JP5730644B2 - 表面亀裂深さの超音波計測方法と装置 - Google Patents

表面亀裂深さの超音波計測方法と装置 Download PDF

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Description

本発明は、超音波を用いた表面亀裂深さの超音波計測方法と装置に関する。
ボイラの伝熱管などの部材表面に、熱応力や熱疲労により微小な表面亀裂が発生することがある。これらの表面亀裂の深さは、部材の残存寿命等を判断するために、特に重要である。そこで、超音波を用いた表面亀裂深さの計測手段が、例えば特許文献1,2に提案されている。
特開昭63−304159号公報、「亀裂深さの測定方法」 特開平2−6747号公報、「超音波亀裂測定装置」
超音波を用いた表面亀裂深さの計測手段として、従来、端部エコー法とTOFD法が知られている。
図1は従来の端部エコー法の説明図である。
端部エコー法では、(A)に示すように、表面亀裂1の深さを測定するには、亀裂1を通る位置で亀裂1の直交方向の走査線2に沿って探触子3を走査して行う。
(B)(C)に示すように、探触子3の位置Aにおいては、超音波ビーム4aは亀裂1に入射しないので、探傷波形としては、探触子3が励起されたときの振動波形である送信パルス5のみが現れる。なお、送信パルス5には、探触子3と試験片6の界面での反射波などのノイズが重なっている。
(B)(D)に示すように、探触子3の位置Bにおいては、超音波ビーム4bは、亀裂下端1aを捉え、下端1aで散乱波が生じて端部エコー(下端エコー7)を受信できる。
一方、(B)(E)に示すように、探触子3の位置Cにおいては、超音波ビーム4cにより、亀裂1の上端1bの開口部からの散乱波(上端エコー8)が発生する。一般には、この上端エコー8は送信パルス5に隠れて観察しにくい場合が多い。送信パルス5の発生を極力抑えることで、下端エコー7と上端エコー8を特定できれば、この2つの端部エコー7,8の伝搬時間差Δtから次式(1)により亀裂1の深さdを求めることができる。
d=Δt・v・cosθ/2・・・(1)
ここで、vは超音波の音速、θは探触子の屈折角である。
なお、上端エコー8がパルス波5に隠れて観察できない場合には、試験片表面にあたる上端位置の時間軸上の位置を予め求めておくこともできる。しかし、亀裂1の深さが小さい場合には、図1中の探触子位置B,Cの間隔がきわめて接近して、下端エコー7も送信パルス5に重なり識別できなくなると共に、Δtも小さくなり、両者の時間差を測定することが困難になる。
具体的に言えば、屈折角45度の横波斜角探触子(横波音速;3230m/sec.)で0.2mmの深さdの亀裂を測定する場合では、Δtは0.175μsec.となり、一般に用いられる5MHzの波長0.2μsecより小さくなり、2つの波形(下端エコー7と上端エコー8)の分離が困難になることがわかる。
そのため、この計測手段は、測定精度に優れているが、反面微小な表面亀裂の深さ測定は困難である欠点があった。
図2は、端部エコー法において2つの接近した波が干渉して分離が困難になる例を示している。この図において、(A)は亀裂1の上端エコー8を示す波形を模擬している。(B)は下端エコー7を示す波形を模擬しており、(A)よりは0.175μsec遅れてエコーが生じている。(C)は(A)と(B)を合成した波形である。
(C)から、(A)と(B)の2つの波形(下端エコー7と上端エコー8)を分離することが実質的に不可能であり、この計測手段で微小な表面亀裂の深さを測定することは実質的に不可能であるといえる。
図3は従来のTOFD法の説明図である。
この計測手段は、図に示すように、2つの斜角探触子(AとB)を亀裂1を挟んで対向して配置し、片方(ここでは斜角探触子A)を送信用に、片方(ここでは斜角探触子B)を受信用に用いて超音波4dを送受信する。以下、斜角探触子を単に「探触子」と呼ぶ。
図3において、探触子Aから送信された超音波4dの一部4eは表面を伝播し探触子Bに至る。また、一部の超音波は亀裂1の下端1aで回折波4fを生じて、これが探触子Bに至る。このときの表面を伝播する超音波4e(ラテラル波)と下端1aで回折した超音波4f(回折波)の伝播距離が異なり、受信した2つの波形に時間差Δtを生じる。
一方、2つの波の時間差Δtは亀裂深さdに依存するので、幾何学的に次式(2)で求められる。なおこの式は、亀裂1が探触子A,B間の中央にある場合である。
Δt=[2・{d+(L/2)1/2−L]/v・・・(2)
ここで、Lは探触子の入射点間距離、dは亀裂の深さ、vは音速である。
この計測手段は、基本的には端部エコー法に似ているが、亀裂1の面で反射するエコーが受信側の探触子Bに入射しにくく、端部の回折波4fによるエコーを識別しやすいという特徴がある。
しかし、この手段においても微小亀裂の寸法を測定する上で限界がある。具体的には、仮に探触子の入射点間距離Lを3mmとし、音速を5900m/sec(鋼中の縦波音速)とすると、0.2mm深さの亀裂の深さを測定しようとすると、上式より、ラテラル波4eと亀裂下端の回折波4fとの伝搬時間差は、わずか0.0045μsecであり、端部エコー法で検討したときの0.175μsecの伝搬時間差よりはるかに小さくなり、2つの波を分離することが不可能で、測定できなくなる。
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、部材表面に開口した亀裂の深さが1mm未満である微小亀裂であっても、その表面亀裂深さを正確に計測することができる表面亀裂深さの超音波計測方法と装置を提供することにある。
本発明によれば、超音波を用いて被検査物の表面に開口した表面亀裂の深さを計測する表面亀裂深さの超音波計測方法であって、
(A)前記被検査物の表面に接触媒体を塗布し、かつ表面亀裂の内部に前記接触媒体を充填し、
(B)前記表面亀裂の幅方向に設定された走査線に沿って斜角探触子を走査し、
(C)前記接触媒体を介して被検査物及び表面亀裂の内部に超音波を発信し、その反射波を受信し、
(D)前記反射波を被検査物の表面で反射された表面エコーと、接触媒体内での表面亀裂の下端からの媒体内エコーとに区分し、
(E)前記表面エコーと媒体内エコーから前記表面亀裂の深さを計算する、ことを特徴とする表面亀裂深さの超音波計測方法が提供される。
また本発明によれば、超音波を用いて被検査物の表面に開口した表面亀裂の深さを計測する表面亀裂深さの超音波計測装置であって、
前記被検査物の表面に塗布された接触媒体を介して該被検査物の内部に超音波を発信するときの、被検査物の表面の垂線に対し、接触媒体内への入射角が10〜30度であり、かつ接触媒体内への入射幅が、前記表面亀裂の幅より大きく、計測深さの最大値より小さく設定されている斜角探触子と、
斜角探触子を制御して超音波を発信させ、かつその反射波を受信する制御装置と、
前記反射波を被検査物の表面で反射された表面エコーと、接触媒体内での表面亀裂の下端からの媒体内エコーとに区分し、これらから表面亀裂の深さを求める解析装置とを備える、ことを特徴とする表面亀裂深さの超音波計測装置が提供される。
上記本発明の方法と装置によれば、斜角探触子と制御装置により、表面亀裂の幅方向に設定された走査線に沿って斜角探触子を走査し、接触媒体を介して被検査物及び表面亀裂の内部に超音波を発信し、その反射波を受信することができる。
また、解析装置により、前記反射波を被検査物の表面で反射された表面エコーと、接触媒体内での表面亀裂の下端からの媒体内エコーとに区分し、表面エコーと媒体内エコーから表面亀裂の深さを計算することができる。
上述した接触媒体内での媒体内エコーは、被検査物内での表面亀裂の下端からの部材内エコー(従来の下端エコー)よりも信号レベルが大きく、かつ表面エコーと媒体内エコーを分離してその時間差を容易に計測できるので、この時間差から表面亀裂の深さが1mm未満である微小亀裂であっても、正確に計算することができることが後述する実施例により確認された。
従来の端部エコー法の説明図である。 端部エコー法において2つの接近した波が干渉して分離が困難になる例を示す図である。 従来のTOFD法の説明図である。 本発明による表面亀裂深さの超音波計測装置の全体構成図である。 媒体内エコーと部材内エコーの説明図である。 本発明の実施例における被検査物の模式図である。 本発明の実施例において受信した反射波を示す図である。 図7(B)に相当する領域の拡大図である。 図8に対応する媒体内エコーの波形を示す図である。 本発明の実施例における表面亀裂の深さと伝播時間の関係図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図4は、本発明による表面亀裂深さの超音波計測装置の全体構成図である。
この図において、本発明の超音波計測装置は、斜角探触子10、制御装置12、及び解析装置14を備える。なおこの図において、1は表面亀裂、6は被検査物である。
被検査物6は、例えば、ボイラの伝熱管であり、その表面に開口した表面亀裂1を有する。被検査物6の表面は、平面であることが好ましいが曲面であってもよい。
本発明において表面亀裂1の深さは、3mm未満であることが好ましく、後述する実施例では、0.1〜0.75mmである。
また、表面亀裂1の表面における開口形状は例えば細長い線状であり、表面における表面亀裂1の幅は、例えば0.2〜0.5mm程度である。
斜角探触子10は、内部に超音波4の発信部を有し、その下面に対し斜めに超音波4を入射するようになっている。
斜角探触子10の下面は、被検査物6の表面が平面である場合には平面、曲面である場合にはこれと整合する曲面であり、その間に介在する接触媒体11の厚さが一定になるようになっている。
また斜角探触子10は、被検査物6の表面の垂線に対し、被検査物6内への入射角が30〜60度であり、更に好ましくは40〜50度に設定されている。また、同様に接触媒体11内への入射角が10〜30度であり、更に好ましくは40〜50度であり、更に好ましくは15〜20度に設定されている。
このように入射角を設定することにより、超音波4を被検査物6の内部には相対的に大きな入射角で、接触媒体11の内部には相対的に小さな入射角で入射させることができ、後述する部材内エコー15cと媒体内エコー15bの区分を容易にすることができる。
斜角探触子10から発信される超音波4の接触媒体11内への入射幅は、表面亀裂1の幅より大きく、計測深さの最大値より小さく設定するのがよい。
この結果、斜角探触子10の発信部の直径は、0.5〜3.0mmの範囲であることが好ましい。
このように超音波4の接触媒体11内への入射幅を設定することにより、従来不感帯と考えられていた表面近傍からのエコーを後述する部材内エコー15cと媒体内エコー15bに区分することが可能となる。
接触媒体11は、斜角探触子10と被検査物6の両方に密着し、その間で超音波4を効率よく伝播できる液体であるのがよい。また、接触媒体11は、表面亀裂1の内部に容易に充填でき、気泡等を含まないことが好ましい。
このような接触媒体11として、例えば表面活性剤を添加したグリセリン又は水を用いることができる。
制御装置12は、斜角探触子10を制御して超音波4を発信させ、かつその反射波15を受信する。
反射波15には、被検査物6の表面で反射された表面エコー15a、接触媒体11内での表面亀裂1の下端からの媒体内エコー15b、及び被検査物6内での表面亀裂1の下端からの部材内エコー15c(図5参照)が含まれる。
制御装置12は、走査中における斜角探触子10の位置と同時に、表面エコー15a、媒体内エコー15b、及び部材内エコー15cを検出する。
超音波4の発信レート及び反射波の受信レートは、高いほど良く、例えば200〜400MHzであるのがよい。
また、制御装置12は、所定の走査線2(図1(A)参照)に沿って一定の走査ピッチで斜角探触子10を走査する。走査線2は、図1(A)に示したように、表面亀裂1の幅方向に設定する。また走査ピッチは、表面における表面亀裂1を飛び越さないように、その幅より小さいことが好ましく、例えば0.1〜0.2mmであるのがよい。
解析装置14は、制御装置12で受信した斜角探触子10の位置、表面エコー15a、媒体内エコー15b、及び部材内エコー15cから、表面亀裂1の深さdと表面亀裂1の位置を求める。
図5は、媒体内エコー(A)と部材内エコー(B)の説明図である。
上述した表面エコー15aは、被検査物6の表面で反射されたエコーであり、上述した上端エコー8(図1(B)(E)参照)に相当する。
媒体内エコー15bは、図5(A)に示すように、接触媒体11内での表面亀裂1の下端1aからのエコーである。
また部材内エコー15cは、被検査物6内での表面亀裂1の下端1aからの端部エコーであり、図5(B)に示すように、上述した下端エコー7(図1(B)(D)参照)に相当する。
本発明の方法は、上述した装置を用い、超音波4を用いて被検査物6の表面に開口した表面亀裂1の深さdを計測する表面亀裂深さの超音波計測方法である。
本発明の方法は、(A)〜(E)の各ステップ(工程)からなる。
(A)では、被検査物6の表面に接触媒体11を塗布し、かつ表面亀裂1の内部に接触媒体11を充填する。
(B)では、表面亀裂1の幅方向に設定された走査線に沿って斜角探触子10を走査する。
(C)では、接触媒体11を介して被検査物6及び表面亀裂1の内部に超音波4を発信し、その反射波15を受信する。
(D)では、反射波15を被検査物6の表面で反射された表面エコー15aと、接触媒体11内での表面亀裂1の下端からの媒体内エコー15bとに区分する。
(E)では、表面エコー15aと媒体内エコー15bから表面亀裂1の深さdを計算する。
図4に示すように、前記(E)において、被検査物6の表面で反射された表面エコー15aと、接触媒体11内での表面亀裂1の下端からの媒体内エコー15bとの時間差ΔT=T2−T1を求め、これと予め較正された検量線(後述する)から表面亀裂の深さdを求めることができる。
また、前記(D)において、被検査物6内での表面亀裂の下端からの部材内エコー15cを検出し、前記(E)において、部材内エコー15cの位置から表面亀裂1の位置を求めることができる。
すなわち、斜角探触子10の被検査物6への入射角は接触媒体11への入射角より大きいので、前記(C)において、部材内エコー15cが先に検出され、その後媒体内エコー15bが検出される。従って、部材内エコー15cが検出された斜角探触子10の位置から、媒体内エコー15bが検出される斜角探触子10の位置が正確に予測できるので、その間の走査ピッチを粗くし又は省略することができる。
図6は、本発明の実施例における被検査物の模式図である。
この図に示すように、一定の厚さを有する被検査物6に深さの異なる6つの表面亀裂1を設けた試験片を製作し、上述した装置を用いて本発明の方法を実施した。
6つの表面亀裂1の幅は、0.3〜0.5mmであり、深さは、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.75mmとした。また表面亀裂1の幅方向間隔は、7.5mmである。
試験片(被検査物6)の上面には、表面活性剤を添加したグリセリンを十分塗布し、表面亀裂1の内部にも気泡を含まないように充填した。
斜角探触子10には、発信レート及び反射波15の受信レートが200MHz、発信部の直径が3mm、被検査物6内への入射角が45度のものを用いた。この場合、接触媒体11内への入射角は約20度である。
制御装置12(図4参照)により、表面亀裂1の幅方向に設定した走査線に沿って0.1mmの走査ピッチで斜角探触子10を走査した。この走査は、図6に示すように、深さ0.75mmの表面亀裂1から順に深さ0.1mmの表面亀裂1まで連続的に行った。
また、接触媒体11を介して被検査物6及び表面亀裂1の内部に超音波4を発信し、その反射波15を受信した。
図7は、この実施例において受信した反射波を示す図である。この図は、反射波15の振幅強度を色で表示したBイメージ法による画像であるが、この例では、単に無彩色で示している。
図7(A)において、横軸は斜角探触子10の位置(0.0〜60.0mm)であり、縦軸は超音波4の発信から受信までの伝播時間(2.31〜15.56μm)である。
この図から、伝播時間が5μm以下の領域に、表面エコー15aと媒体内エコー15bが存在し、伝播時間が12〜15.56μmの領域に部材内エコー15cが存在することがわかる。
なおこの図では、表面エコー15aを「開口部エコー」、媒体内エコー15bを「モード変換表面波による端部エコー」、部材内エコー15cを単に「端部エコー」と表示している。
図7(B)は、図7(A)の伝播時間が5.5μm以下の領域を拡大した図である。この図から表面エコー15a(開口部エコー)と媒体内エコー15b(モード変換表面波による端部エコー)を明確に区分できることがわかる。
図7(C)は、図7(A)の伝播時間が12〜16.085μmの領域を拡大した図である。この図から部材内エコー15c(端部エコー)を明確に区分できることがわかる。
図7において、斜角探触子10の位置を0.0mmから60.0mmまで一定の走査ピッチ(この例では0.1mm)で連続的に走査した場合、部材内エコー15cが先に検出され、その後、同一の表面亀裂1に対する媒体内エコー15bが検出されることがわかる。
各媒体内エコー15b及び部材内エコー15cの走査方向間隔は、表面亀裂1の幅方向間隔(7.5mm)と同一である。
従って、部材内エコー15cが検出された斜角探触子10の位置から、媒体内エコー15bが検出される斜角探触子10の位置が正確に予測できるので、その間の走査ピッチを粗くし又は省略することができる。
図8は、図7(B)に相当する領域の拡大図である。この図において、3本の破線は、表面亀裂1の深さdが、0.2,0.3,0.7mmの位置を示している。
図9は、図8に対応する反射波15の波形を示す図である。この図は、反射波15の振幅強度を色で表示したBイメージ法による画像から求めることができる。この図において、(A)はd=0.2mm、(B)は0.3mm、(C)は0.7mmの場合である。また各図において、横軸は超音波伝播時間、縦軸は振幅値である。
図9の各図において、T1は表面エコー15aの検出時間、T2は媒体内エコー15bの検出時間である。従ってこれらの図から、時間差ΔT=T2−T1を求めることができる。
図10は、本発明の実施例における表面亀裂の深さと伝播時間の関係図である。この図において、横軸は表面亀裂の深さd、縦軸は伝播時間である。また図中の丸(●)は表面エコー15aの検出時間T1、四角(■)は媒体内エコー15bの検出時間T2である。
この図から、表面エコー15aの検出時間T1は、表面亀裂の深さdに無関係にほぼ一定であることがわかる。また、媒体内エコー15bの検出時間T2は、表面亀裂の深さdに比例して大きくなることがわかる。
図10において、検出時間T2の計測データ(■)に近似する直線を本発明では検量線として設定する。この検量線を用いることにより、時間差ΔTから表面亀裂1の深さdを求めることができる。
上述した実施例において、表面エコー15aの検出時間T1と媒体内エコー15bの検出時間T2との時間差ΔT=T2−T1は、表面亀裂1の深さdに比例し、以下の関係式(3)から表面亀裂1の深さdを求めることができる。
d=(ΔT×V)/2・・・(3)
ここでVは、接触媒体11内の音速である。
接触媒体11内の音速Vは、グリセリンの場合約1800m/secである。
しかし、上述した実施例の結果から、関係式(3)から表面亀裂1の深さdを求める場合、音速Vを約1000m/secに設定する必要がある。
この理由は、接触媒体11内の音速Vが気泡等の存在により遅くなっている、或いは媒体内エコー15bの経路がジグザクになっている、等によるものと考えられる。
上述した本発明の方法と装置によれば、斜角探触子10と制御装置12により、表面亀裂1の幅方向に設定された走査線2に沿って斜角探触子10を走査し、接触媒体11を介して被検査物6及び表面亀裂1の内部に超音波を発信し、その反射波15を受信することができる。
また、解析装置14により、前記反射波15を被検査物6の表面で反射された表面エコー15aと、接触媒体11内での表面亀裂1の下端1aからの媒体内エコー15bとに区分し、表面エコー15aと媒体内エコー15bから表面亀裂1の深さdを計算することができる。
上述した接触媒体11内での媒体内エコー15bは、被検査物6内での表面亀裂1の下端1aからの部材内エコー15c(従来の下端エコー7)よりも信号レベルが大きく、かつ表面エコー15aと媒体内エコー15bを分離してその時間差を容易に計測できるので、この時間差から表面亀裂の深さが1mm未満である微小亀裂であっても、正確に計算することができること実施例により確認された。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
1 表面亀裂、1a 下端、1b 上端、
2 走査線、3 探触子、
4 超音波、4a,4b,4c 超音波ビーム、
4e ラテラル波、4f 回折波、
5 送信パルス(パルス波)、6 試験片(被検査物)、
7 下端エコー(端部エコー)、8 上端エコー(端部エコー)、
10 斜角探触子、11 接触媒体、
12 制御装置、14 解析装置、
15 反射波、15a 表面エコー、
15b 媒体内エコー、15c 部材内エコー

Claims (4)

  1. 超音波を用いて被検査物の表面に開口した表面亀裂の深さを計測する表面亀裂深さの超音波計測方法であって、
    (A)前記被検査物の表面に接触媒体を塗布し、かつ表面亀裂の内部に前記接触媒体を充填し、
    (B)前記表面亀裂の幅方向に設定された走査線に沿って斜角探触子を走査し、
    (C)前記接触媒体を介して被検査物及び表面亀裂の内部に超音波を発信し、その反射波を受信し、
    (D)前記反射波を被検査物の表面で反射された表面エコーと、接触媒体内での表面亀裂の下端からの媒体内エコーとに区分し、
    (E)前記表面エコーと媒体内エコーから前記表面亀裂の深さを計算する、ことを特徴とする表面亀裂深さの超音波計測方法。
  2. 前記(E)において、被検査物の表面で反射された表面エコーと、接触媒体内での表面亀裂の下端からの媒体内エコーとの時間差を求め、これと予め較正された検量線から表面亀裂の深さを求める、ことを特徴とする請求項1に記載の表面亀裂深さの超音波計測方法。
  3. 前記(D)において、被検査物内での表面亀裂の下端からの部材内エコーを検出し、
    前記(E)において、前記部材内エコーの位置から表面亀裂の位置を求める、ことを特徴とする請求項1に記載の表面亀裂深さの超音波計測方法。
  4. 超音波を用いて被検査物の表面に開口した表面亀裂の深さを計測する表面亀裂深さの超音波計測装置であって、
    前記被検査物の表面に塗布された接触媒体を介して該被検査物の内部に超音波を発信するときの、被検査物の表面の垂線に対し、接触媒体内への入射角が10〜30度であり、かつ接触媒体内への入射幅が、前記表面亀裂の幅より大きく、計測深さの最大値より小さく設定されている斜角探触子と、
    斜角探触子を制御して超音波を発信させ、かつその反射波を受信する制御装置と、
    前記反射波を被検査物の表面で反射された表面エコーと、接触媒体内での表面亀裂の下端からの媒体内エコーとに区分し、これらから表面亀裂の深さを求める解析装置とを備える、ことを特徴とする表面亀裂深さの超音波計測装置。
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