JP5725799B2 - ナノカーボン水分散体及びその製造方法並びにナノカーボン含有構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノカーボン水分散体及び製造方法並びにナノカーボン含有構造体に関する。
カーボンナノチューブに代表されるナノカーボンは電気伝導性、熱伝導性、機械的強度、熱安定性等が優れているため、その応用開発研究が盛んに行われている。
しかしながら、ナノカーボンは分散媒中で強いファン・デル・ワールス力によって束状、絡み合ったロープ状又は塊状に凝集し易いため、分離・精製及び取扱いが困難という問題がある。そして、特に機能性材料として期待されているカーボンナノチューブにおいては、凝集が著しく、凝集解消が強く求められている。
分散媒中での凝集を解消して分離・精製及び取扱いを容易にするために、媒体中でナノカーボンを孤立分散させる試みがなされている。第1のアプローチは、カーボンナノチューブの端部を親水性基又は疎水性基で化学修飾することによって媒体中に分散し易くする方法である。第2のアプローチは、カーボンナノチューブの媒体中での親和性を介助する物質(分散剤)を用いる方法である。
前者としては、例えば、カーボンナノチューブをニトロ化した後、他の基に置換して水に分散させる方法が記載されている(特許文献1)しかしながら、カーボンナノチューブを化学修飾する方法は、カーボンナノチューブの物性を変える可能性があるため、後者の方法の方が望ましいとされている。
後者の方法としては、媒体として水性媒体と疎水性有機溶媒の両方が検討されているが、コスト、有毒性及び環境面の観点から水性媒体の使用が望まれている。
カーボンナノチューブの有機媒体中での親和性を介助する物質(分散剤)としては、例えば、ポリイミド(非特許文献1)、ポリベンズイミダゾール(非特許文献2)、ポリアミド酸(特許文献1)などの高分子が知られている。
カーボンナノチューブの水性媒体中での親和性を介助する物質(分散剤)としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルイタコン酸塩(特許文献3)、重縮合系芳香族系界面活性剤(特許文献4)、ステロイド骨格を含む非イオン性界面活性剤(特許文献5)等の界面活性剤;カテキン類(特許文献6)、両親媒性トリフェニレン誘導体(特許文献7)、ポリフェノール含有水溶液(特許文献8)、両親媒性π共役化合物(特許文献9)、ピレン誘導体(非特許文献3)、ポルフィリン誘導体(非特許文献4)等の芳香族又は複素環化合物;ポリスチレンスルホン酸(特許文献10)、多糖(特許文献11)、ピレンポリマー(非特許文献5)、DNA(非特許文献6)等の親水性高分子などが知られている。
これらの分散剤を用いて媒体中に孤立分散されたカーボンナノチューブは、精製、導電性の異なるカーボンナノチューブの分離、導電膜形成等に供されるが、カーボンナノチューブ表面に分散剤が残存しているとカーボンナノチューブ間の電気伝導性を低下させるおそれがある。そのため、分散剤は除去が容易であるか、残存していても電気伝導性に悪影響を及ぼさないか、僅かな使用量でカーボンナノチューブを分散できる物質が望ましいが、これらの少なくとも1つを満たし得る物質は未だ開発されていない。
特開2004−107657号公報 特開2010−24127号公報 特開2010−13312号公報 特開2005−263608号公報 特開2009−242126号公報 特開2009−298625号公報 特開2009−190940号公報 特開2009−161393号公報 特開2006−265151号公報 特開2009−149832号公報 特開2008−53607号公報
Chem. Phys. Lett., 418, 115-118 (2006) Adv. Funct. Mater., 18. 1776 (2008). Chem. Lett., 6, 638-639 (2002). Chem. Phys. Lett. 378, 481-485 (2003). Trans. Mater. Research Soc. Jpn., 29, 525-528 (2004). Chem. Lett., 32, 456 (2003).
本発明は、極低濃度の分散剤によりナノカーボンを水性溶媒中に孤立分散させることができるナノカーボン水分散体及びその製造方法を提供することを目的とする。また、当該ナノカーボン水分散体から水を除去して得られる、電気伝導性の高いナノカーボン含有構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド酸塩をナノカーボンの分散剤として採用する場合には上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記のナノカーボン水分散体及びその製造方法並びにナノカーボン含有構造体に関する。
1. ポリアミド酸塩、ナノカーボン及び水性溶媒を含有することを特徴とするナノカーボン水分散体。
2. 前記ポリアミド酸塩は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン及び芳香族テトラカルボン酸二無水物からなる重縮合体とアルカリ金属又は有機アミンとの塩である、上記項1に記載のナノカーボン水分散体。
3. 前記ナノカーボンは、単層又は多層のカーボンナノチューブである、上記項1又は2に記載のナノカーボン水分散液。
4. ポリアミド酸塩を含む水性溶媒にナノカーボンを混合することにより組成物を調製する工程1及び
前記組成物に物理的分散処理を施す工程2、
を有することを特徴とするナノカーボン水分散液の製造方法。
5. 上記項1〜3のいずれかに記載のナノカーボン水分散体の乾燥物である、ナノカーボン含有構造体。
6. 前記乾燥体が熱処理されている、上記項5に記載のナノカーボン含有構造体。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のナノカーボン水分散体は、ポリアミド酸塩、ナノカーボン及び水性溶媒を含有することを特徴とする。
上記特徴を有する本発明のナノカーボン水分散体は、ポリアミド酸塩を分散剤とすることにより、極低濃度の使用量でナノカーボンを水性溶媒中に孤立分散させることができる。また、ナノカーボン水分散体からナノカーボンの分離・精製が容易であり、他材料にナノカーボンを均一混合することも可能であるため、ナノカーボンを含むナノコンポジットなどへ適用できる。更に、ナノカーボン水分散体の乾燥物であるナノカーボン含有構造体は、分散剤が残存していても高い電気伝導性を有しているため、さまざまな光・電子デバイスに適用することができる。
ナノカーボン水分散体及びその製造方法
本発明で用いるナノカーボンは限定的ではなく、公知の単層又は多層のカーボンナノチューブなどが使用できる。具体的には、例えば、次のものが例示できる。
(i) 単層カーボンナノチューブ、
(ii) アモルファスナノスケールカーボンチューブ、
(iii) ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる群から選ばれるカーボンチューブ、又は
(iv)上記(iii)のカーボンチューブと炭化鉄又は鉄とからなり、該カーボンチューブのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に炭化鉄又は鉄が充填されている鉄−炭素複合体。
<カーボンナノチューブ>
カーボンナノチューブは、黒鉛シート(即ち、黒鉛構造の炭素原子面ないしグラフェンシート)がチューブ状に閉じた中空炭素物質であり、その直径はナノメートルスケールであり、壁構造は黒鉛構造を有している。カーボンナノチューブのうち、壁構造が一枚の黒鉛シートでチューブ状に閉じたものは単層カーボンナノチューブと呼ばれ、複数枚の黒鉛シートがそれぞれチューブ状に閉じて、入れ子状になっているものは入れ子構造の多層カーボンナノチューブと呼ばれている。本発明では、これら単層又は多層カーボンナノチューブがいずれも使用できる。
単層カーボンナノチューブとしては、直径が0.4〜10nm程度、長さが1〜500μm程度のものが好ましく、直径が0.7〜5nm程度、長さが1〜100μm程度のものがさらに好ましく、特に、直径が0.7〜2nm程度、長さが1〜20μm程度のものが好ましい。
多層カーボンナノチューブとしては、直径が1〜100nm程度、長さが1〜500μm程度のものが好ましく、直径が1〜50nm程度、長さが1〜100μm程度のものがさらに好ましく、特に、直径が1〜40nm程度、長さが1〜20μm程度のものが好ましい。
<アモルファスナノスケールカーボンチューブ>
アモルファスナノスケールカーボンチューブは、WO00/40509(特許第3355442号)に記載されており、カーボンからなる主骨格を有し、直径が0.1〜1000nmであり、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブであって、直線状の形態を有し、X線回折法(入射X線:CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される炭素網平面(002)の平面間隔(d002)が3.54Å以上、特に3.7Å以上であり、回折角度(2θ)が25.1度以下、特に24.1度以下であり、2θバンドの半値幅が3.2度以上、特に7.0度以上であることを特徴とするものである。
アモルファスナノスケールカーボンチューブは、アモルファス構造(非晶質構造)を有するナノスケールのカーボンナノチューブで、中空直線状であり、細孔が高度に制御されている。その形状は、主に円柱、四角柱などであり、先端の少なくとも一方が、キャップを有していない(開口している)場合が多い。先端が閉口している場合には、形状がフラット状である場合が多い。
該アモルファスナノスケールカーボンチューブの外径は、通常1〜1000nm程度の範囲にあり、好ましくは1〜200nm程度の範囲にあり、より好ましくは、1〜100nm程度の範囲にある。そのアスペクト比(チューブの長さ/直径)は2倍以上であり、好ましくは5倍以上である。
ここで、「アモルファス構造」とは、規則的に配列した炭素原子の連続的な炭素層からなる黒鉛質構造ではなく、不規則な炭素網平面からなる炭素質構造を意味し、多数の微細なグラフェンシートが不規則に配列し、原子の配列が不規則になっている。代表的な分析手法である透過型電子顕微鏡による像からは、本発明による非晶質構造のナノスケールカーボンチューブは、炭素網平面の平面方向の広がりがアモルファスナノスケールカーボンチューブの直径の1倍より小さい。このように、アモルファスナノスケールカーボンチューブは、その壁部が黒鉛構造ではなく多数の微細なグラフェンシート(炭素網面)が不規則に分布したアモルファス構造を有しているため、最外層を構成する炭素網面は、チューブ長手方向の全長にわたって連続しておらず、不連続となっている。特に、最外層を構成する炭素網面の長さは、20nm未満、特に5nm未満である。
非晶質炭素は一般的にはX線回折を示さないが、ブロードな反射を示す。黒鉛質構造では、炭素網平面が規則的に積み重なっているので、炭素網平面間隔(d002)が狭くなり、ブロードな反射は高角側(2θ)に移行して、次第に鋭くなり(2θバンドの半値幅が狭くなり)、d002回折線として観測できるようになる(黒鉛的位置関係で規則正しく積み重なっている場合はd002=3.354Åである)。
これに対し、非晶質構造は、上記のように一般的にはX線による回折を示さないが、部分的に非常に弱い干渉性散乱を示す。X線回折法(入射X線=CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される本発明によるアモルファスナノスケールカーボンチューブの理論的な結晶学的特性は、以下の様に規定される:炭素網平面間隔(d002)は、3.54Å以上であり、より好ましくは3.7Å以上である;回折角度(2θ)は、25.1度以下であり、より好ましくは24.1度以下である;前記2θバンドの半値幅は、3.2度以上であり、より好ましくは7.0度以上である。
典型的には、アモルファスナノスケールカーボンチューブは、X線回折による回折角度(2θ)が18.9〜22.6度の範囲内にあり、炭素網平面間隔(d002)は3.9〜4.7Åの範囲内にあり、2θバンドの半値幅は7.6〜8.2度の範囲内にある。
アモルファスナノスケールカーボンチューブの形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。すなわち、透過型電子顕微鏡によるアモルファスナノスケールカーボンチューブ像の長さをLとし、そのアモルファスナノスケールカーボンチューブを伸ばした時の長さをL0とした場合に、L/L0が0.9以上となる形状特性を意味するものとする。
<鉄−炭素複合体>
鉄−炭素複合体は、特開2002−338220号公報に記載されており、(a)ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる群から選ばれるカーボンチューブと(b)炭化鉄又は鉄とからなり、該カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に(b)の炭化鉄又は鉄が充填されている。即ち、チューブ内空間部の100%の範囲に完全に充填されているものではなく、上記金属又は合金がそのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に充填されている(即ち、部分的に充填されている)ことを特徴とするものである。壁部は、パッチワーク状ないし張り子状(いわゆるpaper mache状)のナノフレークカーボンチューブである。
なお、「ナノフレークカーボンチューブ」とは、フレーク状の黒鉛シートが複数枚(通常は多数)パッチワーク状ないし張り子状(paper mache状)に集合して構成されている、黒鉛シートの集合体からなる炭素製チューブを指す。
本発明では、ナノカーボンの分散剤としてポリアミド酸塩を用いる。ポリアミド酸塩は、ナノカーボン表面に吸着して水性溶媒中でナノカーボンを孤立分散させることができる。また、ポリアミド酸塩は、ナノカーボン表面に残存してもナノカーボンの電気伝導性に影響を与え難いという優位性もある。
上記ポリアミド酸塩としては限定的ではないが、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン及び芳香族テトラカルボン酸二無水物からなる重縮合体とアルカリ金属又は有機アミンとの塩であることが好ましい。なお、アルカリ金属塩を用いる場合には、ナノカーボン含有構造体を熱処理してもポリイミド化できないが、有機アミン塩を用いる場合には、ナノカーボン含有構造体を熱処理することによりポリイミド化できる。
上記アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
上記有機アミン塩としては、例えば、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、ジメチルアミノエタノール塩等が挙げられる。これらの有機アミン塩の中でも、水性溶媒中での分散性を考慮すると、トリエタノールアミン塩が好ましい。
ナノカーボン水分散体における上記ポリアミド酸塩の含有量は限定的ではないが、0.01〜50wt%が好ましく、0.1〜20wt%がより好ましい。また、ナノカーボンを良好に分散するためには、ナノカーボン100重量部に対して1〜1000重量部が好ましく、10〜100重量部がより好ましい。本発明では、ポリアミド酸又はその塩をバインダーとして使用することも可能であるため、その場合にはナノカーボンに対するポリアミド酸塩の量は上記範囲に限定されない。
また、ナノカーボン水分散体における上記ナノカーボンの含有量は限定的ではないが、本発明では20wt%程度まで高濃度分散させることができ、好ましくは0.01〜10wt%である。
本発明では、ナノカーボン水分散体のナノカーボンの分散媒として水性溶媒を用いる。
水性溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール、エチレングリコール等が使用できる。ナノカーボン水分散体における上記水性溶媒の含有量は限定的ではないが、上記ナノカーボン及び分散剤の含有量となるように調整すればよい。
上記本発明のナノカーボン水分散体は、分散剤であるポリアミド酸塩がナノカーボン表面に吸着しており、水性溶媒中でナノカーボンを孤立分散させることができる。また、ナノカーボン水分散体からナノカーボンの分離・精製が容易である。
上記本発明のナノカーボン水分散体の製造方法は限定的ではなく、上記各成分を混合することにより製造できるが、下記の本発明の製造方法を用いることにより好適に製造することができる。
すなわち、ポリアミド酸塩を含む水性溶媒にナノカーボンを混合することにより組成物を調製する工程1及び前記組成物に物理的分散処理を施す工程2を有することを特徴とするナノカーボン水分散液の製造方法により好適に製造することができる。本発明の製造方法における各成分の種類及び含有量については前記の通りである。
上記工程2における物理的分散処理は、例えば、超音波ホモジナイザー、ホモジナイザー、ボールミル等の公知の撹拌機により行うことができる。
ナノカーボン含有構造体
本発明のナノカーボン含有構造体は、上記ナノカーボン水分散体の乾燥物である。
乾燥物を得るためには、通常の固液分離によりナノカーボン含有構造体を回収する。この分離を行う方法としては、例えば、通常の固液分離に使用されている方法、例えば、濾紙、ガラスフィルターなどを用いて濾過する方法;遠心分離後に濾過する方法;減圧濾過器を使用する方法;分散体のpHを酸性にする、分散体に食塩などを加える、または分散体に大量のアルコールを加えるなどにより分散体中からナノカーボンを凝集させた後に濾過又は遠心分離する方法等を例示できる。次に、乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、温風乾燥機等を用いて50〜200℃程度で1〜24時間程度乾燥させる方法を例示できる。
本発明のナノカーボン含有構造体は、ナノカーボン表面に分散剤が残存していても電気伝導性に影響を与え難いが、必要に応じて、ナノカーボン含有構造体を希酸で洗浄することにより塩を除去することができる。
塩を除去するための洗浄は、ナノカーボン含有構造体と希酸とを接触させ、次いで水洗することにより行う。希酸は、0.1〜5%塩酸が好ましい。洗浄操作は、希酸とナノカーボン含有構造体とを接触させればよい。例えば、ナノカーボン水分散体から回収されたナノカーボン含有構造体又はその乾燥物を、希酸中に室温で静かに浸漬させるのが好ましい。浸漬時間は30分、好ましくは20分以内である。30分より長く浸漬させると構造体が崩壊するおそれがある。
希酸の使用量は、洗浄を行うに有効な量であれば特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、ナノカーボン含有構造体100重量部に対して、洗浄溶媒を100〜100000重量部程度、特に1000〜5000重量部程度使用すると良好な結果が得られる。
本発明のナノカーボン含有構造体は、必要に応じて、熱処理を施してもよい。分散剤が有機アミン塩である場合には、熱処理することによりポリアミド酸塩がポリイミド化してナノカーボン含有構造体(ナノカーボンとポリイミドとの複合体)の耐熱性、機械的特性等の特性を向上させることができる。かかるナノカーボンとポリイミドとの複合体は、異方性のない耐熱性導電性材料として利用することができる。熱処理の条件は限定的ではないが、ポリイミド化させる場合には、200〜300℃程度で1〜12時間程度熱処理することが好ましい。
本発明のナノカーボン水分散体は、ポリアミド酸塩を分散剤とすることにより、極低濃度の使用量でナノカーボンを水性溶媒中に孤立分散させることができる。また、ナノカーボン水分散体からナノカーボンの分離・精製が容易であり、他材料にナノカーボンを均一混合することも可能であるため、ナノカーボンを含むナノコンポジットなどへ適用できる。更に、ナノカーボン水分散体の乾燥物であるナノカーボン含有構造体は、分散剤が残存していても高い電気伝導性を有しているため、さまざまな光・電子デバイスに適用することができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し本発明は実施例に限定されない。
実施例1
(ポリアミド酸の合成)
三口セパラブルフラスコに、9,9−ビスアニリンフルオレン(BAF、JFEケミカル(株)製)8.71gを添加し、更に乾燥したN-メチルピロリドン(NMP)75.04gを添加した。
この溶液を窒素でバブリングし、0℃で撹拌しながらピロメリット酸無水物(PMDA)5.74gを添加し、メカニカルスターラーで2時間撹拌した後、室温で17時間撹拌した。
反応溶液を蒸留水1.5リットルに滴下し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、乾燥し、NMPを含むポリアミド酸22.22gを得た。ポリアミド酸の重量平均分子量は37900、数平均分子量は6390であった。
(ポリアミド酸塩の作製)
ポリアミド酸0.5gを2−エトキシエタノール2mlに溶解させ、これに0.1gのトリエタノールアミンを加えて塩を析出させた。
この塩を遠心分離で回収後、100mlの水に溶解させた。
(カーボンナノチューブの分散)
上記ポリアミド酸塩水溶液10mlに0.1gのカーボンナノチューブ(CNT)(ナノシル社製 NC7000)を加えて超音波ホモジナイザーで分散(300mA、5分)した。
得られた分散液(CNT濃度1wt% BPF重量:CNT重量= 0.5:1)を水で希釈してCNT濃度0.01wt%液を調製し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、CNTが孤立分散して存在しており、分散剤がCNT100重量部に対して50重量部の少量であっても十分であることが確認できた。
実施例2
(ナノカーボン含有構造体)
実施例1と同様にして得たCNT水分散液(CNT濃度1wt% ポリアミド酸重量:CNT重量= 10:1)を2枚のガラス板上にそれぞれ塗布後、60℃で1時間乾燥させた。乾燥中、塗膜の収縮が激しいため、分散液にエチレングリコール(EG)を5wt%添加して乾燥させたところ、収縮を防ぐことができた。60℃で乾燥後、更に150℃で30分間乾燥させた。更に1枚は300℃で10分熱処理を行った。
得られた硬化膜の表面抵抗を三菱アナリテック製ロレスタで測定した。
硬化膜の表面抵抗は、150℃で乾燥させたものは1E+03 Ω/□、300℃で熱処理を行ったものは5E+02 Ω/□を示し、何れも導電性の高いことがわかった。この結果から、高温でイミド化の程度が大きくなった場合でも良好な導電性が維持されていることが分かる。

Claims (5)

  1. ポリアミド酸塩、ナノカーボン及び水性溶媒を含有することを特徴とするナノカーボン水性分散体であって、該ポリアミド酸塩が、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン及び芳香族テトラカルボン酸二無水物からなる重縮合体とアルカリ金属又は有機アミンとの塩であるナノカーボン水性分散体。
  2. 前記ナノカーボンは、単層又は多層のカーボンナノチューブである、請求項1に記載のナノカーボン水性分散体。
  3. ポリアミド酸塩を含む水性溶媒にナノカーボンを混合することにより組成物を調製する工程1及び
    前記組成物に物理的分散処理を施す工程2、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のナノカーボン水性分散体の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のナノカーボン水性分散体の乾燥物である、ナノカーボン含有構造体。
  5. 前記乾燥物が熱処理されている、請求項4に記載のナノカーボン含有構造体。
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