JP5731034B1 - 塗布膜形成乾燥方法および塗布膜形成乾燥装置 - Google Patents

塗布膜形成乾燥方法および塗布膜形成乾燥装置 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット塗布装置を用いて基板上に塗布膜を形成して乾燥する過程において、基板上で塗布膜が外周側に広がろうとする現象、並びにコーヒーリング現象が生じる事態を有効に回避する。【解決手段】塗布装置を用いて基板2上に膜液6を吐出する膜液吐出工程と、膜液吐出工程を終えて基板2上に形成された流動性を有する塗布膜7を乾燥する塗布膜乾燥工程とを備え、前記膜液吐出工程で、塗布装置としてインクジェット塗布装置1を用いると共に、前記塗布膜乾燥工程で、インクジェット塗布装置1による膜液6の吐出を終えて基板2上に形成された流動性を有する塗布膜7を10℃〜40℃の温度雰囲気中で減圧乾燥する。【選択図】図9

Description

本発明は、シリコンウエハ、炭化ケイ素ウエハ、ガラス基板、樹脂基板または金属基板等に塗布膜を形成して乾燥させるための技術に関する。
周知のように、スピンコーティング法は、シリコンウエハ等の円板状の基板上に膜を形成するための代表的な手法として広く採用されている。このスピンコーティング法では、ウエハを回転させることで膜液が遠心力でウエハから外方周辺に飛散するため、ウエハ上の膜形成に使用される膜液の使用効率(残留膜液)は、10〜30%となり、大きな無駄が生じているのが実情である。
このような問題に対処するために、特許文献1の段落[0007]には、スピンコーティング法によらない手法として、ウエハの上方に設けたノズルの吐出孔からレジスト液を供給しながら該ノズルをX方向に往復させ、且つウエハをY方向に間欠送りすることが記載されている。さらに、ウエハの外周端部(周縁)や裏面にレジスト液が付着することを防止するために、ウエハの回路形成領域以外の部分をマスクで覆うことも記載されている。
さらに、特許文献2の段落[0027]には、ノズルから落下してくる塗布液を受け止めてウエハの外縁領域への塗布液の供給を防ぐ一対の液受け部材が設けられており、この一対の液受け部材はX方向間隔が可変であり、且つ、この一対の液受け部材の先端部は、ウエハのY方向位置に関わらず、ウエハの外縁より僅かに内側に位置するように調整することが記載されている。
また、特許文献2の段落[0050]および図12には、塗布液ノズルには多数の吐出口がウエハの直径に相当する長さに亘って一列に並んでおり、塗布液を吐出口から吐出させながらウエハの一端側から他端側に並進運動して、塗布液のスキャン塗布を行うことが記載されている。この場合も、上記と同様に、多数の吐出口から落下してくる塗布液を受け止めてウエハの外縁領域への塗布液の供給を防ぐ一対の液受け部材が設けられている筈である。
特開2001−237179号公報 国際公開WO2005/034228A1 特開2009−10085号公報
ところで、上述の特許文献1、2に開示された構成は何れも、ノズル(吐出口)から落下した膜液がウエハの外周端部から裏面に達することを防止するために、マスクや液受け部材が必要になり、ウエハ周辺の装置構造が複雑になるという問題を有する。しかも、これらの特許文献1、2に開示された構成によるにしても、膜液の使用効率を略100%にすることができないという問題をも有している。
そこで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、ピエゾ式のインクジェット塗布装置を用いてウエハ上に塗布膜を形成することを見出した。このインクジェット塗布装置を用いる手法によれば、上述のウエハ周辺の装置構造の複雑化を有効に回避できると共に、膜液の使用効率を略100%にできるという利点を有する。しかしながら、この手法によるにしても、未だ解決すべき問題が残存している。
すなわち、上記の特許文献1、2に開示されたノズルの膜液の吐出通路は、インクジェット塗布装置の場合のようにピエゾ素子を通過して膜液を吐出させるというような制約を受けることはなく、また上記のスピンコーティング法で使用されるノズルも同様にしてピエゾ素子による制約を受けることがない。そのため、これら従来の手法では、ノズルから高粘度の膜液を吐出して、ウエハ上に吐出直後に比較的高粘度の塗布膜を形成することができる。例えば、上記のスピンコーティング法では、比較的高粘度の膜液を吐出できることに加えて、ウエハを回転させながら膜液を吐出して塗布膜を形成するものであるため、ウエハの回転に伴って吐出直後に塗布膜の乾燥が既に始まっている。そのため、塗布膜の粘度が、数千mPa・sの高粘度の状態で、バックリンスやエッジリンスを行って、ウエハの外周端部及びその裏面側に回り込んだ不要な塗布膜を除去することで、塗布膜の外周端部をシャープに仕上げることができる。
これに対して、インクジェット塗布装置を用いてウエハ上に塗布膜を形成する手法では、既述のようにピエゾ素子による制約を受けるため、膜液の吐出通路を細くする必要がある。そして、そのような状態の下で、膜液の詰まりなどを防止して適正に膜液を吐出するためには、膜液の粘度を例えば、6〜20mPa・s程度まで低くしなければならない。
一方、従来においては、ウエハ上への成膜の手法に関係なく、塗布膜の乾燥は、例えば特許文献3に開示されているように、ヒータにより加熱された処理室(チャンバー)内にウエハを投入して塗布膜を熱乾燥させたり、ホットプレートを用いてウエハ上の塗布膜を熱乾燥させることが行われていた。それにも関わらず、インクジェット塗布装置によって塗布されて乾燥工程が行われる前の塗布膜(膜液)は、上述のように粘度が6〜20mPa・s程度の低い値を示している。
そのため、図14に示すように基板2w上の内周側から外周側にかけて厚みが均一に塗布された塗布膜7wであっても、このように粘度が低い場合には、上記従来の熱乾燥工程における熱に起因して、粘度がさらに低くなり塗布膜が外周側に広がろうとすると同時に、図15に示すように基板2wの外周側端部で符号7zで示すように塗布膜の厚みが極端に厚くなり、局部的に大きく***した状態となる。このような現象は、一般に、コーヒーリング現象と呼ばれている。
従って、インクジェット塗布装置を用いる手法では、従来のあらゆる手法と比較して、ウエハ周辺の装置構成の簡素化が図られ、且つ、膜液の使用効率を略100%にできるという極めて重要な利点を有するにも関わらず、上述のように、熱乾燥に起因して塗布膜が外周側に広がろうとすると同時に、コーヒーリング現象が生じるという致命的な欠点が存在する。そして、これらの欠点に起因して、ウエハ上で最終的に得られる塗布膜の品質が低下するという問題を招く。
なお、上述のシリコンウエハに限らず、炭化ケイ素(SiC)からなるウエハや、樹脂、ガラスまたは金属からなる基板、さらには、矩形や多角形などの角板状をなす基板についても、上記と同様の問題が起こり得るが、このような基板においても、既述の問題を回避するための手法は、何ら見出されていないのが実情である。
本発明は、上記事情に鑑み、インクジェット塗布装置を用いて基板上に塗布膜を形成して乾燥する過程において、基板上で塗布膜が外周側に広がろうとする現象、並びにコーヒーリング現象が生じる事態を、有効に回避することを課題とする。さらに、本発明は、既述の問題を回避するために減圧乾燥を採用した場合における減圧乾燥用装置のコストの削減、真空源の有効活用、並びに真空源の小型化或いは省能力化を図ることをも課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、塗布装置を用いて基板上に膜液を吐出する膜液吐出工程と、前記膜液吐出工程を終えて前記基板上に形成された流動性を有する塗布膜を乾燥する塗布膜乾燥工程とを備えた塗布膜形成乾燥方法であって、前記膜液吐出工程で、前記塗布装置としてインクジェット塗布装置を用いると共に、前記塗布膜乾燥工程で、前記インクジェット塗布装置による膜液の吐出を終えて基板上に形成された流動性を有する塗布膜を10℃〜40℃の温度雰囲気中で減圧乾燥するに際して、一台の真空源につき前記減圧乾燥を実行するためのチャンバーを複数備え、先行するチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止した時点で、後続のチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止することに特徴づけられる。
このような構成によれば、膜液吐出工程で、インクジェット塗布装置を用いて膜液を基板上に吐出した場合には、流動性を有し且つ粘性の低い塗布膜が基板上に形成される。しかし、その後の塗布膜乾燥工程では、熱乾燥ではなく、10℃〜40℃の温度雰囲気中で、減圧して乾燥が行われる。そして、この温度雰囲気は、常温もしくは常温に近い温度雰囲気であることから、塗布膜の粘性がさらに低くなることが抑止されると共に、減圧に起因して、温度が低い塗布膜であってもその溶剤分を蒸発させることができ、これらの相乗効果によって、適正な乾燥が行われる。すなわち、膜液吐出工程で、基板上に形成された流動性を有する塗布膜は、粘度が低くならず、且つ、減圧によって塗布膜の溶剤分の蒸発温度が低くなるため、塗布膜の粘度が変わることなく溶剤分が蒸発して乾燥が進行していくことになる。その結果、基板上における塗布膜の外周部の広がりが抑制されると共に、コーヒーリング現象を招くおそれもなくなる。しかも、塗布膜の粘度が変わらずに溶剤分が蒸発するため、塗布膜の移動が生じなくなり、これに伴って、基板の内周側から外周側に亘って均一な厚みの塗布膜が形成される。この場合、減圧乾燥を行う場合の温度雰囲気が40℃を超えると、基板上の流動性を有する塗布膜の粘性が低くなり、塗布膜の外周部の広がりやコーヒーリング現象の確実な阻止が困難になる一方、10℃未満にしようとすると、大型の冷却装置が別途必要になるなどして、装置の大幅な複雑化や、塗布膜の乾燥に要するコストが高く付く。しかしながら、10℃〜40℃の温度範囲であれば、このような不具合を回避する上で有利となる。以上のような観点から、減圧乾燥を行う場合の温度範囲は、23℃±10℃であることがより好ましく、23℃±5℃であることがさらに好ましい。
上記の構成において、前記塗布膜乾燥工程で、前記流動性を有する塗布膜を前記減圧乾燥することによって前記塗布膜が流動性を有しなくなった時点で、その塗布膜を120℃〜280℃の温度雰囲気中で熱乾燥することが好ましい。ここで、「塗布膜が流動性を有しなくなった時点」とは、塗布膜には未だ溶剤分が含まれているため押圧すれば容易に変形する状態で、流動しなくなった時点を意味する。
このようにすれば、上述の減圧乾燥は、塗布膜が流動性を有しなくなる時点まで行われて、その後は、熱乾燥が行われることになるので、その後に自然乾燥を行う場合と比較して時間が大幅に短縮され、効率良く乾燥が終了する。そして、塗布膜が流動しない状態となった後に、熱乾燥が行われるため、塗布膜が外周側に広がったり、コーヒーリング現象を起こしたりせずに、塗布膜の溶剤分がさらに蒸発して、完全に乾燥された良質の塗布膜を得ることが可能となる。従って、熱乾燥を行っている際には、既述の減圧乾燥によって基板上で流動性を有しなくなった塗布膜が再び流動性を有する状態にならないように熱管理を行うことが好ましい。また、熱乾燥を行っている際には、塗布膜が本来所有すべき特性が損なわれないように熱管理を行うことが好ましい。この場合、熱乾燥を行う場合の温度が120℃未満であると、塗布膜の溶剤分を蒸発させるための熱量が不足して、基板の内周側から外周側に亘って均一な厚みの塗布膜を得ることが困難になる一方、280℃を超えると、塗布膜が再び流動性を有する状態になるおそれがあると共に急激に塗布膜の溶剤分が蒸発して高品質の塗布膜を得ることが困難になる。しかしながら、本発明の場合のように120℃〜280℃の温度範囲内にあれば、このような不具合を回避する上で有利となる。以上のような観点から、熱乾燥を行う場合の温度範囲は、150℃〜250℃であることがより好ましい。
以上の構成において、前記膜液吐出工程を実行する際と、前記塗布膜乾燥工程で前記減圧乾燥を実行する際との少なくとも一方で、前記基板上に形成された塗布膜の少なくとも外周端部を冷却するようにしてもよい。ここで、「冷却する」とは、膜液吐出工程を実行する場合の実際の温度、または減圧乾燥を実行する場合の実際の温度、もしくはその両者の温度のうちの低い方の実際の温度よりも、相対的に低い温度を意味する。従って、上記の実際の温度(冷却前の温度)と、冷却後の温度との双方が、上記の10℃〜40℃の範囲内にあっても、冷却後の温度が冷却前の温度よりも相対的に低くなっていればよく、例えば23℃±5℃を23℃−5℃未満に冷却、または23℃±10℃を23℃−10℃未満に冷却するというような場合をも含む。但し、10℃未満に冷却される場合をも当然に含む。この場合、塗布膜の冷却に使用する冷却装置は、小型で簡易な構造であることが好ましい。
このようにすれば、膜液吐出工程を実行する際の温度や減圧乾燥を実行する際の温度などをそのまま維持しておく場合と比較して、基板上に形成される流動性を有する塗布膜の少なくとも外周端部の粘度を相対的に高くすることができるため、減圧乾燥に要する時間を短縮できる共に、塗布膜の外周側への広がりやコーヒーリング現象を効率良く回避することができる。
以上の構成において、前記塗布膜乾燥工程で、前記チャンバー内における前記減圧動作の停止時からの時間経過に伴って、前記流動性を有する塗布膜の溶剤分が蒸発することで、前記チャンバー内の圧力値が前記設定圧よりも所定圧だけ上昇した場合に、再度、前記チャンバー内を減圧するようにしてもよい。
このようにすれば、真空源によるチャンバー内の減圧乾燥が中途半端な状態で終了することがなくなり、基板上の塗布膜が流動性を有しなくなるまで、つまり流動性に問題が生じなくなるまで、確実に真空源による減圧乾燥を行うことが可能となる。
そして、本発明は、前記塗布膜乾燥工程で前記減圧乾燥を実行するためのチャンバーを複数備え、これら複数のチャンバー内を減圧するための真空源を一台備えると共に、これら複数のチャンバー内を前記真空源によって減圧する時期を、チャンバーの相互間で異ならせることを特徴としている。詳しくは、既述のように、減圧乾燥するに際して、一台の真空源につき前記減圧乾燥を実行するためのチャンバーを複数備え、先行するチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止した時点で、後続のチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止することを特徴としている。
このようにすれば、減圧乾燥用の複数のチャンバーに対して、真空源(例えば真空ポンプ)を一台備えるだけで済むため、減圧乾燥用装置のコスト削減が図られる。しかも、複数のチャンバー内を一台の真空源によって減圧する時期が、チャンバーの相互間で異なるため、真空源に大きな負担が一挙に集中して掛からなくなり、真空源が有効に活用され、その小型化或いは省能力化が図られる。
以上の構成において、前記基板は、シリコンウエハまたは炭化ケイ素ウエハであってもよく、或いは、ガラス基板、樹脂基板または金属基板であってもよい。
上記課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、塗布装置を用いて基板上に膜液を吐出すると共に、この膜液の吐出を終えて前記基板上に形成された流動性を有する塗布膜を乾燥するように構成した塗布膜形成乾燥装置であって、前記塗布装置としてインクジェット塗布装置を用いると共に、前記インクジェット塗布装置による膜液の吐出を終えて基板上に形成された流動性を有する塗布膜を10℃〜40℃の温度雰囲気中で減圧乾燥するに際して、一台の真空源につき前記減圧乾燥を実行するためのチャンバーを複数備え、先行するチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止した時点で、後続のチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止するように構成したことに特徴づけられる。
この装置の構成及び作用効果等は、既述の対応する方法の構成及び作用効果等と実質的に同一であるので、ここではその作用効果等についての説明を省略する。
上記の装置の構成において、前記流動性を有する塗布膜を前記減圧乾燥することによって前記塗布膜が流動性を有しなくなった時点で、その塗布膜を120℃〜20℃の温度雰囲気中で熱乾燥するように構成してもよい。
この装置の構成及び作用効果等も、既述の対応する方法の構成及び作用効果等と実質的に同一であるので、ここではその作用効果等についての説明を省略する。
以上のように本発明によれば、インクジェット塗布装置を用いて基板上に塗布膜を形成して乾燥する過程において、常温または常温に近い温度で減圧乾燥するようにしたから、基板上で塗布膜が外周側に広がろうとする現象、並びにコーヒーリング現象が生じる事態を、有効に回避することが可能となる。さらに、本発明によれば、減圧乾燥を採用した場合における減圧乾燥用装置のコストの削減、真空源の有効活用、並びに真空源の小型化或いは省能力化が図られる。
本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちのインクジェット塗布装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちのインクジェット塗布装置のインクジェットヘッドの下面におけるノズルの配列状態の一例を示す概略図である。 図3(a)は、本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちのインクジェット塗布装置の構成要素であるノズルの膜液吐出方式の第1例を示す概略正面図であり、図3(b)は、本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちのインクジェット塗布装置の構成要素であるノズルの膜液吐出方式の第2例を示す概略正面図であり、図3(c)は、本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちのインクジェット塗布装置の構成要素であるノズルの膜液吐出方式の第3例を示す概略正面図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちのインクジェット塗布装置によって基板上に流動性を有する塗布膜が形成された状態を示す概略平面図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちのインクジェット塗布装置によって基板上に流動性を有する塗布膜が形成された状態を示す部分拡大縦断側面図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちの乾燥装置の基本構成を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちの乾燥装置の基本的な圧力特性を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちの乾燥装置の具体的な構成を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうちの乾燥装置の具体的な圧力特性を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる基板の支持状態の一例を示す概略正面図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる基板の支持状態の一例を示す概略正面図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法によって最終的に基板上に形成された塗布膜を示す要部拡大縦断正面図である。 本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法を説明するための概略正面図である。 従来例に係る基板上に流動性を有する塗布膜が形成された状態を示す部分拡大縦断正面図である。 従来例に係る基板上に乾燥後の塗布膜が形成された状態を示す部分拡大縦断正面図である。
以下、本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法および塗布膜形成乾燥装置について図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の実施形態に係る塗布膜形成乾燥方法に用いる装置のうち、膜液を吐出して流動性を有する塗布膜を基板上に形成するためのインクジェット塗布装置の概略構成について説明する。図1に示すように、インクジェット塗布装置1は、半導体ウエハからなる円板状の基板2が、矢印A方向に搬送される共に、その搬送経路の上方には、ピエゾ式のインクジェットヘッド3が固定設置されている。このインクジェットヘッド3は、複数(図例では5個)の個別インクジェットヘッド3aが搬送方向Aと直交する幅方向Bに対して千鳥状に配列された併設インクジェットヘッドである。このインクジェットヘッド3における各個別インクジェットヘッド3aの下面(吐出面)には、幅方向Bに複数のノズル4が、同一のノズルピッチ4Pで配列されている。したがって、インクジェットヘッド3には、全体的に視れば、幅方向Bに一定のノズルピッチ4Pで多数のノズル4が配列されていることになる。そして、全てのノズル4の位置を示すデータは、インクジェットヘッド3の記憶手段5に記憶されている。
基板2の表面への膜液の吐出に関しては、基板2の搬送方向Aの位置と、基板2の表面における膜形成面2Aの位置とに応じて決まるBMPデータ(ビットマップデータ)が、記憶手段5に記憶されている。このBMPデータにおいては、インクジェットヘッド3の各ノズル4に対して、膜液を吐出させるノズル4の個数、各ノズル4からの膜液の吐出量、および各ノズル4からの膜液の吐出の有無を、指定することができる。したがって、各ノズル4の膜液の吐出ピッチは任意に指定することができる。また、基板2の搬送速度は、2mm/sec〜100mm/sec、好ましくは10mm/sec〜50mm/secとされるが、この基板2の搬送速度は、ノズル4からの膜液の吐出量や吐出周波数、さらにはノズル4の配列状態などを考慮して適宜設定される。
図1に符合Cで拡大して示すように、単位面積当たりにおける基板2の膜形成面2Aにおける膜液の塗布状態は、インクジェットヘッド3の全てのノズル4から膜液6を吐出した場合(100%の吐出状態の場合)に、ノズルピッチ4Pと、搬送方向の吐出ピッチApとの関係において、全ての膜液6(同図に示す円の形状をなす線)が隙間なく重なることになる。
図2は、インクジェットヘッド3の下面におけるノズル4の配列状態の一例を示している。インクジェットヘッド3における各個別インクジェットヘッド3aの下面には、2つのライン型インクジェットノズル3bが並列に取り付けられている。そして、一方のライン型インクジェットノズル3bの各ノズル4の位置と、他方のライン型インクジェットノズル3bの各ノズル4の位置とは、幅方向Bにノズルピッチ4Pの半ピッチ分だけずれている。したがって、このインクジェットヘッド3の全体としての実質的なノズルの配列ピッチは、個々のライン型インクジェットノズル3bのノズルピッチ4Pの1/2とされている。なお、ライン型インクジェットノズル3bの配列個数やノズル4の配列状態などは、これに限定されるわけではない。
ここで、インクジェットヘッド3から吐出される膜液の吐出方式を説明する。図3(a)は、バイナリーモードと称される方式で、画像データのBMPデータ上で、一つのノズル4に相当する吐出データを1回ONさせた場合に、予め決められた吐出量の膜液6が1滴のみ吐出するモードである。図3(b)は、マルチドロップモードと称される方式で、画像データのBMPデータ上で、一つのノズル4に相当する吐出データに、1〜7までの数字(この例では3)を付加させた場合に、1回ONさせるだけで、予め決められた吐出量の膜液6が3滴連続して吐出するモードである。図3(c)は、DPNモードと称される方式で、画像データのBMPデータ上で、一つのノズル4に相当する吐出データに、吐出量のデータを入力することで、1回ONさせるだけで、入力された吐出量の膜液6を吐出するモードである。本発明は、この何れの方式も採用することができるが、この実施形態では、図3(a)のバイナリーモード方式が採用される。その理由は、バイナリーモード方式は、他の二つの方式に比べて、複雑な電気制御が不要だからである。
このインクジェット塗布装置1の各ノズル4から吐出される膜液6の粘度は、6〜20mPa・s程度であるが、基板2上(膜形成面2A)に形成される塗布膜の種類に応じて、膜液6の粘度は若干相違する。しかし、この膜液6の粘度は、従来のスピンコーティング法やノズル吐出法に用いられていた装置から吐出される膜液の粘度よりも遥かに小さい。そして、このインクジェット塗布装置1を用いて、基板2上に膜液6が吐出された場合には、図4に示すように、流動性を有する平面視で円形の塗布膜7が、基板2の外周端縁を除外した部位全域に形成される。詳述すると、図5に示すように、厚みが全域に亘って均一化され且つ流動性を有する塗布膜7が、基板2の湾曲した外周端部2bから裏面2cに向かって付着することを防止されている。すなわち、基板2の湾曲した外周端部2bと平面状の膜形成面2Aとの境界2dで、塗布膜7の付着が止められている。したがって、塗布膜7の外周端部7bは、基板2の湾曲した外周端部2bと平面状の膜形成面2Aとの境界2dまたはその近傍に位置している。なお、基板2の外周端部が図示のように湾曲して大きく外周側に突出していない場合には、基板2の外周端部と見なすことができる部位と、平面状の膜形成面2Aとの境界が、塗布膜7の外周端部7bの位置となる。見方を変えれば、塗布膜7の外周端部7bは、基板2の外周端部2bにおける裏面側部分2eに至っていなければよい。そして、この塗布膜7の厚みは、既述のように膜液6の粘度が低く且つ固形分濃度も低くなるため、従来の上記手法による場合と比較して、数倍或いは数十倍程度に厚くなる。
このように、流動性を有する塗布膜7が基板2上に形成された後は、塗布膜7に対して乾燥工程が行われる。図6は、その乾燥工程を実行するための乾燥装置8の基本的構成を示す概略図である。この乾燥装置8は、常温または常温に近い温度(例えば10℃〜40℃の温度範囲内、または23℃±10℃もしくは23℃±5℃の温度範囲内)を維持した状態で基板2を収納するチャンバー(処理室)9と、このチャンバー9の内部空間を減圧する真空源としての真空ポンプPとを備える。そして、真空ポンプPからチャンバー9の内部空間に通じるメイン通路11には、真空ポンプP側から順に、第1自動弁A1と、第2自動弁A2と、第3自動弁A3とが設けられている。さらに、メイン通路11には、第2自動弁A2を迂回するバイパス通路12が連通され、このバイパス通路12に手動弁Mが設けられると共に、第3自動弁A3は、メイン通路11を常時開いており且つ分岐通路13の先端部13xを大気解放状態にするか否かの開閉動作のみを行うものである。
この乾燥装置8の動作を、以下に説明する。すなわち、先ず始めに、上述の図4及び図5に示された流動性を有する塗布膜7が形成された基板2を、常温または常温に近い温度に維持されているチャンバー9内に収納してセットし密閉状態とする。この時点では、手動弁Mを少し開いた状態に調整して固定すると共に、第1自動弁A1と、第2自動弁A2と、第3自動弁とを全て閉じておく。この場合、真空ポンプPは、常時運転しており、そのポンプ能力を示す最高の到達真空圧は、例えば、1Paとされている。このような状態から、基板2の塗布膜7に対して減圧乾燥を行う場合には、先ず、第1自動弁A1を開くことにより、少し開いた状態にある手動弁Mを通じて、チャンバー9内の圧力が、図7の圧力特性線Xに符合x1で示すように、大気圧(101330Pa)から急激に高真空とならずに徐々に低下していく。これにより、常温または常温に近い温度での減圧乾燥が始まる。このような状態が例えば約10秒経過して、チャンバー9内の圧力が、例えば15Paになった時点で、第2自動弁A2を開くことにより、チャンバー9内の圧力はさらに低下して、例えば10Paになる。そして、第1自動弁A1を開いてから、例えば20秒〜60秒(図7に示すグラフでは40秒)経過した時点で、常温または常温に近い温度での減圧乾燥が終了する。
この後においては、第1自動弁A1と第2自動弁A2とを閉じると共に、第3自動弁A3を開くことにより、チャンバー9内を窒素やクリーンエアで満たされた大気圧状態として、基板2をチャンバー9から取り出した後、第3自動弁A3を閉じる。このようにして取り出された基板2上の塗布膜7は、流動性を有しない状態となっている。
図8は、乾燥装置8の他の例の構成を示す概略図である。この乾燥装置8は、上記と同様に常温または常温に近い温度を維持した状態で基板2を収納するチャンバー9a、9b、9cを複数(図例で3つ)備えると共に、これら3つのチャンバー9a、9b、9cの内部空間を減圧する真空源としての真空ポンプPを一台備えている。そして、真空ポンプPからは、3つのチャンバー9a、9b、9cの内部空間に通じる三本のメイン通路11a、11b、11cが分岐しており、これら三本のメイン通路11a、11b、11cにはそれぞれ、真空ポンプP側から順に、第1自動弁A1a、A1b、A1cと、第2自動弁A2a、A2b、A2cと、第3自動弁A3a、A3b、A3cとが設けられている。さらに、これら三本のメイン通路11a、11b、11cにはそれぞれ、第2自動弁A2a、A2b、A2cを迂回するバイパス通路12a、12b、12cが連通され、これらのバイパス通路12a、12b、12cにそれぞれ手動弁Ma、Mb、Mcが設けられると共に、第3自動弁A3a、A3b、A3cはそれぞれ、三本のメイン通路11a、11b、11cを常時開いており且つそれぞれの分岐通路13a、13b、13cの先端部13ax、13bx、13cxを大気解放状態にするか否かの開閉動作のみを行うものである。
この乾燥装置8の動作を、以下に説明する。すなわち、流動性を有する塗布膜7が形成された基板2を、常温または常温に近い温度に維持されている三つのチャンバー9a、9b、9c内にそれぞれ収納してセットし密閉状態とする。この時点では、全ての手動弁Ma、Mb、Mcを少し開いた状態に調整して固定すると共に、全ての自動弁A1a〜A3cを閉じておく。この場合、真空ポンプPは、常時運転しており、そのポンプ能力を示す最高の到達真空圧は、例えば、1Paとされている。このような状態から、先ず第1番目のチャンバー9aに対応する第1自動弁A1aを開くことにより、少し開いた状態にある手動弁Maを通じて、第1番目のチャンバー9a内の圧力が、図9の第1圧力特性線Xaに符号xa1で示すように、大気圧(101330Pa)から急激に高真空とならずに徐々に低下していく。このような状態から例えば約10秒経過して、第1番目のチャンバー9a内の圧力が、例えば15Paになった時点で、第1番目のチャンバー9aに対応する第2自動弁A2aを開くことにより、第1番目のチャンバー9a内の圧力はさらに低下して、例えば10Paになる。その後、第1番目のチャンバー9aに対応する第1自動弁A1aと第2自動弁A2aとを閉じて、その閉じた状態を例えば約20秒維持しておくことにより、第1圧力特性線Xaに符号xa2で示すように、第1番目のチャンバー9a内では、基板2上の塗布膜7の溶剤分が蒸発して、圧力が例えば14Paまで徐々に上昇する。この時点では、基板2上の塗布膜7が流動性を有しているため、第1番目のチャンバー9aに対応する第1自動弁A1a及び第2自動弁A2aを再び開いて、例えば約10秒経過することにより、第1番目のチャンバー9内の圧力を例えば8Paに低下させる。この時点においては、基板2上の塗布膜7が流動性を有しない状態となっているため、第1番目のチャンバー9aに対応する第1自動弁A1a及び第2自動弁A2aを閉じると共に、第3自動弁A3aを開いて大気解放状態とすることにより、第1番目のチャンバー9a内を大気解放状態とする。これにより、第1番目のチャンバー9a内における基板2上の塗布膜7に対する常温または常温に近い温度での減圧乾燥が終了する。なお、第1番目のチャンバー9aに対応する第1自動弁A1a及び第2自動弁A2aを開いて、第1番目のチャンバー9a内の圧力を低下させた時点で、基板2上の塗布膜7が流動性を有している場合には、第1圧力特性線Xaに符号xa2で示すような塗布膜7の溶剤分の蒸発を、必要に応じて何回繰り返し行ってもよい。
次に、第2番目のチャンバー9bに着目すると、図9に示す第2圧力特性線Xbに従って減圧乾燥全般が行われることになり、この第2圧力特性線Xbは、上述の第1番目のチャンバー9aにおける第1圧力特性線Xaと同一の波形を呈している。しかしながら、この第2番目のチャンバー9bに対応する第1自動弁A1bを開くことにより、第2番目のチャンバー9b内の圧力が、図9の第2圧力特性線Xbに符号xb2で示すように、大気圧(101330Pa)から徐々に低下していくことを開始するのは、第1番目のチャンバー9a内の圧力が例えば10Paまで低下して、第1番目のチャンバー9aに対応する第1自動弁A1a及び第2自動弁A2aが閉じた時点である。さらに、第2番目のチャンバー9内bにおいて、図9の第2圧力特性線Xbに符号xb2で示すように基板2上の塗布膜7の溶剤分が蒸発して例えば14Paまで上昇した後、再び、第2番目のチャンバー9bに対応する第1自動弁A1b及び第2自動弁A2bを開くのは、第1番目のチャンバー9a内を大気解放状態にするための開始時点である。
さらに、第3番目のチャンバー9cに着目すると、図9に示す第3圧力特性線Xcに従って減圧乾燥全般が行われることになり、この第3圧力特性線Xcは、上述の第1番目及び第2番目のチャンバー9a、9bにおける第1圧力特性線Xa及び第2圧力特性線Xbと同一の波形を呈している。しかしながら、この第3番目のチャンバー9cに対応する第1自動弁A1cを開くことにより、第3番目のチャンバー9c内の圧力が、図9の第2圧力特性線Xcに符号xc1で示すように、大気圧(101330Pa)から徐々に低下していくことを開始するのは、第2番目のチャンバー9b内の圧力が例えば10Paまで低下して、第2番目のチャンバー9bに対応する第1自動弁A1b及び第2自動弁A2bが閉じた時点である。しかも、この時点では、第1番目のチャンバー9aに対して真空ポンプPが圧力低下作用を行っていない状態にある。さらに、この第3番目のチャンバー9c内において、図9の第3圧力特性線Xcに符号xc2で示すように基板2上の塗布膜7の溶剤分が蒸発して例えば14Paまで上昇した後、再び、第3番目のチャンバー9cに対応する第1自動弁A1c及び第2自動弁A2cを開くのは、第2番目のチャンバー9b内を大気解放状態にするための開始時点である。しかも、この時点では、第1チャンバー9aに対する減圧乾燥が終了している。
以上のように、三つのチャンバー9a、9b、9cにおける圧力特性線Xa、Xb、Xcを参酌すれば、圧力値15Paから10Paに減圧する時期と、圧力値10Paから14Paに減圧が緩む時期と、圧力値14Paから8Paに減圧する時期と、圧力値8Paから大気解放される時期とが、チャンバー9a、9b、9cの相互間で相違している。そのため、真空ポンプPに大きな負担が一挙に集中して掛からなくなり、一台の真空ポンプPが有効に活用されるだけでなく、その真空ポンプPの小型化或いは省能力化が図られる。
なお、この例では、一台の真空ポンプPを用いて三つのチャンバー9a、9b、9c内で減圧乾燥を行ったが、チャンバーの個数は二つであってもよく、或いは四つ以上であってもよい。また、三つの圧力特性線Xa、Xb、Xcで示した圧力値は、あくまでも例示であって、それらの例示したものよりも高真空であっても低真空であっても、基板2上の塗布膜7が流動性を有しなくなるような減圧乾燥であれば差し支えない。
以上の全ての例のようにして、基板2上に形成された流動性を有する塗布膜7が、常温または常温に近い状態で減圧乾燥されることによって、その塗布膜7は流動性を有しなくなる。すなわち、この時点では、塗布膜7には未だ溶剤分が含まれているため押圧すれば容易に変形するが、流動しなくなっている。そして、この時点では当然に、基板2上で塗布膜7が外周側に広がろうとする現象やコーヒーリング現象は生じていない。このような結果が得られる理由は、基板2上に流動性を有する塗布膜7を、常温または常温に近い温度で減圧乾燥することによって、塗布膜7の溶剤分の蒸発温度が常温以下になるため、塗布膜7の粘度が変わらない状態で溶剤分が蒸発するからである。そして、このように塗布膜7の粘度が変わらない状態で溶剤分が蒸発することによって、塗布膜7の移動が起こらず、基板2上の略全域に均一な塗布膜7が形成されるのである。
一方、以上の全ての例では、インクジェット塗布装置1を用いて基板2上に流動性を有する塗布膜7を形成する場合や、乾燥装置8におけるチャンバー9内に流動性を有する塗布膜7が形成された基板2を収納する場合には、塗布膜7の温度を周辺雰囲気の温度(例えばクリーンルーム内の温度)と変化させることなく行う構成とされている。これに対しては、例えば図10及び図11に示すような手法を用いて、基板2上の塗布膜7を冷却するように構成してもよい。
図10は、小型で簡易な構造の冷却板15の上面に基板2を載置して、基板2を冷却することで、基板2上に形成されている流動性を有する塗布膜7を冷却するように構成したものである。このようにすれば、塗布膜7の周辺雰囲気の温度が、例えば10℃〜40℃の範囲内にあるとしたならば、その温度範囲内における実際の周辺雰囲気の温度よりも、塗布膜7を低温にして、塗布膜7の粘度を高めることができる。そして、このように冷却板15に載置された基板2は、インクジェット塗布装置1によって基板2上に流動性を有する塗布膜7を形成する場合に使用してもよく、もしくはその塗布膜7の形成後に乾燥装置8のチャンバー9内に収容してもよく、またはその両者であってもよい。このようにすれば、減圧乾燥を行う段階で、基板2上に形成されている流動性を有する塗布膜7の粘度が高くなっているため、減圧乾燥に要する時間が短縮されて、生産性の向上が図られる。
図11は、基板2の外周端部2bのみを、小型で簡易な構造の円環状の冷却部16で受止して、基板2の外周端部2bのみを冷却することで、基板2上に形成されている流動性を有する塗布膜7の外周端部7bを集中して冷却するように構成したものである。このようにすれば、塗布膜7の実際の周辺雰囲気の温度よりも塗布膜7の外周端部7bを低温して、塗布膜7の外周端部7bの粘度を高めることができる。そして、この場合も、その使用態様は、上記の場合と同様である。このようにすれば、塗布膜7の外周側への広がり現象やコーヒーリング現象の発生原因となる塗布膜7の外周端部7bの粘度が高くなることにより、効率良くそれらの現象を回避しつつ、減圧乾燥に要する時間の短縮及び生産性の向上を図ることができる。
以上の全ての例において、減圧乾燥が終了することによって基板2上の塗布膜7が流動性を有しなくなった後は、ホットプレート上に複数のピンを介して基板2が載置された状態で塗布膜7が熱乾燥され、または、ヒータにより加熱された処理室内に基板2が収納されて塗布膜7が熱乾燥される。この場合、その塗布膜7は120℃〜280℃(好ましくは150℃〜250℃)の温度雰囲気中で熱乾燥される。このようにすれば、基板2上で塗布膜7が流動しない状態となった後に、熱乾燥が行われるため、塗布膜7が外周側に広がったり、コーヒーリング現象を起こしたりすることなく、塗布膜7の溶剤分がさらに蒸発して、図12に示すように、完全に乾燥された薄肉で良質の塗布膜7xが得られる。すなわち、図12に示す流動性を有しない塗布膜7xは、図5に示す塗布膜7と比較して、厚みが数分の1または数十分の1になると共に、塗布膜7xの外周端部7bxの位置が殆ど変化しておらず、且つ全域に亘って厚みが均一になっている。この場合、熱乾燥を行っている際には、既述の減圧乾燥によって基板2上で流動性を有しなくなった塗布膜7が再び流動性を有する状態にならないように熱管理が行われる。また、熱乾燥を行っている際には、塗布膜が本来所有すべき特性が損なわれないように熱管理が行われる。そして、減圧乾燥の後に熱乾燥を行うことにより、減圧乾燥の後に自然乾燥を行う場合と比較して、時間の大幅な短縮が図られると共に、生産性の向上も図られる。
図13は、基板2上に厚い塗布膜7を形成する場合について説明するための概略図である。一例として、最終的に厚みが50μmの塗布膜7を基板2上に形成する場合には、以下に示す三つの手法の何れかで行われる。第1の手法は、基板2上に厚み25μmの塗布膜を形成した後に減圧乾燥を行い且つその後に熱乾燥を行う事を、2回繰り返して行う手法である。第2の手法は、基板2上に厚み25μmの塗布膜を形成した後に減圧乾燥を行う事を、2回繰り返して行った後に、熱乾燥を一回行う手法である。第3の手法は、基板2上に厚み25μmの塗布膜を形成する事を2回行った後に、減圧乾燥を一回行い、その後に熱乾燥を1回行う手法である。なお、以上の説明における塗布膜の厚みや回数は、特に限定されるものではない。
以上の実施形態で、基板2上に最終的に形成される塗布膜7xの厚みは、下限値を300nmとすることができ、上限値を50μm以上、例えば150μmとすることができる。
以上の実施形態では、塗布膜7の外周端部7bを、図5に示すように、基板2の外周端部2bと平面状をなす膜形成面2Aとの境界2dに位置させたが、この塗布膜7の外周端部7bは、上記の境界2dよりも内周側にあってもよく或いは外周側にあってもよい。したがって、図12に示す塗布膜7xも図示の状態よりも内周側にあっても外周側にあってもよい。
また、以上の実施形態では、5個の個別インクジェットヘッド3を使用したが、その個数は限定されるものではなく、例えば、1個の個別インクジェットヘッド3のみを使用してもよい。
さらに、以上の実施形態では、インクジェットヘッド3の全てのノズル4から膜液6を吐出する場合(100%の吐出状態の場合)に、本発明を適用したが、70%〜95%または85%〜95%の吐出状態であってもよい。
また、以上の実施形態で基板2上に形成する塗布膜7xは、感光性絶縁膜、非感光性絶縁膜、レジスト膜などの機能性膜あるいはその他の膜であれば、特に限定されるものではない。
さらに、以上の実施形態では、塗布膜7xの形成対象を、円板状の半導体ウエハ(シリコンウエハ)としたが、炭化ケイ素(SiC)からなるウエハや、樹脂、ガラスまたは金属からなる基板、さらには、矩形や多角形などの角板状をなす基板であってもよい。
さらに、以上の実施形態では、基板2が搬送方向Aに一回移動する間に、塗布膜7の形成が完了するようにしたが、基板2が二回以上(往復動を含む)移動する間に塗布膜7の形成が完了するようにしてもよく、その場合には、基板2の膜形成面2Aを必要に応じて複数領域に分割して、基板2の一回の移動で分割した領域毎に膜を形成するようにしてもよい。
加えて、以上の実施形態では、基板2が移動してインクジェットヘッド3が固定設置されていたが、これとは逆に、インクジェットヘッド3が移動して基板2が固定設置されていてもよく、あるいは、両者2、3が移動してもよい。
1 インクジェット塗布装置
2 基板
3 インクジェットヘッド
3a 個別インクジェットヘッド
4 ノズル
5 記憶手段
6 膜液
7 塗布膜
7b 塗布膜の外周端部
7x 塗布膜(乾燥後の塗布膜)
7bx 塗布膜の外周端部(乾燥後の塗布膜の外周端部)
8 乾燥装置
9 チャンバー
9a 第1番目のチャンバー
9b 第2番目のチャンバー
9c 第3番目のチャンバー
P 真空ポンプ

Claims (8)

  1. 塗布装置を用いて基板上に膜液を吐出する膜液吐出工程と、前記膜液吐出工程を終えて前記基板上に形成された流動性を有する塗布膜を乾燥する塗布膜乾燥工程とを備えた塗布膜形成乾燥方法であって、
    前記膜液吐出工程で、前記塗布装置としてインクジェット塗布装置を用いると共に、
    前記塗布膜乾燥工程で、前記インクジェット塗布装置による膜液の吐出を終えて基板上に形成された流動性を有する塗布膜を10℃〜40℃の温度雰囲気中で減圧乾燥するに際して、一台の真空源につき前記減圧乾燥を実行するためのチャンバーを複数備え、先行するチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止した時点で、後続のチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止することを特徴とする塗布膜形成乾燥方法。
  2. 前記塗布膜乾燥工程で、前記流動性を有する塗布膜を前記減圧乾燥することによって前記塗布膜が流動性を有しなくなった時点で、その塗布膜を120℃〜280℃の温度雰囲気中で熱乾燥することを特徴とする請求項1に記載の塗布膜形成乾燥方法。
  3. 前記膜液吐出工程を実行する際と、前記塗布膜乾燥工程で前記減圧乾燥を実行する際との少なくとも一方で、前記基板上に形成された塗布膜の少なくとも外周端部を冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の塗布膜形成乾燥方法。
  4. 前記塗布膜乾燥工程で、前記チャンバー内における前記減圧動作の停止時からの時間経過に伴って、前記流動性を有する塗布膜の溶剤分が蒸発することで、前記チャンバー内の圧力値が前記設定圧よりも所定圧だけ上昇した場合に、再度、前記チャンバー内を減圧することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の塗布膜形成乾燥方法。
  5. 前記基板は、シリコンウエハまたは炭化ケイ素ウエハであることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の塗布膜形成乾燥方法。
  6. 前記基板は、ガラス基板、樹脂基板または金属基板であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の塗布膜形成乾燥方法。
  7. 塗布装置を用いて基板上に膜液を吐出すると共に、この膜液の吐出を終えて前記基板上に形成された流動性を有する塗布膜を乾燥するように構成した塗布膜形成乾燥装置であって、
    前記塗布装置としてインクジェット塗布装置を用いると共に、
    前記インクジェット塗布装置による膜液の吐出を終えて基板上に形成された流動性を有する塗布膜を10℃〜40℃の温度雰囲気中で減圧乾燥するに際して、一台の真空源につき前記減圧乾燥を実行するためのチャンバーを複数備え、先行するチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止した時点で、後続のチャンバー内を減圧する動作を開始し且つ該チャンバー内が設定圧に達することでその減圧動作を停止するように構成したことを特徴とする塗布膜形成乾燥装置。
  8. 前記流動性を有する塗布膜を前記減圧乾燥することによって前記塗布膜が流動性を有しなくなった時点で、その塗布膜を120℃〜20℃の温度雰囲気中で熱乾燥するように構成したことを特徴とする請求項に記載の塗布膜形成乾燥装置。
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