JP5726390B2 - 低比重リポ蛋白質酸化防止剤及びそれを用いた飲食品 - Google Patents

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Description

本発明は、血液中の低比重リポ蛋白質(low density lipoprotein 、以下LDLと記す)の酸化を防止する、ひいては動脈硬化の予防に有効であるLDL酸化防止剤及びそれを用いた飲食品に関するものである。
動脈硬化は、血管壁が肥厚して血管の内腔が狭窄する、或いは血管壁が硬化することで血管壁の弾力性や柔軟性を失った状態をいい、心臓で起これば心筋梗塞、頭の血管で起これば脳梗塞を引き起こすものである。特に、血液中にコレステロールや中性脂肪が過剰に存在し蓄積する高脂血症は、動脈硬化の要因となっている。血液中のコレステロールは、リポ蛋白質中に存在し、体の各組織へ運搬される。上記リポ蛋白質の種類には、カイロミクロン、VLDL(超低比重リポ蛋白質)、IDL(中間比重リポ蛋白質)、LDL、HDL(高比重リポ蛋白質)、VHDL(超高比重リポ蛋白質)があり、血管壁を狭窄する状態の動脈硬化には、上記リポ蛋白質の中でもLDLが最も関係していることが知られている。最近の研究では、LDLそのものではなく、血管から組織細胞へ移動する際に変性した酸化LDLが動脈硬化を引き起こす要因となることが明らかになっている。
上記血液中のLDLの酸化を防止する物質として、一般的には、ブドウ種子の抽出物のプロアントシアニジンが知られており、ブドウ種子の抽出物の摂取により、LDLの酸化を防止することができ、更には、冠動脈硬化疾患の相対危険率を低下させることが報告されている。
また、近年、各社で種々のポリフェノール類のLDL酸化防止作用について研究が進められている。特に、LDL酸化防止剤としては、りんご未熟果由来のプロシアニジン類が報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、りんごの未熟果は、摘果する時期にしか入手できないという時期的な制約或いは量的に安定供給できないという問題点があり、上記LDL酸化防止剤は改良の余地があった。
また、他のポリフェノール類由来のLDL酸化防止剤として、大麦糠由来プロアントシアニジンが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。しかしながら、大麦糠原料からの大麦ポリフェノール抽出物の抽出収率が悪いため、上記成分の抽出には、大量の原料が必要となると共に、抽出後の廃棄物が増えるという問題点がある。
一方で、本発明者らは、甘栗の製造工程中に発生する廃棄物である栗の鬼皮及び渋皮の利用用途について、抗酸化作用、α−グルコシダーゼ阻害作用、アンジオテンシン変換酵素阻害作用、リパーゼ活性阻害作用、チロシナーゼ阻害作用を有することを突き止めており、既に出願している(特許文献1、2、3、4及び5参照。)。しかしながら、現在に至るまで、栗皮抽出物にLDL酸化を防止する作用があることは見出されていない。
長田恭一、ニュー・フード・インダストリー、2003年、第45巻、第3号、1〜6頁 玉川浩司、他5名、日本食品科学工学会誌、1999年、第46巻、第2号、106〜110頁 特開2004−189956号公報 特開2006−1872号公報 特願2005−321173号 特願2005−321172号 特願2005−321171号
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、一次利用後の廃棄物からでも得ることができ、強力なLDL酸化防止作用を有し、風味が良好で、連用摂取しやすく、特に水溶性の場合には様々な剤形に応用可能な、年間を通して安定して供給できる新規なLDL酸化防止剤及びそれを用いた飲食品を提供するにある。
本発明は、栗皮抽出物を含有することを特徴とするLDL酸化防止剤により上記目的を達成する。
好ましくは、栗皮抽出物が、焼成栗皮の抽出物である。更に好ましくは、栗皮抽出物が、親水性溶媒により抽出された抽出物である。また、栗皮抽出物が、栗皮由来のタンニンを含有することがより好ましく、更に好ましくは、タンニンがプロアントシアニジンを含有する。
また、上記LDL酸化防止剤は、飲食品に含有させてもよく、その飲食品に、LDLの酸化を防止し、動脈硬化を予防する旨を表示してもよい。
また、本発明は、栗皮抽出物を含有することを特徴とするLDL酸化防止用飲食品により上記目的を達成する。
すなわち、本発明者らは、飲食品等に添加することができる安全性が高く応用範囲の広い、優れたLDL酸化防止作用を有し、風味に影響を及ぼすことのないLDL酸化防止剤について鋭意研究した。
そこで、従来、LDL酸化防止効果を有することが知られているプロアントシアニジンに着目し、一次利用後の廃棄物等をリサイクルでき、強力なLDL酸化防止作用を有し、かつ飲食品に添加しても飲食品本来の風味に対する影響の少ない、年間を通して安定して入手可能な各種飲食品原料について探索した。
その結果、驚くべきことに、各種栗製品の製造の際に廃棄物として大量廃棄されてきた栗皮、特に鬼皮と渋皮を用いた抽出物が、LDL酸化防止作用を有することを今回初めて見出し、本発明に到達した。
本発明によれば、従来のLDL酸化防止剤よりも、風味に癖がなく、継続しての連用摂取がしやすい。
また、強力なLDL酸化防止作用が得られるため、他のLDL酸化防止剤を併用する必要がない。
更には、本発明のLDL酸化防止剤の形態や、これを用いた飲食品の形態等を限定しない為、食事と共に摂取可能で、汎用性が高い。
また、本発明のLDL酸化防止剤は、特に水溶性とした場合には、これを用いた飲食品への混合及び溶解が容易で、飲食品への応用性が高い。
また、甘栗や栗甘露煮、マロングラッセ等の栗菓子を製造する際に大量廃棄されていた栗の鬼皮及び渋皮を有効利用できるので、原料を特段に栽培する必要がないと共に、原料である栗自体も収穫後の保存技術により、年間を通して、安価で、安定した原料供給が可能である。また、一次利用後の栗皮を用いることにより、廃棄物の低減に役立つと共に、廃棄物の新たな付加価値を見出し、価値向上に貢献することができる。
更には、栗皮を用いることにより、煩雑な工程を設けることなく、抽出工程のみでもLDL酸化防止作用を有する抽出物を得ることができるので、短時間で効率良く簡単にLD
L酸化防止剤を得ることができる。
また、本発明のLDL酸化防止効果により、血中酸化LDL濃度を低下させ、高脂血症を予防・改善したり、動脈硬化を予防・改善することが期待できる。
本発明を詳しく説明する。
まず、本発明のLDL酸化防止剤とは、LDLが酸化されるのを防止するものであって、特に、血中LDLの酸化を防止するので、高脂血症や動脈硬化を予防する効果を有する。
なお、上記LDLとはβリポ蛋白質とも言われ、比重が1.019〜1.063g/mlである低比重リポ蛋白質を意味する。
本発明のLDL酸化防止剤は、栗皮抽出物を含有する。
本発明の原料となる栗の品種や大きさは、特に限定するものではなく、一般に用いられるものから適宜選択して用いればよい。例えば、栗の品種としては、日本栗、欧州栗、中国栗、アメリカ栗等が挙げられる。
本発明のLDL酸化防止剤に用いる栗皮は、栗のイガを取り除いた種実のうち、果肉部分を除いた栗の渋皮、最外皮の栗の鬼皮を使用し、これらは単独もしくは組み合わせて適宜選択して用いればよい。
上記栗皮は、一次利用後の廃棄物であっても、果肉付きの栗から専用に剥皮してもよく、特に限定するものではないが、一次利用後の廃棄物を用いる方が、安価で、安定した原料供給が可能であると共に、廃棄物を低減させることができる点で好適である。
上記栗皮は、生のままでもよく、あるいは加熱(焼く、煮る、蒸す、茹でる等)、凍結、乾燥等の各種処理を単独もしくは複数組合せて施したものを用いてもよい。
特に、焼成(焼く)処理を施した栗皮は、有効量を添加しても食品本来の風味を損なわず、好適に効果を発揮し、且つ、大量に或いは300℃以上の強い焼成処理を施したものを添加した際には香ばしく美味な風味を付与することができるため、コーヒー及び麦茶等の焙煎系飲食品に好適に用いられ、更には琥珀色の色調を付与する点で好ましい。
焼成処理を施した栗皮を使用する際には、栗皮の焼成条件は、例えば、剥き栗用生栗の場合、焼成処理方法によっても異なるが、好ましくは150〜400℃で5〜15分程度であり、具体的には、熱風ローストや砂煎りの場合には250〜400℃で5〜15分程度、乾熱加熱の場合には150〜250℃で15分以内程度が挙げられるが、必ずしもこの条件に限定されるものではない。
本発明の栗皮抽出物は、上記栗皮から適宜の抽出方法により抽出されたものを指す。好ましくは、タンニンが抽出されていることが、LDL酸化防止効果の点で好適である。
上記タンニンとは、フェノール性水酸基を多数持ち、獣皮をなめす性質を示す植物由来化合物の総称であり、加水分解型タンニンと縮合型タンニンとに大別される。
加水分解型タンニンとは、一般に分子内のポリフェノール部分としてgalloyl基、hexahydroxydiphenoyl基及びその酸化体等があり、これらが分子内の糖または環状ポリアルコールとエステル結合した構造を持つ。
一方、縮合型タンニンは、カテキン等のフラバン類が、互いに分子間でC4−C8位又はC4−C6位等でC−C結合により結ばれて、2量体以上の重合体を形成したものであり、モノマーのフラボノイド類とは分類上異なる。縮合型タンニンの中でも、C−C結合の開裂によりアントシアニジンを生成するものを、プロアントシアニジンと呼ぶ。
本発明に係る栗皮抽出物には、上述のように、タンニンが含有されていることが好ましいが、該タンニンの中でも、特に縮合型タンニン、更に好ましくはプロアントシアニジンが含有されていることが、LDL酸化防止効果の点で好適である。
本発明のLDL酸化防止剤は、上記栗皮抽出物を有効成分として含有する。有効成分とは、目的とする機能が発揮される程度に該抽出物を含むことを示す。具体的には、LDL酸化防止剤全体重量中、栗皮抽出物を固形分換算で好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有することが、より好ましくはLDL酸化防止剤全体が栗皮抽出物のみからなることが、LDL酸化防止効果を十分に得ることができる点で好適である。
本発明のLDL酸化防止剤には、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択した副原料を含有してもよい。副原料としては、例えば糖質甘味料(果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖類、乳糖、オリゴ糖、トレハロース、麦芽糖等の少糖類、粉末水あめ、デキストリン、糖アルコール等)、高甘味度甘味料(スクラロース、アセスルファムK、ステビア等)、でん粉等の多糖類、油脂類、乳製品、安定剤、乳化剤、香料、色素、酸味料、風味原料(卵、コーヒー、茶類、ココア、果汁果肉、ヨーグルト、酒類等)、蛋白質、アミノ酸、ペプチド、食物繊維、ビタミン類、ミネラル、赤ワイン、緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、ココア、チョコレート、黒ゴマ、豆類、豆乳、ナッツ類、きのこ類、緑黄食野菜類、ヨード卵等の卵由来原料、カテキン類、その他ポリフェノール類、松樹皮抽出物、ナットウキナーゼ、植物ステロール、ジアシルグリセロール、キトサン、低分子アルギン酸ナトリウム、サイリウム種皮、アスタキサンチン、その他カロテノイド、コエンザイムQ10、αリポ酸等が挙げられる。これらは単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。
また、本発明のLDL酸化防止剤の形態は、特に限定するものではなく、例えば液状、粉体、顆粒状、ペースト状等種々の形態が挙げられる。この中でも、粉体もしくは顆粒状は、LDL酸化防止効果が長期間安定に保たれる点で好ましい。
次に、一次利用後の廃棄物である栗皮を用いて本発明のLDL酸化防止剤は、例えば次のようにして製造される。
すなわち、まず、一次利用後の廃棄物である栗皮(渋皮、鬼皮)を準備する。このとき、栗皮を細かく粉砕すると、効率的に抽出物を抽出できる点で好適である。なお、本発明のLDL酸化防止剤を調製する段で栗皮を焼成する場合は、焼成処理と粉砕処理とをどちらを先に行ってもよいが、焼成処理を施してから粉砕する方が作業効率性の点で好適である。また、栗皮を水で洗う、水に浸漬して濾別する等の処理を施して、予め水溶性の糖質等の不要な成分を除去し、タンニンの含有率を高めてもよい。
他方で、栗皮を抽出する抽出溶媒を準備する。
上記抽出溶媒としては、親水性溶媒、多価アルコール、超臨界二酸化炭素等が挙げられ、単独もしくは複数組合せて用いればよいが、好ましくは親水性溶媒であることが、抽出効率、飲食品への汎用性及び加工適性に優れた水溶性のLDL酸化防止剤を得る点で好適である。
上記親水性溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、ブタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
また、上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
これらは、単独または複数組合せて混合した水溶液や分散液でもよい。
この中でも、好ましくはエタノールを用いることが、更に好ましくは20〜80重量%エタノール水溶液を用いることが、LDL酸化防止効果に優れ、また水溶性のLDL酸化
防止剤を効率良く抽出し得る点で好適である。
次に、上記のように準備した栗皮と抽出溶媒とを用いて、栗皮抽出物を抽出する。
抽出方法は、還流操作、常温浸漬等が挙げられる。この中でも、好ましくは還流操作により抽出することが、短時間でLDL酸化防止効果に優れた抽出物を効率良く得る点で好適である。
エタノールを用いて還流操作にて抽出する場合は、上記栗皮と抽出溶媒とを接触させ抽出させる際の抽出溶媒の温度を50℃以上に設定すると、LDL酸化防止効果に更に優れた抽出物を効率良く得る点で好適である。
上記のように得られた抽出物は、必要に応じて更にカラム等を用いての精製処理を適宜組合せてもよい。好ましくは、抽出物固形分換算で、プロアントシアニジンが30重量%以上抽出されるような組合せとすることが、LDL酸化防止効果に優れた抽出物を得る点で好適である。
次いで、上記抽出物に、必要に応じて副原料等を添加し、凍結乾燥、減圧濃縮、スプレードライ等の常法によって、適宜所望の形態とすることで、本発明のLDL酸化防止剤が得られる。なお、粉体もしくは顆粒状に成形する際には、バインダーとしてデキストリン等を用いてもよい。
このようにして得られたLDL酸化防止剤は、各種飲食品はもちろん、医薬品や一般工業品にも応用することが可能である。中でも、特に飲食品に用いると、手軽に美味しく喫食でき、効率良く簡単にLDL酸化防止効果を得ることができる点で好適である。また、上記LDL酸化防止剤が水溶性である場合には、特に応用する飲食品、医薬品や一般工業品の剤形を問わない点で汎用性が広く好適である。
上記飲食品とは、上記LDL酸化防止剤を含有できるものであれば、特に限定するものではなく、例えば、菓子類(チューインガム、キャンディ、タブレット、チョコレート、ゼリー等)や、冷菓や、麺類をはじめとするでん粉系食品や、粉末飲食品や、飲料(スープ、コーヒー、茶類、ジュース、ココア、アルコール飲料、ゼリー状ドリンク等)や、ベーカリー食品(パン、ビスケット等)や、油脂食品(マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド等)や、乳製品(バター、クリーム、チーズ等)等が挙げられる。
なお、本発明の飲食品への上記LDL酸化防止剤の添加時期は、各飲食品の特性、目的に応じ、製造工程の段階で適宜選択して添加すればよい。
上記飲食品におけるLDL酸化防止剤の含有量は、各飲食品の種類や目的等に応じて異なるが、栗皮抽出物固形分換算で、飲食品全体重量中、好ましくは0.001重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上であることが、LDL酸化防止効果の点で望ましい。
本発明の飲食品には、上記LDL酸化防止剤の他に、本来の目的を損なわない範囲で、上記副原料を適宜選択して含有してもよい。
次に、本発明の飲食品の一例として、飲料は例えば次のようにして製造される。すなわち、まず上述したようにLDL酸化防止剤を調製しておく。他方で、麦茶等の茶葉を煮出して茶を作っておく。そして、この茶に、上記LDL酸化防止剤及び必要に応じて副原料を添加混合すれば、本発明のLDL酸化防止剤含有茶飲料が得られる。
このようにして得られたLDL酸化防止剤含有茶飲料のみならず、本発明のLDL酸化防止剤含有飲食品には、LDLの酸化を防止し、動脈硬化を予防する旨の表示を設けても
よい。その表示例としては、「LDLコレステロールの酸化を防止する」、「LDLコレステロールを酸化から守り、動脈硬化を予防する」、「悪玉コレステロールが気になる方に」、「動脈硬化が気になる方に」、「動脈硬化の予防に」、「高脂血症の方に」、「LDLコレステロールを酸化から守る」、「LDLコレステロールの酸化を防止し、動脈硬化を予防する」、「LDLコレステロールが気になる方に」、「血清コレステロール値が高めの方に」、「悪玉コレステロールの酸化を防止する」等が挙げられる。
以下、本発明を実施例を用いて例示する。
《LDL酸化防止剤の調製》
<実施例1>(焼成栗皮未精製又は未分画)
中国河北省産の栗を熱風ローストで300℃7分間焼成し剥皮した後、剥き栗を製菓原料として用い、栗皮(鬼皮及び渋皮)を回収した。
そして、上記のように回収した栗皮をコーヒーミルで粉砕した。この栗皮粉砕物をフラスコに入れ、引き続き50重量%エタノール水溶液を注ぎ、湯せんにて70℃4時間加熱した。この時、エタノールの蒸発を防止するために、フラスコ上部にリービッヒ冷却管を設け、それに冷水を流すことにより還流操作を行った。得られた抽出液を濾過し、濾液と残渣に分けた。上記濾液を濃縮後、凍結乾燥を施し、栗皮抽出物粉末を得た。
このようにして得られた栗皮抽出物粉末の総タンニン含有量は、該粉末全体重量中47重量%であった。また、総プロアントシアニジン含有量は、該粉末全体重量中44重量%であった(バニリン塩酸法によって算出)。
上記総タンニン含有量は、バニリン塩酸法、Wilsonらの方法((1990)J.Agric.Food.Chem38、1678−1683)、Inoueらの方法((1988)Analytical Biochemistry169、363−369)の合算により算出した。
<実施例2>(焼成栗皮残渣高分子画分)
栗皮粉砕物を50重量%エタノール水溶液で湯せんする前に、フラスコに栗皮粉砕物及び蒸留水(20℃)を入れ、一晩常温で静置した後、水を除去する他は、実施例1と同様に栗皮抽出物粉末を得た。
このようにして得られた栗皮抽出物粉末の総タンニン含有量は、該粉末全体重量中54重量%であった(実施例1と同様に測定)。また、総プロアントシアニジン含有量は、該粉末全体重量中51重量%であった(実施例1と同様に測定)。
<実施例3>(生栗皮未精製又は未分画)
中国河北省産の栗から生のまま栗皮(鬼皮及び渋皮)を剥いて回収し、この栗皮をコーヒーミルで粉砕した他は、実施例1と同様の方法にて生栗皮抽出物粉末を得た。
このようにして得られた生栗皮抽出物粉末の総タンニン含有量は、該粉末全体重量中68重量%であった(実施例1と同様に測定)。また、総プロアントシアニジン含有量は、該粉末全体重量中65重量%であった(実施例1と同様に測定)。
《LDL酸化防止能の測定》
上記のようにして調製した実施例1〜3の栗皮抽出物粉末(水溶性)について、下記の方法でLDL酸化防止能を測定し、LDL酸化防止効果を評価した。
ヒトLDL(シグマ製)の酸化反応系に、実施例1〜3の栗皮抽出物粉末を添加し、生成される酸化LDLが一定濃度に達する時間(lag time)を測定した。栗皮抽出物粉末無添加のコントロールに対するlag time比較値で、実施例品の酸化防止能を評価した。
(1)測定手順
1.ヒトLDL5.45μl、リン酸緩衝液(pH7.4)172.55μl、2.5m
M EDTAリン酸緩衝溶液8μl及び図1記載の各濃度になるように栗皮抽出物粉末を含有した50重量%エタノール水溶液10μlを、それぞれ96穴マイクロプレートのウエル中で混合した。
2.上記1に、20mM V−70(2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4´−ジメチルバレロニトリル))の50重量%エタノール溶液を4μl加え、酸化反応を開始した。
3.37℃に保温して酸化反応を進行させ、234nmにおける吸光度が、反応開始時に対し0.1上昇する時間(lag time)を測定した。
4.コントロールは、上記1の栗皮抽出物粉末を含有した50重量%エタノール水溶液10μlの代わりに、栗皮抽出物粉末無添加50重量%エタノール水溶液を10μlを加えて測定した。
なお、ここで使用したリン酸緩衝液は、NaCl 4g、KCl 0.1g、Na2HPO4 1.45g及びKH2PO4 0.1gを蒸留水にて500mlにメスアップ後、脱気処理及び酸素バブリング処理したものを使用した。
(2)LDL酸化防止能の算出
以上より求めた各栗皮抽出物粉末とコントロールのlag time値を以下の式に代入し、LDL酸化防止能を求めた。
LDL酸化防止能=A/B
A=栗皮抽出物粉末を含有した50重量%エタノール水溶液を添加した反応系におけるlag time値
B=栗皮抽出物粉末無添加50重量%エタノール水溶液を添加した反応系(コントロール)のlag time値
<比較例1、2>
実施例の栗皮抽出物粉末に代えて、従来知られているLDLコレステロール酸化防止能を持つ物質である比較例1:エピガロカテキンガレート(以下、EGCGと記す)と、比較例2:緑茶エキス粉末の各物質について、図1記載の各濃度におけるLDL酸化防止能を算出した。測定方法は、実施例の測定と同様の方法で行い、上記算出式により求めた。
上記のようにして求めた実施例1〜3及び比較例1、2のLDL酸化防止能を、図1に示す。
図1の結果より、実施例1〜3は強力なLDL酸化防止能を示した。特に実施例2及び3は、比較例1及び2よりLDL酸化防止能が明らかに高く、実施例1も比較例1には劣るものの、比較例2より高いLDL酸化防止能を持つことが分かった。
このことから、栗皮抽出物粉末はLDL酸化防止作用を有し、好ましくは、栗皮を水に浸漬して濾別等して、タンニンの含有率を高めた方が、より強力な効果を奏すると理解できる。
《飲料の調製》
〈実施例4〜6〉
常法に従い、PET入り麦茶を製造した。この麦茶を分割して、実施例1〜3の各栗皮抽出物粉末を0.05重量%添加して、各実施例の栗皮抽出物粉末が含有された麦茶を調製した(実施例1の栗皮抽出物粉末含有麦茶を実施例4、実施例2品含有麦茶を実施例5、実施例3品含有麦茶を実施例6とする)。
また、コントロールとして、栗皮抽出物粉末を添加しない麦茶を調製した。
〈比較例3〉
常法に従って製造したPET入り麦茶に、EGCGを0.05重量%添加して、EGC
G含有麦茶を調製した。
上記実施例4〜6、コントロール及び比較例3の麦茶を、専門パネラー20名が1週間、毎食後に200ml飲用した結果、コントロールに対して、実施例4及び5品は風味的に遜色なく、むしろ深い琥珀色の色調となり、香ばしさが続く、薫り高い麦茶飲料で連用しやすいものであった。実施例6品は、実施例4及び5品に比べると、風味・色調とも若干劣るものの、飲み易く連用性があった。また、実施例4〜6品に添加した実施例1〜3の栗皮抽出物粉末は、水溶性で麦茶中での溶解性に優れ、均一に分散し、透明のPETボトルに充填しても沈殿がなかったため、麦茶の色調が透明で、外観的に良好であった。
これに対し、比較例3品は、本来の麦茶の風味に苦味が加わったため、毎日連用するには適さない風味であった。
以上のことから、図1の結果においては、実施例1〜3品は、緑茶エキス粉末(比較例2)と比べると、確実に高い酸化防止能を有するものであった。また、EGCG(比較例1)と比べると、実施例1品は、どの濃度領域においても酸化防止能が低かったが、実施例2及び3品は、濃度が0.02mg/mlのような低濃度領域ではほぼ同等のLDL酸化防止能であるものの、それ以上の濃度領域では同等以上の酸化防止能を有するものであった。
一方、LDL酸化防止剤含有飲料としては、風味の点で、実施例1〜3の栗皮抽出物粉末を用いた実施例4〜6の麦茶の方が、EGCG含有麦茶(比較例3)に比べて顕著に優れていた。特に、実施例1、2の栗皮抽出物粉末を用いた実施例4、5品は、色調・風味の点で優れていた。
これらのことを総合して、本発明のLDL酸化防止剤としては、実施例1〜3品が適していると理解できる。
各LDL酸化防止剤の所定濃度におけるLDL酸化防止能を示した図

Claims (4)

  1. 水に浸漬した後濾別処理を施した焼成栗皮の栗皮抽出物を固形分換算で、低比重リポ蛋白質酸化防止剤全体重量中50重量%以上含有する低比重リポ蛋白質酸化防止剤であって、該低比重リポ蛋白質酸化防止剤を該栗皮抽出物の固形分換算で、ヒトLDL1mlに対して0.05mg以上用いることを特徴とする低比重リポ蛋白質酸化防止剤。
  2. 栗皮抽出物が、親水性溶媒により抽出された抽出物である請求項1記載の低比重リポ蛋白質酸化防止剤。
  3. 栗皮抽出物が、栗皮由来のタンニンを含有する請求項1又は2記載の低比重リポ蛋白質酸化防止剤。
  4. タンニンが、プロアントシアニジンを含有する請求項3記載の低比重リポ蛋白質酸化防止剤。
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