方法に適した粘度と、炭素数1〜4の低級アルコールとが所定の含有量となるように希釈する。
上述の紙器用水性グラビア印刷インキ組成物の印刷と紙器用水性オーバープリントニス組成物の塗工とは、一連の工程で行われても良く、別々の機会に工程を分けて行われても良い。また、例えば、6缶パックのパッケージなどは、印刷物を製造後、打ち抜き加工等の後加工が行われるが、この後加工は、印刷、塗工と一連の工程で行われても良く、別々の機会に工程を分けて行われても良い。
このようなグラビア印刷、塗工、後加工までを一度に行える装置としては、例えば、ボブストチャンプレンレマニックグラビア輪転打抜機が挙げられる。 具体的には、紙基材を給紙部に供給し、給紙部から上記紙器用水性グラビア印刷インキ組成物のグラビア印刷方式による被覆、上記紙器用水性オーバープリントニス組成物の塗工による被覆を、印刷・塗工スピードとして150〜200m/minで印刷及び塗工を行い、その後、打ち抜き工程を経て、目的の印刷物を得ることができる。
さらに、上記紙器用水性グラビア印刷インキ組成物を印刷後、及び、紙器用水性オーバープリントニス組成物を塗工後、乾燥にあたっては熱風乾燥装置を利用することにより、印刷効率、塗工効率、全体の印刷物の製造効率が高くなる。
このように、本発明の紙器用水性被覆剤組成物を、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物及び水性オーバープリントニス組成物として適用し、紙基材に、上記紙器用水性グラビア印刷インキ組成物をグラビア印刷方式により被覆処理した後、上記水性オーバープリントニス組成物を塗工することを特徴とする紙器用印刷物の製造方法もまた本発明の一つである。
上記紙器用印刷物の製造方法により、印刷適性も従来のものに比べて低下させることなく、VOC排出濃度を規定濃度以下に削減することができる。
本発明の紙器用水性被覆剤組成物は、上記構成からなるものであるため、含まれる低級アルコールの量を極力少なくして、印刷適性、乾燥性に優れた紙器用水性グラビア印刷インキ組成物、又は、乾燥性、レベリング性が良好な紙器用水性オーバープリントニス組成物として好適に適用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものである。また、表1〜5中の各材料の分量の数字についても「質量部」である。
<紙器用水性オーバープリントニス用途の紙器用水性被覆剤組成物(以下、水性オーバープリントニス又はOPニスと略記)>
構成材料
水性媒体:水、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
消泡剤:BYK−028#C(商品名、ビックケミー社製)
ワックス:ケミパール−400W(商品名、三井化学社製)
水性樹脂:下記の水性樹脂製造例により得られた水性樹脂1、2及び市販の水性樹脂3
(水性樹脂製造例)
水性樹脂1の製造
アクリル酸28質量%、スチレン50質量%、α−メチルスチレン22質量%からなるエチレン性不飽和単量体混合物を共重合して得たアルカリ可溶性樹脂のアンモニア水溶液を高分子乳化剤として調製した。この高分子乳化剤30質量部に対し、スチレン56.5質量部を添加しながら、常法により乳化重合し、エマルジョンを得た。その後、このエマルジョンをシードとして、2−エチルヘキシルアクリレート13.5質量部を加えて、常法により重合し、酸価65mgKOH/g、ガラス転移温度60℃、固形分46%のエマルジョン型水性樹脂1を得た。
水性樹脂2の製造
アクリル酸25質量%、スチレン50質量%、α−メチルスチレン25質量%からなるからなるエチレン性不飽和単量体混合物を共重合して得たアルカリ可溶性樹脂のアンモニア水溶液を高分子乳化剤として調製した。この高分子乳化剤に、該高分子乳化剤の樹脂固形分30質量部に対し、2−エチルヘキシルアクリレートの12質量部を30分間、スチレンの52.7質量部を1時間、同時に滴下開始し、所定の時間をかけて滴下し、常法のパワーフィード乳化重合法でエマルジョンを得た。その後、このエマルジョンをコア部として、2−エチルヘキシルアクリレートの5.3質量部を加え重合し、酸価58mgKOH/g、ガラス転移温度49℃、固形分46%のエマルジョン型水性樹脂2を得た。
市販エマルジョン型水性樹脂
水性樹脂3
ジョンクリル352(商品名、ジョンソンポリマー社製、酸価53mgKOH/g、ガラス転移温度60℃、固形分45%)
実施例OPニス1〜5、比較例OPニス1〜3の調製
表1の配合組成となるように上記構成材料をディスパーで均一に攪拌して、実施例OPニス1〜5、比較例OPニス1〜3を得た。
<紙器用水性グラビア印刷インキ組成物用途の紙器用水性被覆剤組成物(以下、水性グラビア印刷インキと略記)>
構成材料
有色顔料:赤色顔料(PR48:3)、黄色顔料(PY14)、青色顔料(PB15:3)、黒色顔料(PB7)
体質顔料:白艶華T−DD(商品名、白石工業社製、炭酸カルシウム)
水性媒体:水、イソプロパノール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
消泡剤:BYK−028#C(商品名、ビックケミー社製)
ワックス:ケミパール−400W(商品名、三井化学社製、ポリエチレンワックス)
水性樹脂:下記の水性樹脂製造例により得られた水性樹脂4及び市販のアルカリ可溶型水溶性樹脂
(水性樹脂製造例)
水性樹脂4の製造
アクリル酸8質量%、メタクリル酸メチル70質量%、アクリル酸ブチル22質量部からなるアルカリ可溶性樹脂のジメチルエタノールアミン水溶液を高分子乳化剤として調製した。この高分子乳化剤の樹脂固形分53質量部に対し、2−エチルヘキシルアクリレートの19質量部、スチレンの28質量部を添加し、常法により乳化重合し、酸価33、ガラス転移温度22℃、固形分40%のエマルジョンである水性樹脂4を得た。
市販アルカリ可溶型水溶性樹脂
ジョンクリルHPD−671(商品名、ジョンソンポリマー社製、スチレン−アクリル系水溶性樹脂、固形分25%)
水性グラビア印刷インキベースの調製
表2の配合に従って、顔料(赤色:PR48:3、黄色:PY14、青色:PB15:3、黒色:カーボンブラック)、アルカリ可溶型水溶性樹脂、水の混合物をビーズミルで混合した後、残りの材料を添加混合して、各色の水性グラビア印刷インキベースを得た。
水性グラビア印刷用体質顔料ベースの調製
表3の配合に従って、体質顔料(商品名:白艶華T−DD、白石工業社製、炭酸カルシウム)、水性樹脂4、イソプロパノール、ジエチレングリコール、水の混合物をビーズミルで混合して水性グラビア印刷用体質顔料ベースを得た。
実施例各色インキ1〜5、比較例各色インキ2、3の調製
表4の配合組成となるように、上述の赤色、黄色、青色の水性グラビア印刷インキベース、表3の水性グラビア印刷用体質顔料ベース、水性樹脂4、市販のアルカリ可溶型水溶性樹脂、イソプロパノール、消泡剤、ワックス、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水を攪拌混合した。その後、イソプロパノール/水が70/30の希釈剤Aを用いて、ザーンカップNo.3で15〜18秒となる範囲で、インキ組成物中のイソプロパノールの含有量が22質量%又は26質量%となるように希釈し、赤色、黄色、青色の実施例各色インキ1〜5、比較例各色インキ2、3を得た。
実施例黒色インキ1〜5、比較例黒色インキ2、3の調製
表4の配合組成となるように、黒色の水性グラビア印刷インキベース、水性樹脂4、市販のアルカリ可溶型水溶性樹脂、イソプロパノール、消泡剤、ワックス、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを攪拌混合し、その後、希釈剤Aを用いて、ザーンカップNo.3で15〜18秒となる範囲で、インキ組成物中のイソプロパノールの含有量が22質量%又は26質量%となるように希釈し、実施例黒色インキ1〜5、比較例黒色インキ2、3を得た。
比較例各色インキ1
各色の水性グラビア印刷インキとして、市販品を用いた。
表5に、用いた市販品の黄色、赤色、青色、黒色のそれぞれの水性グラビア印刷インキの配合組成を示す。
<印刷物の製造>
実施例(赤色、黄色、青色、黒色)インキ1〜5、比較例(赤色、黄色、青色、黒色)インキ1〜3、実施例OPニス1〜5、比較例OPニス1〜3を表6の組合せとなるように下記の方法によりインライン方式で印刷及び塗工して、実施例1〜6、比較例1〜3の印刷物を得た。
(印刷条件)
用紙:コート紙(商品名:CRC230、レンゴー(株)社製)
印刷機械:東芝グラビア印刷機
インキを印刷する刷版:ヘリオ175line/inch
(図柄:網点濃度5〜100%の諧調を有する諧調版)
ニスを塗布する刷版:ヘリオ175line/inch
印刷速度:150〜200m/min
乾燥条件:80℃・80cm/min
印圧:2.2t
<印刷評価>
(乾燥性)
水性グラビア印刷(黄色、赤色、青色、黒色)インキ及び水性オーバープリントニスの乾燥性は、東芝グラビア印刷機にて印刷速度をかえて印刷・塗工を行い、ガイドロールに(印刷面、塗工面)が触れた時に、ガイドロールに(インキ、ニス)が付着して汚れる度合いを目視にて評価した。その結果を表6に示した。
評価
○:ガイドロールに付着しない。
△:ガイドロールへの付着量が少ない。
×:ガイドロールへの付着量が多い。
(レベリング性)
実施例1〜6、比較例1〜3の印刷物のレベリング性を目視にて評価した。その結果を表6に示した。
○:なみうちがないもの
△:少しなみうちがあるもの
×:なみうちが多いもの
(耐摩擦性)
実施例1〜6、比較例1〜3の印刷物を2.5cm×25cmに切断してテストピースとし、学振型耐摩擦試験機((株)大宋科学精器製作所製)を使用して、当て紙(非印刷状態のコート紙)を印刷物の印刷面に当てて、500gの荷重で500回ずつ摩擦して耐摩擦性を評価した。その結果を表6に示した。
評価
○:当て紙が全く損傷しないもの
△:当て紙に少し損傷が認められないもの
×:当て紙に損傷が認められるもの。
(耐水耐摩擦性)
実施例1〜6、比較例1〜3の印刷物を2.5cm×25cmに切断してテストピースとし、学振型耐摩擦試験機を使用して((株)大宋科学精器製作所製)、当て紙として非印刷状態のコート紙にガーゼを被せ、さらに注射針で水を5滴浸透させたものを用い、200gの荷重で50回ずつ摩擦して耐水耐摩擦性を評価した。その結果を表6に示した。
評価基準
○:ガーゼが全く汚れないもの
△:ガーゼがうっすらと汚れるもの
×:ガーゼが汚れるもの
(耐ブロッキング性)
実施例1〜6、比較例1〜3の印刷物を5cm×5cmに切断した各サンプルピースの印刷面同士を合わせ、1000g/cmの荷重をかけて、35℃/90%RHの環境条件下で24時間放置した後、サンプルピース同士の接触面を剥離したときのブロッキングの程度からブロッキング性を評価した。その結果を表6に示した。
評価基準
○:接触面が抵抗なく剥離するもの
△:少し取られるもの
×:多く取られるもの
(溶剤排出量(炭化水素濃度ppmC))
上記印刷方法の際に排出される溶剤排出量(VOC排出濃度)を簡易型炭化水素濃度測定装置により測定した。その結果を表6に示した。
紙器用水性グラビア印刷(黄色、赤色、青色、黒色)インキ組成物のレベリング性、網点再現性については、下記の条件で各紙器用水性グラビア印刷インキ組成物をコート紙に印刷し、その印刷物について評価した。
<印刷条件>
用紙:コート紙(商品名:CRC230、レンゴー(株)社製)
印刷機械:グラビア校正機
インキを印刷する刷版:ヘリオ175ine/inch
(図柄:網点濃度5〜100%の諧調を有する諧調版)
印刷速度:80m/min
乾燥条件:80℃
<印刷物評価>
(レベリング性)
得られた各印刷物の網点濃度100%であるベタ部の濃淡ムラ、抜けを目視にて評価した。その結果を表6に示した。
評価基準
○:濃淡むら、抜けがないもの
△:濃淡むら又は抜けが少しあるもの
×:濃淡むら又は抜けが多いもの
(網点再現性)
得られた各印刷物の網点の状態を目視にて評価した。その結果を表6に示した。
評価基準
○:比較インキ1(市販インキ)より優れるもの
△:比較インキ1(市販インキ)と同等なもの
×:比較インキ1(市販インキ)より劣るもの
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本発明の紙器用水性被覆剤組成物は、紙器用水性グラビア印刷インキ組成物、又は、紙器用水性オーバープリントニス組成物として適用することができる。

Claims (5)

  1. 水性媒体及びエマルジョン型の水性樹脂を含有する紙器用水性被覆剤組成物であって、
    前記水性媒体は、水及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールからなり、
    前記2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの含有量が0.1〜2.5質量%であり、
    前記エマルジョン型の水性樹脂は、高分子乳化剤の存在下で、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体Aを主成分とするエチレン性不飽和単量体を乳化重合させてコア部を形成し、次いで、単独で重合したときに得られる重合体のガラス転移温度が−50℃以下であるエチレン性不飽和単量体Bを乳化重合させてシェル部を形成して得られる樹脂であり、
    更に、前記エマルジョン型の水性樹脂は、酸価が50〜70mgKOH/gであり、ガラス転移温度が40〜70℃である
    ことを特徴とする紙器用水性被覆剤組成物。
  2. 水性媒体及びエマルジョン型の水性樹脂を含有する紙器用水性被覆剤組成物であって、
    更に、着色剤、及び、アルカリ可溶型水溶性樹脂を含有し、
    前記水性媒体は、水、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び炭素数1〜4の低級アルコールからなるものであり、
    前記炭素数1〜4の低級アルコールの含有量が15〜30質量%であり、前記2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの含有量が0.1〜2.5質量%であり、
    前記エマルジョン型の水性樹脂は、酸価が25〜40mgKOH/gであり、ガラス転移温度が15〜60℃である
    ことを特徴とする紙器用水性被覆剤組成物。
  3. 前記エマルジョン型の水性樹脂は、高分子乳化剤の存在下で、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体A及び単独で重合したときに得られる重合体のガラス転移温度が−50℃以下であるエチレン性不飽和単量体Bを主成分とする不飽和単量体混合物を乳化重合して得られる樹脂である請求項記載の紙器用水性被覆剤組成物。
  4. 更に、体質顔料を含有する請求項又は記載の紙器用水性被覆剤組成物。
  5. 紙基材に、請求項2〜4のいずれか一項に記載の紙器用水性被覆剤組成物をグラビア印刷方式により被覆処理した後、請求項1載の紙器用水性被覆剤組成物を塗工することを特徴とする紙器用印刷物の製造方法。
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